【文献】
Alfred R. J. Katz,Image Analysis and Supervised Learning in the Automated Differentiation of White Blood Cells from Microscopic Images (2000) ,Master thesis,2000年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
好酸球が、所定の波長での平均細胞吸光度および所定の波長での細胞吸光組織および大型顆粒の比率からなる群からの1つ以上の特徴を用いて識別される、請求項21に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図3は、
図2に示したようなチャンバを含むことができるタイプの、生体体液試料カートリッジの略上面図である。
【
図4】
図4は、チャンバ内に配置された試料についての分析を実施するために機能する分析装置具の略図である。
【
図5】(a)はリンパ球の合成画像、(b)は好中球の合成画像、(c)は好酸球の合成画像、(d)は単球の合成画像である。
【
図6】(a)はリンパ球からの赤色蛍光の画像、(b)は好中球からの赤色蛍光の画像、(c)は好酸球からの赤色蛍光の画像、(d)は単球からの赤色蛍光の画像である。
【
図7】(a)はリンパ球からの緑色蛍光の画像、(b)は好中球からの緑色蛍光の画像、(c)は好酸球からの緑色蛍光の画像、(d)は単球からの緑色蛍光の画像である。
【
図8】(a)はリンパ球についての赤線によって表示された細胞境界を備える青色波長での光学密度の画像を示す図、(b)は好中球についての赤線によって表示された細胞境界を備える青色波長での光学密度の画像を示す図、(c)は好酸球についての赤線によって表示された細胞境界を備える青色波長での光学密度の画像を示す図、(d)は単球についての赤線によって表示された細胞境界を備える青色波長での光学密度の画像を示す図である。
【
図9】(a)は規定強度を超える赤色および緑色蛍光を描出する隣接ピクセルがリンパ球に対してマスキングされている細胞の画像、(b)は規定強度を超える赤色および緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが好中球に対してマスキングされている細胞の画像、(c)は規定強度を超える赤色および緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが好酸球に対してマスキングされている細胞の画像、(d)は規定強度を超える赤色および緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが単球に対してマスキングされている細胞の画像である。
【
図10】(a)は規定強度を超える緑色蛍光を描出する隣接ピクセルがリンパ球に対してマスキングされている細胞の画像、(b)は規定強度を超える緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが好中球に対してマスキングされている細胞の画像、(c)は規定強度を超える緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが好酸球に対してマスキングされている細胞の画像、(d)は規定強度を超える緑色蛍光を描出する隣接ピクセルが単球に対してマスキングされている細胞の画像である。
【
図11】(a)はリンパ球のための緑色蛍光チャネル内の局所最高強度を描出している隣接ピクセルの1つ以上の群を含む画像、(b)は好中球のための緑色蛍光チャネル内の局所最高強度を描出している隣接ピクセルの1つ以上の群を含む画像、(c)は好酸球のための緑色蛍光チャネル内の局所最高強度を描出している隣接ピクセルの1つ以上の群を含む画像、(d)は単球のための緑色蛍光チャネル内の局所最高強度を描出している隣接ピクセルの1つ以上の群を含む画像である。
【
図12】(a)は規定閾値を超える青色ODを有する隣接ピクセルがリンパ球に対してマスキングされている細胞の画像、(b)は規定閾値を超える青色ODを有する隣接ピクセルが好中球に対してマスキングされている細胞の画像、(c)は規定閾値を超える青色ODを有する隣接ピクセルが好酸球に対してマスキングされている細胞の画像、(d)は規定閾値を超える青色ODを有する隣接ピクセルが単球に対してマスキングされている細胞の画像である。
【
図13】
図13は、極大部分(Lobe)の数と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についての試料画像のトレーニングセットから収集された経験的データ(pdf(確率分布密度関数)の形態にある)を描出しているグラフである。用語「確率分布密度関数」は、1つの特徴が特定値を有する可能性を記載する。極大部分の数のような離散値を備える特徴については、pdfは、1つの特徴が特定値を有する頻度と同一である。例えば、
図13は、集団内のリンパ球の約83%が1つだけの極大部分を有し、該リンパ球の15%が2つの極大部分を有することを示している。この極大部分の数は試料画像から計算されるので、そこで画像の不完全度および画像分析アルゴリズムの限界に起因して実際の生体成分とは相違する数値を有する可能性があることに留意されたい。画像について計算された全ての特徴はそれらの対応する生物学的特徴の近似値であり、ある程度の不正確さが内在する。しかし本発明下では、これらの内在する不正確さは、分析(例えば、LDC)中に複数の特徴を一緒に利用することによって大きく減少させることができ、それにより高度の精度を有する分析を生じさせることができる。
【
図14】
図14は、上記のWBCの各々について決定された細胞領域と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdf(確率分布密度関数)の形態にある)を描出しているグラフである。
【
図15】
図15は、細胞内の高青色OD領域を描出している画像である。
【
図16】
図16は、上記のWBCの各々についての大型顆粒の比率と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図17】
図17は、上記のWBCの各々についての核の比率と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図18】
図18は、上記のWBCの各々についての赤色−緑色比と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図19】
図19は、マスキング領域に近似するために画像に適用された円を備える、マスキングされた細胞核と関連するピクセルを描出している画像である。
【
図20】
図20は、
図19に示した画像の、マスキング領域の境界にある(すなわち、核の境界にある)ピクセルだけを強調表示した、図心と関連境界ピクセルとの間に伸びる説明のための小数の位置決め線分を含む変形である。
【
図21】
図21は、上記のWBCの各々についての核の形状と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図22】
図22は、上記のWBCの各々についての細胞の形状と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図23】
