(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の調質機器の容器着脱装置において、前記可動側係合部を前記環状ロック部材の端面から軸方向に突出する突起部により形成し、前記可動側係合部が係合する固定側係合部を前記ポートブロックに形成することを特徴とする調質機器の容器着脱装置。
請求項2または3記載の調質機器の容器着脱装置において、前記可動側係合部を前記環状ロック部材に円周方向に180度隔てて2つ設け、前記可動側係合部が係合する固定側係合部を前記ポートブロックに形成することを特徴とする調質機器の容器着脱装置。
【背景技術】
【0002】
空気圧シリンダ等の空気圧機器には、配管やホース等の空圧ラインにより空気圧源から圧縮空気が供給される。空気圧源と空気圧機器との間を空圧ラインにより接続することにより空気圧回路が形成される。空気圧源から空気圧機器に供給される空気中の液滴や塵を除去するためにフィルタが空気圧回路に設けられている。空気圧機器に潤滑油を常時供給するときには、圧縮空気中に霧状の潤滑油を注入するルブリケータが空気圧回路に設けられている。
【0003】
フィルタおよびルブリケータは、空気圧機器に供給される圧縮空気の圧力を調整するレギュレータを含めて調質機器またはFRLと言われている。フィルタは空気圧源から供給される空気中の水分や塵や油分を捕捉して収容するためにフィルタボウルつまり容器を有している。特許文献1に記載されるフィルタは、1次側ポートから流入した空気の中の液滴や異物を除去して清浄化された空気を2次側ポートに流出するために、フィルタエレメントが捕集容器内に取り付けられている。このフィルタの捕集容器の底部には、内部に貯溜した液体を排出するためのドレン排出機構が設けられている。
【0004】
ルブリケータは圧縮空気中に注入される潤滑油を収容するために容器を有しており、2次側ポートに流出する空気には容器に収容された潤滑油が霧状に供給される。このように、容器を有する調質機器においては、1次側ポートと2次側ポートとが形成されたポートブロックに調質機器が収容された容器が取り付けられるようになっている。フィルタやルブリケータは、それぞれポートブロックを有していることから、特許文献2には、レギュレータを含めて共用化したポートブロックつまりポートユニットが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルタやルブリケータ等の調質機器においては、従来、捕集容器をポートブロックに対して着脱自在に装着するとともに、捕集容器にはポートブロックから捕集容器が外れないようにするためにねじ構造とロックボタンが設けられている。
【0007】
図9は従来のフィルタを示す斜視図であり、ポートブロック61には環状部62が設けられており、捕集容器63が環状部62の内側にねじ結合されるようになっている。捕集容器63に設けられたロックボタン64押すと捕集容器63のポートブロック61に対するロックが解除され、捕集容器63を左方向に回転させてねじを緩めると、捕集容器63をポートブロック61から取り外すことができる。ロックボタン64に対応する係合部分がポートブロック61の環状部62に円周方向に90度の間隔で4個所設けられている。したがって、捕集容器63をポートブロック61に取り付けるときには、ロックボタン64を4つの係合部分のいずれかに係合させることになる。
【0008】
フィルタ等の調質機器の多くは、ポートブロックに固定される取付金具により壁面に設置されている。このため、壁面に設置されたポートブロックに下側から捕集容器を取り付けるときに、捕集容器をポートブロックに差し込んで右方向に回転してロックすると、ロックボタンが壁面側に回り込んでしまうことがある。このようにして捕集容器がポートブロックに取り付けられると、捕集容器を取り外す際に、外側からロックボタンが見えないだけでなく、作業者が手先を調質機器と壁面の間の狭い所にあるロックボタンにまで入り込ませることができなくなるので、捕集容器をポートブロックから容易に取り外すことができない。
【0009】
