特許第5663457号(P5663457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663457点検支援装置、点検支援システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663457
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】点検支援装置、点検支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20150115BHJP
   G08B 29/00 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   G08B17/00 D
   G08B29/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-236239(P2011-236239)
(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公開番号】特開2013-92993(P2013-92993A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2013年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小幡 茂
(72)【発明者】
【氏名】鶴我 盛康
(72)【発明者】
【氏名】榊原 亨
(72)【発明者】
【氏名】山口 靖夫
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−262388(JP,A)
【文献】 特開2003−099870(JP,A)
【文献】 特開平08−030879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が複数設置された施設において当該感知器を点検する複数の作業者のそれぞれによって所持される複数の携帯端末とネットワークを介して接続される点検支援装置であって、
前記施設に設置された感知器のうち点検対象となる前記感知器を示す点検感知器情報を、前記複数の携帯端末のうちのいずれかから受信する点検感知器受信部と、
前記受信した点検感知器情報と当該点検感知器情報を送信した携帯端末とを対応付けて点検管理データベースに登録する点検登録部と、
前記発報信号を出力した前記感知器を示す発報感知器情報を受信する発報感知器受信部と、
前記点検管理データベースを参照して、前記発報感知器情報が示す前記感知器が含まれる前記点検感知器情報が存在する場合には、当該点検管理データベースにおいて当該点検感知器情報と対応付けられた前記携帯端末に、当該感知器に発報があったことを報知させるように指示を行う報知指示部と
を具備することを特徴とする点検支援装置。
【請求項2】
前記携帯端末に前記点検対象となる感知器を設定するための画面を表示させる指示を行う表示指示部を具備し、
前記報知指示部による指示は、発報があった前記感知器を示す情報を前記携帯端末に表示させる指示である
ことを特徴とする請求項1に記載の点検支援装置。
【請求項3】
前記施設には前記感知器からの発報信号に基づいて動作する発報連動装置が設けられ、
前記点検管理データベースに登録された前記点検感知器情報が示す前記感知器が発報信号を出力した場合には、前記発報連動装置の動作を制限させる制限部を具備する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の点検支援装置。
【請求項4】
前記受信した前記発報感知器情報に基づいて前記感知器の発報履歴をデータベースに登録する発報登録部を具備し、
前記発報登録部は、前記発報感知器情報が示す前記感知器が、前記点検管理データベースに登録された前記点検感知器情報に含まれているときに、当該感知器の発報履歴に点検による発報であることを示す情報を付加して登録する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の点検支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の点検支援装置と、前記携帯端末と、前記施設内に設置された感知器からの発報信号を受信する管理装置とを有し、互いにネットワークを介して接続された点検支援システムであって、
前記携帯端末は、
前記施設に設置された感知器のうち点検対象となる感知器を示す前記点検感知器情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記受け付けられた点検感知器情報を送信する点検感知器送信部と、
前記報知指示部による指示に応じて、発報があったことを報知する報知部と
を具備し、
前記管理装置は、
前記感知器からの発報信号を受信する発報信号受信部と、
前記受信した発報信号を出力した前記感知器を示す前記発報感知器情報を前記点検支援装置に送信する発報感知器送信部と
を具備する
ことを特徴とする点検支援システム。
【請求項6】
周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が複数設置された施設において当該感知器を点検する複数の作業者のそれぞれによって所持される複数の携帯端末とネットワークを介して接続されるコンピュータに、
前記施設に設置された感知器のうち点検対象となる前記感知器を示す点検感知器情報を、前記複数の携帯端末のうちのいずれかから受信するステップと、
前記受信した点検感知器情報と当該点検感知器情報を送信した携帯端末とを対応付けて点検管理データベースに登録するステップと、
前記発報信号を出力した前記感知器を示す発報感知器情報を受信するステップと、
前記点検管理データベースを参照して、前記発報感知器情報が示す前記感知器が含まれる前記点検感知器情報が存在する場合には、当該点検管理データベースにおいて当該点検感知器情報と対応付けられた前記携帯端末に、当該感知器に発報があったことを報知させるように指示を行うステップと
を実行させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内に設置された感知器の点検を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