図23は、上記のWBCの各々についての413nmでの平均細胞吸光度と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図24】
図24は、上記のWBCの各々についての核の組織と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図25A】
図25Aは、赤色および緑色蛍光画像の両方について、細胞の内側部分内に配置された1群のピクセルの強度と細胞の外側部分内に配置された1群のピクセルの強度との間の差を例示している画像である。
【
図25B】
図25Bは、赤色および緑色蛍光画像の両方について、細胞の内側部分内に配置された1群のピクセルの強度と細胞の外側部分内に配置された1群のピクセルの強度との間の差を例示している画像である。
図25Bは、内側および外側部分の識別を促進するための環状線を含む、
図25Aの画像に類似する画像を含む。
【
図26】
図26は、上記のWBCの各々についての核の中空度と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図27】
図27は、上記のWBCの各々についての細胞質の組織と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図28】
図28は、上記のWBCの各々について決定された細胞質の中空度と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図29】
図29は、上記のWBCの各々についての413nmでの細胞吸光組織と対比させた、リンパ球、好中球、好酸球および単球の各々についてのトレーニングセットから収集された経験的データ(pdfの形態にある)を描出しているグラフである。
【
図30】
図30は、WBCタイプおよび特定のWBCタイプと関連する特徴の表である。
【
図31】
図31は、本発明の学習モデル実施形態を示すフローチャートである。
【
図32】
図32は、トレーニングセットを例示するリンパ球の1群の画像12枚である。
【
図33】
図33は、トレーニングセットを例示する単球の1群の画像12枚である。
【
図34】
図34は、トレーニングセットを例示する好酸球の1群の画像12枚である。
【
図35】
図35は、トレーニングセットを例示する好中球の1群の画像12枚である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで
図1を参照すると、以下でより詳細に説明するように、本発明は分析チャンバ内に静止して存在する生体体液試料内の成分を識別するための方法および装置を含む。典型的には、試料内の1つの成分の別の成分からの識別を促進するために、少なくとも1つの着色剤が加えられる。該チャンバ内に静止して存在する試料がイメージングされ、該試料の画像内の成分の位置が決定される。該画像内で位置決定された成分の少なくとも一部は、分析される各特定成分の1つ以上の特徴の存在を決定するため(例えば、1つの成分が特定の特徴を有する程度を決定するため)に分析される。各特徴は、画像から定量的に評価することができる。少なくとも1つのタイプの成分は、位置決定された成分からこれらの特徴を使用して決定される。
【0014】
本発明は、全血試料上で白血球百分率測定「LDC」を実施するために適用されると特に有用である。上述したように、LDCは、様々なタイプのWBCが識別および計数される分析である。これらの結果は、識別されたWBCタイプの相対比率によって表示することができる。本発明は、特に、血液試料中の成分(例えば、WBC)例えば、単球、好酸球、好中球およびリンパ球を識別するために使用できる。本発明の有用性を例示するために、単球、好酸球、好中球およびリンパ球を識別するためのLDC用途に関して本発明を説明する。しかし本発明はこの特定用途には限定されず、試料の画像から相互から定量的に決定可能である成分特徴を利用して、全血試料中の他のタイプの成分、または他のタイプの生体試料内の成分を識別するために使用できる。
【0015】
上記のように、本発明は、チャンバ内に静止して存在する全血試料上で分析を実施するために機能するが、該チャンバは少なくとも1枚の透明パネルを含む。本発明は、いずれかの特定チャンバ実施形態とともに使用することには限定されない。許容されるチャンバの例は、米国特許出願公開第2007/0243117号明細書および米国仮特許出願第61/287,955号明細書(以下では、‘955号出願」と呼ぶ)に記載されており、これらの出願の各々はこれにより全体として参照により組み込まれる。
【0016】
許容されるチャンバタイプの例を、
図2および3に示す。チャンバ50は、第1平面部材52、第2平面部材54および平面部材52、54の間に配置された少なくとも3つのセパレータ56によって形成される。平面部材52、54の少なくとも1つは透明である。チャンバ50を形成するために平面部材52、54を分離するセパレータ56は、チャンバ50の高さ58を確立するために役立つ。平面部材52、54またはセパレータ56の内の少なくとも1つは、部材間の平均チャンバ高さ58がセパレータ56の平均高さに密接に近似するのを許容するために十分に柔軟性である。
【0017】
上記に記載したチャンバ50は、様々な相違する実施形態で実施できる。「‘955号出願」は、チャンバ50が試料収集および分析カートリッジ60内に配置された実施形態について記載している(
図3を参照)。カートリッジ60は、該試料の画像を制御、処理および分析するために、撮像機器および処理装置(例えば、プログラム可能分析装置)を有する自動分析装置62(
図4に概略図で示した)とともに使用するために適合する。
【0018】
図4を参照すると、上述のチャンバとともに使用するために機能する分析装置62は、典型的には対物レンズ64、カートリッジ保持および操作装置(例えば、モータ駆動ステージ)66、試料照明装置68、解像機構70およびプログラム可能分析装置72を含む。対物レンズ64およびカートリッジ保持装置66の一方または両方は、チャンバおよびその中に配置された試料に対して本装置の相対焦点位置を変化させるために相互に向けて、および相互から離れるように可動性である。
【0019】
試料照明装置68は、規定波長にしたがった光線を使用して試料を照明する。例えば、試料照明装置は、落射蛍光源68Aおよび透過光源68Bを含むことができる。以下で説明するようにアクリジンオレンジ(「ベーシックオレンジ15」もしくは「ACO」とも呼ばれる)およびアストラゾンオレンジ(「AO」もしくはベーシックオレンジ21とも呼ばれる)などの着色剤は、全血と混合されて落射蛍光源からの励起波長に曝露させられると特定波長で発光するが、このとき該光源は、典型的には約450〜490nmの範囲内の光線を生成する。約470nmでの励起波長が特に有用である。透過光源は、赤色、緑色および青色光の1つ以上と関連する波長で光線を生成するように機能する。赤色光は、典型的には約600〜700nmの範囲内で生成されるが、約660nmでの赤色光が好ましい。緑色光は、典型的には約515〜570nmの範囲内で生成されるが、約540nmでの緑色光が好ましい。以下で考察するように、青色光は、典型的には約405〜425nmの範囲内にあるが、約413nmでの青色光が好ましい。試料を透過した光または試料から発生された蛍光は、解像機構を用いて捕捉され、捕捉された光に代表的な信号がプログラム可能分析装置に送信され、該プログラム可能分析装置で画像に処理される。この画像は、該画像内に捕捉された光透過率または蛍光強度を単位当たりベースで決定することを可能にする方法で生成される。例えば、「単位当たりベース」は、例えばピクセルのように試料の画像を細かく切り分けることのできる増分単位である。
