(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663058
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/66 20060101AFI20150115BHJP
F04D 23/00 20060101ALI20150115BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20150115BHJP
F04F 5/20 20060101ALI20150115BHJP
F04F 5/46 20060101ALI20150115BHJP
F04F 5/54 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
F04D29/66 N
F04D23/00 B
F04D25/08 302Z
F04F5/20 E
F04F5/46 C
F04F5/54
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-103749(P2013-103749)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-238240(P2013-238240A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】1208617.9
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1208619.5
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ フランソワ アトキンソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ニール スティンプソン
【審査官】
加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−36897(JP,A)
【文献】
特開2012−57619(JP,A)
【文献】
実開昭53−51608(JP,U)
【文献】
特開2009−264121(JP,A)
【文献】
特開平10−122188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/66
F04D 23/00
F04D 25/08
F04F 5/20
F04F 5/46
F04F 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流れを発生させるための送風機であって、
空気入口を含む本体と、
前記本体に接続されたノズルとを含み、
前記ノズルは、内部通路と、空気流が送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、前記内部通路は、前記ノズルの外側からの空気が、前記少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、
前記本体は、ダクトの空気入口を形成する第1の端部と前記第1の端部の反対側に位置付けられてダクトの空気出口を形成する第2の端部とを有するダクトと、前記ダクトを通して前記空気流を引き込むために前記ダクト内に位置付けられたインペラと、前記インペラを駆動するためのモータとを含み、前記ダクトの前記第2の端部は、前記本体から前記ノズルの前記内部通路内へ突出していて、
前記本体は、前記ダクト内で前記インペラの下流に位置付けられたディフューザを含み、前記ディフューザは、入口及び出口を有し、
前記ディフューザの前記出口は、前記ノズルの前記内部通路内へ突出していて、
前記ディフューザは、空気流経路のディフューザ部分内に位置付けられ、
前記ディフューザ部分は、前記ダクトの前記第2の端部に向けて収束していて、
前記ダクトは、内壁と、前記内壁の周りに延びる外壁とを含み、
前記空気流経路の前記ディフューザ部分を形成する前記ダクトの前記内壁の部分が、穿孔され、かつ、内部が吸音材料で裏打ちされていて、
前記内壁の前記穿孔された部分は、形状が切頭円錐形であり、かつ前記ダクトの前記出口へ向けてテーパがついている、
ことを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記ダクトの前記内壁は、前記モータを収容するためのモータハウジングの少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記ダクトの前記第2の端部の少なくとも一部分が、外向きに広がっていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
空気流れを発生させるための送風機であって、
空気入口を含む本体と、
前記本体に接続されたノズルとを含み、
前記ノズルは、内部通路と、空気流が送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、前記内部通路は、前記ノズルの外側からの空気が、前記少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、前記内部通路は、第1の部分及び第2の部分を有し、その各々が、前記本体から前記内部通路へ入る空気流のそれぞれの部分を受け入れ、かつ前記空気流の前記部分を前記開口部の周りで角度的反対方向に運ぶためのものであり、
前記本体は、ダクトの空気入口を形成する第1の端部と前記第1の端部の反対側に位置付けられてダクトの空気出口を形成する第2の端部とを有するダクトと、前記ダクトを通して前記空気流を引き込むために前記ダクト内に位置付けられたインペラと、前記インペラを駆動するためのモータとを含み、前記ダクトの前記第2の端部の少なくとも一部分が、外向きに広がって前記空気流の各部分を前記ノズルのそれぞれの部分の中に案内する、
ことを特徴とする送風機。
【請求項5】
前記ダクトの前記第2の端部は、第1のフレア部分及び第2のフレア部分を有し、前記第1のフレア部分及び前記第2のフレア部分の各々が、前記空気流の一部分を前記内部通路のそれぞれの部分の中に案内するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の送風機。
【請求項6】
前記ダクトの前記第2の端部は、前記本体から前記ノズルの前記内部通路内へ突出することを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の送風機。
【請求項7】
前記ノズルは、前記内部通路と前記少なくとも1つの空気出口とを形成する環状ケーシングを含み、前記各フレア部分の端部が、前記ケーシングの隣接部分の曲率とほぼ同じ曲率を有することを特徴とする、請求項6に記載の送風機。
【請求項8】
前記ダクトは、前記本体内に位置付けられた環状シート上に装着され、前記本体は、前記ダクトと前記シートとに密封係合する環状シールを含むことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項9】
前記シールは、発泡環状シールであることを特徴とする、請求項8に記載の送風機。
【請求項10】