火災報知設備は、施設内の各所に設置された火災を感知する感知器である火災感知器と、火災感知器による火災の感知により出力された発報信号を受信して、発報した火災感知器の表示、非常ベルの鳴動、防火戸の動作などを制御する受信機とを有する。火災感知器を点検するときには、少なくとも2人の作業者が必要であった。一方の作業者は、火災感知器に擬似的に火災を感知させるための試験機を用いて火災感知器から発報信号を出力させる。他方の作業者は、火災感知器からの発報信号が受信機において受信されたかを確認し、その火災感知器を復旧させる操作を行う。この2人の作業者は互いにトランシーバなどを用いて連絡を取り合いながら作業を進めていた。
このように点検には複数人の作業者が必要であったが、作業者を一人でも可能とするために、携帯端末を用いた通信を利用する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、火災感知器から発報信号を出力させる試験機を用いる作業者が、携帯端末を用いて受信機における発報信号の受信状態を確認することができるようにした装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−99870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、火災感知器が設置された施設が大規模な場合には、火災感知器を点検するエリアを複数に分けて、それぞれのエリアを異なる作業者で分担し、並行して点検作業をすることにより点検効率を向上させることが求められる。しかしながら、特許文献1に開示された技術を用いた場合、各作業者が所持する携帯端末には、その作業者以外の作業者による点検によって発報した火災感知器も表示される。そのため、各作業者は、自身の点検作業とは関係のない通知も受けることになるため、作業効率の低下を招く場合があった。
そこで、本発明は、複数の作業者で分担して点検作業をした場合においても、各作業者による点検作業が効率的に行えるように支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が複数設置された施設において当該感知器を点検する複数の作業者のそれぞれによって所持される複数の携帯端末とネットワークを介して接続される点検支援装置であって、前記施設に設置された感知器のうち点検対象となる前記感知器を示す点検感知器情報を、前記複数の携帯端末のうちのいずれかから受信する点検感知器受信部と、前記受信した点検感知器情報と当該点検感知器情報を送信した携帯端末とを対応付けて点検管理データベースに登録する点検登録部と、前記発報信号を出力した前記感知器を示す発報感知器情報を受信する発報感知器受信部と、


前記点検管理データベースを参照して、前記発報感知器情報が示す前記感知器が含まれる前記点検感知器情報が存在する場合には、当該点検管理データベースにおいて当該点検感知器情報と対応付けられた前記携帯端末に、当該感知器に発報があったことを報知させるように指示を行う報知指示部とを具備することを特徴とする点検支援装置を提供する。
【0006】
また、本発明は、周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が複数設置された施設において当該感知器を点検する複数の作業者のそれぞれによって所持される複数の携帯端末とネットワークを介して接続されるコンピュータに、前記施設に設置された感知器のうち点検対象となる前記感知器を示す点検感知器情報を、前記複数の携帯端末のうちのいずれかから受信するステップと、前記受信した点検感知器情報と当該点検感知器情報を送信した携帯端末とを対応付けて点検管理データベースに登録するステップと、前記発報信号を出力した前記感知器を示す発報感知器情報を受信するステップと、前記点検管理データベースを参照して、前記発報感知器情報が示す前記感知器が含まれる前記点検感知器情報が存在する場合には、当該点検管理データベースにおいて当該点検感知器情報と対応付けられた前記携帯端末に、当該感知器に発報があったことを報知させるように指示を行うステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の作業者で分担して点検作業をした場合においても、各作業者による点検作業が効率的に行えるように支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態における点検支援システム1の構成を説明するシステム図である。
図2】本発明の実施形態における管理装置70のハードウエア構成を説明するブロック図である。
図3】本発明の実施形態における設置データを説明する図である。
図4】受信機30に記憶される発報履歴データベースを説明する図である。
図5】本発明の実施形態における携帯端末20のハードウエア構成を説明するブロック図である。
図6】本発明の実施形態におけるサーバ10のハードウエア構成を説明するブロック図である。
図7】サーバ10に記憶される点検管理データベースを説明する図である。
図8】サーバ10に記憶される発報履歴データベースを説明する図である。
図9】本発明の実施形態における点検支援機能の機能構成を説明するブロック図である。
図10】本発明の実施形態における点検設定処理を説明するフローチャートである。
図11】点検対象設定画面の一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態における報知処理を説明するフローチャートである。
図13】発報通知画面の一例を示す図である。
図14】本発明の変形例1における点検対象設定画面の一例を示す図である。
図15】本発明の変形例2における発報通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
[点検支援システム1の構成]
図1は、本発明の実施形態における点検支援システム1の構成を説明するシステム図である。点検支援システム1は、サーバ10、携帯端末20、火災報知設備2の受信機30に接続された通信端末40を有する。サーバ10、携帯端末20および通信端末40は、インターネット、電話回線などの通信回線1000を介して互いに接続されている。点検支援システム1は、作業者による火災報知設備2の点検作業を支援するシステムである。
【0010】
