特許第5663493号(P5663493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663493
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】2段ターボチャージャアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/007 20060101AFI20150115BHJP
   F02B 37/013 20060101ALI20150115BHJP
   F02B 37/16 20060101ALI20150115BHJP
   F02B 37/18 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   F02B37/00 301C
   F02B37/00 301B
   F02B37/00 303B
   F02B37/12 301A
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-544916(P2011-544916)
(86)(22)【出願日】2009年11月25日
(65)【公表番号】特表2012-515286(P2012-515286A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】GB2009002752
(87)【国際公開番号】WO2010079313
(87)【国際公開日】20100715
【審査請求日】2012年10月15日
(31)【優先権主張番号】0900427.6
(32)【優先日】2009年1月12日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510221504
【氏名又は名称】ネイピア ターボチャージャーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NAPIER TURBOCHARGERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ,ジェフリー
【審査官】 赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−115543(JP,A)
【文献】 特開2008−106728(JP,A)
【文献】 実開平02−118138(JP,U)
【文献】 実開平02−072347(JP,U)
【文献】 特開平09−324643(JP,A)
【文献】 特開2001−342839(JP,A)
【文献】 実開平02−072327(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00〜41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンのための2段ターボチャージャアセンブリであって、
1つの低圧ターボチャージャと、
互いに並列に配置された2つより多い高圧ターボチャージャとを備え、前記1つの低圧ターボチャージャのコンプレッサ出口は前記2つより多い高圧ターボチャージャのコンプレッサ入口に作動的に接続され、前記2つより多い高圧ターボチャージャのタービン出口は前記1つの低圧ターボチャージャのタービン入口に作動的に接続される、2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項2】
前記高圧ターボチャージャを4つ以上、好ましくは6つ以上有する、請求項1に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項3】
1つ以上の前記高圧ターボチャージャは、アセンブリのコンプレッサおよびタービン特性を変化させるように、制御可能にオンラインおよびオフラインに切替られ得る、請求項1または2に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項4】
前記切替可能な高圧ターボチャージャの各々は、そのタービン入口への、またはそのタービン出口からの排気ガスの流れを制御し、それによりそのオンラインまたはオフライン状態を変更する弁を有する、請求項3に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項5】
前記切替可能な高圧ターボチャージャの各々は、そのコンプレッサ入口への、またはそのコンプレッサ出口からの圧縮ガスの流れを制御し、それによりそのオンラインまたはオフライン状態を変更する弁を有する、請求項3または4に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項6】
前記弁はバタフライ弁、グローブ弁またはゲート弁である、請求項4または5に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項7】
各高圧ターボチャージャは、排気ガスがそのタービンを迂回することを可能にする廃棄ゲートを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項8】