前記本体は、前記本体の前記空気入口から前記ダクトの前記空気入口まで空気を案内するために前記ダクトの周りに延びる環状案内手段を含むことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項11】
前記案内手段は、前記本体の前記空気入口と前記ダクトの前記空気入口との間を延びる前記空気流経路の曲がりくねった部分を部分的に形成することを特徴とする、請求項10に記載の送風機。
【請求項12】
前記本体は、前記ダクトの前記空気入口の下に位置付けられたノイズ抑制空洞を更に含み、前記ノイズ抑制空洞は、前記曲がりくねった空気流経路の下に位置付けられることを特徴とする、請求項11に記載の送風機。
【請求項13】
前記案内手段は、前記インペラの前記回転軸線に対して傾斜していることを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項14】
前記案内手段は、実質的に円錐形の案内部材を含むことを特徴とする、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項15】
前記案内手段は、前記本体と前記ダクトの間を延びる環状リブから垂下することを特徴とする、請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項16】
前記本体は、前記ダクトの周りに延びる環状ノイズ抑制空洞を含むことを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項17】
前記ダクトの外面が、前記環状ノイズ抑制空洞の境界を部分的に定めることを特徴とする、請求項16に記載の送風機。
【請求項18】
前記本体の前記空気入口は、前記ダクトの周りに延びる開口のアレイを含むことを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項19】
前記本体の前記空気入口は、前記本体のケーシングに形成され、前記ケーシングは、前記ダクトを取り囲むことを特徴とする、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項20】
前記インペラは、混成流インペラであることを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の送風機。
【請求項21】
前記インペラは、前記モータに接続された実質的に円錐形のハブと、前記ハブに接続された複数のブレードとを含み、前記各ブレードが、インペラハウジングの空気入口に隣接して位置付けられた前縁と、後縁と、前記ハブの外面に接続され、かつその周りに部分的に延びる内側側縁と、前記内側側縁の反対側に位置付けられた外側側縁と、前記前縁と前記外側側縁の交差部に位置付けられたブレード先端とを含み、
前記前縁は、前記ハブに隣接して位置付けられた内側部分と、前記ブレード先端に隣接して位置付けられた外側部分とを含み、
前記内側部分は、前記ハブから前記外側部分まで後方に弧状を呈し、前記外側部分は、前記内側部分から前記ブレード先端まで前方に弧状を呈する、
ことを特徴とする、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機に関する。特に、限定するわけではないが、本発明は、机上型、塔型、又は台座型送風機のような床又は卓上送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用送風機は、典型的には、軸線の周りで回転するように装着された1組のブレード又はベーンと、ブレードの組を回転させて空気流を発生させる駆動装置とを含む。空気流の移動及び循環は、「風冷」又はそよ風を生成し、その結果、ユーザは、熱が対流及び蒸発によって消散する時に冷却効果を体験する。ブレードは、一般的にケージ内に位置付けられ、それは、送風機の使用中にユーザが回転しているブレードと接触するのを防止しながら、空気流がハウジングを通過することを可能にする。
【0003】
WO 2009/030879は、送風機アセンブリから空気を放出するのにケージ入りのブレードを使用しない送風機アセンブリを説明している。代わりに、送風機アセンブリは、1次空気流を基部内に引き込むためのモータ駆動式のインペラを収容する円筒形基部と、基部に接続されかつ1次空気流がそこを通って送風機から放出される環状空気出口を含む環状ノズルとを含む。ノズルは、中心開口部を形成し、それを通って送風機アセンブリの局所環境内の空気が、口部から放出された1次空気流によって引き込まれ、1次空気流を増幅する。
【0004】
WO 2010/100452もそのような送風機アセンブリを説明している。基部内において、インペラは、インペラハウジング内に位置付けられ、インペラを駆動するためのモータは、インペラハウジング上に装着されたモータバケット内に位置付けられる。インペラハウジングは、複数の角度的に離間した支持体によって基部内に支持される。各支持体は、次に、基部の内面から半径方向内向きに延びるそれぞれの支持面上に装着される。インペラハウジングと基部の間に気密シールを提供するために、リップシールが、基部の内部側面と係合するためにインペラハウジングの外部側面上に位置付けられる。
【0005】
基部からのノイズ放出を低減するための消音発泡体が設けられる。第1の円板形の発泡部材が、インペラハウジングの下に位置付けられ、第2のリング形の発泡部材が、モータバケット内に位置付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2010/100452
【特許文献2】WO 2010/100452
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本発明は、空気入口を含む本体と本体に接続されたノズルとを含む空気流れを発生させるための送風機を提供し、ノズルは、本体から空気流を受け入れる内部通路と、空気流が送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、内部通路は、ノズルの外側の空気が少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、本体は、空気入口及び空気出口を有するダクトと、ダクトを通して空気流を引き込むためにダクト内に位置付けられたインペラと、インペラを駆動するためのモータとを含み、本体は、本体の空気入口からダクトの空気出口まで延びる空気流経路を形成し、本体は、ダクトの空気入口の下に位置付けられたノイズ抑制空洞を更に含み、空洞は、ダクトの空気入口の下に好ましくは、これと同心に位置付けられる入口を有する。
【0008】
ダクトの空気入口の下に位置付けられたノイズ抑制空洞の具備により、この形式の送風機からのノイズ放出を更に低減することができる。ノイズ抑制空洞の大きさは、ノイズ抑制空洞が、送風機の使用中に発生するノイズの特定の波長をターゲットにした共振器として作用し、並びに全体的にノイズレベルを低下することができるように、好ましくは、インペラの回転トーンの波長に同調される。
【0009】
