(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663312
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】HTS物品を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20150115BHJP
H01B 12/06 20060101ALI20150115BHJP
C01G 1/00 20060101ALI20150115BHJP
H01L 39/24 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
H01B13/00 565D
H01B12/06ZAA
H01B13/00 561D
C01G1/00 S
H01L39/24 B
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-547710(P2010-547710)
(86)(22)【出願日】2009年2月17日
(65)【公表番号】特表2011-512640(P2011-512640A)
(43)【公表日】2011年4月21日
(86)【国際出願番号】US2009034291
(87)【国際公開番号】WO2009105426
(87)【国際公開日】20090827
【審査請求日】2012年2月9日
(31)【優先権主張番号】12/033,660
(32)【優先日】2008年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505448796
【氏名又は名称】スーパーパワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100081813
【弁理士】
【氏名又は名称】早瀬 憲一
(72)【発明者】
【氏名】バタチャルヤ ラグー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】チャン シュン
(72)【発明者】
【氏名】セルバマニカム ベンカト
【審査官】
井原 純
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−526597(JP,A)
【文献】
特開平07−037444(JP,A)
【文献】
特開平04−149916(JP,A)
【文献】
特開2007−080780(JP,A)
【文献】
特開平07−335051(JP,A)
【文献】
特開2008−060074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
C01G 1/00
H01B 12/06
H01L 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のことよりなる、超電導物品を形成する方法:
基板テープを設けること;
前記基板テープの上に横たわる超電導体層を形成すること、該超電導体層は形成時の臨界電流IC(AF)を持つ;
前記超電導体層の上に横たわる1.0ミクロンより大きくない厚さを持つキャップ層を堆積すること、該キャップ層は貴金属よりなる; および、
前記超電導体層に反応しない溶液を使用して、前記キャップ層の上に横たわる安定化層を電着することであって前記基板テープをジメチルスルホキシド、銅塩、および硫黄添加物を含む銅電着溶液に接触させることを含むこと、前記超電導体層は安定化後の臨界電流IC(PS)を持ち、これは前記IC(AF)の少なくとも95%である。
【請求項2】
以下のことよりなる、超電導物品を形成する方法:
基板テープを設けること;
前記基板テープの上に超電導体層を形成すること、該超電導体層は形成時の臨界電流IC(AF)を持つ; および
前記超電導体層の上に横たわる安定化層を電着することであって前記基板テープをジメチルスルホキシド、銅塩、および硫黄添加物を含む銅電着溶液に接触させることを含むこと、前記超電導体層は、少なくとも前記IC(AF)の95%である安定化後の臨界電流IC(PS)を持つ。
【請求項3】
以下のことよりなる、超電導物品を形成する方法:
第1の電着システム、および第2の電着システムを通って超電導体層を持つ基板テープを移送させること、該第1の電着システムは銀電着溶液を含むものであり、該銀電着溶液は、ジメチルスルホキシド、銀塩、および硫黄添加物を含むものである;
前記第1の電着システムを通って移送させる間にキャップ層を堆積させること、該キャップ層は貴金属よりなる; かつ、
前記第2の電着システムを通って移送させる間に安定化層を堆積させること、ここで、前記超電導体層は、前記安定化層を堆積する前に形成時の臨界電流IC(AF)を、および前記安定化層を堆積した後に安定化後の臨界電流IC(PS)を持ち、該IC(PS)は前記IC(AF)
