【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、表面を有する主レンズ部と、前記主レンズ部の前記表面に対して陥凹している表面を持つ凹部と、光学中心と、前記光学中心を通る光軸とを備える眼用レンズを提供する。前記主レンズ部が、前記凹部との少なくとも1つの境界を有し、前記主レンズ部が、約−20〜約+35ジオプトリーの屈折度を有し、前記凹部が、前記光学中心から2mm未満の距離のところに配置され、前記凹部が、前記主レンズ部の屈折度に対して約+1.0〜約+5.0の相対ジオプトリーを有する近距離部を含み、前記陥凹レンズ部の前記主レンズ部との1つ又は2つ以上の前記境界が、1つ又は2つ以上の融合部を形成するとともに、前記光軸から離れる方向に光を屈折するように形作られ、前記光学中心の周りの直径4mmの円内で約15%未満の光の損失をもたらす湾曲を有し、前記光の損失が、IOLからの合焦光の量を、前記凹部がない同一のIOLからの合焦光の量と比べたときの割合として定義されている。
【0012】
この眼用レンズにより、様々な光学部が、それらが互いに及ぼす影響が可能な限り小さくなるようにして、1つの単一のレンズに一体化されることが可能になる。例えば、このレンズにより、読書部を備えた眼用レンズが、遠見視力、中間視力及び近見視力が互いに影響をほとんど又は全く及ぼさないようにして可能になる。実際、眼用レンズのコントラスト感度を大幅に高められることが判明した。過去には、レンズは、生じる擾乱を可能な限り少なくするように設計された。本発明では、急峻な移行部が、それらが光軸から離れていく光を屈折させる限り、許容されうることが判明した。実際には、これらの急峻な移行部によりレンズが光軸から離れていく光の15%未満を屈折させる限り、この結果として、例えばコントラスト感度及び視力が改善されたIOLが得られることになる。この光の損失は、実際には4mmの瞳孔直径について定義される。
【0013】
これに関して、光は、可視波長範囲の光と定義される。通常、これは約400〜700nmである。
【0014】
焦点が合った光の量は、IOLのすべての主焦点面内の焦点が合った光の合計である。したがって、例えば中心部が相対ジオプトリー0を有し、凹部が主レンズ部に対してある相対ジオプトリーを有する場合、そのレンズは通常、2つの焦点面を有し、1つが主レンズ部、1つが凹部のものである。凹部の光学領域が全レンズ領域の30%で、主レンズ部の領域が70%で、他に損失がない場合、合焦光の30%が凹部の焦点面で利用可能であり、合焦光の70%が主レンズ部の焦点面で利用可能である。
【0015】
一実施形態では、レンズは、少なくとも1つの陥凹半経線光学セクタを備え、これは、半径方向及び/又は角度でサブ区域に細分される。すなわちレンズは、レンズ部の(想像上の)境界線内に配置された内側セクタ、中間セクタ及び外側セクタを備えることができる。内側セクタは第1の屈折度を有し、内側セクタに隣接する中間セクタは、第2の屈折度を有する。中間セクタに隣接する外側セクタは、第3の屈折度を有する。半経線セクタの境界線間の段差は、網膜黄斑に向けられる光エネルギーを最大限にするように、かつ瞳孔サイズが大きいときのぼやけ及びハローを低減するように最適化された移行プロファイルを用いた接合部になっている。眼用レンズ半経線セクタは、連続的な屈折度を有することができる。あるいは、光学サブ円セクタは一緒に融合される。これらの組合せもまた実施可能である。細分された(1つ又は2つ以上の)セクタは、読書距離及び中間距離で明瞭な視力を与えるのに対して、遠見視力及びコントラスト感度は、依然として単焦点眼用レンズと同等である。
【0016】
本発明はまた、分散、すなわちレンズの光軸又は中心と眼の光軸との間のずれの、ある範囲にわたって、球面収差を含めて角膜収差がある(例えば様々な非球面性を有する)眼の中で良好に機能するレンズを実現するように構成することもできる。これは、IOLの位置決めがあまりクリティカルでなくなることを意味する。
【0017】
一実施形態では、本発明の眼用レンズは、4つ以上の細分された半経線区域又は半経線セクタ区域を備えることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態では、レンズの反対面は、残留球面収差がほぼゼロまで低減されるように、非球面を備えることができる。例えば、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第1850793号明細書、第1857077号明細書、又は米国特許出願公開第2006279697号明細書に記載されているものなど。
