(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2記載の製造装置の構造では、フランジを有する芯金に下方向の力を付与してフランジが平角線を下方へ押圧する機構だけでなく、フランジを回転させる機構が必要になっており、平角線の曲げられた部分をフランジに干渉させないようにするために製造装置の構造が複雑になっている。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構成で平角線の曲げられた部分による干渉を防止することが可能なエッジワイズコイルの製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の
請求項1に係るエッジワイズコイルの製造装置は、平角線をコイル状に曲げてエッジワイズコイルを形成する製造装置であって、前記平角線を所定の搬送方向へ送り出す送り機構と、前記平角線が曲げられるときの当該平角線の内側曲面を形成するための型付け面を有する、固定された芯部と、前記芯部の周囲に所定の角度範囲で公転自在に設けられ、前記芯部の型付け面に沿って前記平角線を折り曲げるベンダと、前記芯部よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記芯部の型付け面における前記平角線の曲がり始めの端部よりも前記搬送方向の上流側に配置された当接面を有し、当該当接面が前記平角線の側面に当接する当接部と、前記芯部よりも前記搬送方向の上流側で、かつ、前記当接部の当接面に対向して配置され、前記当接部とともに前記平角線を両側面から挟むことが可能な第1位置と前記平角線から離れた第2位置との間で移動可能に設けられたグリッパと、前記グリッパを前記第1位置と前記第2位置との間で往復移動させるグリッパ移動機構と、前記平角線のうち前記芯部の型付け面に沿って曲げられた部分を、当該平角線の後続の部分よりも上に位置するように、斜め上方へ案内する第1斜面を有する傾斜部と、前記平角線の下面に接触して当該平角線を下方から支持する下方支持部とを備えており、前記ベンダは、前記平角線のうち当該ベンダと前記芯部との間に挟まれた部分の上面の全幅にわたって当接または近接する第1天板
と、前記第1天板の上側に配置された第2天板とを有し、前記第1天板は、前記下方支持部とともに前記平角線の上下方向への変位を規制
し、前記第2天板は、その外周縁が前記第1天板の外周縁から外方に突出し、かつ、前記平角線によって形成されるコイルの2段目以上の部分が載ることが可能な大きさを有する、ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、芯部よりも搬送方向の上流側において平角線を当接部とグリッパとの間で挟み、かつ、ベンダの第1天板が平角線の上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板が下方支持部とともに平角線の上下方向への変位を規制した状態で、ベンダを芯部の回りに公転させて平角線を台座などの固定体に固定された芯部の型付け面に沿って繰り返し曲げることにより、エッジワイズコイルが製造される。このとき、第1天板および下方支持部によって平角線の上面および下面のしわ抑えをしてしわの発生を防止する。グリッパ駆動機構は、グリッパを往復駆動させることができるので、グリッパは、第1位置において当接部とともに平角線を両側面から挟み、平角線を送り出すときには、平角線から退避させるために、第1位置から第2位置へ移動させることができる。グリッパと当接部が芯部の型付け面に沿って曲げられる平角線の曲がり始めの端部を挟み込むことによって、平角線を動かないように固定し、グリッパから第1天板までの間の区間における第1天板から外れた部分の平角線のしわの発生も防止できる。
【0012】
また、ベンダによって平角線を芯部の回りに所定の角度、例えば180度に曲げたときに、平角線のうち芯部の上流側を取り囲む部分が傾斜部の第1斜面によって斜め上方へ案内されて平角線の上に乗り上げることができる。グリッパ駆動機構によってグリッパを第2位置まで移動させて平角線のクランプを解除した後に平角線を搬送方向へ送りだしたとき、平角線のうち芯部の上流側を取り囲む部分は芯部と干渉せずに当該芯部の上を乗り超えることができる。
【0013】
このように、
上記の構成では、従来技術のように芯金に設けられたフランジによって平角線を内周面側からつかむとともにしわ抑えをしていた代わりに、ベンダ側に平角線のしわ抑えをする第1天板を設けるとともに、ベンダで曲げられる平角線の側面を挟み込むグリッパを設けたことにより、しわが発生することなく、芯部の上流側を取り囲むような曲げ(例えば、180度曲げ)を可能にしている。しかも、フランジを下方へ押し下げる機構および当該フランジを回転させる機構など複雑な移動機構が不要になり、構造が簡単になる。
【0015】
また、上記の構成によれば、ベンダが第1天板の上側に配置された第2天板は、その外周縁が第1天板の外周縁から外方に突出して、平角線によって形成されるコイルの2段目以上の部分が載ることが可能な大きさを有するので、送り機構による平角線の送り出し長さが長くなってコイルの2段目以上の部分が第1天板に載らない状態になっても、コイルの2段目以上の部分が第2天板の上に載ることによって、当該コイルの2段目以上の部分が第1天板と干渉するおそれがない。
