(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドは、ヘッドボックスから吊下支持されるラダーコードに多数段のスラットが支持され、ヘッドボックス内のチルト装置及びラダーコードを介して各スラットを同位相で回動することにより、室内への採光量を調節可能となっている。
【0003】
このような横型ブラインドでは、スラットを水平方向として室内への採光量を十分に確保すると、窓際では直射光により眩しすぎたり、あるいは室内のプライバシーが確保できない。
【0004】
一方、スラットを閉じて窓際での眩しさを緩和し、かつプライバシーを確保しようとすると、窓際以外では十分な採光量を確保することができない。
そこで、ラダーコードの上部から下部にかけて、スラットの角度を徐々に閉じるようにして、窓際での眩しさを緩和するとともにプライバシーを確保し、かつ室内の奥まで十分な採光量を確保するようにした横型ブラインドが提案されている。
【0005】
特許文献1にはスラットが上段部から下段部にかけて徐々に閉じるように支持するラダーコードの製造装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された製造装置は、ラダーコードの一方の縦糸での横糸のピッチを他方の縦糸での横糸のピッチより長くすることはできる。しかし、加工用ローラーの表面に、縦糸に接触する面の長さが異なる左右で相違する歯型を形成する必要があるため、横糸ピッチの異なるラダーコードを成形する場合には、加工用ローラーを交換する必要がある。従って、ピッチ差の異なる複数種類のラダーコードを容易に製造することはできない。
【0008】
この発明の目的は、ラダーコードの各縦糸で横糸ピッチのピッチ差が異なる複数種類のラダーコードを容易に製造し得るラダーコード製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、ラダーコードの各縦糸の横糸ピッチを同一ピッチに加熱成形する第一の熱セット装置と、前記第一の熱セット装置で加熱成形されたラダーコードの各縦糸の横糸ピッチを異なるピッチに加熱成形する第二の熱セット装置とを備えた
横型ブラインドのラダーコード製造装置において、前記第一の熱セット装置は、前記ラダーコードを加熱する第一の加熱炉と、前記第一の加熱炉内で回転して、前記ラダーコードを案内する加工用歯型と、前記加工用歯型に設けられ、前記ラダーコードの各縦糸をそれぞれ案内する同一周長の外周面とを備え、前記第二の熱セット装置は、前記ラダーコードを前記第一の加熱炉より高温で加熱する第二の加熱炉と、前記第二の加熱炉内で回転して、前記ラダーコードを案内する加工用溝型と、前記加工用溝型の外周面に周方向に設けられて、前記ラダーコードの各縦糸の横糸ピッチを異なるピッチに成形する溝とを備え、前記ラダーコードを前記加工用溝型から前記第二の加熱炉外に案内するローラーに、前記ラダーコードの縦糸に作用する張力を異なる張力に調整する張力調整装置を備えた。
【0012】
請求項
2では、前記加工用溝型の外周面に、前記ラダーコードの各縦糸をそれぞれ案内する溝を設け、前記各溝の周長を異なる長さとした。
請求項
3では、ラダーコードの各縦糸での横糸ピッチを第一の熱セット装置で同一のピッチに成形し、前記第一の熱セット装置で成形されたラダーコードの各縦糸での横糸ピッチを第二の熱セット装置で異なるピッチに成形する
横型ブラインドのラダーコード製造方法であって、前記第二の熱セット装置において、加工用溝型の外周面に周方向に設けられた溝で、前記ラダーコードの各縦糸の横糸ピッチを異なるピッチに成形し、前記加工用溝型から加熱炉外に案内されるラダーコードの縦糸に異なる張力を付与して前記各縦糸の横糸ピッチを調整する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラダーコードの各縦糸で横糸ピッチのピッチ差が異なる複数種類のラダーコードを容易に製造し得るラダーコード製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化したラダーコード製造装置の第一の実施形態を図面に従って説明する。ラダーコードは、ポリエステル繊維の糸を梯子状に編み組む第一の工程と、編み組まれたラダーコードを所望の色に染色する第二の工程と、染色されたラダーコードを熱により収縮させて、特に横糸ピッチを所定の寸法に形成する第三及び第四の工程を経て形成される。
