(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
缶蓋本体の上面中央部に突出して形成されるリベットと、スコアにより前記缶蓋本体とのヒンジ部を残して画成された開口片と、前記開口片の上に一端部を重ねて前記リベットに取り付けられるタブとを備え、前記タブの他端部を上方に引き上げることにより、前記一端部が前記開口片を下方に押圧して前記スコアを破断させ、前記開口片を前記ヒンジ部で前記缶蓋本体の内部に折り曲げて開口させる缶蓋であって、
前記リベットの中心を通り、前記タブの長手方向と平行な線を基準線とすると、前記開口片は、前記基準線に直交する方向の最大幅が、前記基準線上の長さよりも大きく形成され、前記最大幅の中心が、前記基準線よりも前記ヒンジ部側にずれて配置されており、
前記タブは、前記一端部が円弧状に形成され、前記リベットが挿入されるリベット孔の中心は、前記一端部を形成する円弧の中心よりも前記一端部側で、かつ、前記ヒンジ部とは反対側にずれて形成されていることを特徴とする缶蓋。
前記開口片は、前記最大幅が18mm以上26mm以下、前記最大長さが16mm以上24mm以下に設定され、前記タブは、全長が22mm以上26mm以下、全幅が12mm以上16mm以下に設定されており、前記リベット孔の最も前記タブの一端部に近い点を基準点とすると、前記タブの他端部から前記基準点までの長さに対する前記基準点から前記タブの一端部までの長さの比率が、0.25以上0.30以下であることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
【背景技術】
【0002】
飲料缶の缶蓋として、特許文献1に示されるように、タブを缶蓋本体に取り付けたままの状態で飲み口が開口可能なステイオンタブ方式のものが知られている。
このタブを備えた缶蓋は、タブがリベットによって取り付けられており、タブの引き上げ部を引き上げることにより、リベット近傍が支点となり、タブノーズ部(タブの先端)が作用点となって、パネル表面のスコアに囲まれた開口片を押圧、没入してスコアを破断させ、開口片を開口させるようになっている。この際、スコアは始端部と終端部とが離間しており、開口片は缶蓋と離れることなく飲料缶内部に押し入れられて開缶する。
【0003】
ところで、近年では、内容物の注ぎ性を向上させることに対する要望が高まっている。この注ぎ性を向上させるための手段として、例えば、開口片の開口面積を拡げるようにしているが、開口片の開口面積を大きくすると、開缶作業時に大きな破断力が必要となり、開口性が悪くなる。そこで、十分な開口性を得るために、スコアの切り込み深さを深くしてスコア残厚を薄くすることが考えられるが、その場合には、スコアの物理的強度が低下し、亀裂等の問題が発生するおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1では、リベットの位置を缶蓋本体の中心に対して、開口片と反対側に偏芯させたり、開口片の先端を缶蓋本体の周縁部に近づけたり、もしくは、これらの両方を採用することによって、開口片の縦横比を所定の比率となるように構成し、これにより、開缶性及び物理的強度を損なうことなく、開口片を広口に形成することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、リベットの位置を偏芯させたり、開口片の先端を缶蓋本体の周縁部に近づけたりした場合には、金型の作り替えや大幅な修正を強いられることになり、コストが高く、効率的ではなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、好適な開缶性を確保することができる缶蓋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の缶蓋は、缶蓋本体の上面中央部に突出して形成されるリベットと、スコアにより前記缶蓋本体とのヒンジ部を残して画成された開口片と、前記開口片の上に一端部を重ねて前記リベットに取り付けられるタブとを備え、前記タブの他端部を上方に引き上げることにより、前記一端部が前記開口片を下方に押圧して前記スコアを破断させ、前記開口片を前記ヒンジ部で前記缶蓋本体の内部に折り曲げて開口させる缶蓋であって、
