【実施例】
【0069】
[合成方法]
特に言及しない限り、商業的な供給元から入手した試薬グレードの化学品および無水溶媒を、さらに精製することなく使用した。湿気および大気に敏感な反応および試薬の移し変えはいずれも、窒素またはアルゴン雰囲気下で行った。ハクソウクロマトグラフィー(TLC)は、EM Science社の予めコーティングされたシリカゲル60F-254プレートで行った。化合物は、通常、UV光(254 nm)またはp-アニスアルデヒドスプレーで可視化した。分取カラムクロマトグラフィーは、EM Science社のシリカゲル60Å(230-240メッシュ)を用いた。溶液は、ロータリーエバポレーターを用い、周囲温度にてウォーターアスピレーター圧下で濃縮した。融点は、Mel-Tmp IIで測定し、較正しなかった。特に指定しない限り、
1H-NMRは、溶媒としてのCDCl
3中、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて、Brucker Advance 300スペクトロメーター、300 MHzで得た。マススペクトルは、通常、Hewlett Packard 5989A装置で70 eVの電子衝撃によって得た。元素分析は、Atrantic Microlab Inc.社(アトランタ、GA)が実施した。
【0070】
[実施例1]:17β-ニトロ-5α-アンドロスタン-3α-オールの合成
3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-5α-アンドロスタン-17-オキシム;
ヒドロキシルアミン塩酸塩(2 g, 29 mmol)を、3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-5α-アンドロスタン-17-オン(約13 mmol)の無水ピリジン(200 mL)溶液に添加した。この溶液を、室温にて14時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(ヘキサン/EtOAc:7:3)。3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-5α-アンドロスタン-17-オキシム (4.85 g, 88%)を集め、光沢のある白色固体として単離した。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.01, (s, 6 H), 0.76 (s, 3 H), 0.87 (s, 9 H), 0.88 (s, 3 H), 1.89-1.16 (m, 22 H), 2.55-2.46 (m, 2 H), 3.94 (s, 1 H).
【0071】
3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-17β-ニトロ-5α-アンドロスタン;
KHCO
3(5.8 g, 57 mmol)のH
2O(60 mL)中の溶液を、ジオキサン(50 mL)中のNBS(5.1 g, 29 mmol)に添加した。この懸濁液を、室温にて0.25時間撹拌し、ジオキサン(150 mL)中の3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-5α-アンドロスタン-17-オキシム (4.0 g, 9.5 mmol)を滴下によって添加した。急速に淡緑色になる。この反応液を室温にて10時間撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、NaBH
4 (2.66 g, 67 mmol)を少しずつに分けて添加した。大量のガスの発生が観察される。この反応液を一晩撹拌し、徐々に室温に加温した。反応液を、飽和NH
4Cl水溶液(50 mL)でクエンチし、その最初の体積の4分の1に濃縮した。得られた懸濁液を、水(100 mL)とEtOAc (200 mL)との間で分配させ、相を分離した。次いで、水相をEtOAc (3 × 100 mL)で抽出し、有機相を合わせ、塩水(100 mL)で洗浄し、無水にし(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(ヘキサン/EtOAc:6:4)。固体生成物(3.36 g, 84%)を集め、さらに精製することなく使用した。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.01 (s, 6 H), 0.72 (s, 3 H), 0.82 (s, 3 H) 0.88 (s, 9 H), 2.03-0.89 (m, 23 H), 2.67-2.41 (m, 1 H), 3.94 (br s, 1 H), 4.35 (dd, J = 9, 9 Hz, 1 H).
【0072】
17β-ニトロ-5α-アンドロスタン-3α-オール;
HCl水溶液(1 M, 20 mL)を、3α-(t-ブチルジメチルシロキシ)-17β-ニトロ-5α-アンドロスタン(2.89 g, 6.6 mmol)のメタノール(100 mL)中の懸濁液に添加し、室温にて一晩撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc (100 mL)と塩水(50 mL)との間で分配させ、相を分離した。次いで、水相をEtOAc (2 × 50 mL)で抽出し、有機相を合わせ、飽和NaHCO
3水溶液(50 mL)、塩水(50 mL)で洗浄し、無水にし(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。得られた半固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(ヘキサン/EtOAc:7:3)して、17β-ニトロ-5α-アンドロスタン-3α-オール(1.05g, 49%)を、淡黄色固体として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.73 (s, 3 H), 0.79 (s, 3 H), 2.05-0.86 (m, 23 H), 2.70-2.52 (m, 1 H), 4.05 (br s, 1 H), 4.37 (dd, J = 9, 9 Hz, 1 H).
