【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例にかかるグリルを備えたグリル付きガスこんろを示す斜視図である。
このグリル付きガスこんろ80は、
図1に示すように、こんろ本体81に、加熱手段としてガスバーナからなるこんろバーナを備えたガスこんろ部82と、加熱手段としてガスバーナからなるグリルバーナ(上バーナ41、下左バーナ(左側領域用バーナ)42L、下右バーナ(右側領域用バーナ)42R(
図6など参照))を備えたグリル83とを備えたビルトインタイプのグリル付きガスこんろ80である。
【0019】
このグリル付きガスこんろ80の、本発明が直接関連する特徴的な構成は、機能や動作などを含めて、段落0062以降に詳しく説明するが、その前に、本発明に関連する各部の構成について、以下の段落0020から段落0061にわたって説明する。
このグリル付きガスこんろ80において、こんろ本体81の内部の左右方向中央部には、グリル83が配設され、こんろ本体81の中央部前面には、グリル扉83aが配置されている。
【0020】
こんろ本体81の上面には、手前側左右に各1個と、奥側中央に1個の合計3個のガスこんろ部82(82a,82b,82c)が配設されている。ここで、手前側左右に配設された各ガスこんろ部のうち左側のこんろ部82aが、なべ底の温度を検知して燃焼制御を行うようにしたサーミスタからなる温度センサ82dを有する標準火力の温度センサ付きガスこんろ部となっており、右側のこんろ部82bが、なべ底の温度を検知して燃焼制御を行うようにしたサーミスタからなる温度センサ82dを有する高火力ガスこんろ部となっている。また、奥側中央のこんろ部82cは、なべ底の温度を検知して燃焼制御を行うようにしたサーミスタからなる温度センサ82dを有する温度センサ付き小火力ガスこんろ部となっている。
【0021】
各ガスこんろ部82(82a,82b,82c)には、鍋などを受け止め支持するための五徳84が配設してある。また、こんろ本体81の上面のガスこんろ部82が配設されていない部分はトッププレートTPにより覆われている。
また、各ガスこんろ部82には、こんろバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、こんろバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられ、グリル83にも同様に、グリルバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、グリルバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられる。
【0022】
図2に示すように、点火プラグ87は、後述する加熱状態調節部85における点火操作に基づき、マイクロコンピュータからなる制御部86により点火動作が行われ、熱電対88において検出された着火(点火)情報は制御部86に認識され、制御部86により点火プラグでの点火処理を終了する。
【0023】
各こんろバーナおよびグリルバーナには、
図2に示すように、都市ガスなどのガス燃料を供給する燃料供給路13pからそれぞれ分岐する分岐供給路13a〜13dが接続されている。燃料供給路13pには電磁弁12が設けられているとともに、各分岐供給路13a〜13dには、ガス燃料の供給量の調節を行うための、ステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁90と、流量制御弁90の弁体の開度位置を検出する位置センサ19が設けられている。
【0024】
電磁弁12および流量制御弁90は、制御部86により制御が行われ、位置センサにおける検出情報は制御部86によって認識・処理される。また、流量制御弁90は、対応するこんろバーナ、グリルバーナが使用されないときには、流量をゼロにして遮断状態となるように切り換えられる。
【0025】
こんろ本体81の前面の左側上部および右側上部には、それぞれ上記複数のガスこんろ部82の点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部85(85a,85b,85c)が設けられている。詳しくは、こんろ本体81の前面の左側上部には温度センサ付き標準火力ガスこんろ部82aの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部85aが配設され、右側上部には、温度センサ付き高火力ガスこんろ部82bの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部85bと、温度センサ付き小火力ガスこんろ部82cの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部85cとが配設されている。
【0026】
また、こんろ本体81の前面の右側上部には、制御部86をはじめ電磁弁12や流量制御弁90、加熱状態調節部などの電気機器への通電の入切を行う自動復帰型で押し釦式の電源スイッチ92が設けられている。
【0027】
上記各加熱状態調節部85は、前後方向に移動可能な押釦により構成されており、ガスこんろ部82を使用する場合には、押釦よりなる加熱状態調節部85を押し込んで点火操作をすることにより、後退していた加熱状態調節部85が前方に突出して器具栓がONとなり、流出するガス燃料にスパーク放電がなされてガスこんろ部82に点火される。
【0028】
加熱状態調節部85が突出した状態で加熱状態調節部85が回動操作されると、回動角度がロータリーエンコーダにより検出されて制御部86に認識され、回動角度に応じた開度位置となるようにステッピングモータにより流量制御弁90の弁体が駆動されてガス流量が制御され、ガスこんろ部82の火力調整が行われるように構成されている。一方、消火にあたっては、突出している加熱状態調節部85を押し込み操作することにより器具栓がOFFになってガスこんろ部82が消火される。
【0029】
また、こんろ本体81の前面左右の下部には、それぞれ操作パネルPが収納可能に設けられている。右側の操作パネルPにはグリル83に関する操作を行うためのグリル83用調理設定入力部が設けてあり、この右側の操作パネルPがグリル側操作パネル93となっている。また、左側の操作パネルPには温度センサ付き標準火力ガスこんろ部82a、温度センサ付き高火力ガスこんろ部82b、温度センサ付き小火力ガスこんろ部82cによる調理設定の入力を行うためのガスこんろ部82用調理設定入力部が設けてあり、この左側の操作パネルPがこんろ部側操作パネル94となっている。
【0030】
グリル83は、
図5、
図6に示すように、前面が開口されかつ後面部が閉塞された略箱状の調理領域(加熱室)10を形成するグリル庫1を備えている。
【0031】
グリル庫1内の下部にはグリル受皿2が設けられ、グリル受皿2上には被調理物95(
図11、
図12参照)を載置するための焼網3が配設されており、焼網3上に載置された被調理物95がグリルバーナにて加熱されるように構成されている。
図3にはグリル83用調理設定入力部の一例を示しており、
図4にはガスこんろ部82用調理設定入力部の一例を示している。
【0032】
グリル83による調理設定の入力を行うためのグリル83用調理設定入力部は
図3に示すように、グリル83の点火・消火操作をするための点火・消火スイッチ93a、グリル83による調理時間(焼成時間)を設定するためのタイマスイッチ93b、上火、下火の火力を切換るための火力切替スイッチ93c、焼成するメニューを選んで該当する焼成物に対応した焼成制御を選択するためのメニュースイッチ93d、焼き加減を調整するための焼き加減スイッチ93e、上記タイマスイッチ93b、火力切替スイッチ93c、メニュースイッチ93d、焼き加減スイッチ93eなどを操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ93fなどを備えている。