【0016】
前記下方支持部は、前記芯部の型付け面の下縁の外周側に配置され、前記平角線の下面内側の部分に接触して当該平角線を下方から支持する内側支持部を有するのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、芯部の型付け面の下縁の外周側に配置された内側支持部が平角線の下面内側の部分に接触して当該平角線を下方から支持することにより、内側支持部が第1天板とともに平角線の上下方向への変位を規制して、平角線の内側部分における上面および下面のしわ抑えをしてしわの発生を防止することが可能である。
【0018】
本発明の請求項3に係るエッジワイズコイルの製造装置は、平角線をコイル状に曲げてエッジワイズコイルを形成する製造装置であって、前記平角線を所定の搬送方向へ送り出す送り機構と、前記平角線が曲げられるときの当該平角線の内側曲面を形成するための型付け面を有する、固定された芯部と、前記芯部の周囲に所定の角度範囲で公転自在に設けられ、前記芯部の型付け面に沿って前記平角線を折り曲げるベンダと、前記芯部よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記芯部の型付け面における前記平角線の曲がり始めの端部よりも前記搬送方向の上流側に配置された当接面を有し、当該当接面が前記平角線の側面に当接する当接部と、前記芯部よりも前記搬送方向の上流側で、かつ、前記当接部の当接面に対向して配置され、前記当接部とともに前記平角線を両側面から挟むことが可能な第1位置と前記平角線から離れた第2位置との間で移動可能に設けられたグリッパと、 前記グリッパを前記第1位置と前記第2位置との間で往復移動させるグリッパ移動機構と、前記平角線のうち前記芯部の型付け面に沿って曲げられた部分を、当該平角線の後続の部分よりも上に位置するように、斜め上方へ案内する第1斜面を有する傾斜部と、前記平角線の下面に接触して当該平角線を下方から支持する下方支持部と、を備えており、前記ベンダは、前記平角線のうち当該ベンダと前記芯部との間に挟まれた部分の上面の全幅にわたって当接または近接する第1天板を有し、前記第1天板は、前記下方支持部とともに前記平角線の上下方向への変位を規制し、前記当接部は、前記搬送方向の反対側を向く第2斜面を有しており、前記第2斜面は、前記平角線のうち前記芯部よりも前記搬送方向の上流側に曲げられた部分が前記搬送方向へ送り出されたときに、当該曲げられた部分を前記芯部よりも上に位置するように斜め上方へ案内する
、ことを特徴とする。
この構成によれば、上記の請求項1に係るエッジワイズコイルの製造装置と同様に、従来技術のように芯金に設けられたフランジによって平角線を内周面側からつかむとともにしわ抑えをしていた代わりに、ベンダ側に平角線のしわ抑えをする第1天板を設けるとともに、ベンダで曲げられる平角線の側面を挟み込むグリッパを設けたことにより、しわが発生することなく、芯部の上流側を取り囲むような曲げ(例えば、180度曲げ)を可能にしている。しかも、フランジを下方へ押し下げる機構および当該フランジを回転させる機構など複雑な移動機構が不要になり、構造が簡単になる。
【0019】
また、上記の構成によれば、送り機構によって平角線が搬送方向へ送り出される際に、平角線のうち芯部よりも搬送方向の上流側に曲げられた部分は、芯部における搬送方向の上流側に配置された当接部が有する第2斜面によって斜め上に案内されて、芯部の上を円滑に乗り越えることが可能である。したがって、平角線における芯部よりも搬送方向の上流側に曲げられた部分は、送り機構によって平角線が搬送方向へ送り出されるときに、芯部に干渉するおそれがなくなる。
【0022】
本発明のコイルの製造方法は、上記の製造装置を用いて、平角線をコイル状に曲げてエッジワイズコイルを形成するエッジワイズコイルの製造方法であって、前記送り機構によって前記平角線を前記搬送方向へ送り出す工程と、前記平角線をその両側面から前記当接部と前記グリッパとによって挟む工程と、前記第1天板が前記平角線の上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板が前記下方支持部とともに前記平角線の上下方向への変位を規制した状態で、前記ベンダによって前記平角線を前記芯部の型付け面に沿って所定の角度に曲げる工程と、前記グリッパ移動機構によって前記グリッパを前記平角線から離して、前記平角線のクランプを解除する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0023】