前記リベットの中心を通り、前記タブの長手方向と平行な線を基準線とすると、前記開口片は、前記基準線に直交する方向の最大幅が、前記基準線上の長さよりも大きく形成され、前記最大幅の中心が、前記基準線よりも前記ヒンジ部側にずれて配置されており、
前記タブは、前記一端部が円弧状に形成され、前記リベットが挿入されるリベット孔の中心は、前記一端部を形成する円弧の中心よりも前記一端部側で、かつ、前記ヒンジ部とは反対側にずれて形成されていることを特徴とする。
【0009】
開缶するためにタブを起こすと、リベット付近のスコアの途中部が最初に破断する(ポップ動作)。次いで、スコアの始端方向に向けて破断が進み、同時に、それと反対方向のスコアの終端方向に向けて開口片を周回するように破断が進んで(ティア動作)、ヒンジ部で開口片が折れ曲がって完全に缶蓋内側まで入り込むことで開缶する。そして、このような開缶過程においては、タブの他端部を上方に引き上げるに従い、タブの一端部と開口片とが接触する位置が、一端部の円弧形状に沿って少しずつ時計回りに回転するように移動する。
【0010】
本発明の缶蓋においては、リベット孔をタブの一端部側へ近づけているので、開缶初期の破断力(ポップ値)を低下させることができ、比較的小さな力で開缶させることができる。
また、開口片の最大幅を拡大した広口のスコアの場合、ティア動作の進行にしたがってタブの一端部からスコアまでの距離が長くなり、タブが伝達する押圧力の方向と、開口片を画成するスコア破断の進行方向とのずれが少しずつ大きくなるため、開口しきれずに半開缶となる場合がある。しかしながら、この缶蓋においては、タブのリベット孔を、開口片の配置に合わせて、タブの一端部を形成する円弧の中心から、開口片のヒンジ部側とは反対側にずらして配置しているので、タブの一端部と開口片との接触位置をスコアの破断位置に近づけて理想的な配置とすることができ、タブの押圧力を効果的に伝達させて開缶性を向上させることができる。
【0011】
さらに、タブ全体の形状を大幅に変更することなく、リベット孔の配置を変更するだけで対応することができるので、既存の設備を利用した簡易な構成でタブを作製することができ、効率的である。
【0012】
また、本発明の缶蓋において、前記開口片は、前記最大幅が18mm以上26mm以下、前記最大長さが16mm以上24mm以下に設定され、前記タブは、全長が22mm以上26mm以下、全幅が12mm以上16mm以下に設定されており、
前記リベット孔の最も前記タブの一端部に近い点を基準点とすると、前記タブの他端部から前記基準点までの長さに対する前記基準点から前記タブの一端部までの長さの比率が、0.25以上0.30以下であるとよい。
そして、前記リベット孔の中心は、前記円弧の中心から
前記基準線までのずれ量が前記ヒンジ部とは反対側の0.2mm以上0.5mm以下の範囲
に設定されるように形成されているとよい。
【0013】
このように、リベット孔の配置を設定することにより、タブの一端部と開口片との接触位置とスコアの破断位置とを近づけ、押圧力を効果的に伝達させて開缶性を向上させることができるとともに、既存の設備を利用した簡易な構成で、リベット孔の配置を変更したタブを作製することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タブのリベット孔の配置を変更するという比較的簡易な構成で、タブの押圧力の伝達に適した開口片とタブとの理想的な配置を実現することができるので、好適な開缶性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の缶蓋の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の缶蓋100は、飲料用の缶に用いられる、いわゆるステイオンタブ式缶蓋であり、
図1に示すように、缶蓋本体1とタブ2とにより構成され、これらの缶蓋本体1およびタブ2は、それぞれアルミニウム合金により形成されている。
【0017】
缶蓋本体1は、
図1および
