【実施例】
【0056】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、車両に搭載されたナビゲーション装置300を移動体情報取得装置100として、本発明を適用した場合の一例について説明する。
【0057】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。
図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、カメラ314、通信I/F315、GPSユニット316、および各種センサ317を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0058】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ更新プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0059】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0060】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0061】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データや車両に関する情報、車両の速度に関する情報、車両の走行に伴って消費および回収されるエネルギー量(実エネルギー量)、基準となる時点の車両に関する情報に基づいて走行により消費および回収されるエネルギー量(基準エネルギー量)、実エネルギー量に基づく係数k
nなどが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて車両情報取得処理により取得される車両の状態を報知する際に用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含んでいる。
【0062】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、例えば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
【0063】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0064】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、例えば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0065】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0066】
カメラ314は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、例えば、カメラ314によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
【0067】
通信I/F315は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F315は、例えば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)/ビーコンレシーバなどである。
【0068】
GPSユニット316は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット316の出力情報は、後述する各種センサ317の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、例えば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0069】
各種センサ317は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ317の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0070】
図1に示した移動体情報取得装置100の現在情報取得部101、設定部102、推定部103、算出部104、記録部105、報知部106は、上述したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0071】
(ナビゲーション装置300によるエネルギー推定の概要)
本実施例のナビゲーション装置300は、車両の自装置が搭載された車両の走行中における単位時間当たりのエネルギー量を推定する。また、ナビゲーション装置300は、推定したエネルギー量に基づいて、エネルギー節約量を推定する。また、ナビゲーション装置300は、例えばCANを介して取得した実エネルギー量、速度、加速度に基づいて、重回帰分析法や回帰分析法により車両情報を推定する。
【0072】
具体的には、ナビゲーション装置300は、次の(1)式を用いて車両が消費するエネルギー量を推定する。
【0073】
【数2】
【0074】
上記式(1)において、右辺第1項は車両に備えられた装備品により消費されるエネルギー量(第一情報)であり、右辺第2項は加減速時に消費および回収されるエネルギー量(第二情報)であり、右辺第3項は一定速度による走行時に消費されるエネルギー量(第三情報)である。また、上述した(1)式の右辺各項にそれぞれかかる係数k
1、係数k
2、係数k
3(係数k
n)は、車両情報である。
【0075】