したがって、従来の調質機器においては、捕集容器のロックボタンの位置を確認して捕集容器を回転させた後のロックボタンの位置を推測する必要があり、捕集容器のポートブロックに対する取付作業を迅速に行うことができない。一方、捕集容器が取り付けられたときにおけるロックボタンの位置によっては、捕集容器をポートブロックから取り外す操作を容易に行うことができない。このように、従来の調質機器においては、捕集容器のポートブロックに対する取付作業と取り外し作業、つまり着脱作業を容易に行うことができないという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、調質機器の捕集容器をポートブロックに対する着脱作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の調質機器の容器着脱装置は、圧縮空気が供給される1次側ポート、および圧縮空気を吐出する2次側ポートが形成されたポートブロックと、前記ポートブロックに設けられた雄ねじ部にねじ結合される雌ねじ部が開口端部の内側に設けられ円筒形状の捕集容器と、前記捕集容器の開口端部の外側に前記捕集容器の軸方向に移動自在に装着される環状ロック部材と、前記環状ロック部材の内側に設けられ、前記環状ロック部材を軸方向に前記ポートブロックに向けて押圧する付勢部材と、前記環状ロック部材に設けられ、前記雌ねじ部と前記雄ねじ部との締結完了位置まで前記捕集容器を回転させたときに前記ポートブロック側の固定側係合部に係合する可動側係合部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記可動側係合部を前記環状ロック部材の端面から軸方向に突出する突起部により形成し、前記可動側係合部が係合する固定側係合部を前記ポートブロックに形成することを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記可動側係合部を前記環状ロック部材の端面から軸方向に切り欠かれる凹部により形成し、前記可動側係合部が係合する固定側係合部を前記ポートブロックに形成することを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記可動側係合部を前記環状ロック部材に円周方向に180度隔てて2つ設け、前記可動側係合部が係合する固定側係合部を前記ポートブロックに形成することを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記環状ロック部材の内周面に前記ポートブロックに向けて径方向内方に傾斜して設けられた傾斜先端が径方向に変位するように弾性変形する舌片と、前記捕集容器の外周面に前記捕集容器の底部に向けて径方向外方に傾斜して設けられ、前記舌片が接触する傾斜面とにより前記付勢部材を形成することを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部はそれぞれ多条ねじであることを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記1次側ポートから前記2次側ポートに流れる空気に含まれ
る異物を除去するフィルタエレメントを前記ポートブロックに装着し、前記2次側ポートから流出する空気を清浄化することを特徴とする。本発明の調質機器の容器着脱装置は、前記雄ねじ部にねじ結合される付加的雌ねじ部が一端部に設けられ、前記雌ねじ部がねじ結合される付加的雄ねじ部が他端部に設けられた円筒体と、前記円筒体の一端部の外側に軸方向に移動自在に装着される付加的環状ロック部材と、前記付加的環状ロック部材の内側に設けられ前記付加的環状ロック部材を前記円筒体の軸方向に向けて押圧する付加的付勢部材と、前記円筒体に設けられたフランジに形成され、前記可動側係合部が係合する固定側係合部とを備えるアダプタを有し、前記捕集容器を前記アダプタにより前記ポートブロックに連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、捕集容器の開口端部には捕集容器の軸方向に移動自在に環状ロック部材が設けられ、この環状ロック部材にはポートブロックに係合する可動係合部が設けられている。環状ロック部材はリング状に全周に渡っているので、環状ロック部材の回転方向の位置がポートブロックに対してどの位置となっていても、環状ロック部材を長手方向に移動させて捕集容器を回転させることにより捕集容器をポートブロックから取り外すことができる。一方、捕集容器をポートブロックに装着するには、捕集容器を締結完了位置まで回転操作することにより、環状ロック部材の可動係合部がポートブロックに係合して捕集容器をポートブロックに締結することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図5に示すフィルタ10aは、1次側ポート11と2次側ポート12とが形成された金属製のポートブロック13を有している。