【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8は、特許文献1によるトレイタイプのカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。本願の
図8は、特許文献1の
図7に相当している。
図8を参照すると、特許文献1によるトレイタイプのカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)100は、平板状のハウジング7、カバー板8、及びトレイ9を備えている。
【0010】
図8を参照すると、ハウジング7は、複数の片持ち状のコンタクト7cを底部に配置している。カバー板8は、ハウジング7に設けた凹部71を覆っている。ハウジング7とカバー板8は、一体に組み立てられて、コネクタ100の本体を構成している。そして、この本体の一端部側に設けた開口から、トレイ9を本体の内部に挿入できる。
【0011】
図8を参照すると、トレイ9は、カード1を載置可能な凹部91を有している。カード1を凹部91に載置して、ハウジング7の凹部71に挿入すると、カード1の一方の面に露出した接続端子1tをコンタクト7cに接続(接触)できる。
【0012】
図8を参照すると、トレイ9は、接続端子1tとコンタクト7cが接続できるように、大きく開口した切り欠き部90を凹部91の底部に形成している。又、トレイ9は、一方の端部(後端部)から他方の端部(前端部)に向けて、略平行に延びる一対の支持アーム9a・9bを有している。そして、一対の支持アーム9a・9bに形成された内壁にカード1の両側縁1a・1bが案内されて、カード1の姿勢が維持される。
【0013】
又、
図8を参照すると、トレイ9は、一対の支持アーム9a・9bと略直交するように形成された、後壁9cと一対の前壁9d・9dを有している。トレイ9をハウジング7の凹部71に挿入すると、カード1の後端縁1cが後壁9cに当接して、トレイ9に対するカード1の移動が阻止される。一方、トレイ9をハウジング7の凹部71から引き抜くと、カード1の前端縁1dが一対の前壁9d・9dに当接して、トレイ9に対するカード1の移動が阻止される。
【0014】
図8を参照すると、トレイ9の後端部は、一対の支持アーム9a・9bの上面より僅かに高い一対の段差92・92を形成している。トレイ9をハウジング7の凹部71に挿入すると、これらの段差92・92がカバー板8の端縁に当接して、トレイ9の挿入深さが規定されると共に、カード1及びトレイ9の一部(後端部)を本体から突出できる。
【0015】
図8を参照すると、トレイ9は、矩形状に切り欠かれた切り欠き部9eを後端部の一方の隅部に有している。トレイ9をコネクタ100から引き出した状態において、切り欠き部9eを利用して、凹部91に載置されたカード1を指などで摘むことができ、カード1をトレイ9から容易に取り出すことができる。
【0016】
又、
図8を参照すると、トレイ9は、斜めに切り欠かれた斜辺壁9fを後端部の他方の隅部に有している。斜辺壁9fは、カード1の隅部に面取りされるように斜めに切り欠かれた斜辺部1fに対応しており、カード1を凹部91に載置するときに、誤挿入を防止できる。
【0017】
更に、
図8を参照すると、トレイ9は、斜辺壁9fに隣接して、凹部91とは区画された直角三角形状の引出用凹部9gを設けている。ペンなどの棒状部材の端部を引出用凹部9gに係合して、トレイ9をコネクタ100から引き出すことができる。
【0018】
図8に示された、従来のコネクタ100は、その高さ方向に実装高さを低背化できる。しかし、従来のコネクタ100は、トレイ9が一対の支持アーム9a・9bでカード1の両側縁1a・1bを保持しているので、コネクタ100の実装面積を縮小することが困難であった。そして、これに起因して、例えば、携帯電話機の小型化を困難としていた。実装面積を縮小することが可能なトレイタイプのカード用コネクタが求められている。
【0019】
又、従来のコネクタ100は、トレイ9の凹部91にカード1を載置しているだけだったので、カード1と共にトレイ9をコネクタ100の本体から取り出すと、カード1が脱落し易いという問題があった。トレイからカードが脱落し難いトレイタイプのカード用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、実装面積を縮小でき、トレイからカードが脱落し難いトレイタイプのカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、カードが載置されるトレイの前半部は、片側の支持アームのみで保持すると共に、トレイの後半部には、カードの脱落を防止すために、一対の鉤状の爪部を設けることにより、上記の課題が解決できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たなトレイタイプのカード用コネクタを発明するに至った。