作業者は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末20を用いて火災報知設備2の点検作業を行う。このとき、携帯端末20とサーバ10との通信により、作業者は、点検作業の支援を受けることができる。この点検支援システム1における支援によっては、作業者が点検作業を行った場合に、その点検作業の結果について通知を受けることができる。このとき、同一の施設内において複数の作業者が点検作業を行なっていた場合であっても、それぞれの作業者は、他の作業者の点検作業ではなく自身が行った点検作業の結果の通知を受けることができるようになっている。
ここで、複数の作業者がいる場合には、携帯端末20は、それぞれの作業者によって所持されるため、点検支援システム1において複数存在することになる。これらの携帯端末20には端末IDが予め付与されている。サーバ10は、通信されるデータに付与される端末IDを確認することにより携帯端末20のいずれと接続しているかを識別する。
【0011】
火災報知設備2は、建築物などの施設の内部に設置されている。火災報知設備2は、受信機30、火災感知器50−1、50−2、・・・、50−n(以下、それぞれを区別しない場合には火災感知器50という)、および発報連動装置60を有する。火災感知器50および発報連動装置60は、受信機30と接続されている。
火災感知器50は、それぞれアドレスが割り当てられ、加熱または発煙などを検知すると、自身に割り当てられたアドレスとともに発報信号を受信機30に出力する。以下、発報信号を出力した火災感知器50のことを「発報感知器」という場合がある。また、火災感知器50が発報信号を出力することを「火災感知器50が発報する」といった表現をする場合がある。
発報連動装置60は、例えば、ベル61、防火戸62、シャッタ63、排煙機64など火災の発生に伴って動作する装置を総称したものであり、それぞれにアドレスが割り当てられ、受信機30によって各々動作が制御される。なお、図1においては、ベル61、防火戸62、シャッタ63および排煙機64は1台ずつの記載となっているが、施設内の予め区分された複数のエリアの各々に設けられるなど、複数台であることが一般的である。
【0012】
受信機30は、火災感知器50からの発報信号に応じて、発報感知器の位置の表示、発報連動装置60の動作制御などを行う。また、この例においては、受信機30は、パーソナルコンピュータなどの通信端末40と接続することにより、通信回線1000を介して、サーバ10と各種データの送受信をしながら、サーバ10からの制御に従って火災感知器50および発報連動装置60の動作を管理する管理装置70として機能する。なお、管理装置70は、受信機30および通信端末40の機能を有した一つの装置として実現されてもよい。
また、火災報知設備2は、図1の例においては、1つのみ記載しているが、様々な施設に設置されている。そのため、通信回線1000を介してサーバ10とデータの送受信が可能な管理装置70は、施設の数に応じて複数存在する場合もある。これらの施設にはそれぞれ「物件No.」が割り当てられ、点検支援システム1においては、「物件No.」でそれぞれの施設を区別している。
【0013】
[管理装置70のハードウエア構成]
図2は、本発明の実施形態における管理装置70のハードウエア構成を説明するブロック図である。管理装置70は、上述したように、受信機30および通信端末40により構成される。受信機30は、制御部31、操作部32、表示部33、記憶部35およびインターフェイス36を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部31は、CPUによりROMまたは記憶部35に記憶されたプログラムを実行して受信機30の各部を制御し、火災感知器50からの発報信号の受信、発報連動装置60の動作制御、表示部33の表示内容制御、インターフェイス36を介して接続されたビル管理会社などのコンピュータ(図示せず)への火災感知器50の発報状況などの通知および該コンピュータからの火災発報から平常監視状態への復旧等の制御命令の受信、インターフェイス36を介して接続された通信端末40との各種データの送受信など、各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0014】
操作部32は、作業者による操作を受け付けるタッチセンサおよび操作ボタンなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部31に出力する。これにより、作業者からの指示が受信機30に対して入力される。表示部33は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部31の制御に応じた内容の表示を行う。表示部33に表示される内容は、メニュー画面、設定画面、火災による発報表示、火災感知器50および発報連動装置60の制御画面などである。インターフェイス36は、通信端末40、火災感知器50、発報連動装置60など外部装置と接続し、制御部31の制御にしたがって各種データの送受信を行う。
記憶部35は、不揮発性メモリなどであり、設置データ、発報履歴データベースなどを記憶している。
【0015】
図3は、本発明の実施形態における設置データを説明する図である。設置データは、受信機30が設置された施設(この例においては、物件No.053)における火災感知器50および発報連動装置60に関する情報が登録されたデータである。この例においては、設置データは、この施設に設置された機器に割り当てられたアドレス、その機器の種別(火災感知器50または発報連動装置60)、その機器が設置されているエリアが登録されたデータである。なお、エリアは施設における階数で区分されているが、複数階で1区分としてもよいし、各階において複数のエリアに区分されてもよい。なお、各火災感知器50のアドレスに対応して、設置場所の詳細を示す情報(応接室、大広間南側など)が対応付けられていてもよい。また、火災感知器50のアドレスは、同一施設内では同一アドレスが割り当てられないようになっている。
【0016】
また、設置データには、種別が発報連動装置60の機器については、どのアドレスの火災感知器50が発報した場合に連動して動作させるかを規定する連動アドレスについても登録されている。図3に示す設置データの例においては、アドレス17のベルは2Fに設置され、同じく2Fに設置されたアドレス08、09、・・・の火災感知器50が発報した場合に動作(鳴動)するように決められている。このように、決められた火災感知器50が発報したときに発報連動装置60が動作して、例えば、火災を人に知らせたり、他のエリアに火災が延焼することを防止したりする。