の少なくとも95%である。
【請求項4】
請求項1、2、または3に記載の方法において、前記IC(PS)は前記IC(AF)の少なくとも97%である。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記IC(PS)は前記IC(AF)の少なくとも99%である。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記キャップ層を堆積することは、前記基板テープを銀電着溶液に接触させることを含む。
【請求項7】
請求項3または6に記載の方法において、前記銀電着溶液は、リチウム塩、銀塩、硫黄添加物、およびアセトニトリルを含む。
【請求項8】
請求項1、2、または3に記載の方法において、前記超電導体層は一般式REBa2Cu3O7−X、ここで
0≧x>1
を持つ希土類酸化物を含む。
【請求項9】
請求項1、2、または3に記載の方法において、前記安定化層は少なくとも20ミクロンの厚さを持つ。
【請求項10】
請求項1、2、または3に記載の方法において、前記安定化層は基板テープおよび超電導体層をすっぽり包む。
【請求項11】
請求項1、2、または3に記載の方法において、前記安定化層は非貴金属よりなる。
【請求項12】
請求項1または2に記載の方法において、前記安定化層を電着させることは、200mA/cm2より大きくない電流密度でなされる。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記電流密度は1mA/cm2と150mA/cm2の間である。
【請求項14】
請求項2に記載の方法において、さらに、前記安定化層を電着する前に、前記超電導体層上にキャップ層を堆積することよりなり、該キャップ層は貴金属よりなり、かつ1.0ミクロンより大きくない厚さをもつ。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記キャップ層を堆積することは、前記キャップ層を電着することを含む。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記電着は、前記基板テープを銀電着溶液に接触させることを含む。
【請求項17】
請求項3に記載の方法において、前記キャップ層は、1.0ミクロンより大きくない厚さを持つ。
【請求項18】
請求項3に記載の方法において、前記第2の電着システムは第2電着溶液を含み、該第2電着溶液は非貴金属を含む。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記非貴金属は銅またはアルミニウムである。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記第2電着溶液は、ジメチルスルホキシド、銅塩、および硫黄添加物を含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
超電導導体の材料は技術社会において永く知られ、理解されてきた。液体ヘリウムの使用を要求する温度(4.2K)で超電導特性を示す低温超電導体(低−T
C又はLTS)は1991年以来知られてきた。しかしながら、酸化物ベースの高温(高−T
C)超電導体が発見されたのは幾分最近になってからである。1986年あたりに液体窒素温度(77K)以上の温度で超電導特性を有する最初の高温超電導体(HTS)、すなわちYBa
2Cu
3O
7-X(YBCO)が発見され、これにつづいて過去15年にわたってBi
2Sr
2Ca
2Cu
3O
10+y(BSCCO)及びその他、を含む付加的な材料が開発されてきた。高温超電導体(高−Tc超電導体)の開発は、このような超電導体を比較的高価な液体ヘリウムに基づく極低温基板で動作させるよりむしろ、液体窒素で動作させるとコストを低下できることに部分的に依存して、このような材料を含む超電導体および他の装置の経済的に実現可能な発展の可能性を、創り出してきた。
【0002】
非常に多くの可能な応用の中で産業はこのような材料の発電、送電、配電、および貯蔵を含む電力産業における使用を展開させることを求めてきた。この点に関し、銅ベースの商用電力要素の本質的な抵抗は、毎年10億ドルの電力の損失の責任があると評価されており、したがって、電力産業は送電および配電電力ケーブル、発電機、変圧器及び故障電流妨害器/制限器等の電力要素における高温超電導体の利用に基づき、利益を得る立場にある。さらに、電力産業における高温超電導体の他の利点は、従来技術に対する、電力処理能力の3−10%の増加、電力設備の大きさ(すなわち、接地面積)および重量の実質的な低減、環境衝撃の低減、より大きい安定性、および増大した容量を含む。このような高温超電導体の利点が極めて強力なものであり続けている間にも、さらなる多くの技術的挑戦が、高温超電導体の製造及び商業化において大規模に存在しつづけている。