【0073】
[実施例2]:3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ニトロ-5α-アンドロスタンの合成
3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ニトロ-5α-アンドロスタン;
KHCO
3(0.55 g, 5.46 mmol)のH
2O(20 mL)中の溶液を、ジオキサン(40 mL)中のNBS(0.50 g, 2.73 mmol)に添加した。この懸濁液を、室温にて0.25時間撹拌し、3β-メチル-3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17-オキシム
1 (0.29 g, 0.91 mmol)のジオキサン(40 mL)中の溶液を滴下添加した。この青い溶液を、室温にて10時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。次いで、NaBH
4 (0.25 g, 6.83 mmol)を注意深く添加した。3時間後、H
2O (100 mL)を添加し、このスラリーをCH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水にし(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して白色固体を得た。この固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(エーテル/アセトン:8.5:1.5)。得られた白色固体を、EtOAc/ヘキサンから再結晶して、白色針状晶(0.10 g, 33%)を得た。固体生成物(3.36 g, 84%)を集め、さらに精製することなく使用した。
融点 211-213 ℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.72 (s, 3H), 0.76 (s, 3H), 0.79-1.75 (m, 25H), 2.03-2.08 (m, 2H), 2.48-2.58 (m, 1H), 4.34-4.40 (dd, J = 9, 9 Hz, 1H). 元素分析C
20H
33NO
3 理論値C: 71.6, H: 9.91, N: 4.17.測定値C: 71.71, H: 9.97, N: 4.21.
オキシムについての参考文献:J. Med. Chem 2000, 3201-3204
【0074】
[実施例3]:3α-ヒドロキシ-17β-チオメチル-5α-アンドロスタンの合成
17,17-ビスベンジルチオ-5α-アンドロスタンe-3α-オール;
トルエンスルホンサンを、ベンジルメルカプタン(2.41 g, 19.4 mmol)および3α-トリフルオロアセトキシ-5α-アンドロスタン-17-オン (3.0 g, 7.76 mmol)の氷中の良好に撹拌された溶液に添加した。この反応液を室温で18時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、95% EtOH (140 mL)に溶解して取り出し、1N KOH (60 mL)を添加した。次いで、このスラリーを4時間加熱還流させ、冷却し、H
2O (200 mL)で希釈した。この混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 250 mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:9:1)して、白色固体を得た。この白色固体を、EtOAc/石油エーテルから再結晶して、無色針状晶(3.76 g, 93%)を得た。固体生成物(3.36 g, 84%)を集め、さらに精製することなく使用した。
融点 184-185 ℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.78 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 0.98-2.07 (m, 25H), 3.85-4.02 (m, 5H), 7.23-7.35 (m, 10H).
参考文献:Swannら、Tetrahedron, Vol 24 1441-1444 1968
【0075】
3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17-チオン;
THF/Et
2O (40:100 mL)中の17,17-ビスベンジルチオ-5α-アンドロスタンe-3α-オール(3.76 g, 7.22 mmol)を、Na (3.32 g, 144.4 mmol)の液体NH
3中の懸濁液に、-78 °C、N
2下で滴下により添加した。この青い溶液を、-78 °Cにて3時間撹拌した。次いで、この反応液を、飽和NH
4Cl (50 mL)およびH
2O (150 mL)を添加することによってクエンチした。得られた2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 200 mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、濃縮して橙色の半固体を得た。この半固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(エーテル/アセトン:8:2)。得られた固体を、EtOAc/ヘキサンから再結晶して、サーモン色の固体(1.06 g, 48%)を得た。固体生成物(3.36 g, 84%)を集め、さらに精製することなく使用した。
融点 172-173 ℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.82 (s, 3H), 0.89 (s, 3H), 0.90-1.68 (m, 21H), 1.99-2.03 (m, 2H), 2.59-2.69 (ddd, J=9, 9, 21 Hz, 1H), 2.90-3.00 (dd, J=9, 9 Hz, 1H), 4.06 (m, 1H). 元素分析 C
19H
30OS 理論値C: 74.45, H: 9.87, S: 10.46. 測定値C: 74.33, H: 10.01, S: 10.47.
【0076】
3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-チオール;
トリ-t-ブトキシリチウムアルミニウムハイドライドのTHF (6.27 mL, 6.27 mmol)中の1.0 M溶液を、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17-チオン(0.64 g, 2.09 mmol)のTHF (60 mL)溶液に、0℃、N
2下で、滴下により添加した。この溶液を、0℃にて2時間撹拌し、次いで、さらに2時間室温で撹拌した。飽和NaHCO
3 (75 mL)を添加し、このスラリーを、CH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた白色固体を、ヘプタンから再結晶して、白色粉末(0.61 g, 95%)を得た。
融点 169-170 ℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.70 (s, 3H), 0.79 (s, 3H), 0.80-1.70 (m, 23H), 2.16-2.18 (m, 2H), 2.58-2.69 (dd, J=9, 18 Hz, 1H), 2.90-3.00 (dd, J=9, 9 Hz, 1H), 4.06 (m, 1H). 元素分析 C
19H
32OS 理論値C: 73.97, H: 10.45, S: 10.39. 測定値C: 73.82, H: 10.73, S: 10.28.
