(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本実施形態の針状体を説明する。
【0012】
本実施形態の針状体は、
図1の模式図に示されるような突起部22および突起部を支持する支持部23を有する成形体である。突起部22は、ペクチンとアルギン酸塩とを含む材料から構成される。
【0013】
支持部23は、突起部22を支持し得る機械的強度を有することが好ましく、可撓性を有してもよい。支持部23が可撓性を有する場合には、曲面や生体皮膚などの可撓性を有する対象に対して、より確実に穿刺することができる。また、支持部23が可撓性を有する場合には、突起部22を形成した後に支持部23をロール状に成形することも可能となる。
【0014】
支持部23は、単層構造および多層構造のいずれであってもよい。例えば、支持部23が上層と下層とを含んだ多層構造を有し、突起部22が上層側に設けられる場合、突起部22と同じ材料で上層を形成し、この上層を構成している材料と比較して可撓性に富んだ材料で下層を構成することができる。あるいは、支持部23は、上層の材料として下層を構成している材料と比較して展性のより大きな材料を使用してもよい。またさらに、下層の材料として、上層を構成している材料と比較して圧縮しやすい材料を使用してもよい。これらの場合、突起部22を形成した後に支持部23をロール状に成形することが容易である。多層構造を採用する場合には、支持部23は、層間を固定するための粘着シートをさらに含んでもよい。
【0015】
支持部23のうち突起部22が設けられた側の材料は、突起部22と同一とすることができる。この場合には、支持部23は突起部22とともに、一体成形により容易に形成することができ、製造プロセスが簡略化される。
【0016】
また、支持部23の最下層は、可撓性または柔軟性を有する層としてもよい。この場合、例えば、層状の針状体20を重ねて保管したときに、突起部22の破損を生じ難い。
【0017】
突起部22の形状は、皮膚などの対象物に穿刺孔するのに適していればよく、適宜設計することができる。例えば、円錐形状、角錐形状、円柱形状、または角柱形状を有していてもよい。あるいは、突起部22は、鉛筆形状、すなわち、柱状の胴体部と錐形状の先端部とからなる形状を有していてもよい。突起部22の数は限定されず、支持部上に針状部が一本の形状、および支持部上に針状部が複数本林立した形状のいずれとしてもよい。
【0018】
支持部上に針状部が複数林立した場合、各針状部は、アレイ状に配列していることが好ましい。ここで、「アレイ状」とは、各単位針状部が並んでいる状態を示すものであり、例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状に配列、またはランダムに配列などのパターンを含むものとする。こうした形状の場合には、「マイクロニードルアレイ」と称することができる。
【0019】
突起部22の長さおよび径は、例えば、穿孔すべき対象物に応じて定められる。人体などの生体の皮膚に穿孔する場合、突起部22は、例えば数μmから数百μm、具体的には約1μm〜約300μmの範囲内の径と、数十μmから数百μm、具体的には約10μm〜約1000μmの範囲内の長さとを有するように設計する。この場合、突起部22のアスペクト比は、1〜10程度とすることが好ましい。
【0020】
人体の皮膚に穿孔する場合であって、突起部22を角質層に貫通させることなしに、その先端を角質層内へと到達させるときには、突起部22は、例えば約10μm〜約300μm、典型的には約30μm〜200μmの範囲内の長さを有するように設計する。
【0021】
人体の皮膚に穿孔する場合であって、突起部22を神経層へ到達させることなしに、角質層に貫通させるときには、突起部22は、例えば約200μm〜約700μm、典型的には約200μm〜約500μm、特には約200μm〜約300μmの範囲内の長さを有するように設計する。
【0022】
そして、人体の皮膚に穿孔する場合であって、突起部22を真皮へ到達させるときには、突起部22は、例えば約200μm〜約500μmの範囲内の長さを有するように設計する。また、人体の皮膚に穿孔する場合であって、突起部22を表皮に到達させるときには、突起部22は、例えば約200μm〜約300μmの範囲内の長さを有するように設計する。