かかる特徴により、芯部よりも搬送方向の上流側において平角線をその両側面から当接部とグリッパによって挟むとともに、第1天板が平角線の上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板が下方支持部とともに前記平角線の上下方向への変位を規制した状態で、ベンダによって平角線を芯部の型付け面に沿って所定の角度に曲げることにより、平角線にしわが発生することなく、芯部の上流側を取り囲むような曲げ(例えば、180度曲げ)が可能になる。しかも、従来のようなフランジを下方へ押し下げる機構およびフランジを回転させる機構など複雑な移動機構が不要になり、構造が簡単になる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成で平角線の曲げられた部分による干渉を防止することができるので、平角線を芯部の上流側を取り囲むような曲げ、例えば、180度曲げを行うことによってエッジワイズコイルを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るエッジワイズコイルの製造装置およびそれに用いられる駆動装置について図面を参照して説明する。
【0027】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態によるエッジワイズコイルの製造装置の全体構成について説明する。
【0028】
図1に示されるように、本実施形態のエッジワイズコイルの製造装置1は、大きく分けて、コイル巻き機構2と、送り機構3と、ストレートナ4と、リールスタンド5とを備えている。コイル巻き機構2は、後述するように、金属製の扁平な矩形断面を有する平線からなる平角線Pを所定の形状に巻き上げていきエッジワイズコイルに成形する機構である。送り機構3は、平角線Pを間欠的に所定の搬送方向E(
図3参照)へ順次送り出す。ストレートナ4は、平角線Pを平坦に延ばす機構である。リールスタンド5は、平角線Pが巻かれたロールRを回転自在に支持する。
【0029】
図1〜3に示されるように、コイル巻き機構2は、芯金6と、公転ローラ7と、グリッパ8と、グリッパ駆動機構51と、傾斜板9と、公転ローラブラケット10と、台座13と、公転駆動機構14と、下方支持部15とを備えている。公転ローラ7は、第1天板11および第2天板12を有している。
【0030】
このコイル巻き機構2では、公転ローラ7が芯金6の芯部6aの周囲で公転することによって平角線Pが芯金6の型付け面6eに沿って所定の角度範囲にわたって押し付けられ、それにより、平角線Pが曲げられる。平角線Pの送出しと曲げを交互に繰り返し行うことによって、エッジワイズコイルが製造される。この場合において、コイル部分W(
図11参照)は、傾斜板9の第1斜面9aによって平角線Pの後続の部分の上へ案内される。また、コイル部分Wが芯金6の芯部6aを乗り越えるときには、芯部6aの上流側に配置された当接部6cの第2斜面6hによって上へ案内される。
【0031】
以下、コイル巻き機構2の各構成要素について、具体的に説明する。
【0032】
台座13は、平坦な上面13dを有する矩形ブロック状のテーブルであり、例えば、金属ブロックなどから切削加工するなどによって成形されている。台座13の上面13dには、円弧状の溝13aが形成されている。溝13aの内部には、公転ローラ7および公転ローラブラケット10が収容されている。
【0033】
芯金6は、台座13の上面13dに固定されている。芯金6は、芯部6aと、内側支持部6bと、当接部6cと、凸部6dとを有しており、これらの部分は一体形成されている。
【0034】
芯部6aは、一部切り欠いた円形の断面を有する柱状の部分であり、その外周面において、平角線Pが曲げられるときの当該平角線Pの内側曲面を形成するための円弧状の型付け面6eを有する。型付け面6eの始端は、平角線Pの搬送ラインPL(
図3参照)に接する。型付け面6eの曲率中心O1の位置は、台座13の円弧状の溝13aの曲率中心の位置と一致している。
【0035】
図3に示される型付け面6eは、芯部6aの半周以上の部分に延びているので、型付け面6eに沿って平角線Pを180度以上曲げることが可能であり、平角線Pを曲げた後のスプリングバックで跳ね返る分を見越して多めに曲げることが可能である。
【0036】
内側支持部6bは、芯部6aの型付け面6eの下縁の外周側に配置された円弧状の部分である。内側支持部6bは、平角線Pの下面の内側部分(本実施形態では、平角線Pの内側半分以下の幅の部分)に接触して当該平角線Pを下方から支持する下方支持面6fを有している。
【0037】
当接部6cは、芯部6aよりも搬送方向Eの上流側に配置されている。当接部6cは、芯部6aの型付け面6eにおける平角線Pの曲がり始めの端部から搬送方向Eの上流側に連続する平坦な当接面6gを有する。当接面6gは、平角線Pの側面に当接する。
【0038】
凸部6dは、芯部6aから下方に突出している。凸部6cは、台座13の上面13dに形成された凹部13bに挿入され、ピンなどによって台座13に固定されているので、芯金6を台座13から容易に着脱することが可能である。これにより、製造されるエッジワイズコイルの形状に合わせて、芯金6を容易に交換することが可能である。なお、芯金6は、台座13以外の固定対象に固定してもよい。
【0039】
また、芯金6の当接部6cは、