本体は、好ましくは、少なくとも1つの壁、より好ましくは、複数の壁を含み、壁は、ノイズ抑制空洞の境界を少なくとも部分的に定め、空洞の入口が、本体の少なくとも1つの壁に位置付けられる。ノイズ抑制空洞は、好ましくは、上側壁及び下側壁によって境界を定められ、ノイズ抑制空洞の入口が上側壁に位置付けられる。本体は、好ましくは、下側部分と、下側部分に対して移動するように装着された上側部分とを含む。これは、本体の上側部分及びノズルが、下側部分に対して傾き、送風機によって発生される空気流れの方向を調節することを可能にする。本体の空気入口及びダクトは、好ましくは、本体の上側部分に位置付けられる。本体の上側部分は、好ましくは、底壁を有し、それは、ノイズ抑制空洞の下側壁を提供することによってノイズ抑制空洞の境界を部分的に定める。本体の上側部分の底壁を部分的に利用してノイズ抑制空洞の境界を定めることにより、本体の全体の大きさを最小にすることができる。本体の上側部分の底壁は、好ましくは、形状が凹面である。上側壁は、好ましくは、実質的に平坦形状である。空気入口とノイズ抑制空洞の上側壁とは、好ましくは、本体の上側部分の底壁の上に位置付けられた環状板によって形成される。
【0010】
送風機から放出される広帯域ノイズのレベルを低下させるために、本体は、好ましくは、ダクトとノイズ抑制空洞の間に位置付けられた環状吸音部材を含む。環状吸音部材は、好ましくは、ノイズ抑制空洞の入口と同心であり、好ましくは、そこに空気入口が形成された本体の管状又は円筒状のケーシングと接触する外周縁を有する。吸音材料のシート又はディスクを環状吸音部材の上に配置することができ、ノイズ抑制空洞へのほこりの進入を抑制する。吸音材料のこのシートの厚みは、好ましくは、吸音材料がその上に位置付けられる吸音部材のそれよりも小さい。例えば、環状吸音部材は、約5mmの厚みを有することができ、これに対して吸音材料のシートは、約1mmの厚みを有することができる。
【0011】
本体は、好ましくは、ダクトの周りに延びて本体の空気入口からの空気をダクトの空気入口へ案内する環状案内手段を含むことができる。案内手段は、好ましくは、ダクトと空気入口が形成された本体の外側ケーシングとの間に位置付けられ、本体の空気入口とダクトの空気入口の間に曲がりくねった空気流経路を部分的に形成する。案内手段は、従って、ダクトの空気出口から本体の空気入口へ向けて通るどのようなノイズの直接の経路も阻止するように役立つ。
【0012】
案内手段は、好ましくは、ダクトの周りに延びる環状ノイズ抑制空洞をダクトと共に形成し、従って、第2の態様において、本発明は、空気流れを発生させるための送風機を提供し、この送風機は、空気入口を含む本体と、本体に接続されたノズルとを含み、ノズルは、本体から空気流を受け入れる内部通路と、空気流がそこを通って送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、内部通路は、ノズルの外側の空気が、少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、本体は、空気入口及び空気出口を有するダクトと、ダクトを通して空気流を引き込むためにダクト内に位置付けられたインペラと、インペラを回転軸線の周りに回転させるモータとを含み、本体は、本体の空気入口からダクトの空気出口まで延びる空気流経路を形成し、本体は、ダクトの周りに延びて空気を本体の空気入口からダクトの空気入口へ案内する環状案内手段を更に含み、案内手段は、ダクトと共に環状ノイズ抑制空洞を形成する。
【0013】
好ましくは、本体を通過する空気流に露出される案内手段の面は、吸音材料で少なくとも部分的に裏打ちされ、送風機から放出される広帯域ノイズのレベルを低下させる。環状ノイズ抑制空洞は、好ましくは、案内手段によって少なくとも部分的に形成される入口を有する。この入口は、好ましくは、環形状である。環状ノイズ抑制空洞の入口は、好ましくは、環状ノイズ抑制空洞の最下端、及び従って空気流経路の曲がりくねった部分が本体の空気入口から離れる方向からダクトの空気入口に向けて延びる方向へ90°よりも大きい角度で曲がる場所に位置付けられる。環状ノイズ抑制空洞の大きさも、ノイズ抑制空洞が送風機の使用中に発生するノイズの特定の波長をターゲットにした共振器として作用し、並びにノイズレベルを低下することができるように、好ましくは、インペラの回転トーンの波長に同調される。
【0014】
案内手段に本体の下面に向けてテーパがつくように、案内手段は、好ましくは、インペラの回転軸線に対して傾斜する。案内手段は、好ましくは、実質的に円錐形の案内部材の形態であり又はこれを含む。案内部材は、好ましくは、本体とダクトの間を延びる環状リブから垂下する。
【0015】
本体の空気入口は、好ましくは、本体の外側ケーシングに形成された開口のアレイを含む。開口のアレイは、案内手段及び/又はダクトの周りに延びる。好ましくは、本体のケーシングの内面は、吸音材料によって少なくとも部分的に裏打ちされる。例えば、吸音材料の環状シートを空気入口の下流に配置することができ、本体の空気入口を通して放出される広帯域ノイズのレベルを低下させる。
【0016】
ダクトの空気入口は、好ましくは、外向きに広がり、空気流をダクト内へ案内し、それによってインペラの上流においてダクト内の渦を最小にする。ダクトは、好ましくは、内壁と、内壁の周りに延びる外壁とを含む。ダクトの内壁は、好ましくは、モータハウジングの少なくとも一部を形成してモータを収容する。好ましくは、ダクトの内壁の一部分は、穿孔されかつ内部が吸音材料で裏打ちされる。内壁の穿孔された部分は、好ましくは、切頭円錐形であり、かつダクトの出口へ向けてテーパがつく。内壁のこの穿孔された部分に隣接するダクトの部分は、好ましくは、ディフューザを収容する。
【0017】
ディフューザは、インペラの回転軸線の周りに配列された複数の湾曲した静止ブレードの形態とされる。各ブレードは、好ましくは、インペラに隣接して位置付けられた前縁と、ダクトの空気出口に隣接して位置付けられた後縁と、内壁の外面に接続されかつその周りに部分的に延びる内側側縁と、内側側縁の反対側に位置付けられかつ外壁に接続された外側側縁とを有する。ディフューザのブレードの内側側縁は、好ましくは、内壁と一体であり、これに対して、ディフューザのブレードの外側側縁は、好ましくは、例えば、接着剤を使用して外壁に接続される。
【0018】
ディフューザを通る滑らかな空気流を発生させ、かつ従ってディフューザを通る空気流の通過によって発生するノイズを最小にするために、インペラの回転軸線と直交して延びる平面とダクトとの交差部から形成されるディフューザを通る空気流経路の断面積の変動は、ディフューザの入口における空気流経路の断面積の好ましくは50%よりも大きくなく、より好ましくは、20%よりも大きくなく、より好ましくは、10%よりも大きくない。従って、第3の態様において、本発明は、空気流れを発生させるための送風機を提供し、この送風機は、空気入口を含む本体と、本体に接続されたノズルとを含み、ノズルは、本体から空気流を受け入れる内部通路と、空気流がそこを通って送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、内部通路は、ノズルの外側の空気が、少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、本体は、空気入口及び空気出口を有するダクトと、ダクトを通して空気流を引き込むためにダクト内に位置付けられたインペラと、インペラを回転軸線の周りに回転させるモータと、インペラの下流においてダクト内に位置付けられたディフューザとを含み、本体は、本体の空気入口からダクトの空気出口まで延びる空気流経路を形成し、空気流経路のディフューザ部分は、ディフューザの入口からディフューザの出口まで延び、空気流経路のディフューザ部分は、環形状でありかつディフューザの出口端へ向けて収束し、空気流経路のディフューザ部分は、インペラの回転軸線と直交して延びる平面とダクトとの交差部から形成される断面積を有し、ディフューザ部分に沿った空気流経路の断面積の変動は、好ましくは、ディフューザの入口における空気流経路の断面積の20%よりも大きくない。
