(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記実装位置に搬入された前記基板に対して最初の部品を実装する前に前記基板のサイズに関するサイズ情報に基づき前記排他領域を設定し、前記優先ヘッドユニットによる前記単位数の部品実装ごとに前記排他領域を見直す請求項1に記載の部品実装方法。
前記実装位置に搬入された前記基板に対して最初の部品を実装する前に前記基板に搭載すべき全部品の搭載点に関する搭載情報に基づき前記排他領域を設定し、前記優先ヘッドユニットによる前記単位数の部品実装ごとに前記排他領域を見直す請求項1に記載の部品実装方法。
前記部品供給部と前記基板との間を一往復する各ターンごとに、当該ターンにおいて実装する全部品の搭載点に関する搭載情報に基づき前記排他領域を設定し、前記優先ヘッドユニットによる前記単位数の部品実装ごとに前記排他領域を見直す請求項1に記載の部品実装方法。
部品供給部からピックアップした複数の部品を一括して、所定の実装位置に搬入された基板の上方に搬送した後に前記複数の部品を前記基板上の互いに異なる搭載点に実装する、複数のヘッドユニットを有し、前記複数のヘッドユニットが同一の前記基板にアクセスして部品を実装する部品実装方法であって、
前記複数のヘッドユニットのうち一のヘッドユニットのみが優先ヘッドユニットとして前記基板の排他領域へのアクセスが許可され、
前記基板に搭載すべき全部品を複数の搭載グループに分け、各搭載グループごとに、当該搭載グループにおいて実装する全部品の搭載点に関する搭載情報に基づき前記排他領域を設定し、
前記優先ヘッドユニットにより一括搬送される部品数よりも少ない数を単位数とし、前記優先ヘッドユニットが前記単位数の前記部品を前記基板に実装するごとに、前記排他領域を見直し、
前記優先ヘッドユニットが前記単位数の部品を実装した前後における前記排他領域を比較し、前記排他領域が狭まる場合にのみ前記排他領域を再設定する
ことを特徴とする部品実装方法。
前記優先ヘッドユニットにより前記基板の上方に搬送された部品の全部が前記基板に実装されると、前記優先ヘッドユニットを入れ替える請求項5に記載の部品実装方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明にかかる部品実装装置の一実施形態たる表面実装機の全体構成を示す斜視図である。また、
図2は
図1に示す表面実装機の平面図である。また、
図3は
図1に示す表面実装機の側面図である。さらに、
図4は
図1に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。この表面実装機100は、
図1および
図2に示すように、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のそれぞれをX方向およびY方向に移動させることによって本発明の「基板」の一例たるプリント基板1(
図2参照)に部品を実装する装置である。
【0017】
表面実装機100は、
図2に示すように、X方向に延びる基板搬送コンベア2と、基板搬送コンベア2の上方をXY方向に移動可能な第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4とを備えている。基板搬送コンベア2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、それぞれ、基台5上に配置されている。また、基台5上のY方向側の両端部には、部品を供給するための部品供給部として複数のテープフィーダ6がX方向に配列されている。
【0018】
基板搬送コンベア2は、図示しない搬送路から搬入されるプリント基板1をX方向に搬送し、所定の実装位置にプリント基板1を配置するように構成されている。また、基板搬送コンベア2は、実装作業が終了したプリント基板1を搬出する機能を有している。なお、本実施形態では、図示しない搬送路によって基板搬送コンベア2のX1方向側(上流側)からプリント基板1が搬入され、実装作業後、X2方向側(下流側)の図示しない搬送路に搬出される。
【0019】
第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とは、
図1〜3に示すように、互いに同様の構成を有している。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、テープフィーダ6の後述する部品取出部6a(
図2参照)から部品をピックアップするとともに、基板搬送コンベア2上のプリント基板1に部品を実装する機能を有している。なお、部品には、半導体集積回路装置、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの小型の電子部品が含まれる。
【0020】
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、
図1および
図2に示すように、それぞれX方向に延びるヘッドユニット支持部31および41に沿ってX方向に直線移動可能に構成されている。具体的には、
図2に示すように、ヘッドユニット支持部31(ヘッドユニット支持部41)は、X方向に延びるボールネジ軸31a(41a)と、ボールネジ軸31a(41a)を回転させるサーボモータ31b(41b)と、X方向のガイドレール(図示せず)とを有している。また、ヘッドユニット支持部31およびヘッドユニット支持部41のそれぞれの両端部には、後述する固定レール部70に設けられた固定子72(
図1および2参照)の近傍に配置される界磁コイルからなる可動子73が取り付けられている。
【0021】