【0033】
一方、温度センサ付きガスこんろ部82による調理設定の入力を行うためのガスこんろ部82用調理設定入力部は、
図4に示すように、温度センサ付きガスこんろ部82による調理時間を設定するためのタイマスイッチ94a、揚げ物、炊飯、湯沸しなどの自動調理のメニューを設定するためのメニュースイッチ(揚げ物スイッチ94d、炊飯スイッチ94e、湯沸しスイッチ94f)、タイマスイッチ94aや上記メニュースイッチを操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ94cなどを備えている。
【0034】
これらのガスこんろ部82用調理設定入力部において温度センサ付きガスこんろ部82における調理設定の入力が行われると、制御部86によりあらかじめ設定された制御内容に基づいて、温度センサ付きガスこんろ部82における火力調整、調理時間などが制御される。この場合、なべ底温度を温度センサ付きガスこんろ部82に設けた温度センサ82dにより検出して、該温度センサ82dで検出したなべ底温度を制御部86に入力し、フィードバック制御により火力調整が行われるように構成されている。
【0035】
なお、このグリル付きガスこんろ80においては、温度センサ付き標準火力ガスこんろ部82a、温度センサ付き高火力ガスこんろ部82b、温度センサ付き小火力ガスこんろ部82cの内のどのこんろ部に対する調理設定を行うかを切換えるための切替スイッチ94kが設けられており、切替スイッチ94kを何回押すかにより、左こんろ(温度センサ付き標準火力ガスこんろ部82a)、右こんろ(温度センサ付き高火力ガスこんろ部82b)、後ろこんろ(温度センサ付き小火力ガスこんろ部82c)の複数のこんろ部の中から設定するこんろ部の切り替えが行われるように構成されている。
【0036】
ここで、温度センサ付きガスこんろ部82において自動調理の設定を行う場合は、上記のように加熱状態調節部85を指で押して加熱状態調節部85を前方に突出させる点火操作を行った後、操作パネルPに設けたガスこんろ部82用調理設定入力部で目的とする調理設定の入力を行うことにより、制御部86により、温度センサ付きガスこんろ部82の火力調整、調理時間などが制御され、目的とする自動調理が行われる。
【0037】
このように、ガスこんろ部82を使用するに際し、手動により加熱を行う場合には、こんろ本体81の前面に露出している加熱状態調節部85を直接指で操作することにより制御部86に指令が与えられ、点火、火力調整、消火が行われ、自動調理を行う場合には、加熱状態調節部85の回動操作位置によらずに制御部86によりガス流量および火力が調整され、自動調理が行われる。
【0038】
また、自動調理の終了、タイマ機能、安全装置による異常の検知などにより自動消火される場合があるが、この場合には点火・消火操作部は器具栓をONとする状態であっても流量制御弁90または電磁弁12により燃料ガスが遮断されて消火される。
【0039】
次に、グリル83を使用する場合について説明する。まず、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネルPを備えた可動部材の前面上部を押してグリル83用調理設定入力部を有する操作パネルPをこんろ本体81の前面から前方に突出させる(
図1参照)。
それから、グリル83用調理設定入力部のメニュースイッチ93dや焼き加減スイッチ93eやタイマスイッチ93bを指で押すことにより、調理メニューや焼き加減や調理時間などのグリル83調理の設定入力を行い、次に、点火・消火スイッチ93aを押してグリル83に点火する(
図3参照)。
【0040】
これによって、制御部86により火力調整、調理時間などの制御が行われ、自動調理が行われる。上記調理設定の入力が終わると、当該可動部材の前面上部を押すことにより、前方に突出していた操作パネルPが収納される。なお、上記グリル83における自動調理中に自動調理を中止したい場合には点火・消火スイッチ93aを指で押すことにより消火して自動調理を中止することができるように構成されている。
【0041】
メニュースイッチ93dにより切り替えられるメニューとしては、「姿焼」「切身」「干物」があり、焼き加減スイッチ93eについても同様に「弱め」「標準」「強め」の3段階に調節できるように構成されている。そして、調理の具体的なメニュー表(図示せず)が別途用意されており、使用者はこのメニュー表を調理内容の目安として、メニュースイッチ93dおよび焼き加減スイッチ93eを操作して設定を行う。
【0042】
グリル83は、
図5、
図6に示すように、略直方体形状を有するグリル庫1内に、後述の複数のバーナ、焼網3、グリル受皿2などを配設することにより形成されている。また、グリル庫1の背面側には、排気用開口50が形成されている。
【0043】
グリル83は、グリルバーナとして、グリル庫1の上面側に配設された上バーナ41と下バーナ42を備えている。この実施例では、下バーナ42として、グリル庫1の左右の側壁11に沿ってグリル受皿2よりも上方でかつグリル受皿2に載置された焼網3の網部31よりも下側で、前面視左側のグリル庫側壁に沿って配設され、グリル庫1内の調理領域10の左側領域10a(
図6)を加熱する下左バーナ(左側領域用バーナ)42Lおよび右側のグリル庫側壁に沿って配設され、右側領域10b(
図6)を加熱する下右バーナ(右側領域用バーナ)42Rの2つのバーナを備えている。
【0044】
そして、このグリル庫1の後部に、グリルバーナの燃焼により被調理物95を加熱したときに発生する煙やグリルバーナから発生する燃焼ガスなどを含む調理排気を排気口91(
図1参照)から排気させるための排気筒Hが接続されており、この排気筒H内が排気通路5となっている。排気通路5は、グリル庫1の後端部の排気用開口50からトッププレートTPの排気口91に至るように後方へ行く程上方に位置する傾斜を有しており、調理排気は温度上昇による自然ドラフトによって排気通路5内を通って排気口91より外部に排出される。
【0045】
また、グリルバーナに供給される二次空気は、二重構造となったグリル扉83aの底面に形成された通気孔83bを経て取り入れられるように構成されており、この二次空気の流動により、グリル受皿2が冷却されるように構成されている。グリル受皿2は、
図7に示すように、平面視略矩形状をした上方に開口する容器からなる受け部21と、受け部21の周端から外周に連設されるフランジ部22とからなり、焼網3の下方に配置されて魚などの被調理物95からの油などを受け止めるもので、グリル庫1の左右の側壁11に設けられた固定レール(図示せず)と、固定レールに支持されて固定レールに沿ってスライド自在な可動レール13とからなるガイドにより支持される。また、グリル受皿2は、その長手方向がグリル庫1の前後方向(奥行き方向)となるように両側の可動レール13上にそれぞれ長辺側のフランジ部22が載置される。なお、この実施例では、長辺側のフランジ部22に形成された位置決め孔24(3mm×21mmの角孔)と、可動レール13の所定の位置に形成された突起(図示せず)が嵌合することにより位置決めが行われるように構成されている。
【0046】
グリル扉83aには、可動レール13の前端部が連結されており、グリル受皿2は、焼網3を載置した状態でフランジ部22が可動レール13上に載置される。そして、使用者が、把手にてグリル扉83aを開閉させることにより、グリル受皿2と焼網3の、グリル庫1への収納、あるいはグリル庫1から取り出しが行われるように構成されている。
【0047】
焼網3は、