図2に示すように、その中央部分に配置される円板状をなすパネル部10aと、パネル部10aの外周縁からコーナー部11を介して連続し下方に向けた環状凹部12を形成するカウンターシンク部13と、カウンターシンク部13の外周縁から上方に向けてほぼ拡径しながら延在するチャック壁部14と、チャック壁部14の外周縁から連なるショルダー部15と、ショルダー部15に連続するショルダーカール部16とから構成されている。
【0018】
パネル部10aの上面には、
図1に示すように、パネル部10a(缶蓋本体1)の中央部に突出したリベット3が形成されており、このリベット3にタブ2が取り付けられている。また、パネル部10aの上面のリベット3から特定の半径方向に延びる部分(
図1ではリベット3の下側)にスコア部4により画成される開口片5が形成され、開口片5とはリベット3を介して反対側(
図1ではリベット3の上側)に指かけ凹部6が形成されており、リベット3と指かけ凹部6との間にディンプルと称される一対の凸部7が形成されている。
そして、これら開口片5、指かけ凹部6、凸部7を取り囲むように凹状のパネルデボス10bがタブ2の長手方向に延在して形成されており、そのパネルデボス10bを構成する外周壁10cによってパネル部10a全体の剛性が高められている。
【0019】
スコア部4は、
図1に示すように、始端部41と、リベット3をほぼ半分囲む円弧状の初期破断部となる凹円弧部42と、略楕円形状の中間部43と、終端部44とで構成され、始端部41と終端部44との間にパネル部10aとの接続部であるヒンジ部45を一部残して形成され、開口片5を画成している。凹円弧部42は、リベット3周囲のコイニングにより押しつぶされたリング状圧印部に形成される。
スコア部4は、タブ2による押圧によって破断されて開口片5を形成する主スコア4aと、主スコア4aの内側に隣接して平行に形成された補助スコア4bとを備えた二重構造とされており、スコア部4の始端部41および終端部44で、主スコア4aと補助スコア4bとが接続されている。補助スコア4bは、隣接する主スコア4aよりも浅く形成されており、タブ2の押圧によっては破断されない構成となっている。
【0020】
また、開口片5は、リベット3の中心を通り、タブ2の長手方向と平行な線を基準(基準線B)とすると、基準線Bに直交する方向の最大幅W1が、基準線B上の長さL1よりも大きく形成されており、最大幅W1の中心Cが、基準線Bよりもヒンジ部45側にずれて配置されている(
図3に示すΔW1)。開口片5は、最大幅W1が18mm以上26mm以下に設定され、最大長さL1が16mm以上24mm以下の範囲で最大幅W1より小さくなるように設定されている。
開口片5上には、スコア部4に沿うようにして突出させられたインナービード8が形成され、開口片5を補強している。
【0021】
タブ2は、アルミニウム等の金属板を切り抜いてプレス加工等により平坦に形成されており、開口片5の上方に重なって配置された一端部21と、リベット3を挟んで反対側に形成された他端部の引き上げ部22とを備え、引き上げ部22には、タブ2の厚さ方向に開口するタブホール部23が形成されている。
一端部21は円弧状に形成されており、この一端部21と引き上げ部22との間には、U字状のスロット24aによりタング部24が形成され、タング部24にリベット孔25が形成されている。そのリベット孔25にリベット3が挿入されてタング部24の下面がパネルデボス10bの表面に当接した状態でタブ2が取り付けられている。
【0022】
タブ2は、全長L2が22mm以上26mm以下、全幅W2が12mm以上16mm以下の大きさに設定されており、タブ2のリベット孔25の中心25cは、一端部21を形成する円弧の中心20cよりも一端部21側で、かつ、開口片5のヒンジ部45とは反対側にずれて形成されている。この場合、リベット孔25の最も一端部21に近い点を基準(基準点d)とすると、タブ2の他端部から基準点dまでの長さL21に対する基準点dから一端部21までの長さL22の比率(L22/L21)が、0.25以上0.30以下に設定されている。また、リベット孔25の中心25cのずれ量ΔW2は、0.2mm以上0.5mm以下に設定されている。