【0017】
図4は、受信機30に記憶される発報履歴データベースを説明する図である。発報履歴データベースは、発報した火災感知器50のアドレス、およびその発報した日時が発報履歴として登録されている。発報履歴は、火災感知器50が発報した場合に制御部31によって発報履歴データベースに登録される。図4に示す例では、例えば、2011年10月21日10時35分40秒に、アドレス02の火災感知器50が発報したことを示している。
【0018】
図2に戻って説明を続ける。通信端末40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45およびインターフェイス46を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部41は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部41は、CPUにより記憶部45に記憶されたプログラムを実行して通信端末40の各部を制御し、受信機30とサーバ10との間でやり取りされる各種データを中継する装置としての機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0019】
操作部42は、作業者による操作を受け付けるキーボード、マウスなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部41に出力する。表示部43は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部41の制御に応じた内容の表示を行う。表示部43に表示される内容は、メニュー画面、設定画面、受信機30を制御するための画面などである。通信部44は、制御部41の制御に応じて、通信回線1000を介してサーバ10と接続して各種データの送受信を行う。記憶部45は、不揮発性メモリなどであり、制御部41において実行されるプログラムなどを記憶している。インターフェイス46は、受信機30など外部装置と接続し、各種データの送受信を行う。
以上が、受信機30および通信端末40により構成される管理装置70のハードウエア構成についての説明である。
【0020】
[携帯端末20のハードウエア構成]
図5は、本発明の実施形態における携帯端末20のハードウエア構成を説明するブロック図である。携帯端末20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24および記憶部25を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部21は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部21は、CPUにより記憶部25に記憶されたプログラムを実行して携帯端末20の各部を制御し、サーバ10との各種データの送受信をするなどして点検支援を受けるための各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0021】
操作部22は、作業者による操作を受け付けるタッチセンサおよび操作ボタンなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部21に出力する。これにより、作業者からの指示が携帯端末20に対して入力される。表示部23は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部21の制御に応じた内容の表示を行う。表示部23に表示される内容は、メニュー画面、点検対象設定画面(図11参照)、発報を通知する発報通知画面(図13参照)などである。通信部24は、制御部21の制御に応じて、通信回線1000を介してサーバ10と接続して各種データの送受信を行う。記憶部25は、不揮発性メモリなどであり、制御部21において実行されることにより、サーバ10から点検支援を受けるためのアプリケーションプログラムなどを記憶している。
以上が、携帯端末20のハードウエア構成についての説明である。
【0022】
[サーバ10のハードウエア構成]
図6は、本発明の実施形態におけるサーバ10のハードウエア構成を説明するブロック図である。サーバ10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14および記憶部15を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部11は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部11は、CPUにより記憶部15に記憶されたプログラムを実行してサーバ10の各部を制御し、携帯端末20および管理装置70と各種データの送受信をして、携帯端末20を所持する作業者の点検作業を支援するための各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0023】
操作部12は、作業者による操作を受け付けるキーボード、マウスなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部11に出力する。これにより、サーバ管理者などからの指示がサーバ10に対して入力される。表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御に応じた内容の表示を行う。表示部13に表示される内容は、メニュー画面、設定画面などである。通信部14は、制御部11の制御に応じて、通信回線1000を介して携帯端末20および管理装置70と接続して各種データの送受信を行う。
【0024】
記憶部15は、不揮発性メモリなどであり、制御部11において実行されることにより、携帯端末20を所持する作業者の点検作業を支援するためのアプリケーションプログラムなどを記憶している。また、記憶部15は、設置データ、点検管理データベース、および発報履歴データベースを記憶している。
設置データは、上述した受信機30の記憶部35に記憶されている設置データと同様のデータである。ただし、受信機30の場合と異なり、サーバ10の記憶部15においては、複数の施設について、施設毎に「物件No.」と対応付けられて設置データが記憶されている。ここでは、記憶部15に記憶される設置データは、サーバ10においてデータのやり取りが可能な受信機30(管理装置70)が設置された施設が対象となっている。
