(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、文書管理システム100を示す図である。
文書管理システム100は、MFP(Multi Function Peripheral)である画像形成装置1と、クライアントPC2(Personal Computer)と、文書情報管理サーバ3と、プリンタ管理サーバ4(機能制限サーバ)と、これらを接続するネットワーク91(電気通信回線)とを備える。
【0010】
各要素1〜4はいずれも、タッチパネルや液晶パネル等の表示部11、21、31、41と、タッチパネルやマウス、キーボード、ボタン等のユーザの操作入力を受け付ける操作入力部12、22、32、42とを備える。各要素1〜4は、また、各種の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに読み出される各種のプログラムや変数等を記憶するメモリやHDD(Hard Disk Drive) 、および所定の機能を実現するための専用の回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む制御部13、23、33、43を備える。
【0011】
画像形成装置1は、
図1においては1つのみ描いたが、複数がネットワーク91に接続されている。各画像形成装置1は、表示部11、操作入力部12、制御部13の他、原稿を読み取り、PDF(Portable Document Format)等の画像データを生成する読取部14と、画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成部15と、ユーザ認証部16とを備える。ユーザ認証部16は、入力された情報に基づいてユーザを認証し、ログインを許可する。認証に用いる情報としては、入力を受け付けたユーザIDとパスワードであってもよいし、IDカードを読み取った情報でもよいし、入力を受け付けた指紋等のバイオ情報であってもよい。画像形成装置1が画像形成対象とするシートは、印刷紙でなくともよく、OHP(Over Head Projector)シート等であってもよい。
【0012】
まず簡略に文書管理システム100の説明をする。
本実施形態の文書管理システム100において、文書情報管理サーバ3には、各文書の識別番号毎に有効期限やバージョン等の属性情報が対応付けられた属性情報テーブル34が、予め文書管理システム100の管理者により設定されている。また、プリンタ管理サーバ4には、文書の属性情報(例えば有効期限等)と印刷機能の制限(例えば、有効期限1カ月以内の文書はモノクロ、両面、2in1印刷)とが対応付けられた印刷ポリシーテーブルが、予め管理者により設定されている。
【0013】
クライアントPC2は、属性情報テーブル34にて識別番号および属性情報が管理されている文書ファイルであってクライアントPC2上にある文書ファイルの印刷を受け付けると、該文書ファイルの識別番号および文書ファイルをプリンタ管理サーバ4を介して文書情報管理サーバ3に送信する。
【0014】
すると、文書情報管理サーバ3は、受信した文書ファイルの識別番号に対応付けられた文書ファイルの属性情報(例えば有効期限等)を、プリンタ管理サーバ4を介してクライアントPC2に送信する。これにより、クライアントPC2は、受信した属性情報(例えば有効期限等)に対応付けられた印刷機能の制限、例えばモノクロ、両面、2in1印刷を行う。
また、文書管理システム100では、例えば、プリンタ管理サーバ4は、クライアントPC2から受信した文書ファイルに印刷機能の制限、例えばモノクロ、両面、2in1印刷を記述し、画像形成装置1に送信する。そして、画像形成装置1が、プリンタ管理サーバ4による印刷機能の制限を受けて文書ファイルを印刷する。
【0015】
以下、
図1および
図2、23のフローチャートを参照しながら、文書管理システム100による文書管理処理および各要素2〜4の機能等を説明する。なお、
図2は文書管理システム100全体の文書管理処理を示すフローチャートであり、
図23は、管理システム100の各要素2〜4毎の処理を示すフローチャートである。各要素2〜4は、以下の各処理を各CPUがメモリからプログラム(機能制限プログラム)を読み出し実行することにより行う。
【0016】
クライアントPC2は、表示部21、操作入力部22、制御部23の他、マーク読取部24を備える。マーク読取部24は、原稿上に形成された識別コードであって、文書の識別番号(識別情報)を示すQRコード(登録商標)等の識別コードを読み取る。
