【実施例】
【0018】
本発明のパイプサポートスタンドの具体的な実施例について以下に図面を参照して説明する。なお、パイプサポートは、
図1にのみ全体を示し、
図2〜
図4においては本発明のパイプサポートスタンドが取り付けられる部位(腰管と台板の部位)のみを示し、他部位の図示を省略している。
【0019】
パイプサポートスタンド1は、日本工業規格(JIS A8651)に規定されるパイプサポート11に取り付けられて安定的に自立させるものである。パイプサポート11は、内筒とする差込み管12と、外筒とする腰管13とを備え、腰管13に対して差込み管12を挿脱して長さ調整可能する構成とされている。
【0020】
差込み管12は腰管13に対する、腰管13は差込み管12に対する、各々の挿脱方向と反対の端部には差込み管12には受け台12A、腰管13には台板13Aが各々設けられている。
【0021】
これら、受け台12A、台板13Aは、軸方向から見た平面視略正方形の外形とされ、各々の四隅に、例えば端太(不図示)等に固定するためのボルト等が挿入される固定孔12a,13aがそれぞれ形成されている。この台板13Aの固定孔13aを本発明の後に詳述するパイプサポートスタンド1において利用する。
【0022】
さらに、差込み管12と腰管13の周面(直径対向面)には、各々軸方向に所定ピッチでピン孔12B,13Bが形成されている。ピン孔12B,13Bには、腰管13の差込み管12の挿脱部位に設けられたピン13Cが挿入される。腰管13の差込み管12との挿脱部位の周面には調整おねじ13Dが形成され、この調整おねじ13Dに調整ねめじ13Eが螺入される。
【0023】
パイプサポートスタンド1は、腰管13の台板13Aに形成された固定孔13aの数だけの脚部2と、本例では4本の脚部2と腰管13とを強固に結合させるためのくさび3とを備えている。
【0024】
脚部2は、所定長さの本体2Aと、この本体2Aの一方(本例では腰管13側を意味する)端部に形成された補強リブ2Bと、この補強リブ2Bが設けられた側と反対面に形成され、固定孔13aに対して挿入されるピン2Cと、該本体2Aの他方(本例では腰管13から離間した方向を意味する)端部でピン2Cと同じ方向及び高さで形成された脚2Dと、を有している。本例では脚部2は、台板2と平行で直線状に延伸している。
【0025】
本体2Aは、図示する本例では、断面形状が上方開放されたコ字状とされているが、例えば、断面形状が中空筒状で、上部に頂点を有する三角状、あるいは上部が円弧状とされた半円状、とすることで、床面からの突出が滑らかとなり、作業員がつまずいたりすることが防止できる。
【0026】
補強リブ2Bは、パイプサポート11の傾倒を防止するために、腰管13の周面と隙間を開けず、つまり当接するように、軸方向上方に突出して他方側にパイプサポート1が傾倒した際の荷重を支持できるだけの幅を持たせた形状とするが、本例のようにパイプサポート11の寸法種類によっては、腰管13の周面との隙間を開けた状態となる場合がある。また、ピン孔13Bとピン2Cとの嵌め合いの公差により僅かに傾動することがある。
【0027】
したがって、本例のように、パイプサポート11の種類によって腰管13の周面と補強リブ2Bとの隙間が生じる場合には、
図3に示すようなくさび3を挿入する。くさび3を備える場合には、補強リブ2Bの上面に、くさび3の斜面部3Bが挿入される溝2Baが形成されている。なお、くさび3については後述する。
【0028】
ピン2Cと脚2Dは、同じ高さとされ、台板13Aの固定孔13aに挿入した本体2Aの一方端側と、他方端側に延びた本体2Aの水平を保つようにしているが、脚2Dに関しては、これを省略して、本体2Aの形状、すなわち本体2Aの他方端部へ向かう途中からピン2Cと同じ高さとなるようにしだい高さが大きくなる、あるいは途中から高さが大きくなるように異なる形状としてもよい。
【0029】
くさび3は、腰管13の周面に当接するよう、例えば本例では連続して隣接する2面が90°とされた当接部3Aと、この当接部3Aの角部に設けられた斜面部3Bとを有している。
【0030】
当接部3Aは腰管13の軸方向にある程度の高さを有しており、斜面部3Bは当接部3Aの高さ分の寸法で設けられ、脚部2の補強リブ2Bの溝2Baに挿入される。また、斜面部3Bは、腰管13の差込み管12との挿脱部位(これを上部とする)に向かって最上部が、該腰管13周面から最も張り出した状態とされ、下部に向かうにしたがって該張り出し量が小さくなる、つまり斜面状とされている。
【0031】
例えば、パイプサポート11の腰管13の外周と台板13Aの固定孔13aとの距離があって、この固定孔13aにピン2Cを挿入したときに、腰管13の外周と補強リブ2Bとの間に隙間が生じると、パイプサポート11が、傾動する(がたつく)ことがあるが、くさび3を挿入することで、腰管13と脚部2の固定が強固になると共にわずかな傾動やがたつきを抑えることができる。
【0032】
上記構成のパイプサポートスタンド1は、
図4に示すようにして使用する。まず、パイプサポート11を設置する床面において、未だ差込み管12を上方へ伸張させていない状態で、
図4(a)に示すように、台板13Aの固定孔13aに脚部2のピン2Cを挿入して、パイプサポート11を仮自立させる。
【0033】
続いて、腰管13の外周と補強リブ2Bとの間に隙間がある場合は、上記の後に、
図4(b)に示すように、くさび3の斜面部3Bを脚部2の溝2Baに沿って挿入する。その後、
図4(c)に示すように、斜面部3Bの上面をハンマーなどで下方へ打ち込んで脚部2と腰管13とを密着させる。
【0034】
こうしてパイプサポート11をパイプサポートスタンド1を用いて正式に自立させた後、差込み管12を伸ばし、高さ調整を行ってピン孔12B,13Bにピン13Cを挿入して設置完了となる。
【0035】
このように、本発明は、パイプサポートスタンド1の脚部2が上方の空間に大きく張り出すことなく、床面を這うようにしているので、従来のように作業員の通行の邪魔になることがない。
【0036】
また、本発明は、パイプサポートスタンド1の設置時から、つまり未だ型枠に荷重がかかっていない状態でも傾倒はもちろんのこと、傾動も滑動も生じることなく安定的に自立させることができるので、パイプサポート11を容易に設置して型枠を計画どおりに配置することができる。言うまでもなく本発明のパイプサポートスタンド1はパイプサポート11の設置時から型枠設置、コンクリートの打設、のどの時点においても滑動はもちろん傾動することがない。