(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側面位置決め機構は前記電池の垂直方向の4箇所の角部に嵌合される2個からなり、その各々は、固定部に固定され前記電池の隣接する2つの垂直方向の角部に嵌合される断面コ字状の凹部を有するチャックと、前記チャックを支持する腕の出端の長さを調整可能な駆動部とを備え、
前記外形測定手段により前記電池の外形を測定するときに前記2つの側面位置決め機構のチャックを前記電池の角部にそれぞれ把持させて前記電池の垂直度を出した状態で前記外形測定手段により前記電池の外形を測定することを特徴とする請求項1又は3に記載の角型電池の外形測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。始めに、本実施形態の測定対象である、角型電池について説明する。角型電池7は
図1に示すように、帯状の正極板と負極板を絶縁材料のセパレータを介装して巻回することにより形成した電池素子(発電素子)1をステンレスやアルミの金属製の角型の電池缶2に収納し、正負極板のそれぞれに接合した正負電極部材3を電池缶の気密を確保する為にあるシール部材5の穴17と蓋材4の穴16を貫通し、電極部15を外部に露出することにより電池素子の電荷を外部に取り出す構造である。蓋材4又は電池缶2には図示しない注液の為の小穴(注液口)があり、注液口から電池缶内に電解液を注入後、注液口と電池缶2と蓋材4の嵌合部6をレーザー溶接等により封止加工を行ない、最終的には
図2に示すように外形形状が例えば直方体状の角型電池7となっている。
【0010】
次に、角型電池7の外形測定装置について、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10を参照して説明する。
図5は本実施形態における角型電池の外形測定装置の全体を示す斜視図、
図6と
図7は角型電池の外形測定装置の動作を示す断面図、
図8は側面位置決め機構の斜視図、
図9(a)は
図8の側面位置決め機構が電池を把持していない状態を示す平面図であり、
図9(b)は
図8の側面位置決め機構が電池を把持した状態を示す平面図であり、
図10は角型電池の外形測定装置の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0011】
本実施形態にかかる角型電池の外形測定装置は、搬送装置9の搬送治具8、搬送治具定寸送り機構11、電池昇降機構20、水平面位置決め機構23、側面位置決め機構22、垂直外形測定手段12、水平外形測定手段13を備えている。
【0012】
角型電池7を搬送治具8の載置面上に載置した状態で搬送し、電池7の垂直方向及び水平方向の外周面に垂直方向外形測定手段12及び水平方向外形測定手段13を近接配置するか又は前記垂直方向外形測定手段12及び水平方向外形測定手段13を電池7の垂直方向及び水平方向の外周面に配置し、外形測定手段12、13により電池7の外形を測定するものであって、以下に述べる2個の側面位置決め機構22と、水平面位置決め機構23と、切り離す手段20とを備えている。
【0013】
各側面位置決め機構22は、
図8及び
図9に示すように電池7の外周面の垂直方向の2箇所の角部に嵌合され、これにより電池7の水平方向の位置決めを行いかつ姿勢を垂直に位置決めするものである。側面位置決め機構22は、具体的には電池7の隣接する2つの垂直方向の角部に嵌合される断面コ字状の凹部を有するチャック22bと、垂直度及び水平度が得られるように形成した固定部例えば支持枠40に固定され、チャック22bを支持すると共に腕の出端の長さを調整可能な駆動部22aとを備えている。
【0014】
水平面位置決め機構23は、電池7の水平方向の外周面例えば上面4に当接可能であって電池7の垂直方向の位置決めを行なう。水平面位置決め機構23は、具体的には電池7の上面に
当接するプレート23bと、固定部例えば支持枠40に固定されプレート23bを上下動可能にする腕の出端の長さを調整可能な水平面位置決め機構本体23aとを備えている。
【0015】
側面位置決め機構、水平面位置決め機構は、固定部例えば支持枠40に図示していない取付け部材を介してボルト締結するが、締結部のボルト穴とボルトの動き代にて、側面位置決め機構、水平面位置きめ機構の取付け位置の垂直度及び水平度の微調整を行える。また、締結部の動き代にて位置を調整すること以外に位置調整機構を設けても良い。