図8に示すように、被調理物95が載置される網部31と、この網部31から下方に突設される脚部32(32a,32b)とを備えており、長手方向をグリル受皿2の長手方向(すなわちグリル庫1の前後方向)に沿わせて配置する。網部31は、平面視で略矩形状の枠部の、互いに対向する辺間に線材を架設することにより形成されており、枠部の長手方向の両端部の、グリル庫1の前後方向の端部となる位置に脚部32が配設されている。
【0048】
脚部32は、板状材料を用いて形成されており、網部31の下方に気体を通すための開口33が形成されている。また、焼網3は前側および後側が決まっており、前側の脚部32aには略全域に亘って開口33が形成されているが、後側の脚部32bには、主に上半部に開口33が形成され、下端部には左右に長い切欠状の、冷却用二次空気(後述の被調理物の載置状態検出用排気)の通気口34が別に設けられている。また、後側の脚部32bの開口33の下端部には後述する整流板7が設けてある。
【0049】
脚部32(32a,32b)の下端部には、グリル受皿2の所定位置に載置するための位置決め部35が形成してある。位置決め部35は、前側の脚部32aおよび後側の脚部32bの下端部に形成する突起からなり、脚部32(32a,32b)の下端部の両側に一つずつ計二つ(両脚部32で計四つ)形成されているとともに、突起位置に対応するグリル受皿2の短辺側のフランジ部22には、突起が挿入される焼網位置決め孔25が形成されている。
なお、左右の位置決め部35および焼網位置決め孔25の間の距離を前側と後側とで異ならせることにより、焼網3の前側と後側の方向に間違いが生じないようにされている。
【0050】
グリル扉83aは、下半部の後面(グリル庫1内側の面)側が二重構造とされ、内部が空気流路83cとなっている。空気流路83cは上方に開口してグリル庫1内に連通しているとともに、底面に通気孔83bが形成している。
【0051】
上記のように、二次空気は通気孔83bおよびグリル扉83aの空気流路83cを通ってグリル庫1内に取り入れられ、その一部が焼網3の上側を通って上バーナ41の燃焼に用いられ、上バーナ41の燃焼排気ガス(
図5中の矢印イ)となる。また、二次空気の他の一部は焼網3の下側を通って下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼に用いられ、下バーナ42の燃焼排気ガス(
図5中の矢印ロ)となる。また、二次空気のさらに他の一部は、焼網3の下側でかつグリル受皿2の上側を通り、下バーナ42の燃焼には用いられずに、グリル受皿2の冷却を行う皿上冷却空気(
図5中の矢印ハ)として機能する。二次空気のさらに他の一部は、グリル受皿2の下側でかつグリル庫1の底面14の上側を通ってグリル受皿2の冷却を行う皿下冷却空気(
図5中の矢印ニ)として機能する。
【0052】
また、
図5に示すように、グリル83には、排気通路5の内部にフレームアレスター61(消炎部材)が設けられている。フレームアレスター61は、排気通路5の後端部(上端部)より前端部側(グリル庫1側)に近い位置に、排気口91を通して落下侵入した異物を受け止めて滞留させることのない状態で設けられ、排気通路5内におけるフレームアレスター61の設置箇所に、排気口91を通して落下侵入した異物をグリル庫1側に通過させる異物通路Tが形成されている。なお、異物通路Tは、後述するが、排気通路5を仕切板60にて仕切った下側の排気通路51となっている。
【0053】
そしてフレームアレスター61は、排気通路5における後端部よりも前端部のグリル庫1側に近い部分でかつ排気用開口50よりも後方に設けられ、排気通路5における排気用開口50の下端部に前記異物通路Tに連通する開口50a(すなわち下側の排気通路51への入口)を形成するように、排気通路5を横断するような態様で設けられている。
【0054】
また、排気用開口50の焼網3の後端部近傍から排気通路5内の途中部分にかけて該排気通路5内を上下に仕切る仕切板60が、排気通路5と略平行に、かつ、排気口91を通して落下侵入した異物を受け止め滞留させない状態で設けられている。
【0055】
そして、排気通路5の底部を構成する排気筒Hの下側面は、排気口91から落下する異物を受け止める位置から、グリル庫1に連結されるまでの間の全領域にわたり、グリル庫1に近づくほど下方に位置するように傾斜した姿勢となるように構成されている。すなわち、排気通路5の下側面と仕切板60とによって異物通路Tが形成されている。
【0056】
フレームアレスター61は、
図5に示すように、排気通路5における排気口91よりもグリル庫1側で、かつ、排気通路5におけるグリル庫1に連なる排気用開口50よりも排気口91側に位置する排気筒Hの長手方向の中間部箇所において、排気通路5の上側面から下方側に向かい、かつグリル庫1側に向かう斜め下方に延びる状態で、仕切板60の後端部から排気通路5の天面5aにかけて設けられている。このフレームアレスター61は、
図6に示すように、多数の通気孔61aが形成された金網であるラス網を用いて構成されており、各通気孔61aの大きさ(メッシュイズ)は4mm×2mmの大きさに設定されている。なお、
図6は、グリル庫1における扉を開放させた状態で焼網3における前側の脚部32aの記載を省略した正面図であり、グリル庫1の前記グリル扉83aを備えた開口の周囲にはグリル庫1の前壁部が設けられている。
【0057】
また、排気通路5における排気口91には、異物通路Tの最も狭い箇所の幅よりも小さく、かつ前記フレームアレスター61の通気孔61aよりも大きい通気孔を多数備えた多孔の防塵部材(図示せず)が設けられている。
【0058】
上記構成によれば、焼網3に載置された被調理物95が加熱されるときに、被調理物95から発生する油などに引火して火災が発生して、その火炎が調理排気とともに排気通路5を通して排気口91に向けて案内されて伸びていくようなことがあっても、そのとき、調理排気は、仕切板60によってフレームアレスター61に向けて案内されることから、フレームアレスター61による消炎作用によって消火されることとなる。
【0059】
また、こんろにおける調理材料などの破片、例えば野菜の切屑などの異物が防塵部材を通過して排気口91から排気通路5内に落下侵入した場合、異物は傾斜状の案内面に形成されている排気筒Hの下側面によって異物通路Tを通過するようにグリル庫1内に流下案内されることになる。その結果、グリル庫1内に回収された異物は、被調理物95出入れ用のグリル庫1前方の開口を通して取り除くことができる。
【0060】
そして、このグリル付きガスこんろ80においては、グリル83に、グリルバーナによる加熱を開始した後の調理工程の初期において、焼網3における被調理物95の状態、すなわち、被調理物95の焼網3への載置位置、被調理物95の大きさ、形状、質量などの違いに応じて変化する温度上昇勾配を計測するための温度検出手段53が設けられている。
そして、制御部86が、温度検出手段53の検出情報に基づいて温度上昇勾配を求める判定用情報算出処理、および、その判定用情報算出処理にて求めた温度上昇勾配の情報に基づいて、判定用情報算出処理を実行してから被調理物95に対する加熱を終了するまでの残加熱時間を設定する残加熱時間設定処理を実行するように構成されている。
【0061】
なお、このグリル付きガスこんろ80においては、温度検出手段53として、被調理物95の熱容量の違いに起因して変化するグリルバーナによる加熱を開始してから設定判別温度に上昇するまでの熱容量判別用経過時間を計測する温度検出手段が設けられており、制御部86が熱容量判別用経過時間を求める判定用情報算出処理を行って、上記温度上昇勾配から残加熱時間を設定する際に前記熱容量判別用経過時間の情報に基づいて、適正な残加熱時間となるような補正を行うように構成されている。
【0062】
[本発明の特徴的な構成]
次に、本願発明の特徴的な構成について説明する。
<バーナの配設態様>