【0019】
本発明の別の実施形態では、半経線陥凹屈折読書部は、全側面に境界を備えることができ、例えば、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第0888564B1号明細書、又は第1194797B1号明細書に記載されているものなど、追加の回折光学要素(DOE)構造体を備えることもできる。
【0020】
本発明の別の目的は、レンズの各部間の段差をつなぐ移行プロファイルの急傾斜を最適化し改善するための方法及び最適化曲線を提供することである。これらの融合部は、様々な部分間の移行部を改善した。これらの融合部を用いると、光エネルギーの損失が低減し、使用可能な(1つ又は2つ以上の)光学領域が著しく最大化する。例えば半経線境界の段差は、コサイン軌線又はシグモイド関数を用いる方法によってつなぐことができる。しかし、一実施形態では、最適化された移行関数が提案されている。最適化プロファイル関数の結果と整合するこれら導出された移行関数は、本発明の諸実施形態と整合性がある。
【0021】
様々な部分間、例えば半経線細分読書部と遠距離部の間の寸法及び/又は屈折度比は、互いに変化しうる。患者の両眼に2つのレンズが使用される場合、一方のレンズを利き眼用に、他方のレンズを非利き眼用に構成することができる。つまり、一方の眼のレンズは、他方の眼用のレンズと異なる読書部又は遠距離部用の構成を有する。
【0022】
瞳孔サイズと輝度の間に関数依存性があることも知られている。例えば、このようなデータは、Glen Myers, Shirin Berez, William Krenz及びLawrence Stark, Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol, 258: 813-819 (1990)で報告された。瞳孔サイズは、視界内の輝度(一般に明るさと呼ばれる)の重み付け平均の関数になる。瞳孔サイズは、網膜の外側領域よりも、中心視すなわち中心窩視に随伴する網膜の部分から受ける影響がずっと大きい。
【0023】
以下の一覧表は、視界の明るさのいくつかのレベル、及び関連する「典型的な」状態を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
カスタマイズされた陥凹半経線レンズは、特定の視界明るさ状態を用いて、ある決まった瞳孔直径に対して最適の中心部及び又は読書部を計算することによって、設計することができる。
【0026】
上述の補正遠距離セクタ及び半経線細分近距離セクタとは別に、追加的補正をレンズセクタに加えて、特定の視覚異常を最適化又は補正することができる。それだけには限らないが、非点収差及び球面収差などすべての種類の視覚異常の補正を可能にする追加的構造体を、本レンズの前側又は後側に配置できることを理解されたい。
【0027】
例えば半経線読書セクタとして形成された凹部は、一実施形態では、眼内でレンズの下部又は底部(下側)に配置される。というのは、これは、読書時は下を見るという人の自然な傾向に対応するからである。しかし、半経線読書セクタの眼内の配置はクリティカルではなく、上側、下側、鼻側又は耳側に配置することができる。遠距離セクタと近距離セクタは、1人の患者の2つの眼で反対の配列で配置することさえできる。
【0028】
本明細書で説明する眼用レンズ又は成形物は、当技術分野で知られている任意の方法で作ることができる。例えば、眼内レンズでは、レンズ部と支持部を別々に作り、後で一緒に接続することもまた可能である。しかし、これらを1つの要素として作ることもまた可能である。一実施形態によれば、これらの部分は、(射出)成形によって1つの要素として作られる。適正な各レンズ部を製作する次の加工は、旋盤加工とすることができる。米国特許第6409339B1号明細書に記載されているように、このような旋盤加工作業中に工具ビットは、回転ごとに、回転軸と平行な方向でレンズに向けて、またレンズから離して移動させることができる。こうするとレンズ部を旋盤加工によって製作することが可能になる。一実施形態によれば、この旋盤加工を非常に精巧に実施して、次の研磨作業を省略することも可能である。レンズの材料は、任意の所望の材料とすることができる。
【0029】
