(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体前後方向に延在してスライドドア開口部の上縁を形成するルーフサイドレールと該ルーフサイドレールに車幅方向外側縁部が接合されたルーフパネルを備えると共に、該ルーフパネル及びルーフサイドレールと離間して車体前後方向に延在するルーフレール本体を有するルーフレールを備え、上記スライドドア開口部を前後方向に移動するスライドドアによって開閉する自動車において、
車体前後方向に延在して上記スライドドアの上部を移動可能に支持するアッパガイドレールを上記ルーフレール本体に配設したことを特徴とするスライドドアの上部支持構造。
上記ルーフサイドレールは、車室内側を構成するサイドレールインナパネルと外方を構成するサイドレールアウタパネルを接合して車体前後方向に延在する閉断面構造であって、
上記ルーフパネルの車幅方向外側縁部は該サイドレールインナパネルとサイドレールアウタパネルとの接合部に接合すると共に、
ルーフレール本体は扁平中空管状で車体前後方向に延在すると共に、該ルーフレール本体の下面に上記アッパガイドレールが前後方向に延在して配置され、
上記スライドドアの内側上部から上記ルーフサイドレールとルーフレール本体との間に延在するガイドローラ支持アームに支持されたガイドローラが上記アッパガイドレールに前後方向に移動可能に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のスライドドアの上部支持構造。
上記ルーフレール本体は、前端及び後端がそれぞれ前部レッグ部及び後部レッグ部によって上記ルーフパネルの車幅方向外側縁部とサイドレールインナパネルとサイドレールアウタパネルとの接合部に結合支持されたこと特徴とする請求項2に記載のスライドドアの上部支持構造。
上記スライドドアは、スライドドア開口部を閉状態において該スライドドアの上部によってサイドレールとルーフレール本体との車幅方向外側から覆うことを特徴とする請求項2に記載のスライドドアの上部支持構造。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の側部に設けられたスライドドア開口部を開閉自在に覆うスライドドアを、車体側面に沿って車体後方にスライド移動させることで開状態とするスライドドアを設けることが知られている。
【0003】
このように車体側部に沿って前後方向にスライド開閉されるスライドドアは、一般に、スライドドア開口部の上縁に沿って延在するルーフサイドレールにアッパガイドレールが配置され、スライドドア開口部の下縁に沿って延在するサイドシルにロアガイドレールが配置され、スライドドア開口部の後端中間高さ位置から後方に車体の側面に沿ってセンタガイドレールが配置され、これらのガイドレールにスライドドア側の所定箇所にアームを介して取り付けられたガイドローラを移動自在に嵌合してスライドドアが移動可能に支持される。
【0004】
このルーフサイドレールにアッパガイドレールを取り付けるスライドドアの上部支持構造の例が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されるスライドドアの上部支持構造の概要を
図9に基づいて説明する。図に示すように、スライドドア開口部100の上縁に沿って延在するルーフサイドレール101は、車室内側を構成する比較的平板状のサイドレールインナパネル102と外側を構成するサイドレールアウタパネル103とで車体前後方向に延在する閉断面構造に構成される。サイドレールアウタパネル103は中央部が車幅方向外側に膨出する膨出部103a及び膨出部103aの下方に車体前後方向に延在する凹部103bが形成される。
【0006】
この凹部103bに下方が開放する断面コ字形で車体前後方向に延在するアッパガイドレール104が取り付けられる。更に、サイドレールアウタパネル103の膨出部103aに設けられるドリップレール105にルーフパネル106の外側縁部106aが接合される。
【0007】
一方、スライドドア107の内側上部にガイドローラ109を支持するアーム108が設けられ、このガイドローラ108が前後方向移動可能にアッパガイドレール104に取り付けられる。これにより、スライドドア107を開ける際に、スライドドア107が二点鎖線107aで示すように車幅方向外方へ移動する。
【0008】
特許文献2に開示されるスライドドアの上部支持構造の概要を