【0019】
ダクトは、好ましくは、本体内に位置付けられた環状シート上に装着される。本体は、好ましくは、ダクトとシートとに密封係合する環状シールを含む。ダクトとシートの間における環状シートの圧縮は、気密シールを形成し、これは、ケーシングとダクトの間を延びる通路に沿ってダクトの入口へ向けて戻る空気の漏れを防止し、従って、インペラによって発生した加圧空気流を強制的にノズルの内部通路へ通す。環状シールは、好ましくは、10%圧縮時に0.01MPaよりも大きくない応力を示す材料から形成される。環状シールは、好ましくは、発泡環状シールである。発泡材料から形成した環状シールは、エラストマー又はゴム材料とは異なり、環状シールを通じた振動のケーシングへの伝達を低減することができる。好ましい実施形態において、環状シールは、クローズドセル発泡材料から形成することができる。発泡材料は、好ましくは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー)ゴムのような合成ゴムから形成することができる。
【0020】
環状シールに作用する圧縮力は、好ましくは、振動がそこから隔離されるべき面、すなわち、送風機の外側ケーシングの最大剛性の方向に整列する。好ましい実施形態において、この方向は、インペラの回転軸線と平行である。環状シールからケーシングへ振動が半径方向外向きに伝達しないように、環状シールは、好ましくは、ケーシングの内面から離間する。
【0021】
ダクトとシートの間における環状シールのどのような過剰な圧縮も、環状シールを通じたモータハウジングからケーシングへの振動の伝達の望ましくない増加をもたらすので、少なくとも1つの弾性支持体をダクトとシートの間に設けることができ、環状シールに加わる圧縮を低減し、従って、環状シールの変形の広がりを低減する。
【0022】
インペラは、好ましくは、混成流インペラである。インペラは、好ましくは、モータに接続された実質的に円錐形のハブと、ハブに接続された複数のブレードとを含み、各ブレードは、インペラハウジングの空気入口に隣接して位置付けられた前縁と、後縁と、ハブの外面に接続されかつ部分的にその周りに延びる内側側縁と、内側側縁の反対側に位置付けられた外側側縁と、前縁と外側側縁との交差部に位置付けられたブレード先端とを含む。前縁は、好ましくは、ハブに隣接して位置付けられた内側部分と、ブレード先端に隣接して位置付けられた外側部分とを含み、内側部分は、ハブから外側部分まで後方へ弧状に形成され、外側部分は、内側部分
からブレード先端まで前方へ弧状に形成される。各ブレードの前縁におけるブレード先端へ向けたこの局所的な前方への弧状部は、ブレードのハブから先端の負荷のピークを低下させることができ、このピークは、ほぼブレードの前縁又はその近くに位置付けられる。ブレードの前縁におけるブレードからブレードの負荷は、内側側縁の長さが外側側縁のそれに近づくようにブレードの内側側縁の長さを増加することによって低減することができ、それは、前縁の内側部分が、ハブから外側部分まで後方へ弧状に形成されることをもたらす。前縁の内側部分は、好ましくは、凸面であり、これに対して、前縁の外側部分は、好ましくは、凹面である。
【0023】
ダクトの空気出口からノズルへ空気流が通る時の空気流における伝導損失を避けるために、ダクトの空気出口は、好ましくは、ノズルの内部通路内に位置付けられる。従って、第4の態様において、本発明は、空気流れを発生させるための送風機を提供し、この送風機は、空気入口を含む本体と、本体に接続されたノズルとを含み、ノズルは、内部通路と、空気流がそこを通して送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、内部通路は、ノズルの外側の空気が、少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、本体は、ダクトの空気入口を形成する第1の端部と第1の端部の反対側に位置付けられかつダクトの空気出口を形成する第2の端部とを有するダクトと、ダクト内に位置付けられてダクトを通して空気流を引き込むインペラと、インペラを駆動するためのモータとを含み、ダクトの第2の端部は、本体からノズルの内部通路内へ突出する。
【0024】
ノズルは、内部通路が、第1の部分及び第2の部分を有し、その各々が、本体から内部通路へ入る空気流のそれぞれの部分を受け入れ、かつ空気流のその部分を開口部の周りで角度的反対方向に運ぶように構成されることが好ましい。ダクトの第2の端部の少なくとも一部分が外向きに広がって、空気流のそれぞれの部分を内部通路の部分内へ案内する。従って、第5の態様において、本発明は、空気流れを発生させるための送風機を提供し、この送風機は、空気入口を含む本体と、本体に接続されたノズルとを含み、ノズルは、内部通路と、空気流がそこを通って送風機から放出される少なくとも1つの空気出口とを含み、内部通路は、ノズルの外側の空気が、少なくとも1つの空気出口から放出される空気によって引き込まれる時に通る開口部の周りに延び、内部通路は、第1の部分及び第2の部分を有し、その各々は、本体から内部通路へ入る空気流のそれぞれの部分を受け入れ、かつ空気流のそれらの部分を開口部の周りで角度的反対方向に運び、本体は、ダクトの空気入口を形成する第1の端部と第1の端部の反対側に位置付けられかつダクトの空気出口を形成する第2の端部とを有するダクトと、ダクト内に位置付けられてダクトを通して空気流を引き込むインペラと、インペラを駆動するためのモータとを含み、ダクトの第2の端部の少なくとも一部分は、外向きに広がって空気流の各部分をノズルのそれぞれの部分内へ案内する。
【0025】
ダクトの第2の端部は、好ましくは、第1のフレア部分及び第2のフレア部分を有し、その各々は、空気流の一部分を内部通路のそれぞれの部分内へ案内するように構成される。ノズルは、好ましくは、内部通路及びノズルの空気出口を形成する環状ケーシングを含み、各フレア部分の端部は、好ましくは、ケーシングの隣接部分の曲率とほぼ同じ曲率を有する。各フレア部分の端部とその隣接部分の間の分離は、空気流がノズルの内部通路に入る時に空気流のプロフィールの中断が最小になるように、好ましくは、10mmよりも大きくなく、より好ましくは、5mmよりも大きくない。
【0026】
ノズルは、好ましくは、環状内壁と、内壁の周りに延びる外壁とを含み、内部通路が内壁と外壁の間に位置付けられる。内壁は、ノズルの外側の空気が少なくとも1つの空気出口から放出される空気によってそこを通して引き込まれる開口部を少なくとも部分的に形成する。