新規の眼用レンズ光学構成はまた、例えば、コンタクトレンズ用に、また、いわゆる「付加レンズ」として偽水晶体眼内レンズ患者用に使用することもできる。これは、追加又は付加レンズであり、天然の既存レンズ又は人工眼内レンズの前に配置して屈折誤差を補正し、かつ又は読書能力を回復することができる。この付加レンズは、角膜インレー又は前房レンズとして、溝であるバッグ内に配置することができる。
【0030】
Optocraft Germanyから市販されている高解像度Hartmann Shackシステム「SHSInspect Ophthalmic」などの最新のレンズ度数マッピング装置を用いると、局部屈折度及び広範囲の関連表面変化を決定することが可能である。したがって、このような測定で、本発明により作製されたレンズを非常に容易に特定することができる。
【0031】
一実施形態では、湾曲により、前記光学中心の周りの直径4mmの円内で生じる光の損失が約2%〜約15%になる。実際には、凹部は通常、半径方向に4mmよりもっと延びる。光の損失の計算では、2つの経線で、あるいはより正確には光学中心からレンズの縁まで伸びる半経線で囲まれた、又はその中に配置された融合部分が基準とされる。
【0032】
光の実際の損失、又はより良好な輝度損失は、Lambda-X SA Rue de l'industrie 37 1400 Nivelles Belgiumから市販されているPMTFシステムを用いて測定することができる。この計測器は、輝度損失を測定することができる。この測定の手順については、以下で諸実施形態の説明において論じる。
【0033】
一実施形態では、主レンズ部は、約−10〜約+30ジオプトリーの屈折度を有する。
【0034】
一実施形態では、凹部は、前記光学中心から1.5mm未満の距離のところに配置される。これに関して、この距離は、光学中心から最も近い半径方向距離と定義される。
【0035】
一実施形態では、その近距離部は、前記主レンズ部に対して約+1.50〜約+4.00ジオプトリーの相対ジオプトリーを有する。すなわち、例えばそれを読書部として使用することが可能である。中心部並びに主レンズ部及び凹部からなる光学素子はさらに、円環、円柱になるように設計することができ、あるいは高次の収差を補償するように設計することもできる。これらのタイプのレンズ設計は、当業者に知られているようなものであり、本発明の様々なレンズ部に付加的に適用することができる。
【0036】
一実施形態では、半経線境界、又は前記主レンズ部を備えた前記陥凹レンズ部の各境界は、前記光学中心の周りの直径4mmの円内で約10%未満の光の損失をもたらす湾曲を有する。特に光軸から離れる屈折との組み合わせにおけるこの非常に低い光損失は、高いコントラスト感度及び良好な読書能力をすでにもたらしている。
【0037】
一実施形態では、主レンズ部は、実質的に曲率半径がRvである湾曲部を有し、凹部の外側限界、すなわちその表面は、曲率半径Rv上、又は内側にある。
【0038】
一実施形態では、眼用レンズはさらに、前記主レンズ部に対して−2.0〜+2.0ジオプトリーの相対屈折度を有する中心部を備える。したがって、凹部の深さが減少し、それゆえに融合部が及ぼす影響が少なくなることが必要な可能性がある。
【0039】
一実施形態では、前記中心部のサイズは、直径約0.2〜3.0mmの外接円内に収まるサイズである。したがって、凹部から遠距離視力が受ける影響が可能な限り少なくなることが判明した。一実施形態では、前記中心部のサイズは、直径約0.2〜2.0mmの外接円内に収まるサイズである。一実施形態では、前記中心部は実質的に円形である。
【0040】
中心部があるレンズの一実施形態では、このレンズは、中心部と凹部の間に追加的融合部を備える。この融合部は通常、光軸に対して同心又はほとんど同心である。一実施形態では、追加的融合部は平滑な移行部を有する。あるいは、その傾きには屈曲部がある。この実施形態では、傾きの一次導関数は不連続である。したがって、表面の曲率半径には屈曲部がある。この実施形態の利点は、主レンズ部に対して凹部の深さが減少することである。あるいは、追加的融合部が階段関数に近く、それに接近し、又はそれになる。この追加的融合部は同心であるので、視覚にほとんど擾乱を生じさせない。
【0041】
一実施形態では、凹部は、前記光学中心を通って伸びる半経線と境界を接し、それによって凹部は、経線区域の形状を有する。実際、主レンズ部と凹部を融合する融合部は、このようにして可能な限り経線に追従する。実際には、このような融合部は、光学中心を通って伸びる2つの半経線の間に配置される。