【0020】
許容される解像機構70の例は、試料を透過した(または試料から発光された)光を電子データフォーマット画像に変換する電荷結合素子(CCD)タイプの画像センサである。相補型酸化金属半導体(「CMOS」)タイプの画像センサは、使用可能な画像センサのまた別の例である。解像機構からの信号は、画像の各ピクセルについて情報を提供し、この情報は、強度、波長および光学密度を含む、または含むように誘導することができる。例えば、強度値には、0単位〜4,095単位の任意の尺度(「IVU」)が指定される。光学密度(「OD」)は、媒質を通して透過される光の量に比した吸収される光の量の尺度である。例えば、「OD」値が高いほど、透過中に吸収される光の量が多くなる。ODは、光学密度単位(「OD」)またはその単位分数で定量的に記述することができる。例えば、ミリODはODの1,000分の1である。1「OD」単位は、光強度を90%減少させる。定量値としての「OD」もしくは「ミリOD」は、透過光、例えば
図8(a)〜(d)に例示した青色透過光によって獲得もしくは導出された画像に対して使用できる。解像機構からの情報は、多数のチャネルに分離される。解像機構からの情報は、以下では3つのチャネルに分離されると説明するが、この数は4部LDCを決定するための特定の有用性を提供する。しかし本発明は、3チャネル実施形態には限定されない。3つのチャネルの第1は、第1波長で試料から発光された光(例えば、540nm、緑色に見える)に関する情報に向けられる。第2チャネルは、第2波長で試料から発光された光(例えば、660nm、赤色に見える)に関する情報に向けられる。第3チャネルは、第3波長で試料を透過した光(例えば、413nm、青色光学密度「OD」を決定するために使用される)に関する情報に向けられる。これらの波長値およびチャネル数は、LDCが全血試料上で実施される場合に特に有用性がある。本発明は、これらの特定波長またはチャネル数に限定されない。異なる波長および/または透過値で情報を集めるために、追加のチャネルを実施することができる。その情報は、順に、試料内の追加の成分を評価するため、および/または分析の精度を高めるために使用できる。例えば、試料内の好塩基球をさらに識別することが望ましい用途においては、第4および第5チャネルを加えることができる。第4チャネルは、緑色ODを決定するために使用される第4波長(例えば、540nm)で試料を透過する光に関連する情報に向けることができ、第5チャネルは、赤色ODを決定するために使用される第5波長(例えば、660nm)で試料を透過する光に関連する情報に向けることができる。これらのOD値を使用すると、順に好塩基球を識別することができる。
【0021】
プログラム可能分析装置は中央処理装置(CPU)を含み、カートリッジ保持および操作装置、試料照明装置および解像機構と連絡している。プログラム可能分析装置は、カートリッジ保持および操作装置、試料照明装置および解像機構の1つ以上との間で信号を送信および受信するために適合する(例えばプログラム化する)。例えば、分析装置は、1)光学機器、照明装置および解像機構の1つ以上に比してカートリッジおよびチャンバを位置決めするために該カートリッジ保持および操作装置との間で信号を送信および受信する、2)既定波長(または多数の波長)で光を発光させるために試料照明装置へ信号を送信する、および3)規定時間にわたり光を捕捉するために解像機構との間で信号を送信および受信するために適合する。プログラム可能分析装置の機能性は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエアまたはそれらの組み合わせを使用して実施できることに留意されたい。当業者であれば、本明細書に記載した機能性を実施するために、過度の実験を行わずに処理装置をプログラムすることができる。
【0022】
プログラム可能分析装置は、1つ以上の既定アルゴリズムにしたがって解像機構から受信した信号を処理するためさらに適合する。特定のアルゴリズムの詳細は、目前の分析に依存することになる。上述のように、本発明は、全血試料上でLDCを実施するために適用された場合に特定の有用性を有するので、本明細書では、本発明の有用性を例示するために、LDCを実施することについて説明する。しかし本発明は、特定の分析には限定されない。
【0023】
LDCを実施するために、本アルゴリズムは、その特徴の各々が他の特徴から識別可能であり、各々が試料の画像から定量的に決定できる1セットの識別特徴を利用する。各WBCは、所定の識別特徴の存在または非存在によって、および/または所定の特徴に関連する定量的情報によって特徴付けることができる。許可の与えられる開示を提供するために、本発明は、WBCを選択的に識別および区別するために使用できる識別特徴の典型的セットに関して記載する。このセットは可能性のある全ての特徴を含む訳ではないので、このため本発明はこの特定セットに限定されない。
【0024】
WBC分析のためには、識別特徴の例示的セットには、細胞(Cell)、核(Nucleus)、極大部分(Lobe)の数、細胞領域(Cell Area)、核領域(Nucleus Area)、大型顆粒の比率(Ratio of Large Granules)、核の比率(Ratio of Nucleus)、赤色−緑色比(Red-Green Ratio)、核の形状(Nucleus Shape)、細胞の形状(Cell Shape)、核の輝度(Nucleus Brightness)、細胞質の輝度(Cytoplasm Brightness)、所定の波長での平均細胞吸光度(Average Cell Absorption at a Given Wavelength)、核の組織(Nucleus Texture)、細胞質の組織(Cytoplasm Texture)、所定の波長での細胞吸光組織(Cell Absorption Texture at a Given Wavelength)、核の中空度(Nucleus Hollowness)および細胞質の中空度(Cytoplasm Hollowness)と題する識別特徴が含まれ、その各々については以下で説明する。
【0025】
一部の例では、所定の特徴は特定細胞についての情報(例えば、核の形状)を直接的に提供する。他の例では、1つの特徴(例えば、細胞領域)を使用すると特定細胞についての情報(例えば、核領域対細胞領域の比率−上記では「核の比率」と呼ばれている、など)を間接的に提供することができる。
【0026】
