(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷機の刷版の取付方式として、マンドレルに、そのマンドレルの軸長と同じ長さの薄肉版胴(スリーブ)を装着し、そのスリーブに刷版を取り付ける方式が広く採用されている。
【0003】
前記スリーブはプラスチックやFRP等で成形された円筒形状である。前記マンドレルは、その両端を軸受により枢支されている。このためマンドレルのハンドル側の軸受を開放し、駆動側の軸受でマンドレルを片持ちにして、開放側からマンドレルと同じ軸長のスリーブを装着する。前記マンドレルには両端のそれぞれの3か所と、中央の3か所とに空気の噴出孔が形成されている。このため前記スリーブをマンドレルに装着する際に、マンドレル内に圧縮空気を送って、マンドレルの表面に設けられた孔から空気を噴出する。
前記スリーブの内径はマンドレルの外径とほぼ同じにされているから、空気圧によりスリーブの内面とマンドレルの外面との間に空気層が形成される。これによりスリーブの挿入抵抗が軽減され、マンドレルの幅いっぱいにスリーブを容易に押し込むことができる。
その後、前記スリーブの挿入の前端に形成された凹状の切り込みを、マンドレルの表面に設けた凸部に合わせ、マンドレル上におけるスリーブの周方向、軸方向の位置合わせをすると共に、スリーブの周方向、軸方向の移動を規制する。
最後に、マンドレルへの空気の充填を止める。
【0004】
特許文献1にはスリーブをマンドレルなどの軸に係合する様子が記載されている。特許文献1のスリーブおよびフレキソ印刷軸は、軸方向の両端付近における直径がそれぞれ2mm程度異なっており、いわば勾配の緩やかな円錐形状にされている。このためスリーブはフレキソ印刷軸に押し付けられるように係合され、固定されている。また前記スリーブの内面にはキーが設けられ、フレキソ印刷軸の外面には前記キーと係合する溝が形成されている。それらキーと溝の係合によりフレキソ印刷軸とスリーブとの位置合わせ、および周方向のすべりの規制が行われている。
【0005】
また特許文献2には、トイレットロール、キッチンタオル及びティッシュペーパーなどを充填した小型の袋を複数個収容するような大型の袋が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば印刷長の変更は、既に印刷機に取り付けられているスリーブを外径の異なる、すなわちスリーブの厚さの異なる別個のスリーブに交換することにより行われる。このようなスリーブの交換では、スリーブの内面とマンドレルの周面との間に空気層を形成することにより、スリーブをマンドレルに装着したり、マンドレルから取り外したりしている。
しかしスリーブは長いので、嵩張り、重量もある。例えば10〜30kgの重包装用の袋では、その幅(円筒状にされる前の袋を開いた状態)は2000mm程度であり、それ
に装着されるスリーブの軸長も2000mm程度と長い。また印刷長も大きくなるので、スリーブの径は140mm程度となり、大きい。このため空気層を形成しても、作業員が手作業でスリーブを交換するのに、多くの作業時間を要するし、重量物であることから作業に危険を伴う。
【0008】
また変更する印刷長が長くなると、厚さの異なるスリーブに変更するのではなく、スリーブの内径自体を大きくすることが行われる。この場合には、マンドレルごと交換しなければならない。
しかし、マンドレルごと交換するとなると、印刷色数に合わせて、同じ印刷長のマンドレルを色数だけ用意する必要がある。さらにマンドレルは精密な装置であり、それ自体にコストがかかる。このためマンドレルごとスリーブを交換するのはコストがかかる。
【0009】
このようにスリーブの交換のための作業は、印刷機の稼働時間を減少させ、印刷機の生産性を低下させ、かつ、不経済であった。
【0010】
そこで本発明は、スリーブをマンドレルに容易に装着し、あるいはマンドレルから容易に脱離することのできる印刷機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の印刷機構(請求項1)は、マンドレルと、そのマンドレルに装着される筒状で、その外周面に刷版が設けられるスリーブとからなる印刷機構であって、前記マンドレルが、本体と、その本体の外周に設けられるスリーブ支持体とを備えており、そのスリーブ支持体が本体に軸方向に間隔を空けて複数個設けられており、前記スリーブ支持体が、前記スリーブを内側から支持すべく放射状に延びる複数の腕部と、その腕部の先端付近を半径方向の内/外向に移動させる移動機構とを備えており、それらスリーブ支持体のそれぞれの移動機構を同期して駆動させる連動機構をさらに備えており、その連動機構により全ての腕部の先端付近を同期して外/内向へ移動させることにより、前記腕部の先端付近を前記スリーブの内面に係合させ、あるいは、前記スリーブの内面から係合解除させる、ことを特徴としている。