図2〜3に示されるように、搬送方向Eと反対の方向を向く第2斜面6hを有する。第2斜面6hは、芯部6aよりも上流側に配置されている。第2斜面6hの上端の高さは、芯部6aの上端の高さと同じかそれもよりも高い位置に設定される。第2斜面6hの下端の高さは、内側支持部6bの下方支持面6fの高さと同じまたはそれよりも低くなるように設定される。
【0040】
送り機構3によって平角線Pが搬送方向Eへ送り出される際に、平角線Pのうち芯部6aよりも搬送方向Eの上流側に曲げられたコイル部分W(
図11〜12参照)は、芯部6aにおける搬送方向Eの上流側に配置された当接部6cの第2斜面6hによって斜め上に案内されて、芯部6aの上を円滑に乗り越えることが可能である。
【0041】
公転駆動機構14は、所定の角度範囲で正方向および逆方向に回転駆動する駆動軸14aを有している。駆動軸14aは、
図3に示される台座13の貫通孔13cを通して台座13の円弧状の溝13aに連通する空間部13eに挿入され、ベアリング18、19を介して台座13に回転自在に支持されている。駆動軸14aの回転中心S1の位置は、
図2に示されるように円弧状の溝13aおよび型付け面6eの曲率中心O1の位置と一致している。公転駆動機構14は、例えば、ステッピングモータおよび減速機を組み合わせたものが採用される。
【0042】
公転ローラブラケット10は、
図2および
図3に示されるように、公転ローラ7を支持するアームであり、その先端側端部10bには上下に延びる貫通孔10aが形成され、根元側端部10cには、上下に延びる貫通孔10dが形成されている。根元側端部10cの貫通孔10dには、公転駆動機構14の駆動軸14aが挿入され、根元側端部10cと駆動軸14aとがキーなどの回り止めによって連結されている。これにより、公転ローラブラケット10は、駆動軸14aの回転中心S1回りに旋回することが可能である。
【0043】
公転ローラ7は、台座13において、上記の公転ローラブラケット10を介して芯金6の芯部6aの周囲に公転自在に設けられ、芯金6の周囲を例えば180度以上公転することが可能であり、芯部6aの型付け面6eに沿って平角線Pを折り曲げる。公転ローラ7は、本発明のベンダに含まれる概念である。公転ローラ7は、後述するように、円弧状の溝13aの内部を公転中心S1(
図2参照)回りに往復公転運動をすることが可能である。
【0044】
公転ローラ7は、
図2に示されるように、ローラ本体7aと、ローラ本体7aの上側に設けられた第1天板11と、第2天板12とを有している。ローラ本体7aは、側面当接部7bと、外側支持部7cと、軸部7dとを有しており、これらの部分が回転中心S2に沿って並ぶように同軸上に一体成形されている。
【0045】
側面当接部7bは、平角線Pの外側の側面(芯部6aに対して反対側を向く側面)に当接する円板状の部分である。
【0046】
外側支持部7cは、側面当接部7bの下側に設けられ、側面当接部7bの外周縁から外側に突出する大きさを有する円板状の部分である。外側支持部7cは、平角線Pの下面の外側の部分(本実施形態では、平角線Pの外側半分以下の幅の部分)に当接して、平角線Pを下方から支持する。
【0047】
軸部7dは、外側支持部7cの下側に設けられ、下方に延びている。軸部7dは、公転ローラブラケット10の先端側端部10bに形成された貫通孔10aに挿入され、ベアリング20を介して回転中心S2回りに自転できるように支持されている。
【0048】
下方支持部15は、平角線Pの下面に接触して当該平角線Pを下方から支持する。本実施形態の下方支持部15は、芯金6の内側支持部6bと、ローラ本体7aの外側支持部7cとから構成されている。
【0049】
第1天板11は、ローラ本体7aよりも大きな直径を有する円板であり、平角線Pのうち当該ローラ本体7aと芯部6aとの間に挟まれた部分の上面の全幅にわたって当接または近接することが可能な外径を有する。そして、本実施形態の第1天板11は、平角線Pの上面の全幅とともに芯部6aの一部を覆う外径を有する。第1天板11は、平角線Pのうち当該ローラ本体7aと芯部6aとの間に挟まれた部分の上面の全幅にわたって当接または近接して、下方支持部15とともに平角線Pの上下方向への変位または傾きを規制する。第1天板11は、平角線Pの上面に当接またはわずかな隙間(10〜20μm程度)をあけた状態で、平角線Pの上面全体を覆っており、第1天板11は平角線Pに対して押圧力をかけていない。
【0050】
本実施形態の第1天板11は、ローラ本体7aと回転中心S2に沿って同軸上に一体形成されており、公転ローラ7とともに回転中心S2回りに自転することが可能である。
【0051】
第2天板12は、第1天板11の上側に配置されている。第2天板12は、本実施形態では、第1天板11よりも大きな直径を有する円板であり、第2天板12の外周縁は、第1天板11の外周縁から外方に突出している。第2天板12は、その外周縁が第1天板11の外周縁から外方に突出し、かつ、平角線Pによって形成されるコイル束Zの2段目以上のコイル部分W2(
図20〜21参照)が載ることが可能な外径(すなわち、
図17に示される回転中心S2から送り出された後のコイル部分W2までの最短距離Qよりも所定量(例えば、平角線Pの幅の半分程度)大きい外径)を有する。この第2天板12によって、コイル束Zの2段目以上のコイル部分W2が第1天板11に干渉することを防止することができる。