【0025】
図7は、サーバ10に記憶される点検管理データベースを説明する図である。点検管理データベースは、携帯端末20を所持する作業者が点検作業をするときの対象となる施設(以下、「点検施設」という場合がある)、その施設内で点検対象となる火災感知器50(以下、「点検感知器」という場合がある)、および点検期間など点検対象の火災感知器50に関する情報が登録されたデータである。点検作業をする作業者については、所持する携帯端末20の「端末ID」として登録されている。点検施設は「物件No.」として登録されている。点検対象となる火災感知器50(点検感知器)は、火災感知器50のアドレスまたはエリアとして登録されている。エリアとして登録されている場合には、点検感知器は、そのエリアに存在する火災感知器50のすべてとなる。そのエリアに存在する火災感知器50は、「物件No.」によって示される点検施設に対応する設置データにより特定される。点検感知器が登録されていない場合には、「物件No.」によって示される点検施設内全ての火災感知器50が点検感知器となる。また、点検期間が登録されていない場合には、この例においては、作業者により携帯端末20へ点検終了の指示の入力があるまでは、点検期間が続くものとする。
点検管理データベースに登録される情報は、携帯端末20において作業者によって入力される。
【0026】
図8は、サーバ10に記憶される発報履歴データベースを説明する図である。発報履歴データベースは、上述した受信機30の記憶部35に記憶されている発報履歴データベースと同様のデータである。ただし、受信機30の場合と異なり、サーバ10の記憶部15に記憶された発報履歴データベースは、各発報履歴に点検フラグが付加されるようになっている。点検フラグは、作業者による火災感知器50の点検作業の結果を示す情報であり、この例においては、点検作業の結果、問題のなかった「OK」、問題のあった「NG」が付加される。一方、作業者による点検作業と関係なく(例えば、実際の火災により)発報信号が出力された火災感知器50(図8におけるアドレス「08」)については、点検フラグとしては何も付加されていない。すなわち、点検フラグが付加される発報履歴が示す発報感知器は、点検管理データベースに登録された点検感知器に含まれていることになる。
以上が、サーバ10のハードウエア構成についての説明である。
【0027】
[点検支援機能]
図9は、本発明の実施形態における点検支援機能の機能構成を説明するブロック図である。サーバ10における点検支援機能は、表示指示部110、点検感知器受信部120、点検登録部130、制限部140、発報感知器受信部150、報知指示部160、および発報登録部170により実現される。このときには、サーバ10は、点検支援装置として機能する。携帯端末20における点検支援機能は、入力受付部210、点検感知器送信部220、報知部230、および判定受付部240により実現される。管理装置70における点検支援機能は、発報信号受信部710、発報感知器送信部720、および連動動作制御部730により実現される。
【0028】
表示指示部110は、携帯端末20からの要求に応じて、その携帯端末20の表示部23に、点検対象となる火災感知器50を設定させる画面(点検対象設定画面:図11参照)を表示させる指示を行う。入力受付部210は、表示部23に表示されている点検対象設定画面(図11参照)において作業者の操作部22への操作によって入力される点検感知器を示す情報(点検感知器情報)を受け付ける。点検感知器情報は、点検感知器を特定できる情報であればよい。例えば、「物件No.」により施設が特定され、火災感知器50の「アドレス」、施設内の一部の「エリア」などによって、その施設内の火災感知器50が規定されればよい。
【0029】
点検感知器送信部220は、入力受付部210において受け付けられた点検感知器情報を携帯端末20からサーバ10に送信する。
点検感知器受信部120は、携帯端末20から送信された点検感知器情報を受信する。点検登録部130は、点検感知器受信部120によって受信された点検感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された点検管理データベースに点検対象の火災感知器50に関する情報とともに、この点検感知器情報を送信した携帯端末20の端末IDも点検感知器の情報に対応付けて登録をする。制限部140は、点検管理データベースを参照して、点検対象の火災感知器50が発報した場合に、連動して動作する発報連動装置60の動作を制限する指示を行う。
【0030】
発報信号受信部710は、火災感知器50から出力される発報信号を受信する。発報感知器送信部720は、発報信号受信部710において受信した発報信号を出力した火災感知器50(発報感知器)を示す情報(発報感知器情報)を管理装置70からサーバ10に送信する。発報感知器受信部150は、管理装置70から発報感知器情報を受信する。
報知指示部160は、点検管理データベースを参照して、発報した火災感知器50を点検対象とする作業者が所持する携帯端末20を特定する。そして、報知指示部160は、特定した携帯端末20の表示部23に、火災感知器50に発報があったことを作業者に通知するための画面(発報通知画面:図13参照)を表示させる指示を行う。報知部230は、報知指示部160からの指示に応じて、表示部23に発報通知画面を表示させる。判定受付部240は、表示部23に発報通知画面が表示されているとき、作業者の操作部22への操作によって入力される判定結果を受け付ける。この判定結果は、作業者が、発報通知画面において表示される発報感知器のアドレスと、点検作業を行った火災感知器50のアドレスとを確認して、一致または不一致の判定した結果である。
【0031】
発報登録部170は、発報感知器受信部150によって受信された発報感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された発報履歴データベースに発報感知器および発報日時を示す発報履歴を登録する。また、発報登録部170は、判定受付部240において受け付けられた判定結果に基づいて、登録した発報履歴に検査フラグを付加する。
【0032】