【0077】
3α-ヒドロキシ-17β-チオメチル-5α-アンドロスタン;
ヨウ化メチル(0.35 g, 2.48 mmol)を、無水DMF (50 mL)中の、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-チオール(0.61 g, 1.98 mmol)およびK
2CO
3 (1.38 g, 10 mmol)の良好に撹拌した懸濁液に、この懸濁液を室温で4時間撹拌し、H
20 (100 mL)を添加した。この2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 150 mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(エーテル/アセトン:8:2)。得られた固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:9:1)して白色固体を得た。この固体を、ヘプタンから再結晶して、白色粉末(0.19 g, 30%)を得た。
融点 151-153 ℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.74 (s, 3H), 0.79 (s, 3H), 0.80-1.55 (m, 23H), 1.63-1.69 (m, 1H), 2.11 (m, 4H), 2.51-2.57 (dd, J=9, 9 Hz, 1H), 4.05 (m, 1H). 元素分析 C
20H
34OS 理論値C: 74.47, H: 10.62, S: 9.94. 測定値C: 74.26, H: 10.81, S: 9.89.
【0078】
[実施例4]:(+)および(-) 3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホキシドの合成
(+)および(-) 3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホキシド;
MCPBA (0.16 g, 0.71 mmol, 77%)を、3α-ヒドロキシ-17β-チオメチル -5α-アンドロスタン(0.19 g, 0.59 mmol)のCH
2Cl
2 (100 mL)溶液に0℃にて添加した。この溶液を、0℃にて0.5時間撹拌し、飽和NaHCO
3 (50 mL)を添加した。この2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた半固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(Et
2O /アセトン:9:1)して、約0.050 gの各ジアステレオマーと、約0.075 gの混合フラクションを得た。
【0079】
トップスポット(11474-36t):この固体を、EtOAc/ヘキサンから再結晶して、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホキシドを、無色針状晶として得た(0.50 g, 50%)。
融点 245-247 °C.
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 0.79 (s, 3H), 0.87 (s, 3H), 0.80-1.95 (m, 24H), 2.30-2.33 (dd, J = 9, 9, Hz, 1H), 2.37-2.44 (m, 1H), 2.49 (s, 3H), 4.05 (m, 1H). 元素分析 C
20H
34O
2S 理論値C: 70.96, H: 10.12, S: 9.47. 測定値C: 70.86, H: 10.21, S: 9.44.
【0080】
ボトムスポット:この固体を、EtOAc/ヘキサンから再結晶して、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホキシドを、無色針状晶として得た(0.50 g, 50%)。
融点 251-253 °C.
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 0.79 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.98-2.41 (m, 24H), 2.48 (s, 3H), 2.59-2.63 (dd, J = 9, 9 Hz, 1H), 4.05 (m, 1H). 元素分析 C
20H
34O
2S 理論値C: 70.96, H: 10.12, S: 9.47. 測定値C: 70.77, H: 10.01, S: 9.40.
【0081】
[実施例5]:3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホンの合成
3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホン;
MCPBA(0.10 g, 0.44 mmol)を、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホキシド(0.075 g, 0.22 mmol)のCH
2Cl
2 (50 mL)中のジアステレオマー混合物に、添加した。この溶液を室温にて2時間撹拌し、飽和NaHCO
3(50 mL)を添加し、この2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製した(アセトン/石油エーテル:6:4)。生成物を集め、EtOAc/ヘプタンから再結晶して、3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17β-メチルスルホンを白色粉末として得た(0.061 g, 78%)。
融点 223-226 °C.
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.79 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.80-2.32 (m, 25H), 2.80 (s, 3H), 2.86-2.93 (dd, J=9.6, 9.6 Hz, 1H), 4.13 (m, 1H). 元素分析 C
20H
34O
3S 0.25 H
2O 理論値C: 66.90, H: 9.68, S: 8.93. 測定値C: 67.05, H: 9.62, S: 8.79.