【0052】
上記の第1天板11は、平角線Pのしわ抑えのためにある程度の剛性および寸法精度が要求される部材であるが、第2天板12は、コイル束Zの2段目以上のコイル部分W2が載ることができればよく、第1天板11と同程度の剛性や寸法精度は要求されない。したがって、第2天板12は、第1天板11よりも安価な材料で製造することが可能である。
【0053】
また、第1天板11と別に第2天板12を設けることによって、第1天板11の剛性を維持しながら、第2天板12の厚さを薄くすることが可能であり、その場合、第2天板12をコイル束Zの1段目のコイル部分W1と2段目のコイル部分W2との隙間に挿入しやすくなる。
【0054】
また、第2天板12は、第1天板11よりも平角線Pとの摩擦が小さい材料を選択するのが好ましく、その場合コイル部分W2は、第2天板12の表面を円滑に滑ることができる。
【0055】
第2天板12は、平角線Pの送出し長さや平角線Pの材料などによって大きさや材質を変えることができるように、ローラ本体7aに対してネジ16によって着脱自在に取り付けられている。ネジ16は、ローラ本体7aの上面に形成された回転中心S1を通るネジ孔7eにねじ込まれる。これにより、第2天板12は、ローラ本体7aおよび第1天板11とともに回転中心S2回りに自転することが可能である。
【0056】
グリッパ8は、
図1および3に示されるように、芯金6の芯部6aよりも搬送方向Eの上流側で、かつ、芯金6の当接部6cの当接面6gに対向して配置されている。グリッパ8は、当接部6cとともに平角線Pを両側面から挟むことが可能な第1位置I(
図5参照)と、平角線Pから離れた第2位置II(
図4参照)との間で移動可能に設けられている。
図3に示されるように、グリッパ8の前端面8aは、当接部6cの当接面6gに対向するように配置されている。
【0057】
図1に示されるグリッパ駆動機構51は、グリッパ8を第1位置Iと第2位置IIとの間で往復移動させる。グリッパ移動機構51は、
図1および
図3に示されるように、グリッパ8を平角線Pの搬送方向Eに対して直交する方向Dへ往復移動させることにより、グリッパ8が芯金6の当接部6cの当接面6gとの距離を変えてグリッパ8と芯金6との間で平角線Pを側面から挟持し、離脱させることができる。グリッパ駆動機構51は、油圧シリンダなどの往復駆動機構が採用可能である。
【0058】
傾斜板9は、台座13の上面13dに設置されている。傾斜板9は、第1斜面9aを有している。第1斜面9aは、平角線Pの搬送方向Eに対して直交する方向D(
図3参照)を向いている。公転ローラ7によって芯金6の芯部6aの型付け面6eに沿って曲げられた平角線Pのコイル部分Wは、第1斜面9aによって、平角線Pの後続の部分よりも上に位置するように、斜め上方へ案内される。傾斜板9は、本発明の傾斜部に含まれる概念である。
【0059】
本実施形態では、
図2に示されるように、傾斜板9の高さH1は、芯金6の当接部6cの下端(すなわち、台座13の上面13d)から第2天板12の上面までの高さH2よりも高くなっている。これにより、平角線Pのコイル部分W(
図11〜12参照)は、傾斜板9の第1斜面9aによって傾斜板9の上端まで案内されたときには、第2天板12よりも高い位置になるので、平角線Pが搬送方向Eに送り出されたときには、コイル部分Wは、傾斜板9の上端から第2天板12の上面に円滑に移動することが可能である。
【0060】
(エッジワイズコイルの製造方法)
つぎに、上記のように構成された本実施形態における製造装置1を用いたエッジワイズコイルの製造方法について説明する。本実施形態のエッジワイズコイルの製造方法は、大きく分けて、
(1)送り機構3によって平角線Pを搬送方向Eへ送り出す搬送工程(
図4、8、12、16)と、
(2)平角線Pをその両側面から芯金6の当接部6cとグリッパ8とによって挟むクランプ工程(
図5、9、13、17)と、
(3)第1天板11が平角線Pの上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板11が下方支持部15(具体的には、その外側支持部7cおよび内側支持部6b)とともに平角線Pの上下方向への変位を規制した状態で、公転ローラ7によって平角線Pを芯金6の芯部6aの型付け面6eに沿って所定の角度(本実施形態では、180度)に曲げる180度曲げ工程(
図10、14、18)と、
(4)グリッパ移動機構51によってグリッパ8を平角線Pから離して、平角線Pのクランプを解除するクランプ解除工程(
図7、11、15、19)とを含む。
【0061】
以下、
図4〜19を参照しながら各工程を順に説明する。
【0062】
図4に示されるように、まず、グリッパ8を平角線Pから離れた第2位置IIに退避した状態で、平角線Pを所定長さだけ搬送方向Eに送り出す。
【0063】
ついで、
図5に示されるように、グリッパ8をグリッパ駆動機構51によって矢印D1方向へ移動させて第1位置Iに位置決めすることにより、グリッパ8の前端面8aと芯金6の当接部6cの当接面6gとの間に平角線Pを挟んで固定する。
【0064】
ついで、