連動動作制御部730は、記憶部35に記憶された設置データを参照して、発報感知器のアドレスを連動アドレスに含む発報連動装置60を動作させる。一方で、連動動作制御部730は、制限部140による指示に応じて、発報連動装置60の動作を制限する。例えば、アドレス09の火災感知器50が発報した場合には、連動動作制御部730は、設置データを参照してアドレス09を連動アドレスに含む発報連動装置60の一部を動作させる。一方、発報したアドレス09の火災感知器50が点検感知器である場合には、連動動作制御部730は、動作させるべき発報連動装置60の動作を制限する。動作を制限するとは、動作させないことであってもよいし、通常(制限されていない場合)とは異なる動作させることであってもよい。通常とは異なる動作とは、ベル61であれば、鳴動時間の短縮化、低音量化などであればよい。
【0033】
上記の点検支援機能により行われる処理は、点検設定処理および報知処理を含む。まず、点検設定処理について説明し、続いて報知処理について説明する。
【0034】
[点検設定処理]
図10は、本発明の実施形態における点検設定処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、点検設定処理においてサーバ10での動作を中心に説明するものである。まず、作業者は、点検作業を開始するときに、携帯端末20において点検支援を受けるためのアプリケーションプログラムを起動させる。このアプリケーションが起動されると、携帯端末20は、サーバ10に点検対象の火災感知器50を設定するための情報の要求をする。
この要求を受け取ると、表示指示部110は、記憶部15に記憶された設置データを参照し、携帯端末20の表示部23に点検対象設定画面を表示させる指示を行う(ステップS110)。ここで、点検設定処理は、サーバ10に接続される携帯端末20に対応して行われる処理である。したがって、複数の携帯端末20と接続している場合には、各携帯端末20から上記要求を受け取るたびに、各携帯端末20に対応して点検設定処理が開始される。
【0035】
図11は、点検対象設定画面の一例を示す図である。携帯端末20の表示部23に表示される点検対象設定画面は、点検対象となる施設(「物件No.」)、「エリア」、および「点検期間」の設定をするための画面である。これらの設定は、作業者が携帯端末20の操作部22を操作することにより行われる。それぞれの設定は、プルダウンメニューなどによって表示された候補からの選択による。「物件No.」は、記憶部15に記憶されている設置データに対応付けられたものが選択候補となる。「エリア」については、選択された「物件No.」に対応付けられた設置データに登録されているエリアが選択候補となる。
【0036】
図11に示す状態で、設定ボタンB1が操作されると、物件No.「053」のエリア「2F」に設置された火災感知器50が点検対象であり、その点検期間が「2011/10/21 10:00〜12:00」として設定される。
なお、図7に示す点検管理データベースの説明のとおり、点検期間を設定しないようにすることもできる。また、エリアを設定しない場合には、設定された物件No.の施設に存在する全ての火災感知器50が点検対象となる。
このような点検対象設定画面が表示部23に表示されているときに、作業者によって入力された設定は、入力受付部210において点検感知器情報として受け付けられる。そして、この点検感知器情報は、点検感知器送信部220により送信される。
【0037】
図10に戻って説明を続ける。点検感知器受信部120は、携帯端末20から点検感知器情報が送信されるのを待つ(ステップS120;No)。点検感知器受信部120により点検感知器情報が受信される(ステップS120;Yes)と、点検登録部130は、受信された点検感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された点検管理データベースに点検感知器の情報の登録を行うとともに、この点検感知器情報を送信した携帯端末20の端末IDも点検感知器の情報に対応付けて点検管理データベースに登録する(ステップS130)。
【0038】
制限部140は、新たに登録された点検対象の情報に基づいて、点検期間において点検感知器から発報信号が出力されても発報連動装置60の動作が制限されるようにする指示を管理装置70に送信する(ステップS140)。これにより、管理装置70において、連動動作制御部730は、点検感知器からの発報信号が発報信号受信部710によって受信されても、発報連動装置60の動作を制限するように制御する。
【0039】
続いて、制限部140は、作業者の点検作業の終了を待つ(ステップS150;No)。制限部140は、作業者による携帯端末20への点検終了指示の入力、または設定された点検期間が終了することにより、作業者の点検作業が終了したものと判定する。作業者の点検作業の終了(ステップS150;Yes)により、制限部140は、ステップS140において動作が制限されるように指示された発報連動装置60に対して、その制限を解除する指示を管理装置70に送信する(ステップS160)。これにより、管理装置70において、連動動作制御部730は、発報連動装置60の動作の制限を解除し、発報信号が発報信号受信部710によって受信されると、発報連動装置60を動作させるように制御する。これにより、点検設定処理が終了する。
【0040】
[報知処理]
図12は、本発明の実施形態における報知処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、点検設定処理においてサーバ10での動作を中心に説明するものである。報知処理は、発報感知器情報が発報感知器受信部150によって受信されると開始される。すなわち、管理装置70において、発報信号受信部710が発報信号を受信し、発報感知器送信部720から発報感知器情報が送信されると報知処理が開始される。
【0041】
発報感知器受信部150により発報感知器情報が受信されると、まず、発報登録部170は、受信された発報感知器情報に基づいて、発報履歴データベースに発報履歴を登録する(ステップS310)。また、報知指示部160は、点検管理データベースを参照し、発報感知器が点検対象の火災感知器50(点検感知器)であるか否かを判定する(ステップS320)。点検対象の火災感知器50でない場合(ステップS320;No)には、発報感知器において実際の火災を感知した可能性がある。そのため、報知指示部160は、点検管理データベースを参照して、この火災感知器50が設置されている施設内のいずれかの火災感知器50を点検対象とした携帯端末20を特定し、その携帯端末20に対して、施設内で火災が発生していることを表示部23に表示させる指示(火災報知指示)を行う(ステップS390)。このとき、特定される携帯端末20には、現在時刻が点検期間外であるものについては含まれないようにしてよい。これにより、報知処理は終了する。