図10を参照して説明する。図に示すように、スライドドア開口部110の上縁に沿って延在するルーフサイドレール111は、サイドレールインナパネル112とサイドレールアウタパネル113とで車体前後方向に延在する閉断面構造に形成される。ルーフサイドレール111の内側上端部に形成されるサイドレールインナパネル112とサイドレールアウタパネル113との結合フランジ111Aの上面にルーフパネル114の外側縁部が溶接によって接合される。
【0009】
サイドレールインナパネル112の下部に車体前後方向に延在する凹部112aが形成され、この凹部112aにエアバッグ袋体118が配設される。また、エアバッグ袋体118の下方にはルーフヘッドライニング119の外側端部119aが配設されている。サイドレールアウタパネル113の車幅方向外側に、下方が開口する断面コ字形で車体前後方向に延在するアッパガイドレール114が取り付けられている。
【0010】
一方、スライドドア115の上部内面115aにガイドローラ117を支持するアーム116が固定され、ガイドローラ117が車体前後方向に移動可能にアッパガイドレール114に取り付けられる。これにより、スライドドア115を開ける際にスライドドア115が二点差線115aで示すように車幅方向外方へ移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1によるとルーフサイドレール101を構成するサイドレールアウタパネル103の膨出部103aの下方に車体前後方向に延在する凹部103bを形成し、凹部103bにアッパガイドレール104を配置することでルーフサイドレール101から下方及び車幅方向外方に突出することなくアッパガイドレール104が取り付けられる。
【0013】
しかし、サイドレールアウタパネル103の膨出部103aの下方に車体前後方向に延在する凹部103bを形成してアッパガイドレール104を取り付けることから、サイドレールインナパネル102とサイドレールアウタパネル103によって閉断面形状に構成されルーフサイドレール101が車幅方向及び上下方向に増大する。この結果、ルーフサイドレール101が車室内側に突出して車室内上部空間、即ち乗員の頭上空間スペースの確保が困難になり、乗員の居住性が低下すると共に、乗降の際の頭上スペースが小さくなり乗降性に影響を及ぼす要因となる。また、ルーフサイドレール101の上下方向の増大に伴ってルーフサイドレール101及びルーフパネル106の高さが増大して車体外観及び車高等の車体形状の設計自由度が制限される要因となる。
【0014】
特許文献2によると、ルーフサイドレール111を構成するサイドレールアウタパネル113の車幅方向外側にアッパガイドレール114を取り付けることから、ルーフサイドレール111及びアッパガイドレール114による占有スペースが大きくなり、ルーフサイドレール111が車室内側に突出して乗員の頭上空間スペースの確保が困難になり、乗員の居住性が低下すると共に、乗降性に影響を及ぼす要因となる。一方、車室内上部空間、即ち乗員の頭上空間スペースを確保すると共に乗降性の向上を図るためにルーフサイドレール111及びルーフパネル114を高くすると車体外観及び車高に影響を及ぼし車体形状の設計自由度が制限される要因となる。
【0015】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、車高の増加を抑制しつつ室内頭上スペース及び乗降性の向上が確保できるスライドドアの上部支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する請求項1に記載のスライドドアの上部支持構造の発明は、車体前後方向に延在してスライドドア開口部の上縁を形成するルーフサイドレールと該ルーフサイドレールに車幅方向外側縁部が接合されたルーフパネルを備えると共に、該ルーフパネル及びルーフサイドレールと離間して車体前後方向に延在するルーフレール本体を有するルーフレールを備え、上記スライドドア開口部を前後方向に移動するスライドドアによって開閉する自動車において、車体前後方向に延在して上記スライドドアの上部を移動可能に支持するアッパガイドレールを上記ルーフレール本体に配設したことを特徴とする。
【0017】