【0023】
先端が先細りしている突起部22を人体の角質層に貫通させる場合、突起部22の最大角度は、例えば5°〜30°、典型的には10°〜20°の範囲内とする。
【0024】
針状体20は、突起部22を構成する材料中に送達物をさらに含んでいてもよい。あるいは、この針状体20は、突起部22の表面に担持された送達物をさらに含んでいてもよい。この送達物としては、例えば、薬理活性物質や化粧品組成物などが挙げられる。送達物として芳香を有する材料を用いた場合には、使用に際して匂いを付与することができることから、美容品として用いるのに好ましい。
【0025】
なお、送達物は、針状体20の突起部22に担持させない場合であっても、生体に投与することができる。例えば、針状体20を用いた穿孔に先立って、送達物を皮膚に塗布しておく。あるいは、針状体20を用いた穿孔の後に、供給物を皮膚に塗布する。
【0026】
また、送達物を針状部22に担持させた針状体20を使用して皮膚に穿孔し、その後、この皮膚に送達物をさらに塗布してもよい。あるいは、皮膚に送達物を塗布し、その後、送達物を突起部22に担持させた針状体20を使用して皮膚に穿孔してもよい。
【0027】
いずれの場合であっても、送達物は、針状体20を押し当てることによって形成した孔を介して対象物に投与する。したがって、この針状体20を使用して薬理活性物質を投与する場合、この送達物として、一般に経皮吸収法によって生体へ投与している薬理活性物質に加え、皮下注射または経口投与していた薬理活性物質も使用することができる。例えば、薬理活性物質として、皮膚適用製剤に加え、インフルエンザウイルスワクチンなどのワクチンに代表される生物製剤、癌患者などに投与する鎮痛薬、インスリンおよび遺伝子治療薬などの注射剤ならびに経口剤も使用することができる。
【0028】
また、針状体20を使用すると、一般に注射剤として使用されている薬剤を、患者に痛みを感じさせることなしに投与することができる。さらに、針状体20を使用すると、経口剤を飲み込むのが困難または苦手な患者に対し、一般に経口投与している薬剤を経皮投与することもできる。こうした点で、針状体20は、特に小児への適用に適している。
【0029】
送達物として、化粧品組成物を使用することもできる。化粧品組成物は、化粧品または美容品として用いられる組成物である。この化粧品組成物としては、例えば、保湿剤、色料、香料、または美容効果(しわ、にきび、および妊娠線などに対する改善効果、ならびに脱毛に対する改善効果など)を示す生理活性物質などが挙げられる。
【0030】
送達物の生体への供給に針状体20を使用すると、その供給深さを正確に制御することができる。送達物の生体内での滞留時間は、この供給深さに応じて変化する。
【0031】
例えば、角質層は絶えず新陳代謝しているため、角質層内へと供給した送達物は、比較的短い期間で体外へと排出される。そして、皮膚表面またはその近傍の送達物は、皮膚の洗浄またはピーリングによって容易に除去することができる。したがって、例えば、化粧品組成物が比較的短い期間だけ効果を持続すればよい場合には、このような比較的小さな供給深さが適している。
【0032】
また、突起部22を角質層に貫通させて、送達物を皮膚内に供給した場合、角質層に形成した孔は時間の経過とともに塞がる。このため、この孔を介して送達物が体外へと排出されることはほとんどなく、角質層の新陳代謝に伴なう送達物の体外への排出も生じ難い。送達物は、皮膚の洗浄またはピーリングによって除去され難く、比較的長い期間にわたって生体内に保持される。したがって、送達物に比較的長い期間にわたって効果を持続することが求められる場合には、このような比較的大きな供給深さが適している。具体的には、眉、目の周囲若しくは唇の周囲の位置における化粧品組成物による皮膚の着色効果を長期間に亘って維持することが要求される場合である。また、角質層よりも深い位置に原因がある皮膚の異常(斑点など)を、化粧品組成物によって分かり難くする場合である。さらには、そのような皮膚の異常を薬理活性物質によって治療する場合も該当する。
【0033】
あるいは、送達物に比較的長い期間にわたって効果を持続することが求められる場合には、皮膚に穿刺された突起部22が支持部23から分離できるように、針状体を構成してもよい。