【0012】
また、複数の前記スリーブ支持体同士を連結すべく、本体に沿って延びる連結部材を備えており、その連結部材がそれぞれのスリーブ支持体の複数の腕部のうち1つの腕部の先端付近に連結されているのが好ましい(請求項2)。
【0013】
さらに、前記スリーブ支持体のそれぞれが、本体に設けられる基部を備えており、前記腕部の基端付近が前記基部に揺動自在に枢支され、その先端付近が前記連結部材に揺動自在に枢支されており、前記スリーブ支持体が、隣接するスリーブ支持体を1組とする複数の組にされており、前記連動機構が、各組のスリーブ支持体の両基部を接近させたり、離間させたりするものであり、それら基部の接近あるいは離間により、前記腕部の先端を半径方向の内/外向に移動させるのが好ましい(請求項3)。
【0014】
また、前記移動機構が腕部を伸縮させる流体式のシリンダであるものが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の印刷機構は(請求項1)、腕部の先端付近を半径方向の内向に移動させると、スリーブの内面との間に隙間を容易に設けることができる。このためスリーブをマンドレルに挿入したり、引き抜いたりするのが容易である。また従来技術のような空気を噴射させるような設備が不要である。
また、腕部の先端付近を半径方向に移動させるから、種々の内径のスリーブを装着する
ことができるので、従来のように多くの外径のマンドレルを用意する必要がない。さらにマンドレルごとスリーブを交換するような手間を省くことができる。
また、軸方向に間隔を空けて配置された複数のスリーブ支持体のそれぞれの腕部が、連動機構により同期し、かつ、連動して半径方向に移動するので、全ての腕部が一体となって移動する。このためスリーブの中心軸と本体の回転軸とがすれるのを防止することができる。
また、従来の同径のマンドレルに比べて、マンドレルの重量を低減できる。
【0016】
また、複数の前記スリーブ支持体同士を連結すべく、本体に沿って延びる連結部材を備えており、その連結部材がそれぞれのスリーブ支持体の複数の腕部のうち1つの腕部の先端付近に連結されている場合は(請求項2)、連結部材によりスリーブに加わる荷重、すなわちマンドレルの軸方向に対して直交する方向の荷重、を一体的に支持することができる。
【0017】
さらに、前記スリーブ支持体のそれぞれが、本体に設けられる基部を備えておおり、前記腕部の基端付近が前記基部に揺動自在に枢支され、その先端付近が前記連結部材に揺動自在に枢支されており、前記スリーブ支持体が、隣接するスリーブ支持体を1組とする複数の組にされており、前記連動機構が、各組のスリーブ支持体の両基部を接近させたり、離間させたりするものであり、それら基部の接近あるいは離間により、前記腕部の先端を半径方向の内/外向に移動させる場合は(請求項3)、簡易な機構で腕部を同期させることができる。
【0018】
また、前記移動機構が腕部を伸縮させる流体式のシリンダである場合は(請求項4)、腕部を簡易な機構で半径方向に移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず
図2を用いて、本発明の印刷機構1を備えている袋の製造ラインの概略を説明する。
図2には、袋の製造のラインの一部である印刷ライン20と、2枚の原紙を重ね合わせる重ね合わせライン21とが示されている。
【0021】
前記印刷機構1を用いる印刷ライン20における印刷方式は、フレキソ印刷である。本実施形態では、フレキソ印刷により袋にする前の帯状の原紙に印刷が施される。
図では、内袋と外袋とを備えた二重袋を製造しているが、単層あるいは三層以上の袋を製造してもよい。また複層の場合は、外側の袋となる帯状の原紙に印刷される。
【0022】
また前記印刷機構1を用いて製造される袋としては、トイレットペーパーを、例えば8ロール、12ロール包装した包装体、あるいは、それら包装体の複数個をまとめて包装する袋、さらにはキッチンロール、ティッシュペーパーなどを充填した袋を複数個まとめて包装するための重袋、ショッピングバッグなどの紙袋あるいは合成樹脂袋等であってもよい。