これによると、スライドドアの上部を移動可能に支持するアッパガイドレールが優れた強度を有して車体前後方向に延在するルーフレール本体に配設されて、ルーフサイドレールにアッパガイドレール等を配置する必要がなくなり、ルーフサイドレールの形状が簡素化されて、サイドレールの占有スペースが削減可能であり、ルーフサイドレールが車室内及び下方に膨出することがなくなり、乗員の頭上空間スペースが確保されて乗員の居住性が向上すると共に乗降性が向上する。また、ルーフサイドレールやルーフパネル等の高さの抑制が可能になり、車体外観形状等の車体形状の設計自由度の制限が緩和される。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスライドドアの上部支持構造において、上記ルーフサイドレールは、車室内側を構成するサイドレールインナパネルと外方を構成するサイドレールアウタパネルを接合して車体前後方向に延在する閉断面構造であって、上記ルーフパネルの車幅方向外側縁部は該サイドレールインナパネルとサイドレールアウタパネルとの接合部に接合すると共に、ルーフレール本体は扁平中空管状で車体前後方向に延在すると共に、該ルーフレール本体の下面に上記アッパガイドレールが前後方向に延在して配置され、上記スライドドアの内側上部から上記ルーフサイドレールとルーフレール本体との間に延在するガイドローラ支持アームに支持されたガイドローラが上記アッパガイドレールに前後方向に移動可能に嵌合することを特徴とする。
【0019】
請求項2は請求項1の具体的構成であって、請求項1に加え、ルーフレール本体の下面にアッパガイドレールを配置することで、アッパガイドレール、アッパガイドレールに移動可能に嵌合するガイドローラ及びガイドローラ支持アーム等がルーフレール本体によって、例えば降雪、降雨等の外部からの負荷から保護される。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスライドドアの上部支持構造において、上記ルーフレール本体は、前端及び後端がそれぞれ前部レッグ部及び後部レッグ部によって上記ルーフパネルの車幅方向外側縁部とサイドレールインナパネルとサイドレールアウタパネルとの接合部に結合支持されたこと特徴とする。
【0021】
これによると、ルーフレール本体が前部レッグ部及び後部レッグ部を介在して剛性が確保されたルーフパネルの車幅方向外側縁部とサイドレールインナパネルとサイドレールアウタパネルとの接合部に支持され、アッパガイドレールを強固に保持できる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライドドアの上部支持構造において、上記スライドドアは、スライドドア開口部を閉状態において該スライドドアの上部によってサイドレールとルーフレール本体との車幅方向外側から覆うことを特徴とする。
【0023】
これによると、閉状態においてスライドドアの上部によってルーフサイドレールとルーフレール本体との間が車体幅方向外側から覆われ、ルーフレール及びスライドドアによってアッパガイドレールが被覆されて、外部からの雨水や飛散する砂や土埃等から保護されると共に、外部に露出することなく外観性が向上する。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライドドアの上部支持構造において、上記ルーフレール本体とアッパガイドレールは一体形成されたことを特徴とする。
【0025】
これによると、アッパガイドレールをルーフレール本体に一体形成することで、部品点数の削減及び生産性の向上が得られ、製造コストの低減が期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、スライドドアの上部を移動可能に支持するアッパガイドレールを優れた強度を有して車体前後方向に延在するルーフレール本体に配設することで、ルーフサイドレールの形状が簡素化されて、サイドレールの占有スペースが削減可能であり、ルーフサイドレールが車室内及び下方に膨出することがなくなり、乗員の頭上空間スペースが確保されて乗員の居住性が向上すると共に乗降性が向上する。また、ルーフパネル等の高さの抑制が可能になり、車体外観形状等の車体形状の設計自由度の制限が緩和される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明によるスライドドアの上部支持構造の実施の形態図を参照して説明する。
【0029】
(第1実施の形態)
第1実施の形態を
図1乃至
図7を参照し説明する。なお、各図において矢印Fは車体前方方向、矢印INは車幅方向内方、矢印UPは上方を示す。
【0030】
図1はスライドドアの上部支持構造の概略を示す車体上部の斜視図、
図2はスライドドア閉状態における
図1のII−II線断面図、
図3はスライドドア開状態における
図1のIII−III線断面図であり、
図4はアッパガイドレール組立体の斜視図である。
【0031】
図1はスライドドア50を備えた車両の上部外観を斜視図で示す。