【0042】
前記中心部を備える一実施形態では、前記凹部は、前記中心部と境界を接した少なくとも1つの境界のところにある。
【0043】
前記中心部を備える一実施形態では、前記中心部は、約0.60〜1.20mmの断面を有する。これにより、凹部が例えばコントラスト感度に及ぼす影響を可能な限り少なくできる。
【0044】
経線区域として形作られた前記凹部を備える一実施形態では、前記凹部は、約160〜200度の夾角を有する。このような実施形態では、主レンズ部との少なくとも2つの境界線が、実質的に経線に追従する。実際には、これらの境界線は融合部で形成される。既に上述したように、通常このような融合部は、2つの半経線の間に固定される。実際には、以下で説明する最適化曲線を使用すると、融合部は、経線に厳密には追従せずにわずかに湾曲する。一実施形態では、前記凹部は、約175〜195度の夾角を有する。
【0045】
一実施形態では、眼用レンズは、約5.5〜7mmの断面を有する。特に、眼内レンズ、又はコンタクトレンズのような他の眼球支持レンズの場合には、レンズはこのような直径範囲内となる。
【0046】
一実施形態では、主レンズ部は遠距離レンズの形状である。
【0047】
一実施形態では、凹部は読書部を形成する。
【0048】
前記中心部を備える一実施形態では、前記凹部は、2つの半経線と、前記中心部と同心で前記中心部から任意の距離の緯線とにより境界される。
【0049】
一実施形態では、前記凹部は、異なる屈折度を有する少なくとも2つのサブ区域を備える。
【0050】
一実施形態では、これらのサブ区域は同心である。
【0051】
一実施形態では、前記サブ区域の屈折度は、半径方向において増大する。
【0052】
一実施形態では、前記サブ区域の屈折度は、半径方向において減少する。
【0053】
一実施形態では、凹部の屈折度は、半径方向において増大する。したがって、主レンズ部と、中心部があればその間に、また凹部内に設けられた近距離部又は読書部との間に、中間視力部を設けることが可能である。これらの屈折度が増大する領域又は区域の間の融合は、慎重に設計されなければならない。融合部のより小さい段差の補償が必要になることがある。
【0054】
一実施形態では、前記凹部は回折光学部を備える。この回折光学部は、凹部の表面に重ねることができる。一般に、レンズ表面上の回折光学重ね部が知られている。しかし、凹部の場合、回折光学重ね部により凹部の深さを減少できることがある。
【0055】
一実施形態では、凹部は、第1の中心サブ区域と、前記第1のサブ区域の両側を挟むように隣接する2つの追加的サブ区域とを備える。その一実施形態では、前記第1のサブ区域は、追加的サブ区域の屈折度よりも大きい屈折度を有する。一実施形態では、2つの追加的サブ区域は、前記残りのレンズ部の屈折度よりも大きい屈折度を有する。
【0056】
一実施形態では、経線が前記凹部の境界となる。実際には、2つの半経線が前記凹部の境界となり、それによって、凹部がセクタ部又はくさび部(パイ1切れのV字形のくさびのような)として画定される。眼用レンズが上記で画定された中心部を有する場合、このセクタ部は、先端の一部が取り去られたセクタ部の形成からの部分を有する。
【0057】
一実施形態では、融合部は、17°未満の角度、特定の実施形態では15°未満の角度を挟む経線の内側にある。一実施形態では、融合部は、5°未満の角度を挟む経線の内側にあるように設計することさえできる。しかし、こうするには、曲線、及び曲線の傾きすなわち導関数の非常に慎重な設計が必要になる。
【0058】
一実施形態では、前記融合部の傾きはS曲線をなすとともに、前記光学中心から1.6mmのところの融合部の中心領域において、傾きすなわち1次導関数が0.1より大きい峻度を有し、一実施形態では、その最も急峻な部分で0.4より大きい峻度を有する。一実施形態では、前記融合部は、前記光学中心から2.8mmのところの融合部の中心領域において、傾きすなわち導関数が0.2より大きい峻度を有し、一実施形態では、その最も急峻な部分で0.7より大きい峻度を有する。
【0059】
一実施形態では、前記融合部の少なくとも1つ、特に少なくとも1つの半経線融合部が、主レンズ部表面から陥凹部の表面へと伸びる第1の放物曲線をたどり、前記第1の放物曲線につながる中間曲線部を有し、凹部表面で終わる第2の放物曲線をたどるべく続くS字形曲線をなす。
【0060】