【0017】
制御部23は、印刷したい文書ファイルの選択および文書の配布先を受け付け、該文書ファイルの識別番号、配布先、および該文書ファイルが印刷要求された旨をプリンタ管理サーバに送信する(ST001〜ST003)。具体的に、制御部23は、印刷したい文書ファイルの選択を受け付け、アプリケーションによる
図3に示す印刷要求受付画面231を表示部21に表示する。制御部23は、選択を受け付けた文書ファイルを文書表示部232に表示し、印刷ボタン233の操作入力を受け付ける。
【0018】
ここでクライアントPC2は、文書情報管理サーバ3からダウンロードしたPDF(Portable Document Format)等の文書ファイルを保持しており、該文書ファイルにはプロパティとして識別番号が付されている。制御部23は、印刷要求受付画面231にて印刷ボタン233の操作入力を受け付けることで、文書ファイルの印刷要求を取得するとともに、該文書ファイルに付された識別番号を取得する。本実施形態では、識別番号はD1000であるものとする。
【0019】
次に制御部23は、アプリケーションによる
図4に示す配布先受付画面234を表示し、文書ファイルの配布先を受け付ける。本実施形態では、制御部23は、配布先を示す複数の選択ボタン235を表示し、文書ファイルの配布先として営業課員Aを受け付けるものとする(ST001)。
制御部23は、文書ファイルに基づいてプリンタドライバによりPDL(Page Description Language)ファイルを生成する(ST002)。
制御部23は、文書ファイルの識別番号、配布先、およびPDLファイルをプリンタ管理サーバに送信する(ST003)。
【0020】
なお、制御部23のST001〜ST003は、文書情報管理サーバ3からダウンロードされて印刷された文書ファイルの原稿をコピーする場合においても適用できる。この場合、原稿には、文書ファイルの識別番号を示す識別コードが付される。制御部23は、該識別コードをマーク読取部24にて読み取ることにより、文書ファイルの識別番号(本実施形態ではD1000とする)を取得する。また、制御部23は、画像形成装置1が原稿を読み取ることによりPDFファイル等の文書ファイルを取得する。そして、制御部23は、印刷要求受付画面231および配布先受付画面234により、該文書ファイルの印刷要求および配布先を受け付け、文書ファイルの識別番号、配布先、およびPDLファイル(文書ファイルの印刷要求)をプリンタ管理サーバ4に送信する(ST001〜ST003)。
プリンタ管理サーバ4は、文書情報管理サーバ3へ文書ファイルの識別番号、配布先、および該文書ファイルが印刷要求された旨を送信する(ST004)。
【0021】
文書情報管理サーバ3は、表示部31、操作入力部32、制御部33(取得部)の他、メモリやHDD等の記憶部内に格納されている属性情報テーブル34およびユーザ情報テーブル35を備える。
【0022】
図5は、更新前の属性情報テーブル34を示す図、
図6は、更新後の属性情報テーブル34を示す図である。
文書情報管理サーバ3の制御部33は、受信した文書ファイルの識別番号、配布先、および該文書ファイルが印刷要求された旨に基づいて属性情報テーブル34を更新する(ST005)。
【0023】
以下、更新前の
図5の属性情報テーブル34について説明した後、更新後の
図6の属性情報テーブル34について説明する。
図5の属性情報テーブル34において、文書の識別番号と文書の属性情報(第1属性情報)とが対応付けられている。識別番号は文書を一意に識別するための番号である。文書の属性情報は、本実施形態では、文書名、原本、親文書、バージョン、最新バージョン、所有者、有効期限、および状態である。
【0024】
文書属性情報における文書名は、その文書ファイルあるいは原稿として存在する文書の名前を示す。原本は、文書ファイルあるいは原稿のルート上における最もコピー元となる文書ファイルの識別番号を示す。親文書は、文書ファイルあるいは原稿の直接のコピー元の文書ファイルの識別番号を示す。状態は、文書が電子データであるのか、紙媒体の原稿であるのか、廃棄済みであるのかを示す。
【0025】
識別番号D1000の文書は、原本の欄が空欄であるのでA社向け提案書のオリジナル原稿であることを示しており、また、状態の欄から電子データであることを示している。識別番号D1001の文書は、原本および親文書が共に識別番号D1000の文書であり、かつ状態が紙であることからオリジナル原稿D1000が紙にプリントされたものであることが分かる。識別番号D1002、D1003の原稿は、親文書が共に識別番号D1001の文書であることから、識別番号D1001の文書が複写されたものであることがわかる。