図1に示すように車体1の側部に車室下部に沿って図示しないサイドシルが車体前後方向沿って延在し、車室上部に沿って前後方向にルーフサイドレール10が延在し、サイドシルとサイドレール10は前方から順に上下方向に延在するフロントピラ2、センタピラ3、リヤピラ4等によって連結され、フロントピラ2とセンタピラ3との間及びセンタピラ3とリヤピラ4との間にドア開口部5及びスライドドア開口部6が形成される。左右のサイドシルはフロアパネルによって連結され、左右のルーフサイドレール10間にルーフパネル7が配置される。
【0032】
一方、荷物搭載用のルーフキャリヤ等を取付支持するための左右のルーフレール30が剛性の高いルーフパネル7と左右のルーフサイドレール10との接合部に強固に固定されて車体前後方向に延在する。また、ドア開口部5にフロントドア9が設けられ、フロントドア9の後方にスライドドア開口部6を開閉するスライドドア50が配置されており、スライドドア50は、上端前部、下端前部、後端中央部の3箇所で車体側部に沿って車体前後方向へ移動可能に支持されている。
【0033】
図2はスライドドア50の上部を支持する支持構造を示すスライドドア閉状態における
図1のII−II線断面図であり、
図3はスライドドア50の閉状態を示す
図1のIII−II線断面図である。
【0034】
この図に示すように、スライドドア開口部6の上縁に沿って車体前後方向に延在するルーフサイドレール10が配置される。ルーフサイドレール10は、ルーフサイドレール10の車室内側を構成するサイドレールインナパネル11と外側を構成するサイドレールアウタパネル15とで車体前後方向に延在する閉断面構造に構成される。
【0035】
サイドレールインナパネル11は、上方から下方に移行するに従って車幅方向外方に移行するように傾斜する内側面12及びこの内側面12の下端から車幅方向外方に折曲して延在する下面13を有する断面略L字状で車体前後方向に延在し、かつ内側面12の端縁に車幅方向内方に折曲する上側結合フランジ12aが形成され、下面13の端縁に下方に折曲する下側結合フランジ13aが形成される。
【0036】
サイドレールアウタパネル15は、サイドレールインナパネル11の内側面12と対向して上方から下方に移行するに従って車幅方向外方に移行するように傾斜する外側面16と、この外側面16の上端に形成された前後方向に連続する凹部17を介して車幅方向内方に折曲してサイドレールインナパネル11の下面13と対向すると共に端部が下方に折曲する上面18を有する断面略L字状で車体前後方向に延在し、かつ上面18の端縁に車幅方向内方に折曲する上側結合フランジ18aが形成され、外側面16の下縁に下側結合フランジ16aが形成される。
【0037】
これら、サイドレールインナパネル11の上側結合フランジ12aとサイドレールアウタパネル15の上側結合フランジ18aとが重合して溶接結合され、サイドレールインナパネル11の下側結合フランジ13aとサイドレールアウタパネル15の下側結合フランジ16aとが重合して溶接結合されて、これらサイドレールインパネル11とサイドレールアウタパネル15によって略矩形断面形状で車体前後に連続する閉断面構造のルーフサイドレール10が構成される。
【0038】
サイドレールインナパネル11の上側結合フランジ12aとサイドレールアウタパネル15の上側結合フランジ18aとの結合部の上面にルーフパネル7の車幅方向外側縁部7aが溶接によって接合され、この接合部の上部にルーフモール8が配設される。一方、サイドレールインナパネル11の下部結合フランジ13aとサイドレールアウタパネル15の下側結合フランジ16aとの結合部には中空断面形状状のウエザストリップ19が装着される。サイドレールアウタパネル15の凹部17に中空断面形状のウエザストリップ20が装着される。
【0039】
また、ルーフサイドレール10の下面13は、ルーフパネル7の下面に沿って延在するルーフヘッドライニング21の車幅方向外側端部21aが配設されており、ルーフヘッドライニング21は樹脂製で、基材22と表皮23とで構成される。
【0040】
ルーフレール30は、中空断面形状でルーフパネル7から離間して車体前後方向に延在する中空棒状のルーフレール本体31と、ルーフレール本体31の前端部、中間部及び後端部に結合されてルーフパネル7との固定部となる前部レッグ部32、センタレッグ部33及び後部レッグ部34を有する。
【0041】
このルーフレール本体31は、
図2及び
図3に断面形状を示すように、平坦な下面31A、車体幅方向内方から外方に移行するに従って緩やかに下降するように湾曲する上面31B、及び上面31Bの両側に形成された凸状の係止部31C、31Dを有する扁平中空管状に形成される。下面31Aにはアッパガイドレール組立体40を取り付けるためのネジ孔31aが複数形成される。なお、凸状の係止部31C及び31Dはルーフレール30に搭載するルーフキャリヤ80等の係止部となる。また、ルーフレール本体31を扁平中空管状にすることで軽量化及び剛性を確保しつつ上下方向、即ち高さを抑制できる。