上記式(1)においては、時をあらわす単位として時間(h)および秒(s)が混在して用いられているが、これは、速度の単位として時速(km/h)を採用し、車両が消費するエネルギー量を推定する際の単位時間として秒(s)を採用したためである。これらの単位を揃えたい場合は、それぞれの数値に適宜演算を行えばよい。
【0076】
(ナビゲーション装置300における移動体情報取得処理)
上述のように、ナビゲーション装置300は、車両のエネルギー量を増減させる複数の要因ごとに、実エネルギー量の基準エネルギー量に対する変化量を算出し、変化量が変化したことに基づいて基準となる時点からの移動体の状態を取得して報知する。以下、移動体情報取得処理の詳細について説明する。
【0077】
(移動体情報取得処理:その1)
図4は、ナビゲーション装置による移動体情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、CANを介して、ECUによって管理されている実エネルギー量(第n情報:n=1〜3)を取得する(ステップS401)。具体的には、ナビゲーション装置300は、後述するように停止状態、加減速での走行状態、一定速度での走行状態におけるそれぞれの実エネルギー量を取得することで、第n情報:n=1〜3を正確に取得できる。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えば各種センサ317によって、車両の速度、加速度を取得する(ステップS402)。つぎに、ナビゲーション装置300は、記憶装置(磁気ディスク305、光ディスク307)に記憶された車両情報(係数k
n:n=1〜3)を読み出す(ステップS403)。
【0078】
つぎに、ナビゲーション装置300は、車両が停止状態であるか否かを判断する(ステップS404)。車両が停止状態である場合(ステップS404:Yes)、ナビゲーション装置300は、上述した(1)式に示す消費エネルギー推定式を用いて、基準エネルギー量を推定する(ステップS405)。ステップS405において推定される基準エネルギー量は、停止時に消費される第一情報である。
【0079】
つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS401において取得した実エネルギー量の、ステップS405において推定した基準エネルギー量に対する変化量(実エネルギー量の変化量)を算出する(ステップS406)。ステップS404:Yesにおいて車両が停止状態であると判断されているので、この場合、ステップS401において取得された実エネルギー量は第一情報であり、ステップS406において算出される変化量は第一情報の変化量である。
【0080】
つぎに、ナビゲーション装置300は、記憶装置に、ステップS406において算出した第n情報の変化量を書き出す(ステップS407)。つぎに、ナビゲーション装置300は、第n情報の変化量が変化したか否かを判断する(ステップS408)。例えば、ナビゲーション装置300は、第n情報の変化量がゼロでない場合に、変化量が変化したと判断してもよいし、第n情報の変化量が予め設定した閾値以上である場合に、変化量が変化したと判断してもよい。
【0081】
第n情報の変化量が変化した場合(ステップS408:Yes)、ナビゲーション装置300は、例えば音声I/F308によってスピーカ310から、第n情報の変化量が変化したことを報知する(ステップS409)。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えばディスプレイ313によって、第n情報の変化量を表示し(ステップS410)、本フローチャートによる処理を終了する。また、第n情報の変化量が変化していない場合には(ステップS408:No)、そのまま、本フローチャートによる処理を終了する。
【0082】
一方、車両が停止状態でない場合(ステップS404:No)、ナビゲーション装置300は、車両が加減速での走行状態であるか否かを判断する(ステップS411)。車両が加減速での走行状態である場合(ステップS411:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS405の処理と同様に、基準エネルギー量を推定し(ステップS412)、ステップS406へ進む。ステップS412において推定される基準エネルギー量は、加減速時に消費および回収される第二情報である。また、この場合、ステップS401において取得された実エネルギー量は、加減速時に消費および回収される第二情報である。そして、ナビゲーション装置300は、上述したようにステップS406〜ステップS410の処理を行い、本フローチャートによる処理を終了する。
【0083】
一方、車両が加減速での走行状態でない場合(ステップS411:No)、ナビゲーション装置300は、車両が一定速度での走行状態であるか否かを判断する(ステップS413)。車両が一定速度での走行状態である場合(ステップS413:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS405の処理と同様に、基準エネルギー量を推定し(ステップS414)、ステップS406へ進む。ステップS414において推定される基準エネルギー量は、一定速度による走行時に消費される第三情報である。また、この場合、ステップS401において取得された実エネルギー量は第三情報である。そして、ナビゲーション装置300は、上述したようにステップS406〜ステップS410の処理を行い、本フローチャートによる処理を終了する。
【0084】
一方、車両が一定速度での走行状態でない場合(ステップS413:No)、ナビゲーション装置300は、ステップS406〜ステップS410の処理を行わずに、本フローチャートによる処理を終了する。