【0034】
針状体においては、突起部および支持部の少なくとも一方に中空部が設けられていてもよい。中空部は、貫通孔または未貫通孔とすることができる。こうした中空部を備えた場合、内部に送達物を保持することができる。また、針状体を生体検査などの用途に用いる場合、生体組織(血液、体液など)を好適に保持することができる。
【0035】
この針状体20は、例えばマイクロニードルパッチ(またはマイクロニードルデバイス)として用いることができる。こうした用途に使用する際には、突起部22が突き刺さるように生体に押し当てる。このとき、突起部22の挿入の位置および方向を固定するためのアプリケータを用いてもよい。
【0036】
上述したとおり本実施形態の針状体においては、突起部は、ペクチンとアルギン酸塩とを含む材料からなる。
【0037】
ペクチンとアルギン酸塩とを混合することにより、μmオーダーの微細な三次元構造体において、特異に機械的強度が向上する。ペクチン単独、およびアルギン酸塩単独では、いずれが用いられた場合も、強度の高い針状体を製造することが困難であった。ペクチンとアルギン酸塩とを混合して用いることによって機械的強度が高く、生体適合性を備えた針状体を提供することが可能となった。
【0038】
アルギン酸は、マンヌロン酸(Mannuronic acid)、グルロン酸(Glucaric acid)により形成される多糖であり、D−マンヌロン酸はβ−1,4結合、L−グルロン酸はα−1,4結合によって結合している。このアルギン酸塩は、褐藻などの植物より精製され、一部は食品添加物に用いられる実績があるなど生体に低負荷な材料である。
【0039】
アルギン酸塩は、アルギン酸由来のアニオンと塩基由来のカチオンとが、イオン結合した化合物である。例えば、具体的には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、およびアルギン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0040】
ペクチンは、ガラクツロン酸(Galacturonic acid)が、α−1,4−結合したポリガラクツロン酸を主成分とし、分子量が50,000〜360,000程度の複合多糖類である。このペクチンは、植物より精製され、一部は増粘多糖類として食用に用いられる実績があるなど生体に低負荷な材料である。
【0041】
ペクチンとアルギン酸塩とを混合することによる特異的な機械的強度の向上は、本発明者によって経験的に見出された。
【0042】
こうした機械的強度の向上の理由について、本発明者は以下のように考察した。
【0043】
アルギン酸塩は、D−マンヌロン酸のα−1,4結合、およびL−グルロン酸のβ−1,4結合を有している。このため、分子鎖が絡みやすく、空間あたりの分子鎖の充填密度が小さい状態にある。一方、ペクチンは、ガラクツロン酸のα−1,4結合を繰り返している。これに起因して、アルギン酸に比較して、分子鎖の絡み合いが少なく、空間あたりの分子鎖の充填密度が高い状態にあると考えられる。
【0044】
ペクチンとアルギン酸塩とを混合することによって、アルギン酸塩の分子鎖間の空間にペクチンの分子鎖が充填される。分子鎖の絡み合いが多く、空間あたりの分子鎖の充填密度が高い状態になると考えられる。その結果、混合材料の特異的な機械的強度の向上が得られたものと推測される。
【0045】
一般的な皮膚穿刺に用いられる針状体において、突起部は、数μmから数百μm、具体的には約1μm〜約300μmの範囲内の径と、数十μmから数百μm、具体的には約10μm〜約1000μmの範囲内の長さとを有する。この場合、突起部のアスペクト比は1〜10程度である。
【0046】
こうした突起部を有する針状体の場合、ペクチンの重量をaとし、アルギン酸塩の重量をbとすると、混合比(a/b)は、1.00≦a/b≦2.75の範囲にあることが好ましく、1.50≦a/b≦2.00の範囲にあることがより好ましい。
【0047】
本実施形態の針状体は、例えば以下の方法により製造することができる。
【0048】
<凹版を作製する工程>
まず、
図2に示すような型10を用意する。型10の一主面には、針状体20の支持部23に対応した形状の第1凹部11aが設けられている。この第1凹部の底面には、針状体20の突起部22に対応した第2凹部11bが設けられている。第2凹部11bは、針状パターンと称することができる。