【0042】
前部レッグ部32はルーフパネル7の前端近傍においてルーフパネル7の外側端部7aとサイドレール10の上部結合フランジ12a、18aとの接合部に固定ボルト等によって固定され、ルーフパネル7から後方に傾斜して立ち上がった後にルーフパネル7と略平行になるように湾曲し、その先端がルーフレール本体31の前端部に結合される。センタレッグ部33はドア開口部6の前端、即ちセンタピラ3の上端近傍におけるルーフパネル7の外側端部7aとルーフサイドレール10の上部結合フランジ12a、18aとの接合部に固定ボルト等によって固定されてルーフパネル7上に立設し、上端がルーフレール本体31の下面に結合される。後部レッグ部34はスライドドア開口部6の後端、即ちリヤピラ4の上端近傍におけるルーフパネル7の外側端部7aとルーフサイドレール10の上部結合フランジ12a、18aとの接合部に固定ボルト等によって固定され、ルーフパネル7から前方に傾斜して立ち上がった後にルーフパネル7と略平行になるように湾曲し、その先端がルーフレール本体31の後端部に結合される。
【0043】
このように構成されるルーフレール本体31は、強度、軽量化及び量産性の観点から例えばアルミニウム等金属の押出成形材等によって構成される。また、前部レッグ部32、センタレッグ部33、後部レッグ部34は、ダイキャスト成形による金属製、或いは金属の補強材が埋設された樹脂材を主体として構成される。
【0044】
センタレッグ部33と後部レッグ部34との間においてサイドレール本体31の下面31Aに車体前後方向に延在する取付ブラケット41及びアッパガイドレール43及びアッパガイドレール44によって構成されたアッパガイドレール組立体40が取り付けられる。
【0045】
図4にアッパガイドレール組立体40の斜視図を示す。アッパガイドレール組立体40の取付ブラケット41は、ルーフレール本体31の下面31Aより若干小幅でセンタレッグ部33と後部レッグ部34との離間距離より若干短い長尺矩形板状の取付基部41A及び取付基部41Aの両側から下方に折曲する側部41Bを有する下方が開放された断面コ字状で車体前後方向に延在し、取付基部41Aにルーフレール本体31の下面31Aにボルト42等で結合するための複数の取付穴41aが形成される。一方、アッパガイドレール43は車体前後方向に延在して取付ブラケット41の取付基部41Aに結合するレール基部43A及びレール基部43Aの両側から下方に折曲する側部43Bを有する下方が開放された断面コ字状で車体前後方向に延在する。また、アッパガイドレール44はアッパガイドレール43に隣接して配置された車体前後方向に延在して取付ブラケット41の取付基部41Aに結合するアッパガイドレール基部44A及びアッパガイドレール基部44Aの両側から下方に折曲する側部44Bを有する下方が開放された断面コ字状で車体前後方向に延在する。
【0046】
このように取付ブラケット41にアッパガイドレール43及びアッパガイドレール44が取り付けられ車体前後方向に延在するアッパガイドレール組立体40が、センタレッグ部33と後部レッグ部34との間においてサイドレール本体31の下面31Aに車体前後方向に延在して取付ブラケット41の取付基部41Aが接合され、取付基部41Aの取付穴41aに挿入して下面31Aのネジ孔31aに螺合するボルト42等によって取り付けられる。これにより、センタレッグ部33と後部レッグ部34との間においてサイドレール本体31の下面31Aに下方が開放する断面コ字形で車体前後方向に延在するアッパガイドレール43及び44が配設される。
【0047】
一方、スライドドア50は、車室内側を構成するドア本体及び窓開口部60を形成する窓枠部を有し、ドア本体の下部に配設されたガイドローラがサイドシルに配置されたロアガイドレールに嵌合して前後移動可能に支持され、ドア本体の後端中間高さ位置に配置されたガイドローラがドア開口部6の後端中間高さ位置から後方に車体側面に沿って配置されたセンタガイドレールに嵌合して前後移動可能に支持される。
【0048】
窓開口部60の上縁に沿って延在するスライドドア50の窓枠部の上端50aが
図2及び
図3に示すようにルーフサイドレール10に沿って延在してドアインナパネル51とドアアウタパネル55によって車体前後方向に延在する閉断面形状に構成される。
【0049】