【0003】
高温超電導体の商業化に関連した挑戦の多くは、種々の電力要素の形成に用いることのできる超電導テープセグメントの製造の回りに存在する。超電導体テープセグメントの第1世代は上述のBSCCO高温超電導体の使用を含む。この材料は一般に、貴金属、代表的には銀、のマトリックス内に埋め込まれた分離したフィラメントの形で設けられる。このような導体は電力産業で実施するに必要な長い長さ(キロメートルのオーダー)に作ることができるが、材料及び製造コストのためにこのようなテープは広く商業的に実現可能な製品を代表するものではない。
【0004】
したがって、多くの興味は優秀な商業的な実行可能性を持つ、いわゆる第2世代HTSテープで生じてきた。これらのテープは代表的に層構造に依拠し、これは一般に機械的サポートを与えるフレキシブル基板、基板上に横たわる少なくとも1つのバッファ層、バッファ層は任意に複数の膜を含む、バッファ膜の上に横たわるHTS層、および超電導体層の上に横たわる任意のキャップ層、および/またはキャップ層の上に、および/または全体構造の周りに横たわる任意の電気的安定化層を含む。しかしながら今日まで、このような第2世代テープ、およびこのようなテープを組み込んでいる装置の十分な商業化に先立って、数多くの工学的および製造上の挑戦が続いている。特定の挑戦のひとつは、超電導体層の上に横たわるキャップ層の厚さを低減し、あるいは削除することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,190,752号明細書
【発明の概要】
【0006】
ある好ましい実施形態において、超電導物品を形成する方法は、基板テープを設けること、および基板の上に横たわる超電導体層を形成することを含む。該超電導体層は形成時の臨界電流I
C(AF)を持つ。− 該方法はさらに、前記超電導体層の上に横たわるキャップ層を堆積すること、および前記キャップ層の上に横たわる安定化層を電着することを含む。前記キャップ層は、約1.0ミクロンより大きくない厚さを持ち、かつ貴金属を含む。電着は超電導体層に反応しない溶液を使用して行われる。超電導体層は安定化後の臨界電流I
C(PS)を持つ。該I
C(PS)は、少なくとも最初のI
C(AF)の約95%である。
【0007】
もう1つの実施形態において、超電導物品を形成する方法は、基板テープを設けること、および基板の上に横たわる超電導体層を形成することを含む。該超電導体層は、形成時の臨界電流I
C(AF)を持つ。− 該方法はさらに、超電導体層の上に横たわる安定化層を電着することを含む。該超電導体層は安定化後の臨界電流I
C(PS)を持つ。該I
C(PS)は前記I
C(AF)の約95%である。
【0008】
さらなる実施形態において、超電導物品を形成する方法は、超電導体層を持つ基板テープを第1の電着システム、及び第2の電着システムを通って移送させることを含む。該方法はさらに、前記第1の電着システムを通って移送させる間にキャップ層を堆積することを含む。該キャップ層は貴金属を含む。該方法はさらに、前記第2の電着システムを通って移送させる間に前記安定化層を堆積することを含む。
【0009】
以下の図面を参照することにより、本開示はよりよく理解され、その数多くの特徴および利点は、当業者にとって明らかとされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は1つの実施形態による超電導物品の一般化された構造を示す斜視図である。
【0011】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の、又は同じ項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ひとつの実施形態において、超電導物品を形成する方法は、基板テープを設けること、基板の上に横たわるHTS層を形成すること、および超電導体層の上に横たわる安定化層を電着することを含む。該超電導体層の臨界電流は、形成時の臨界電流I
C(AF)を決定するために形成後に測定される。さらに、超電導体層の臨界電流は、安定化後の臨界電流I
C(PS)を決定するために、安定化層を電着後に測定することができる。該I
C(PS)は、I
C(AF)の少なくとも約95%である。
【0013】
図1に戻って、本発明の1つの実施形態による超電導物品100の一般化された層化構造が描かれている。超電導物品は、基板10、基板10の上に横たわるバッファ層12、超電導層14、それにつづく代表的には貴金属よりなるキャップ層16、および代表的には銅等の非貴金属よりなる安定化層18を含む。バッファ層12はいくつかの異なる膜より構成される。安定化層18は超電導物品100の周囲の周りに伸び、これによりそれを完全にすっぽり包む。