また、第1ヘッドユニット3は、ボールネジ軸31aに螺合されるボールナット32を有する。第2ヘッドユニット4は、ボールネジ軸41aに螺合されるボールナット42を有している。これにより、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、サーボモータ31b(41b)(X軸モータ)によりボールネジ軸31a(41a)が回転されることによって、ヘッドユニット支持部31(41)に対してX方向に移動される。
【0022】
また、これらのヘッドユニット支持部31および41は、それぞれ、基板搬送コンベア2を跨ぐように設けられたY方向に延びる一対の固定レール部70に沿ってY方向に移動可能に構成されている。また、
図1〜3に示すように、X方向に延びるように形成されたヘッドユニット支持部31(41)のX方向の両端部は、それぞれ、他方のヘッドユニット支持部41(31)側(Y2(Y1)方向)に突出する突出部311(411)を有している。具体的には、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部の突出部311(411)は、それぞれ、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)よりもY2(Y1)方向に突出している。また、ヘッドユニット支持部31の突出部311には、それぞれ、ヘッドユニット支持部41側(Y2方向)に延びるダンパ312が取り付けられている。
【0023】
一対の固定レール部70は、それぞれ、ヘッドユニット支持部31および41に共通に用いられるように構成されている。また、一対の固定レール部70は、
図1〜
図3に示すように、それぞれ、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部をY方向に移動可能に支持するガイドレール71と、固定レール部70の内側側面にY方向に沿って配列された複数の永久磁石からなる固定子72(
図1および2参照)とを有している。すなわち、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部に設けられた可動子73と固定レール部70の固定子72とによってリニアモータ7(Y軸モータ)が構成されている。これにより、ヘッドユニット支持部31(41)は、界磁コイルからなる可動子73に電流が供給されることによって、ガイドレール71に沿ってY方向に直線移動可能である。すなわち、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、ヘッドユニット支持部31(41)およびリニアモータ7により基台5上をXY方向に移動可能である。
【0024】
また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、部品を吸着する際には、リニアモータ7によりY1方向(Y2方向)のテープフィーダ6上方(部品供給位置)に移動されると共に、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)が所定の部品取出部6aの上方に配置されるように構成されている。また、部品を実装する際には、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、リニアモータ7によりプリント基板1上方に移動されると共に、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)がプリント基板1表面の所定の実装位置に位置するように構成されている。
【0025】
また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、まず部品供給位置において部品取出部6aから複数の部品を取得した後Y2(Y1)方向に移動されることによって、複数の部品を保持(吸着)したままプリント基板1上方に移動される。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、X方向、Y方向およびZ方向の移動を繰り返しながら複数の部品をそれぞれプリント基板1表面の所定の搭載点に実装するように構成されている。そして、実装動作が終了すると、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、Y1(Y2)方向に移動されることによってプリント基板1の上方から再び部品供給位置(テープフィーダ6上方)に戻され、部品取出部6aから部品の取得(吸着)作業を実行する。なお、本実施形態では、各ヘッドユニット3、4が基板1とテープフィーダ6との間を1往復して部品実装を行う動作を「1ターン」と定義する。
【0026】
また、
図2に示すように、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4には、それぞれ、X方向に列状に配置された10本の吸着ノズル35および45が取り付けられている。吸着ノズル35(45)は、部品の吸着および搭載を行うために設けられている。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)には、吸着ノズル35(45)の先端に負圧状態を発生させる負圧発生器351(
図4参照)と、吸着ノズル35(45)を上下方向(Z方向)に移動させるサーボモータ352(Z軸モータ)(
図4参照)などの昇降装置とが設けられている。各吸着ノズル35(45)は、負圧発生器351による負圧を利用してテープフィーダ6から供給される部品を吸着して保持することが可能である。
【0027】