ドアインナパネル51は、サイドレールアウタパネル15の外側面16と対向する内側面52及びこの内側面52の下端から車幅方向外方に折曲する下面53を有する断面略L字状で車体前後方向に延在し、かつ内側面52の端縁に車幅方向内方に折曲する上側フランジ52aが形成され、下面53の端縁に下方に折曲する下側フランジ53aが形成される。また、内側面52の上部前端近傍にガイドローラ支持アーム取付部54が形成される。
【0050】
ドアアウタパネル55は、内側面52と対向しかつ緩やかに湾曲する断面略円弧状の外側面56を有し、外側面56の上縁56aがドアインナパネル51の上側フランジ52にクリンチングして結合され、下縁56bが断面略コ字状で車体前後方向に延在してドアガラス57を保持するガラスラン58を介在してドアインナパネル51の下側フランジ53aに結合される。
【0051】
ドアインナパネル51の内側面52の上部前端近傍に形成されるガイドローラ支持アーム取付部54に、ルーフサイドレール10及びルーフパネル7とサイドレール本体31との間に移動可能に配置されて先端部にアッパガイドレール43及びアッパガイドレール44にそれぞれ前後方向に移動可能に嵌合するガイドローラ46及びガイドローラ47を支持するガイドローラ支持アーム45の基端が、図示を省略したが周知のヒンジを介してボルト48等によって設けられる。従って、スライドドア50を車体後方に開ける際に、スライドドア50はルーフレール30に設けられたアッパガイドレール43、44内を移動するガイドローラ46、47及びガイドローラ支持アーム45等によって
図3に示すように車幅方向外方に移動する。
【0052】
このようにスライドドア50の上部を移動可能に支持するアッパガイドレール43、44を優れた強度を有して車体前後方向に延在するルーフレール30のルーフレール本体31に配設することによって、ルーフサイドレール10にアッパガイドレール等を配置する必要がなく、ルーフサイドレー10の形状の簡素化が可能になると共に、ルーフサイドレール10にスライドドア60の開閉移動に伴う荷重が極めて抑制されることからルーフサイドレール10の要求剛性が少なくなること相俟ってルーフサイドレール10の占有スペースの削減が可能になり、ルーフサイドレール10が車室内及び下方に膨出することなく、乗員の頭上空間スペースが確保されて乗員の居住性が向上すると共に乗降性が向上する。また、ルーフパネル7等の高さの抑制が可能になり、車体外観形状等の車体形状の設計自由度の制限が緩和される。更に、ルーフサイドレール10の占有スペースの削減に伴ってサイドエアバッグ袋体を配設する場合にもルーフサイドレール10に影響されることなく、適切な状態にサイドエアバッグを配置することもできる。
【0053】
一方、スライドドア50は、閉状態において
図1及び
図2に示すように、スライドドア50の上端50aがルーフ7に設けられたルーフレール30のセンタレッグ部33と後部レッグ部34との間に亘ってサイドレール本体31に接近して、スライドドア50の上部によってルーフサイドレール10及びルーフパネル7とルーフレール本体31との間を車体幅方向外側から覆うと共にドアインナパネル51の内側面52がルーフサイドレール10に配置されたウエザストリップ19及び20に圧接してスライドドア開口部6に嵌合状態に維持される。
【0054】
これにより、ルーフレール30及びスライドドア50によって取付ブラケット41及びアッパガイドレール43、44等のアッパガイドレール組立体40や、ガイドローラ46、47、ガイドローラ支持アーム45等のスライドドア50の上部支持部が被覆されて、外部からの雨水や飛散する砂や土埃等から保護されると共に、外部に露出することなく外観性が向上する。
【0055】
また、ルーフレール本体31の下面31Aにアッパガイドレール43、44を配置することで、アッパガイドレール43、44、アッパガイドレール43、44に移動可能に嵌合するガイドローラ46、47及びガイドローラ支持アーム45等がルーフレール本体31によって、例えば降雪、降雨等の外部からの負荷から保護される。
【0056】
なお、上記実施の形態に限定されることなく、変更することができる。例えば、
図5に
図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明は、省略するが、ルーフパネル7に設けられたルーフレール30のセンタレッグ部33と後部レッグ部34との間を車体幅方向内方から樹脂製のカバー59によって覆うことによって、更に、取付ブラケット41及ぶアッパガイドレール43、44等のアッパガイドレール組立体40や、ガイドローラ46、47、ガイドローラ支持アーム45等が外部からの雨水や飛散する砂や土埃等から保護されると共に、車幅方向内側に露出することなく更に外観性を向上させることができる。このカバー59は、例えば