このグリル付きガスこんろ80においては、上述のように、グリル庫1の上面側に配設された上バーナ41と、焼網3の下側の配設されて、グリル庫1の左側領域を加熱するための左側領域用バーナ42Lと、右側領域を加熱する右側領域用バーナ42Rとを備えている。
【0063】
<温度センサの配設態様>
このグリル付きガスこんろ80において、温度検出手段53は、上記熱容量判別用経過時間を検出するための熱容量判別用の上温度センサ53b、および、下温度センサ(上記温度上昇勾配を検出するための温度勾配検出用の下中央温度センサ53a、同じく温度勾配検出用の下左温度センサ(左側温度センサ)53Lおよび下右温度センサ(右側温度センサ)53Rを備えた構成とされている。
なお、この実施例のグリルにおいては、上述の各温度センサ53a、53b、53L、53Rが、被調理物の載置状態を検出する手段(載置状態判定手段)の主要部を構成している。
【0064】
具体的に説明すると、
図5、
図6に示すように、排気通路5内の仕切板60の後端部の上側に上温度センサ53bが設けられているとともに、仕切板60の下側の排気通路51の底面5bの排気用開口50近傍(すなわち下側の排気通路51の入口となる開口50a近傍)に下中央温度センサ53a、グリル庫1内の調理領域を構成する左側領域10aの温度勾配検出用の左側温度センサ53L、および右側領域10bの温度勾配検出用の右側温度センサ53Rとが設けられている。
【0065】
なお、上温度センサ53bは、グリル庫1内における焼網3の高さよりも少し高い位置であってかつ上バーナ41および左右一対の下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)のそれぞれの燃焼排気ガスが流動して排気通路5を経て排出される位置に設けられている。この上温度センサ53bが設けられる位置は、上バーナ41および左右一対の下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)のそれぞれの燃焼排気ガスが流動する位置であり、この位置は、加熱を開始してから設定判別温度に上昇するまでの熱容量判別用経過時間の変化が被調理物95の熱負荷の大きさに応じて異なる位置である。
【0066】
また、上温度センサ53bの下方側には、上温度センサ53bとは別に、グリル庫1内における焼網3よりも少し低い位置であって主に、左右一対の下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)のそれぞれの燃焼排気ガスが流動する箇所に下中央温度センサ53aと温度勾配検出用の左側温度センサ53Lと温度勾配検出用の右側温度センサ53Rとが設けられている。この下中央温度センサ53a、左側温度センサ53L、右側温度センサ53Rが設けられる位置は、焼網3に載置される被調理物95の状態の違いによって温度上昇勾配が異なる箇所である。
【0067】
焼網3に載置される被調理物95の状態の違いが主として被調理物95の質量(載置量)の違いである場合、背景技術の欄で説明したように、焼網3に載置する被調理物95の質量が大きくなる(すなわち熱容量が大きくなる)にしたがって、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの温度は低下する傾向にある。
【0068】
そして、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの温度の変化が下側の排気通路51を通る気体の温度に反映されて、焼網3に載置された被調理物95の質量が大きくなるにしたがって、下側の排気通路51の温度が低くなる。
【0069】
<3つの下温度センサによる被調理物の載置量の測定>
焼網3の下側でかつグリル受皿2の上側を通って、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼に用いられずに、グリル受皿2の冷却を行う皿上冷却空気(
図9、
図10中の矢印ホ)は、焼網3に載置された被調理物95の質量が小さいときには上バーナ41からの輻射熱による加熱量が大きい(
図9の上バーナ41からの輻射熱Raが大きい。)ため、下側の排気通路51の温度が高くなり、また、焼網3に載置された被調理物95の質量が大きい場合には上バーナ41からの輻射熱による加熱量が小さい(
図10の上バーナ41からの輻射熱Raが小さい。)ことから、下側の排気通路51の温度が低くなる。
【0070】
また、焼網3の後側の脚部32bの開口33の下端部に配設された整流板7は、
図6,
図9などに示すように、下側の排気通路51の下端側の、仕切板60よりも下側に位置に配置されており、焼網3の後側の脚部32bの開口33の下端部から、後方へ行く程上方に位置するように傾斜する傾斜片として設けられている。
【0071】
焼網3に載置する被調理物95の質量(載置量)が所定の質量よりも小さい場合、
図9に示すように、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスのうち、焼網3を通過して上側に流れるもの(
図9中の矢印イ)および焼網3の下側を流れるもの(
図9中の矢印ロ)は略一定であり、下側を流れるもののうちの大部分は、整流板7によって下側の排気通路51に流入するのが抑制されて上側の排気通路52へと流入し(
図9中の矢印ハ)、残りの所定量の燃焼排気ガス(
図9中の矢印ニ)が下側の排気通路51に流入する。
【0072】
また、焼網3の下側でかつグリル受皿2の上側を通って、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼に用いられずグリル受皿2の冷却を行う皿上冷却空気(
図9中の矢印ホ)は、略一定であり、そのほぼ全てが下側の排気通路51に流入するため、下側の排気通路51に流入する下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの量と二次空気の比率は略一定となり、焼網3に載置する被調理物95の質量が小さくなるにしたがって下側の排気通路51の温度が高くなる。
【0073】
また、焼網3に載置する被調理物95の質量が所定の質量よりも大きい場合、
図10に示すように、下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスのうち、焼網3を通過して上側に流れるもの(
図10中の矢印イ)は被調理物95の載置量が多くなるにしたがって少なくなるとともに、その分、焼網3の下側を流れるもの(
図10中の矢印ロ)は多くなるが、下側を流れるものは整流板7によって大部分が下側の排気通路51に流入するのが抑制されて上側の排気通路52へと流入し(
図10中の矢印ハ)、残りの所定量の燃焼排気ガス(
図10中の矢印ニ)が下側の排気通路51に流入する。
【0074】
皿上冷却空気(
図10中の矢印ホ)は略一定であり、そのほぼ全てが下側の排気通路51に流入するため、下側の排気通路51に流入する下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの量と二次空気の比率は、焼網3に載置する被調理物95の量が所定の量よりも少ない場合と同様に略一定となり、焼網3に載置された被調理物95の質量が大きくなるにしたがって、下側の排気通路51の温度が低くなる。
【0075】
このグリル付きガスこんろ80においては、上述のように整流板7を設けたことで、被調理物95の焼網3への載置量が多くなるにつれて下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスが下側の排気通路51に流入しすぎることを抑制できるため、焼網3に載置する被調理物95の質量が大きくなるにしたがって焼網3の下側を流れる下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの量が増大しても、下側の排気通路51に流入する下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの量を略一定とすることができる。