【0016】
切り離す手段(電池昇降機構)20は、電池7の外形を測定する際に、搬送治具8の載置面から電池7を切り離すものである。切り離す手段20は、具体的には、搬送治具8上に載置した電池7に対して、搬送治具8の肉厚方向に形成された離隔した2つの貫通穴14を貫通する貫通片(上昇端位置)20cを有するほぼコ字状の台座治具20bと、外形形状測定装置を据え付ける据付面に固定され、台座治具20bを上昇及び下降させる台座治具昇降機構本体20aとからなり、電池7の外形を測定する際に台座治具昇降機構本体20aにより台座治具20bを上昇させて電池7を搬送治具8の載置面から切り離すためのものである。
【0017】
垂直方向外形測定手段12は、例えば2つの距離測定器12a、12bからなり、これらは支持枠40にそれぞれ固定され、電池7の垂直方向の外周面とは非接触状態にあり、距離測定器12aはこれに有するヘッドと、例えば
図7の電池左側面間の距離s1を測定し、距離測定器12bはこれに有するヘッドと、例えば
図7の電池右側面間の距離s2を測定するものである。距離測定器12a、12bのヘッド間の距離は、距離測定器12a、12bを設置する際に所望の値にすることができ、或いは設置後に測定することで、距離測定器12a、12bにより距離s1、s2を測定することで、電池7の幅寸法Sを測定することが可能になる。
【0018】
水平方向外形測定手段13は、例えば2つの距離測定器13a、13bからなり、これらは支持枠40にそれぞれ固定され、電池7の水平方向の外周面とは非接触状態にあり、距離測定器13aはこれに有するヘッドと、例えば
図7の電池左側上面間の距離h1を測定し、距離測定器13bはこれに有するヘッドと、例えば
図7の電池右側上面間の距離h2を測定するものである。距離測定器13aのヘッドと電池7の底面との距離、又は距離測定器13bのヘッドと電池7の底面との距離は、距離測定器13a、13bを設置する際に所望の値にすることができ、或いは設置後に測定することで、距離測定器13a、13bにより距離h1、h2を測定することで、電池7の高さ寸法H1、H2を測定することが可能になる。もちろん、電池7に接する位置決め機構部以外の位置での距離測定器の配置による形状測定が可能であり、
図3に示す電池7の肉厚寸法T1も測定可能である。
【0019】
前述の垂直方向外形測定手段12、水平方向外形測定手段13は、いずれも測定器ヘッドから電池外形表面間の距離を測定する機能を有するものであり、例えば、非接触式ではレーザー変位計、静電容量方式変位計であり、接触式では
測定対象物の近接部に配置している測定ヘッドを測定時に測定対象物の表面へ当接する動作を行うリニアゲージ、ダイヤルゲージ等である。或いは、画像カメラを使用し、画像処理方式にて形状測定するものでもよい。
【0020】
搬送装置9は搬送治具8を回送するものであり、上流側搬送装置部9aから電池7を積載した搬送治具8を形状測定工程の搬送装置部9bへ搬入し、測定後、下流側搬送装置部9cへ搬出するものである。搬送装置9の搬送駆動部(9a、9b、9c)は、例えばベルトコンベヤ、フリーフローコンベヤであり、搬送治具をコンベヤ上面に載せコンベヤが回転することにより搬送治具を下流へ搬送するものである。コンベヤ上の搬送方向の直角方向について搬送治具の位置ずれを規制する為に、コンベヤの左右に固定ガイドまたは自由回転ローラーガイド33を配置する。
【0021】
外形測定部には、搬送治具8上の電池配置間隔Sを各電池の測定の都度、搬送治具8を下流側へ移動する定寸送り機構11を備えている。
【0022】
定寸送り機構は、搬送治具8を定位置に位置決めし、一定間隔にて下流側へ移動する機能を有する機構であればよい。
図5、
図6、
図7に示すものでは、装置に固定する定寸送り機構本体11a上に搬送治具の搬送方向(
図6、
図7の断面垂直方向)に移動する送り移動部11bがあり、さらに送り移動部11bには搬送治具8の側面にある位置決め穴32に挿入する棒状ピン11cが2本ある。棒状ピン11cは搬送治具の搬送方向の直角方向に前後移動するものであり、位置決め穴32に出入りする。棒状ピン11cを搬送治具8の穴32に挿入することにより搬送治具の位置決めを行い、挿入した状態にて送り移動部が距離L移動することにより搬送治具8を下流側へ送り、棒状ピン11cを穴32から抜き、移動部11bが元の位置に戻ることにより1サイクルの送り動作が完了するものである。定寸送り機構11が搬送治具を送り動作を行う際は、搬送装置9のコンベヤ上面を搬送治具が滑り移動する。定寸送り機構11は搬送治具の下部に配置するものでも良く、また、定寸送り機構11によらず、搬送治具を載せ搬送するコンベヤ等がピッチLにて等間隔送りの搬送動作を行うものであってもよい。