【0026】
文書属性情報におけるバージョンおよび最新バージョンは、両者を比較することで文書が最新文書であるか否かが分かる。所有者(配布先)は、文書の配布先の者であり文書を所有する者を示す。有効期限は、文書について設定された廃棄予定日である。
【0027】
文書情報管理サーバ3の制御部33は、文書ファイルの識別番号、配布先、および該文書ファイルが印刷要求された旨を受信すると、属性情報テーブル34に該文書の操作履歴として、本実施形態では文書の印刷履歴として新たに識別番号、本実施形態ではD1007を付す(
図6)。また、制御部33は、該識別番号D1007に対して、受信した文書ファイルの識別番号がオリジナル原稿D1000であることから「原本」および「親文書」の欄に識別番号D1000を対応付けるとともに、オリジナル原稿D1000の所定の属性情報(バージョン、最新バージョン、有効期限)をコピーして対応付ける。また、制御部33は、新たな識別番号D1007に対して、「所有者」の欄に、受信した配布先「営業課員A」を対応付けるとともに、印刷要求された旨を受信したことから「状態」の欄に印刷後は紙原稿であることを示す「紙」を対応付ける(ST005)。
【0028】
文書情報管理サーバ3の制御部33は、属性情報テーブル34の更新後、属性情報テーブル34において、受信した文書ファイルの識別番号D1000に対応する文書属性(文書名、バージョン、新バージョン、所有者、有効期限、状態等)をプリンタ管理サーバ4に送信する(ST006)。
【0029】
図7は、ユーザ情報テーブル35を示す図である。
なお、文書情報管理サーバ3は、属性情報テーブル34の他、ユーザ情報テーブル35も保有している。ユーザ情報テーブル35では、各ユーザの識別番号に、ユーザの名前、所属、役職、および所有文書が対応付けられている。ユーザ情報テーブル35は、予め、文書管理システム100の管理者によって文書情報管理サーバ3に設定される。予め設定される部分は、各ユーザの識別番号、名前、所属、役職である。
【0030】
所有文書の欄は、ST005において制御部33がユーザ情報テーブル35を更新する際に、各ユーザの識別番号に対応付けられていく部分である。
図6において、識別番号U1002の営業課員Aさんは営業課の一般社員であり、識別番号D1000,D1004、D1006の3文書を所有していることが分かる。
【0031】
プリンタ管理サーバ4は、表示部41、操作入力部42、制御部43の他、メモリやHDD等の記憶部内に格納されているプリンタ情報テーブル44および印刷ポリシーテーブル45を備える。
【0032】
図8は、プリンタ情報テーブル44を示す図である。
プリンタ情報テーブル44では、プリンタ管理サーバ4とネットワーク91で繋がれているプリンタや複合機等の画像形成装置1の情報であるプリンタ情報を管理する。
図8において、各画像形成装置の識別番号には、名前、場所、特徴が対応付けられている。名前はプリンタ名を示す。場所はフロアやエリア名などを示す。特徴は、プリンタの特徴であり、例えばカラー/モノクロであったり、フィニッシャの有無、電子写真/インクジェット/Eco-MFP(消色可能なトナーやインクで印刷可能な複合機)を示す。プリンタ情報テーブル44は、文書管理システム100の管理者によってプリンタ管理サーバ4に設定される。
【0033】
図9は、印刷ポリシーテーブル45を示す図である。
印刷ポリシーテーブル45は、予め、文書管理システム100の管理者によってプリンタ管理サーバ4に設定される。印刷ポリシーテーブル45では、文書の属性情報と印刷機能の制限内容とが対応付けられ、各印刷機能の制限内容毎に通し番号が対応付けられている。
【0034】
有効期限が近付いている文書には、該文書は一時使用のために印刷されてすぐに廃棄されると予想されるので、例えば通し番号P001においては、印刷コスト・環境負荷を抑えるために、文書の属性情報である有効期限2012.3.31に基づく情報(有効期限2012.3.31まで1ヶ月以内)と、印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容とが対応付けられている。通し番号P002においては、印刷コスト・環境負荷を抑えるために、文書の属性情報(バージョン、最新バージョン)に基づく情報(旧バージョンであるか)と、印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容とが対応付けられている。
