特許第5663419号(P5663419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663419
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】電子回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20150115BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H05K9/00 G
   H05K1/14 D
   H05K1/14 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-146366(P2011-146366)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-16544(P2013-16544A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2013年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正己
(72)【発明者】
【氏名】寺島 公則
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−029784(JP,A)
【文献】 実開昭62−091499(JP,U)
【文献】 特開平08−293687(JP,A)
【文献】 特開2003−179323(JP,A)
【文献】 実開平01−097588(JP,U)
【文献】 特開平11−163573(JP,A)
【文献】 実開平02−142599(JP,U)
【文献】 特開2003−078278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0008558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波回路部品が配設されると共に複数の挿通孔を有する回路基板と、この回路基板の一辺端部から導出された外部接続端子群と、前記回路基板に取り付けられて前記高周波回路部品を覆う金属板製のシールドカバーとを備え、前記外部接続端子群に、前記回路基板の一辺端部に挿着される第1端子部と、該第1端子部に対し略直角な向きに延出してマザーボードのスルーホールに挿通される第2端子部とが設けられていると共に、前記シールドカバーに、前記回路基板の前記挿通孔に挿通される複数の取付片と、前記第2端子部と略平行に延出して前記マザーボードの取付孔に挿通される取付脚とが突設されており、前記マザーボードに対して起立した姿勢で配置される縦置き実装型の電子回路モジュールであって、
複数の前記取付片が、前記回路基板の一辺端部近傍に形成された第1の挿通孔に挿通される第1の弾性取付片と、前記回路基板の一辺端部と対向している他辺端部に形成された第2の挿通孔に挿通される第2の弾性取付片とを含み、これら第1および第2の弾性取付片を前記回路基板の背面側でそれぞれ対応する前記挿通孔のエッジ部に弾接させて、前記第1の弾性取付片と前記第2の弾性取付片のうちの一方によって前記回路基板を一辺端側へ弾性付勢し、且つ、他方によって前記回路基板を他辺端側へ弾性付勢することによって、前記シールドカバーが前記回路基板に仮固定されるようになし、前記取付脚の基端に連続して形成された段部を前記マザーボードの表面に当接することによって、前記取付孔に対する前記取付脚の挿入量が規定されるように構成したことを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記外部接続端子群を絶縁性の保持体で保持してなるコネクタ部材を備えており、前記回路基板の一辺端部に前記第1端子部を挿通させる端子孔が設けられていると共に、前記シールドカバーに前記保持体を前記回路基板の一辺端部に圧接させる押え片が突設されており、且つ、前記取付脚が前記シールドカバーの幅方向両側にそれぞれ複数設けられ、これら各取付脚で囲われた範囲内に前記第2端子部が設けられていることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記第1および第2の弾性取付片を除く複数の前記取付片をそれぞれ対応する前記挿通孔に挿通することによって、前記回路基板の面内方向に沿う前記シールドカバーの取付位置が規定されると共に、前記シールドカバーの側壁を前記回路基板の部品搭載面に当接させることによって、前記回路基板の板厚方向に沿う前記シールドカバーの取付位置が規定されることを特徴とする電子回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波回路部品が配設された回路基板にシールドカバーが取り付けられた電子回路モジュールに係り、特に、マザーボードに対して起立した姿勢で配置される縦置き実装型の電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板にシールドカバーが取着されている電子回路モジュールをマザーボードに実装する場合、回路基板やシールドカバーをマザーボードに沿って平行に配置させることが多いが、こうすると電子回路モジュールに必要な実装面積が広くなってしまう。そこで、マザーボード上に広い実装領域が確保できない場合などには、マザーボードに対して起立した姿勢で配置される縦置き実装型の電子回路モジュールを使用することがある。