図6に示されるように、公転ローラ7(具体的には、
図2に示される側面当接部7b)を平角線Pの側面に当てながら、公転駆動機構14の駆動により、芯金6の芯部6aの型付け面6eに沿って矢印C1方向に90度公転させる。これにより、芯部6a回りに平角線Pを90度曲げる。このとき、グリッパ8と芯金6の当接部6cが芯部6aの型付け面6eに沿って曲げられる平角線Pの曲がり始めの端部を型付け面6eの直近の位置で挟み込むことによって、平角線Pの90度曲げられる部分に近い直線部分が搬送方向Eへずれたり伸びが生じないようにクランプされるので、平角線Pの曲げられた部分のうち、第1天板11で上から覆われていない部分R1でシワが発生するおそれがない。
【0065】
ついで、
図7に示されるように、公転ローラ7を矢印C2方向へ90度公転させて初期位置に戻る。それとともに、グリッパ8をグリッパ駆動機構51によって矢印D2方向へ移動させて、グリッパ8を平角線Pから離して平角線Pのクランプを解除する。このとき、グリッパ8は第2位置IIに戻る。
【0066】
この後、
図8〜19に示されるように、平角線Pの180度曲げを連続的に繰り返していく。
【0067】
具体的には、まず、
図8に示されるように、平角線Pを所定長さだけ搬送方向Eに送り出す。
【0068】
ついで、
図9に示されるように、グリッパ8の前端面8aと当接部6cの当接面6gとの間に平角線Pを挟んで固定する。
【0069】
ついで、
図10に示されるように、公転ローラ7を平角線Pの側面に当てながら、芯金6の芯部6aの周囲で矢印C3方向に180度公転させて、芯金6の芯部6a回りに平角線Pを180度曲げる。
【0070】
このとき、平角線Pの先端部分Vは、傾斜板9の第1斜面9aによって斜め上方へ案内されて後続の部分の上に乗り、平角線Pが1周したコイル部分Wが形成される。このとき、グリッパ8と芯金6の当接部6cが芯部6aの型付け面6eに沿って曲げられる平角線Pの曲がり始めの端部を型付け面6eの直近の位置で挟み込むことによって、平角線Pの180度曲げられる部分に近い直線部分が搬送方向Eへずれたり伸びが生じないようにクランプされるので、平角線Pの曲げられた部分のうち、第1天板11で上から覆われていない部分R2でシワが発生するおそれがない。
【0071】
ついで、
図11に示されるように、公転ローラ7を矢印C2方向へ180度公転させて元の位置に戻る。それとともに、グリッパ8をグリッパ駆動機構51によって矢印D2方向へ移動させて、グリッパ8を平角線Pから離して平角線Pのクランプを解除する。
【0072】
ついで、
図12に示されるように、平角線Pを所定長さだけ搬送方向Eに送り出す。このとき、平角線Pのコイル部分Wは、芯金6の当接部6cの第2斜面6hによって斜め上方へ案内されながら芯金6の芯部6aの上に乗り上げるとともに、平角線Pの後続の部分の上にある第2天板12の上に乗り上げながら搬送方向Eへ進む。ここで、本実施形態の製造装置1では、従来のように芯金6に平角線Pを上から押さえるフランジがないので、平角線Pを180度曲げをしても、平角線Pのコイル部分Wが芯金6を乗り越えるときに芯金6のどこにも干渉せずに芯金6を乗り越えることができるので、平角線Pを搬送方向Eへ円滑に送り出すことができる。しかも、本実施形態では、芯金6の当接部6cに第2斜面6
hが形成されていることにより、コイル部分Wが第2斜面6
hに沿って斜め上方へ案内されながら芯金6の芯部6aをさらに円滑に乗り越えることができる。
【0073】
上記の
図9〜12の一連の動作を、
図13〜19のように繰り返しながら平角線Pを180度曲げしながらコイル部分Wを積層していくことにより、所定の巻き数のエッジワイズコイルが製造される。このとき、すでに形成された上の層のコイル部分Wは、公転ローラ7の第2天板12の上に常に載った状態で芯金6の回りを180度回転し、搬送方向Eへ搬送される。そのため、コイル部分Wが第1天板11と干渉するおそれがない。
【0074】
(第2天板がないときのコイルと第1天板の干渉についての説明)
例えば、
図17〜18に示される工程では、平角線Pが180度曲げされるときに、上の層のコイル部分Wは、第2天板12の上に載っているので、第2天板12よりも下の第1天板11に干渉するおそれがない。具体的には、
図17〜18に示される工程の途中では、
図20〜21に示されるように、上の層のコイル部分W2は、第2天板12の上に載っているので、最下層のコイル部分W1から上方へ離れた位置に規制されているので、平角線Pの180度曲げ時にコイル束Zが矢印F方向に移動して第1天板11に近づいても、上の層のコイル部分W2が第2天板12よりも下の第1天板11に干渉するおそれがない。
【0075】
一方、本発明の比較例として、
図22〜23に示されるように、第2天板12が無い場合には、平角線Pが180度曲げされるときに、上の層のコイル部分W2が最下層のコイル部分W1に直接載っているので(
図22(a)および(b)参照)、平角線Pの180度曲げ時にコイル束Zが矢印F方向に移動して第1天板11に近づいたときに、最下層のコイル部分W1よりも高い位置にある第1天板11の外周端11aに干渉するおそれがある(