一実施形態では、前記中間曲線部は、その最も急峻な部分で、前記光学中心から0.4mmのところで少なくとも0.05の1次導関数を有し、一実施形態では0.8mmのところで少なくとも0.1、一実施形態では1.2mmのところで少なくとも0.15、一実施形態では1.6mmのところで少なくとも0.2、一実施形態では2.0mmのところで少なくとも0.3、一実施形態では2.4mmのところで少なくとも0.4、一実施形態では2.8mmのところで少なくとも0.5の1次導関数を有する。
【0061】
本発明はさらに、溝であるバッグに角膜インレー又は前眼房レンズとして挿入されるべき付加眼内レンズであって、前記請求項のいずれかに記載の眼用レンズを含む付加眼内レンズに関連し、前記主レンズ部は、約−10〜+5ジオプトリーの屈折度を有する。
【0062】
本発明はさらに、曲率半径Rvを実質的に有する主レンズ部と、第1の光学特性及び約0.2〜2.0mmの断面を有する実質的に円形の中心部と、凹部を含む経線部とを備える眼用レンズであって、前記凹部が、前記実質的に円形の中心部と、前記円形部の中心を通って伸びる2つの経線と、前記円形部に対し実質的に同心である下方の境界とにより境界され、前記経線部が前記レンズ内に凹部として形成され、前記凹部の外側限界が曲率半径Rv上、又は内側にあり、前記経線部が読書部を含む眼用レンズに関する。
【0063】
本発明はさらに、上述の眼用レンズのうちの1つの製造方法に関し、この方法は、レンズブランクを回転機械加工ホルダ上に配置し、前記レンズブランクに1つ又は2つ以上の材料切除デバイスの作用を受けさせる旋盤加工のステップを含み、旋盤加工ステップ中に、前記眼用レンズ内に少なくとも1つの陥凹部分を形成するために、回転するレンズと前記材料切除デバイスとを回転軸方向に、互いに近づいたり離れたりするように動かすことを特徴とする。この製造方法は、必要な特性を有するレンズの製造を可能にする。
【0064】
本発明はさらに、実質的に円形の中心レンズ部分と、前記中心レンズ部に隣接する下方レンズ部内の下方レンズ部分と、追加的レンズ部分とを備える眼球支持多焦点補正レンズに関し、下方レンズ部分が、前記中心レンズ部からレンズの縁に向かって伸びる2辺を含む凹部を有し、下方レンズ部分の外側限界が、原点と、前記追加的レンズ部分の半径Rvと一致する曲率半径とを有する想像上の球の上又は内側にあり、前記2辺が、追加的レンズ部分表面から下方レンズ部の陥凹面に至る傾きを形成し、前記傾きが、追加的レンズ部分表面から下方レンズ部分表面へと伸びる放物曲線をたどり、続いて陥凹面のところで終わる第2の放物曲線をたどり続ける。
【0065】
本発明はさらに、主レンズ部と、凹部と、光学中心と、前記光学中心を実質的に通る光軸とを備える眼用レンズに関し、前記主レンズ部が前記凹部との少なくとも1つの境界を有し、前記凹部が、前記光学中心から任意の距離に配置され、前記陥凹レンズ部の前記主レンズ部との境界が、前記光軸から離れる方向に光を屈折するように形作られた融合部として形成され、前記主レンズ部、中心部、凹部及び融合部が、術後6ヶ月以内に明所視光条件下で、通常は約85cd/m
2で、少なくとも11〜19歳と50〜75歳の母集団平均の間にあるLogCS特性を空間周波数(cpd)3〜18で与えるように、互いに配置され形作られる。
【0066】
このレンズの一実施形態では、約6〜18の空間周波数(cpd)で、そのLogCS特性が、術後6ヶ月以内に明所視光条件下で、通常は約85cd/m
2で、健康な眼を持つ20〜55歳の大人の母集団平均を越える正常性の範囲にある。
【0067】
本発明はさらに、主レンズ部と、光学中心から任意の距離に配置された凹部と、実質的に円形で約0.8〜2.8mmの直径を有し、片側が前記凹部の境界となる前記光学中心の中心部とを備える眼内レンズに関し、前記中心部の直径が着用者の瞳孔直径に適合される。
【0068】
一実施形態では、前記中心部の直径が、オフィス照明状態、すなわち200〜400ルクスにおける着用者の瞳孔直径の約20〜40%である。したがって、IOLは特注品になりうる。
【0069】
本明細書で説明されている様々な態様及び/又は特徴は、組み合わせることができる。特徴及び態様はまた、例えば、本明細書で前に言及したような方法、特定のタイプの眼用レンズが得られる製造の態様に言及する、あるいは、融合区域又は移行区域のような特定のフィーチャ、凹部及びそのフィーチャ、又は中心部に言及する、1つ又は2つ以上の分割出願の一部を形成することもできる。
【0070】
本発明を、添付図面に示された多焦点セクタ眼用レンズ(MSOL)の諸実施形態に関連してさらに説明する。