【0027】
内壁は、好ましくは、内部通路の各部分が、内部通路と外壁の縦軸線を通って延びかつこれを含む平面との交差部によって形成されかつ開口部の周りで大きさが減少する断面積を有するように外壁に対して偏心している。内部通路の各部分の断面積は、開口部の周りで漸次的に減少し又はテーパをつけることができる。ノズルは、好ましくは、空気入口とノズルの中心とを通る平面に関して実質的に対称であり、従って、内部通路の各部分は、好ましくは、断面積の変動が同じである。例えば、ノズルは、ほぼ円形状、楕円形状、又は「レーストラック」形状を有し、内部通路の各部分は、開口部のそれぞれの側に位置付けられた2つの比較的真っ直ぐな部分を含む。
【0028】
内部通路の各部分の断面積の変動は、好ましくは、断面積の大きさが開口部の周りで減少するようなものである。各部分の断面積は、好ましくは、ダクトから空気流の一部分を受け入れるその部分のこの部分における最大値と、ダクトの直径方向で反対側に位置付けられた最小値とを有する。断面積の変動は、内部通路内の静圧のどのような変動でも最小にすることができるのみならず、内部通路がダクトの広がった端部を収納することを可能にする。
【0029】
少なくとも1つの空気出口は、好ましくは、内壁と外壁の間に位置付けられる。例えば、少なくとも1つの空気出口は、内壁と外壁との重複部分に位置付けることができる。壁のこれらの重複部分は、内壁の内部面の一部と、外壁の外部面の一部とを含むことができる。代わりに、壁のこれらの重複部分は、外壁の内部面の一部と、内壁の外部面の一部とを含むことができる。
【0030】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2の態様から第5の態様へ同様に適用することができ、その逆についても同じである。
【0031】
ここで、本発明の好ましい特徴を添付図面を参照して一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図4(a)】
図2のA−A線に沿って見た送風機の側面断面図である。
【
図4(b)】
図2のB−B線に沿って見た送風機のノズルの部分の断面図である。
【
図4(c)】
図2のC−C線に沿って見た送風機のノズルの部分の断面図である。
【
図4(d)】
図2のC−C線に沿って見た送風機のノズルの部分の断面図である。
【
図8】シュラウドを除去してインペラのブレードを表している送風機のインペラの前面斜視図である。
【
図9】シュラウドを除去しているインペラの上面図である。
【
図10】孔を省略している送風機の基部のモータバケットの上側部分の前面斜視図である。
【
図11】ダクトのインペラハウジング、環状シール、及びダクトを送風機の本体内に支持する弾性要素の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1及び
図2は、送風機10の外観図である。送風機は、空気入口14を有する本体12を含み、空気入口は、本体12の外側ケーシング16に形成された複数の開口の形態とされ、そこを通して1次空気流が外部環境から本体12内へ引き込まれる。1次空気流を送風機10から放出する空気出口20を有する環状のノズル18が、本体12に接続される。本体12は、ユーザが送風機10の作動を制御することを可能にするユーザインタフェースを更に含む。ユーザインタフェースは、複数のユーザ作動可能なボタン22、24と、ユーザ作動可能なダイヤル26とを含む。
【0034】
ノズル18は環形状を有する。ノズル18は、環状の内壁30の周りに延びる外壁28を含む。本実施例では、壁28、30の各々は、別々の構成要素から形成される。壁28、30の各々は、前端及び後端を有する。
図4(a)をも参照して、外壁28の後端は、内壁30の後端に向けて内向きに湾曲してノズル18の後端を形成する。内壁30の前端は、外壁28の前端に向けて外向きに折り返されてノズル18の前端を形成する。外壁28の前端は、内壁30の前端に位置付けられたスロット内へ挿入され、スロットへ導入された接着剤を用いて内壁30に接続される。
【0035】
内壁30は、軸線又は縦軸線Xの周りに延びて、ノズル18のボア又は開口部32を形成する。ボア32は、ほぼ円形の断面を有し、それは、軸線Xに沿って直径がノズル18の後端からノズル18の前端まで変動する。
【0036】
内壁30は、内壁30の外部面、すなわち、ボア32を形成する面がいくつかの部分を有するような形状を有する。内壁30の外部面は、凸面後部分34、外向きに広がる切頭円錐形の前部分36、及び後部分34と前部分36の間に位置付けられた円筒形部分38を有する。
【0037】
外壁28は、本体12の開放上端に結合されかつ本体12から1次空気流を受け入れる空気入口を提供する開放下端を有する基部40を含む。外壁28の大部分は、ほぼ円筒形である。外壁28は、軸線Xと平行であるがこれから離間した中心軸線又は縦軸線Yの周りに延びる。換言すると、外壁28と内壁30とは偏心している。この実施例では、軸線X、Yの各々は、送風機10の中心を通って垂直に延びる平面に位置付けられ、ボア軸線Xは、軸線Yの上に位置付けられる。
【0038】
外壁28の後端は、内壁30の後端と重なる形状を有し、外壁28の内面と内壁30の外面の間にノズル18の空気出口20を形成する。空気出口20は、軸線Xを中心としてこの周りに延びるほぼ円形のスロットの形態とされる。スロットの奥行きは、好ましくは、軸線Xの周りで実質的に一定であり、0.5mmから5mmの範囲にある。外壁28及び内壁30の重なり部分は、実質的に平行であり、内壁30の凸面後部分34の上に空気を向けるように構成され、これが、ノズル18のコアンダ面を提供する。一連の角度的に離間したスペーサが、外壁28及び内壁30の重なり部分の対向面の一方に設けられ、他方の対向面に係合して、これらの対向面間に規則的な間隔を維持する。
【0039】
外壁28及び内壁30は、空気を空気出口20まで運ぶ内部通路42を形成する。内部通路42は、ノズル18のボア32の周りに延びる。ノズル18の壁28、30の偏心により、内部通路42の断面積は、ボア32の周りで変動する。内部通路42は、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分を含むと考えることができ、これらの湾曲部分は、
図3において全体が符号44及び46で示され、各々がボア32の周りで角度的反対方向に延びる。
図4(a)から
図6(d)をも参照すると、内部通路42の各部分44、46は、断面積の大きさがボア32の周りで減少する。各部分44、46の断面積は、ノズル18の基部40に隣接して位置付けられた第1の値A
1から2つの部分44、46の端部が結合される基部40の直径方向反対側に位置付けられた第2の値A
2まで減少する。各部分44、46の断面積が第1の値A
1から第2の値A
2まで漸次的に減少する時に、軸線X、Yの相対位置は、内部通路42の各部分44、46の断面積の変動がボア32の周りで同じになるようなものである。内部通路42の断面積の変動は、好ましくは、A
1≧1.5A
2であり、より好ましくは、A
1≧1.8A
2である。
図4(b)から