【0082】
[実施例6]:11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-17β-ニトロ-エストランの合成
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-5α-17β-ヒドロキシ-エストラ-3-オン;
リチウム金属(0.04 g, 6.35 mmol)を、液体NH
3 (40 mL)に、-78 °Cで添加し、15分間撹拌した。無水THF (25 mL)を添加し、次いで、無水THF (25 mL)、t-ブタノール (0.30 mL)、および11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-5α-17β-ヒドロキシエストロ-4-エン-3-オン(1.0 g, 2.54 mmol)の溶液を速やかに添加した。この青い溶液を-78℃にて5分間撹拌した後、固体NH
4Clでクエンチした。次いで、飽和NH
4Cl (150 mL)を添加し、この2相の溶液を、EtOAc (3 × 150 mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた半固体を、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:8.5:1.5)して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-5α-17β-ヒドロキシ-エストラ-3-オンを無色の半固体(0.80 g, 80%)として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.52 (s, 3H), 0.93-2.25 (m, 24H), 2.93 (s, 6H), 3.15 (m, 1H), 3.52 (dd, J=7.8, 7.8 Hz, 1H), 6.41 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.23 (d, J=8.7 Hz, 2H).
【0083】
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-スピロ-3α-オキシラニル-17β-ヒドロキシ-5α-エストラン;
鉱物油中のNaHの60%懸濁液(0.16 g, 4.05 mmol)を、トリメチルスルホオキソニウムヨーダイド(0.89 g, 4.05 mmol)の無水DMSO (100 mL)溶液に、N
2下で添加した。この溶液を、室温で2時間、すなわち、ガスの発生が止まるまで撹拌した。次いで、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-5α-17β-ヒドロキシ-エストラ-3-オン(0.80 g, 2.02 mmol)の無水DMSO (15 mL)溶液を滴下により添加した。この懸濁液を、室温で8時間撹拌し、NaClの飽和溶液(200 mL)を添加した。この2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 150 mL)で抽出し、有機抽出液を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:8:2)して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-スピロ-3α-オキシラニル-17β-ヒドロキシ-5α-エストランを、無色オイル(0.40 g, 48%)として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 0.45 (s, 3H), 0.98-1.99 (m, 23H), 2.07 (d, J=13.2 Hz, 1H), 2.49 (d, J=4.8 Hz, 1H), 2.53 (d, J=4.8 Hz, 1H), 2.87 (s, 6H), 3.20 (m, 1H), 3.47 (dd, J=7.8, 7.8 Hz, 1H), 6.58 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.19 (d, J=8.7 Hz, 2H).
【0084】
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ヒドロキシ-5α-エストラン;
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-スピロ-3α-オキシラニル-17β-ヒドロキシ-5α-エストラン(0.40 g, 0.98 mmol)のTHF (15 mL)溶液を、良好に撹拌した、無水THF (50 mL)中のLiAlH
4 (0.11 g, 2.94 mmol)の懸濁液に、0℃にてN
2下で、滴下により添加した。この懸濁液を、室温に戻し、室温に8時間保った。セライト(1.0 g)を添加した後、H
2O (0.15 mL)および10% NaOH (0.15 mL)を添加した。この粘稠な懸濁液をガラス漏斗で濾過し、濾過されたケーキをCH
2Cl
2 (2 × 50 mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、白色固体を得た。この固体を、MeOH (25 mL)に溶解して取り出し、無水エーテル中のHClの1.0 M溶液(1.0 mL)を添加した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体を、CH
3CN/石油エーテルから再結晶して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ヒドロキシ-5α-エストラン塩酸塩(0.43 g, 94%).を白色結晶として得た。
融点 230-232 ℃分解
1H-NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.19 (s, 3H), 0.85 (s, 3H), 0.62-1.80 (m, 24H), 1.90-1.95 (d, J=13.2 Hz, 1H), 3.05 (s, 6H), 3.17 (m, 1H), 3.27-3.32 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 1H), 7.23-7.26 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.43-7.46 (d, J=8.4 Hz, 2H). 元素分析 C
27H
42ClNO
2 0.25 H
2O 理論値C: 71.65, H: 9.46, N: 3.09 測定値C: 71.90, H: 9.46, N: 3.25.
【0085】
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラ-17-オン;
過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.35 g, 0.10 mmol)を、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ヒドロキシ-5α-エストラン(0.38 g, 0.91 mmol)、4-メチルモルホリン -N-オキシド(0.21 g, 1.82 mmol)、および4Å 粉末化モレキュラーシーブ(0.05 g)の無水CH
2Cl
2 (50 mL)溶液に、室温、N
2下で、添加した。この黒い懸濁液を、10時間撹拌し、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.21 g, 0.60 mmol)を、再び添加した。この黒い懸濁液を、室温でさらに3時間撹拌し、セライトのパッドを通して濾過した。この濾液を、減圧下で濃縮し、得られた黒いオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:8.5:1.5)して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラ-17-オン塩酸塩(0.10 g, 28%)を、白色固体として得た。塩酸塩は、1.1 当量の無水Et
2O中の1.0 M HClを、EtOAc中のアミンに添加することによって調製した。得られた固体を濾過し、Et
2Oで洗浄し、乾燥させた。
融点 222-225 ℃分解
1H-NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.67 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.01-1.74 (m, 18H), 1.97 (m, 1H), 2.00-2.21 (m, 4H), 2.46-2.57 (m, 1H), 3.36 (s, 6H), 3.57 (m, 1H), 7.54-7.57 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.70-7.79 (d, J=8.4 Hz, 2H). 元素分析 C
25H
4ClNO
2 0.25 H
2O 理論値C: 71.97, H: 9.05, N: 3.10 測定値C: 71.95, H: 9.09, N: 3.07.