【0003】
従来より、このような縦置き実装型の電子回路モジュールとして、シールドカバーに形成した複数の舌片を回路基板の対応する挿通孔に挿通して接地導体部に半田付けすることにより、これらシールドカバーと回路基板とを一体化しておき、実装時にシールドカバーの取付脚をマザーボードの対応する取付孔に挿通して接地導体パターンに半田付けできるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来の電子回路モジュールでは、回路基板の一辺端部から導出されている外部接続端子群がマザーボードの対応するスルーホールに挿通されて半田付けされるため、これら外部接続端子群とシールドカバーの取付脚とがマザーボードに機械的に固定された状態で実装される。それゆえ、車室内のように振動や衝撃が加わる環境下においても、マザーボード上で起立する電子回路モジュールがぐらついたり倒れたりする虞はない。また、かかる従来の電子回路モジュールでは、シールドカバーの舌片が回路基板の接地導体部に導通されていると共に、実装時にシールドカバーの取付脚がマザーボードの接地導体パターンに導通されるため、金属板からなるシールドカバーを利用してグラウンド機能が強化できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−19426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した従来の電子回路モジュールでは、シールドカバーの複数箇所に形成した舌片を回路基板の対応する挿通孔に挿通することによって、回路基板に対するカバーの取付位置がほぼ規定できるようになっている。しかしながら、挿入の作業性を考慮して挿通孔が舌片に対して幾分大きめに設定されているため、半田付けする前の挿通孔と舌片との間にガタが発生し、若干の位置ずれが生じたままシールドカバーが回路基板に半田付けされてしまう可能性が高い。すなわち、かかる従来例においては、回路基板に対するシールドカバーの取付位置がばらつきやすく、外部接続端子群とシールドカバーの取付脚とが所望の相対位置関係に設定されないことがあるため、これら外部接続端子と取付脚をマザーボードのスルーホールと取付孔にそれぞれ挿通させることが困難となり、電子回路モジュールの実装不良を招来する虞があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、マザーボードに対する実装不良を回避しやすい縦置き実装型の電子回路モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、高周波回路部品が配設されると共に複数の挿通孔を有する回路基板と、この回路基板の一辺端部から導出された外部接続端子群と、前記回路基板に取り付けられて前記高周波回路部品を覆う金属板製のシールドカバーとを備え、前記外部接続端子群に、前記回路基板の一辺端部に挿着される第1端子部と、該第1端子部に対し略直角な向きに延出してマザーボードのスルーホールに挿通される第2端子部とが設けられていると共に、前記シールドカバーに、前記回路基板の前記挿通孔に挿通される複数の取付片と、前記第2端子部と略平行に延出して前記マザーボードの取付孔に挿通される取付脚とが突設されており、前記マザーボードに対して起立した姿勢で配置される縦置き実装型の電子回路モジュールにおいて、複数の前記取付片が、前記回路基板の一辺端部近傍に形成された第1の挿通孔に挿通される第1の弾性取付片と、前記回路基板の一辺端部と対向している他辺端部に形成された第2の挿通孔に挿通される第2の弾性取付片とを含み、これら第1および第2の弾性取付片を前記回路基板の背面側でそれぞれ対応する前記挿通孔のエッジ部に弾接させて、前記第1の弾性取付片と前記第2の弾性取付片のうちの一方によって前記回路基板を一辺端側へ弾性付勢し、且つ、他方によって前記回路基板を他辺端側へ弾性付勢することによって、前記シールドカバーが前記回路基板に仮固定されるようになし、前記取付脚の基端に連続して形成された段部を前記マザーボードの表面に当接することによって、前記取付孔に対する前記取付脚の挿入量が規定されるように構成した。
【0008】
このように構成された電子回路モジュールは、シールドカバーを回路基板に取り付ける際に、第1の弾性取付片と第2の弾性取付片を第1の挿通孔と第2の挿通孔にそれぞれ挿通すると、これら第1および第2の弾性取付片が互いに離反する向き、もしくは互いに近接する向きに回路基板の対応する挿通孔のエッジ部に弾接することで、シールドカバーが回路基板の所定位置に仮固定された状態になる。したがって、シールドカバーを高い位置精度で回路基板に容易に組み付けることができ、外部接続端子群とシールドカバーの取付脚との相対位置関係が安定したものとなる。また、シールドカバーには取付脚の基端に連続する段部が形成されており、取付脚を対応する取付孔に挿入していくと、この段部がマザーボードの表面に当接することによって、取付孔に対する取付脚の挿入量が規定されるようになっているため、シールドカバーの傾きが段部によって防止される。その結果、マザーボードへの実装時に、これら外部接続端子と取付脚をマザーボードのスルーホールと取付孔にそれぞれ挿通して電子回路モジュールを起立せしめる作業が常に支障なく行えるようになる。