図4(d)に示すように、各部分4、46の断面積の変動は、ボア32の周りの各部分44、46の半径方向厚みの変動によって生じ、軸線X、Yに沿って延びる方向で測定したノズル18の奥行きは、ボア32の周りで相対的に一定である。1つの実施例では、A
1≒2200mm
2であり、A
2≒1200mm
2である。
【0040】
本体12は、実質的に円筒形の下側本体部分52上に装着された実質的に円筒形の主本体部分50を含む。主本体部分50及び下側本体部分52は、好ましくは、プラスチック材料から形成される。主本体部分50及び下側本体部分52は、好ましくは、上側本体部分50の外部面が下側本体部分52の外部面と実質的に同一平面にあるように実質的に同じ外径を有する。
【0041】
主本体部分50は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む。この実施形態において、空気入口14は、主本体部分50によって形成された本体12の外側ケーシング16の部分に形成された開口のアレイを含む。代わりに、空気入口14は、外側ケーシング16に形成された窓内に装着された1つ又はそれよりも多くのグリル又はメッシュを含むことができる。主本体部分50は、基部40をノズル18に接続するために上端が開放し(図示のように)、1次空気流が本体12からノズル18まで運ばれることを可能にする。
【0042】
主本体部分50は、下側本体部分52に対して傾くことができ、1次空気流が送風機アセンブリ10から放出される方向を調節する。例えば、下側本体部分52の上面及び主本体部分50の下面は、主本体部分50の下側本体部分52からの持上げを防止しながら、主本体部分50の下側本体部分52に対する移動を可能にする相互接続特徴部を含むことができる。例えば、下側本体部分52及び主本体部分50は、連動L字形部材を含むことができる。
【0043】
下側本体部分52は、送風機アセンブリ10がその上に位置付けられた面と係合するための基部56上に装着される。下側本体部分52は、上述のユーザインタフェースと、全体が符号58で示され、ユーザインタフェースの操作に応答して送風機10の様々な機能を制御する制御回路とを含む。下側本体部分52はまた、基部56に対して下側本体部分52を首振りさせる機構を収容する。首振り機構の作動は、ユーザインタフェースのボタン24のユーザによる押圧に応答して、制御回路58によって制御される。基部56に対する下側本体部分52の各首振りサイクルの範囲は、好ましくは、60°と120°の間にあり、首振り機構は、1分間当たり約3回から5回の首振りサイクルを実行するように構成される。電力を送風機10に供給する主電力ケーブル(図示せず)が、基部56に形成された開口を通って延びる。
【0044】
主本体部分50はダクト60を含み、ダクトは、ダクトの空気入口62を形成する第1の端部と、ダクトの空気出口64を形成する第2の端部とを有する。ダクト60は、ダクト60の縦軸線が本体12の縦軸線と同一線上に位置し、かつ空気入口62が空気出口64の下に位置付けられるように主本体部分50内に整列する。
【0045】
ダクト60は、
図5から
図7によって詳しく示されている。空気入口62は、ダクト60の外壁67の外向きに広がる入口部分66によって形成される。外壁67の入口部分66は、外壁67のインペラハウジング68に接続される。インペラハウジング68は、インペラ70の周りに延び、1次空気流を送風機10の本体12内へ引き込む。インペラ70は、混成流インペラである。インペラ70は、ほぼ円錐形のハブ72と、ハブ72に接続された複数のインペラブレード74と、ブレード74に接続されハブ72及びブレード74を取り囲むほぼ切頭円錐形のシュラウド76とを含む。ブレード74は、好ましくは、ハブ72と一体であり、それは、好ましくは、プラスチック材料で作られる。
【0046】
インペラ70のハブ72及びブレード74は、
図8及び
図9によって詳細に示されている。この実施例では、インペラ70は、9枚のブレード74を含む。各ブレード74は、ハブ72の周りに60°から120°の範囲の角度で部分的に延び、この実施例では、各ブレード74は、ハブ72の周りに約105°の角度で延びる。各ブレード74は、ハブ72に接続された内側側縁78と、内側側縁78とは反対側に位置付けられた外側側縁80とを含む。各ブレード74はまた、ダクト60の空気入口62に隣接して位置付けられた前縁82、ブレード74の先端82とは反対端に位置付けられた後縁84、及び先端82と外側側縁80との交差部に位置付けられたブレード先端86を含む。
【0047】
各側縁78、80の長さは、前縁82及び後縁84の長さよりも長い。外側側縁80の長さは、好ましくは、70mmから90mmの範囲にあり、この実施例では約80mmである。前縁82の長さは、好ましくは、15mmから30mmの範囲にあり、この実施例では約20mmである。後縁84の長さは、好ましくは、5mmから15mmの範囲にあり、この実施例では約10mmである。ブレード74の幅は、前縁82から後縁84に向けて漸次的に減少する。
【0048】
各ブレード74の後縁84は、好ましくは、真っ直ぐある。各ブレード74の前縁82は、ハブ74に隣接して位置付けられた内側部分88と、ブレード先端86に隣接して位置付けられた外側部分90とを含む。前縁82の内側部分88は、前縁82の長さの30%から80%の範囲内で延びる。この実施例では、内側部分88は、外側部分90よりも長く、前縁82の長さの50%から70%の範囲内で延びる。
【0049】
ブレード74の形状は、ブレード74の各部にわたる圧力勾配を低下させることにより、インペラ70の回転中に発生するノイズを最小にするように設計される。これらの圧力勾配の低下は、1次空気流がブレード74から離れて流れようとする傾向を低減し、従って、空気流内の渦を低減する。
【0050】
前縁82の外側部分90は、内側部分88からブレード先端86まで前方へ弧状に形成される。各ブレード74の前縁82におけるブレード先端86へ向いたこの局所的な前方への弧状部は、ブレード74のハブから先端の負荷のピークを低下させることができる。外側部分90は、凹面であり、内側部分88からブレード先端86まで前方へ湾曲する。ブレード74のブレードからブレードの負荷を低下させるために、内側部分88は、内側側縁78の長さが外側側縁80のそれに近づくように、ハブ74から外側部分90まで後方へ弧状に形成される。この実施例では、前縁82の内側部分88は、凸面であり、ハブ72から前縁82の外側部分90まで後方へ湾曲して、内側側縁78の長さを最大にする。
【0051】
図7に戻って、インペラ70は、インペラ70を回転軸線Zの周りに回転させるモータ94から外向きに延びる回転シャフト92に接続される。回転軸線Zは、ダクト60の縦軸線と同一線上にあり、かつ軸線X、Yと直交する。この実施形態において、モータ94は、ダイヤル26のユーザ操作に応答して制御回路58によって速度が可変とされたDCブラシレスモータである。モータ94の最大速度は、好ましくは、5,000rpmから10,000rpmの範囲にある。モータ94は、モータハウジングに収容される。ダクト60の外壁67は、モータハウジングを取り囲み、それは、ダクト60の内壁95を提供する。ダクト60の壁67、95は、従って、ダクト60を通って延びる環状の空気流経路を形成する。モータハウジングは、モータ94を支持する下側部分96と、下側部分96に接続された上側部分98とを含む。シャフト92は、モータハウジングの下側部分96に形成された開口を通って突出し、インペラ70のシャフト92への接続を可能にする。モータ94は、上側部分68が下側部分66に接続される前に、モータハウジングの下側部分66内へ挿入される。