識別特徴は、定量可能な特徴、例えば光強度、光の色味、OD、面積および相対位置(例えば、形状)に基づく。上述したように、色は、励起されると特定の色と関連する特定波長で蛍光発光を生成する、試料と混合される1つ以上の着色剤によって作り出される。全血試料上でLDCを実施する場合に使用され得る許容される着色剤の1つの例は、アクリジンオレンジ(「ACO」)である。ACOは、全血試料と混合されると、試料内の成分、例えば白血球、血小板、網状赤血球および有核赤血球を選択的に染色する蛍光染料である。WBCに関して、ACOは各WBCを透過し、そのDNAおよびRNAを染色する。WBC内で染料によって発光される色は、該染料内のRNAおよびDNAの量、該成分内の染料の濃度ならびに該成分のpHを含む多数の因子の関数である。本発明は、ACOを使用することに限定されず、他の染料(例えば、アストラゾンオレンジ)をACOに代えて、またはACOと組み合わせて使用することができる。1つの例としてACOおよび白血球を使用し、該試料を470nmまたは約470nmの波長の励起光に曝露させると、白血球の核内の物質(例えば、DNA)に結合したACOは約540nmで発光し(緑色に見える)、白血球の細胞質内の物質(例えば、RNA)に結合したACOは約660nmで発光する(赤色に見える)ことになる。
【0027】
上述したように、試料内のOD値は細胞内で自然に発生する物質(例えば、ヘモグロビン)による既定波長での吸光度の関数である、および/または試料内の成分によって吸収された(または吸収されなかった)着色剤の関数である可能性がある。
【0028】
1つ以上の既定波長での特定のピクセル群の識別は、様々な相違する技術を用いて実施できる。例えば、セグメンテーション技術を使用すると、画像内の基準(例えば、強度および色)を満たすピクセルだけを描出するマスキング画像を生成することができる。画像の緑色光部分(例えば、核)または赤色光部分(例えば、細胞質)だけから、または両方からの情報を引き出す分析のために、試料画像は、緑色もしくは赤色または両方を示すピクセルだけを描出する部分画像を生成するためにマスキングし得る、およびさらに既定強度閾値によって区別することもし得る。本発明は、任意の特定セグメンテーション技術には限定されず、目前の用途を考慮して特定の技術を選択することができる。例えば、ピクセルが1つの対象に属する、または属さないかのいずれかであると指定されるハードセグメンテーション技術を使用できる。「ハード」セグメンテーション技術は、閾値化、領域拡張または流域型ルーチンを使用して実行できる。または、ソフトセグメンテーション技術、例えば、各ピクセルに0〜1の範囲内の数値が指定され、その数値は特定ピクセルが該対象に属する可能性を記述する「ファジー」セグメンテーションを利用できる。以下の識別特徴の各々についての説明は、定量的データ、例えば波長および強度に関連するデータが1つのWBCを別のWBCから区別するための根拠を提供できる方法についての明白な例を提供する。本発明はさらに、セグメンテーション技術を使用することには限定されず、ピクセルを選択する(つまり「選別する」)、またはさもなければ特定属性を有するピクセルを区別する他の技術を使用し得る。
【0029】
用語「細胞(Cell)」は、画像全体の強度と比較して高レベルの強度(すなわち、既定IVU閾値またはその上方)での緑色発光および/または赤色発光を描出する画像内の1群の実質的隣接ピクセルを含む識別特徴を意味する。そこで、既定強度レベルまたはその上方で既定の色(例えば、赤色および緑色)を有するピクセルは、定量的に識別される。例えば、
図5(a)〜(d)は、緑色光および赤色光を示す試料画像内のWBCを含有する領域を例示している。
図9(a)〜(d)は、閾値強度レベルまたはその上方の領域、すなわち細胞を規定する上記の画像内の1群の実質的隣接ピクセルを例示している。
【0030】
用語「核(Nucleus)」は、画像全体の強度に比較して高強度レベルで緑色発光を描出する画像内の1群の実質的隣接ピクセルを含む識別特徴を意味する。上述したように、セグメンテーション技術を使用して、既定強度閾値またはその上方での緑色発光の定量値基準を満たす画像内のピクセルだけを描出するマスキング画像を生成し得る。IVU閾値またはその上方での緑色発光を描出する画像内の隣接ピクセルの各群は、これにより「核」特徴であると特徴付けられる。上述したように、
図10(a)〜(d)は、核特徴を示すマスキング画像を例示している。
【0031】
用語「極大部分(Lobe)」は、緑色蛍光チャネル(例えば、540nm)内の局所的最大強度である画像内の隣接ピクセルの1群を含む識別特徴を意味する。用語「局所的最大強度」は、その数値が周囲のピクセルより顕著に大きい実質的に同一強度値(すなわち、定量可能値)を有する1群のピクセルを意味している。
図11(a)は、局所的最大発光強度を示すピクセルの単一群によって識別可能である単一極大部分を有するWBCを例示している。
図11(c)および(d)は、1対の極大部分を有するWBCを例示している。
図11(b)は、3つの極大部分を有するWBCを例示している。
図13は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する極大部分の数(すなわち、定量可能値)における差をグラフ表示している。例えば、好中球に関連する極大部分の数は、極大部分の数を、好中球を区別するために使用し得る識別特徴にする。
【0032】
図13、14、16〜18、21〜24および26〜29は、WBC画像のトレーニングセットから収集された経験的データを描出しているグラフである。これらのグラフは、特定識別特徴についての関連する定量可能なデータとともに、水平軸と対比させて確率分布密度関数(「pdf」)を備える垂直軸を含む。これらのグラフは、WBCと各特徴との関係を良好に例示しているが、本発明はこれらの特定タイプのグラフには限定されない。例えば、確率分布密度関数は、トレーニングセットからの経験的データの統計的表示である。または他の統計的表示を使用することができる。
【0033】
「細胞領域(Cell Area)」は、特定細胞であると識別される画像内の定量可能な領域を意味する識別特徴である。各ピクセルは画像の公知の領域を表すので、所定の細胞または他の成分もしくは要素の領域は、ピクセル数から決定できる。しかし本発明は、細胞領域値を決定する本方法には限定されない。
図14は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する細胞領域における差をグラフ表示している。例えば、リンパ球に関連する細胞領域は、細胞領域をリンパ球を区別するために使用できる識別特徴にさせる。
【0034】
「核領域(Nucleus Area)」は、特定の核であると識別される画像内の領域を意味する識別特徴である。例えば、核領域は、細胞領域を決定するために上述した方法で決定することができる。決定された核領域の数値は、核領域の定量可能値を提供する。
【0035】
「大型顆粒の比率(Ratio of Large Granules)」は、細胞領域全体にわたって、細胞内の高青色OD領域の合計の比率である識別特徴である。用語「高青色OD領域」−「大型顆粒」とも呼ぶ−は、既定閾値(すなわち定量可能値)より上方の青色OD値を有する画像内の隣接ピクセルの1群を意味する。青色OD値は、試料を通して約413nmの波長で青色光を透過させることによって作り出される。青色OD値を決定するために使用される青色透過光は、約405〜425nmの範囲内にあってよい。約413nmでの青色透過光は、ヘモグロビン(HGB)が413nmまたは約413nmでのピーク吸光を示すので有益である。各大型顆粒は該OD画像内で明るいピクセルの1群として見え、各々は、既定閾値を超えるOD(例えば、>300ミリOD)を有するピクセルを除く全てのピクセルをマスキングする、OD画像内でのセグメンテーション技術によって検出することができる。
図15は、細胞内の高青色OD領域(すなわち、好酸球内の大型顆粒)の1つの例を例示している。