【0076】
これにより、下側の排気通路51を流れる気体の温度を下バーナ42(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R)の燃焼排気ガスの温度を反映したものとして、焼網3に載置する被調理物95の質量が大きくなるにしたがって低下する傾向を持たせることが可能になる。その結果、焼網3に載置された被調理物95の質量と、下側の排気通路51を流れる気体の温度の上昇幅との関係が一定の関係(単調減少の関係)となり、3つの下温度センサ、すなわち、下中央温度センサ53a、下左温度センサ(左側温度センサ)53L、および、下右温度センサ(右側温度センサ)53Rにより検出される温度の上昇幅から、焼網3に載置する被調理物95の質量を求めることが可能になる。
【0077】
<自動グリル調理における下温度センサによる被調理物の載置状態の判定と該判定に基く制御の実行>
次に、タイマスイッチ93b操作時以外の自動グリル調理における、下温度センサによる被調理物95の載置状態の判定と該判定に基くグリルの制御動作について説明する。
【0078】
(1)載置状態偏りの判定のための温度上昇勾配の測定
タイマスイッチ93bを操作して調理時間を設定する場合を除き、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネル93を、こんろ本体81の前面から突出させ、メニュースイッチ93dや焼き加減スイッチ93eを押すことにより調理メニューや焼き加減などのグリル83における自動調理の設定入力を行った後、点火・消火スイッチ93aを押して点火入力操作を行うと、グリル83のグリルバーナが点火され、次のような初期判定制御が実行される。
なお、タイマスイッチ93bを操作して 調理時間を手動で設定した場合については、後に詳述する。
【0079】
点火入力操作を行ってから、熱電対88(
図2)により、上バーナ41、下左バーナ(左側領域用バーナ)42L、下右バーナ(右側領域用バーナ)42R(
図11、12参照)への着火が検出されるまで(
図13A(a)、(b)、
図13B(a)のA〜Bの間)は、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rをともに強火力で燃焼させるときの火力)の100%に相当するガス量となるように、グリル用ガス供給路13dのガスガバナ13Gの下流に設けられた上バーナ用流量制御弁90u、左側領域用バーナ用流量制御弁90L、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの各々の開度が、制御部86により調整される。
なお、この実施例では、左側領域用バーナ用流量制御弁90L、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rが、本発明(請求項3)におけるガス量調節手段を構成している。
【0080】
熱電対88(
図2)により上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R全ての着火が検出された後も、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力を維持する(
図13A(a)、(b)、
図13B(a)のBの時点)。
【0081】
着火検出後5分が経過するまで、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力(100%)である状態を維持する。(
図13A(a)、(b)、
図13B(a)のB〜Dの期間)。
【0082】
着火検出後5分が経過した時点(
図13A(a)、(b)、
図13B(a)のB〜Dの時点)における左側温度センサ53Lによる検出温度の値tL、および、着火検出後5分が経過した時点における右側温度センサ53Rによる検出温度の値tRのそれぞれが制御部86により測定される。
【0083】
(2−1)載置状態偏りの判定
上述のようにして測定した、左側温度センサ53Lによる検出温度(左検出温度)の値tL、および、右側温度センサ53Rによる検出温度(右検出温度)の値tR、および、後で詳述する、被調理物が載置されていない状態である、無負荷時の左側温度センサ53Lによる、着火検出後5分経過した時点の検出温度(無負荷左検出温度)の値tLN、および、無負荷時の右側温度センサ53Rによる、着火検出後5分経過した時点の検出温度(無負荷右検出温度)の値tRNを用いて、焼網の正面視右側に載置されている被調理物95の大きさが焼網の左側に載置されている被調理物95の大きさに比べて極端に小さい又は被調理物95が左側に寄せて載置されている左載置状態、あるいは、焼網の正面視左側に載置されている被調理物95の大きさが焼網の右側に載置されている被調理物95の大きさに比べて極端に小さい又は被調理物95が右側に寄せて載置されている右載置状態、あるいは、焼網の正面視左側に載置されている被調理物95の大きさと焼網の右側に載置されている被調理物95の大きさとには極端な差が無く、被調理物95が前面視でほぼ左右方向に均一に載置されている全面載置状態の3つの載置状態の内の、何れの載置状態であるのかの判定を、以下の条件に従い行う。
【0084】
a)第1判定(載置状態偏りに応じた左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御の可否の判定)
この第1判定は、焼網に載置されている被調理物の量が所定の量より多い場合は、後述する載置状態偏りの判定結果に応じた、左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節を行った場合のエネルギー消費効率の向上率が少なく、また、被調理物の量が多いことに起因する温度上昇値の乱れよる載置状態偏りの判定における誤判定が懸念されるため、載置状態偏りに応じた火力調節制御を許可しないようにするための判定である。
【0085】
a−1)着火検出後、5分経過した時点における上温度センサ53bによる検出温度の、着火検出時の値に対する上昇値Δtb(5分)が180deg以上である、という条件を満足するときは、第2判定により載置状態偏りの判定を行い、載置状態偏りに応じた、左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0086】
a−2)着火検出後、5分経過した時点における上温度センサ53bによる検出温度の、着火検出時の検出値に対する上昇値Δtb(5分)が170deg以上で、かつ、着火検出後、3分経過した時点における上温度センサ53bによる検出温度の、着火検出時の値に対する上昇値値Δtb(3分)の値よりΔtb(5分)の値が50deg以上大きい、すなわち、Δtb(5分)−Δtb(3分)≧50deg、という条件を満足するときは、第2判定により載置状態偏りの判定を行い、載置状態偏りに応じた、左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0087】
a−3)上記、a−1、a−2の条件の何れの条件も満足しないときは、全面載置状態であると判定し、載置状態偏りに応じた、左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御を実行しない。
【0088】
b)第2判定
b−1) (tL−tR)−(tLN−tRN)が2deg以上である、という条件を満たすときは、被調理物が右側に極端に偏って載置されている、右載置状態であると判定する。
【0089】
b−2) (tL−tR)−(tLN−tRN)が−2deg以下である、という条件を満たすときは、被調理物が左側に極端に偏って載置されている、左載置状態であると判定する。