また、各吸着ノズル35(45)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対して上昇された状態で部品の搬送などを行うように構成されている。また、各吸着ノズル35(45)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対して下降された状態で部品のテープフィーダ6からの吸着およびプリント基板1への実装を行うように構成されている。また、各吸着ノズル35(45)は、サーボモータ353(R軸モータ)(
図4参照)などのノズル回転装置により、その軸を中心として回転可能に構成されている。これにより、表面実装機100では、吸着ノズル35(45)を回転させることによって、ノズルの先端に保持された部品の姿勢(水平面内の向き)を調整することが可能である。
【0028】
また、
図2に示すように、第1ヘッドユニット3のX2方向側の側部および第2ヘッドユニット4のX1方向側の側部には、それぞれ、吸着ノズル35および45に吸着された部品の姿勢を検知するための部品撮像部36および46が取り付けられている。この部品撮像部36(46)は、ラインセンサを用いて部品の姿勢を検知するように構成されている。また、部品撮像部36(46)は、吸着ノズル35(45)に保持された部品の下面を下方向から撮像するように構成されている。また、この部品撮像部36(46)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対してX方向(10本の吸着ノズル35(45)が並んでいる方向)に移動可能に取り付けられている。これにより、部品撮像部36(46)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)の10本の吸着ノズル35(45)に保持された部品の下面を下方向から順次撮像することが可能である。
【0029】
また、第1ヘッドユニット3のX1方向側の側部および第2ヘッドユニット4のX2方向側の側部には、それぞれ、基板撮像部37および47が取り付けられている。基板撮像部37(47)は、CCDエリアカメラで構成されている。また、基板撮像部37(47)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)から下方向を撮像するように構成されている。この基板撮像部37(47)は、部品搭載時に、プリント基板1の表面に設けられた基板マーク(基板フィデューシャルマーク)を撮像することにより部品の搭載位置の基準点を取得するように構成されている。
【0030】
表面実装機100は、
図4に示すように、制御ユニット101をさらに備え、制御ユニット101により表面実装機100の各動作が制御されるように構成されており、本実施形態では、制御ユニット101が第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4を制御する「ヘッド制御部」として機能する。この制御ユニット101は、主制御部102、駆動制御部103、バルブ制御部104、画像処理部105および記憶部106を含んでいる。また、制御ユニット101は、液晶表示装置などの表示ユニット107と、キーボードなどの入力ユニット108とを備えている。
【0031】
主制御部102は、論理演算を実行するCPUなどから構成されており、記憶部106のROMに記憶されている実装プログラム(図示省略)に基づいて、駆動制御部103を介して基板搬送コンベア2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4などの動作を制御するように構成されている。また、主制御部102は、画像処理部105を介して第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)の部品撮像部36(46)と基板撮像部37(47)とをそれぞれ制御するように構成されている。また、主制御部102は、バルブ制御部104を介して、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に設けられた負圧発生器351を制御するように構成されている。これにより、主制御部102は、吸着ノズル35(45)による部品の吸着動作を制御することが可能である。
【0032】
ここで、本実施形態では、主制御部102は、記憶部106に記憶された基板データ(図示省略)を読み出し、実装対象のプリント基板1の大きさ、基板マーク位置、部品の搭載点に関連する搭載情報を取得するように構成されている。そして、主制御部102は、プリント基板1に搭載すべき全部品の搭載点に関連する搭載情報に基づき排他領域を設定する。この「排他領域」は第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4の相互干渉を防止するために設定されるものであり、ヘッドユニット3、4の一方のみが優先ヘッドユニットとして排他領域へのアクセスを許可される。こうして、ヘッドユニット3、4の相互干渉を確実に防止しながら、ヘッドユニット3、4が同一のプリント基板1に対してアクセスして部品実装を行うことができる。なお、その詳細については、後で
図5〜
図10を参照しつつ説明する。
【0033】
また、主制御部102は、上記優先ヘッドユニットを設定するために、各ヘッドユニット3(4)の優先権フラグのオン/オフの切り替え動作を行うように構成されている。すなわち、「優先権フラグ」とは上記優先ヘッドユニットを設定するためのフラグであり、本実施形態では優先ヘッドユニットに保持されている全部品がプリント基板1に搭載されるのをトリガーとして主制御部102は優先ヘッドユニットの優先権フラグをオフ状態にした後に他方のヘッドユニットの優先権フラグをオン状態にする。