【0052】
モータハウジングの下側部分96は、ほぼ切頭円錐形状を有し、ダクト60の空気入口62へ向う方向に内向きにテーパがついている。インペラ70のハブ72は、円錐形の内面を有し、それは、モータハウジングの下側部分96の外面における隣接部分の形状と類似した形状を有する。
【0053】
モータハウジングの上側部分98は、ほぼ切頭円錐形状を有し、ダクト60の空気出口64へ向けて内向きにテーパがついている。環状のディフューザ100が、モータハウジングの上側部分98に接続される。ディフューザ100は、空気流をダクト60の空気出口64へ案内する複数のブレード102を含む。ブレード102の形状は、空気流は、それがディフューザ100を通過する時にも真っ直ぐになるようにされる。
図10に示すように、ディフューザ100は、13枚のブレード102を含む。各ブレード102は、モータハウジングの上側部分98に接続され、好ましくは、これと一体の内側側縁104と、内側側縁104の反対側に位置付けられた外側側縁106とを有する。各ブレード102はまた、インペラ70に隣接して位置付けられた前縁108と、ブレード102の前縁108とは反対側に位置付けられた後縁110とを有する。ブレード102の前縁108は、ディフューザ100の入口端を形成し、ブレード100の後縁110は、ディフューザ100の出口端を形成する。ブレード102の1つは、ケーブルがそこを通ってモータ94へ移動する通路112を形成する。
【0054】
ダクト60の外壁67は、インペラハウジング68の上端に接続されてディフューザ100の周りに延びるディフューザハウジング114を含む。ディフューザハウジング114は、ダクト60の空気出口64を形成する。ディフューザハウジング114の内部面は、例えば、接着剤を使用して、ブレード102の外側側縁106に接続される。ディフューザハウジング114とモータハウジングの上側部分98とは、ダクト60を通る空気流経路のディフューザ部分を形成する。空気流経路のディフューザ部分は、従って、環形状であり、かつディフューザ100の出口端へ向けて収束する。空気流経路のディフューザ部分は、インペラ70の回転軸線Zと直交して延びる平面とダクト60との交差部から形成される断面積を有する。ディフューザ100を通る滑らかな空気流を発生するために、ディフューザ100は、ディフューザ部分に沿った空気流経路の断面積の変動が、好ましくは、ディフューザ100の入口端における空気流経路の断面積の20%よりも大きくないような形状を有する。
【0055】
図5及び
図7に示すように、モータハウジングの上側部分98は穿孔される(孔は、
図10には示さない)。モータハウジングの上側部分98の内面は、ノイズ吸収材料115、好ましくは、音響発泡材料が裏打ちされ、送風機10の使用中に発生する広帯域のノイズを抑制する。モータハウジングの上側部分98にあけた孔が不明瞭にならないように、ノイズ吸収部材115は、
図7には示さないが、
図3及び
図4には示している。
【0056】
インペラハウジング68は、本体12の主本体部分50内に位置付けられた環状のシート116上に装着される。シート116は、シート116の上面がインペラ70の回転軸線Zと実質的に直交するように外側ケーシング16の内面から半径方向内向きに延びる。
【0057】
環状のシール118が、インペラハウジング68とシート116の間に位置付けられる。環状シール118は、好ましくは、発泡環状シールであり、好ましくは、クローズドセル発泡材料から形成される。この実施例において、環状シール118は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー)ゴムから形成されるが、環状シール118は、好ましくは、10%圧縮時に0.01MPaよりも大きくない応力を示す他のクローズドセル発泡材料から形成することができる。環状シール118の外径は、環状シール118が外側ケーシング16の内面から離間するように、好ましくは、外側ケーシング16の内径よりも小さい。
【0058】
環状シール118は、シート116の上面と密封係合する下面と、インペラハウジング68と密封係合する上面とを有する。この実施例では、インペラハウジング68は、インペラハウジング68の外壁の周りに延びる凹んだ密封係合部分120を含む。インペラハウジング68の密封係合部分120は、環状シール118を受け入れる環状のチャンネルを形成するフランジ122を含む。フランジ122は、フランジ122の下面がインペラ70の回転軸線Zと実質的に直交するように、インペラハウジング68の外面から半径方向外向きに延びる。フランジ122の円周リップ126の内部周縁及び環状シール118の外部周縁は、好ましくは、スカラップ飾りを施され、又はそうでなければ、インペラハウジング68と環状シール118との相対回転を阻止する複数の凹所を形成するような形状にされる。
【0059】
シート116は、制御回路58からモータ94へのケーブル(図示しない)の通過を許す開口を含む。インペラハウジング68のフランジ122の及び環状シール118の各々は、ケーブルの部分を収納するそれぞれの凹所を形成する形状にされる。1つ又はそれよりも多くのグロメット又は他のシール部材をケーブルの周りに設けることができ、開口を通りかつ凹所と外側ケーシング16の内部面との間の空気の漏れを阻止する。
【0060】
インペラハウジング68とシート116の間に複数の弾性支持体138も設けられ、ダクト60、インペラ70、モータ94、及びモータハウジングの重量の一部を担う。弾性支持体138は、主本体部分50の縦軸線から均等に離間し、かつその周りに均等に離間している。各弾性支持体138は、インペラハウジング68のフランジ122上に位置付けられたそれぞれのマウント140に接続された第1の端部と、環状シート116に形成された凹所内に受け入れられ、弾性支持体138のシート116に沿いかつ主本体部分50の縦軸線の周りの移動を阻止する第2の端部とを有する。この実施例では、各弾性支持体138は、それぞれのマウント140の上に位置付けられたバネ144と、シート116のそれぞれの凹所内に位置付けられたゴム脚部146とを含む。代わりに、バネ144及び脚部146は、ゴム又は他の弾性又はエラストマー材料から形成されたロッド又はシャフトで置換することができる。更に別の代替手段として、複数の弾性支持体138は、環状シール118の周りに延びる単一の環状弾性支持体によって置換することができる。この実施例では、環状シール118の外部周縁は、更にスカラップ飾りを施され、そうでなければ、複数の凹所148を形成して各々がそれぞれの弾性支持体138を少なくとも部分的に受け入れるような形状にされる。これは、環状シール118の半径方向厚みを減少し、主本体部分50の直径を増加することなく、弾性支持体138が、主本体部分50の縦軸線により近く位置付けられることを可能にする。
【0061】