【0090】
b−3) (tL−tR)−(tLN−tRN)の絶対値が2deg未満である、という条件を満たすときは、被調理物が左右のどちら側にも極端には偏らず載置されている、全面載置状態であると判定し、実質的に、載置状態偏りに応じた左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御は実行されないことになる。
【0091】
(2−2)無負荷時の左側温度センサ53Lと右側温度センサ53Rによる温度の検出値の測定
上述の(2−1)載置状態偏りの判定に用いられる、無負荷時の左側温度センサ53Lによる、着火検出後5分経過した時点の検出温度の(無負荷左検出温度)値tLN、無負荷時の右側温度センサ53Rによる、着火検出後5分経過した時点の検出温度(無負荷右検出温度)の値tRNのそれぞれの値は、工場においてグリル庫内に被調理物を載置しない無負荷の状態で、上述の「(2−1)載置状態偏りの判定のための温度上昇勾配の測定」と同様に測定されて、制御部において記憶されている。
【0092】
なお、グリル付きガスこんろ80が工場から出荷された後に、グリル付きガスこんろ80が使用される場所において、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネル93における焼き加減スイッチ93eとメニュースイッチ93dと火力切替スイッチ93cの3つのスイッチを5秒以上同時押しすることにより、無負荷時の左側温度センサ53Lによる検出温度(無負荷左検出温度)の値tLN、無負荷時の右側温度センサ53Rによる検出温度(無負荷右検出温度)の値tRNのそれぞれの値を更新記憶させることが可能であり、tLN、tRNが更新記憶された場合は、上述の「(2−1)載置状態偏りの判定」においては、更新記憶された最新のtLN、tRNが用いられる。
【0093】
更新記憶された最新のtLN、tRNを用いることにより、グリル付きガスこんろ80が使用される場所における機器の設置状況や使用される燃料ガスの状況に応じた載置状態偏りの判定が行われるため、グリル付きガスこんろ80が使用される場所における機器の設置状況や使用される燃料ガスの状況に起因する誤判定が防止できる。
【0094】
なお、上述のように、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネル93における焼き加減スイッチ93eとメニュースイッチ93dと火力切替スイッチ93cの3つのスイッチを5秒以上同時押しすることにより、無負荷時の左側温度センサ53Lによる検出温度(無負荷左検出温度)の値tLN、無負荷時の右側温度センサ53Rによる検出温度(無負荷右検出温度)の値tRNのそれぞれの値を更新記憶させる場合には、グリル庫内に被調理物を載置しない無負荷の状態としておく必要がある。
【0095】
(2−3)実施例における載置状態偏りの判定例
a)無負荷(表1参照)
【0096】
【表1】
【0097】
着火検出後5分経過した時点の左側温度センサ53Lによる検出温度:
tLN=146℃
着火検出後5分経過した時点の右側温度センサ53Rによる検出温度:
tRN=135℃
であり、以下の判定で使用される。
【0098】
b)秋刀魚1匹
b−1)秋刀魚1匹を右側に30mm偏らせて載置したとき(表2A参照)
【0099】
【表2A】
【0100】
(1)Δtb(5分)=199degであるから、第1判定a−1の条件を満足する。
(2)(tL−tR)−(tLN−tRN)=9degであるから、右載置状態であると判定する。
上記(1),(2)により、右に火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0101】
b−2)秋刀魚1匹を左側に30mm偏らせて載置したとき(表2B参照)
【0102】
【表2B】
【0103】
(1)Δtb(5分)=198egであるから、第1判定a−1の条件を満足する。
(2)(tL−tR)−(tLN−tRN)=−10degであるから、左載置状態であると判定する。
上記(1),(2)により、左に火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0104】
b−3)秋刀魚1匹を中央に載置したとき(表2C参照)
【0105】
【表2C】
【0106】
(1)Δtb(5分)=209degであるから、第1判定a−1の条件を満足する。
(2)(tL−tR)−(tLN−tRN)=0degであるから、全面載置状態であると判定する。
(1),(2)により、左右に火力を偏らせた火力調節制御を行わない。
【0107】
c)秋刀魚2匹
c−1)秋刀魚2匹を右側に30mm偏らせて載置したとき(表3A参照)
【0108】
【表3A】
【0109】
(1)Δtb(5分)=175degであるから、第1判定a−1の条件を満足しない。
(2)Δtb(5分)−Δtb(3分)=50degであるから、第1判定a−2の条件を満足する。
(3)(tL−tR)−(tLN−tRN)=4degであるから、右載置状態であると判定する。
上記(1),(2),(3)により、右に火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0110】
c−2)秋刀魚2匹を左側に30mm偏らせて載置したとき(表3B参照)
【0111】
【表3B】
【0112】
(1)Δtb(5分)=177degであるから、上記第1判定a−1の条件を満足しない。
(2)Δtb(5分)−Δtb(3分)=60degであるから、第1判定a−2の条件を満足する。
(3)(tL−tR)−(tLN−tRN)=−8degであるから、左載置状態であると判定する。
上記(1),(2),(3)により、左に火力を偏らせた火力調節制御を行う。
【0113】
c−3)秋刀魚2匹を中央に載置したとき(表3C参照)
【0114】
【表3C】
【0115】
(1)Δtb(5分)=200degであるから、上記第1判定a−1の条件を満足する。
(2)(tL−tR)−(tLN−tRN)=1degであるから、全面載置状態であると判定する。
上記(1),(2)により、左右に火力を偏らせた火力調節制御を行わない。
【0116】
d)秋刀魚3匹
d−1)秋刀魚3匹を右側に30mm偏らせて載置したとき(表4A参照)
【0117】
【表4A】
【0118】
(1)Δtb(5分)=176degであるから、上記第1判定a−1の条件を満足しない。
(2)Δtb(5分)−Δtb(3分)=46degであるから、第1判定a−2の条件を満足しない。
(1),(2)により、左右に火力を偏らせた火力調節制御を行わない。
【0119】
d−2)秋刀魚3匹を左側に30mm偏らせて載置したとき(表4B参照)
【0120】
【表4B】
【0121】
(1)Δtb(5分)=169degであるから、上記第1判定a−1の条件を満足しない。
(2)Δtb(5分)<170degであるから、第1判定a−2の条件を満足しない。
(1),(2)により、左右に火力を偏らせた火力調節制御を行わない。
【0122】
d−3)秋刀魚3匹を中央に載置したとき(表4C参照)
【0123】
【表4C】
【0124】
(1)Δtb(5分)=174degであるから、上記第1判定a−1の条件を満足しない。
(2)Δtb(5分)−Δtb(3分)=30degであるから、第1判定a−2の条件を満足しない。
(1),(2)により、左右に火力を偏らせた火力調節制御を行わない。
【0125】
(3)載置状態の判定結果に応じた火力調節
(a)左載置状態のとき
着火検出後5分経過した時点で、左載置状態であると判定された場合には、右側領域用バーナ42Rの火力が弱火力(定格火力の70%)となるように右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの開度が制御部86により調整されるとともに、左側領域用バーナ42Lの火力が強火力(定格火力の100%)となるように左側領域用バーナ用流量制御弁90Lの開度が制御部86により調整される(