【0022】
(1) カードが載置される略方形の第1凹部を有する平板状のトレイと、このトレイが進退可能な第2凹部を有する平板状のハウジングと、このハウジングの第2凹部を覆うカバー板と、前記ハウジングの第2凹部に配列され、前記カードの一方の面に設けた接続端子と電気的に接続する複数の片持ち状のコンタクトと、を備え、前記トレイの第1凹部は、当該トレイが前記ハウジングの第2凹部に進出したときに、前記カードの後端縁が当接して前記カードの移動を阻止する後縁と、前記トレイが前記ハウジングの第2凹部から後退したときに、前記カードの前端縁が部分的に当接して前記カードの移動を阻止する前縁と、前記後縁から前記前縁に延びて、前記カードの一方の側縁を案内する第1内壁を設ける第1支持アームと、前記後縁から前記前縁に向けて延び、前記カードの他方の側縁を部分的に案内する第2内壁を設ける第2支持アームと、複数の前記コンタクトに当接しないように、前記前縁及び前記第2支持アームの大部分を含んで矩形状に切り欠かれた逃げ部と、を有し、前記ハウジングの第2凹部は、一方の側壁に形成され、前記第1支持アームの外側壁を案内する第1案内壁と、他方の側壁に形成され、前記逃げ部に露出された前記カードの他方の側縁を案内する第2案内壁と、を有するトレイタイプのカード用コネクタ。
【0023】
(1)の発明によるトレイタイプのカード用コネクタは、平板状のトレイ、平板状のハウジング、カバー板、及び複数の片持ち状のコンタクトを備えている。トレイは、カードが載置される略方形の第1凹部を有している。ハウジングは、トレイが進退可能な第2凹部を有している。カバー板は、ハウジングの第2凹部を覆っている。コンタクトは、カードの一方の面に設けた接続端子とプリント基板とを電気的に接続している。
【0024】
トレイの第1凹部は、後縁と前縁を有している。後縁は、トレイがハウジングの第2凹部に進出したときに、カードの後端縁が当接してカードの移動を阻止している。前縁は、ハウジングの第2凹部から後退したときに、カードの前端縁が部分的に当接してカードの移動を阻止している。
【0025】
又、トレイの第1凹部は、第1支持アーム、第2支持アーム、及び逃げ部を有している。第1支持アームは、後縁から前縁に延びており、カードの一方の側縁を案内する第1内壁を設けている。第2支持アームは、後縁から前縁に向けて延びており、カードの他方の側縁を部分的に案内する第2内壁を設けている。逃げ部は、複数のコンタクトに当接しないように、前縁及び第2支持アームの大部分を含んで矩形状に切り欠かれている。
【0026】
一方、ハウジングの第2凹部は、第1案内壁と第2案内壁を有している。第1案内壁は、第2凹部の一方の側壁に形成され、第1支持アームの外側壁を案内できる。第2案内壁は、第2凹部の他方の側壁に形成され、逃げ部に露出されたカードの他方の側縁を案内できる。
【0027】
トレイは、厚さ方向に曲げ変形(たわみ)が容易な弾性部材からなることが好ましく、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状のトレイを得てもよく、導電性を有する金属板を加工して、所望の形状のトレイを得てもよい。
【0028】
ハウジングは、絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジングを得ることができる。
【0029】
ハウジングには、略平行に延び、一対の対向する側壁を設けることが好ましく、これらの側壁で囲まれた空間をトレイが進退可能な第2凹部とすることができる。トレイの前部に当接して、トレイの進出を停止させる停止壁を第2凹部に設けてもよく、この停止壁をカバー板に設けてもよい。第2凹部にトレイが進退するとは、トレイにカードを載置して、このトレイをカードと共にハウジングに進出、又はハウジングから後退できることを意味している。
【0030】
ハウジングは、プリント基板の表面に実装されることが好ましく、このカード用コネクタを表面実装形のコネクタとすることができる。プリント基板は、硬質のリジッド基板を含み、片面のみにパターンがある片面基板を含むことができ、両面にパターンがある両面基板を含むことができ、絶縁体とパターンを積み重ねた多層基板を含むことができる。
【0031】