【0086】
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシム;
ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.038 g, 0.54 mmol)を、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラ-17-オン(0.10 g, 0.24 mmol)の無水ピリジン(20 mL)溶液に、室温にてN
2下で、添加した。この溶液を、室温で18時間撹拌し、飽和NaHCO
3 (100 mL)を添加した。この2相の混合物を、CH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシムを、白色固体(0.10 g, 98%)として得た。この生成物を、さらに精製することなく用いた。
1H-NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.55 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.98-1.36 (m, 18H), 1.76-1.88 (m, 4H), 2.09 (m, 1H), 2.32 (m, 2H), 2.77 (s, 6H), 3.20 (m, 1H), 6.58-6.61 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.15-7.18 (d, J=8.7 Hz, 2H).
【0087】
11β-[4-(N,N-ジメチルN-(オキシ)アミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシム;
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシム(0.10 g, 0.24 mmol)のCH
2Cl
2 (5 mL)溶液を、ヘキサフルオロアセトン(0.026 g, 0.12 mmol)、および30% H
2O
2 (0.053 mL, 0.47 mmol)のCH
2Cl
2 (15 mL)溶液に、良好な撹拌下、滴下により添加した。この溶液を、室温で3時間激しく撹拌し、H
2O (50 mL)を添加した。この2相の混合物を、H
2O (3 × 50 mL)で抽出し、水性抽出物を合わせ、減圧下で濃縮して、11β-[4-(N,N-ジメチルN-(オキシ)アミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシムを、白色固体(0.10 g, 99%)として得た。この固体を、さらに精製することなく用いた。
1H-NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.60 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 0.63-1.66 (m, 18H), 1.87-2.05 (m, 4H), 2.23-2.28 (d, J=13.5 Hz, 1H), 2.44 (m, 2H), 3.47 (m, 1H), 3.60 (s, 6H), 7.63-7.66 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.85-7.88 (d, J=8.7 Hz, 2H).
【0088】
11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ニトロ-5α-エストラン;
H
2O (2 mL)中のKHCO
3 (0.20 g, 2.04 mmol)を、良好に撹拌したNBS (0.18 g, 1.02 mmol)のジオキサン(8 mL)溶液に添加した。この懸濁液を、室温で0.25時間撹拌し、11β-[4-(N,N-ジメチルN-(オキシ)アミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-5α-エストラン-17-オキシム(0.15 g, 0.34 mmol)のジオキサン(2 mL)溶液およびH
2O (2 mL)を添加した。この淡緑色の溶液を、室温で10時間撹拌し、新たに調製した飽和FeSO
4 (50 mL)水溶液を添加した。この褐色の懸濁液を、室温で0.25時間激しく撹拌し、EtOAc (3 × 100 mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和FeSO
4 (3 × 100 mL)で洗浄し、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られた褐色のオイルを、THF/H
2O (20:2, 22 mL)で溶解して取り出し、0℃に冷却した。NaBH
4 (0.09 g, 2.38 mmol)を添加し、さらに、この反応を室温に戻し、2時間撹拌した。水(50 mL)を添加し、この2相の混合物をCH
2Cl
2 (3 × 100 mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、無水にし(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。得られたオイルを、中圧カラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルで精製(石油エーテル/アセトン:9:1)して、11β-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-3α-ヒドロキシ-3β-メチル-17β-ニトロ-5α-エストランを白色結晶(0.010 g, 7%)として得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 0.48 (s, 3H), 1.13 (s, 3H), 0.86-1.63 (m, 17H), 1.76-1.82 (m, 1H), 1.84-1.95 (m, 3H), 1.99-2.07 (m, 1H), 2.36-2.39 (d, J=7.8 Hz, 1H), 2.42-2.51 (m, 1H), 2.99 (s, 6H), 3.29 (m, 1H), 4.27 (dd, J=5.4, 5.4 Hz, 1H), 6.60-6.62 (d, J=5.1 Hz, 2H), 7.19-7.21 (d, J=5.1 Hz, 2H).