【0014】
基板10は一般に金属に基づくものであり、かつ代表的に少なくとも2つの金属元素の合金である。特に、適切な基板材料は、ステンレススチール合金、および公知のHastelloy(登録商標)またはInconel(登録商標)グループの合金等のニッケルベースの合金を含む。これらの合金は、膨張係数、引っ張り強度、降伏強度、および伸長を含む所望のクリープな化学的および機械的特性を持つ傾向がある。これらの金属は、一般にスプールドテープの形で商業的に利用可能であり、代表的にリールツーリールテープ処理を利用する超電導テープの製造に特に適している。
【0015】
基板10は、代表的に高い寸法比を持つテープ状の形状をしている。ここで用いられるように、用語“寸法比”は、基板又はテープの長さの、次の長さ寸法、すなわち基板又はテープの幅、に対する比を記すのに用いられる。例えば、テープの幅は、一般に約0.1から約10.0cmのオーダーであり、かつテープの長さは、代表的に少なくとも約0.1mであり、最も代表的には約5.0mより大きい。実際、基板10を含む超電導体テープは、100m又はそれ以上のオーダーの長さをもつであろう。したがって、基板は、10より小さくない、10
2より小さくない、あるいは10
3よりさえ小さくないオーダーの、かなり高い寸法比を持ち得る。ある実施形態は、10
4およびそれより高い寸法比を持ち、より長い。
【0016】
1つの実施形態において、基板は、超電導テープの構成層の続いて起こる堆積のために望ましい表面特性を持つように処理される。例えば、表面は所望の平坦さ、および表面粗さを持つように研磨される。さらに、基板は、公知のRABiTS(roll assisted biaxially textured substrate)技術等により、技術において理解されるように2軸テキスチャーされるように取り扱うことができる、ただし、ここでの実施形態は代表的に、上記した商業的に利用可能なニッケルベースのテープのように、テキスチャーされていない多結晶基板を利用する。
【0017】
バッファ層12に戻って、バッファ層は単一層であってよく、あるいはより共通に数枚の膜よりなっていてもよい。最も代表的に、バッファ層は、一般に膜の面内および面外の両方の結晶軸に沿って整列された結晶性テキスチャーを持つ2軸テキスチャー膜を含む。このような2軸テキスチャーはIBADで達成することができる。技術において理解されるように、IBADは、優れた超電導特性のための望ましい結晶学的方位を持つ超電導層のつづいての形成のために適切にテキスチャーされたバッファ層を形成するのに有利に用いられる技術である、イオンビームアシスティッドデポジションの頭字語である。酸化マグネシウムはIBAD膜のための選択の代表的な材料であり、かつ約5から約50ナノメーター等、約1から約500ナノメーターのオーダーであり得る。一般に、IBAD膜は、米国特許第6,190,752号明細書、参照によりここに組み入れられる、で定義され、記述された岩塩状結晶構造を持つ。
【0018】
バッファ層は、IBAD膜および基板に直接接触し、かつ両者間に置かれるよう設けられるバリア膜等の付加的な膜を含むことができる。この点に関し、バリヤ膜はイットリア等の酸化物により有利に形成することができ、かつ基板をIBAD膜から絶縁するように機能する。バリア膜はまた、窒化シリコン等の非酸化物により形成することもできる。バリア膜の堆積のための適切な技術は、化学気相成長、及びスパッタリングを含む物理気相成長を含む。バリア膜の代表的な厚さは、約1から約200ナノメーターの範囲内にある。またさらに、バリヤ層はまた、IBAD膜上に形成されたエピタキシャル成長膜をも含むことができる。この文脈において、エピタキシャル成長膜は、IBAD膜の厚さを増大するのに有効であり、かつMgOまたは他の交換可能な材料等のIBAD層に用いられたのと原則的に同じ材料よりなるのが望ましい。
【0019】
MgOベースのIBAD膜および/またはエピタキシャル膜を用いる実施形態において、MgO材料と超電導層の材料との間には格子不整合が存在する。したがって、バッファ層はもう1つのバッファ膜を含むことができ、これは特に、前記超電導層とその下にあるIBAD膜及び/またはエピタキシャル膜との間の格子定数の不整合を低減するように用いられる。このバッファ膜は、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、マグネシア、セリア、ガドリニウム酸化ジリコニウム、ストロンチウムルテネート、ランタン(ランタナム)マンガネート、かつ一般にぺロブスカイト構造セラミック材料等の材料により形成することができる。 バッファ膜は、種々の物理気相堆積技術により堆積することができる。