1次側ポート11には図示しない配管等からなる1次側の空圧ラインが接続されるようになっており、この空圧ラインを介して1次側ポート11には圧縮空気源からの圧縮空気が供給される。2次側ポート12には図示しない配管等からなる2次側の空圧ラインが接続されるようになっており、液滴等が除去されて清浄化された空気は空圧ラインを介して2次側ポートから外部の空気圧機器に案内される。1次側ポート11と2次側ポート12は、それぞれポートブロック13の反対側の側面に開口している。それぞれのポートが開口されたポートブロック13の側面はほぼ平坦となっており、ポートブロック13は
図1、
図2に示されるように、全体的に立方体に近い形状となっている。
【0016】
ポートブロック13には
図5に示されるように収容孔14が形成されており、1次側ポート11は収容孔14の内周面に連通している。ポートブロック13の中心部には、2次側ポート12に連通する取付孔15が形成されている。円筒形状のフィルタエレメント16がホルダー17に取り付けられており、このホルダー17によりフィルタエレメント16がポートブロック13の内部に取り付けられる。このホルダー17はフィルタエレメント16よりも小径の円筒部18aと、これの下端部に設けられる端板部18bと、円筒部18aの上端部に設けられる取付部18cとを有している。ホルダー17の取付部18cには雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部がねじ結合される雌ねじ部が取付孔15に形成されている。
【0017】
フィルタエレメント16はホルダー17に取り付けられ、ルーバとして機能する止めリング19と、端板部18bとの間で挟持された状態となってホルダー17に取り付けられる。フィルタエレメント16と円筒部18aとの間には連通隙間21が形成され、この連通隙間21は円筒部18aに形成された連通孔22と取付孔15を介して2次側ポート12に連通している。したがって、1次側ポート11に図示しない空気圧供給源から供給された圧縮空気に含まれる液滴や粒子等の異物はフィルタエレメント16により除去され、清浄化された空気が2次側ポート12から外部に供給される。
【0018】
ポートブロック13の下端部には円筒形状の雄ねじ部23が設けられており、この雄ねじ部23には捕集容器24が装着される。捕集容器24はフィルタボウルとも言われ、円筒部25aとこれの下端部に一体となった底壁部25bとを有し、透明性の樹脂材料により形成され、内部は貯溜室26となっている。捕集容器24の上端部は開口部となっており、開口端部の内面は雌ねじ部27となっている。雌ねじ部27には、ポートブロック13の雄ねじ部23に設けられたねじ山28がねじ結合されるねじ溝29が形成されている。ねじ山28とねじ溝29は、
図3に示されるように、それぞれ円周方向にほぼ180度ずれた始端部28a,29aを有する右ねじの2条ねじとなっており、捕集容器24を回転させるときに軸方向に移動する距離、つまりリードはねじ山28のピッチの2倍となっている。ねじ山28とねじ溝29を3条ねじとすると、リードはねじ山28のピッチの3倍となる。ねじ山28とねじ溝29を1条ねじとすることなく、2条ねじあるいは3条ねじ等の多条ねじとすることにより、捕集容器24の移動ストロークが一定でありながら、捕集容器24の回転角度を小さくして捕集容器24のポートブロック13に対する着脱操作を行うことができる。
【0019】
捕集容器24の開口端部の外側には樹脂製の環状ロック部材31が軸方向つまり捕集容器24の長手方向に移動自在に装着されている。捕集容器24の外周面には円周方向に180度ずらして2つの凸状のガイド部32が設けられており、
図3に示されるように、この凸状のガイド部32が入り込む凹状のガイド部33が環状ロック部材31の内周面に形成されている。したがって、環状ロック部材31は凹状のガイド部33内に入り込む凸状のガイド部32により案内されて捕集容器24の外側で長手方向に移動する。また、凹状のガイド部33の側壁33aは凸状のガイド部32の側面32aに接触するようになっており、両方のガイド部32,33によって環状ロック部材31の回転が防止される。凹状のガイド部33に対応する環状ロック部材31の外面は樹脂の肉厚を均一にするために径方向外方に突出した突起部34となっている。凹状のガイド部33には凸状のガイド部32の端部32bが当接するストッパ35が設けられており、このストッパ35がガイド部32の端部32bに当接することにより環状ロック部材31は捕集容器24の底壁部25bに向かう方向の位置が規制される。