【0085】
ステップS410において、ナビゲーション装置300は、第n情報の変化量とともに、第n情報の変化量に基づく車両状態に関する情報を表示してもよい。第n情報の変化量に基づく車両状態に関する情報とは、例えば、「走行抵抗が増加しています」、「タイヤの空気圧を確認してください」などのユーザに対する警告や指示などである。また、ナビゲーション装置300は、該警告や指示を、音声I/F308によってスピーカ310から報知してもよい。
【0086】
また、ナビゲーション装置300は、車両の電源がON状態の間、上述した移動体情報取得処理を繰り返し行う。つまり、ナビゲーション装置300は、まず、車両の電源がON状態の後、車両が発進するまで第一情報の変化量を算出して、ここで、第一情報の変化量が変化した場合には、第一情報の変化量を報知する。そして、ナビゲーション装置300は、出発地点から目的地点までの走行において、車両の停止時(信号待ちなど)、加減速時、一定速度時のいずれかの時点における第n情報の変化量を算出しつづけて、第n情報の変化量が変化した場合に、第n情報の変化量を報知する。
【0087】
車両の電源がON状態とは、車両の駆動源であるモータを可動させるための構成部(不図示)が作動可能な状態を示している。車両の駆動源であるモータを可動させるための構成部とは、例えば、運転手によるアクセルペダルの踏み込み量に対応したエネルギー量でモータにエネルギーを供給する回路である。具体的には、例えば、車両の電源がON状態とは、運転手によるアクセルペダルの踏み込み操作により車両を前進または後進させることができる状態で、フットブレーキまたはパーキングブレーキによって車両を停止させている状態である。クリープ現象と同様の動作をするようにプログラムが組み込まれた車両の場合、車両の前進とは、ブレーキペダル解放後またはパーキングブレーキ解除後に、運転手によるアクセルペダルの踏み込み操作が行われることなく車両が前進することであってもよい。また、シフトポジションがニュートラルな状態も、車両の駆動源であるモータを可動させるための構成部が作動可能な状態に含んでいる。
【0088】
また、ステップS405,S412,S414において、ナビゲーション装置300は、前回以前の走行時に推定し例えば記憶装置に記憶された過去の基準エネルギー量(第n情報)の中から読み出した基準エネルギー量を、基準となる時点の基準エネルギー量として、第n情報の変化量を算出してもよい。基準となる時点とは、ステップS401において実エネルギー量が取得された時点に関連する時間に関する情報であってもよい。
【0089】
(移動体情報取得処理:その2)
つづいて、ナビゲーション装置300の移動体情報取得処理の他の一例について説明する。ナビゲーション装置300は、上述した(1)式の係数k
n(n=1〜3)を推定し、推定した係数k
nの、過去の所定の時点の係数k
nに対する変化量(係数k
nの変化量)が変化した場合に、係数k
nの変化量を報知してもよい。ここで、係数k
nは、実エネルギー量に基づく係数である。
【0090】
図5は、ナビゲーション装置による移動体情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、CANを介して、ECUによって管理されている実エネルギー量を取得する(ステップS501)。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えば各種センサ317によって、車両の速度、加速度を取得する(ステップS502)。
【0091】
つぎに、ナビゲーション装置300は、車両が停止状態であるか否かを判断する(ステップS503)。車両が停止状態である場合(ステップS503:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS501,S502において取得した実エネルギー量、速度、加速度に基づいて、上述した(1)式に示す消費エネルギー推定式を用いて、重回帰分析法や回帰分析法により係数k
1を推定する(ステップS504)。ステップS504において推定される係数k
1は、停止時に消費されるエネルギー量に基づく係数である。
【0092】
つぎに、ナビゲーション装置300は、前回以前の走行により推定して例えば記憶装置に記憶された過去の係数k
n中から、基準となる時点における過去の係数k
nを読み出す(ステップS505)。ステップS503:Yesにおいて車両が停止状態であると判断されているので、この場合、ナビゲーション装置300は、過去の係数k
1を読み出す。
【0093】
つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS504において推定した係数k
nの、ステップS505において読み出した係数k
nに対する変化量(係数k
nの変化量)を算出する(ステップS506)。この場合、係数k
1の変化量が算出される。つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS506において算出した係数k
nの変化量を記憶装置に書き出す(ステップS507)。ここで、ナビゲーション装置300は、係数k
nの変化量とともに係数k
nを書き出してもよい。つぎに、ナビゲーション装置300は、係数k
nの変化量が変化したか否かを判断する(ステップS508)。
【0094】
係数k
nの変化量が変化した場合(ステップS508:Yes)、ナビゲーション装置300は、例えば音声I/F308によってスピーカ310から、係数k
nの変化量が変化したことを報知する(ステップS509)。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えばディスプレイ313によって、係数k