図12(a)〜(d)は、相違するタイプのWBC内の高青色ODを伴うピクセルをさらに例示している。本発明者らの現在までの研究は、LDC内で考察される細胞に比較して、好酸球だけが細胞内の高強度青色ODの有意な領域を有することを示している。
図16は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する大型顆粒の比率における差をグラフ表示している。
図16から明らかなように、大型顆粒の比率は、LDC内の他の成分から好酸球を容易に区別するために使用できる定量可能な識別特徴である。
【0036】
「核の比率(Ratio of Nucleus)」は、上記で規定した特徴と同様に、細胞領域全体にわたる核領域の比である識別特徴である。
図17は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する核の比率(すなわち、定量可能値)における差をグラフ表示している。例えば、リンパ球に関連する核の比率は、核の比率をリンパ球を区別するために使用できる識別特徴にさせる。
【0037】
「赤色−緑色比(Red-Green Ratio)」は、緑色蛍光を描出する識別された細胞内のピクセル(もしくは領域)の平均強度値と比較した、赤色蛍光を描出する識別された細胞内のピクセル(もしくは領域)の平均強度値の比率である識別特徴である。
図6(a)および7(a)(または6(b)および7(b)、または6(c)および7(c)、または6(d)および7(d))は、特定タイプの細胞の結合された赤色蛍光および緑色蛍光を例示している。
図6(a)(または6(b)、6(c)もしくは6(d))に示した画像は、赤色蛍光からの成分だけを描出している部分画像であり、
図7(a)(または7(b)、7(c)もしくは7(d))は、緑色蛍光からの成分だけを描出している同一細胞の部分画像である。赤色−緑色比は、各色の平均強度値の比率である。
図18は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する赤色−緑色比における差をグラフ表示している。例えば、リンパ球に関連する赤色−緑色比は、赤色−緑色比を、リンパ球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0038】
「核の形状(Nucleus Shape)」は、核の真円度を記載する識別特徴である。様々な幾何学的技術を使用すると、その核が画像内で二次元物体として見える試料画像内の核の真円度を決定することができる。例えば、単一細胞に関して、セグメンテーション技術を使用して、細胞の核と関連するピクセル(すなわち、緑色を示すピクセル)を識別し得る。核ピクセルが識別されると、核の境界に所在するピクセルが識別される。核の重心(すなわち、核によって被覆された領域の重心)は、境界ピクセルの全部の位置を平均化することによって規定できる。ピクセル既定体に近似する、および該重心を中心とする円が該ピクセル体に適用される。
図19は、マスキング画像内のピクセルによって規定された核および該ピクセル体に適用された円の例を例示している。
図20は、対応する境界ピクセルを例示している。境界ピクセルの位置は、核の真円度、例えば、境界ピクセルのほぼ完全な円からの偏差値(すなわち、定量可能値)を決定するために集合的に使用される。例えば、各境界ピクセルの位置は、円の半径(r
c)未満の境界ピクセルの半径(r
BP)の差を円の半径で割ることによって、正規化項で記述することができる:
【0040】
境界ピクセルが円上に存在する場合は、分子(r
BP−r
c)はゼロに等しく、偏差はゼロである。真円度からの偏差(rNormalized)は次に、形状の真円度、例えば核の真円度の尺度として使用できる。
図21は、リンパ球、好中球、単球および好酸球の統計的に有意な集団についての核の真円度を比較したグラフである。このグラフは、リンパ球内の核の真円度が好中球、単球および好酸球の真円度とは顕著に相違し、それにより核の形状を、リンパ球を区別するために使用できる識別特徴にさせることを明白に示している。核の真円度を決定するための上述した技術は許容できる技術の例であって実施可能のために提供されるが、本発明は特定の技術には限定されない。
【0041】
「細胞の形状(Cell Shape)」は、細胞の境界の形状、すなわち該画像の二次元平面内の細胞の境界ピクセルの分布を評価する識別特徴である。核の真円度を決定するための上述の技術を使用すると、該細胞の細胞の形状(例えば、楕円形、長円形など)を決定することができる。細胞の形状に関して、この技術を使用すると、好ましくは細胞の形状、例えば天然型細胞の形状のより密接な近似である楕円形からの偏差(すなわち、定量可能値)を決定することができる。本発明は、上述の技術、または近似としての楕円形を使用することには限定されない。
図22は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する細胞の形状における差をグラフ表示している。好中球に関連する細胞の形状は、例えば細胞の形状を、好中球を区別するために使用できる識別特徴にさせる。
【0042】
「核の輝度(Nucleus Brightness)」は、核内の平均緑色蛍光強度を定量する識別特徴である。
図7(a)〜(c)は、リンパ球、好中球および好酸球の核が単球の核(
図7(d))より大きな強度を有する(すなわち、より明るく見える)ことを示している。強度における上記の差は、単球核の内側のクロマチンの希薄な分布と対比させた、リンパ球、好中球および好酸球の核の内側のクロマチンの相当に密な分布に起因する。本発明の一部の実施形態では、核の輝度は、核内の平均緑色蛍光強度値の正規化値と比較して決定される。正規化値は、試料内の変動性、例えば試料内の不均一な染色を説明するために役立つ。強度値を正規化するために使用される正確な技術は、目前の用途に適合するように変動させることができ、本発明は、いかなる特定の正規化技術にも限定されない。例えば、一部の場合には、核内の平均緑色蛍光強度値の強度値は、隣接細胞の強度値と比較して、または試料全体の細胞に比較して正規化することができる。
【0043】
「細胞質の輝度(Cytoplasm Brightness)」は、細胞質内の平均赤色蛍光強度を定量する識別特徴である。
図6(a)〜(d)は、所定の細胞の細胞質領域からの赤色蛍光発光の強度を示している。リンパ球の細胞質から発光された赤色光の強度は、単球の細胞質から発光された赤色光の強度に比較して低い。単球の細胞質から発光された赤色光の強度は、順に好中球および好酸球の細胞質から発光された赤色光の強度に比較して低い。上述したように、本発明の一部の実施形態では、輝度値は、正規化値、例えば細胞内の正規化平均赤色蛍光高強度と比較して決定される。強度値を正規化するために使用される正確な技術は、目前の用途に適合するように変動させることができ、本発明は、いずれか特定の正規化技術に限定されない。
【0044】
「所定の波長での平均細胞吸光度(Average Average Cell Absorption at a Given Wavelength)」は、細胞を透過した所定の波長での青色に関連する細胞の平均OD(例えば、「平均青色OD強度」)を定量する識別特徴である。上述したように、青色透過光は約405〜425nmの範囲内にある可能性があり、約413nmでの青色透過光は、ヘモグロビンがピーク吸光度を有するのは413nmまたは約413nmであるので有益である。細胞の平均青色OD強度を定量するために、約413nmの波長での青色光が各細胞を透過させられる。青色光と関連するODは、1ピクセルベースで決定される。