【0009】
上記の構成において、外部接続端子群を絶縁性の保持体で保持してなるコネクタ部材を備えており、回路基板の一辺端部に第1端子部を挿通させる端子孔が設けられていると共に、シールドカバーに保持体を回路基板の一辺端部に圧接させる押え片が突設されており、且つ、取付脚がシールドカバーの幅方向両側にそれぞれ複数設けられ、これら各取付脚で囲われた範囲内に第2端子部が設けられていると、外部接続端子群を回路基板の所定位置に容易に配設することができるため好ましい。すなわち、保持体に一体化されている外部接続端子群の各第1端子部を対応する端子孔に挿通させることは容易であり、こうして第1端子部を端子孔に挿通させたまま押え片を保持体に弾接させてコネクタ部材の浮きを防止すれば、回路基板に対する外部接続端子群の取付位置を高精度に規定でき、コネクタ部材とマザーボードとの位置関係も安定する。
【0010】
また、上記の構成において、第1および第2の弾性取付片を除く複数の取付片をそれぞれ対応する挿通孔に挿通することによって、回路基板の面内方向に沿うシールドカバーの取付位置が規定されると共に、シールドカバーの側壁を回路基板の部品搭載面に当接させることによって、回路基板の板厚方向に沿うシールドカバーの取付位置が規定されるようにしてあると、極めて高い位置精度でシールドカバーが回路基板の所定位置に容易に仮固定できるようになるため好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明による縦置き実装型の電子回路モジュールは、シールドカバーを回路基板に取り付ける際に、シールドカバーの第1の弾性取付片と第2の弾性取付片を回路基板の第1の挿通孔と第2の挿通孔にそれぞれ挿通することによって、シールドカバーを回路基板の所定位置に仮固定できるため、このシールドカバーを高い位置精度で回路基板に容易に組み付けることができ、外部接続端子群とシールドカバーの取付脚との相対位置関係が安定したものとなる。また、シールドカバーには取付脚の基端に連続する段部が形成されており、取付脚を対応する取付孔に挿入していくと、この段部がマザーボードの表面に当接することによって、取付孔に対する取付脚の挿入量が規定されるようになっているため、シールドカバーの傾きが段部によって防止される。したがって、マザーボードへの実装時に、これら外部接続端子と取付脚をマザーボードのスルーホールと取付孔にそれぞれ挿通して電子回路モジュールを起立せしめる作業が常に支障なく行えるようになる。それゆえ、本発明によれば、組立性が良好で実装不良を回避しやすい縦置き実装型の電子回路モジュールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態例に係る電子回路モジュールの分解斜視図である。
図2】該電子回路モジュールをシールドカバー側から見た正面図である。
図3】該電子回路モジュールの背面図である。
図4図2のA−A線に沿う断面図である。
図5図2のB部拡大図である。
図6図5のD−D線に沿う断面図である。
図7図2のC部拡大図である。
図8図7のE−E線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態例について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態例に係る電子回路モジュール1は、マザーボード20に対して起立した姿勢で配置される縦置き実装型である。
【0014】
図1図4に示すように、この電子回路モジュール1は、部品搭載面2aに高周波回路部品3(図2参照)が配設された回路基板2と、外部接続端子群5を絶縁性の保持体6で保持してなるコネクタ部材4と、高周波回路部品3を覆うように回路基板2に取り付けられた金属板からなるシールドカバー7とによって主に構成されている。コネクタ部材4は回路基板2の一辺端部2b(図2図4における下端部)に取り付けられており、L字状に折曲された多数本の外部接続端子群5が所定の配列で保持体6に固定されている。また、シールドカバー7には、幅方向両端から垂下する複数の取付脚8と、コネクタ部材4の保持体6に弾接させるための一対の押え片9と、回路基板2に取り付けるために側壁7aから突出する複数の取付片(接続取付片10および弾性取付片11,12)とが設けられている。なお、図4図2のA−A線に沿う断面図であり、この図4図1において高周波回路部品3等は図示省略してある。
【0015】
回路基板2の一辺端部2bには、外部接続端子群5を挿着させるための端子孔13が列状に設けられている。これら端子孔13にはスルーホールと同様の導電部が形成されており、該導電部が高周波回路部品3を含む電気回路の図示せぬ配線パターンに接続されている。また、回路基板2には、高周波回路部品3を包囲するように複数の挿通孔(スルーホール14および係止孔15,16)が設けられている。