【0035】
制御部
43は、印刷ポリシーテーブル45を参照して、文書情報管理サーバ3から受信する文書の属性情報に基づく情報に対応する印刷機能の制限内容を取得する(ST007)。制御部
43は、例えば文書情報サーバ3から受信した文書の有効期限2012.3.31に基づいて、現在時刻から有効期限2012.3.31までの期間を算出する。制御部
43は、算出した有効期限2012.3.31までの期間に該当する制限内容が印刷ポリシーテーブル45にある場合、該期間、例えば有効期限1か月以内に対応付けられた印刷機能の制限内容である「印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容」を取得する。
【0036】
また、制御部
43は、例えば文書情報サーバ3から受信した文書のバージョン「1」と最新バージョン「3」とに基づいて、該文書が最新バージョンであるか否かを判定する。制御部
43は、文書のバージョンに該当する制限内容が印刷ポリシーテーブル45にある場合、該バージョン、例えば旧バージョンに対応付けられた印刷機能の制限内容である「印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容」を取得する。
【0037】
本実施形態の場合、文書の属性情報に基づく情報「有効期限2012.3.31まで1か月」および「文書が旧バージョン」には、印刷ポリシーテーブル45において共に同じ印刷機能の制限内容「印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容」が対応付けられているので、制御部
43は、印刷機能の制限内容として「印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容」を取得するものとする。
【0038】
制御部
43は、プリンタ管理サーバ4がクライアントPC2から取得した文書のPDLファイルに、印刷機能の制限内容「印刷機能をモノクロ/両面印刷/Nin1印刷に限定する内容」を付加する(ST008)。例えば、制御部
43は、文書のPDLファイルがPS(PostScript)である場合、ファイル先頭部に画像形成装置1に「モノクロ/両面印刷/Nin1印刷」させる指示をPJL(Printer Job Language)にて記述する。
【0039】
制御部
43は、印刷機能の制限内容を付加した文書のPDLファイルに対し、文書の識別番号D1007を示す識別コードを付加する(ST009)。本実施形態では、クライアントPC2が文書の印刷要求をしたため、文書のPDLファイルに識別コード画像を付加するものとするが、クライアントPC2が文書ファイルの送信要求(他のクライアントPC等)をする場合、PDF等の文書ファイルにメタデータとして識別コードを付加する。
【0040】
制御部
43は、画像形成装置1に編集済みのPDLファイルを送信する(ST010)。
画像形成装置1は、PDLファイルに記述された印刷機能の制限(例えばモノクロ/両面印刷/Nin1印刷)に則り文書を印刷する(ST011)。
【0041】
上記の例ではすべての処理が正常終了する前提で説明した。しかしながら、画像形成装置1において紙詰まり等による印刷失敗は稀ではない。そこで、ST005において新たな文書D1007の属性情報を発行した後に、いずれかの処理で異常が発生したり、あるいは、ユーザからの中止指示を受けたりした場合には、文書情報管理サーバ3は、属性情報テーブル34を更新し、属性情報テーブル34における新たな文書D1007の識別番号や文書D1007に対応付けられた属性情報を削除する。また、文書情報管理サーバ3は、ユーザ情報テーブル35を更新し、いずれかのユーザに対応付けられた所有文書D1007を削除する。
【0042】
図10および
図11は、印刷機能の制限指示に基づいて表示されるプリンタドライバ画面251,252を示す図である。
上記実施形態ではプリンタ管理サーバ4は、印刷機能の制限指示をPDLファイルに付加した。しかしながら、プリンタ管理サーバ4にて決定された印刷制限指示は必ずしもユーザの希望に沿うとは限らない。そこで、プリンタ管理サーバ4は、ユーザが修正できない印刷機能の制限指示を行うのではなく、ユーザが修正可能な換言すると機能制限を取りやめ可能な印刷機能の制限指示を行ってもよい。具体的に、プリンタ管理サーバ4は、例えば印刷機能の制限指示「モノクロ/両面印刷/Nin1印刷」をクライアントPC2に送信してもよい。そして、クライアントPC2は、該印刷機能の制限指示に基づいた印刷設定画面であるプリンタドライバ画面251,252を表示してもよい。
