(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
あらかじめ決められた期間中に、前記レベル比Kが前記所定の値とならなかった場合に、その旨を通知することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のフェージングシミュレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、フェージング信号のレベルを所望の範囲内に収めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この請求項1に記載の発明は、第1のレベルP
INで入力される移動体通信端末の試験用の複数(m)のベースバンド信号を受けて、前記ベースバンド信号にフェージング処理を施す演算コア部(231X
1〜231X
m)を複数含み、前記複数の演算コア部の出力を合成して移動体通信の伝搬路ごとにデジタルのフェージング信号として出力する演算コア部群と、あらかじめ決められたゲインG
Cに基づき前記フェージング信号のレベルを変更する出力レベル調整部(235)と、を備えたフェージングシミュレータであって、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、レベルが変更された前記フェージング信号のレベルを第2のレベルP
OUTとして測定する出力レベル測定部(236)と、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、前記第1のレベルP
INと前記第2のレベルP
OUTとのレベル比Kを算出し、該レベル比Kが所定の値となるように、前記ゲインG
Cを更新する出力レベル調整制御部(24)と、を備えたことを特徴とするフェージングシミュレータである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフェージングシミュレータであって、
入力される前記ベースバンド信号間の相関特性の有無を検出する相関特性検出部(222)を備え
、前記出力レベル調整制御部は、入力される各伝搬路におけるフェージング処理の条件と前記相関検出部が検出した相関特性の有無とを基に、前記ベースバンド信号間に相関特性があり、かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合であるかどうかを、判定することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のフェージングシミュレータであって、前記ベースバンド信号のレベルを測定し、前記第1のレベルP
INを求める入力レベル測定部(221)を備え、前記出力レベル調整制御部は、前記入力レベル測定部の測定結果(P
IN)に基づき前記レベル比Kを算出することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフェージングシミュレータであって、前記複数(m)のベースバンド信号に対して、前記演算コア部群、前記
出力レベル調整部、及び前記出力レベル測定部の組を複数(n)備え、複数の異なる前記フェージング信号を出力することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフェージングシミュレータであって、表示部(28)と、前記表示部に前記レベル比Kを表示させる表示制御部(26)と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のフェージングシミュレータであって、あらかじめ決められた期間中に、前記レベル比Kが前記所定の値とならなかった場合に、その旨を通知することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、出力レベルとして第1のレベルP
INを有する試験用の複数(m)のデジタルのベースバンド信号を生成するベースバンド信号生成部(11)と、前記複数のベースバンド信号を受けて、MIMOを構成する伝搬路に応じて複数(n)のフェージング信号を出力するフェージングシミュレータ(20)と、前記フェージングシミュレータから出力された前記各フェージング信号をアナログ信号に変換し、所定の通信方式に従い周波数変換して試験対象である移動体通信端末に出力する送信部(12)と、を備えた移動体通信端末試験システムにおいて、前記フェージングシミュレータは、前記複数のベースバンド信号を受けて、前記ベースバンド信号にフェージング処理を施す演算コア部(231X
1〜231X
m)を複数含み、前記複数の演算コア部の出力を合成して前記伝搬路ごとにデジタルのフェージング信号として出力する演算コア部群と、あらかじめ決められたゲインG
Cに基づき前記フェージング信号のレベルを変更する出力レベル調整部(235)と、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、レベルが変更された前記フェージング信号のレベルを第2のレベルP