【0020】
上記は原則的に、IBAD等のテキスチャープロセスによりバッファスタック(層)内の2軸テキスチャーされた膜の実行に焦点を置いたものであるが、代替的に、基板表面自体を2軸テキスチャーすることができる。この場合、該バッファ層は一般に、テキスチャーされた基板上に、該バッファ層内での2軸テキスチャーを維持するようにエピタキシャル成長される。2軸テキスチャーされた基板を形成するための1つのプロセスは、技術においてRABiTS(roll assisted biaxially textured substrates)として知られている公知の技術であり、一般に技術において理解されている。
【0021】
超電導層14は一般に高温超電導体(HTS)層の形をしている。HTS材料は代表的に液体窒素の温度、77K以上で超電導特性を示す高温超電導材料のいずれかから選択される。このような材料は、たとえば、YBa
2Cu
3O
7-x,Bi
2Sr
2CaCu
2O
z,Bi
2Sr
2Ca
2Cu
3O
10+y,Tl
2Ba
2Ca
2Cu
3O
10+y,およびHgBa
2Ca
2Cu
3O
8+yを含み得る。1つのクラスの材料は、REBa
2Cu
3O
7-xを含み、ここで、
であり、かつ、REは希土類元素、または希土類元素の結合である。上記の中で、YBa
2Cu
3O
7-x、これはまたYBCOとも言われる、が有利に用いられる。YBCOは、希土類材料、たとえばサマリウム、等のドーパントの付加をもって、あるいはその付加無しで使用し得る。超電導層14は、厚膜及び薄膜形成技術を含む、種々の技術の任意の1つにより形成することができる。好ましくは、パルスレーザー堆積(PLD)等の薄膜物理気相成長技術を高堆積率のために用い得、あるいは化学気相成長技術を低コスト、およびより大きい表面領域処理のために用い得る。代表的に超電導性層は、該超電導性層14と関連した所望のアンペアレートを得るために、約0.1から約30ミクロンの、最も代表的には、約1から約5ミクロン等の、約0.5から約20ミクロンのオーダーの厚さを持つ。
【0022】
前記超電導物品はまた、キャップ層16および安定化層18を含み、これらは一般に、低抵抗インタフェースを与えるために、かつ実際の使用における超電導体のバーンアウトの防止を助ける電気的安定化のために、含まれている。より特定的には、層16および18は、冷却が失敗したとき、あるいは臨界電流密度を超えたときに、該超電導体に沿っての電荷の連続した流れを助け、かつ超電導層は超電導状態から移行し、抵抗性になる。代表的に、貴金属は安定化層と超電導層14との間の不要な相互作用を防止するために、キャップ層16に用いられる。代表的な貴金属は、金、銀、プラチナ、およびパラジウムを含む。銀は代表的にそのコスト、および一般的なアクセスのしやすさのために用いられる。キャップ層16は代表的に、安定化層18の塗布時に用いられる構成要素の超電導層14への不所望の拡散を防ぐに十分な厚さに形成されるが、しかしこれは、コスト(生の材料および処理コスト)面より一般に薄く形成される。DCマグネトロンスパッタリング等の物理気相成長を含む種々の技術を、キャップ層16の堆積に用いることができる。
【0023】
1つの実施形態において、キャップ層16は貴金属の電着によって形成される。電着溶液は非反応性溶液であってよく、超電導体層と反応しない溶液であり得る。特に、電着溶液は、I
C(PS)が少なくともI
C(AF)の約95%であるよう、超電導体層の臨界電流を維持することができる。
【0024】
1つの好ましい実施形態において、たとえば、電着溶液は硝酸銀のような銀塩、およびジメチルスルホキシド(DMSO)溶液内のチオ尿素のような硫黄添加物を含む。該電着溶液は、約0.1Mと約0.8Mの間、特には約0.62Mのような、約1.0Mより大きくない量の硝酸銀を含むことができる。チオ尿素は、約25mMと約75mMの間、特には約50mMのような、約10mMと約100mMとの間の量であり得る。めっき電流密度は、約1mA/cm
2と130mA/cm
2との間、特には約14mA/cm
2のような、約200mA/cm
2より大きくない値であることができる。
【0025】
1つの代替的な実施形態において、電着溶液は、過塩素酸リチウム、過塩素酸銀、およびアセトニトリル溶液内のチオ尿素を含み得る。過塩素酸リチウムは、少なくとも約0.05Mの量であり得るが、しかし約0.1Mと約0.3Mの間、特には約0.2Mのように、約0.5Mより大きくはない。過塩素酸銀は、少なくとも約0.05Mの量であり得るが、しかし約0.1Mと約0.3Mの間、特には約0.2Mのように、約0.5Mより大きくはない。全体の過塩素酸塩濃度は、約0.5Mより大きくない、のように、約0.7Mより大きくない。チオ尿素は、約25mMと約75mMの間、特には50mMのような、約10mMと約100mMの間の量であり得る。めっき電流密度は、約1mA/cm