前記1つの低圧ターボチャージャは、排気ガスがそのタービンを迂回することを可能にする廃棄ゲートを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項9】
前記1つの低圧ターボチャージャのコンプレッサ出口を前記2つより多い高圧ターボチャージャのコンプレッサ入口に作動的に接続する1つ以上の中間冷却器をさらに有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項10】
前記中間冷却器が迂回されるのを可能にする前記中間冷却器と並列の一または複数のダイバータラインをさらに有する、請求項9に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項11】
前記2つより多い高圧ターボチャージャのコンプレッサ出口を、使用中に、内燃エンジンの燃焼室に作動的に接続する1つ以上の給気冷却器をさらに有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項12】
前記2つより多い高圧ターボチャージャは互いに実質的に同一である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項13】
前記2つより多い高圧ターボチャージャは、内燃エンジンのシリンダヘッドに取り付けられるように構成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項14】
各高圧ターボチャージャは、圧縮ガスを内燃エンジンの1つ以上のそれぞれの燃焼室へ送り、かつ排気ガスを内燃エンジンの1つ以上のそれぞれの燃焼室から受け取るように構成され、前記2つより多い高圧ターボチャージャは、各々がシリンダヘッドに取り付けられるときそれぞれの室に隣接するようにアセンブリに配置され、前記2つより多い高圧ターボチャージャは2つ以上のグループに分割され、各グループの高圧ターボチャージャは他のグループの燃焼シリンダのためには機能しない、請求項13に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項15】
各グループは1つ以上の前記切替可能な高圧ターボチャージャを含む、請求項3に従属する請求項14に記載の2段ターボチャージャアセンブリ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項の2段ターボチャージャアセンブリが取り付けられた内燃エンジン。
【請求項17】
複数の排気ガスマニホールドを有し、各排気ガスマニホールドは各サブセットの2つより多い高圧ターボチャージャに排気ガスを送る、請求項16に記載の内燃エンジン。
【請求項18】
各サブセットは1つ以上の前記切替可能な高圧ターボチャージャを含む、請求項3に従属する請求項17に記載の内燃エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2段ターボチャージャアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
NOおよびCOの排出量を低減するために、工業ディーゼルエンジンにミラー(Miller)タイミングを用いることは周知である。このようなエンジンは、単段ターボチャージャから現在入手可能なターボチャージャを大きく超えた高圧力比ターボチャージャを必要とする。例えば、2007年ウイーン国際燃焼機関会議(CIMAC Congress)資料101の、Wik, C.およびHallback, Bによる「Wartsila4ストローク中速ディーゼルエンジンにおける排出量低減手段としての2段ターボチャージの利用(Utilisation of 2-stage turbo charging as an emission reduction mean on a Wartsila 4-stroke medium-speed diesel engine)」を参照されたい。
【0003】
より高い圧力比を達成する従来の方法は、2007年ウイーン国際燃焼機関会議(CIMAC Congress)資料245の、Codan, EおよびMathey, C.による「排出量―ターボチャージへの新しい挑戦(Emissions - A new Challenge for Turbocharging )」の図13に概説されている。1つの方策は、従来の設計の2つの別個のターボチャージャ:大気から空気を取り込み、中圧空気を中間冷却器に送る大型の低圧(LP)ターボチャージャ、および中間冷却器から中圧空気を取り込み、高圧空気をエンジン給気冷却器へ送る小型の高圧(HP)ターボチャージャを基にした2段ターボチャージャアセンブリを用いることである。エンジンからの排気はHPターボチャージャタービンにダクトで送られて(HPコンプレッサを駆動し)、それからLPターボチャージャタービンにダクトで送られて(LPコンプレッサを駆動する)。
【0004】
特にミラータイミングを用いるとき、エンジン制御を低負荷で行うためにターボチャージャアセンブリのコンプレッサおよびタービン特性を変化可能にすることが望ましい。
【0005】
これを達成する1つの方法は、タービンスロートに近い静翼が移動される可変形態HPタービンを採用することである。しかしながら、エンジン燃料として重油を使用することにより、HPタービンに高レベルの灰堆積物がもたらされ得る。これによって、可変形態HPタービンを有効に利用することが難しくなる可能性がある。