OUTとして測定する出力レベル測定部(236)と、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、前記第1のレベルP
INと前記第2のレベルP
OUTとの比をレベル比Kとして算出し、該レベル比Kが所定の値となるように、前記ゲインG
Cを更新する出力レベル調整制御部(24)と、を備えたことを特徴とする移動体通信端末試験システムである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体通信端末試験システムであって、前記フェージングシミュレータは、前記複数(m)のベースバンド信号に対して、前記演算コア部群、前記
出力レベル調整部、及び前記出力レベル測定部の組を複数(n)備え、複数の異なる前記フェージング信号を出力することを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、第1のレベルP
INで入力される移動体通信端末の試験用の複数のベースバンド信号を受けて、移動体通信の伝搬路ごとにフェージング信号を出力するフェージングシミュレータ(20)を用いたフェージング処理方法であって、前記複数のベースバンド信号間の
相関特性、かつ前記伝搬路間の相関特性を検出する相関特性検出ステップと、前記複数のベースバンド信号にフェージング処理を施し、その出力を合成してフェージング信号として出力するフェージング処理ステップと、あらかじめ決められたゲインG
Cに基づき前記フェージング信号のレベルを変更するレベル調整ステップと、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、レベルが変更された該フェージング信号のレベルを第2のレベルP
OUTとして測定する第2の測定ステップと、前記ベースバンド信号間
に相関特性がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、前記第1のレベルP
INと前記第2のレベルP
OUTとのレベル比Kを算出し、該レベル比Kが所定の値となるように、前記ゲインG
Cを更新するゲイン調整ステップと、を備えたことを特徴とするフェージング処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るフェージングシミュレータは、ベースバンド信号間に相関関係がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、ベースバンド信号のレベルとフェージング信号のレベルとに基づきレベル比を算出し、このレベル比が所定の値となるように、フェージング信号のレベルを調整する。これにより、本発明に係るフェージングシミュレータは、ベースバンド信号間に相関関係がある場合、
かつ前記伝搬路間に相関特性がある場合に、フェージング信号のレベルを所定の範囲内に収めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について
図1を参照しながら説明する。
図1に示す移動体通信端末試験システム1には、本実施形態に係るフェージングシミュレータが適用されている。
【0014】
移動体通信端末試験システム1は、一般的には、所定の通信方式に基づきベースバンド信号が周波数変換された搬送波を、疑似基地局装置の送信部から被試験端末に送信して被試験端末の受信特性を試験する。また、移動体通信端末試験システム1は、被試験端末から送信された信号を、疑似基地局装置の受信部で受信して被試験端末の送信特性を試験する。フェージングシミュレータは、疑似基地局装置の送信側の構成に接続され、試験用に生成された信号に対してフェージング処理を施す。以降では、被試験端末に搬送波を送信するための構成に着目して説明する。
【0015】
移動体通信端末試験システム1は、基地局模擬装置10と、それに外付けされるフェージングシミュレータ20とで構成されている。基地局模擬装置10は、被試験端末2と無線または有線による通信が可能に構成されている。なお、基地局模擬装置10とフェージングシミュレータ20は、同一筐体内に設けられていてもよい。
【0016】
基地局模擬装置10は、ベースバンド信号生成部11と、送信部12とを含んで構成されている。フェージングシミュレータ20は、ベースバンド信号生成部11と送信部12との間に接続される。フェージングシミュレータ20は、フェージング演算部21と、設定制御部25と、表示制御部26と、操作部27と、表示部28とを含んで構成される。
【0017】
まず、フェージングシミュレータ20の動作の概要について説明する。フェージングシミュレータ20は、あらかじめ決められた数「m」のベースバンド信号をベースバンド信号生成部11から受け、これらのベースバンド信号にフェージング処理を施し、MIMOを構成する伝搬路に応じてあらかじめ決められた数「n」のフェージング信号を送信部12に出力する。以降では、フェージングシミュレータ20は、ベースバンド信号X
1〜X
mを受け、フェージング信号Y
1〜Y
nを出力するものとして説明する。
【0018】
本実施形態に係るフェージングシミュレータ20は、出力されるフェージング信号(Y
1〜Y
n)ごとに出力レベルの調整を可能としており、そのためのパラメタとしてゲインG