【0049】
型10は、様々な方法で製造することができる。
例えば、まず、微細加工技術を利用して、原版を作製する。この微細加工技術としては、例えば、フォトリソグラフィ、レジスト層に対するレーザービーム若しくは電子ビーム描画、これらのいずれかによって形成したパターンをマスクとして用いたウェットエッチングもしくはドライエッチング、十分な強度を有しているパターンをマスクとして用いたサンドブラスト、レーザー加工、または切削加工などの精密機械加工法を使用することができる。
【0050】
このような方法で得られた原版が針状の突起部を備える凸版である場合、この原版から作製した凹版を、型10として利用することができる。例えば、原版から電鋳によってニッケルからなる複製版を製造し、これを型10として利用しても良い。あるいは、原版が十分な耐熱性を有している場合、原版に溶融させた熱可塑性樹脂を供給し、この状態で熱可塑性樹脂を冷却することにより、得られる複製版を型10として利用しても良い。
【0051】
また、得られた原版が針状の突起部に対応する凹部が設けられた凹版である場合、それ自体を型10として利用することができる。また、この原版から複製版を製造し、この複製版を型10として利用しても良い。
【0052】
<針状体材料の調製工程>
針状体材料(以下、塗工液と称する)としては、ペクチンおよびアルギン酸塩を含む水溶液が用いられる。こうした水溶液を用いて形成されたμmオーダーの微細な三次元構造体においては、特異に機械的強度が向上する。これは、本発明者らによって、初めて見出された。
【0053】
ペクチンおよびアルギン酸塩は水に可溶であることが知られており、水溶液として調製することが好ましい。ここで液状とは、凹版に流入できる程度の流動性を備えていればよく、ゲル状であってもよい。
【0054】
塗工液中におけるペクチンとアルギン酸塩との合計濃度は、適宜設定することができる。粘度が上昇して取り扱いが困難になるのを避けるため、塗工液中における合計濃度は、1〜10wt%の範囲内とすることが好ましい。こうした濃度でペクチンおよびアルギン酸塩が含有されていれば、所望の針状体を形成することが可能である。
【0055】
塗工液においては、ペクチンの重量をaとし、アルギン酸塩の重量をbとしたとき、混合比(a/b)は、1.00≦a/b≦2.75の範囲にあることが好ましく、1.50≦a/b以下2.00の範囲にあることがより好ましい。
【0056】
ペクチンおよびアルギン酸塩を含有する水溶液中には、送達物として、薬理活性物質や化粧品組成物などが配合されてもよい。
【0057】
<塗工液を充填する工程>
図3に示すように、塗工液を型10の凹部11bの中および11aの一部の中に充填して、塗工液からなる層12を形成する。塗工液の充填には、型10の形状や寸法に応じて適宜公知の方法を選択することができる。例えば、スピンコート法、ディスペンサーを用いる方法、およびキャスティング法などが挙げられる。型10への塗工液の充填は、減圧雰囲気中または真空中で行なってもよい。
【0058】
<乾燥固化工程>
型10に充填された塗工液の層12を、熱源13により乾燥固化させて、
図4に示されるようなフィルム状の針状体20を得る。乾燥方法は、自然乾燥、ホットプレートを用いた底面加熱、熱風乾燥による乾燥など環境に応じて適宜選択できる。
【0059】
加熱の温度および時間は、塗工液の組成、薬理活性物質や化粧品組成物の特性等に応じて、適宜決定すればよい。
【0060】
所定時間の加熱の後、凹版を除去して、本実施形態の針状体が得られる。凹版は、物理的な力により剥離することができる。あるいは、化学的処理を施して、凹版を選択的に溶解してもよい。
【0061】
なお、ここでは、針状体20を医療用途または化粧もしくは美容用途に適用することを記載したが、針状体20は、他の用途に使用することも可能である。また、ここでは、針状体20を対象物に穿孔するための穿孔具として利用することを記載したが、針状体20は、他の目的で使用することも可能である。例えば、針状体20は、MEMS(microelectromechanical system)デバイス、光学部材、試料治具および創薬などに利用することも可能である。