なお、この状態においては、受信機30は、発報感知器のアドレスが連動アドレスとして対応付けられた発報連動装置60を動作させていることになる。
【0042】
一方、発報感知器が点検対象の火災感知器50である場合(ステップS320;Yes)には、報知指示部160は、この発報感知器を点検対象とした携帯端末20を報知先として特定する(ステップS330)。そして、報知指示部160は、発報感知器が発報したこと通知する画面(発報通知画面)を表示部23に表示させる指示(報知指示)を、報知先として特定した携帯端末20に対して行う(ステップS340)。これにより、発報感知器を点検対象とした作業者が所持する携帯端末20において、報知部230が発報通知画面を表示させる。ここで、施設内の他の火災感知器50を対象として検査作業を行なっている作業者がいたとしても、その作業者がこの発報感知器を点検対象の火災感知器50として設定していなければ、その作業者が所持する携帯端末20に対しては報知指示は行われない。
【0043】
図13は、発報通知画面の一例を示す図である。発報通知画面においては、発報感知器情報が示す火災感知器50の所在を明らかにする表示、この例においては、アドレスと設置場所とが表示部23に表示される。また、表示された火災感知器50が検査対象と一致しているか否かについて、作業者による判定の入力を受け付けるためのOKボタンB2、NGボタンB3が表示部23に表示される。
【0044】
図12に戻って説明を続ける。報知先として特定した携帯端末20に対して報知指示を行った後、携帯端末20における判定受付部240により、作業者による判定の入力が受け付けられるのを待つ(ステップS350;No)。この判定の入力が受け付けられ(ステップS350;Yes)、作業者による判定が点検OK(OKボタンB2が操作された)となった場合(ステップS360;Yes)には、発報登録部170は、発報履歴データベースのうち、報知指示において用いられた発報感知器の発報履歴に点検フラグ「OK」を付加する(ステップS370)。一方、作業者による判定が点検NG(NGボタンB3が操作された)となった場合(ステップS360;No)には、発報登録部170は、発報履歴データベースのうち、報知指示において用いられた発報感知器の発報履歴に点検フラグ「NG」を付加する(ステップS380)。これにより、報知処理は終了する。
なお、OKボタンB2が操作されることにより、発報感知器を再び火災の感知が可能な火災感知機50として機能させるための復旧処理が受信機30によって行われるようにしてもよい。また、発報後予め決められた時間が経過後に、受信機30によって自動的に復旧処理が行われるようにしてもよい。
【0045】
このように、本発明の実施形態における点検支援システム1は、火災感知器50の点検作業をする作業者が所持する携帯端末20により、点検対象の火災感知器50が設定される。作業者の点検作業により、火災感知器50から発報信号が出力される。サーバ10では、その発報感知器を点検対象の火災感知器50として設定した携帯端末20を特定し、発報感知器が発報したことを、特定した携帯端末20において報知させる指示を行う。そのため、発報に伴う報知は、発報感知器を点検対象とした携帯端末20において行われ、他の携帯端末20では行われない。また、点検作業中においては、点検対象の火災感知器50が発報したとしても、通常であれば動作してしまう発報連動装置60の動作を制限することもできる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。また、それぞれの態様を組み合わせて実施することも可能である。
【0047】
[変形例1]
上述した実施形態において、点検対象設定画面(図11参照)は、プルダウンメニューを用いて点検感知器を設定するための画面として表示されていたが、点検対象の施設の間取り図などを用いた点検対象設定画面により点検感知器を設定できるようにしてもよい。
【0048】
図14は、本発明の変形例1における点検対象設定画面の一例を示す図である。図14に示す例においては、実施形態において用いたプルダウンメニューに加えて、選択された「物件No.」、「エリア」に対応する間取り図が含まれた点検対象設定画面が、表示部23に表示される。このエリアに存在する火災感知器50とそのアドレスが間取り図には表示されている。なお、これらを表示するために必要なデータは、記憶部15の設置データに含まれているものとし、表示されているエリアと別のエリアをプルダウンメニューにより選択するたびに、表示指示部110は、表示部23へ「物件No.」、「エリア」に対応する間取り図を表示させる指示を行う。
図14に示す選択領域SAは、作業者の操作部22への操作によって指定された領域である。この選択領域SAに囲まれた火災感知器50(この例では、アドレス08、09(ad.8,ad.9)の火災感知器50)が点検感知器として設定される。
【0049】
なお、この表示は、発報通知画面においても用いることができる。例えば、図14に示す間取り図において、発報感知器については、表示態様が発報前後で変化するようにすればよい。表示態様の変化としては、例えば、点滅させたり、色を変化させたり、大きさを変化させたり様々に設定し得る。
【0050】
[変形例2]
上述した実施形態において、発報通知画面(図13参照)は、発報感知器のアドレスなどを示す表示となっていたが、別の態様で表示されてもよい。
【0051】
図15は、本発明の変形例2における発報通知画面の一例を示す図である。図15に示す例においては、点検感知器のアドレスがリスト表示され、各点検感知器に対応した検査結果が表示されている。この結果表示は、点検履歴データベースの検査フラグが反映されている。また、発報通知画面の表示の契機となった発報感知器については、この例においては「発報」という表示がなされる。
このとき、作業者によりOKボタンB2が操作されればアドレス09に対応する表示が「OK」に変更される一方、NGボタンB3が操作されればアドレス09に対応する表示が「NG」に変更される。なお、実施形態においても説明(図12、ステップS350からステップ380の処理)したように、作業者によるOKボタンB2またはNGボタンB3の操作に伴い、発報履歴に点検フラグが付加されることになる。