O1〜G
Onを設けている。ここで、ゲインG
O1はフェージング信号Y
1に対応しており、ゲインG
Onはフェージング信号Y
1nに対応している。操作者は、操作部27を介してゲインG
O1〜G
Onを設定することで各フェージング信号の出力レベルを指定する。フェージング信号Y
1を例とすると、フェージングシミュレータ20は、フェージング信号Y
1のレベルが、ゲインG
O1により調整されたベースバンド信号X
1のレベルと等しくなるようにフェージング演算部21を動作させる。このフェージング演算部21の動作については後述する。
【0019】
また、フェージング信号Y
1〜Y
nは、複数のベースバンド信号X
1〜X
mごとにフェージング処理が施された複数の信号が重畳されたものであるため、ベースバンド信号X
1〜X
mよりも出力レベルが高くなる場合がある。そのため、フェージングシミュレータ20には、フェージング信号Y
1〜Y
nのレベルを調整するためのゲインG
Cが設けられている。フェージングシミュレータ20は、ゲインG
Cによりフェージング信号Y
1〜Y
nを減衰させて出力する。ゲインG
Cの詳細については後述する。また、以降では、ゲインG
Cによりレベルが調整される前のフェージング信号を「フェージング信号Z
1〜Z
n」と呼び、「フェージング信号Y
1〜Y
n」は、ゲインG
Cによりレベルが調整された後のフェージング信号を指すものとする。
【0020】
また、フェージングシミュレータ20には、フェージング信号Y
1〜Y
nのレベルの調整方法(モード)として「固定ゲイン調整」及び「自動ゲイン調整」の2つのモードが設けられている。「固定ゲイン調整」は、ゲインG
Cとしてあらかじめ決められた固定値を使用するモードである。また、「自動ゲイン調整」は、フェージング信号Y
1〜Y
nの出力に基づき、フェージングシミュレータ20がゲインG
Cを調整するモードである。レベルの調整方法の特定に係る具体的な動作については後述する。
【0021】
次に、各構成の動作について説明する。ベースバンド信号生成部11は、同じ出力レベルを示す試験用のベースバンド信号X
1〜X
mを生成する。ベースバンド信号生成部11は、生成された各ベースバンド信号X
1〜X
mを、フェージング演算部21に出力する。なお、基地局模擬装置10にフェージングシミュレータ20を接続しない場合(言い換えると、上記したように一般的な疑似基地局として動作する場合)、ベースバンド信号生成部11は、ベースバンド信号X
1〜X
mを送信部12に出力する。
【0022】
設定制御部25は、操作者により指定されたフェージング処理の条件(以降では、「フェージング条件」と呼ぶ場合がある)を操作部27から受ける。このフェージング条件には、「レベルの調整方法」、「マルチパスの有無」、「遅延」、「減衰」、及び「雑音」の条件を示すパラメタ、「ドップラ周波数」を示すパラメタ、及び前述したゲインG
O1〜G
Onが含まれる。また、設定制御部25は、これらのパラメタに基づいて「伝搬路間の相関の有無」を判定して、新たなパラメタとする。この伝搬路間の相関の有無は、例えば、フェージング処理における雑音の印加のしかたにより決定される。言い換えると、設定制御部25は、全ての伝搬路がレイリーフェージングであり、かつ相関係数が0の場合に、伝搬路間の相関が無いと判断する。また、設定制御部25は、少なくとも1つの伝搬路がレイリーフェージングではない場合、または、相関係数が0ではない場合に、伝搬路間の相関があると判断する。設定制御部25は、これらのパラメタをフェージング演算部21に出力する。
【0023】
ここで
図2を参照する。
図2は、フェージング演算部21のブロック図を示している。フェージング演算部21は、入力レベル測定部221と、相関特性検出部222と、複数のフェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nと、出力レベル調整制御部24とを含んで構成される。フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nは、フェージング信号ごとに設けられている。以降では、フェージング信号生成部23Y
1は、フェージング信号Y
1に対応し、フェージング信号生成部23Y
nは、フェージング信号Y
nに対応して設けられているものとして説明する。
【0024】
ベースバンド信号生成部11から出力されたベースバンド信号X
1〜X
mは、入力レベル測定部221と、相関特性検出部222と、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nとに入力される。
【0025】
入力レベル測定部221は、ベースバンド信号生成部11から同一レベルのベースバンド信号X
1〜X
mを受けて、ベースバンド信号X
1〜X
mのレベルを入力レベルP
INとして測定する。このとき、入力レベル測定部221は、ベースバンド信号X
1〜X
mのうちいずれかのレベル、例えばベースバンド信号X
mのレベルを測定し、これを入力レベルP
INとする。
【0026】
なお、測定期間Tは、以下に示す[a]〜[d]のいずれかにより決定される。