【0043】
クライアントPC2により、
図10のプリンタドライバ画面251中のカラー選択部253は「白黒」が選択された状態となる。しかしながら、ユーザがカラー印刷を所望する場合、ユーザは、「白黒」以外を選択できる。クライアントPC2により、
図11のプリンタドライバ画面252中の両面印刷選択部254、Nin1選択部255は、共にチェックボックスがチェックされ、両面印刷およびNin1印刷が選択された状態となる。しかしながら、ユーザが片面印刷や1in1印刷を望む場合、ユーザはチェックボックスのチェックを外すことで、片面印刷および1in1印刷を選択できる。
【0044】
本実施形態では、これらの構成をとることにより、単にユーザ権限だけではなく、印刷対象の文書の多様な属性情報に基づいて印刷機能を制御できるので、多様な目的、用途で印刷機能の制限を行うことができ、印刷コストおよび環境負荷を抑制できる。
【0045】
(第1変形例)
前記実施形態では、文書管理システム100内には、予め、文書の識別情報と文書の属性情報(第1属性情報)とが対応付けられているとともに、文書の属性情報と、印刷機能の制限内容とが対応付けられている。これにより、前記実施形態では、文書管理システム100は、入力される文書の識別情報に対応する印刷機能の制限を指示していた。
【0046】
本変形例の文書管理システム100では、文書管理システム100にユーザにより入力される文書の属性情報(第2属性情報、例えば配布先)に対応する印刷機能の制限を指示する。なお、予め文書の識別情報と対応付けられている文書の属性情報を第1属性情報とし、文書管理システム100に入力される文書の属性情報を第2属性情報とする。
【0047】
以下、本変形例の文書管理処理を、前記実施形態の文書管理処理と異なる点のみ主に説明し、同様の点は省略または簡略に説明する。
図12は、更新後の文書情報管理サーバ3の属性情報テーブル34Aを示す図である。
本変形例では、クライアントPC2は、営業課員Aさんの操作入力により、文書ファイルの印刷要求と共に、配布先(第2属性情報)を営業部長、営業課員Bとして受け付け、該文書のPDLファイル、該文書の識別番号D1000、文書の配布先「営業部長」「営業課員B」をプリンタ管理サーバ4に送信する。
【0048】
プリンタ管理サーバ4は、文書の識別番号D1000、および文書の配布先「営業部長」「営業課員B」を文書情報管理サーバ3に送信する。
文書情報管理サーバ3は、属性情報テーブル34Aを更新し、各配布先毎の新たな識別番号D1001,D1002を付すとともに、該識別番号D1001,D1002に、オリジナル文書D1000の属性情報(文書名、原本、親文書等)、配布先「営業部長」または「営業課員B」、状態「紙」を対応付ける。
文書情報管理サーバ3は、プリンタ管理サーバ4に、新たな識別番号D1001,D1002と各属性情報とを送信する。
【0049】
図13は、印刷ポリシーテーブル45Aを示す図である。
プリンタ管理サーバ4の印刷ポリシーテーブル45Aでは、配布先と印刷機能の制限内容とが対応付けられている。例えば、通し番号P001において、配布先A社にはカラー印刷が対応付けられ、通し番号P002において、配布先当社内の部長以上にはカラー印刷が対応付けられ、通し番号P003において、配布先当社内の課長級にはモノクロ印刷が対応付けられ、通し番号P004において、配布先当社内の一般職にはモノクロ/両面印刷/Nin1印刷が対応付けられている。
【0050】
プリンタ管理サーバ4は、配布先を営業部長とする文書D1001のPDLファイルに、カラー印刷を指示する記述を付加するとともに、識別番号D1001を示す識別コード画像を埋め込んで画像形成装置1に送信する。また、プリンタ管理サーバ4は、配布先を営業課員Bとする文書D1002のPDLファイルに、モノクロ/両面/2in1印刷を指示する記述を付加するとともに、識別番号D1002を示す識別コード画像を埋め込んで画像形成装置1に送信する。
【0051】
図14は、クライアントPC2の印刷設定画面236を示す図である。