【0016】
スルーホール14は回路基板2の外周部やその近傍に分散して複数形成されている。各スルーホール14にはシールドカバー7の対応する接続取付片10が挿通されており、両者14,10が半田付けされるようになっている。なお、これらスルーホール14は、前記電気回路のグラウンドとして機能する図示せぬ接地導体パターンに接続されている。
【0017】
係止孔15は回路基板2の一辺端部2b近傍に長孔として形成されており、その長軸方向は回路基板2の一辺端部2bと一致している。図6に示すように、この係止孔15にはシールドカバー7の第1の弾性取付片11が挿通されており、回路基板2の背面側において、第1の弾性取付片11の谷折先端部11aが係止孔15のエッジ部の図示下縁に弾接して係止されるようになっている。なお、図6図5のD−D線に沿う断面図であり、図5図2のB部拡大図である。
【0018】
係止孔16は回路基板2の一辺端部と対向している他辺端部2c(図2図4における上端部)に長孔として一対形成されており、それぞれの長軸方向は回路基板2の他辺端部2cと一致している。図8に示すように、この係止孔16にはシールドカバー7の第2の弾性取付片12が挿通されており、回路基板2の背面側において、第2の弾性取付片12の山折先端部12aが係止孔16のエッジ部の図示上縁に弾接して係止されるようになっている。なお、図8図7のE−E線に沿う断面図であり、図7図2のC部拡大図である。
【0019】
一方、コネクタ部材4の外部接続端子群5には、回路基板2の一辺端部2bで端子孔13に挿着される複数本の第1端子部5aと、第1端子部5aに対し略直角な向きに延出してマザーボード20のスルーホール21に挿通される複数本の第2端子部5bとが設けられている。第1端子部5aは、対応する端子孔13に挿通された後、この端子孔13の導電部に半田付けされる。また、外部接続端子群5を保持している横長の保持体6は、各第1端子部5aを対応する端子孔13に挿通した状態で、シールドカバー7の押え片9に弾性付勢されて回路基板2の一辺端部2bに圧接される。なお、外部接続端子群5の第2端子部5bは、対応するスルーホール21に半田付けされてマザーボード20側の外部回路と電気的に接続されるようになっている。
【0020】
シールドカバー7は、複数の取付片(接続取付片10および弾性取付片11,12)を回路基板2の対応する挿通孔(スルーホール14および係止孔15,16)に挿通することによって、この回路基板2の所定位置に仮固定されるようになっている。すなわち、シールドカバー7を回路基板2に取り付ける際に、第1の弾性取付片11と第2の弾性取付片12を係止孔15と係止孔16にそれぞれ挿通すると、図3に示すように、これら第1および第2の弾性取付片11,12が互いに離反する向きに回路基板2(対応する係止孔15,16のエッジ部)に弾接するため、シールドカバー7は回路基板2に仮固定された状態となる。
【0021】
かかるシールドカバー7の取付時において、第1および第2の弾性取付片11,12を対応する係止孔15,16に挿入すると、シールドカバー7の外周部に分散されている複数の接続取付片10も同時に対応するスルーホール14に挿入されるため、これら複数の接続取付片10が位置決めされた状態でシールドカバー7を回路基板2に仮固定することができる。そのため、各取付片10〜12が対応する挿通孔14〜16に挿通されると、シールドカバー7は回路基板2の面内方向に沿う取付位置が規定された状態で仮固定されることになる。
【0022】
また、かかるシールドカバー7の取付時に側壁7aを回路基板2の部品搭載面2aに当接させると、図6図8に示すように、第1および第2の弾性取付片11,12の先端部11a,12aが回路基板2の背面側に弾接するため、側壁7aを部品搭載面2aに押し付ける力が発生する。その結果、図4に示すように、シールドカバー7の側壁7aが規制壁となることで、シールドカバー7は回路基板2の板厚方向に沿う取付位置が規定された状態で仮固定されることになる。
【0023】
シールドカバー7を回路基板2に組み付ける際には、予め、回路基板2の一辺端部2bにおいて、コネクタ部材4の外部接続端子群5の第1端子部5aを対応する端子孔13に挿通しておく。そして、図2図4に示すように、シールドカバー7を回路基板2に組み付けた仮固定状態で、一対の押え片9がコネクタ部材4の保持体6に弾接するようにしてある。これにより、保持体6が回路基板2の一辺端部2bに圧接した状態で押え片9に拘持されるため、端子孔13に対する第1端子部5aの挿入量が不足することによるコネクタ部材4の浮きを防止できる。つまり、コネクタ部材4を一辺端部2bに嵌め込んだ回路基板2に対し、上記のようにシールドカバー7を組み付けて仮固定すれば、シールドカバー7の押え片9によってコネクタ部材4の浮きが防止されるようになっている。それゆえ、この後、各接続取付片10を対応するスルーホール14に半田付けすると共に、外部接続端子群5の第1端子部5aを対応する端子孔13の導電部に半田付けすることによって、シールドカバー7とコネクタ部材4がそれぞれ回路基板2の所定位置に高い位置精度で固定されるようになっている。