図23(a)および(b)参照)。そのため、上記実施形態のように、第2天板12を設けることによって、第1天板11とコイル部分Wとの干渉を防ぐことが好ましい。
【0076】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のエッジワイズコイルの製造装置1では、芯金6の芯部6aよりも搬送方向Eの上流側において平角線Pを芯金6の当接部6cとグリッパ8との間で挟んで芯部6aよりも上流側の平角線Pの部分を動かないように規制し、かつ、公転ローラ7の第1天板11が平角線Pの上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板11がそれに対向する下方支持部15(具体的には、その外側支持部7cおよび内側支持部6b)とともに平角線Pの上下方向への変位を規制した状態で、公転ローラ7を芯部6aの回りに公転させて平角線Pを台座13に固定された芯部6aの型付け面6eに沿って繰り返し曲げることにより、エッジワイズコイルが製造される。このとき、第1天板11およびそれに対向する外側支持部7cおよび内側支持部6bによって平角線Pの上面および下面のしわ抑えをしてしわの発生を防止するとともに、グリッパ8と芯金6の当接部6cが芯部6aの型付け面6eに沿って曲げられる平角線Pの曲がり始めの端部を挟み込むことによって平角線Pを動かないように強固に固定し、グリッパ8から第1天板11までの間の区間における第1天板11から外れた部分の平角線Pの表面のしわの発生を防止することができる。
【0077】
また、本実施形態の芯金6の上面は、従来技術のようなフランジなどがなく上方に開放している。これにより、180度曲げ後の平角線P送り時に、平角線Pが芯金6に干渉しない。したがって、公転ローラ7によって平角線Pを芯金6の回りに180度巻いたときに、平角線Pのうち180度曲げられて芯部6aの搬送方向Eについて上流側を取り囲む部分が傾斜板9によって斜め上方へ案内されて平角線Pの上の段に乗り上げることができる。このとき、平角線Pの上の段に乗り上げられた部分は、芯金6および公転ローラ7の第1天板11と干渉しない高さになる。グリッパ駆動機構51によってグリッパ8を第2位置IIまで移動させて平角線Pのクランプを解除した後に平角線Pを搬送方向Eへ送りだしたとき、平角線Pのうち芯部6aの上流側を取り囲む部分は芯金6と干渉せずに当該芯金6の上を乗り超えることができる。
【0078】
このように、本実施形態では、従来技術のように芯金6のフランジによって平角線Pを内周面側からつかむとともにしわ抑えをしていた代わりに、公転ローラ7側に平角線Pのしわ抑えをする第1天板11を設けるとともに、公転ローラ7で曲げられる平角線Pの側面を挟み込むグリッパ8を設けたことにより、平角線Pにしわや傾きが発生することなく、芯部6aの上流側を取り囲むような大きい曲げとして、180度曲げが可能であり、90度曲げの加工に比べて大幅に生産スピードが向上する。
【0079】
しかも、180度曲げをするために従来必要としていたフランジを下方へ押し下げる機構およびそのフランジを回転させる機構など複雑な移動機構が不要になり、構造が簡単になる。
【0080】
(2)
また、本実施形態では、公転ローラ7の第1天板11の上側に配置された第2天板12は、その外周縁が第1天板11の外周縁から外方に突出して、平角線Pによって形成されるコイル束Zの2段目以上のコイル部分W2(
図20参照)が載ることが可能な大きさを有するので、送り機構3による平角線Pの送り出し長さが長くなってコイル部分W2が第1天板11に載らない状態になっても、コイル部分W2が第2天板12の上に載ることによって、当該コイル部分W2が第1天板11と干渉するおそれがない。
【0081】
(3)
また、本実施形態では、芯部6aの型付け面6eの下縁の外周側に配置された内側支持部6bが平角線Pの下面内側の部分に接触して当該平角線Pを下方から支持することにより、内側支持部6bが第1天板11とともに平角線Pの上下方向への変位を規制して、平角線Pの内側部分における上面および下面のしわ抑えをしてしわの発生を防止することが可能である。また、芯部6aと内側支持部6bとが一体成形されているので、部品点数の増加を抑えることが可能である。
【0082】
(4)
本実施形態では、芯金6の当接部6cは、芯部6aにおける搬送方向Eの上流側に配置され、搬送方向Eの反対側を向く第2斜面6hを有する。第2斜面6hは、平角線Pのうち芯部6aよりも搬送方向Eの上流側に180度曲げられたコイル部分Wが搬送方向Eへ送り出されたときに、当該コイル部分Wを芯部6aよりも上に位置するように斜め上方へ案内する。この構成によれば、送り機構3によって平角線Pが搬送方向Eへ送り出される際に、平角線Pのうち芯部6aよりも搬送方向Eの上流側に曲げられたコイル部分Wは、当接部6cが有する第2斜面6hによって斜め上に案内されて、芯部6aの上を円滑に乗り越えることが可能である。したがって、平角線Pにおける180度曲げられて芯部6aよりも搬送方向Eの上流側に曲げられたコイル部分Wは、送り機構3によって平角線Pが搬送方向Eへ送り出されるときに、芯部6aに干渉するおそれがなくなる。