【0006】
典型的に、HP段はLP段よりも低い圧力比を有する。これにより、LP段の大きさは、低程度のミラータイミングの典型的な単段ターボチャージャと同じくらいの大きさに確実に維持され得る。エンジン負荷を変化させると、HP圧力比は典型的に一定であるが、LPターボチャージャ圧力比はエンジン負荷に応じて実質的に増加する。これにもかかわらず、エンジンの過渡時に、小型のHP段では加速される傾向にある。このため、HP段の慣性によりターボラグが支配され得る。
【0007】
DE102006011188Aは、2つのHPターボチャージャが互いに並列に配置されたターボチャージャアセンブリを提案している。
【0008】
GB2294729Aは、2つのLPターボチャージャが互いに並列に配置されたターボチャージャアセンブリを提案している。
【発明の概要】
【0009】
概括的に述べると、本発明は2段ターボチャージャアセンブリ、低圧ターボチャージャ、および互いに並列に配置された複数のHPターボチャージャを提供している。
【0010】
本発明の第1の局面では、内燃エンジンのための2段ターボチャージャアセンブリであって、
LPターボチャージャと、
互いに並列に配置された複数のHPターボチャージャとを備え、LPターボチャージャのコンプレッサ出口はHPターボチャージャのコンプレッサ入口に作動的に接続され、HPターボチャージャのタービン出口はLPターボチャージャのタービン入口に作動的に接続され、
アセンブリは2つより多いHPターボチャージャを有する、2段ターボチャージャアセンブリが提供される。
【0011】
そのアセンブリは、以下の選択的特徴のうちのいずれか1つ、または両立可能な程度に、これらの選択的特徴を組み合わせたものを有してもよい。
【0012】
好ましくは、このアセンブリは4つ以上のHPターボチャージャを有する。より好ましくは、このアセンブリは6つ以上の、または8つ以上のHPターボチャージャを有する。
【0013】
比較的多数の並列HPターボチャージャを用いることにより、より小型のHPターボチャージャが使用可能であり、これらの総重量を大幅に減少させることができる。例えば、6つのHPターボチャージャでは、HPターボチャージャの総重量は、等価の1つのHPターボチャージャの重量のおよそ40%だけになり得る。各HPターボチャージャはより小さいので、HP段の全慣性はかなり低減され得る。したがって、6つのHPターボチャージャは等価の1つのHPターボチャージャの慣性のおよそ1%の慣性を有し得る。そして、これによってターボラグが大きく低減される。
【0014】
比較的多数の小型の並列HPターボチャージャを採用することのさらなる利点は、小型のターボチャージャは、より多く製造されており、大型のターボチャージャよりも一般的に低価格で入手できることである。したがって、HP段はより多くのターボチャージャを含んでいるが、全体的なコストは削減できる。
【0015】
あるいは、並列HPターボチャージャのタービンの寸法が大きくなると(例えば、小型のHPターボチャージャに対しておよそ25%だけ)、HP慣性を、等価の1つのHPターボチャージャの慣性のおよそ2%以内に保ちつつ、強い効率利益を生み出すことができる。
【0016】
したがって、HPターボチャージャの数は、その総重量および慣性が低くなるような数にされ得るが、各HPターボチャージャの寸法が小さすぎて効率的でなくなるとか、またはLPターボチャージャとHPターボチャージャとの接続を提供するコストがあまりにも高くなるような多くの数にはならない。
【0017】
典型的に、このアセンブリは、全エンジン負荷時に少なくとも3kg/秒の圧縮空気を提供できる空気容量を有する。より典型的に、このアセンブリは、全エンジン負荷時に少なくとも5kg/秒の圧縮空気を提供できる空気容量を有する。
【0018】
典型的に、このアセンブリは、全エンジン負荷時にLPターボチャージャのコンプレッサ入口とHPターボチャージャのコンプレッサ出口との少なくとも8の圧力比を提供できる。より典型的に、このアセンブリは、全エンジン負荷時にLPターボチャージャのコンプレッサ入口とHPターボチャージャのコンプレッサ出口との少なくとも10の圧力比を提供できる。
【0019】
好ましくは、1つ以上のHPターボチャージャは、アセンブリの、特にHP段のコンプレッサおよびタービン特性を変化させるように制御可能にオンラインおよびオフラインに切替られ得る。例えば、切替可能な各HPターボチャージャは、そのタービン入口への、またはそのタービン出口からの排気ガスの流れを制御することによりそのオンラインまたはオフライン状態を変更する弁を有してもよい。さらに、または、代替的に、切替可能な各HPターボチャージャは、そのコンプレッサ入口への、またはそのコンプレッサ出口からの圧縮ガスの流れを制御することによりそのオンラインまたはオフライン状態を変更する弁を有してもよい。
【0020】
このようにしてアセンブリのコンプレッサおよびタービン特性を変化させる能力は、特にミラータイミングを用いるときに、有利にも、低負荷でのエンジン制御を行うのに使用され得る。
【0021】