図13A(a)のD以降の期間)。
また、操作パネルPの片寄せ左LED93Lが点灯し、片寄せ右LED93Rは消灯状態に保たれる。
【0126】
なお、一見、右側領域用バーナ42Rを消火状態として、火力をゼロとした方がガス消費量が少なくなりエネルギー消費効率が高くなるように考えられるが、右側領域用バーナ42Rを消火状態にして火力をゼロにしてしまうと、左側領域用バーナ42Lによる炎が右の方に伸びすぎてしまい、左側領域用バーナ42Lによる加熱が、焼網上の左側に載置されている被調理物95の加熱に寄与しにくくなり、エネルギー消費効率が低下してしまうことになる。
【0127】
これに対し、右側領域用バーナ42Rの火力を弱火力(定格火力の70%)として右側領域用バーナ42Rにおいても燃焼が行われることで、右側領域用バーナ42Rの炎による排気の流れが左側領域用バーナ42Lの炎の右方向への伸びを抑制するように作用する。その結果、左側領域用バーナ42Lの炎が右側に伸びすぎてしまうことを防止して、焼網上の左側に載置されている被調理物95を効率よく加熱することが可能になる。
【0128】
(b)右載置状態のとき
着火検出後5分経過した時点で、右載置状態であると判定された場合には、左側領域用バーナ42Lの火力が弱火力(定格火力の70%)となるように、左側領域用バーナ用流量制御弁90Lの開度が制御部86により調整され、右側領域用バーナ42Rの火力を強火力(定格火力の100%)となるように、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの開度が制御部86により調整される(
図13A(b)のD以降の期間)。
また、操作パネルPの片寄せ右LED93Rが点灯し、片寄せ左LED93Lは消灯状態に保たれる。
【0129】
(c)全面載置状態のとき
着火検出後5分経過した時点で、全面載置状態であると判定された場合には、左側領域用バーナ42Lの火力を強火力(定格火力の100%)となるように左側領域用バーナ用流量制御弁90Lの開度が制御部86により調整され、右側領域用バーナ42Rの火力を強火力(定格火力の100%)となるように右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの開度が制御部86により調整される(
図13B(a)のD以降の期間)。
また、このとき、操作パネルPの片寄せ左LED93L、および、片寄せ右LED93Rはいずれも消灯している。
すなわち、全面載置状態のときには、実質的に、載置状態偏りに応じた左右のいずれかに火力を偏らせた火力調節制御は実行されないことになる。
【0130】
以上のように、被調理物の載置状態に応じて下バーナの火力を調節する制御を行うグリルにおいては、被調理物が左右のどちらかに寄せて載置されている場合に、被調理物が載置されていない側(非載置側)の下バーナの火力を、消火するのではなく、弱火力に切換えることにより、グリル調理における高効率化を図ることができる。
【0131】
さらに、タイマスイッチ93bを操作し調理時間を手動で設定する場合を除き、調理メニューや焼き加減などのグリル83の自動調理の設定入力を行い、点火・消火スイッチ93aを指で押して点火入力操作を行ってグリル83に点火することにより、上記のように制御された調理が制御部により自動的に実行されることから、高い利便性を実現することができる。
【0132】
なお、下温度センサ53aは、自動グリル調理における被調理物95の加熱時間を求めるために、被調理物95の載置状態の違いに応じて変化する温度上昇勾配を計測するために用いられるものであるが、焼網3上における被調理物95の載置状態に応じて、左側温度センサ53Lによる検出値と右側温度センサ53Rによる検出値の加重平均値を用いるなどにより、左側温度センサ53Lと右側温度センサ53Rにより代用することも可能である。
【0133】
<載置状態の判定結果に応じた火力調節における改良例>
左載置状態のとき、または、右載置状態のときにおける着火検出後5分経過した時点以降(
図13A(a)または(b)のD以降の期間)の左側領域用バーナ42Lまたは右側領域用バーナ42Rの強火力を定格火力(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rをともに強火力で燃焼させるときの火力)の100%ではなく130%とすることにより、一方の下バーナの火力が定格火力の−30%の時に他方の下バーナの火力を定格火力の+30%とすることになり、両方の下バーナの火力の合計を定格火力の合計に等しくしくすることができるため、左載置状態のとき、または、右載置状態のときにおいて火力の低下を回避することができる。なお、この<載置状態の判定結果に応じた火力調節における改良例>のグリルと従来のグリルとを比較すると以下のようになる。
【0134】
(従来技術のグリルの場合)
上バーナ41の火力 =0.83kW
左側領域用バーナ42Lの火力 =0.71kW
右側領域用バーナ42Rの火力 =0.71kW
の条件で、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rの火力の総和が2.25kWの従来のグリルを用いて、195gの秋刀魚一匹を、焼網の正面視左側に載置して、5.5分の加熱を行った場合の減水率=9.7%であった。
【0135】
(改良例にかかるグリルの場合)
従来技術のグリルと同様に、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rの火力の総和=2.25kWを用い、
上バーナ41の火力 =0.82(≒0.83×1.0)kW
左側領域用バーナ42Lの火力 =0.93(≒0.71×1.3)kW
右側領域用バーナ42Rの火力 =0.50(≒0.71×0.7)kW
の条件で、195gの秋刀魚一匹を焼網の正面視左側に載置して、5.5分の加熱を行った。この場合の減水率は、17.2%で、上記従来技術の場合と同じ総加熱量で、減水率を大きくすることができた。すなわち、従来技術の場合と同じ減水率となるまでの調理時間を短くできること、省エネルギーを実現できることが確認された。
【0136】
なお、被調理物の載置されている方の火力を上げすぎることで、被調理物を加熱し過ぎて不都合が生じる場合は、下火の左右の火力バランスを、例えば、載置側130%、非載置側70%とするのではなく、例えば、載置側110%、非載置側70%とすることも可能である。
【0137】
<タイマスイッチの操作を伴うグリルタイマ調理における手動設定時制御の実行>
(1)手動での調理条件の設定
グリル83用調理設定入力部を有する操作パネル93を、こんろ本体81の前面から前方に突出露出させタイマスイッチ93bを指で押すことでグリルタイマを設定し、点火・消火スイッチ93aを操作を行ってグリル83に点火する場合は、火加減を使用者が手動により選択することを想定して、前述の自動制御は実行されないように構成されている。
【0138】
この場合、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネルPの片寄せスイッチ93kを操作することにより手動で調理条件の設定が行われる。
電源スイッチ92をON操作し制御部に通電された初期の状態では、手動設定時制御の設定はOFFの状態で、操作パネルPの片寄せスイッチ上部に備える片寄せ左LED93L、片寄せ右LED93Rともに消灯している。
【0139】
片寄せ左LED93Lが消灯、片寄せ右LED93Rが消灯の状態で、パネルPの片寄せスイッチ93kを1回操作する毎に、片寄せ左LED93Lが点灯、片寄せ右LED93Rが消灯→片寄せ左LED93Lが消灯、片寄せ右LED93Rが点灯→片寄せ左LED93Lが消灯、片寄せ右LED93Rが消灯と状態が変化し、以下同状態の変化が繰り返される。