図9(a)〜(d)は各々、既定閾値より大きい赤色蛍光または緑色蛍光強度値を有するピクセル以外の全てがマスキングされている各細胞のマスキングバージョンを示している。各細胞のマスキングされた部分内のOD(すなわち、波長413nmと関連しているOD)の平均値が決定される。
図8(a)〜(d)は、各細胞を透過させられている上記の光の結果として生じた青色ODの画像を示している。
図8(a)〜(d)の評価を促進するために、各画像内に平均細胞吸光度が決定される外側領域と内側領域との間の境界を示している環状線が引かれている。
図23は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する413nmでの平均細胞吸光度における差をグラフ表示している。例えば、好酸球と関連する413nmでの平均細胞吸光度は、同様に
図8(a)〜(d)からも明らかである、413nmでの平均細胞吸光度を好酸球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0045】
「核の組織(Nucleus Texture)」は、細胞核領域内で発光される緑色蛍光の「組織」を定量する識別特徴である。用語「組織」は、典型的には1ピクセルベースで細胞核内の緑色蛍光の変動性を意味するために使用される。核の組織を定量するために、数種の異なる技術を使用できる。例えば、1ピクセル当たりの平均正規化緑色光強度値の標準偏差を使用すると、核の組織を定量することができる。正規化緑色蛍光強度値は、緑色蛍光を発光する細胞内のピクセル全てを識別し、最低強度を備えるピクセルにゼロの任意値を指定し、最高強度のピクセルに1の値を指定することによって決定できる。強度値(すなわち、定量可能値)の標準偏差は、公知の技術を用いてそれらの数値から計算できる。
図24は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する核の組織における差をグラフ表示している。リンパ球に関連する核の組織は、例えば核の組織をリンパ球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0046】
「核の中空度(Nucleus Hollowness)」は、核の組織に加えて、または核の組織の代わりに使用できる識別特徴である。核の中空度は、緑色蛍光画像内の細胞の外側部分上に配置された1群のピクセルの強度(すなわち、定量可能値)と対比した細胞の内側部分内に配置された1群のピクセルの強度(すなわち、定量可能値)の比率である。何が「外側部分」であり何が「内側部分」であるかの定義は、目前の用途に、例えば経験的データに基づいて適合させるために変動させることができる。例えば、外側部分は細胞の境界に存在する少数ピクセルのバンド、例えば、ピクセルサイズがおよそ0.5μmである場合の細胞の境界での3ピクセルのバンドであると規定できる。そこで内側部分は、外側部分以外の細胞内の領域である。
図25Aは、核の内側部分と外側部分との間の強度における差を例示するための緑色チャネル内の細胞核を含む。
図25Bは、類似の画像を含有しており、内側および外側部分の識別を促進するための環状線を含む。内側群と外側群のピクセルの相対強度は、典型的に好中球の一部における内側ピクセルの強度が外側ピクセルの強度よりは定量可能に低いような強度である。
図25Aおよび
図25Bは緑色チャネルおよび赤色チャネル画像を示しているが、このとき
図25Aは穴のように見える核内の薄暗い部分を示している。
図26は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する「核の中空度」における差をグラフ表示している。例えば、好中球に関連する「核の中空度」は、細胞の他のタイプより大きな数値を有し、好中球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0047】
「細胞質の組織(Cytoplasm Texture)」は、細胞の細胞質内で発光される赤色蛍光の「組織」を定量する識別特徴である。用語「組織」は、典型的には1ピクセルベースで細胞の細胞質内の赤色蛍光の変動性を意味するために使用される。細胞質の組織を定量するために、数種の異なる技術を使用できる。例えば、1ピクセル当たりの平均正規化赤色光強度値の標準偏差を使用すると、細胞質の組織を定量することができる。正規化赤色蛍光強度値は、赤色蛍光を発光する細胞内のピクセル全てを識別し、最低強度を備えるピクセルにゼロの任意値を指定し、最高強度のピクセルに1の値を指定することによって決定し得る。強度値の標準偏差は、公知の技術を用いてそれらの数値から計算できる。
図27は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する細胞質の組織における差をグラフ表示している。好中球に関連する細胞質の組織は、例えば細胞質の組織を好中球を区別するために使用できる識別特徴にさせる。
【0048】
上記の核の組織および核の中空度に関して記載した方法に類似する方法で、「細胞質の中空度」は、細胞質の組織に加えて、または細胞質の組織の代わりに使用できる識別特徴である。細胞質の中空度は、赤色蛍光画像内の細胞質の外側部分上に配置された1群のピクセルの強度と対比させた、胞質の内側部分内に配置された1群のピクセルの強度(すなわち、定量可能値)の比率である。内側群と外側群のピクセルの相対強度は、典型的には内側ピクセルの強度が好中球および好酸球内の外側ピクセルの強度より定量可能に低いような強度である。
図28は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する「細胞質の中空度」における差をグラフ表示している。好中球に関連する「細胞質の中空度」は、例えばリンパ球および単球に関連する細胞質の中空度より大きいが、好酸球に関連する細胞質の中空度より小さいので、このため細胞質の中空度を好中球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0049】
「所定の波長での細胞吸光組織(Average Cell Absorption at a Given Wavelength)」は、そのODが1ピクセルベースで検知される、細胞を透過する所定波長での青色光に関連する細胞のOD値の組織を定量する識別特徴である。上述したように、青色透過光は約405〜425nmの範囲内であり得、約413nmでの青色透過光は、ヘモグロビンがピーク吸光度を有するのは413nmまたは約413nmであるので有益である。「組織」は、細胞内のOD値の変動性を意味する。上述したように、その組織を定量するためには幾つかの相違する技術、例えば、413nmでの青色光と関連するOD値の標準偏差を使用できる。
図29は、リンパ球、好中球、単球および好酸球に関連する413nmでの細胞吸光組織における差をグラフ表示している。例えば、好酸球と関連する413nmでの細胞吸光組織は、413nmでの細胞吸光組織を、好酸球を区別するために使用できる識別特徴にする。
【0050】