この弁はバタフライ弁、グローブ弁またはゲート弁であり得る。このような弁は、たとえ灰堆積物に曝されたときでも確実に機能することができる。一般的に、可動静翼を有する単一の可変形態HPタービンと比較して、切替可能な並列HPターボチャージャは、より丈夫で、かつ灰堆積物に対する耐性が向上している。
【0022】
典型的に、各HPターボチャージャは排気ガスがそのタービンを迂回できるようにする廃棄物ゲートを有する。典型的に、LPターボチャージャは排気ガスがそのタービンを迂回できるようにする廃棄物ゲートを有する。
【0023】
典型的に、各HPターボチャージャのコンプレッサ出口からタービン入口への空気バイパスが設けられる。この空気バイパスは1つの、または複数の弁により制御可能である。
【0024】
このアセンブリは、LPターボチャージャのコンプレッサ出口をHPターボチャージャのコンプレッサ入口に作動的に接続する1つ以上の中間冷却器をさらに有してもよい。中間冷却器はアセンブリの性能を大幅に向上させることができる。さらに、制御を向上させるために、このアセンブリは、中間冷却器を迂回できるようにする、中間冷却器に並列の、一または複数のダイバータラインを有することができる。
【0025】
このアセンブリは、HPターボチャージャのコンプレッサ出口を、使用中に、内燃エンジンの燃焼室に作動的に接続する1つ以上の給気冷却器をさらに有してもよい。給気冷却器もまた、アセンブリの性能を大幅に向上させることができる。
【0026】
いくつかのエンジンには、2つ以上の2段ターボチャージャアセンブリが取り付けられてもよい。例えば、V型エンジンは、その各側に1つずつの、2つのアセンブリを有し得る。このような配置において、中間冷却器および/または給気冷却器はこれらのアセンブリにより共有され得る。
【0027】
好ましくは、HPターボチャージャは互いに実質的に同一である。このことは、アセンブリのコストを削減するさらなる一助となり得る。
【0028】
高圧ターボチャージャは内燃エンジンのシリンダヘッドに取り付けられるように構成され得る。特に比較的小さいHPターボチャージャが採用されるとき、HPターボチャージャは、この大きさによってこの位置に取り付け可能になり、エンジンの燃焼室をHPターボチャージャのコンプレッサ出口およびタービン入口から作動的に接続する導管の長さを、都合よく減少させることができる。
【0029】
例えば、各HPターボチャージャは内燃エンジンのそれぞれ1つ以上の燃焼室へ圧縮ガスを送り、かつそこから排気ガスを受け入れるように構成されてもよく、これらのHPターボチャージャは、各HPターボチャージャがシリンダヘッドに取り付けられるとき、それぞれの室に隣接するようにアセンブリの中に配置され、2つ以上のグループに分割され、各グループのHPターボチャージャは他のグループの燃焼シリンダのために機能しない。好ましくは、各グループは1つ以上の切替可能なHPターボチャージャを含み、それにより、エンジンのすべての燃焼シリンダに対してエンジン制御が行われ得る。
【0030】
あるいは、アセンブリが中間冷却器を有するとき、HPターボチャージャは中間冷却器に取り付けられ得る。
【0031】
あるいは、HPターボチャージャはLPターボチャージャのケーシングに取り付けられ得る。例えば、LPターボチャージャはそのLPターボチャージャの回転軸と軸方向に並んだタービン入口を有し、各HPターボチャージャはそのHPターボチャージャの回転軸と軸方向に並んだタービン出口を有し得る。そして便宜的に、HPターボチャージャは、HPタービン出口が軸方向に並ぶか、または軸アライメントの少なくとも30°以内にあり、かつLPタービン入口に直接供給するように、LPターボチャージャのケーシングに取り付けられ得る。これによって、HPタービンとLPタービン間の排気経路上に圧力損失の低い小型のアセンブリが提供できる。HPタービン出口をLPタービン入口と軸方向に並べるようにすることによって、典型的に、圧力損失の最も低い構成が生み出されるが、HPタービン出口の軸をLPタービン入口の軸から小さい角度(すなわち30°まで)に位置づけるようにすることによって、やはり圧力損失を低くすることができるとともに、HPターボチャージャがLPターボチャージャに容易により強力に取り付けられ、かつ/または容易に取り付け領域に入るようになる場合がある。
【0032】
本発明のさらなる局面では、第1の局面の2段ターボチャージャアセンブリが取り付けられた内燃エンジンが提供される。このエンジンは少なくとも3MWのエンジン出力を与えることが可能であろう。
【0033】
例えば、このエンジンは複数の排気ガスマニホールドを有してもよく、各排気ガスマニホールドは各サブセットの高圧ターボチャージャに排気ガスを送る。好ましくは、各サブセットは1つ以上の切替可能なHPターボチャージャを含む。HPターボチャージャがエンジンのシリンダヘッドに取り付けれるように構成される場合、それぞれサブセットは上記のHPターボチャージャのグループに対応してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
添付の図面を参照して例として本発明の実施の形態を説明する。
図1図1は第1の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの空気側の接続を概略的に示す。