【0034】
駆動制御部103は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、第1ヘッドユニット3の各部のモータ(サーボモータ31b(X軸モータ)、リニアモータ7(Y軸モータ)、吸着ノズル35の昇降装置のサーボモータ352(Z軸モータ)、および吸着ノズル35のノズル回転装置のサーボモータ353(R軸モータ))の駆動を制御するように構成されている。また、駆動制御部103は、第1ヘッドユニット3と同様に第2ヘッドユニット4の各部のモータの駆動も制御するように構成されている。
【0035】
また、駆動制御部103は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、基板搬送コンベア2の各部のモータ(駆動モータ、回転モータおよび搬送モータ)などの駆動を制御するように構成されている。なお、これらのサーボモータのエンコーダからの信号は、駆動制御部103を介して主制御部102に出力される。
【0036】
画像処理部105は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、部品撮像部36(46)および基板撮像部37(47)から所定のタイミングで撮像信号の読み出しを行うように構成されている。また、画像処理部105は、読み出した撮像信号に所定の画像処理を行うことにより、部品、基板マーク、ブロックフィデューシャルマーク、ローカルフィデューシャルマークやノズルチェンジ情報などを認識するのに適した画像データを生成するように構成されている。
【0037】
記憶部106は、CPUを制御するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)および装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。また、記憶部106には、所定のプリント基板1の製造を行うための実装プログラムや、実装対象となるプリント基板1の寸法、基準マーク位置、部品の搭載点などの基板データが記憶されている。
【0038】
テープフィーダ6は、本発明の「部品供給部」の一例であり、複数の部品を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ6は、リールを回転させることによって、部品を保持するテープを送り出すように構成されている。そして、テープフィーダ6は、テープを送り出すことによって、テープフィーダ6の先端の部品取出部6aから部品を供給するように構成されている。
【0039】
次に、上記のように構成された表面実装機100において、2つのヘッドユニット3、4が同一のプリント基板1に対してアクセスして部品実装を行う動作について説明する。ここでは、
図5〜
図7を参照しつつヘッドユニット3、4の動作フローについて説明した後で、
図8〜
図10を参照しつつ上記動作フローに基づく具体的な動作例について説明する。
【0040】
図5〜
図7はヘッドユニットの動作を示すフローチャートである。制御ユニット101により制御されるヘッドユニット3、4の動作は基本的に同一であるため、ここでは、第1ヘッドユニット3の動作を中心に説明する。制御ユニット101の主制御部102は、記憶部106に記憶された基板データを読み出し、プリント基板1に搭載すべき全部品の搭載点に関連する搭載情報(基板全搭載情報)に基づき排他領域(
図8(a)中の符号ER)を設定する(ステップS1)。そして、制御ユニット101は第1ヘッドユニット3および第1ヘッドユニット側のテープフィーダ6の各部を制御して以下の動作を実行させる。
【0041】
ステップS2では、基板データにしたがって複数の部品が第1ヘッドユニット3に吸着される。つまり、第1ヘッドユニット3は上記部品を収納しているテープフィーダ6の上方に移動して当該テープフィーダ6の部品取出部6aから部品を取得(吸着)する。この動作を1回または複数回行うことで1ターン分の部品、例えば後述する具体例では「5」個の部品を取得(吸着)する。
【0042】
また、制御ユニット101は部品撮像部36からの撮像信号に対して画像処理された信号に基づき第1ヘッドユニット3の吸着ノズル35に吸着された部品の姿勢を認識する(ステップS3)。そして、第1ヘッドユニット3により1ターン分の部品が確実に吸着保持されていることを確認すると、制御ユニット101は基板撮像部37からの撮像信号に対して画像処理された信号に基づきプリント基板1に予め付されている基板マーク(基板フィデューシャルマーク)を認識する(ステップS4)。この認識結果に基づき部品の搭載位置の基準点が取得される。次のステップS5では、第1ヘッドユニット3により保持されている1ターン分の部品が一括してプリント基板1の上方に搬送され、基板データに含まれる各部品の搭載点に関する搭載情報に基づき順番にプリント基板1に実装される(1ターン分の搭載処理)。
【0043】
図6は1ターン分の搭載処理を示すフローチャートである。この搭載処理では、
図6に示すように、プリント基板1への実装が完了していない部品群から次に基板実装すべき部品の搭載点を選択する(ステップS50)。そして、その選択した搭載点が排他領域ER(