【0023】
搬送治具8は、複数の電池7を等間隔に垂直に立てた状態にて配置し、搬送治具上面の電池7を置く位置にはガイド10を備える。ガイド10の内側には、電池7を挿入し易くする為の傾斜部31を備える。電池7を配置した状態にて、ガイド10の内面と電池7の側面間にてクリアランス24があり、電池7の取り置き、取り出しが容易になっている。電池底面25の左右部に当たる部分26には、搬送治具8に貫通穴14を有する。
【0024】
電池7の形状測定部の搬送治具8の下部には電池昇降機構20を備える。電池昇降機構20は昇降機構本体20aと電池7の底面の左右2ヶ所26に当接し、電池7を約2mm持上げる台座治具20bから成る。搬送治具の貫通穴14を台座治具20bが出入りする構造である。また、形状測定部の測定電池上部には水平面位置決め機構23があり、水平面位置決め機構本体23aが押えプレート23bを上下に動作させる。
【0025】
電池7の形状測定部には、電池7の両側面27部を押える側面位置決め機構22を備える。
図8、
図9に示すように、側面位置決め機構22は、電池7の側面部27の形状に合う、断面形状がコの宇形状であり垂直方向に同じ断面形状を有するチャック22bとチャック22bを前後に移動する駆動部22aから成る。
【0026】
動作時、左右双方のチャック22bが駆動部22aの出端位置にて、電池7を挟み停止する。双方のチャック22bの出端位置の間隔は電池の長さSに一致させるか又は、水平面位置決め機構により垂直方向の位置決め動作をし易くする目的として、電池側面と出端位置のチャック22bの間の隙間を0.1mm程度設ける。これにより、電池の水平方向の位置決めと電池の垂直方向の姿勢の位置決め、すなわち垂直度の位置決めを行う。また、チャック22bは、電池側面の膨れが発生する面28の中央付近の接触を避け、電池形状が安定している電池側面の4ヶ所の角部29を押えるものであり、電池の膨れがある場合においても、位置決め機構の位置決め精度の低下が少ない。
【0027】
次に、以上述べた実施形態の動作について、
図10のフローチャートを参照して説明する。上流側搬送装置部9aから、電池7を積載した搬送治具8が形状測定部に搬入する(S1)。搬送装置9の定寸送り機構11が搬送治具8を位置決め停止する(S2)。搬送治具下部に配置する電池昇降機構20の台座治具20bが上昇し、搬送治具面の穴14を貫通し、電池底面の左右部26を当接し、電池7を2mm程度持上げ、この動作により電池7を搬送治具8の上面から切り離す(S3)。
【0028】
次に、電池の両側面27付近に配置する側面位置決め機構22が動作し、チャック22bが電池の両側面27を押える(S4)。これにより、電池の水平方向の位置決めと電池の垂直方向の姿勢の位置決めを行う。さらに、電池の上部に配置する水平面位置決め機構23の押えプレート23bが降下し(S5)、台座治具20bの上昇端位置20cを垂直方向の位置基準にして、垂直に立てた電池7の上面を押え、電池の垂直方向の位置決めを行う。
【0029】
以上の動作により、搬送治具8の上面から電池7を切り離し、電池7を垂直に立てた状態にて、電池の水平方向の位置決め、垂直方向の位置と垂直度(直角度)の位置決めを行うことができる。
【0030】
次に、電池7を前記の位置決めした状態にて、電池7の上部に配置する距離測定器13a、13bにて、距離測定器のヘッドと電池上面間の距離h1、h2を測定する(S6)。同様に電池の側面部に配置する距離測定器12a、12bにて距離測定器のヘッドと電池側面間の距離s1、s2を測定する。電池と同じ外形形状であり、形状寸法のH1、H2、Sが既知の測定基準物を電池と同様に位置決め後にh1、h2、s1、s2の測定を行う。これらの値より、電池7の形状寸法H1、H2、Sを算出することができる。
【0031】
電池7の形状測定後は、側面位置決め機構22のチャック22bが元の位置に戻り、電池の水平面位置決め機構23が押えプレート23bを上昇し、電池昇降機構20が台座治具20(b)が降下し(S7)し、電池底面25を搬送治具8の上面へ戻す。
【0032】