なお印刷の方式としては、フレキソ印刷と同様な印刷方式であればよい。
さらに印刷に用いられる袋の材質は紙、合成樹脂、合成樹脂製のフィルム、布あるいは不織布などである。
【0023】
前記印刷機構1は、円柱状のマンドレル2と、そのマンドレル2の周面に装着される筒状のスリーブ3とからなる。そのスリーブ3の外周面には、印刷対象物(原紙)に押圧される刷版(フレキソ版)4(
図1a参照)が取り付けられている。
前記スリーブ3は、単層あるいは複数の合成樹脂等の層から形成される従来公知のものである。また前記フレキソ版4は、合成樹脂等で形成される従来公知のものである。そのフレキソ版4は透明フィルムに貼り付けられている。
本実施形態におけるフレキソ印刷により印刷される印刷対象物としては、紙袋、段ボール、封筒やノートなどの紙製品、液体紙容器、レジ袋やペット食袋や紙オムツ袋などの合成樹脂フィルムなどがある。
なお通常は、前記フレキソ版4は透明フィルムに載せられているが、フレキソ版4をスリーブ3に直接貼り付けてもよい。
【0024】
前記印刷ライン20には、袋の原紙22aが巻かれたロール22を枢支し、原紙22aを送り出す紙供給機23と、その紙供給機23から連続的に供給される原紙22aに印刷する印刷機24とが設けられている。
図では、前記紙供給機23には、4つのロール22が枢支されている。図中の右端のロール22は外袋の原紙であり、印刷ライン20に送られる。左端のロール22は内袋の原紙であり、重ね合わせライン21に送られる。
中央の2つのロール22、22は、前記左右端のロール22、22を補充するために待機している。
【0025】
前記印刷機24は、スリーブ3が装着されたマンドレル2(印刷機構1)と、そのマンドレル2の回転軸と平行な回転軸をそれぞれ有するアニロックスロール25および圧胴ドラム26を備えている。これらマンドレル2、アニロックスロール25および圧胴ドラム26のそれぞれは、モータ駆動されており、同期している。
【0026】
前記アニロックスロール25は、前記スリーブ3に貼り付けられたフレキソ版4に接触しており、インクをフレキソ版4に供給する。
前記圧胴ドラム26は、マンドレル2に対してアニロックスロール25の反対側に配置されている。その圧胴ドラム26はマンドレル2との間に原紙22aを挟み込むように、いくらかマンドレル2側に押圧されており、フレキソ版4に塗られたインク(印刷模様)を原紙22aに転写し、印刷する。
【0027】
図1aおよび
図1bを用いてマンドレル2の概略を説明する。図に示すマンドレル2は、本体5を備えている。その本体5の両端は、印刷機24の図示しない軸受けに枢支されている。それら端部の一方は、モータ等の駆動装置に連結されており、回転力が伝達される。前記本体5には、スリーブ支持体6、6・・が間隔を空けて設けられている。図では6つ設けられている。
図3aに示すように各スリーブ支持体6は、半径方向の外向きに延びる6本の腕部7、7・・を備えている。その各スリーブ支持体6は、前記腕部7の先端の位置を移動させる
移動機構8をさらに備えている。
また前記マンドレル2には、前記スリーブ支持体6、6・・のそれぞれの移動機構8を同期して作動させる連動機構9が設けられている。さらに前記腕部7の先端には連結部材10が連結されている。
【0028】
前記本体5は、スリーブ2を係止し、そのスリーブ2と一体に回転する。また本実施形態では、本体5は筒状であり、その内部は空洞にされている。
【0029】
前記スリーブ支持体6は、隣接するスリーブ支持体6同士を1組とする複数の組で用いられている。本実施形態の場合は3組で用いられている。
図1aの右端の組で説明すると、右端のスリーブ支持体6と、その左隣のスリーブ支持体6とが、1組である。
【0030】
各スリーブ支持体6は、本体5に設けられる基部6cを備えている。その基部6cには、腕部7の基端付近が揺動自在に枢支される。本実施形態では、前記基部6cが2種類あり、右端のスリーブ支持体6の基部6cは、筒状を呈し、前記本体5の外周に通され、軸方向に移動自在である。その移動自在な基部6cを有するスリーブ支持体を移動スリーブ支持体6aとする。一方、左隣のスリーブ支持体6の基部6cは、本体5に固定され、移動しない。このスリーブ支持体を固定スリーブ支持体6bとする。
【0031】