図8)の内に位置するか否かを判定する(ステップS51)。もし、選択した搭載点が排他領域ERの内に位置する場合には、第1ヘッドユニット3の優先権フラグを確認する、つまり第1ヘッドユニット3が「優先ヘッドユニット」であるか否かを確認する(ステップS52)。その結果、第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオフ状態であり、排他領域ERへの進入が禁止されている(ステップS53で「NO」)場合、排他領域ERの近傍位置(待機位置)まで第1ヘッドユニット3を移動させた(ステップS54)後でステップS51に戻る。つまり、後述するように排他領域ERが狭まって、選択した搭載点がその狭まった排他領域ERから外れる、または第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオン状態に切り替わるまでその狭まった排他領域ERの近傍位置に移動してその位置で待機する。一方、ステップS53で第1ヘッドユニット3の排他領域ERへの進入が可能となっていると判定すると、第1ヘッドユニット3の優先権フラグをオン状態に設定する(ステップS55)。
【0044】
上記ステップS51で選択した搭載点が排他領域ERから外れている、または排他領域ER内にあるが第1ヘッドユニット3が「優先ヘッドユニット」である場合には、ステップS56に進み、ステップS50で選択した搭載点に部品を搭載する(1点搭載)。この1点搭載が完了すると、排他領域ERの見直しを行う(ステップS57)。
【0045】
図7は排他領域の見直処理を示すフローチャートである。この見直処理では、現時点で排他領域ER内に存在する未搭載点に関連する搭載情報に基づき排他領域ERを再計算する(ステップS571)。これは1点搭載(ステップS56)により排他領域ERが狭まることがあることに対応したものである。なお、排他領域ERの再計算方法はこれに限定されるものではなく、例えば排他領域ER内か外かを問わず、現時点での未実装部品の搭載点に関連する搭載情報に基づき排他領域ERを再計算してもよい。
【0046】
そして、再計算された排他領域ERが1点搭載(ステップS56)の完了前の排他領域ERより狭まっているか否かを判定する(ステップS572)。その判定の結果、ステップS56の1点搭載により排他領域ERが狭まっている場合のみ、排他領域ERを再計算後の結果に再設定する(ステップS573)。つまり、1点搭載処理ごとに、その1点搭載前後の排他領域ERを比較して排他領域ERが狭まる場合にのみ排他領域ERを再設定している。
【0047】
こうして排他領域ERの見直処理が完了すると、
図6に示すように、第1ヘッドユニット3により吸着された1ターン分の全部品がプリント基板1に搭載されたか否かを判定する(ステップS58)。そして、全部品のプリント基板1への搭載が完了していない間、ステップS50に戻って上記一連の処理が繰り返される。一方、全部品のプリント基板1への搭載が確認される(ステップS58で「YES」)と、第1ヘッドユニット3の優先権フラグをオン状態になっている場合には、その優先権フラグをオフ状態に切り替え(ステップS59)、搭載処理を完了する。
【0048】
また、1ターン分の搭載処理が完了すると、
図5に示すように、プリント基板1に搭載すべき全部品がプリント基板1に搭載されたか否かを判定し(ステップS6)、未搭載部品が残存している間、ステップS2に戻って部品搭載を継続する。
【0049】
なお、第1ヘッドユニット3では、上記のようにして部品実装が行われるが、第2ヘッドユニット4においても同様の処理が実行される。ここで、表面実装機100の動作をより明確なものとするために、例えば
図8〜
図10に示すように、第1ヘッドユニット3により5個の部品をプリント基板1上に搭載し、第2ヘッドユニット4により5個の部品をプリント基板1上に搭載する場合について例示し、本発明にかかる部品実装方法の一実施形態についてさらに詳述する。
【0050】
図8〜
図10は
図1に示す表面実装機の動作の一例を模式的に示す図である。これらの図において、丸印と数字を組み合わせた記号は第1ヘッドユニット3により基板1に搭載すべき部品を表し、三角印と数字を組み合わせた記号は第2ヘッドユニット4により基板1に搭載すべき部品を表している。また、数字は搭載順序を示している。また、破線は各部品の搭載点を表し、ハッチングなしの記号は搭載前の部品を表し、ハッチングを付した記号は搭載済の部品を表している。さらに、四角印に「優先」という文字を付した記号は優先権フラグがオン状態となっており、当該記号が付されたヘッドユニットが優先ヘッドユニットであることを示している。
【0051】
(1)排他領域ERの初期設定:
図8(a)
この具体例では、プリント基板1に搭載すべき全部品は10点であり、それらの部品の搭載点に関連する搭載情報(基板全搭載情報)に基づき排他領域ERが設定される(
図8(a))。また、ヘッドユニット3、4のうち第1ヘッドユニット3が「優先ヘッドユニット」に設定されている。そして、各ヘッドユニット3、4は1ターン分の部品としてテープフィーダ6からそれぞれ5個の部品を吸着保持する。また、ヘッドユニット3(4)では、部品撮像部36(46)により各部品の姿勢が検知され、検知結果に基づき1ターン分の部品の吸着保持が確認されるとともに、基板撮像部37(47)によりプリント基板1上の基板マーク(基板フィデューシャルマーク)を認識して部品搭載位置の基準点が取得される。なお、ここでは部品吸着前に既に優先ヘッドユニットを設定しているが、その設定タイミングはこれに限定されるものではなく、例えば(a)部品吸着直後、(b)部品認識直後、または(c)基板フィデューシャルマークの認識直後であってもよい。
【0052】
(2)1点搭載動作:
図8(b)