[a]フェージングシミュレータ20のサンプリング信号の周期に基づく値。
[b]フェージングシミュレータ20に設定されたフェージング条件に基づく値。
[c]通信の条件に基づく値。
[d]あらかじめ実験的に測定することで経験的に決定された値。
【0027】
[a]の場合には、フェージングシミュレータ20のサンプリング信号の周期の整数倍(例えば10000〜100000倍)の期間を測定期間とする。また、[b]の場合には、例えば、フェージング条件として設定されたドップラ周波数の逆数の整数倍(例えば10倍)の期間を測定期間とする。また、[c]の場合には、例えば、フレーム長やスロット長に相当する期間の整数倍(例えば10倍)を測定期間とする。また、[a]〜[d]のいずれかの期間のみを特定して測定期間としてもよいし、[a]〜[d]それぞれの期間を特定し、その中から最も長い期間を測定期間としてもよい。
【0028】
また、入力レベルP
INは、X
m(t)X
m*(t)をあらかじめ決められた測定期間Tだけ積算する関数としても表される。ここで、X
m(t)は、時間tにおけるベースバンド信号X
mのレベルを示している。また、X
m*(t)は、X
m(t)の共役複素数を示している。
【0029】
入力レベル測定部221は、測定された入力レベルP
INを出力レベル調整制御部24に出力する。出力レベル調整制御部24については後述する。また、入力レベル測定部221は、入力レベルP
INを表示制御部26に出力する。表示制御部26については後述する。
【0030】
相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
1〜X
m間の相関特性を検出する。以下に、相関特性検出部222による相関特性の具体的な検出方法について説明する。相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
iとベースバンド信号X
jとの間の相関特性R
ijを、X
i(t)X
j*(t)をあらかじめ決められた測定期間Tだけ積算することで算出する(X
1≦X
i,X
j≦X
m,X
i≠X
j)。なお、この測定期間Tは、入力レベルP
INの測定期間Tと同様である。
【0031】
相関特性検出部222は、算出された相関特性R
ijが、あらかじめ決められた値未満の場合(理想的には、R
ij=0の場合)に、ベースバンド信号X
iとX
jとの間には相関が無いと判定する。また、相関特性検出部222は、相関特性R
ijが、あらかじめ決められた値以上の場合に、ベースバンド信号X
iとX
jとの間には相関があると判定する。
【0032】
なお、相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
iと信号X
jと間の相関特性として、相関特性R
ij及びR
jiのいずれかのみを算出して相関の有無を判定する。このとき、X
i(t)X
j*(t)とX
j(t)X
i*(t)とは複素共役の関係にある。
【0033】
このようにして、相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
1〜X
mの全ての組合せについて相関の有無を判定する。全ての組合せについて相関が無いと判定された場合、相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関が無いことを出力レベル調整制御部24に通知する。また、少なくとも1つの組合せについて相関があると判定された場合、相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関があることを出力レベル調整制御部24に通知する。また、相関特性検出部222は、ベースバンド信号X
1〜X
m間における相関の有無を表示制御部26に出力する。
【0034】
次に、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの構成について、フェージング信号生成部23Y
1を例に説明する。フェージング信号生成部23Y
1は、演算コア部231X
1〜231X
mと、加算器234と、出力レベル調整部235と、出力レベル測定部236とを含んで構成される。なお、フェージング信号生成部23Y
2〜23Y
nについても、フェージング信号生成部23Y
1と同様の構成を有している。
【0035】
演算コア部231X
1〜231X
mは、入力されるベースバンド信号X
1〜X
mに対応付けられて設けられている。フェージング信号生成部23Y
1に入力されたベースバンド信号X
1〜X
mは、それぞれ対応する演算コア部に入力される。言い換えると、ベースバンド信号X
1は演算コア部231X
1に入力され、ベースバンド信号X
mは演算コア部231X
mに入力される。
【0036】
演算コア部231X
1〜231X
mの詳細な構成について、
図3を参照しながら、演算コア部231X
1を例に具体的に説明する。
図3は、演算コア部231X
1の構成を示したブロック図である。なお、演算コア部231X
2〜231X
mについても演算コア部231X
1と同様の構成を有している。
【0037】
演算コア部231X