該特徴の各々についての上記の説明は、それを用いると細胞の特徴を評価できる定量可能値を示している。本発明は、定量可能値の特異的に識別された形態には限定されない。例えば、赤色−緑色比は、識別された細胞内の緑色蛍光を描出するピクセル(もしくは領域)の平均強度値に比較した識別された細胞内の赤色蛍光を描出するピクセル(もしくは領域)の平均強度値の比率であると記載されている。括弧内に「もしくは領域」と指示されているように、赤色−緑色比は領域によって、またはその領域内の各光の強度値が既定閾値を満たす(各々が試料画像内の領域を表す)ピクセル比によって説明することができる。
【0051】
上述のように、プログラム可能分析装置は、LDCを実施するためのアルゴリズム内で、上記の特徴などの識別特徴を利用するために適合する。上記の特徴によって提供される定量的情報は、LDCと関連する情報を提供するための多数の様々な方法で処理できる。
【0052】
一部の実施形態では、例えば、プログラム可能分析装置は、1つ以上の特徴に比較して試料画像を評価し、該試料内の細胞を分類するためにそのような評価を使用するルールベース分類器を含むために適合する。上記のように、各特徴は、定量値によって記述することができる。試料画像内の細胞の一部または全部は、特徴によって評価される。すなわち、その特徴についての定量値は、試料画像から決定される。決定された定量値は、次にその細胞がWBCの特定タイプであるか否かを決定する目的で、その特徴についての参照値に対して(例えば、比較して)評価される。定量値を決定し、それを参照値と比較する工程が、考察下の特徴の各タイプについて(例えば、目前の分析に依存して、一部の分析は特徴の全部を考察することができない)行われる。例えば、特定の細胞画像を評価するためには、分類器は、最初に細胞領域特徴を考察できる。決定された細胞領域が規定細胞領域値(例えば、60)より小さい場合は、分類器によって適用されるルールは、所定のWBCタイプが除外され、その他が含まれることを規定できる。例えばリンパ球がpdfにおいて60未満の領域を示しており、好酸球、単球、好中球各々が60を超える領域を有する
図14を参照されたい。用語「除外される」は、本明細書では可能性が統計的に低いことを意味し、用語「含まれる」は、その逆である可能性が統計的に高いことを意味するために使用される。次に、ルールベース分類器は、極大部分の数を決定するために細胞画像を評価することができる。決定された極大部分の数が規定値(例えば、2)以上である場合は、次に該分類器によって適用されたルールが、所定のWBCタイプを除外し、その他を依然として含むことを規定することになる。細胞が2つ以上の極大部分を有する確率がリンパ球についてより単球および好中球についての方が高いが、好酸球については依然として実質的に高いことを示している
図13を参照されたい。次に、ルールベース分類器は、細胞画像を評価して所定の波長で平均細胞吸光度についての定量値を決定することができる。所定の波長(例えば、413nm)で決定された平均細胞吸光度値が規定閾値(例えば、約215)より大きい場合は、次に分類器によって適用されるルールは、所定のWBCタイプを除外し、その他を依然として含むことを規定することになる。例えば、約215の数値より上方では好中球、単球およびリンパ球を排除することができ、好酸球だけを含めることができることを例示している
図23を参照されたい。そこで、考察下の各特徴についての定量値を決定し、引き続いて所定のルールを使用してそれらの数値を評価することによって、ルールベース分類器は、該WBCタイプ、すなわち好酸球に関する定量を基礎とする決定を行う。
【0053】
WBCの1つのタイプについての各識別特徴の定量値は、特定の被験者(subject)からの試料集団内である程度変動する可能性が高く、さらに被験者間で変動する可能性がある。本発明は、この変動性を、例えば、細胞画像を評価するために複数の特徴を利用することによって取り扱う。細胞を評価および識別するために2つ以上の特徴を使用することによって、本発明の方法は、任意の特定特徴が評価の精度に有害な影響を及ぼす可能性を減少させる。
図30に提供した表は、特定タイプのWBCと関連する主要な識別特徴群を例示している。これらの特徴群の分類は、4部LDC内で1つのWBCを別のWBCから有意に区別するために使用できる群の例である。変動性は、また、各特徴と関連する定量的参照値の大きさを選択的に調整することによって取り扱うこともできる。
【0054】
一部の実施形態では、プログラム可能分析装置は、学習モデルベース分類器を含めるために適合する。
図31は、学習モデルベース分類器と関連する工程の例を例示するフローチャートである。チャートから明らかなように、トレーニング試料画像は、分類器をトレーニングするために使用され、トレーニングされた分類器は、順に学習モデルを構築する。学習モデルが開発されると、そのモデルは次に、試料から細胞画像と関連する特徴(例えば、上述したような特徴)を評価するために、およびそれらの特徴に基づいて細胞をWBCの特定タイプであると分類するために利用される。
【0055】
トレーニング試料画像は、LDC内で識別可能なWBCの各タイプについて経験的に(例えば、熟練の技術者によって)収集することができる。例えば、
図32はトレーニングセットからの12枚のリンパ球画像を例示し、また
図33、34および35は単球、好酸球および好中球各々についてのトレーニングセットにおける例を例示している。各セット内の細胞画像の数は、トレーニング目的で各WBCタイプについての十分なデータ、つまり、分類器が分析タイプのための許容できる精度レベルでトレーニングされることを可能にするために十分なデータを提供するために選択される。この実施形態内で使用される学習モデルは、いかなる特定サイズのトレーニングセットにも限定されない。トレーニングセットは、相違する人での、相違するイメージング条件間などの変動性を忠実に表すために、数百〜数千の各タイプのWBCを含有できることが多い。
【0056】
分類器は、各細胞についての各特徴についての定量的参照値を決定し、次にトレーニングセットのための各特徴についての集合的定量参照値(または参照値の統計的表示、例えば、確率分布密度関数)を決定するために、トレーニングセット内の各細胞画像を定量的に評価することによってトレーニングできる(および学習モデルを開発することができる)。集合的参照値(またはその統計的表示)を次に使用すると、学習モデルを構築できる。
図13、14、16〜18、21〜24および26〜29は、その特徴に比較してリンパ球、単球、好酸球および好中球について、トレーニングセットに基づく各特徴と関連する確率分布密度関数をグラフ表示している。学習モデルは、本用途が実際画像データおよびその画像データの自動解釈に基づいて調整できることを許容し、それにより所望の精度レベルを提供する。
【0057】