【0024】
シールドカバー7の各取付脚8は、マザーボード20の対応する取付孔22に挿通されて、このマザーボード20の図示せぬ接地導体パターンに半田付けされる。したがって、電子回路モジュール1をマザーボード20上に実装すると、シールドカバー7を介して回路基板2とマザーボード20の接地導体パターンどうしが導通されることで、電子回路モジュール1のグラウンド機能が強化される。また、このシールドカバー7は高周波回路部品3を覆っているため、電磁的なシールド効果も高まる。なお、図2図4に示すように、取付脚8は外部接続端子群5の第2端子部5bと略平行に延出しており、取付脚8の先端と第2端子部5bの先端とが同等の高さ位置に設定されているため、取付脚8と第2端子部5bをマザーボード20の取付孔22とスルーホール21にほぼ同時に挿入することができる。
【0025】
また、シールドカバー7には取付脚8の基端に連続する段部7bが形成されている。そのため、各取付脚8を対応する取付孔22に挿入していくと、段部7bがマザーボード20の表面に当接して各取付脚8の挿入量が規定されると共に、段部7bによってシールドカバー7の傾きが防止されるようになっている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態例に係る縦置き実装型の電子回路モジュール1は、シールドカバー7を回路基板2に取り付ける際に、シールドカバー7の第1の弾性取付片11と第2の弾性取付片12を回路基板2の係止孔15と係止孔16にそれぞれ挿通することによって、このシールドカバー7が回路基板2の所定位置に仮固定できるようになっている。そのため、シールドカバー7を高い位置精度で回路基板2に容易に組み付けることができると共に、外部接続端子群5とシールドカバー7の取付脚8との相対位置関係が安定したものとなる。したがって、マザーボード20への実装時に、これら外部接続端子群5と取付脚8をマザーボード20のスルーホール21と取付孔22にそれぞれ挿通して電子回路モジュール1を起立せしめる作業が、常に支障なく行えるようになる。つまり、この電子回路モジュール1は、回路基板2に対するシールドカバー7の取付位置のばらつきに起因する実装不良を確実に回避できる。なお、この電子回路モジュール1は、外部接続端子群5とシールドカバー7の取付脚8とがマザーボード20に機械的に固定された状態で実装されるため、車室内のように振動や衝撃が加わる環境下においても、マザーボード20上で起立する電子回路モジュール1がぐらついたり倒れたりする虞はない。
【0027】
また、この電子回路モジュール1では、シールドカバー7を回路基板2に組み付けると、押え片9が保持体6に弾接して回路基板2に対するコネクタ部材4の浮き(端子孔13に対する第1端子部5aの挿入量不足)を防止できるようになっているため、外部接続端子群5を回路基板2の所定位置に容易に配設することができる。すなわち、保持体6に一体化されている外部接続端子群5の各第1端子部5aを対応する端子孔13に挿通させることは容易であり、こうして第1端子部5aを端子孔13に挿通させたまま押え片9を保持体6に弾接させてコネクタ部材4の浮きを防止すれば、回路基板2に対する外部接続端子群5の取付位置が高精度に規定できる。
【0028】
また、この電子回路モジュール1では、シールドカバー7を回路基板2に組み付ける際に、複数の接続取付片10をそれぞれ対応するスルーホール14に挿入することによって、回路基板2の面内方向に沿うシールドカバー7の取付位置を規定できると共に、シールドカバー7の側壁7aを回路基板2の部品搭載面2aに当接させることによって、回路基板2の板厚方向に沿うシールドカバー7の取付位置を規定できるようになっている。そのため、シールドカバー7を極めて高い位置精度で回路基板2の所定位置に容易に組み付けることができる。
【0029】
なお、上記の実施形態例では、シールドカバー7の第1の弾性取付片11と第2の弾性取付片12を回路基板2の係止孔15と係止孔16にそれぞれ挿通することによって、第1および第2の弾性取付片11,12が互いに離反する向きに回路基板2に弾接してシールドカバー7が仮固定されるようになっているが、第1および第2の弾性取付片11,12が互いに近接する向きに回路基板2に弾接する構成であってもシールドカバー7を仮固定状態となすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 電子回路モジュール
2 回路基板
2a 部品搭載面
2b 一辺端部
2c 他辺端部
3 高周波回路部品
4 コネクタ部材
5 外部接続端子
5a 第1端子部
5b 第2端子部
6 保持体
7 シールドカバー
7a 側壁
8 取付脚
9 押え片
10 接続取付片(取付片)
11 第1の弾性取付片(取付片)
12 第2の弾性取付片(取付片)
13 端子孔
14 スルーホール(挿通孔)
15 係止孔(第1の挿通孔)
16 係止孔(第2の挿通孔)
20 マザーボード
21 スルーホール
22 取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8