【0083】
(5)
また、本実施形態では、公転ローラ7における平角線Pに接触するローラ本体7aが自転可能であるので、平角線Pの側面との接触面における擦れが少なくなり、それにより、製造されるエッジワイズコイルの外周面の仕上りがきれいになる。
【0084】
(6)
また、本実施形態におけるコイルの製造方法は、上記の製造装置1を用いて、平角線Pをコイル状に曲げてエッジワイズコイルを形成するエッジワイズコイルの製造方法であって、送り機構3によって平角線Pを搬送方向へ送り出す工程と、平角線Pをその両側面から芯金6の当接部6cとグリッパ8とによって挟む工程と、第1天板11が平角線Pの上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板11が下方支持部15(具体的には、その外側支持部7cおよび内側支持部6b)とともに当該平角線Pの上下方向への変位を規制した状態で、公転ローラ7によって平角線Pを芯金6の芯部6aの型付け面6eに沿って所定の角度に曲げる工程と、グリッパ8移動機構によってグリッパ8を平角線Pから離して、平角線Pのクランプを解除する工程を含むものである。かかる特徴により、芯金の芯部6aよりも搬送方向Eの上流側において平角線Pをその両側面から芯金6の当接部6cとグリッパ8によって挟むとともに、第1天板11が平角線Pの上面の全幅にわたって当接または近接して、当該第1天板11が下方支持部15とともに平角線Pの上下方向への変位を規制した状態で、公転ローラ7によって平角線Pを芯金6の芯部6aの型付け面6eに沿って所定の角度に曲げることにより、平角線Pにしわが発生することなく、平角線Pの180度曲げが可能になる。しかも、従来のようなフランジを下方へ押し下げる機構およびフランジを回転させる機構など複雑な移動機構が不要になり、構造が簡単になる。
【0085】
(変形例)
(A)
なお、上記の実施形態では、ベンダとして自転可能な公転ローラを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、芯金の周囲を公転して芯部の型付け面に沿って平角線を折り曲げることが可能であれば、種々の形状および構造のベンダを採用することができ、例えば、自転しない部材をベンダとして用いてもよい。
【0086】
(B)
本実施形態では、公転ローラ7において、ローラ本体7aおよび第1天板11が一体成形されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを別々に製造した後にボルトで締結するなどして合体してもよい。また、第2天板12を上記の部材とともに一体成形してもよい。
【0087】
(C)
本実施形態では、第2天板12が第1天板11よりも大きな直径を有する円板であるが、本発明はこの形状に限定されるものではなく、本発明の第2天板12は、その外周縁が第1天板11の外周縁から外方に突出し、かつ、平角線Pによって形成されるコイル束Zの2段目以上のコイル部分W2が載ることが可能な大きさを有していればよく、種々の形状の第2天板12を採用することが可能である。その場合も、平角線Pの先端側のコイル部分Wが第2天板12の上に載ることによって、当該コイル部分W2が第1天板11と干渉するおそれがなくなる。
【0088】
(D)
本実施形態では、芯部6aの上流側を取り囲む平角線Pの曲げの一例として、180度の曲げを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、芯部6aの上流側を取り囲む曲げであれば、上記実施形態と同様に、簡単な構成で平角線の曲げられた部分と芯部6aとの干渉を防止することができるので、芯部6aの上流側を取り囲むような曲げを行うことによってエッジワイズコイルを製造することができる。また、本発明の製造装置を用いれば、楕円形状のコイルだけでなく、多角形形状のコイルも製造することが可能である。
【0089】
(E)
本実施形態では、芯部6aにおける搬送方向Eの上流側に配置された当接部6cが搬送方向Eの反対側を向く第2斜面6hを有する例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、当接部6cの上面を平坦にするとともに、当接部6cの上流側の位置に第2斜面6hを有する第2傾斜部を配置してもよい。
【0090】
(F)
本実施形態では、平角線Pを下方から支持する下方支持部15が、ローラ本体7aの外側支持部7cおよび芯金6の内側支持部6bの両方を有している例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外側支持部7cを省略して内側支持部6bを外側に拡大して内側支持部6bのみによって平角線Pを下方から支持したり、またはその反対に、内側支持部6bを省略して外側支持部7cを内側に拡大して外側支持部7cのみによって平角線Pを下方から支持するようにしてもよい。
【0091】
さらに、第1天板11とともに平角線Pを上下方向から規制することが可能な下方支持部であれば、他の部材を採用してもよく、例えば、台座13の上面13dを下方支持部として用いて平角線Pを下方から支持してもよい。