【0140】
(2)手動設定時制御の実行
手動で所定の調理条件の設定がなされた場合には、下記のような手動設定時制御が実行される。
【0141】
(a)片寄せ左LED93Lが消灯、片寄せ右LED93Rが消灯の状態
点火入力操作を行ってから、熱電対88(
図2)により、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R(
図11、12参照)への着火が検出されるまでは、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rをともに強火力で燃焼させるときの火力)の100%に相当するガス量となるように、グリル用ガス供給路13dに備えるガスガバナ13Gの下流に設けられた上バーナ用流量制御弁90u、左側領域用バーナ用流量制御弁90L、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの各々の開度が、制御部86により調整され、着火が検出された後は、左側領域用バーナ42Lおよび右側領域用バーナ42Rの火力が全面載置状態のときの着火検出後5分経過した時点以降と同じ火力に調整される。
【0142】
(b)片寄せ左LED93Lが点灯、片寄せ右LED93Rが消灯の状態
点火入力操作を行ってから、熱電対88(
図2)により、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R(
図11、12参照)への着火が検出されるまでは、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rをともに強火力で燃焼させるときの火力)の100%に相当するガス量となるように、グリル用ガス供給路13dに備えるガスガバナ13Gの下流に設けられた上バーナ用流量制御弁90u、左側領域用バーナ用流量制御弁90L、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの各々の開度が制御部86により調整され、着火が検出された後は、左側領域用バーナ42Lおよび右側領域用バーナ42Rの火力が左載置状態のときの着火検出後5分経過した時点以降と同じ火力に調整される。
【0143】
(c)片寄せ左LED93Lが消灯、片寄せ右LED93Rが点灯の状態
点火入力操作を行ってから、熱電対88(
図2)により、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42R(
図11、12参照)への着火が検出されるまでは、上バーナ41、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともにそれぞれの定格火力(左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rをともに強火力で燃焼させるときの火力)の100%に相当するガス量となるように、グリル用ガス供給路13dに備えるガスガバナ13Gの下流に設けられた上バーナ用流量制御弁90u、左側領域用バーナ用流量制御弁90L、右側領域用バーナ用流量制御弁90Rの各々の開度が制御部86により調整され、着火が検出された後は、左側領域用バーナ42Lおよび右側領域用バーナ42Rの火力が右載置状態のときの着火検出後5分経過した時点以降と同じ火力に調整される。
【0144】
<タイマスイッチ操作時以外の自動グリル調理における手動設定時制御の実行>
タイマスイッチ93bを操作し調理時間を設定する場合以外の、グリル83用調理設定入力部を有する操作パネル93を、こんろ本体81の前面から前方に突出させ、メニュースイッチ93dや焼き加減スイッチ93eを操作して調理メニューや焼き加減などのグリル83における自動調理の設定入力を行い、点火・消火スイッチ93aを操作してグリル83を点火した場合であっても、タイマスイッチ93bを操作し、調理時間を設定する場合と同様に、操作パネルPの片寄せスイッチ93kを操作することにより手動で調理条件の設定をした場合には、自動制御は実行されず手動制御が実行される。
【0145】
[変形例]
上述の実施例1の場合、
図13A(a)、(b)、
図13B(a)のB〜Dの期間における、載置状態判定のための温度上昇勾配の測定に際し、左側領域用バーナ42Lの火力が定格火力(100%)で右側領域用バーナ42Rの火力も定格火力(100%)となるように構成されているが、これを左側領域用バーナ42Lおよび右側領域用バーナ42Rの火力を、例えば、左側領域用バーナ42L、右側領域用バーナ42Rともに定格火力の70%とすることにより、省エネルギー化を図ることができる。なお、
図13B(b)は、左載置状態の場合における載置状態判定の動作の例を示している。
【0146】
また、上記実施例では、本発明のグリルを備えたグリル付きガスこんろとして、ステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁90を、火力調整用のガス量調節手段として備えるグリル付きガスこんろを例にとって実施例について説明したが、ガス電磁弁の開閉によりガス量を調節する方式を採用することも可能である。
【0147】
[別実施例]
なお、上記実施例においては、両面焼グリルにおける例を示したが、本発明は、バーナを焼網より上側に配設した(下バーナを備えない)片面焼グリルにも適用することは可能であり、上記実施例の場合と同様に、載置状態の判定を行うことができる。
【0148】
また、上記実施例においては、着火検出後5分経過した時点の左側温度センサ53Lによる温度値tL、および、右側温度センサ53Rによる検出温度の値tRを用いて載置状態の偏りの判定を行っているが、本発明の範囲内の変形例として、着火検出後5分経過した時点ではなくて、点火開始時点から5分経過した時点の左側温度センサ53Lによる温度値tL、および、右側温度センサ53Rによる検出温度の値tRを用いて載置状態の偏りの判定を行うようにすることも可能である。
【0149】
また、上記実施例では、焼網に載置されている被調理物の量が所定の量よりも多い場合であるかどうかの判定を、排気筒Hに備える上温度センサ53bによる検出温度によって行うようにしているが、重量センサを具備しておき、該重量センサにより焼網に載置されている被調理物の量が所定の量よりも多いかどうかの判定を行うように構成することも可能である。
【0150】
また、上記実施例では、被調理物の載置状態に偏りがあると判定した場合に、右側領域用バーナと左側領域用バーナの加熱量を変更するようにしているが、右側領域用バーナと左側領域用バーナの加熱量の変更を行わず、偏った載置状態であると判定した場合に、被調理物の載置状態に偏りがある旨の報知を行うように構成してもよく、この場合、ガス量調節手段が不要で構成が簡略化できる。
【0151】
さらに、上記実施例では、判定時点において、左検出温度と右検出温度との差(負荷時温度差)と、無負荷左検出温度と無負荷右検出温度との差(無負荷時温度差)とに応じて、負荷時温度差と無負荷時温度差との差の絶対値が所定の温度差以上のとき、偏った載置状態であると判定したが、無負荷時温度差はゼロとして判定を行ってもよい。
【0152】
また、上記実施例では、被調理物の量の判定を上温度センサ53bによって行う実施例を示したが、被調理物の量の判定を、左側温度センサ53Lによる温度の上昇値、および、右側温度センサ53Rによる検出温度の上昇値を用いて行ってもよい。
また、本発明は、熱源がガスの燃焼熱である場合に限らず、ガス以外の燃料を用いる場合にも適用することが可能である。
【0153】
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。