1は、複数のマルチパス演算コア部232X
11〜232X
1kと、加算器233X
1とを含んで構成されている。
【0038】
マルチパス演算コア部は、フェージングを模擬するためのマルチパスを構成する経路ごとに設けられている。
図3は、経路1〜経路kによるマルチパスを想定した構成を示しており、マルチパス演算コア部232X
11は経路1に対応し、マルチパス演算コア部232X
1kは経路kに対応している。以下、マルチパス演算コア部232X
11〜232X
1kの構成について、マルチパス演算コア部232X
11を例に説明する。
【0039】
ベースバンド信号生成部11から演算コア部231X
1に出力されたベースバンド信号X
1は、マルチパス演算コア部232X
11〜232X
1kそれぞれに入力される。つまり、マルチパス演算コア部232X
11には、ベースバンド信号X
1が入力される。また、マルチパス演算コア部232X
11は、経路1に対応したフェージング条件(例えば、遅延、減衰、雑音等の条件)を示す情報を設定制御部25から受ける。また、マルチパス演算コア部232X
11は、フェージング信号Y
1に対応して設定されたレベルのゲインG
O1を受ける。
【0040】
本実施形態に係るフェージング演算部21は、フェージング信号Y
1を例とすると、フェージング信号Y
1のレベルがG
O1P
INとなるようにマルチパス演算コア部232X
11〜232X
1k及び出力レベル調整部235を動作させる。なお、P
INは、前述したベースバンド信号X
1〜X
mの入力レベルP
INを示している。また、この制御に係るマルチパス演算コア部232X
11〜232X
1k及び出力レベル調整部235の動作については後述する。
【0041】
マルチパス演算コア部232X
11は、入力されたベースバンド信号X1に対して、経路1に対応したフェージング条件に基づきフェージング処理を施してデジタルのフェージング信号X
11’を生成する。フェージング処理の一例としては、ベースバンド信号X
1に対する遅延処理や減衰処理が含まれる。また、フェージングの条件に応じて、信号の散乱を模擬するために、ベースバンド信号X
1にノイズを付加してもよい。マルチパス演算コア部232X
11は、生成されたフェージング信号X
11’を加算器233X
1に出力する。同様に、マルチパス演算コア部232X
12〜232X
1kは、フェージング信号X
12’〜X
1k’を生成し、生成されたフェージング信号X
12’〜X
1k’を加算器233X
1に出力する。
【0042】
加算器233X
1は、マルチパス演算コア部232X
11〜232X
1kからフェージング信号X
11’〜X
1k’を受ける。加算器233X
1は、フェージング信号X
11’〜X
1k’を加算してフェージング信号X
1’を生成する。加算器233X
1は、生成されたフェージング信号X
1’を加算器234(
図2参照)に出力する。
【0043】
上記のようにして、演算コア部231X
1〜231X
mで生成されたフェージング信号X
1’〜X
m’が加算器234に出力される。加算器234は、フェージング信号X
1’〜X
m’を加算してフェージング信号Z
1を生成する。加算器234は、生成されたフェージング信号Z
1を出力レベル調整部235に出力する。なお、演算コア部231X
1〜231X
m、及び加算器234が「演算コア部群」に相当する。
【0044】
出力レベル調整部235は、出力レベル調整制御部24からゲインG
Cを受ける。ゲインG
Cは出力レベル調整制御部24により、フェージング信号(Y
1〜Y
n)ごとに算出される。出力レベル調整制御部24については後述する。なお以降では、フェージング信号Y
1に対応するゲインG
Cを「ゲインG
C1」と記載する場合がある。同様に、フェージング信号Y
nに対応するゲインG
Cの場合は「ゲインG
Cn」と記載する場合がある。また、説明上フェージング信号(Y
1〜Y
n)との対応を特に明記する必要が無い場合には、単に「ゲインG
C」と記載する。
【0045】
また、出力レベル調整部235は、加算器234からフェージング信号Z
1を受ける。出力レベル調整部235は、ゲインG
C1を基にフェージング信号Z
1のレベルを調整する(即ち、減衰させる)。なお、ゲインG
C1を基にレベルが調整されたフェージング信号Z
1が、フェージング信号Y
1に相当する。
【0046】
また、出力レベル調整部235は、出力レベル調整制御部24から新たなゲインG
C1を受ける。この場合には、出力レベル調整部235は、フェージング信号Z
1のレベルの調整に用いていたゲインG
C1を、新たなゲインG
C1に更新する。その後、出力レベル調整部235は、新たなゲインG
Cに基づきフェージング信号Z
1のレベルを調整する。
【0047】
出力レベル調整部235は、フェージング信号Y
1を出力レベル測定部236及び送信部12(
図1参照)に出力する。
【0048】
出力レベル測定部236は、出力レベル調整部235からフェージング信号Y
1を受けて、フェージング信号Y
1のレベルを出力レベルP
OUTとして測定する。なお、出力レベルP
OUTの測定期間は、入力レベルP