図2図2は第1の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。
図3図3は第2の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。
図4図4は第3の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。
図5図5は第4の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。
図6図6は第5の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの空気側および排気ガス側の接続を概略的に示す。
図7図7は2段ターボチャージャアセンブリの取り付け配置の概略的斜視図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0035】
図1は第1の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの空気側の接続を概略的に示しており、このアセンブリは内燃エンジン1に取り付けられている。矢印線はアセンブリを通る空気の流れを示している。
【0036】
このアセンブリはLPターボチャージャ2および6個の並列の同一のHPターボチャージャ3を有する。LPおよびHPターボチャージャのコンプレッサはCで示されており、LPおよびHPターボチャージャのタービンはTで示されている。エンジン吸気口(図示せず)からの空気はLPターボチャージャのコンプレッサ入口に入る。LPターボチャージャのコンプレッサ出口を出ると、圧縮空気は中間冷却器4を通って、HPターボチャージャのコンプレッサ入口に進む。次いで、さらに圧縮された空気はHPターボチャージャのコンプレッサ出口を出て、給気冷却器5を通って、エンジン1の燃焼室(図示せず)に入る。
【0037】
中間冷却器4と並列のダイバータライン10により、中間冷却器は必要に応じて迂回され得る。第1の実施の形態の変形では、ダイバータラインは設けられない。
【0038】
図2は第1の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。この場合の矢印線は、アセンブリを通る排気ガスの流れを示す。
【0039】
排気ガスはエンジン1の燃焼室を出て、2つの排気マニホールド6a,6bのいずれかに入る。マニホールド6aからの排気ガスは第1のサブセットの3つのHPターボチャージャ3aのタービン入口に入り、一方、マニホールド6bからの排気ガスは第2の異なるサブセットの3つのHPターボチャージャ3bのタービン入口に入る。マニホールドは異なる燃焼シリンダから排気ガスを受け入れるので、その効果は、各サブセットのHPターボチャージャは他方のサブセットの燃焼シリンダのためには機能しないことである。HPターボチャージャのタービン出口を出ると、排気ガスはLPターボチャージャ2のタービン入口へ進む。次いで、排気ガスはLPターボチャージャのタービン出口を出て、エンジン排気筒(図示せず)に送られる。
【0040】
比較的小さいHPターボチャージャを多数有することにより、HP段におけるターボラグが減少され得る。さらに、同一の小型のHPターボチャージャは調達するには比較的安価であり、アセンブリのコストが減少する。
【0041】
図3は第2の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。共通の参照数字は、第1の実施の形態の特徴と等価の特徴を示す。
【0042】
排気側接続は、各サブセットの3つのHPターボチャージャのうちの2つが、各タービン入口への排気ガスの流れを制御するバタフライ弁などの遮断弁7を有する以外は、図2に示された排気側接続と同じである。あるいは、この弁はタービン出口に位置してもよい。弁7を有する各HPターボチャージャはさらに、圧縮空気のコンプレッサ入口への、またはコンプレッサ出口からの流れを制御する、さらなる遮断弁(図示せず)を有する。HPターボチャージャの両弁が閉じているとき、そのターボチャージャは効果的に遮断され、オフラインになる。このような弁の制御により、弁を有するこれらのHPターボチャージャは制御可能にオンラインおよびオフラインに切り替えられることができる。この切り替えによって、アセンブリの、特にHP段のコンプレッサおよびタービン特性が変化し、エンジン制御が低負荷で行われることができる。これはミラータイミングの採用とともに特に有用である。バタフライ弁、グローブ弁またはゲート弁などの強固な弁の設計は、灰の堆積による性能の劣化に耐性があるので、排気側で特に有利に採用され得る。
【0043】
図4は第3の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。共通の参照数字は、第1および第2の実施の形態の特徴と等価の特徴を示す。
【0044】
排気側接続は、廃棄ゲート8により排気ガスがHPターボチャージャ3a,3bのタービンを迂回することが可能になり、またさらなる廃棄ゲート9により排気ガスがLPターボチャージャのタービンを迂回することが可能になること以外は、図2に示された排気側接続と同じである。同様の廃棄ゲートが第2の実施の形態に適用され得る。