なお、リベット3は、パネル部10aの中心の周囲を上方からリング状に圧印するコイニング加工を施して、パネル部10aの中心部を上方に張り出させることにより形成される。
【0023】
指かけ凹部6は、タブ2の引き上げ部22を引き上げる際に、引き上げ部22の下方に指先を配置して引き上げ易くするものであり、引き上げ部22下方近傍のパネル部10aに半径方向外方にかけて形成されている。
また、指かけ凹部6の側面61は、パネルデボス10bの外周壁10cの一部分と連続して設けられており、その底面62はパネルデボス10bの上面から、さらに下方に窪んで形成されている。
【0024】
凸部7は、パネルデボス10bの上面に突出し、タブ2の幅方向に並んで間隔をおいて二つ形成されている。そして、タブ2の外縁部がこの一対の凸部7に引っ掛かり、タブ2の回転移動を防止できるようになっている。
【0025】
このように構成される缶蓋100において、タブ2の引き上げ部22を上方に引き上げると、まず、開口片5上のタブ2の一端部21が支点となってリベット3が上方に持ち上げられる。これにより、主スコア4aの凹円弧部42の開口片5側がタブ2により押さえられた状態で、凹円弧部42のリベット3側が上方に持ち上げられ、凹円弧部42にせん断力が作用して破断する(ここまでをポップ動作とする)。
そして、さらにタブ2を持ち上げていくと、リベット3が支点で、作用点がタブ2の一端部21となり、主スコア4aに囲まれた開口片5がタブ2により缶内に押し込まれながら主スコア4aが順次破断して、開口片5を周回するように開口する(ポップ動作後をティア動作とする)。
この際、タブ2の引き上げ部22を上方に引き上げるに従い、タブ2の一端部21と開口片5とが接触する位置は、一端部21の円弧形状に沿ってリベット3を中心とする時計回りに少しずつ回転するように移動する。
【0026】
本実施形態の缶蓋100においては、リベット孔25をタブ2の一端部21側へ近づけているので、開缶初期の破断力(ポップ値)を低下させることができ、比較的小さな力で開缶させることができる。
また、タブ2のリベット孔25を、開口片5の配置に合わせて、タブ2の一端部21を形成する円弧の中心20cから、開口片5のヒンジ部45側とは反対側にずらして配置しているので、タブ2の一端部21と開口片5との接触位置をスコア部4の破断位置に近づけて理想的な配置とすることができ、タブ2の押圧力を効果的に伝達させて開缶性を向上させることができる。
さらに、タブ全体の形状を大幅に変更することなく、リベット孔の配置を変更するだけで対応することができるので、既存の設備を利用した簡易な構成でタブを作製することができ、効率的である。
【0027】
次に、前述のように構成した缶蓋100について、タブ2のリベット孔25の位置を以下の表1〜表3に示す条件(表1〜表3は対応する同じ条件)で種々の缶蓋を作製し、缶蓋単体でのポップ動作時の開缶性(初期開缶性)及びティア動作時の開缶性(ティア開缶性)と、充填缶における開缶性(充填缶開缶性)とを確認した。
表1〜表3の「L22/L21」は、
図3に示すタブ2の他端部から基準点dまでの長さL21に対する基準点dから一端部21までの長さL22の比率(L22/L21)に対応したものである。また、「ΔW2」も、
図3に示すリベット孔25の中心25cのずれ量ΔW2に対応したものであり、リベット孔25の中心25cの一端部21の円弧の中心20cからヒンジ部45とは反対側へのずれ量を示す。
なお、タブ2は、全長L2が25mm、全幅W2が15.5mmであり、このタブ2において、比率L22/L21を0.300〜0.310とし、ずれ量ΔW2を0.0mmとした場合が、タブ2の一端部21の円弧の中心20cに、リベット孔25の中心25cが配置されている状態である。
【0028】
(初期開缶性評価)
L22/L21及びΔW2についてぞれぞれの条件の缶蓋を10個ずつ作製し、これらの缶蓋を固定した状態でタブの引き上げ部を強制的に引き上げて開缶性を確認した。この場合、ポップ動作からティア動作の一連の動作を継続して実施したが、ポップ動作時の開缶性とティア動作時の開缶性とを表1と表2に分けて表示した。
表1に初期開缶性を評価した結果を示す。