nの変化量を表示し(ステップS510)、本フローチャートによる処理を終了する。また、係数k
nの変化量が変化していない場合には(ステップS508:No)、そのまま、本フローチャートによる処理を終了する。
【0095】
一方、車両が停止状態でない場合(ステップS503:No)、ナビゲーション装置300は、車両が加減速での走行状態であるか否かを判断する(ステップS511)。車両が加減速での走行状態である場合(ステップS511:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS504の処理と同様に、係数k
2を推定し(ステップS512)、ステップS505へ進む。ステップS512において推定される係数k
2は、加減速時に消費および回収されるエネルギー量に基づく係数である。そして、ナビゲーション装置300は、上述したようにステップS505〜S510の処理を行い、本フローチャートによる処理を終了する。
【0096】
一方、車両が加減速での走行状態でない場合(ステップS511:No)、ナビゲーション装置300は、車両が一定速度での走行状態であるか否かを判断する(ステップS513)。車両が一定速度での走行状態である場合(ステップS513:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS504の処理と同様に、係数k
3を推定し(ステップS514)、ステップS505へ進む。ステップS514において推定される係数k
3は、一定速度による走行時に消費されるエネルギー量に基づく係数である。そして、ナビゲーション装置300は、上述したようにステップS505〜S510の処理を行い、本フローチャートによる処理を終了する。
【0097】
一方、車両が一定速度での走行状態でない場合(ステップS513:No)、ナビゲーション装置300は、ステップS505〜S510の処理を行わずに、本フローチャートによる処理を終了する。
【0098】
図5に示す移動体情報取得処理では、
図4に示す移動体情報取得処理と同様に、ナビゲーション装置300は、車両の電源がON状態の間、上述した移動体情報取得処理を繰り返し行う。また、係数k
nの変化量が変化したか否かの判断基準は、上述した
図4に示す移動体情報取得処理と同様の判断基準であってもよい。また、ステップS510において、例えばディスプレイ313に表示される情報は、
図4に示す移動体情報取得処理と同様に第n情報、第n情報の変化量を表示してもよいし(ステップS410参照)、第n情報に代えて、係数k
nや係数k
nの変化量を表示してもよい。
【0099】
また、
図5に示す移動体情報取得処理では、車両の走行状態に応じて推定する係数k
nを選択していたが、走行状態を問わず全ての係数k
1〜k
3を推定してもよい。この場合、ナビゲーション装置300は、ステップS502の後に、ステップS501,S502において取得した実エネルギー量、速度、加速度に基づいて、上述した(1)式に示す消費エネルギー推定式を用いて、重回帰分析法や回帰分析法により係数k
1〜k
3を推定する(ステップS503’)。その後、ステップS505における過去の係数の読み出しへと移る。これにより、係数の計算は複雑になるものの、車両の走行状態に関わらず係数k
1〜k
3を全て推定することができる。
【0100】
(移動体情報取得処理:その3)
また、ナビゲーション装置300は、係数k
nが示す具体的な車両情報として、車両重量を推定し、推定した車両重量の、過去の所定の時点の車両重量に対する変化量(以下、「車両重量の変化量」という)が変化した場合に、車両重量の変化量を報知してもよい。
【0101】
図6は、ナビゲーション装置による移動体情報取得処理の他の手順を示すフローチャートである。
図6のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、CANを介して、ECUによって管理されている実エネルギー量を取得する(ステップS601)。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えば各種センサ317によって、車両の速度、加速度を取得する(ステップS602)。
【0102】
つぎに、ナビゲーション装置300は、記憶装置(磁気ディスク305、光ディスク307)に記憶された車両情報を読み出す(ステップS603)。つぎに、ナビゲーション装置300は、上述した(1)式に示す消費エネルギー推定式を用いて、重回帰分析法や回帰分析法により現在の車両重量を推定する(ステップS604)。具体的には、係数k
2を推定することで車両重量を推定することができる。つぎに、ナビゲーション装置300は、前回以前の走行により推定して例えば記憶装置に記憶された過去の車両重量の中から、基準となる時点における過去の車両重量を読み出す(ステップS605)。
【0103】
つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS604において推定した車両重量の、ステップS605において読み出した車両重量に対する変化量(車両重量の変化量)を算出する(ステップS606)。つぎに、ナビゲーション装置300は、記憶装置に、ステップS606において算出した車両重量の変化量を書き出す(ステップS607)。つぎに、ナビゲーション装置300は、車両重量の変化量が変化したか否かを判断する(ステップS608)。
【0104】