INの測定期間Tと同様である。
【0049】
また、出力レベルP
OUTは、Y
1(t)Y
1*(t)をあらかじめ決められた測定期間Tだけ積算する関数としても表される。ここで、Y
1(t)は、時間tにおけるフェージング信号Y
1のレベルを示している。また、Y
1*(t)は、Y
1(t)の共役複素数を示している。
【0050】
出力レベル測定部236は、測定された出力レベルP
OUTを出力レベル調整制御部24に出力する。また、出力レベル測定部236は、出力レベルP
OUTを表示制御部26に出力する。なお、出力レベルP
OUTの測定及び出力は、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの各出力レベル測定部236が個々に行う。つまり、フェージング信号(Y
1〜Y
n)ごとに出力レベルP
OUTが出力レベル調整制御部24及び表示制御部26に出力される。以降では、フェージング信号Y
1に対応する出力レベルP
OUTを「出力レベルP
OUT1」と記載する場合がある。同様に、フェージング信号Y
nに対応する出力レベルP
OUTの場合は「出力レベルP
OUTn」と記載する場合がある。また、説明上フェージング信号Y
1〜Y
nとの対応を特に明記する必要が無い場合には、単に「出力レベルP
OUT」と記載する。
【0051】
出力レベル調整制御部24は、フェージングシミュレータ20が起動すると、まずフェージング信号のレベルの調整方法を「固定ゲイン調整」及び「自動ゲイン調整」のいずれかに特定する。その後、出力レベル調整制御部24は、特定されたレベルの調整方法に基づきゲインG
C1〜G
Cnを調整することで、フェージング信号Y
1〜Y
nのレベルを調整する。以降では、出力レベル調整制御部24の動作を「レベルの調整方法の特定」と「フェージング信号のレベル調整」とに分けて説明する。
【0052】
(レベルの調整方法の特定)
まず、「レベルの調整方法の特定」に係る出力レベル調整制御部24の動作について
図4を参照しながら説明する。
図4は、レベルの調整方法の特定に係る処理のフローチャートである。
【0053】
(ステップS11)
出力レベル調整制御部24は、設定制御部25からフェージング処理の条件を受ける。このフェージング処理の条件には、操作者により指定されたパラメタとして、レベルの調整方法、伝搬路間の相関の有無、マルチパスの有無、及びゲインG
O1〜G
Onが含まれている。この伝搬路間の相関の有無は、設定制御部25が設定されたフェージング処理の条件から判断している。
【0054】
(ステップS12)
まず、出力レベル調整制御部24は、操作者により指定されたレベルの調整方法を確認する。指定されたレベルの調整方法が「自動ゲイン調整」ではない場合には(ステップS12、N)、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法として「固定ゲイン調整」を設定して(ステップS19)、レベルの調整方法の特定に係る処理を終了する。
【0055】
(ステップS13)
指定されたレベルの調整方法が「自動ゲイン調整」の場合には(ステップS12、Y)、出力レベル調整制御部24は、伝搬路間の相関の有無の有無を確認する。伝搬路間に相関が無い場合には(ステップS13、N)、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法として「固定ゲイン調整」を設定して(ステップS19)、レベルの調整方法の特定に係る処理を終了する。
【0056】
(ステップS14)
伝搬路間に相関がある場合には(ステップS13、Y)、出力レベル調整制御部24は、マルチパスの有無を確認する。マルチパスが設定されていた場合(ステップS14、Y)、つまり、伝搬路ごとに複数の経路が存在する場合には、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法として「自動ゲイン調整」を設定して(ステップS18)レベルの調整方法の特定に係る処理を終了する。
なお、マルチパスが設定されている場合は、図2及び図3の回路に示されるように、1つのベースバンド信号について複数経路でフェージングを生じさせるので、つまり実効的にベースバンド信号間の相関特性が生じるので、ベースバンド信号間の相関特性を調べるまでもなく「自動ゲイン調整」を設定している。
【0057】
(ステップS15)
マルチパスが設定されていない場合には(ステップS14、N)、出力レベル調整制御部24は、ベースバンド信号X
1〜X
n間の相関特性を確認する。そのため、まず出力レベル調整制御部24は、所定のゲインを、ゲインG
C1〜G
Cnとしてフェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの各出力レベル調整部235に出力する。この所定のゲインは、相関特性検出部222がベースバンド信号X
1〜X
nの相関特性を検出可能な範囲で設定されればよく、実験等によりあらかじめ測定して決定しておく。
【0058】
出力レベル調整制御部24によりゲインG
C1〜G
Cnが設定されると、フェージングシミュレータ20は、ベースバンド信号生成部11からのベースバンド信号X