【0052】
[変形例3]
上述した実施形態においては、図10のステップS150の処理は、点検作業が全て終了したかどうかにより判定していたが、複数の点検感知器が設定されている場合には、点検作業が終了した点検感知器から順に点検終了の判定とされるようにしてもよい。その場合には、点検が終了する度に、点検が終了した火災感知器50については、復旧処理後に点検対象の火災感知器50から除外するように、点検登録部130が点検管理データベースを更新すればよい。
【0053】
[変形例4]
上述した実施形態において、記憶部15に記憶されている発報履歴データベースには、点検フラグが付加されていたが、点検フラグとともにまたは点検フラグに代えて、点検感知器に対応する携帯端末20(点検作業をした作業者が所持する携帯端末20)の端末IDを付加するようにしてもよい。
また、点検フラグについては、「OK」、「NG」のように点検の結果が示される場合にかぎらず、単に、点検作業の有無のみが確認できるようにフラグが付加されていてもよい。
【0054】
[変形例5]
上述した実施形態においては、発報通知画面は、発報感知器を特定する表示(アドレス、設置場所)がされていたが、発報があったか否かだけを通知する表示であってもよい。火災感知器50に登録されているアドレスが、設置データにおけるアドレスと正しい対応をしていることが既に確認されている場合には有用である。すなわち、一の作業者が設定した点検感知器について、他の作業者が点検作業をすることがなければ、発報感知器のアドレス等が特定できなくても、その一の作業者の点検作業によって発報したか否かが確認できる。そのため、発報通知画面において発報感知器を特定する表示がなくても、作業者は、その火災感知器50の検査結果の判定をすることができる。
なお、この場合には、判定受付部240により作業者の判定が受け付けられるまでもなく、発報が確認できれば点検OKであることになる。したがって、発報登録部170は、ステップS310(図12参照)の処理において、発報履歴データベースに発報履歴を登録するときに、点検管理データベースを参照して発報感知器が点検対象の火災感知器50(点検感知器)である場合には、「OK」の点検フラグを付加してもよい。
【0055】
[変形例6]
上述した実施形態においては、制限部140において連動動作制御部730における発報連動装置60の動作を制限するようにしていたが、この制限をする処理は無くてもよい。この場合には、受信機30において、一定時間経過後、元の状態に復旧するように制御されることが望ましい。
また、作業者が点検作業を開始してから、点検感知器の最初(または最後)の発報があった場合にのみ、制限部140の制限を行わないようにしてもよい。このようにすれば、1回のみ動作させて、連動動作制御部730の点検についても併せて行うこともできる。
また、記憶部15に記憶されている発報履歴データベースに発報連動装置60の動作履歴を同時に記録するようにしても良い。
【0056】
[変形例7]
上述した実施形態において、サーバ10の記憶部15に記憶された発報履歴データベースから、一部の発報履歴をサーバ10に通信回線1000を介して接続された外部装置にダウンロードできるようにしてもよい。この場合には、点検フラグが付加された発報履歴のみを抽出してダウンロードできるようにしてもよい。
なお、発報履歴データベースは、サーバ10の記憶部15に記憶されていたが、必ずしもサーバ10の記憶部15に記憶されている必要はなく、通信回線1000を介して接続可能な装置であれば他の装置に記憶されていてもよい。
このようにすれば、点検作業終了後に、点検作業報告書の作成用データとして利用できる。また、点検予定の全ての物件の発報履歴データベースを呼び出して、点検の進行状況を確認して、点検作業が遅れている物件に追加の作業者を派遣したりすることもできる。
【0057】
[変形例8]
上述した実施形態においては、発報通知画面を携帯端末20の表示部23に表示させることにより発報を報知していたが、他の態様で報知されてもよい。例えば、携帯端末20から予め決められた音が出力される態様であってもよいし、携帯端末20が振動する態様であってもよい。すなわち、発報したことを携帯端末20を所持する作業者が認識できる態様で報知されればよい。
【0058】
[変形例9]
上述した実施形態において、火災報知設備2が施設に設置されている場合の点検支援について説明したが、点検支援の対象としては、火災報知設備2に限らない。周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が施設内に複数設置され、また、感知器での発報に連動して動作する装置(防災装置、警備装置、通報装置など)が設置された報知設備の点検支援に本発明の点検支援システムを用いることができる。
【0059】
[変形例10]
上述した実施形態における各プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、各装置は、各プログラムを通信回線1000を経由して外部装置からダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…点検支援システム、2…火災報知設備、10…サーバ、11…制御部、12…操作部、13…表示部、14…通信部、15…記憶部、20…携帯端末、21…制御部、22…操作部、23…表示部、24…通信部、25…記憶部、30…受信機、31…制御部、32…操作部、33…表示部、35…記憶部、36…インターフェイス、40…通信端末、41…制御部、42…操作部、43…表示部、44…通信部、45…記憶部、46…インターフェイス、50…火災感知器、60…発報連動装置、61…ベル、62…防火戸、63…シャッタ、64…排煙機、70…管理装置、110…表示指示部、120…点検感知器受信部、130…点検登録部、140…制限部、150…発報感知器受信部、160…報知指示部、170…発報登録部、210…入力受付部、220…点検感知器送信部、230…報知部、240…判定受付部、710…発報信号受信部、720…発報感知器送信部、730…連動動作制御部、1000…通信回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15