車両重量の変化量が変化した場合(ステップS608:Yes)、ナビゲーション装置300は、例えば音声I/F308によってスピーカ310から、車両重量の変化量が変化したことを報知する(ステップS609)。つぎに、ナビゲーション装置300は、例えばディスプレイ313に実エネルギー量や、車両重量の変化量、車両重量の変化量に対応する警告や指示を表示し(ステップS610)、本フローチャートによる処理を終了する。また、車両重量の変化量が変化していない場合には(ステップS608:No)、そのまま、本フローチャートによる処理を終了する。
【0105】
図6に示す移動体情報取得処理では、
図4に示す移動体情報取得処理と同様に、ナビゲーション装置300は、車両の電源がON状態の間、上述した移動体情報取得処理を繰り返し行う。また、車両重量の変化量が変化したか否かの判断基準は、上述した
図4に示す移動体情報取得処理と同様の判断基準であってもよい。
【0106】
図6に示す移動体情報取得処理によれば、ナビゲーション装置300は、車両重量の変化量に基づいてユーザに警告や指示を行うので、例えばトラックなど積載重量によって消費されるエネルギー量が大きく異なる車両に本処理を適用した場合に、積載重量が原因で車両の実エネルギー量が減少したのか、またはドライバーの運転技術が原因で車両の実エネルギー量が減少したのかを判断することができる。また、ナビゲーション装置300は、車両重量の変化量と実エネルギー量とを記録するので、これらの情報と標準的に車両が消費するエネルギー量とを比較することで、ドライバーが節約することができたエネルギー量を、例えば金額に換算して、節約することのできた金額を把握することができる。
【0107】
(変化量の表示例)
つぎに、上述した移動体情報取得処理により、ディスプレイに表示される情報について説明する。
図7は、ナビゲーション装置のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す説明図である。
図7に示すように、例えば、ディスプレイ700には、車両の停止時に消費されるエネルギー量(基礎エネルギー)を表示する第1メータ701と、車両の加減速での走行により消費および回収されるエネルギー量(加減速エネルギー)を表示する第2メータ702と、車両の一定速度での走行により消費されるエネルギー量(一定走行エネルギー)を表示する第3メータ703と、第一情報の変化量(k
1変化率)を表示する第4メータ704と、第二情報の変化量(k
2変化率)を表示する第5メータ705と、第三情報の変化量(k
3変化率)を表示する第6メータ706と、ユーザへの警告や指示などを表示するメッセージウィンドウ720と、が表示されている。これは、第n情報(n=1〜3)や、その変化量などをディスプレイに表示させるレイアウトの一例である。つまり、
図4のステップS410に示した処理が行われた状態である。
【0108】
具体的には、ナビゲーション装置300は、第n情報の変化量が変化した場合、例えば各メータ701〜706およびメッセージウィンドウ720をディスプレイ700に表示する。または、ナビゲーション装置300は、各メータ701〜706およびメッセージウィンドウ720を、地図データとともにディスプレイ700に継続して表示し続けてもよいし、ディスプレイ700に「閉じる」ボタン(不図示)を表示し、ユーザによって上記メータ等の表示を閉じさせてもよい。
【0109】
また、ナビゲーション装置300は、車両が信号待ちなどで停止したときにのみ、各メータ701〜706およびメッセージウィンドウ720をディスプレイ700に表示してもよい。この場合、ナビゲーション装置300は、第n情報の変化量に関連付けて、例えばまだディスプレイ700に表示していないことを示すフラグなどを記録し、車両が停止したときに、フラグが立てられた変化量をまとめてディスプレイ700に表示してもよい。
【0110】
このように、ナビゲーション装置300によれば、車両のエネルギー量を増減させる複数の要因ごとに、実エネルギー量の変化量を算出して、この変化量に基づく車両の状態を取得する。このように、ナビゲーション装置300によれば、車両のエネルギー量を増減させる複数の要因ごとに変化量を算出するので、変化量が変化した各々の要因ごとに、想定され得る主な車両の状態変化の原因や走行状態変化の原因を判断することができる。
【0111】
また、ナビゲーション装置300は、基準となる時点の車両に関する情報に基づいて基準エネルギー量を推定し、実エネルギー量の基準エネルギー量に対する変化量を算出する。このため、ナビゲーション装置300によれば、過去の所望の時点を基準となる時点として、この基準となる時点からの車両の状態変化を取得することができる。
【0112】
また、ナビゲーション装置300は、実エネルギー量に基づく係数k
nを推定して、係数k
n(n=1〜3)の変化量が変化したことにより、車両の状態変化を報知する。このため、車両情報取得装置100によれば、最も車両情報に関する情報に関連している係数k
nに基づいて、車両の状態変化の原因を判断することができる。
【0113】
また、ナビゲーション装置300は、車両の重量の変化量を報知する。このため、ナビゲーション装置300によれば、例えばトラックなど積載重量によって車両が消費するエネルギー量が大きく変化する場合に、車両の状態変化の原因が、車両の積載重量であるのか否かを明確に判断することができる。
【0114】
また、ナビゲーション装置300は、実エネルギー量の変化量をプローブ情報として取得するので、例えば、車両が走行する地点における複数の車両の走行抵抗が全体的に一定の方向に変化している場合に、車両が風の影響を受けていると判断することができる。
【0115】
なお、本実施の形態で説明した移動体情報取得方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。