【0017】
図1は、第一及び第二の工程で編み組まれ、かつ染色されたラダーコードの横糸ピッチを第一の熱セット装置1で一定のピッチに成形する第三の工程を示す。第一の熱セット装置1は、第二の工程で形成されたラダーコード2がコード巻き3から歯型ローラー4,5を経て第一の加熱炉6内に案内される。
【0018】
前記歯型ローラー4,5は、その外周面の中央部に前記ラダーコード2の横糸に係合する送り歯7が等間隔に多数形成され、その送り歯7の両側の外周面でラダーコード2の縦糸が案内される。送り歯7の両側部分の外径は同一である。
【0019】
前記第一の加熱炉6内にはローラー状の加工用歯型8が回転可能に支持されている。加工用歯型8の外周面には、
図2に示すように、ラダーコード2の横糸に係合する送り歯9が周方向に等間隔に形成されている。また、加工用歯型8の送り歯9の両側の外周面の径は同一径である。
【0020】
そして、ラダーコード2は前記歯型ローラー5から第一の加熱炉6内に案内されて加工用歯型8の外周面に掛装され、加工用歯型8から第一の加熱炉6外の歯型ローラー10に案内される。
【0021】
前記第一の加熱炉6にはヒーター11が設けられている。そして、第一の加熱炉6の炉内温度及び加工用歯型8の回転速度は第一の加熱炉6に併設される制御部12で制御され、炉内温度は100℃前後に維持される。
【0022】
前記歯型ローラー10は、前記歯型ローラー4,5と同様な形状で形成されている。そして、ラダーコード2は歯型ローラー10から送りローラー13を経てコード巻き14に巻き取られる。
【0023】
前記歯型ローラー10、加工用歯型8及びコード巻き14は、ラダーコード2に弛みが生じないように、制御部12により同期して回転される。
このような第一の熱セット装置1では、ラダーコード2が第一の加熱炉6内で加工用歯型8に案内されながら加熱されて、横糸のピッチ間隔が所定の寸法に収縮するように成形される。加工用歯型8は送り歯9の両側部外周面が同一径で形成されているので、
図3に示すように、各縦糸における横糸のピッチp1は同一値に成形され、例えば21.3mmに成形される。
【0024】
図4は、前記第三の工程で成形されたラダーコード2を第二の熱セット装置15でさらに成形して、前後の縦糸の横糸ピッチを異なるピッチに成形する第四の工程を示す。
第二の熱セット装置15は、第二の加熱炉16内の加工用溝型17を除いて、第一の熱セット装置1と同様な構成である。すなわち、第三の工程で成形されたラダーコード2は、前記コード巻き14から歯型ローラー18,19を経て第二の加熱炉16内の加工用溝型17に案内され、加工用溝型17から第二の加熱炉16外の歯型ローラー20及び送りローラー21を経てコード巻き22に巻き取られる。
【0025】
前記第二の加熱炉16にはヒーター23が設けられている。そして、第二の加熱炉16の炉内温度及び加工用溝型17の回転速度は第二の加熱炉16に併設される制御部24で制御され、炉内温度は200℃前後に維持される。
【0026】
前記加工用溝型17はローラー状に形成され、
図6に示すように、その外周面25の一側には深さtの溝26が形成されている。
この実施形態では、溝26の深さtは加工用溝型17の外周面25の直径を630mmとしたとき、4mmに設定されている。
【0027】
このような加工用溝型17に対し、ラダーコード2の一方の縦糸29aが外周面25に掛装され、他方の縦糸29bが溝26内に掛装された状態で加工用溝型17の回転にともなって移動しながら成形される。
【0028】
すると、縦糸29a,29bの径を0.5mmとしたとき、
図5に示すように、外周面25に掛装される縦糸29aでの横糸ピッチp2は21.10mmに収縮成形され、溝26に掛装される縦糸29bでの横糸ピッチp3はほぼ20.83mmに収縮成形される。
【0029】
図7及び
図8に示すように、前記歯型ローラー20の外周面にはラダーコード2の横糸に係合する送り歯27が形成され、その送り歯27の両側の外周面28a,28bは異なる直径で形成されている。
【0030】
そして、直径が大きく周長の長い外周面28aで横糸ピッチp2側の縦糸29aが掛装され、他方の外周面28bで横糸ピッチp3側の縦糸29bが掛装されるようになっている。
【0031】