【0062】
以下、本実施形態の針状体を具体的に説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
【0063】
まず、シリコン基板に精密機械加工を施して、36個の正四角錐を6行6列の正方格子状に配列してなる凹凸構造を形成し、針状の突起部を備える原版を得た。各正四角錐は、底面の各辺が60μmの長さを有し、高さが150μmとなるように形成した。また、行方向に隣り合った正四角錐間の距離および列方向に隣り合った正四角錐間の距離はいずれも1mmとした。
【0064】
得られた針状の突起部を備える凸版である原版の凹凸構造の上に、メッキ法により500μmの厚さのニッケル膜を形成した。次いで、水酸化カリウムを30質量%の濃度で含んだ水酸化カリウム水溶液を90℃に加熱し、この水溶液をエッチング液として用いたウェットエッチングを行なうことによって、ニッケル層から原版を除去した。このようにして、ニッケルからなり、一方の主面に正四角錐形状の36個の突起部に対応した針状パターンが設けられた型を得た。
【0065】
塗工液としては、ペクチンとアルギン酸ナトリウムとを含有する水溶液を調製した。水溶液中におけるペクチンとアルギン酸ナトリウムとの合計濃度は、7.5wt%とした。この合計濃度を維持しつつ、ペクチンの重量aおよびアルギン酸ナトリウムの重量bを変更して、混合比(a/b)の異なる6種類の水溶液を準備した。混合比(a/b)は、0.25、0.50、1.00、2.00、4.00、および9.00とした。
【0066】
得られた塗工液をスピンコート法により、
図3に示すように前述の型に充填した。この型を、
図4に示すように熱源13としてのホットプレート上に載置した。120℃で10分間加熱して、乾燥、固化させた。
【0067】
乾燥固化後には、型10を除去して実施例の針状体を6つ得た。実施例で得られた針状体においては、ペクチンとアルギン酸ナトリウムとの混合比(a/b)は、それぞれ、0.25、0.50、1.00、2.00、4.00、および9.00である。
【0068】
<参考例1>
塗工液としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用いた以外は前述と同様にして、針状体を製造した。水溶液中におけるアルギン酸ナトリウムの濃度は、7.5wt%である。
【0069】
<参考例2>
塗工液としてペクチン水溶液を用いた以外は前述と同様にして、針状体を製造した。水溶液中におけるペクチンの濃度は、7.5wt%である。
【0070】
<強度測定試験>
得られた針状体の強度を、針状体強度試験機を用いて測定した。
【0071】
針強度は、針状体強度測定機を用いて測定した。針状体強度測定機は、荷重を感知する測定針を有する次のような測定機器である。所定の測定高さにおいて測定針を検査部位に接触させて針状部を破壊し、この際の測定針にかかる最大荷重を計測する。
【0072】
具体的には、
図5に示すように、支持部23上の針状部22同士の間に測定針21を高さhに維持して配置する。ここでは、測定高さhは10μmとした。次いで、
図6に示すように測定高さhを維持したまま、測定針21を針状部22に接触させ、矢印Aで示すように水平方向に荷重をかける。針状部22が破壊されて横倒しになる際の最大荷重を、針強度とした。
【0073】
得られた結果を、塗工液における混合比(a/b)とともに下記表1にまとめる。
【表1】
【0074】
上記表1に示されるように、ペクチンとアルギン酸ナトリウムとを含む材料を用いて製造された針状体の強度は、アルギン酸ナトリウム単独で製造した針状体(参考例1)、ペクチン単独の針状体(参考例2)よりも高い。
【0075】
図7は、実施例の針状体について、混合比(a/b)を横軸とし、強度を縦軸としてプロットした図である。参考のため、参考例1および参考例2で得られた強度を、
図7中の縦軸上に示した。
【0076】
図7によれば、強度が高められる混合比(a/b)が存在することがわかる。混合比が1.75近傍(1.50≦a/b≦2.00)では、特に大きな強度を示している。
【0077】
1.00≦a/b≦2.75の際に強度が急峻に向上し、1.50≦a/b≦2.00の範囲でより高い強度を示す針状体が得られることが確認された。