【0045】
図5は第4の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの排気ガス側の接続を概略的に示す。共通の参照数字は、先の実施の形態の特徴と等価の特徴を示す。
【0046】
この実施の形態では、排気ガスはエンジン1の燃焼室を出て、1つの排気マニホールド6cに入る。そこから、排気ガスは6個のHPターボチャージャ3に進む。そのうちの4個のHPターボチャージャは、それらのタービンへの入口に遮断弁7を有し、それらのコンプレッサへの入口に対応のさらなる遮断弁(図示せず)を有する。再び弁の制御により、弁を有するこれらのHPターボチャージャは制御可能にオンラインおよびオフラインに切替られることができる。
【0047】
HPターボチャージャおよびLPターボチャージャにはそれぞれ廃棄ゲートが設けられ得る。
【0048】
図6は第5の実施の形態に係る2段ターボチャージャアセンブリの空気側および排気ガス側の接続を概略的に示す。共通の参照数字は、先の実施の形態の特徴と等価の特徴を示す。
【0049】
簡単化のために、図6には2つのHPターボチャージャのみが示されているが、第5の実施の形態は2つよりも多いHPターボチャージャ3を用いる。
【0050】
これらのHPターボチャージャは比較的小さく、エンジン1のシリンダヘッドに取り付けられる。限定された数のシリンダ(例えば1個〜3個)が、他のHPターボチャージャのシリンダから排気ガスを受け取らない各HPターボチャージャに供給する。このため、HPターボチャージャはそれぞれのシリンダに近接して位置付けられることができ、そこでエンジンの弁に密接に結合されることができる。さらに、シリンダとHPターボチャージャのコンプレッサ出口およびタービン入口とを接続する導管の長さが短縮できる。
【0051】
次いで、中間マニホールド11がHPターボチャージャのタービン出口をLPターボチャージャのタービン入口に結合する。有利にも、このマニホールドは低温低圧であり、先の実施の形態のマニホールド6a〜6cよりも受ける振動は激しくないので、その結果、損失が低く、かつ性能が向上する。
【0052】
限られた数のシリンダのために機能する1つのHPターボチャージャの代わりに、2つ以上のHPターボチャージャがそれぞれのシリンダのために機能することができる。次いで、各グループのHPターボチャージャに排気ガスを分配するために、マニホールドが必要とされる。しかしながら、各グループのHPターボチャージャのうちのいくつかのHPターボチャージャには、遮断弁が設けられることができ、それによりターボチャージャの切替、およびアセンブリのコンプレッサおよびタービン特性の変化が可能になる。
【0053】
第5の実施の形態において、HPターボチャージャ3およびLPターボチャージャ2にはそれぞれ廃棄ゲートが設けられ得る。中間冷却器4を制御可能に迂回するようにダイバータラインが設けられ得る。
【0054】
図7は2段ターボチャージャアセンブリの取り付け配置の概略的斜視図を示す。この取り付け配置は、第1〜第4の実施の形態のターボチャージャアセンブリを実施するのに適している。
【0055】
この取り付け配置はLPターボチャージャ2および6個の同一の並列HPターボチャージャ3を備える。LPターボチャージャは、LPターボチャージャの回転軸と軸方向に並ぶタービン入り口を有し、各HPターボチャージャは、そのHPターボチャージャの回転軸と軸方向に並ぶタービン出口を有する。LPターボチャージャおよびHPターボチャージャの回転軸は平行しており、HPターボチャージャは、HPタービンから軸方向に流れ出る排気ガスが自然に並び、LPタービンの入口に直接供給されるように、LPターボチャージャのケーシングに取り付けられている。このようなHPターボチャージャとLPターボチャージャとの密接な結合により、HPターボチャージャとLPターボチャージャ間の排気経路の圧力損失を減少させることができる。さらに、LPターボチャージャは比較的大きいターボチャージャであるので、HPターボチャージャを取り付けるための安定した基部を形成している。
【0056】
LPターボチャージャ2の圧縮空気は中間冷却器4に送られ、そこから6個のHPコンプレッサ3の軸方向の入口に送られる。HP圧縮空気は接線方向にボリュート12に送られ、そこからエンジン(図示せず)の給気冷却器(図示せず)に排出される。エンジン排気ガスは、HPタービンの接線方向の流入接続(明確には見えない)に導くボリュート13に送られる。上記で議論されたように、HPタービン出口はLPタービン入口に密接に結合されている。LPタービンからの排気は、図7の図ではほぼ垂直に上向きに排気される。
【0057】
本発明は上記の例示の実施の形態と関連して述べられたが、本開示を与えられた場合、多くの等価の変形および変更が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示の実施の形態は例示的であり、限定的でないと考えられる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された実施の形態に様々な変更がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7