こうして搭載処理の準備が完了すると、第1ヘッドユニット3は丸印に付された番号順に部品を1個ずつプリント基板1上の対応する位置、つまり当該部品の搭載点に当該部品を搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)。この具体例では、第1ヘッドユニット3により最初にプリント基板1に実装すべき部品(丸印に「1」を付した部品)の搭載点は排他領域ER内に位置しているものの、第1ヘッドユニット3が優先ヘッドユニットであるため、そのまま排他領域ERに進入して当該部品を搭載する。
【0053】
一方、第2ヘッドユニット4は三角印に付された番号順に部品を1個ずつプリント基板1上の対応する位置、つまり当該部品の搭載点に当該部品を搭載する(第2ヘッドユニット4による1点搭載動作)。ただし、第2ヘッドユニット4は優先ヘッドユニットではないため、当該部品の搭載点が排他領域ER内にある場合には1点搭載動作が制限される。しかしながら、当該部品の搭載点が排他領域ERの外にある場合には、ヘッドユニット3、4の相互干渉は起こり得ないため、そのまま第2ヘッドユニット4による1点搭載動作が実行される。例えば、
図8(b)に示すように、第2ヘッドユニット4により実装すべき部品(三角印に「1」を付した部品)の搭載点は排他領域ERの外にあるため、第1ヘッドユニット3による1点搭載動作と並行して第2ヘッドユニット4は当該部品(三角印に「1」を付した部品)をプリント基板1上に搭載する。
【0054】
(3)排他領域ERの見直し:
図8(c)
第1ヘッドユニット3による部品実装が1回実行されると、排他領域ERの見直し、つまり排他領域ERを構成する未実装の搭載点に基づき排他領域ERを再計算する。この具体例では、現時点で排他領域ER内に存在する未搭載点は同図(b)に示すように、
・第1ヘッドユニット3により搭載すべき部品の搭載点
丸印に「2」を付した部品の搭載点、
丸印に「3」を付した部品の搭載点、
丸印に「4」を付した部品の搭載点、
・第2ヘッドユニット4により搭載すべき部品の搭載点
三角印に「2」を付した部品の搭載点、
三角印に「3」を付した部品の搭載点、
三角印に「4」を付した部品の搭載点、
三角印に「5」を付した部品の搭載点、
の合計7点である。そして、両ヘッドユニット3、4の相互干渉を防止するための排他領域ERを両ヘッドユニット3、4による未実装の搭載点に基づき再計算すると、同図(c)に示すように、再計算された排他領域ERは第1ヘッドユニット3による1点搭載動作直前の排他領域ER(同図(b)参照)よりも狭い。そこで、この具体例では、排他領域ERを再計算されたものに再設定して更新している。
【0055】
(4)1点搭載動作:
図8(d)
次に、同図(d)に示すように、第1ヘッドユニット3は次の部品、つまり丸印に「2」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)。一方、第2ヘッドユニット4により次に部品実装しようとする部品、つまり三角印に「2」を付した部品の搭載点は、上記再設定(更新)の前においては排他領域ERに存在していたものの、上記再設定(更新)により排他領域ERが狭まった結果、排他領域ERから外れている。したがって、第2ヘッドユニット4は、1番目の部品(三角印に「1」を付した部品)と同様にして、2番目の部品をプリント基板1に搭載する(第2ヘッドユニット4による1点搭載動作)。
【0056】
(5)排他領域ERの見直し:
図9(a)
また、第1ヘッドユニット3により2番目の部品(丸印に「2」を付した部品)が実装されたのに対応し、上記と同様にして両ヘッドユニット3、4による未実装の搭載点に基づき排他領域ERの見直しが行われ、その結果、排他領域ERが狭められている(
図9(a))。
【0057】
(6)1点搭載動作:
図9(b)
第1ヘッドユニット3は、同図(b)に示すように、次の部品、つまり丸印に「3」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)。一方、第2ヘッドユニット4により次に部品実装しようとする部品、つまり三角印に「3」を付した部品の搭載点は、上記再設定(更新)の後においても排他領域ERに存在している。このため、第1ヘッドユニット3との干渉を回避するため、第2ヘッドユニット4による1点搭載動作が禁止される。ただし、排他領域ER外では第1ヘッドユニット3との干渉は発生せず、第2ヘッドユニット4は自由に移動することができる。そこで、具体例においては、第1ヘッドユニット3による1点搭載動作中に、第2ヘッドユニット4は排他領域ERの近傍位置(待機位置)まで移動して待機する。この移動により、部品搭載点までの第2ヘッドユニット4の移動距離が短くなり、第2ヘッドユニット4により上記部品の搭載動作が可能となった際に第2ヘッドユニット4による当該部品の搭載動作に要する時間を短縮することができる。
【0058】
(7)排他領域ERの見直し:
図9(c)
また、第1ヘッドユニット3により3番目の部品(丸印に「3」を付した部品)が実装されたのに対応し、上記と同様にして両ヘッドユニット3、4による未実装の搭載点に基づき排他領域ERの見直しが行われ、その結果、排他領域ERが狭められている(
図9(c))。
【0059】
(8)1点搭載動作:
図9(d)
次に、同図(d)に示すように、第1ヘッドユニット3は次の部品、つまり丸印に「4」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)。一方、第2ヘッドユニット4により次に部品実装しようとする部品、つまり三角印に「3」を付した部品の搭載点は、上記再設定(更新)の前においては排他領域ERに存在していたものの、上記再設定(更新)により排他領域ERが狭まった結果、排他領域ERから外れている。したがって、第2ヘッドユニット4は、1、2番目の部品(三角印に「1」や「2」を付した部品)と同様にして、3番目の部品をプリント基板1に搭載する(第2ヘッドユニット4による1点搭載動作)。