前記移動スリーブ支持体6aには、本体5と平行に延びる後述するロッド14が連結されている。前記ロッド14は、移動スリーブ支持体6aを軸方向に移動させる。一方、固定スリーブ支持体6bには、貫通孔6dが形成され、前記ロッド14が貫通している。このため固定スリーブ支持体6bは、ロッド14の軸方向の移動を妨げない。
【0032】
前記腕部7は、各スリーブ支持体6に6本設けられている。それら腕部7は、側面視(
図3a参照)でスリーブ支持体6の基部6cからほぼ等角度(60°)で放射状に延びている。各スリーブ支持体6の腕部7は放射状に同じ方向に延びている。そのため、隣接する腕部7同士の先端部は、本体5の軸方向にほぼ一直線上に並ぶように配置されている。
また
図1aに示すように、前記6か所のスリーブ支持体6の腕部7は、1つの組の前後の腕部7、7の先端部を向かい合わせに、略ハの字状にして、延びている。
なお前記腕部7は、1つのスリーブ支持体6に対し、3〜12本設けるのが好ましい。
【0033】
図3aに示すように、本実施形態において、前記スリーブ支持体6、6・・のそれぞれの腕部7、すなわち軸方向に並んでいる腕部の先端付近は、連結部材10に連結されている。それら連結された腕部7は、連結部材10に対して回動自在である。前記連結部材10は、各スリーブ支持体7の保有する腕部6の本数と同じ数だけ、すなわち6本設けられている。
また、前記連結部材10の断面形状は、略円形である。略円形以外に、前記断面形状をスリーブ3の内周面と接する部分が楕円のような滑らかな曲線になるように形成してもよい(
図3aの二点鎖線参照)。
さらに
図3bには、印刷機構1の他の実施形態を示す。この実施形態のスリーブ3の内面形状は、その断面が正多角形(図では正六角形)に形成されている。そして、連結部材10の断面形状は、スリーブの内面の内角部(図では120°)にフィットする頂角(図では120°)のある外角部を備えた形状にされている。このためスリーブ3を、その径の大きいものにしても、あるいは、小さいものにしても、連結部材10の外角部は前記スリーブ3の内角部に確実にフィットできる。なお、前記連結部材10の外角部の形状が、対応するスリーブ3の内角部にフィットする形状にされていれば、前記スリーブ3の内角部の角度は、全て同じに形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、連結部材10を設けているが、連結部材10を設けず、1組の腕部7、7の先端付近同士を直接回動自在に連結し、その連結した部位の外面で直接にス
リーブ3の内面を支持するようにしてもよい。その場合、前記連結部にスリーブ3の内面と広い面で接触できる板状部材を設けるのがよい。そして、その板状部材の断面形状は、スリーブ3の内面にできるだけ沿うように湾曲形状に形成するのが好ましい。
【0034】
図1aに戻って、前記本体5の右端付近の外周面には、オネジ5aが形成されている。そのオネジ5aには、内周にメネジが形成されたハンドル11が螺合している。そのハンドル11の左方には、中間部材12を介してロッド連結体13が設けられている。そのロッド連結体13には3本のロッド14の左端が連結されており、そのロッド14の左端側は軸方向に平行に延びている。これらオネジ5a、ハンドル11、中間部材12、ロッド連結体13およびロッド14等は移動機構を構成する。前記ロッド14のうちロッド連結体13から右端のスリーブ支持体6の移動スリーブ支持体6aに連結されているまでの部位が、移動機構8を構成する部材である。
【0035】
前記ハンドル11は、ネジ機構により本体5の右端付近を軸方向(図の左右方向)に移動する。
前記中間部材12はドーナツ状であり、その中央の穴を本体5が貫通しており、中間部材12は本体5の周面を軸方向に移動自在である。その中間部材12は、内部材12aおよび外部材12bを備えたベアリングであり、両部材12a、12b同士は互いに対し回動自在である。またロッド連結体13は、中央に孔が形成され、その孔を本体5が貫通しており、本体5の周面を軸方向に移動自在である。
前記ハンドル11は、中間部材12の内部材12aに連結され、前記ロッド連結体13は前記中間部材12の外部材12bに連結されている。このためハンドル11とロッド連結体13との間で回転力は伝達されない。
これら両基部6c、6c、腕部7、7および連結部材10からなる閉リンクは、移動機構8を構成する。
【0036】
前記連動機構9は、固定スリーブ支持体6bの貫通孔6dおよび前記ロッド14等から構成される。そのロッド14のうち右端のスリーブ支持体6の移動スリーブ支持体6aから左方に延びる部位が、移動機構8を構成する。