【0020】
図3に示されるように、捕集容器24の外周面には突状のガイド部32に対して円周方向に90度ずらして2つの傾斜突起36が設けられている。傾斜突起36は捕集容器24の底部に向けて径方向外方に傾斜した傾斜面37を有している。一方、環状ロック部材31の内周面には、
図4に示されように、ポートブロック13に向けて径方向内方に傾斜するとともに傾斜面37に接触する舌片38が環状ロック部材31の内方に突出して設けられている。環状ロック部材31のうち舌片38が設けられた部分は凹状となっており、この凹状の部分に対応する環状ロック部材31の外面は突起部39となっている。
【0021】
舌片38は弾性変形する樹脂材料により環状ロック部材31とともに一体に形成されており、先端部側が径方向に変位するように弾性変形する。
図4に示すように、舌片38はその先端つまり傾斜先端が径方向内側方向に傾斜している。舌片38と一体となっている環状ロック部材31は弾性変形可能な樹脂で成形されているので、舌片38の傾斜先端は径方向外向きの力によって弾性変形可能となっている。これにより、環状ロック部材31を捕集容器24の底部に向けて長手方向に移動させると、
図5(B)に示すように、舌片38の先端部側が傾斜面37に沿ってすべり径方向外方に変位するように弾性変形する。弾性変形した舌片38の反発力により、環状ロック部材31には捕集容器24の開口端部に向かう方向の押圧力が付勢される。したがって、
図5(B)に示すように環状ロック部材31を捕集容器24の底部に向けて手動でロック解除位置まで移動させた状態のもとで、環状ロック部材31から手を離すと、押圧力により環状ロック部材31は自動的に元の位置に戻ることになる。このように、傾斜面37を有する傾斜突起36と舌片38とにより環状ロック部材31をポートブロック13に向けて押圧する押圧部材が形成される。押圧部材として環状ロック部材31と捕集容器24との間にばね部材を組み込むことも可能であるが、樹脂製の環状ロック部材31の一部を利用することにより、簡単な構造で環状ロック部材31に押圧力を加えることができる。
【0022】
内面に凹状のガイド部33が設けられた突起部34は、環状ロック部材31のポートブロック側の端面よりも軸方向に突出しており、突出端部は可動側係合部41となっている。一方、ポートブロック13の角部端面には可動側係合部41が係合する凹部が形成されており、この凹部は固定側係合部42となっている。ポートブロック13の突き当て端面40と固定側係合部42との間には軸方向の段差部によりストッパ面42aが形成されている。一方、可動側係合部41の両側面はストッパ面42aに対向するストッパ面41aとなっている。
【0023】
ねじ山28とねじ溝29は右ねじの2条ねじとなっているので、可動側係合部41は捕集容器24の開口端部をポートブロック13に設けられた雄ねじ部23に嵌め合わせた状態のもとで、右方向にほぼ半回転させると、雄ねじ部23と雌ねじ部27とのねじ結合が完了する位置となる。ねじ結合が完了する手前の回転段階では、可動側係合部41がポートブロック13の突き当て端面40に当たる。この突き当て端面40は環状ロック部材31の回転を許容する回転許容部となっており、可動側係合部41は突き当て端面40に当たって滑る。捕集容器24がねじ結合完了位置まで回転されると、舌片38の弾性力により環状ロック部材31が長手方向に移動し、可動側係合部41は固定側係合部42内に係合する。つまり環状ロック部材31のストッパ面41aと固定側係合部42のストッパ面42aとが当接するので、環状ロック部材31は逆方向には回らないロック位置となる。これにより、捕集容器24の左方向の回転が阻止されて捕集容器24が緩むことが防止される。このときには、環状ロック部材31のポートブロック13側の端面は、ポートブロック13の突き当て端面40に当接する。
【0024】
一方、捕集容器24をポートブロック13から取り外すには、環状ロック部材31を
図1に示すロック位置から