図9に示すように、前記歯型ローラー20はその回転軸を水平方向に回動して、前記加工用溝型17の回転軸に対し平行ではない角度に調整可能となっている。そして、歯型ローラー20の回転軸の角度を調整することにより、第二の加熱炉16内で加工用溝型17から歯型ローラー20に向かって案内されるラダーコード2の各縦糸29a,29bに作用する張力を異なる張力となるように調整可能となっている。
【0032】
この実施形態では、短い横糸ピッチp3が成形された側の縦糸29bにより大きな張力が作用するように歯型ローラー20の回転軸の角度が調整されている。この結果、
図5に示す横糸ピッチp2は21.10mmに維持され、横糸ピッチp3は21.0mmとなる。
【0033】
そして、成形されたラダーコード2が歯型ローラー20から送りローラー21を経てコード巻き22に巻き取られる。
このような第二の熱セット装置15で形成されたラダーコード2を使用した横型ブラインドでは、縦糸29aでの横糸のピッチが縦糸29bでの横糸のピッチより大きくなるので、縦糸29aではそのピッチ差が累積されるため、下段のスラットほど傾きが大きくなる。
【0034】
従って、上段部のスラットで採光量を確保しながら、下段部のスラットで窓際での眩しさを緩和し、かつプライバシーを確保することが可能となる。
上記のように構成されたラダーコード製造装置では、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)各縦糸29a,29bで横糸ピッチp2,p3の異なるラダーコード2を容易に成形することができる。
(2)低温で成形する第一の熱セット装置1で、各縦糸での横糸ピッチを一定値に成形し、高温で成形する第二の熱セット装置15で各縦糸29a,29bの横糸ピッチp2,p3を異なる値に成形する。従って、横糸ピッチp2,p3を所望のピッチ差に精度よく成形することができる。
(3)第一の熱セット装置1の加工用歯型8は、ラダーコード2を案内する外周面に横糸に係合する送り歯9を等間隔に設けた構成であり、第二の熱セット装置15の加工用溝型17はラダーコード2を案内する外周面25に一方の縦糸29bを案内する溝26を形成する構成である。従って、加工用歯型8及び加工用溝型17を特殊な形状とすることなく異なる横糸ピッチp2,p3を成形することができる。
(4)第二の熱セット装置15で、歯型ローラー20の回転軸の角度を調整してラダーコード2の縦糸29a,29bに作用する張力を調整することにより、加工用溝型17で成形した横糸ピッチp2,p3をさらに微調整することができる。従って、歯型ローラー20の回転軸の角度を調整することにより、横糸ピッチp2,p3のピッチ差が異なる複数種類のラダーコードを容易に成形することができる。
(5)溝26の深さtが異なる加工用溝型17を使用することにより、横糸ピッチp2,p3のピッチ差が異なる複数種類のラダーコードを容易に成形することができる。
(第二の実施形態)
図10は、第二の実施形態を示す。この実施形態は、前記第一の実施形態の加工用溝型17に代えて、加工用溝型30を使用するものであり、その他の構成は第一の実施形態と同様である。
【0035】
加工用溝型30は、その外周面がテーパー状に形成され、2条の溝31a,31bが周方向に平行に形成されている。溝31a,31bは、ラダーコード2の縦糸がほぼ没するような深さとする。
【0036】
このような加工用溝型30の溝31a,31bでラダーコードの縦糸を案内すると、溝31a,31bの周長の差により、各縦糸で横糸ピッチの異なるラダーコードを成形することができる。
【0037】
また、溝31a,31bの深さが縦糸の径程度に浅いので、成形時に溝31a,31bの縁部で横糸に無用なダメージを与えないようにすることができる。
(第三の実施形態)
図11は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、第二の実施形態の加工用溝型30の外周面に当接して、加工用溝型30の回転にともなって回転する押えローラー32を備えたものである。
【0038】
押えローラー32により溝31a,31bからの縦糸の外れを未然に防止することができる。
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第一の実施形態の歯型ローラー20で縦糸29a,29bでの横糸ピッチの差が拡大するように張力を調整してもよい。
・第一の熱セット装置1で成形したラダーコード2を、コード巻き14を介して第二の熱セット装置15に案内して、第三及び第四の工程を連続して行ってもよい。また、第三の工程と第四の工程を独立した工程としてもよい。