1〜X
nの受信を開始する。これにより、ベースバンド信号生成部11から出力されたベースバンド信号X
1〜X
mが、入力レベル測定部221と、相関特性検出部222と、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nとに入力される。
【0059】
(ステップS16)
ベースバンド信号X
1〜X
nの受信が開始されると、出力レベル調整制御部24は、相関特性検出部222からベースバンド信号X
1〜X
m間における相関の有無が通知される。
【0060】
(ステップS17)
ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関がある場合には(ステップS17、Y)、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法として「自動ゲイン調整」を設定する(ステップS18)。ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関が無い場合には(ステップS17、N)、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法として「固定ゲイン調整」を設定する(ステップS18)。レベルの調整方法の設定が完了すると、出力レベル調整制御部24は、レベルの調整方法の特定に係る処理を終了する。
【0061】
(フェージング信号のレベル調整)
次に、「フェージング信号のレベル調整」に係る出力レベル調整制御部24の動作について
図5を参照しながら説明する。
図5は、フェージング信号のレベル調整に係る処理のフローチャートである。
【0062】
(ステップS21)
まず、出力レベル調整制御部24は、ゲインG
C1〜G
Cnの初期値をフェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの各出力レベル調整部235に出力する。ゲインG
C1〜G
Cnの初期値は、上述の所定のゲインを用いるほか、「固定ゲイン調整」の設定ゲインを用いたり、フェージング条件に基づいて算出してもよい。
【0063】
(ステップS22)
ゲインG
C1〜G
Cnの初期値が設定されると、出力レベル調整制御部24は、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nにフェージング信号Y
1〜Y
nの生成を開始させる。
【0064】
(ステップS23)
次に、出力レベル調整制御部24は、特定されたレベルの調整方法が「自動ゲイン調整」か否かを確認する。「自動ゲイン調整」ではない場合には(ステップS23、N)、出力レベル調整制御部24は、フェージング信号のレベル調整に係る処理を終了する。これにより、フェージング信号Z
1〜Z
nは、出力レベル調整部235によりゲインG
C1〜G
Cnの初期値に基づきレベルが調整され、フェージング信号Y
1〜Y
nとして出力される(即ち、「固定ゲイン調整」に基づきレベルが調整される)。なお、「固定ゲイン調整」に基づき動作する場合のゲインG
C1〜G
Cnとして、初期値とは異なるゲインを設定する場合には、出力レベル調整制御部24は、処理を終了する前にゲインG
C1〜G
Cnを設定し直せばよい。
【0065】
(ステップS24)
「自動ゲイン調整」が設定されている場合には(ステップS23、Y)、出力レベル調整制御部24は、入力レベル測定部221から入力レベルP
INを受ける。
【0066】
(ステップS25)
また、出力レベル調整制御部24は、フェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの各出力レベル測定部236から出力レベルP
OUT(即ち、P
OUT1〜P
OUTn)を受ける。
【0067】
(ステップS26)
出力レベル調整制御部24は、入力レベルP
INと、出力レベルP
OUT1と、ゲインG
O1とに基づき、ベースバンド信号X
1に対するフェージング信号Y
1のレベル比K
1を算出する。レベル比K
1は、次式により与えられる。
K
1=P
OUT1/(G
O1P
IN)
【0068】
フェージング信号Y
2〜Y
nについても同様である。つまり、出力レベル調整制御部24は、入力レベルP
INと、出力レベルP
OUT2〜P
OUTnと、ゲインG
O2〜G
Onとに基づきレベル比K
2〜K
nを算出する。以下、フェージング信号Y
1の場合を例に説明する。
【0069】
(ステップS27、S28)
出力レベル調整制御部24は、算出されたレベル比K
1が1か否かを判定する。ここで、G
O1P
INは、操作者が所望するフェージング信号Y
1の出力レベルを示している。これに対し、P
OUT1は、フェージング信号Y
1の実際の出力レベルを示している。そのため、出力レベル調整制御部24は、K
1≠1の場合には(ステップS27、N)、K
1が1に近づくようにG
C1を調整する(ステップS28)。
【0070】
具体的には、出力レベル調整制御部24は、K
1が1未満の場合には、G
O1P
INに対してP
OUT1が小さいため、P
OUT1が増大するようにG