図2に示すロック解除位置に軸方向に移動することにより、つまり環状ロック部材31を捕集容器24の底部側に向けて移動させて可動側係合部41と固定側係合部42との係合を解除する。つまり、可動側係合部41のストッパ面41aと固定側係合部42のストッパ面42aとが当接しない。この状態のもとで捕集容器24を左方向に2分の1回転させると、捕集容器24とポートブロック13とのねじ結合が解除される。
【0025】
円筒形状の捕集容器24の開口端部には、その外周面全体を覆うように環状ロック部材31が取り付けられているので、ポートブロック13が壁面等の取付面にどのような姿勢で取り付けられたとしても、環状ロック部材31の全体が壁面等によって覆われることがない。フィルタ10aがどのような姿勢となっても、必ず環状ロック部材31が外部から観察される。したがって、環状ロック部材31を手に持ってこれを捕集容器24の底部側に移動させると、環状ロック部材31により捕集容器24のロックが解除される。この状態のもとで、捕集容器24を左方向に約180度回転させると、捕集容器24をポートブロック13から取り外すことができる。
【0026】
一方、捕集容器24をポートブロック13に取り付けるときには、雄ねじ部23の外側に捕集容器24の開口端部を嵌め合わせた後に、捕集容器24を180度右回転させる。捕集容器24のガイド部と環状ロック部材31のガイド部33が
互いの回転を規制しているので、環状ロック部材31は捕集容器24とともに回転する。これにより、環状ロック部材31の可動側係合部41がポートブロック13の固定側係合部42に対向する位置となると、環状ロック部材31は舌片38の弾性力により可動側係合部41が固定側係合部42内に係合する。このように、捕集容器24のポートブロック13に対する取付操作は、捕集容器24を回転させるだけで良く、捕集容器24のロック操作は自動的に行われることになる。
【0027】
上述のように、捕集容器24のポートブロック13に対する取付操作と取り外し操作を容易に行うことができる。
【0028】
固定側係合部42は、ほぼ立方体形状のポートブロック13の角部の端面に形成されているので、
図1および
図2に示されるように、それに対応させて環状ロック部材31に外方に突出して設けられた突起部34がポートブロック13の側面から径方向外方に突出することがない。突起部34に対する円周方向にほぼ90度ずれた位置の突起部39は、4つの角部のうちの他の2つの角部に対応しており、それぞれの突起部39がポートブロック13の側面から径方向外方に突出することがない。したがって、フィルタ10aが空気圧回路に使用されているときに、それぞれの突起部34,39に物体が触れることが防止される。
【0029】
図1〜
図5に示すフィルタ10aは、1次側ポート11から流入した空気の中に粉塵や水分油分液体等の異物が含まれていると、異物はフィルタエレメント16により捕捉されて下方に落下する。これにより、清浄化された空気が2次側ポート12から外部に案内され、捕集容器24内に落下した異物は捕集容器24の貯溜室26内に貯溜される。捕集容器24は透明樹脂により形成されているので、捕集容器24内に貯溜された液体量は外部から観察され、液位が高くなったら、捕集容器24を取り外して液体が廃棄される。
【0030】
図6は本発明の他の実施の形態であるフィルタ10bを示す断面図であり、このフィルタ10bはドレン排出機構を備えている。
図6に示すドレン排出機構43は手動式となっており、捕集容器24の底壁部25bに形成された取付孔44に取り付けられる案内筒45を有している。この案内筒45に形成された雌ねじには、円筒形状のドレンコック46の雄ねじがねじ結合されており、ドレンコック46を回転させると、ドレンコック46は軸方向に移動するようになっている。ドレンコック46には排出孔47が形成された弁体48が取り付けられている。したがって、ドレンコック46を回転させることにより弁体48を開放させると、捕集容器24内の液体が外部に排出される。
図6に示すフィルタ10bにおいては、捕集容器24にドレンコックが設けられていることを除いて、他の構造は上述したフィルタ10aと同様である。
【0031】
なお、
図6に示すドレンコック46は手動式となっているが、液位が上昇すると、自動的に液体を外部に排出されるようにしたオートドレンを捕集容器内に組み込むと、オートドレンタイプのフィルタとなる。また、捕集容器24内の貯溜室26に空気が供給されなくなると、自動的に排出口が開放されるようになったセミオートドレンタイプのドレンを捕集容器内に組み込むと、セミオートドレンタイプのフィルタとなる。