13C-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 13.83, 23.49, 24.34, 25.20, 31.42, 31.89, 31.92, 33.11, 37.63, 38.28, 38.52, 38.78, 40.64, 42.16, 46.02, 46.21, 47.04, 50.89, 54.73, 69.61, 95.37, 112.07, 130.26, 132.18, 148.16.
HRMS: C
27H
40N
2O
3の[M+H]
+ 理論値 441.3117, 測定値 441.3116.
【0089】
本発明の化合物の生物学的活性の詳細を、in vitroおよびin vivo試験により評価した。
【0090】
[放射性リガンド結合アッセイ]
組織の調製。ラットの大脳皮質ホモジネートおよび結合アッセイは、基本的に文献(Carterら、1997)に記載のとおりに実施した。要約すると、成熟した雄のSprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories, Raleigh, NC)を過剰CO
2により窒息させて殺し、断頭し、その脳を迅速に取り出し、ドライアイス上で冷却して-76℃で貯蔵する。凍結した皮質を、10倍量の氷冷した0.32 Mのショ糖溶液内に入れ、テフロン(登録商標)ガラスホモジナイザーでホモジナイズした。このホモジネートを、1500 x gの遠心分離にかけた(4℃にて10分間)。この上清を保持し、10,000 x gの遠心分離にかけて(4℃にて20分間)、P2ペレットを得た。このP2ペレットを、200 mM NaCl(pH 7.4)を含有する等量の50 mM Na+/K+ リン酸緩衝液に再び懸濁させ、10,000 x gの遠心分離にかけた(4℃にて10分間)。このペレットを、さらに2回洗浄し、体積1/10の緩衝液に再び懸濁させ、-76℃にてアッセイする時まで貯蔵した。
【0091】
[
35S]TBPS結合アッセイ。これらのアッセイを、1.4 mLのポリプロピレンチューブ(Matrix Technologies, Hudson, NH)内で実施した。最終的な0.5 mL体積中に、各チューブは、100μLの皮質膜懸濁液(400μgのタンパク質、最後に添加)、2μMの[
35S]TBPS(64〜165 Ci/mmol)、6.25μMのGABA、および、100%のDMSO中の6つの異なる濃度の1つの試験化合物(5μLで添加、DMSOの最終濃度は1%)を含有していた。この試験化合物を、アッセイチューブに、96穴ヘッドを有するBiomekFX自動液体ハンドラー(Beckman-Coulter, Fullerton, CA)を用いて添加した。非特異的結合は、200μMのピクロトキシンの存在下で測定した。アッセイは、室温(RT)で2時間インキュベートし、その後、96穴ハーベスター(Brandel Scientific, Gaithersburg, MD)を使用して、96穴GF/Bガラスフィルタープレートを通して減圧濾過することによって停止させた。採取(harvesting)に先だって、濾過プレートを0.15%のBSAおよび0.1%のPEIを含有する緩衝液中に20分間予め浸漬させた。フィルター上に残っている放射能は、TopCount社の12個の検出器を有するシンチレーションカウンター(Packard Instruments, Meriden, CT)で測定した。この測定には、ウェル1個当たり20μLのMicroScint20(Packard Instruments)を使用し、標準的な液体シンチレーションカウンティング技術を用いた。
【0092】
[
3H]フルニトラゼパム結合アッセイ。このアッセイは、アッセイが、20μgの組織ホモジメート、1.9μMのGABA、および1.0 nMの[
3H]フルニトラゼパム(74.1〜85 Ci/mmol)を含有していたこと以外は、[
35S]TBPSアッセイについて記述したとおりに実施した。Clonazepam(1.0μM)を、非特異的結合の測定に用いた。
【0093】
データの分析。アロプレグナノロンおよび試験化合物のIC
50もしくはEC
50、およびE
maxの値を、Prism(version 3, GraphPad Software, San Diego, CA)を用いて、結合データに3つのパラメーターの式(three-parameter logistic equation)をフィッティングさせることによって算出した。結果を下記表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
EC
50の値は、プレグナノロンに対する値であり、試験化合物のE
maxを、アロプレグナノロンについて測定したE
maxの百分率(percentage)で表した。アロプレグナノロンの存在下で測定した[
3H]フルニトラゼパムの平均増強率は、約60%であった。[
35S]TBPSの限定された阻害または[
3H]フルニトラゼパムの増強が、10,000 nMの最大濃度で起こる場合に、IC
50もしくはEC
50の値を10,000 nMより大とした。活性剤についてのこれらのデータは、少なくとも3回の独立した実験からの平均値±SD(標準偏差)で報告した。
【0096】
[マウスモデルでの試験]