本発明は、いかなる特定タイプの学習モデルにも限定されない。許容できるタイプの学習モデルの例には、統計的モデル、例えばベイズ分類器(Bayesian classifier)、線形モデル、例えばサポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)および神経回路網モデル、例えば多層パーセプトロンが含まれる。ベイズ分類器モデルによって、ベイズモデルは、WBCタイプの各々についての事後分布を計算するために各特徴についての上述した確率分布密度関数を利用して実行することができる。各事後分布は、関連証拠(例えば、計算された特徴)が考慮に入れられた後に1つの事象(例えば、特定WBCの発生)の条件付き確率について記述する。ベイズモデルは、次にどのWBCが最大事後分布を有するのかを決定するために事後分布を評価する。評価下の細胞画像は、次に最大事後分布を有するWBCと同一タイプであると標識される。ベイズ確率モデリングは周知であり、本発明は、ベイズモデリングに関連するいずれかの特定の数学的手法には限定されない。ベイズモデリングを詳細に記載しているテキストの1つの例は、参照により全体として本明細書に組み込まれるR.O.Duda,P.E.Hart,and D.G.Storkによる「Pattern Classification」,John Wiley & Sons,2001に記載されている。
【0058】
サポートベクターマシン(「SVM」)は、特徴について開発されたトレーニング試料を利用し、データがn次元空間内で線形分離可能であるかどうかを決定するためにそれらを組織化する線形分離器である。データが特徴データ群間に伸長する(n−1)次元超平面によって線形分離可能である場合は、そのデータは超平面と比較したその位置によって分類することができる。超平面の最適位置は、各データ群からのデータポイントとアライメントされたサポートベクターを使用することによって該データと比較して選択することができる。最適超平面位置(すなわち、超平面と最も近いデータポイント/サポートベクターとの間の境界が最大である位置)が決定されると、次に超平面の位置はWBC間を識別するための機構になる。すなわち、超平面の片側に存在するデータポイントは特定タイプのWBCと関連し、超平面の他方の側に存在するデータポイントは別のタイプのWBCと関連している。SVMによって、超平面は2次元、3次元またはより高次元の「参照値」であると考えてもよい。確率情報が線形分離可能ではない所定の場合には、時にはデータを非線形関数(例えば、多項式もしくはRBFカーネル関数)を使用して認識できるデータ操作技術(典型的には「カーネルトリック」と呼ばれる)を使用することが可能である。認識されたデータは、超平面の位置決め、および結果としてWBCタイプの決定を許容する。SVMタイプ分類器は周知であり、本発明はそのいかなる特定実施形態にも限定されない。SVMタイプの分類器について詳細に記載しているテキストの例は、各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる「A Training Algorithm for Optimal Margin Classifiers」,B.E.Boser,I.M.Guyon,and V.N.Vapnik,In D.Haussler,editor,5
th Annual ACM Worshop on COLT,pgs.144-152,Pittsburgh,PA,1992,ACM Pressおよび「A Tutorial on Support Vector Machines for Pattern Recognition」,C.J.C.Burges,Data Mining and Data Knowledge Discovery 2:121-167,1998である。
【0059】
上述したように、本発明は、任意の特定の学習モデルを使用することに限定されない。一部の場合には、モデルの組み合わせを使用し得る。例えば、ルールベース分類器は、所定の用途ではデータの初期組織化を行うために実行できる。残りのデータは、学習モデル、例えば上記のSVMモデルを使用して分析してもよい。
【0060】
本発明の操作においては、全血の未希釈試料を
図3に例示したカートリッジのようなディスポーザブルカートリッジ内に収集する。1つ以上の着色剤(例えば、ACO)を含む試薬および抗凝固剤(例えば、EDTA)が、LDC分析を促進するために試料に加えられる。試薬と混合した試料はカートリッジの分析チャンバ部分内に配置され、該チャンバ内でイメージングプロセス中は静止して存在する。カートリッジを分析装置内に挿入し(さもなければ係合し)、そこで対物レンズ、試料照明装置および解像機構に対してカートリッジ保持および操作器具によって適切に位置決めをし、引き続いてイメージングする。
【0061】
ほとんどの場合に、分析装置は、チャンバ内に静止して存在する試料の全体をイメージングするようにプログラミングされる。しかし一部の用途では、試料の一部分をイメージングし得る。イメージング工程は、目前の用途に依存して変動させ得る。上述の4部LDCのためには、イメージング工程は、該試料を蛍光励起光源(例えば、落射蛍光光源からの約470nmでの光)および透過光源(例えば、413nmまたは約413nmでの青色光)に曝露させる工程を含む。励起光源は、該試料内に配置された要素と結合された着色剤が2つの相違する波長(例えば、赤色約660nmおよび緑色約540nm)で蛍光を発光することを誘発する。透過光の一部の量は試料を通過し、残りは試料/着色剤によって吸収される。解像機構は、試料を透過した光および試料からの蛍光を捕捉し、捕捉された光の強度および色を表現する信号を提供する。信号はプログラム可能分析装置が信号に基づいて試料の画像を形成することを許容する形態に処理され、その画像は、4部LDCを実施するために定量的に分析することができる。
【0062】
上述したように、本発明の一部の実施形態では、プログラム可能分析装置は、学習モデルを含むアルゴリズムと適合する。このモデルは、トレーニングセットを用いて開発され、開発されると、試料内のWBCを正確に識別し、WBCをリンパ球、単球、好酸球および好中球であると分類するために使用できる。特定分析装置内のアルゴリズム(学習モデルを利用するアルゴリズムを含む)は、マスターコピーから提供することができ、その特定分析装置のプログラム可能分析装置内にダウンロードすることができる。
【0063】
図30および31を参照すると、試料画像の定量的分析中に、該アルゴリズムは該画像内のWBCを識別する。分析を促進および/または効率化するために、試料画像を、細胞であると識別されたそれらの部分を除く全試料画像を排除するために(例えば、セグメンテーションによって)マスキングし得る。細胞であると識別された画像部分は、次に1つ以上の特徴によって、および典型的には実質的に全部の特徴によって定量的に評価することができる(例えば、
図30に開示した特徴群分類を参照されたい)。細胞の各々について特徴の各々についての定量値(または確率分布密度関数)は、次に細胞を分類するためにアルゴリズム(例えば、学習モデル部分)内で利用される。細胞が分類および計数されると、データはLDCデータを提供するために組織化される。
【0064】
本発明の方法および装置の精度に関する予備調査は、高度の精度を示している。この予備調査は、被験者62例の集団からの試料を利用し、試料の各々について本発明を使用して決定されたWBC識別結果を手作業で試料を試験する経験のある血液学者によって作成された試料分析結果と対比して比較した。1セット500〜1,000個の細胞が各試料から評価された。試料の2回の分析の線形回帰分析は、好中球、リンパ球、単球および好酸球について、R
2値が手作業分析結果と本発明による分析装置からの結果との緊密な一致を示すことを証明している。
【0065】
本発明をその詳細な実施形態を参照して示して記載してきたが、当業者には形態およびその詳細における様々な変更を本発明の精神および範囲から逸脱せずに加えられることが理解される。