【0032】
図7は本発明の他の実施の形態であるフィルタ10cを示す断面図であり、このフィルタ10cはアダプタ
50を備えている。このフィルタ10cは、
図1〜
図5に示したフィルタ10aと同一のポートブロック13と捕集容器24とを有している。ポートブロック13に取り付けられるフィルタエレメント16aは、上述したフィルタエレメント16よりも長い寸法となっており、ホルダー17aも長い寸法となっている。長いフィルタエレメント16aをフィルタ10c内に組み込むために、捕集容器24とポートブロック13との間には、アダプタ50が装着される。これにより、フィルタ10aの捕集容器24とそれぞれ同一サイズの捕集容器24とポートブロック13とを用いて、大型のフィルタ10cを組み立てることができる。
【0033】
アダプタ50は円筒体51を有しており、この円筒体51の
図7における軸方向下端部には付加的雄ねじ部52が形成されている。この付加的雄ねじ部52に設けられたねじ山53は、ポートブロック13に設けられた雄ねじ部23のねじ山28と同様の右ねじの2条ねじとなっている。これにより、
図7に示すように、捕集容器24の雌ねじ部27をアダプタ50の付加的雄ねじ部52にねじ結合することができる。円筒体51の軸方向上方端部には付加的雌ねじ部54が形成されている。この付加的雌ねじ部54に設けられたねじ溝55は、捕集容器24に設けられた雌ねじ部27のねじ溝29と同様の右ねじの2条ねじのねじ溝となっている。これにより、アダプタ50の円筒体51をポートブロック13の雄ねじ部23にねじ結合することができる。
【0034】
円筒体51にはフランジ56が設けられており、このフランジ56の端面57には環状ロック部材31の端面が当接するようになっている。フランジ56には環状ロック部材31の可動側係合部41に対応させて凹状の固定側係合部58が形成されている。したがって、捕集容器24に設けられた環状ロック部材31の可動側係合部41がフランジ56に係合し、環状ロック部材31により捕集容器24がロックされる。
【0035】
円筒体51の外周面には、捕集容器24の開口部外周面と同様に、2つのガイド部32と2つの傾斜突起36が設けられている。円筒体51には付加的環状ロック部材59がアダプタ50の軸方向に沿って移動自在に装着されている。この付加的環状ロック部材59は、捕集容器24に装着される環状ロック部材31と同一の形状となっている。したがって、付加的環状ロック部材59には、アダプタ50に設けられた凸状のガイド部32が入り込む凹状のガイド部33が設けられるとともに、傾斜突起36の傾斜面37に接触する舌片38が設けられている。
【0036】
図7に示すように、捕集容器24に設けられた環状ロック部材31と同一形状の付加的環状ロック部材59が設けられたアダプタ50を、
図1〜
図5に示したフィルタ10aに付加することにより、フィルタ10aを構成するポートブロック13と捕集容器24をそのまま利用して長寸のフィルタ10cを組み立てることができる。
【0037】
図7に示すアダプタ50を
図6に示すフィルタ10bに組み込むと、ドレンコックを備えた長寸のフィルタとなる。長寸のフィルタのドレン形態には、上述のように、オートドレンタイプとセミオートドレンタイプとがある。
【0038】
図8は本発明の他の実施の形態であるフィルタ10dを示す斜視図である。このフィルタ10dのポートブロック13には突起部が設けられており、この突起部は固定側係合部42となっている。これに対し、環状ロック部材31には突起部からなる固定側係合部42が係合する可動側係合部41が形成されている。
図1〜
図7に示した環状ロック部材31に設けられた可動側係合部41は突起部となっており、可動側係合部41はポートブロック13に形成された凹部からなる固定側係合部42に係合するようになっているのに対し、
図8に示したフィルタ10dにおいては、凹凸関係が逆となっている。
【0039】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施の形態としては、本発明が適用されたフィルタを示すが、この発明をルブリケータに適用しても良い。その場合には、捕集容器24内に予め収容された潤滑油が1次側ポートに供給される空気に霧状に供給されて2次側ポートから流出する。