前記ロッド14は、固定スリーブ支持体6bの貫通孔6dに通されている。このため、移動スリーブ支持体6aに加わる力は、固定スリーブ支持体6bに伝達されない。このため、各組の移動スリーブ支持体6aを同期して移動させることができる。
【0037】
次に
図4aを用いて、1組の腕部7、7の先端付近が半径方向の外向きに突出する様子を説明する。まず、前記ハンドル11を回転し、ハンドル11を本体5の左側に螺進させる。前記中間部材12は、ハンドル11と共に左側に移動する。その中間部材12の外部材12bには、ロッド連結体13が固定されている。このためロッド連結部材13には、ハンドル11から回転力は伝達されず、ロッド14は固定スリーブ6bの貫通孔6dで支持されているので回らず、ハンドル11および中間部材12と共に本体5を左側へ移動する。これにより、ロッド14が軸方向の左方に移動し、移動スリーブ支持体6aを左方に移動させる。
前記移動スリーブ支持体6aが左方に移動し、固定スリーブ支持体6bに接近すると、両スリーブ支持体6a、6bから延びる腕部7、7の基端部同士が接近し、かつ、前記腕部7、7の先端部付近の成す角度が狭まる。これにより前記腕部7、7の先端側が、半径方向の外側に突出する(
図4b参照)。
なお、他の組の移動スリーブ支持体6aは、上述したのと同様に、ロッド14により左に移動することにより、腕部7を半径方向の外側に突出させる。
【0038】
次に
図4bを用いて、1組の腕部7、7の先端付近が半径方向の内向きに移動する様子を説明する。前記ハンドル11を反対向きに回転し、本体5の右方に螺進させると、ハン
ドル11、中間部材12、ロッド連結体13およびロッド14は、本体5に対し右側に移動する。これにより前記ロッド14に固定された移動スリーブ支持体6aが右方に移動する。
前記移動スリーブ支持体6aが固定スリーブ支持体6bから離間すると、両スリーブ支持体6a、6bから延びる腕部7、7の基端部同士も遠ざかる。そして前記腕部7、7の先端付近の成す角度が広がり、前記腕部7、7の先端側が半径方向の内側に移動する。
また他の組の移動スリーブ支持体6aも、上述したのと同様に、ロッド14と共に本体5の右方に移動することにより、腕部7の先端付近を半径方向の内側に移動させる。
【0039】
ここで前記移動機構8とは、腕部7の先端付近を半径方向の内向あるいは外向に移動させるものである。また、本実施形態では、各組の腕部7、7の長さを同じにしている。さらに、基端同士の距離を先端同士の距離より長くしている。これにより一組のスリーブ支持体6、6を接近させると、その分だけ腕部7、7は全体として互いに接近する方向に移動し、かつ、腕部7、7の基端を中心として揺動し、先端側が立ち上がり、その先端部を半径方向の外向きに突出させる。
また、基端同士の距離を先端同士の距離より短くする、例えば
図5に示すように腕部7、7を逆ハの字状に設けると、一組のスリーブ支持体6c、6cの離間により腕部7の先端部付近を半径方向の外向きに突出させることができる。
【0040】
図6に本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では移動機構8としてカム機構を用いている。なお
図1aの移動機構と共通する部分には同じ符号を付して、その説明は省略する。
図6aに示すように、本体5には複数個の下側ブロック15が設けられており、軸方向に並んでいる。前記内側ブロック15には、その上面に左下がりの内側ブロックの斜面15aが形成されている。一方、連結部材10には複数の外側ブロック16が腕部7を介して設けられている。それら外側ブロック16には、前記外側ブロックの斜面15aに当接する左下がりの外側ブロックの斜面16aが形成されている。
それら外側ブロック16は、ロッド14に連結され、一体にされている。このためロッド14が軸方向の左右に移動すると、外側ブロック16も左右に移動する。前記外側ブロック16が右方に移動すると、外側ブロック16は内側ブロックの斜面15aを右上に登る。これにより、腕部7と、その先端に連結される連結部材10とが半径方向の外向きに突出し、スリーブ3を内面から支持することができる。また内側ブロックの斜面15aと移動ブロックの斜面16aの当接により、外側ブロック16から内側ブロック15へ伝達される半径方向の内向の荷重を支持することができる。