上記の説明では、プリンタ管理サーバ4がPDLファイルに印刷制限の指示を書き込む例を説明したが、第1実施形態においても説明したように、プリンタ管理サーバ4は、印刷制限の指示をクライアントPC2に送信してもよい。そして、クライアントPC2は、該印刷制限の指示に基づいた印刷設定画面236であり、誰宛の文書がどのような設定で印刷されたかを示す印刷設定画面236を表示しても良い。印刷設定画面236では、印刷の中止要求を受け付ける選択取り消しボタン237、全取り消しボタン238を設けても良い。クライアントPC2は、これらのボタン237,238の操作入力を受け付けると、中止要求をプリンタ管理サーバ4を介して文書情報管理サーバ3に送信し、文書情報管理サーバ3に、中止された配布先に係る情報、すなわち配布先に配布する文書の属性情報、および識別番号を削除させてもよい。なお、クライアントPC2は、選択取り消しボタン237が操作入力された場合、選択された配布先に係る情報のみの削除を要求し、選全取り消しボタン238が操作入力された場合、印刷要求された全ての配布先に係る情報の削除を要求する。
【0052】
上記の例では、印刷機能の制限内容を決めるために文書情報管理サーバ3から、属性情報テーブル34Bにて紐付けられた文書の属性情報をプリンタ管理サーバ4に送信している。しかしながら、以下では、プリンタ管理サーバ4が文書情報管理サーバ3から文書の属性情報とともにユーザ情報テーブル35Bのユーザ情報を受信することで、プリンタ管理サーバ4によるさらにきめ細かい制御を可能とした例を説明する。
【0053】
図15は、更新後の属性情報テーブル34Bを示す図、
図16は、ユーザ情報テーブル35Bを示す図を示す図である。
営業課員Bが文書D1003をA社社員1に配布するために印刷するものとする。この際、クライアントPC2からプリンタ管理サーバ4を介して文書情報管理サーバ3には、文書の識別番号「D1003」、および配布先「A社社員1」等が送信される。これにより、文書情報管理サーバ3は、属性情報テーブル34Bに新たな文書の識別番号「D1004」を付加するとともに、文書の識別番号「D1004」に対して、各種の属性情報(バージョンや有効期限等、第1属性情報)や配布先「A社社員1」(第2属性情報)等を対応付ける。また、文書情報管理サーバ3は、ユーザ情報テーブル35Bの情報をプリンタ管理サーバ4に送信する。
【0054】
図17は、印刷ポリシーテーブル45Bを示す図である。
本変形例では、印刷ポリシーテーブル45Bにおいて、通し番号P001には、印刷機能の制限内容として、配布先が所有する文書の原本と今回配布する文書の原本とが同一であればモノクロ/両面印刷/Nin1印刷が対応付けられている。通し番号P002には、印刷機能の制限内容として、配布先がA社の場合モノクロ/両面印刷/Nin1印刷が対応付けられている。通し番号P003〜P005にも、
図17に示すように、それぞれ印刷機能の制限内容が対応付けられている。
【0055】
プリンタ管理サーバ4は、文書の識別番号「D1003」、および配布先「A社社員1」、属性情報テーブル34Bの情報、ユーザ情報テーブル35Bの情報、印刷ポリシーテーブル45Bの情報に基づいて、印刷機能の制限指示を行う。具体的には、プリンタ管理サーバ4は、ユーザ情報テーブル35Bから配布先「A社社員1」が識別番号D1002の文書を所有することが分かる(プリンタ管理サーバ4は、配布先「A社社員1」に対応付けられた識別番号D1002を取得する)。
【0056】
プリンタ管理サーバ4は、属性情報テーブル34Bから、配布先「A社社員1」が所有する識別番号D1002の文書の原本D1000と、印刷要求のあった識別番号D1003の文書の原本D1000とが等しいと判定する。
プリンタ管理サーバ4は、該条件が印刷ポリシーテーブル45Bの通し番号P001に対応付けられた印刷機能の制限指示の条件に合致しているので、モノクロ/両面印刷/Nin1印刷指示を行う。この際、プリンタ管理サーバ4は、クライアントPC2から送信されてきたPDLファイルに該印刷指示を記述して画像形成装置1に送信してもよいし、クライアントPC2に印刷機能の制限指示を送信し、クライアントPC2がプリンタドライバ画面251,252や印刷設定画面236において印刷機能の制限指示を反映させてもよい。
【0057】
(第2変形例)
図18は、印刷ポリシーテーブル45Cを示す図である。
本変形例では、印刷機能の制限は、複数ある画像形成装置1のいずれの画像形成装置1から印刷を行うかを指示する内容となっている。
【0058】
印刷ポリシーテーブル45Cにおいて、通し番号P001には、配布先がA社の場合、通常MFP(
図8のプリンタ情報テーブル44の識別番号A1000)の使用を指示する内容となっており、通し番号P002には、配布先が当社内の部長以上の場合、通常MFP(