次に、定寸送り機構11が搬送治具上の電池配置間隔距離L分、搬送治具を下流側へ移動させると(S8)、形状測定部に次の電池が位置することになり、前記と同様に電池の位置決めと形状測定を行う。搬送治具上の全ての電池の形状測定が完了(S9)すると、搬送治具8は下流側搬送装置部9cへ搬出される(S10)。
【0033】
以上述べた例は、
図10のAルートS3、S4、S5を通るものであるが、
図10のBルートであってもよい。具体的には、S2から電池の両側面27付近に配置する側面位置決め機構22が動作し、チャック22bが電池の両側面27を押える(S11)。搬送治具下部に配置する電池昇降機構20の台座治具20bが上昇し、搬送治具面の穴14を貫通し、電池底面の左右部26を当接し、電池7を2mm程度持上げ、この動作により電池7を搬送治具8の上面から切り離す(S12)。この後、S5に戻る。また、電池の垂直方向の位置決めには、押えプレート23bの降下端を基準位置にして、台座治具20bの上昇にて、電池を押えプレート側へ押えてもよい。
【0034】
本実施形態の角型電池の外形測定装置は以上述べた通りの構成であり、搬送治具8から切り離した状態で電池7を位置決めするものであり、形状測定に際して、複数ある搬送治具8の加工組立精度のばらつきの影響がない。具体的には、本実施形態を用いない場合には、搬送装置9上を回送する搬送治具8は多数あり、多数の搬送治具8の加工組立精度のばらつきにより、測定条件が変化し、同一の電池7を測定する場合でも搬送治具8が異なると測定値がばらつく問題があり、また、搬送治具8上に複数の電池7を積載して各電池7の測定を行う場合、搬送治具8上面の表面粗さ、搬送治具8の位置決め時の搬送治具8の上面の水平精度の要因により、同じ電池7を測定しても搬送治具8上の測定位置が異なると測定値がばらつく問題があり、装置の測定精度を低下する。
【0035】
また、本実施形態の角型電池の外形測定装置は、搬送治具8の加工精度、装置上の搬送治具の位置決めは高精度なものが不要となるために、搬送治具の製作コストを低くすることができる。
【0036】
さらに、本実施形態の角型電池の外形測定装置は、同一の位置決め機構にて電池7を位置決めするものであることから測定条件が一定であり、測定値の誤差が少ない高精度な形状測定ができる。これに対して、本実施形態を用いない場合は、搬送治具8上のガイド10内に電池7を挿入配置されるものであるから、ガイド10の内側と電池7の側面間にクリアランス24があり、クリアランス24の範囲にて電池7が水平方向にずれる。この結果、搬送治具8は高精度に位置決めができても、搬送治具8のガイド10内で電池7の位置ずれがあり、電池7の高精度な位置決めができない。
【0037】
また、本実施形態の角型電池の外形測定装置は、電池の位置決めは水平方向の位置のみならず、垂直方向の位置と電池の垂直度について同時に位置決めするものであることから、測定対象の電池の垂直方向の姿勢のずれによる測定の誤差が小さく、高精度な形状測定ができる。具体的には、本実施形態を用いない場合には、電池7の水平方向の位置、垂直方向の位置、さらに垂直に立て配置した電池の垂直度である測定姿勢の傾きにばらつきがある場合には、測定値にばらつきが発生し、高精度な測定ができない問題が発生する。
【0038】
さらに、本実施形態の側面位置決め機構22のチャック22bは、電池側面の膨れが発生する面28の中央付近の接触を避け、形状が安定している電池側面の4ヶ所の角部29を押えるものであるため、
図3及び
図4に示すように電池7の側面中央部30の膨れにより側面位置決め機構22の位置決め精度が低下せず高精度な形状測定ができる。これに対して、本実施形態を用いない場合には、電池7の充電を行なった場合や高温環境に保管した場合には、電池缶2の内容物が膨張し、
図3及び
図4に示すように電池7の側面中央部30に示すような膨れ、電池の外形端部の厚みT1に対して中央部の厚みがT2となる形状になり、電池7の外形を押さえ位置決めする際に、位置決め精度の確保に支障を生じる虞がある。
【0039】
以上説明した実施形態は、側面位置決め機構22と、水平面位置決め機構23と、垂直方向外形測定手段12と、水平方向外形測定手段13と、切り離す手段20とを備えた構成について説明したが、側面位置決め機構22と、垂直方向外形測定手段12と、切り離す手段20とを備えた構成、或いは、水平面位置決め機構23と、水平方向外形測定手段13と、切り離す手段20とを備えた構成であっても前述した実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。