一方、外側ブロック16を左方に移動させると、外側ブロック16は前記外側ブロックの下斜面15aを下る。そして、外側ブロック16は半径方向の内側に移動する。このため、スリーブ3との係合が解除される。
また連結部材10を設けないで、腕部7の先端で直接にスリーブ3の内面を支持するようにしてもよい。さらに腕部7を設けないで、外側ブロック16の外面で直接にスリーブ3の内面を支持するようにしてもよい。
【0041】
また
図6bに示すように、外側ブロックと内側ブロックの動きを上下逆にしてもよい。すなわち内側ブロック15を軸方向に移動させて、外側のブロック16を半径方向に移動させる。この場合、内側ブロック15の軸方向の移動により、外側のブロック16が半径方向に移動する。このとき前記外側ブロック16が軸方向に押動されないように、本体5に止め板5bを設け、外側ブロック15の上方への移動を助けるのがよい。
【0042】
前記ロッド14の軸方向へ移動させる駆動源は、従来公知の方法により得られる。例えば、ハンドル11の代わりにモータを用い、そのモータの回転運動をネジ機構あるいはピニオン・ラック機構により軸方向の運動に変換し、ロッド14に伝達してもよい。さらに
空圧または油圧シリンダを用いてロッド14を軸方向に移動させてもよい。
また連結部材10を設けないで、腕部7の先端で直接にスリーブ3の内面を支持するようにしてもよい。さらに腕部7を設けないで、外側ブロック16の外面で直接にスリーブ3の内面を支持するようにしてもよい。
【0043】
図7に示すように、前記腕部7に、油圧あるいは空気圧を用いた流体式のシリンダのロッドを用いてもよい。この場合には、前記移動機構8は流体式のシリンダであり、連動機構9は油圧あるいは空圧の回路が相当する。
この実施形態では、本体5に複数の流体式のシリンダ17を設けている。そのシリンダ17にシリンダロッドとしての腕部7が、空圧あるいは油圧により伸縮自在に設けられている。またこの実施形態では、連結部材10を設けないで、腕部7の先端で直接にスリーブ3の内面を支持することができる。
【0044】
図8には、本発明の印刷機構を用いてスリーブを交換する方法を示すフローチャートを示す。その交換方法18は、スリーブ3とマンドレル2との係合を解除する係合解除工程(S1)と、スリーブ3を抜き取る抜取り工程(S2)と、交換するスリーブ3aを挿入する挿入工程(S3)と、交換したスリーブ3aをマンドレルに係合させる係合工程(S4)とからなる。
【0045】
ここから
図1aおよび
図1bも併せて説明する。
前記係合解除工程S1では、まず前記腕部7の先端部を半径方向の内向に移動させる。これによりスリーブ3の内面と腕部7の先端付近あるいは連結部材10の外面との係合状態が解除され、スリーブ3をマンドレル2から引き抜くのが容易になる。
次いで、前記抜取り工程S2でスリーブ3を抜き取る。このとき軸方向に延びる連結部材10の外面に沿って、スリーブ3を滑らすようにして抜き取ると、抜取りが容易である。
前記挿入工程S3では、交換するスリーブ3aをマンドレル2に挿入する。交換するスリーブ3aの内径が小さい場合は、腕部7の先端付近をさらに内向に移動させる。一方、大きい場合は腕部7の先端付近をいくらか外向に移動させる、あるいは、そのまま移動させない。前記腕部7の先端付近の位置は、交換するスリーブ3aをマンドレル2の本体5に通す際に、交換スリーブ3aをスムーズに案内できる程度の位置にあるのが好ましい。
前記係合工程S4では、腕部7の先端付近を半径方向の外向に移動させ、前記先端付近あるいは連結部材10の外面を交換スリーブ3aの内面に係合させる。このとき、全ての腕部7が同期して移動するので、本体5の回転軸(中心軸)と、交換スリーブ3aの中心軸とがズレない。
【解決手段】マンドレル2と、スリーブ3とからなる印刷機構であって、前記マンドレルが、本体と、その本体の外周に設けられるスリーブ支持体6とを備えており、そのスリーブ支持体が本体に軸方向に間隔を空けて複数個設けられており、前記スリーブ支持体が、前記スリーブを内側から支持すべく放射状に延びる複数の腕部7と、その腕部の先端付近を半径方向の内/外向に移動させる移動機構8とを備えており、それらスリーブ支持体のそれぞれの移動機構を同期して駆動させる連動機構9をさらに備えており、その連動機構により全ての腕部の先端付近を同期して外/内向へ移動させることにより、前記腕部の先端付近を前記スリーブの内面に係合させ、あるいは、前記スリーブの内面から係合解除させる、印刷機構1。