又、ハウジングは、プリント基板の端部に配置することが好ましく、このカード用コネクタは、プリント基板に対して、コネクタとカードの結合方向が水平になるように取り付ける、水平取付形コネクタであることが好ましい。水平取付形コネクタは、サイドコネクタとも呼ばれ、プリント基板への実装高さを低くできることから、薄型化が求められる携帯型情報機器に搭載するのに適している。
【0032】
カバー板は、導電性の金属板からなることが好ましく、展開された金属を成形して所望の形状の導電性のカバー板を得ることができる。カバー板は、カードを包囲して不要な電磁波から防護するシールド板として機能でき、第2凹部を覆って、カード用コネクタの外殻を構成する導電性のシェルとして機能することもできる。
【0033】
カードの一方の面とは、接続端子となる区画されたパターンが露出している面を示し、コンタクトに付勢されたカード及びトレイが板厚方向の移動をカバー板に規制されて、コンタクトに所定の接触圧を得させることができる。
【0034】
コンタクトは導電性を有しており、導電性の金属板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性のコンタクトを得ることができる。コンタクトは加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0035】
コンタクトは、ベローズ形コンタクト、又はカンチレバーコンタクトと呼ばれる、片持ち状の板ばねからなっている。コンタクトは、ハウジングに固定される固定片を有し、この固定片は、ハウジングに圧入される形態を含み、この固定片は、ハウジングにモールドされる一体成形の形態を含むことができる。固定片には、プリント基板にハンダ接合されるリード部を形成することが好ましい。
【0036】
又、コンタクトは、固定片から上り傾斜するように延びる弾性片を有している。そして、弾性斜片は、カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設けている。トレイをハウジングに進出させると、カードに押されて弾性斜片が傾倒し、弾性斜片の反力(弾性復帰力)で接点が所定の接触圧をカードの接続端子に付与することができる。
【0037】
(1)の発明によるトレイタイプのカード用コネクタは、従来のトレイが一対の支持アームでカードを保持し、一対の支持アームの外壁がハウジングの凹部の内壁に案内されていたのに対し、一方の支持アームでカードを保持し、他方の支持アームを逃げ部で実質的に削除し、逃げ部に露出されたカードの他方の側縁を第2案内壁で案内する構成としたので、ハウジングの幅を縮小できる。つまり、コネクタの実装面積を縮小できる。
【0038】
(2) 前記トレイは、前記第1凹部の底面と略平行に突出し、前記カードの他方の面に当接可能な一組の対向する鉤状の爪部を前記第1支持アーム及び前記第2支持アームの後半部に有する(1)記載のトレイタイプのカード用コネクタ。
【0039】
(2)の発明によるトレイタイプのカード用コネクタは、カードの他方の面に当接可能な一組の対向する鉤状の爪部を第1支持アーム及び第2支持アームの後半部に有するので、カードと共にトレイをコネクタの本体から取り出しても、カードが脱落することを防止できる。
【0040】
(3) 前記カードは、誤装着を防止するために、斜めに切り欠かれた斜辺部を後端縁側の一方の隅部に有し、前記トレイは、前記接続端子を設ける前記カードの一方の面が前記第1凹部の底面と対向するように、前記斜辺部に係合して前記カードの装着の向きを規定する斜辺壁を前記第1凹部の後縁の隅部に有する(1)又は(2)記載のトレイタイプのカード用コネクタ。
【0041】
(3)の発明によるトレイタイプのカード用コネクタは、接続端子を設けるカードの一方の面がトレイの第1凹部の底面と対向するように配置される、いわゆる、ノーマルタイプのカード用コネクタにおいて、カードの誤装着を防止できる。
【0042】
トレイは、接続端子を設けるカードの一方の面が第1凹部の底面と反対側に配置されるように、斜辺部に係合してカードの装着の向きを規定する斜辺壁を第1凹部の後縁の隅部に有するように構成してもよく、接続端子を設けるカードの一方の面がトレイの第1凹部の底面と反対側に配置される、いわゆる、リバースタイプのカード用コネクタにおいて、カードの誤装着を防止できる。
【0043】
(4) 前記トレイは、前記斜辺壁の近傍に配置され、後壁から隆起するように部分的に突出して、前記第2凹部から引き出し容易な引出用突部を有する(3)記載のトレイタイプのカード用コネクタ。
【0044】
(4)の発明によるトレイタイプのカード用コネクタは、指先などを引出用突部に係止して、カードと共にトレイをコネクタの本体から容易に引き出すことができる。