雄のNIH Swissマウス(25〜30 g)を、ケージ1個当たり2匹入れた。動物を、飼育条件(温度22〜26℃、湿度40〜50%)に保ち、人工的な12時間の明/暗サイクルに置き、食餌と水を自由に摂取させた。動物は、少なくとも5日間飼育条件に順応させた。実験は、明/暗サイクルの明るい時期(午前9:30〜午後3:30の間)に実施し、少なくとも30分間の間実験室に順応させた。動物は、米国実験動物保護認定協会によって十分に認定された施設内で維持し、国立神経疾患・言語障害・脳卒中研究所によって確立されたプロトコルの下で、国立研究所協議会の実験動物の管理使用のための指針(National Academy Press, Washington, DC; http://www.nap.edu/readingroom/books/labrats/)に厳密に従って実施した。
【0097】
ステロイドの溶液は、滅菌した0.9%生理食塩水中40%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液であり、毎日新たに調製した。さらなる希釈は、滅菌生理食塩水を用いて行った。ステロイドは、腹腔内注射した。痙攣剤であるペンチレンテトラゾール(PTZ; Sigma-Aldrich)は、使用直前に生理食塩水に溶解した。薬剤溶液はいずれも、動物の体重の0.01 nL/gに相当する体積で投与した。
【0098】
PTZ痙攣試験を、文献(Kokateら、1994)に記載されているとおりに実施した。要約すると、マウスにPTZ(80 mg/kg)を、試験ステロイドの注射後15分後に皮下注射し、30分間観察した。5秒より長く続く間代発作を起こさないマウスを、保護されたとして記録した。用量反応曲線を得るために、ステロイドを、50%保護をもたらす用量(ED
50)に及んでいるいくつかの用量で試験した。6〜10匹のマウスを各用量で試験した。ED
50値および相当する95%信頼限界を、log-プロビット分析によって決定した。
【0099】
6 Hz痙攣試験を、試験ステロイドの注射後15分後に、文献(Kaminskiら、2004)に記載されているとおりに実施した。要約すると、3秒の角膜刺激(200μ秒の継続時間、32 mA 6 Hzの単極方形パルス)を、定電流装置によって送った(ECT Unit; Ugo Basile, Comerio, Italy)。眼内麻酔剤(0.5%のテトラカイン)を、刺激の15分前に角膜に適用した。刺激に応答して、動物は、「呆然とした」姿勢であって、後ろ足で立ち、機械的な動作を伴う姿勢を、未処理の動物で60秒〜120秒間示した。動物は、痙攣の後、それぞれの通常の探索的行動を再開する。実験における評価項目は、痙攣に対する保護である。刺激後10秒以内にそれぞれの通常の探索行動を再開した場合に、動物が保護されたと考える。統計的な比較は、PTZ試験において上述したものと同様である。
【0100】
抗不安活性を、上述した高架式ゼロ迷路試験(Kaminskiら、2006)で評価した。迷路(Hamilton-Kinder, Poway, CA)を、薄暗い照明下の部屋の中央に置いた。各マウスを、それぞれそのホームケージから取り出し、閉じたアームの内側に置いた。5分間の試験セッションを、三脚に取り付けたビデオカメラで記録した。オープンエリア内の時間の百分率およびオープンエリアに進入した回数を、記録されたテープから、Observer 3.0ソフトウェア(Noldus, Wageningen, The Netherlands)を用いて記録した。動物は、四肢が全てクローズドエリアを離れた場合にオープンエリアにオープンエリアに進入したとみなされる。オープンエリア時間は、一旦四肢の1つがクローズドエリア内に入った時点で終了したとみなされる。これらの測定値の増加は、抗不安活性を反映する。用量応答データは、一元配置の分散分析によって分析した。個々の用量について、対照(ビヒクル処理)の値からの差異を、Dunnett’s試験を用いる事後比較によって同定した。
【0101】
本明細書に記載した一連のGABA
A受容体リガンドは、内因性神経ステロイドアロプレグナノロンと同程度であることを特徴とする結合特性を示す。
【0102】
当業者であれば、上述した教示を踏まえて、本発明をさまざまに変形および変更することが今や可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本発明を、本明細書の具体的な記載たとは異なる態様で、本発明の精神および範囲を逸脱することなく実施することができることを理解されたい。
【0103】
[米国特許文献]
1. Upasani, R. B.; Xia, H. Methods, Compositions and Compounds for Allosteric Modulation of the GABA Receptor by Members of the Androstane and Pregnane Series, U.S. Patent No. 6,143,736, November 7, 2000.
2. Upasani, R. B.; Xia, H. Method, Compositions, and Compounds for Allosteric Modulation of the GABA Receptor by Members of the Androstane and Pregnane Series, U.S. Patent No. 5,939,545, August 17, 1999.