図8の識別番号A1000)の使用を指示する内容となっている。通し番号P003には、配布先が当社内の課長級の場合、インクジェットMFP(
図8の識別番号A1002)の使用を指示する内容となっており、通し番号P004には、配布先が当社内の一般職の場合、Eco−MFP(
図8の識別番号A1003)の使用を指示する内容となっている。
【0059】
本変形例では、このような構成により、社外のお客様や上位者には画質を重視して通常の画像形成装置1を使用させる。課長級にはコストを重視してインクジェットの画像形成装置1を使用させる。一般者には、さらにコスト・環境負荷を考慮し、消去可能なトナーで印刷できる画像形成装置1を使用させることができる。
なお、印刷機能の制限内容として、印刷を行う画像形成装置を1つに指定するのではなく、いずれかの画像形成装置1による印刷を禁止するものであってもよい。クライアントPC2は、プリンタ管理サーバ4からいずれかの画像形成装置1による印刷を禁止する制限指示を受け取ると、該指示内容をプリンタドライバ画面251,252に反映させてもよい(例えば、印刷する画像形成装置1として禁止された画像形成装置1を選択不可にする)。
【0060】
なお、配布先などの文書属性により出力先の画像形成装置1が異なると、ユーザが目的の文書を出力した画像形成装置1を特定するのに困惑することが考えられる。そこで、プリンタ管理サーバ4は、印刷機能の制限としてプリンタ管理サーバ4自身がいずれかの画像形成装置1にPDLファイルを送信する場合、印刷要求を送信してきたクライアントPC2に対して、文書出力先の画像形成装置1の情報、配布先、文書の識別番号を送信する。そして、クライアントPC2は、それらの情報に基づいて、
図19に示すように、誰宛(いずれの配布先)の文書がフロア上のどの画像形成装置1で印刷されたのかを表示する文書出力先表示画面256を表示してもよい。
【0061】
(第3変形例)
第2変形例において、各文書毎に出力先の画像形成装置1を指示する例を説明した。しかしながら、複数の画像形成装置1に同時に印刷指示を出し、全てが同時に出力されると原稿回収に時間差が生じセキュリティを考慮すると好ましくない。また、出力可能な画像形成装置1が複数あった場合には事前に決められた装置1ではなく、その時に空いている装置1など印刷時にある程度ユーザが選択したいということが考えられる。
そこで、本変形例では、ユーザが画像形成装置1の操作入力部12から印刷指示をしたタイミングで当該画像形成装置1にて印刷させる。
【0062】
具体的に、プリンタ管理サーバ4は、今まで説明してきたようにして印刷機能の制限指示(例えばモノクロ/両面印刷/Nin1印刷指示)をPDLファイルに記述した後、すぐに画像形成装置1にはPDLファイルを送信せず、PDLファイルをプリンタ管理サーバ4上に記憶しておく。
【0063】
次に、画像形成装置1は、ユーザ認証を行いユーザのログインを許可する。
プリンタ管理サーバ4は、ユーザの識別番号(識別情報)が文書の所有者あるいは配布先を示しており、かつ、ユーザのログインを許可した画像形成装置1が印刷許可されている属性情報の文書の識別番号、および属性情報(文書名、バージョン等)を画像形成装置1に送信する。
【0064】
図20は、印刷待ち受け画面111を示す図である。
画像形成装置1は、
図20に示すように、送信された文書を単純に一覧表示する印刷待ち受け画面111を表示する。印刷待ち受け画面111では、各文書の識別番号および属性情報に印刷ボタン112が対応付けられている。ユーザが、各文書に対応付けられた右端の印刷ボタン112を操作入力すると、画像形成装置1はユーザからの印刷指示を受け付け、指示を受け付けた文書の識別番号をプリンタ管理サーバ4に送信する。プリンタ管理サーバ4は受け取った識別番号に対応する文書のPDLファイルを画像形成装置1に返信する。画像形成装置1は受け取ったPDLファイルをもとに印刷する。
【0065】
図21は、印刷待ち受け画面111Aを示す図である。
また、印刷機能の制限指示により当該画像形成装置1では印刷不可能な文書であっても、その文書がどの装置1からなら印刷できるかを示すことは有用と考えられる。そこで、プリンタ管理サーバ4は、ログイン認証を行った画像形成装置1に対し、印刷要求があり未だどの画像形成装置にも印刷されずにプリンタ管理サーバ4上に保持されている文書の識別番号、属性情報、各文書毎の印刷機能の制限指示(いずれの画像形成装置1による印刷が可能か)を送信する。
【0066】
画像形成装置1は、