【0060】
(9)排他領域ERの見直し:
図10(a)
また、第1ヘッドユニット3により4番目の部品(丸印に「4」を付した部品)が実装されたのに対応し、上記と同様にして排他領域ERの見直しが行われ、その結果、排他領域ERが解消されている(
図10(a))。
【0061】
(10)1点搭載動作:
図10(b)
次に、同図(b)に示すように、第1ヘッドユニット3は次の部品、つまり丸印に「5」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)。一方、第2ヘッドユニット4は次の部品、つまり三角印に「4」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第2ヘッドユニット4による1点搭載動作)。
【0062】
(11)優先権の解放:
図10(c)
第1ヘッドユニット3では1ターン分の全部品をプリント基板1に搭載したため、第1ヘッドユニット3の優先権フラグをオフ状態に切り替えて優先権を解放するとともに、テープフィーダ6側に移動して第2ヘッドユニット4による部品実装が完了するまで待機する。なお、第1ヘッドユニット3によりプリント基板1に実装すべき部品が残っている場合には、再び1ターン分の部品吸着を開始する。一方、第1ヘッドユニット3の優先権解放に対応して第2ヘッドユニット4の優先権フラグをオン状態として第2ヘッドユニット4を優先ヘッドユニットとする(同図(c))。こうして優先権の切替が実行される。
【0063】
(12)1点搭載動作:
図10(d)
第1ヘッドユニット3による部品実装は完了したものの、第2ヘッドユニット4には部品が残っているため、第2ヘッドユニット4は最後の部品、つまり三角印に「5」を付した部品を上記と同様にしてプリント基板1に搭載する(第2ヘッドユニット4による1点搭載動作)。その後、第1ヘッドユニット3と同様に、テープフィーダ6側に移動する。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、2つのヘッドユニット3、4のうち優先権を有する優先ヘッドユニットのみにプリント基板1の排他領域ERへのアクセスが許可されるため、ヘッドユニット3、4の相互干渉を確実に防止することができる。また、優先権を有さないヘッドユニットは排他領域ER内に部品を搭載することができないものの、排他領域ER以外の領域に対して部品実装を行うことが可能となっており、2つのヘッドユニット3、4が同一のプリント基板1に対してアクセスして部品実装を行うことができる。しかも、その排他領域ERは優先ヘッドユニットによる1点搭載動作が実行される毎に見直されて最適化される。したがって、1ターン分の部品を基板に実装する間、排他領域ERを固定化していた従来装置に比べ、優先権を有さないヘッドユニットが排他領域ERの外で待機する時間を短縮することができる。その結果、優れた効率で部品実装を行うことが可能となっている。
【0065】
また、排他領域ERの見直しは、優先ヘッドユニットによる1点搭載動作の前後における排他領域ERを比較して行われ、排他領域ERが狭まる場合にのみ排他領域ERを再設定している。このように排他領域ERが狭まる方向で排他領域ERを最適化しているため、排他領域ERの再設定のたびに、優先権を有さないヘッドユニットによる部品実装の可能性が高くなり、部品実装の効率を高めることができる。しかも、
図9(b)に示すように、排他領域ERが狭まるのと並行して優先権を有さないヘッドユニットを再設定された排他領域ERの近傍まで移動させて待機させると、当該ヘッドユニットが次の搭載点まで移動するのに要する距離が縮まり、次の部品実装に要する時間を短縮することができる。
【0066】
また、優先ヘッドユニットが1ターン分の全部品をプリント基板1に実装すると、優先ヘッドユニットを入れ替えるように構成しているので、これにより実装作業を合理化することができ、1つのプリント基板1に対する部品実装に要する時間、つまり実装タクトタイムをさらに短縮することができる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、プリント基板1に搭載すべき全部品の搭載点に関連する搭載情報(基板全搭載情報)に基づき排他領域ERが初期設定されているが、排他領域ERの初期設定方法はこれに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように、1ターン毎に排他領域ERを初期設定してもよい。すなわち、1ターンの全部品の搭載点に関連する搭載情報(1ターン搭載情報)に基づき排他領域ERの初期設定を行い(ステップS11)、その後、先の実施形態と同様にして1ターン分の搭載処理を行うように構成してもよい。この場合、1ターン分の搭載処理が完了した後、プリント基板1に対して搭載すべき全部品がプリント基板1に搭載されたか否かを判定し(ステップS6)、未搭載部品が残存している間、ステップS11に戻って一連の処理を行う。このように構成された実施形態においても、先の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0068】
また、
図11に示す実施形態では、1ターンごとに排他領域ERの初期設定を行っているが、実装位置に搬入されたプリント基板1に対して最初の部品を実装する前に、予め各ターンごとの排他領域ERを計算して記憶部106に記憶しておき、1ターンごとに排他領域ERを記憶部106から読み出してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、基板全搭載情報や1ターン搭載情報に基づき排他領域ERの初期設定を行っているが、それら以外にプリント基板1のサイズに関するサイズ情報に基づき排他領域ERを初期設定してもよい。この場合、