2と130mA/cm
2との間、特には約14mA/cm
2のような、約200mA/cm
2より大きくない値であることができる。
【0026】
安定化層18は、一般に、超電導層14の上に横たわるように、かつ特に、
図1に示される特定の実施形態においては、キャップ層16の上に横たわり、かつ直接接触するように、組み入れられる。安定化層18は、厳格な環境条件および超電導性クェンチに対する安定性を向上する保護/分路層として機能する。この層は一般に稠密であり、かつ熱的におよび電気的に伝導性であり、かつ超電導層の失敗の場合には、あるいはもし超電導層の臨界電流を超えたときは、電流をバイパスするように機能する。それは、プリフォームされた銅ストリップを超電導テープ上に積層することによる、半田のような中間のボンディング材料を用いることによる等、種々の厚膜および薄膜形成技術の任意の1つにより形成することができる。他の技術は代表的に、蒸着またはスパッタリングである物理気相成長ばかりでなく、無電解めっき、等のウェットケミカルプロセス、および電気めっきに焦点を当ててきた。この点に関し、キャップ層16はその上に銅を堆積するためのシード層として機能することができる。顕著には、キャップ層16および安定化層18は、種々の実施形態に従って以下に記述されるように順序を変えてもよく、あるいは使用しなくてもよい。
【0027】
安定化層18は、銅やアルミニウムなどの非貴金属の電着によって形成されることができる。安定化層18は少なくとも、約20ミクロンの厚さに形成されることができる。さらに、安定化層18は超電導物品の周囲の周りに伸び、これによりそれを完全にすっぽり包む。電着溶液は、超電導体層と反応しない溶液であり得る。具体的には、超電導体層の臨界電流は、I
C(PS)が、特にはI
C(AF)の少なくとも99%である、のように、I
C(AF)の少なくとも約97%である等、IC
(AF)の少なくとも95%であるように電着溶液によっては影響されない。
【0028】
1つの好ましい実施形態において、安定化層18は、特定的には約0.3ミクロンより大きくない、のような、約0.5ミクロンより大きくない等、約1.0ミクロンより大きくない厚さを持つキャップ層16の上に堆積することができる。キャップ層16は、スパッタリングおよび電着を含む種々の方法によって形成することができる。代替的な実施形態では、安定化層18は超電導体層の上に直接堆積することができる。
【0029】
1つの好ましい実施形態において、電着溶液は、硝酸銅のような銅塩、およびジメチルスルホキシド(DMSO)溶液内のチオ尿素のような硫黄添加物を含む。該電着溶液は、少なくとも約0.1Mの量の、しかるに約1.0Mと約2.0Mの間、特には約1.4Mのような、約3.0Mより大きくない量の硝酸銅を含むことができる。チオ尿素は、約10mMと約75mMの間、特には約26mMのような、約100mMより大きくない量であり得る。めっき電流密度は、約1mA/cm
2と150mA/cm
2の間、特には約50mA/cm
2のような、約200mA/cm
2より大きくない値であることができる。
【0030】
従来技術のアプローチによれば、十分な厚さのキャップ層が、安定化層の塗布時に使用される構成要素の超電導体層との反応を防ぐよう必要とされる。特に、安定化層を電着するのに用いられる銅のような従来の溶液は、超電導体層に非常に反応しやすいもので、このため、超電導体層の臨界電流能力を破壊してしまう。少なくとも厚さ1ミクロンのキャップ層が、超電導体層と安定化層との間に、このような反応を回避し、超電導体層の臨界電流能力の低減を回避するために必要であることが発見された。また、超電導体層に一片の安定化層をボンディングするのに用いられる半田は、もし十分な厚さのキャップ層が使用されていなければ、超電導体の品質を劣化させることが発見された。対照的に、ここでの実施形態によれば、安定化層の電気メッキに使用される溶液はHTS層とは反応せず、キャップ層がその厚みが低減される、あるいは削減されることを可能とする。
【0031】
発明は、特定の実施形態の文脈において図示され、記述されてきたが、種々の変形および置換が本発明の範囲から何らかの方法で離れることなく可能であるので、示された詳細に限定されることが意図されているものではない。たとえば、付加的な、または等価な置換物が、与えられることができ、かつ付加的な、または等価な製造ステップを用いることができる。このように、ここで開示された発明の、さらなる修正および等価物は、通常の実験以上のものを用いることなく、当業者に起こることであり、すべてのこのような修正および等価物は、以下のクレームで定義されるような発明の範囲内にあると信じられる。