図6に示すように、ルーフレール本体31の下面31Aと取付ブラケット41の41Aとの間に挟持されると共にボルト42が挿通するボルト装通孔59aが穿孔されたカバー基部59A及びカバー基部59Aの側縁に沿って下方に折曲するカバー部59Bを有する簡単な構成でできる。また、カバー59はルーフパネル7等の車体色と同様の色彩にすることもできる。
【0057】
また、
図7に示すように、取付ブラケット41の両側にルーフレール本体31の下面31Aから下方に突出する突出部31Aa、31Abを形成して取付ブラケット41の取付位置決めを容易にすると共に、突出部31Aa、31Abによってアッパガイドレール組立体40が雨水や飛散する砂や土埃等から保護されると共に、車幅方向内側及び外側の露出を少なくして外観性を向上させることができる。
【0058】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態を
図8を参照し説明する。
図8は上記第1実施の形態における
図2に対応するスライドドアの上部支持構造の概略を示す断面図である。
図8に
図2に対応する部位に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略し、異なる部位を主に説明する。
【0059】
本実施の形態は第1実施の形態に対し、ルーフレール本体とアッパレールガイドを一体に形成することを特徴とする。
【0060】
本実施の形態におけるルーフレール70は、中空断面形状でルーフパネル7から離間して車体前後方向に延在する棒状のルーフレール本体71と、第1実施の形態のルーフレール30と同様のルーフレール本体71の前端部、中間部及び後端部に結合されてルーフパネル7との固定部となる前部レッグ部32、センタレッグ部33及び後部レッグ部34を有する。
【0061】
このルーフレール本体71は、
図8に断面形状を示すように、平坦な下面71A、車体幅方向内方から外方に移行するに従って緩やかに下降するように湾曲する上面71B、及び上面71Bの両側に形成された凸状の係止部71C、71Dを有する扁平中空管状に形成される。センタレッグ部33と後部レッグ部34との間における下面71Aに設定した前後方向に延在する基部73A及び基部73Aの両側に下方に突出して対向する側部73Bによって下面71Aに断面コ字状で車体前後方向に延在するアッパガイドレール73を形成する。同様にアッパガイドレール73の車体幅方向外側において下面71Aに設定した前後方向に延在する基部74A及び基部74Aの両側に下方に突出して対向する側部74Bによって下面71Aに断面コ字状で車体前後方向に延在するアッパガイドレール74を形成する。
【0062】
このように構成されるアッパガイドレール73及び74が一体形成されるルーフレール本体71は、強度、軽量化及び量産性の観点から例えばアルミニウム等金属の押出成形材等によって構成される。
【0063】
このルーフレール本体71に一体形成されたアッパガイドレール73及びアッパガイドレール74に、それぞれ前後方向に移動可能にスライドドア50上部前端近傍に形成されるガイドローラ支持アーム取付部54に支持されたガイドローラ46及びガイドローラ47を前後方向に移動可能に嵌合する。これにより、スライドドア50を車体後方に開ける際に、スライドドア50はルーフレール本体71に一体形成されたアッパガイドレール73、74内を移動するガイドローラ46、47及びガイドローラ支持アーム45等によって車幅方向外方に移動する。
【0064】
このようにスライドドア50の上部を移動可能に支持するアッパガイドレール73、74をルーフレール本体71に一体形成することで、第1実施の形態に加え、部品点数の削減及び生産性の向上が得られ、製造コストの低減が期待できる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、一対のアッパガイドレールを備える場合を例に説明したが、単一のアッパガイドレールを備える場合にも適用することができる。また、第1実施の形態では取付ブラケットを介在してアッパガイドレールをルーフレール本体に取り付けたが、取付ブラケットを介在することなく直接的にアッパガイドレールをルーフレール本体に取り付けることもできる。
【0066】
また、上記実施の形態ではルーフレール30が、ルーフレール本体31、前部レッグ部32、センタレッグ部33及び後部レッグ部34によって構成されるが、これらルーフレール本体31、前部レッグ部32、センタレッグ部33及び後部レッグ部34を一体形成することもできる。