図5に示す実施形態と同様に、実装位置に搬入されたプリント基板1に対して最初の部品を実装する前にサイズ情報に基づき排他領域ERを設定すればよい。
【0070】
また、基板全搭載情報や1ターン搭載情報以外に、プリント基板1に搭載すべき全部品を複数の搭載グループに分け、各搭載グループごとに、当該搭載グループにおいて実装する全部品の搭載点に関する搭載情報に基づき排他領域ERを初期設定してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、部品をプリント基板1に搭載する位置に関する情報を搭載情報として説明したが、ローカルフィデューシャルマークやブロックフィデューシャルマークなどの部品の搭載点に関連するマークがプリント基板1に付されている場合があるが、この場合にはこれらのマークに関連する情報も上記搭載情報に含めるのが望ましい。以下、ローカルフィデューシャルマークがプリント基板1に付されている場合を例示して説明する。
【0072】
図12は
図1に示す表面実装機の動作の他の例を模式的に示す図である。なお、同図(a)中の付された各部品の搭載点(破線の丸印および三角印に番号が付された位置)は
図8(a)のそれらと全く同一であり、破線丸印に「1」が付された搭載点に関連付けて2つのローカルフィデューシャルマークLMが付されている点のみが先の具体例と相違している。これらのローカルフィデューシャルマークLMは第1ヘッドユニット3により最初に実装すべき部品(丸印に「1」を付した部品)を正確に搭載するための認識用マークである。すなわち、表面実装機100では、プリント基板1の位置ずれやプリント基板1におけるプリント配線パターンの相対位置のずれにより、基板上の搭載点が正規の位置から多少ずれることがある。そこで、予めプリント基板1上に搭載点に関連付けた認識用マーク、つまりローカルフィデューシャルマークLMを付しておき、当該部品のプリント基板1への搭載に先立ち、ローカルフィデューシャルマークLMを撮像し、その撮像結果に基づき搭載点の位置ずれを補正することが行われている。
【0073】
図12に示す具体例では、これらのローカルフィデューシャルマークLMを基板撮像部37により撮像するために、第1ヘッドユニット3はローカルフィデューシャルマークLMの上方に移動する必要がある。そこで、
図12に示す具体例では、搭載点として部品の位置のみならずローカルフィデューシャルマークLMの位置を含め、これらに基づき排他領域ERを設定している。このため、
図8(a)と
図12(a)との対比から明らかなように、ローカルフィデューシャルマークLMを搭載点に含めた分だけ初期の排他領域ERは
図8(a)に示す具体例よりも広くなっており、第2ヘッドユニット4により最初に実装すべき部品(三角印に「1」を付した部品)の搭載点にも及んでいる。したがって、第1ヘッドユニット3により最初の部品、つまり丸印に「1」を付した部品をプリント基板1に搭載する(第1ヘッドユニット3による1点搭載動作)間、第2ヘッドユニット4による1点搭載動作は実行されず、第2ヘッドユニット4は排他領域ERの近傍位置まで移動して待機する(
図12(b))。
【0074】
第1ヘッドユニット3による部品実装が1回実行されると、排他領域ERの見直し、つまり排他領域ERを構成する未実装の搭載点に基づき排他領域ERを再計算する。この具体例では、現時点で排他領域ER内に存在する未搭載点は同図(b)に示すように、丸印に「1」を付した部品の搭載点および当該搭載点に関連付けられたローカルフィデューシャルマークLMを除く、
・第1ヘッドユニット3により搭載すべき部品の搭載点
丸印に「2」を付した部品の搭載点、
丸印に「3」を付した部品の搭載点、
丸印に「4」を付した部品の搭載点、
・第2ヘッドユニット4により搭載すべき部品の搭載点
三角印に「1」を付した部品の搭載点、
三角印に「2」を付した部品の搭載点、
三角印に「3」を付した部品の搭載点、
三角印に「4」を付した部品の搭載点、
三角印に「5」を付した部品の搭載点、
の合計8点である。そして、両ヘッドユニット3、4の相互干渉を防止するための排他領域ERを再計算すると、同図(c)に示すように、再計算された排他領域ERは第1ヘッドユニット3による1点搭載動作直前の排他領域ER(同図(b)参照)よりも狭い。そこで、この具体例では、排他領域ERを再計算されたものに再設定して更新している。なお、それ以降の処理は先の具体例(
図8(c)〜
図10)と基本的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】
以上のように、
図12に示す実施形態(具体例)においても、上記実施形態と同様に、排他領域ERは優先ヘッドユニットによる1点搭載動作が実行される毎に見直されて最適化されているため、優れた効率で部品実装を行うことが可能となっている。また、他の作用効果も上記実施形態と同じである。
【0076】
また、上記実施形態では、2つのヘッドユニット3、4を有する表面実装機100に対して本発明を適用しているが、3つ以上のヘッドユニットを有し、各ヘッドユニットが同一の基板にアクセスして部品を搭載する部品実装装置や部品実装方法に適用することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、本発明の「単位数」を「1」として部品実装が行われる、つまり部品1個ごとに排他領域ERの見直しを行っているが、1ターンに含まれる部品数よりも少ない2以上の数を単位数として設定してもよい。