C1を増大させる。また、出力レベル調整制御部24は、K
1が1より大きい場合には、G
O1P
INに対してP
OUT1が大きいため、P
OUT1が減少するようにG
C1を減少させる。このように、出力レベル調整制御部24は、K
1=1となるように、出力レベルP
OUT1を追い込んでいく。K
1=1となった場合には(ステップS27、Y)、出力レベル調整制御部24は、フェージング信号のレベル調整に係る処理を終了する。なお、出力レベルP
OUT1を追い込むための時間は、フェージング信号Y
1が発振しない時間に設定する。この時間は、実験等によりあらかじめ算出し、出力レベル調整制御部24に設定しておく。
【0071】
フェージング信号Y
2〜Y
nについても同様である。つまり、出力レベル調整制御部24は、レベル比K
2〜K
nに基づきフェージング信号Y
2〜Y
nの出力レベルP
OUT2〜P
OUTnが所望のレベル(即ち、G
O2P
IN〜G
OnP
IN)となるように追い込む。
【0072】
次に
図1を参照する。送信部12は、フェージング信号Y
1〜Y
nをフェージング演算部21から受ける。送信部12は、フェージング信号Y
1〜Y
nをアナログ信号に変換する。送信部12は、このアナログ信号をあらかじめ決められた通信方式に基づいて周波数変換する。送信部12は、周波数変換されたアナログ信号(即ち、搬送波)を被試験端末2に送信する。
【0073】
表示制御部26は、フェージング演算部21に設定された「フェージング条件」や、フェージング信号の調整に係るパラメタを表示部28に表示させる。フェージング信号の調整に係るパラメタとは、「入力レベルP
IN」、「出力レベルP
OUT1〜P
OUTn」、及び「ベースバンド信号X
1〜X
m間における相関の有無」を示している。ここで、「入力レベルP
IN」及び「出力レベルP
OUT1〜P
OUTn」は、相対的な値であり絶対的な単位では特定できない。そのため、前述のレベル比Kを用いて、単位「dB」で表示してもよい。あるいは、dBFS(デシベル.フルスケール:dB Full Scale)により単位「dB」で表示してもよい。
【0074】
表示制御部26は、「フェージング条件」を設定制御部25から受ける。また、表示制御部26は、「入力レベルP
IN」を入力レベル測定部221から受ける。また、表示制御部26は、「出力レベルP
OUT1〜P
OUTn」をフェージング信号生成部23Y
1〜23Y
nの各出力レベル測定部236から受ける。また、表示制御部26は、「ベースバンド信号X
1〜X
m間における相関の有無」に関する通知を相関特性検出部222から受ける。
【0075】
なお、出力レベル調整制御部24は、レベル比K
1をK
1=P
OUT1/P
INに基づき算出してもよい。この場合には、出力レベル調整制御部24は、K
1=G
O1か否かを判定し、K
1≠G
O1の場合には、K
1がG
O1に近づくようにG
C1を調整する。
【0076】
また、出力レベル測定部236は、フェージング信号Y
1〜Y
nのレベルを出力レベルP
OUTとして測定していたが、フェージング信号Z
1〜Z
nのレベルを出力レベルP
OUTとして測定してもよい。この場合には、レベル比K
1は次式により算出される。
K
1=(G
C1P
OUT1)/(G
O1P
IN)
【0077】
レベル比K
2〜K
nについても同様に、入力レベルP
INと、出力レベルP
OUT2〜P
OUTnと、ゲインG
O2〜G
Onとに基づき算出することが可能である。
【0078】
また、ベースバンド信号X
1〜X
mそれぞれのレベルが異なる場合については、フェージング演算部21を、ベースバンド信号X
1〜X
mのレベルの組合せの数だけ設ければよい。
【0079】
また、出力レベル調整制御部24は、あらかじめ決められた時間内にK
1=1とならなかった場合に、このことを、表示制御部26を介して表示部28に表示させてもよい。これにより、操作者は、出力レベル調整部235及び出力レベル測定部236を含んで構成される負帰還回路の発振等により、出力レベルP
OUT2〜P
OUTnが所定の値に収束しない場合に、これを検知することが可能となる。
【0080】
以上、本実施形態に係るフェージングシミュレータ20は、ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関関係がある場合
、かつ各伝搬路間に相関関係がある場合に、ベースバンド信号のレベルP
INとフェージング信号Y
1〜Y
mのレベルP
OUTとに基づきレベル比K
1〜K
nを算出する。フェージングシミュレータ20は、このレベル比K
1〜K
nが1となるようにゲインG
Cを更新し、フェージング信号のレベルP
OUTを調整する。これにより、フェージングシミュレータ20は、ベースバンド信号X
1〜X
m間に相関関係がある場合に、フェージング信号Y
1〜Y
mのレベルP
OUTを、操作者が所望するレベルG
O1P
IN〜G
OnP
INとなるように調整することが可能となる
。つまり、フェージング条件によって一意にゲインを特定できない場合に、フェージング信号Y
1〜Y
mのレベルP
OUTを同様に調整することが可能となる。