案内部材150が、入口部分66及びインペラハウジング68の下端の周りに設けられ、本体12に入る空気流をダクト60の空気入口62に向けて案内する。案内部材150は、ほぼ切頭円錐形であり、本体12の基部56に向けて内向きにテーパがついている。案内部材150は、本体12の空気入口14とダクト60の空気出口62との間に曲がりくねった空気流経路を部分的に形成し、従って、ダクト60の空気出口62から本体12の空気入口14へ通るノイズのどのような直接の経路も阻止するように役立つ。案内部材150は、インペラハウジング68の周りに延びる環状リブ152から垂下する。リブ152の外周縁は、例えば、接着剤を使用して、主本体部分50の内面に接続することができる。代わりに、リブ152の内周縁は、インペラハウジング68の外面に接続することができる。本体12を通過する空気流に露出される案内部材150の外面は、吸音材料154で裏打ちされる。
【0062】
案内部材150は、ダクト60の外部面から離間して環状のノイズ抑制空洞156を形成する。空洞156の大きさは、空洞156が、送風機10の使用中に発生するノイズの特定の波長をターゲットにした共振器として作用し、並びに全体的にノイズレベルを低下することができるように、インペラ70の回転トーンの波長に同調される。空洞156は、ダクト60の空気入口62と案内部材150の間に位置付けられた入口158を有する。入口158は環形状であり、空洞156の最下端に位置付けられる。
図3及び
図4を参照すると、入口158は、空気流経路の曲がりくねった部分が、本体12の空気入口14から離れかつインペラ70の回転軸線Zへ向う方向からダクト60の空気入口62に向けて延びる方向へ90°よりも大きい角度で曲がる場所に位置付けられる。
【0063】
空洞156に加えて又はその空洞156の代替物として、主本体部分50は、ダクト60の空気入口62の下に位置付けられたノイズ抑制空洞160を含む。空洞160も、インペラ70の回転トーンの波長に同調される。空洞160は、ダクト60の空気入口62の下に位置付けられ、かつ好ましくは、ダクト60の空気入口62と同心である入口162を有する。空洞160の下側壁は、主本体部分50の凹状下面164によって形成される。入口162及び空洞160の上側壁は、主本体部分50の下面164の上側周縁部分に接続された環状板166によって形成される。
【0064】
送風機10から放出される広帯域ノイズのレベルを低下させるために、環状の吸音部材168が、好ましくは、ダクト60と空洞160の間に位置付けられる。環状吸音部材168は、空洞160の入口162と同心であり、外側ケーシング16の内面と接触する外周縁を有する。吸音材料のシートを環状吸音部材168の上に位置付けることができ、ほこりの空洞160内への進入を阻止する。外側ケーシング16の内面は、吸音材料で部分的に裏打ちされる。例えば、吸音材料172のシートを空気入口14のすぐ下流に位置付けることができ、本体12の空気入口14を通して放出される広帯域ノイズのレベルを低下させる。
【0065】
送風機10を作動させるために、ユーザは、ユーザインタフェースのボタン22を押圧し、これに応答して、主制御回路58は、モータ94を起動してインペラ70を回転させる。インペラ40の回転は、空気入口14を通して本体12内へ引き込まれる1次空気流を引き起こす。ユーザは、ダイヤル26を操作することにより、モータ44の速度、従って、空気が空気入口14を通って本体12内へ引き込まれる割合を制御することができる。
【0066】
モータ94によるインペラ70の回転は、振動を発生させ、それは、モータハウジング及びインペラハウジング68を通じてシート116へ向けて伝達される。インペラハウジング68とシート116の間に位置付けられた環状シール118は、それがシート116の上面及びインペラハウジング68のフランジ122の下面と密封係合するように、ダクト60、インペラ70、モータハウジング、及びモータ94の重量によって圧縮される。環状シール118は、従って、1次空気流が、主本体部分50の外側ケーシング16の内面とダクト60の外壁67との間を延びる通路に沿ってダクト60の空気入口62へ戻ることを防止するのみならず、これらの振動がシート116へ、及び従って送風機10の本体12へと伝達することを低減する。インペラハウジング68とシート116の間に存在する弾性支持体138は、そうでなければ環状シール118を通じてシート116へ伝達される振動を増加させると考えられる環状シール118の経時的などのような過剰圧縮も阻止する。弾性支持体138の可撓性は、弾性支持体138がシート116に対して軸線方向及び半径方向の両方に撓むことを可能にし、それは、弾性支持体138を通じたシート116への振動の伝達を低減する。環状シール118は、シート116に対する弾性支持体138の撓み移動を減衰するのに役立つ。
【0067】
吸音材料115、154、172及び環状吸音部材168は、送風機10の本体12内で発生する広帯域ノイズを減衰するのに役立つ。案内部材150は、ノイズが、ダクト60の空気入口62から本体12の空気入口14を通じて外部環境へ直接通ることを防止するのに役立つ。インペラ70の回転によって発生する望ましくないトーンは、空洞156、160によって低減される。
【0068】
インペラ70の回転は、空気入口14を通って本体12へ入り空気流経路の曲がりくねった部分に沿ってダクト60の空気入口62へ通る1次空気流を引き起こす。ダクト60内で、1次空気流は、インペラハウジング68及びディフューザハウジング114を通り、ダクト60の空気出口64から放出される。
図5から
図7へ戻って、空気出口64が形成されたダクト60の端部は、2つの外向きに広がる部分180を含む。ダクト60は、ダクト60がシート116に装着された場合、ダクト60のこの端部が本体12の主本体部分50の開放上端から突出するような形状を有する。その結果、ダクト60のフレア部分180は、ノズル18の内部通路42内に位置付けられる。
【0069】
内部通路42内で、1次空気流は、ノズル18のボア32の周りで角度的反対方向に通る2つの空気ストリームに分けられ、その各々は、内部通路42のそれぞれの部分44、46内にある。ダクト60のフレア部分180の各々は、それぞれの空気ストリームを内部通路42のそれぞれの部分44、46へ案内するような形状を有する。
図3に示すように、ダクト60のフレア部分180の端部は、ノズル16の外壁28の隣接する部分の曲率と実質的に同じ曲率を有する。各フレア部分180の端部とノズル16の外壁28のその隣接部分との分離は、空気流がノズル16の内部通路42に入る時に空気流のプロフィールの中断が最小になるように、好ましくは、10mmよりも大きくなく、より好ましくは、5mmよりも大きくない。
【0070】
空気ストリームが内部通路42を通過する時に、空気は、空気出口20を通って放出される。空気出口20からの1次空気流の放出は、外部環境からの具体的にはノズル18の周りの領域からの空気の取込みにより、2次空気流を発生させる。この2次空気流は、1次空気流と合体し、ノズル18から前方に放出される合体又は全体空気流又は空気流れを生成する。
【符号の説明】
【0071】
32 ボア
42 内部通路
52 下側本体部分
56 基部
118 環状シール
Z インペラの回転軸線