図21に示すように、印刷要求があり未だどの画像形成装置にも印刷されずにプリンタ管理サーバ4上に保持されている文書であって、印刷可能な文書においては、該文書の識別番号および属性情報に印刷ボタン112を対応付けて表示する。画像形成装置1は、印刷機能の制限指示において当該画像形成装置1では印刷不可となる文書においては、表示ボタン113を対応付ける。画像形成装置1は、表示ボタン113の操作入力を受け付けると、該文書をいずれの画像形成装置1で印刷できるのかを示す
図19の画面256を表示する。
【0067】
第2変形例では、
図19の画面256では、印刷要求した文書をいずれの画像形成装置1により印刷したのかを示していたが、本変形例では、いずれの画像形成装置1で、表示ボタン113に対応付けられている文書が印刷可能かを示すものとする。なお、本変形例では、画像形成装置1は、印刷した文書については、当該文書が印刷済みである旨をプリンタ管理サーバ4に送信するものとする。
【0068】
(第2実施形態)
第1実施形態および第1〜第3変形例では、クライアントPC2が、該クライアントPC2上で閲覧された文書の印刷要求を受け付ける例を説明した。しかしながら、ユーザが文書内容を既に把握している場合には文書の閲覧は不要であり、場合によっては、画像形成装置1の表示部11上に印刷できる文書の一覧を表示してそこで直接印刷要求を受け付ける構成の方が効率的と考えられる。そこで、本実施形態における文書管理処理のフローを
図22、24を参照して簡単に説明する。なお、
図22は文書管理システム100全体の文書管理処理を示すフローチャートであり、
図24は、管理システム100の各要素2〜4毎の処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、画像形成装置1はユーザの識別番号(識別情報)と文書一覧取得要求をプリンタ管理サーバ4に送信する(ST101)。
プリンタ管理サーバ4は、ユーザの識別番号を文書情報管理サーバ3に送信する(ST102)。
文書情報管理サーバ3は、当該ユーザの識別番号が示すユーザが所有者である全ての文書の属性情報をプリンタ管理サーバ4に送信する(ST103)。
【0070】
プリンタ管理サーバ4は、文書の属性情報から印刷ポリシーテーブル45に基づいて印刷機能の制限指示(いずれの画像形成装置1により文書を印刷可能か)を決定する(ST104)。
プリンタ管理サーバ4は、当該画像形成装置1にて印刷が許可されている文書の一覧を画像形成装置1に返信する(ST105)。
【0071】
画像形成装置1は、受信した文書一覧を表示する(ST106)。
画像形成装置1は、ユーザにより選択された印刷文書の印刷指示を受け付け、当該文書の識別番号をプリンタ管理サーバ4に送信する(ST107)。
プリンタ管理サーバ4は、その文書の識別番号を文書情報管理サーバ3に送信する(ST108)。
ここで、本実施形態では、文書情報管理サーバ3は、予め各文書の電子データを、該文書の識別番号と対応付けて保持しているものとする。
文書情報管理サーバ3は、受信した識別番号の文書をプリンタドライバを用いてPDLファイルに変換する(ST109)。
【0072】
文書情報管理サーバ3は、PDLファイルをプリンタ管理サーバ4に送信する(ST110)。
プリンタ管理サーバ4は、PDLファイルをアクセス元の画像形成装置1に送信する(ST111)。
画像形成装置1は、PDLファイルに基づき印刷する(ST112)。
【0073】
このような構成をとることにより、一覧表示された文書の中から指定された文書を、単にユーザ権限からだけではなく、その文書の属性情報に基づいて印刷機能を制御し、印刷コストおよび環境負荷を抑制できる。
【0074】
前記各実施形態および前記各変形例では、装置内部に発明を実施する機能が予め記録されている場合で説明したが、これに限らず同様の内容をネットワークから装置にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記録させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD―ROM等プログラムを記録でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態はいずれの形態であってもよい。またこのような予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0075】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。