3. Upasani, R. B.; Fick, D. B.; Hogenkamp, D. J.; Lan, N. C. Neuroactive Steriod of the Androstane and Prgnane Series, U.S. Patent No. 5,925,630, July 20, 1999.
4. Upasani, R. B.; Xia, H.; Hogenkamp, D. J. Methods for Allosteric Modulation of the GABA Receptor by Members of the Androstane and Pregnane Series, U.S. Patent No. 6,277,838 B1, August 21, 2001.
5. Patchett, A. A.; Metuchen, G. E.; Arth, C.; Hoffman, F. G. Alkanoylthio and Pyrazolo Androstane Derivatives, U.S. Patent No. 3,094,521, June 18, 1963.
【0104】
[他の刊行物]
1. Belelli, D., Lambert, J.J., 2005. Neurosteroids: endogenous regulators of the GABA
A receptor. Nat. Rev. Neurosci. 6, 565-575.
2. Carter, R.B., Wood, P.L., Wieland, S., Hawkinson, J.E., Belelli, D., Lambert, J.J., White, H.S., Wolf, H.H., Mirsadeghi, S., Tahir, S.H., Bolger, M.B., Lan, N.C., Gee, K.W., 1997. Characterization of the anticonvulsant properties of ganaxolone (CCD 1042; 3α-hydroxy-3β-methyl-5α-pregnan-20-one), a selective, high-affinity, steroid modulator of the γ-aminobutyric acid
A receptor. J. Pharmacol. Exp. Ther. 280, 1284-1295.
3. Gasior, M., Carter, R.B., Witkin, J.M., 1999. Neuroactive steroids: potential therapeutic use in neurological and psychiatric disorders. Trends Pharmacol. Sci. 20, 107-112.
4. Hogenkamp, D.J., Tahir, S.H., Hawkinson, J.E., Upasani, R.B., Alauddin, M., Kimbrough, C.L., Acosta-Burruel, M., Whittemore, E.R., Woodward, R.M., Lan, N.C., Gee, K.W., Bolger, M.B., 1997. Synthesis and in vitro activity of 3β-substituted-3α-hydroxypregnan-20-ones: allosteric modulators of the GABA
A receptor. J. Med. Chem. 40, 61-72.
5. Kaminski, R.M., Livingood, M.R., Rogawski, M.A., 1994. Allopregnanolone analogs that positively modulate GABA receptors protect against partial seizures induced by 6-Hz electrical stimulation in mice. Epilepsia 45, 864-867.
6. Kaminski, R.M., Marini, H., Ortinski, P.I., Vicini, S., Rogawski, M.A., 2006. The pheromone androstenol (5α-androst-16-en-3α-ol) is a neurosteroid positive modulator of GABA
A receptors. J. Pharmacol. Exp. Ther. 317:694-703.
7. Kokate, T.G., Svensson, B.E., Rogawski, M.A., 1994. Anticonvulsant activity of neurosteroids: correlation with γ-aminobutyric acid-evoked chloride current potentiation. J. Pharmacol. Exp. Ther. 270, 1223-1229.
8. Monaghan, E.P., McAuley, J.W., Data, J.L., 1999. Ganaxolone: anovel positive allosteric modulator of the GABA
A receptor complex for the treatment of epilepsy. Expert Opin. Investig. Drugs 8, 1663-1671.
9. Rogawski, M.A., 2006. Diverse mechanisms of antiepileptic drugs in the development pipeline. Epilepsy Res. 69, 273-294.
10. Rupprecht, R., 2003. Neuroactive steroids: mechanisms of action and neuropsychopharmacological properties. Psychoneuroendocrinology 28, 139-168.
11. Wittmer, L.L., Hu, Y., Kalkbrenner, M., Evers, A.S., Zorumski, C.F., Covey, D.F., 1996. Enantioselectivity of steroid-induced γ-aminobutyric acid
A receptor modulation and anesthesia. Mol. Pharmacol. 50, 1581-1586
12 Patchett, A. A.; Hoffman, F. G.; Giarrusso, F. F.; Schwam, H.; Arth, G. E. The Synthesis of 17b-Amino-17a(2'-carboxyethyl)androstane Lactams. J.Org. Chem. 1962, 27, 3822.
13. Hamilton NM (2002) Interaction of steroids with the GABA(A) receptor. Curr. Top Med Chem 2:887-902.
14. Wang MD, He YJ, Eisenman LN, Fields C, Zeng CM, Mathews J, Benz A, Fu T, Zorumski E, Steinbach JH, Covey DF, Zorumski CF, and Mennerick S (2002) 3 Beta-Hydroxypregnane Steroids Are Pregnenolone Sulfate-Like Gaba(a) Receptor Antagonists. J. Neuroscience 22:3366-3375.