表1の「○」は、10個の全ての缶蓋が問題なく主スコアの凹円弧部を破断し、初期開缶したことを表している。「△」は、10個全ての缶蓋が初期開缶したが、「○」の場合と比べて、ポップ値が高く、大きな力が必要であることを示している。また「タブ折れ」とは、初期開缶はしたが、タブの先端(一端部)が折れた缶蓋があったことを表している。そして、「未開缶」は、主スコアが破断せずに、タブの先端が折れてしまった缶蓋があったことを表している。
なお、「タブ折れ」及び「未開缶」は、ぞれぞれ、少なくとも1個に「タブ折れ」及び「未開缶」の缶蓋が発生したものがあったことを示している。
【0030】
表1に示すとおり、タブ2の他端部から基準点dまでの長さL21に対する基準点dから一端部21までの長さL22の比率(L22/L21)を小さくした場合、つまり、リベット孔をタブの一端部側にずらして配置した場合に、ポップ値を低下させることができ、確実に初期開缶させることができる。しかし、リベット孔を一端部側に大きくずらして配置した場合には、タブの先端にかかる負荷が大きく、初期開缶させることはできたがタブ折れが発生した。また、リベット孔のずれ量ΔW2を、0.6mmと大きくずらして配置した場合には、ポップ値が高くなり、開缶性が悪くなることがわかった。
【0031】
(ティア開缶性評価)
表2に初期開缶後のティア動作の開缶性の評価結果を示す。ポップ動作時にタブ折れ又は未開缶となった缶蓋を除き、残りの缶蓋について評価した。
表2の「○」は、全ての缶蓋が、主スコアの全域で破断して開缶したことを表している。また、「半開缶」とは、主スコアの破断が途中で止まり、開口しきれなかった缶蓋があったことを表しており、少なくとも1個に半開缶が生じたものがあったことを示している。
【0033】
表2に示すとおり、ティア動作においては、比率L22/L21を小さくし、ずれ量ΔW2を小さくした場合に、半開缶となることがわかる。したがって、この場合には、リベット孔を、タブの一端部を形成する円弧の中心よりも一端部側で、かつ、開口片のヒンジ部とは反対側にずらして、バランス良く配置することで、ティア動作においても良好な開缶性を得ることができる。
【0034】
(充填缶開缶性評価)
前述したサンプルの缶蓋を用いて、ガスボリューム3.0の内容液を充填した飲料缶を作製し、この飲料缶を40℃の恒温室に24時間放置した後、5℃の状態で開缶して、開缶状態を確認した。表3に結果を示す。
表3の「○」は、10個全ての缶蓋が、主スコアの全域で破断して開缶したことを表している。また、「半開缶」とは、主スコアの破断が途中で止まり、開口しきれなかった缶蓋があったことを表しており、少なくとも1個に半開缶が生じたものがあったことを示している。
【0036】
表3に示すように、比率L22/L21を0.250以上0.300以下に設定し、ずれ量ΔW2を0.2mm以上0.5mm以下に設定した場合に、良好な開缶性を得られることがわかる。この設定条件は、前述の初期開缶性評価及びティア開缶性評価の両方で、良好な結果が得られた条件に含まれている。充填缶とした場合には、ポップ値が高くなるため、リベット孔をタブの一端部側にずらして配置することで、タブの一端部と開口片との初期接触位置をずらしてポップ値を低下させることが有効であることがわかる。また、この場合においても、良好なティア動作を行えるように、ヒンジ部とは反対側にリベット孔をずらしてバランス良く配置することで、良好な開缶性が得られる。
【0037】
以上のとおり、タブのリベット孔を、開口片の配置に合わせて、タブの一端部を形成する円弧の中心から、開口片のヒンジ部側とは反対側にずらして配置しているので、タブの一端部と開口片との接触位置を周回する主スコアの破断位置に近づけて理想的な配置とすることができ、タブの押圧力を効果的に伝達させて開缶性を向上させることができる。
また、タブ全体の形状を大幅に変更することなく、リベット孔の配置を変更するだけで対応することができるので、既存の設備を利用した簡易な構造でタブを作製することができ、効率的である。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。