特許第5663502号(P5663502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーディーケイ−ラムダ ユーケー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000005
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000006
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000007
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000008
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000009
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000010
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000011
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000012
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000013
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000014
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000015
  • 特許5663502-力率改善デバイス 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663502
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】力率改善デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-1659(P2012-1659)
(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公開番号】特開2012-147663(P2012-147663A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】1100219.3
(32)【優先日】2011年1月7日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512006527
【氏名又は名称】ティーディーケイ−ラムダ ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TDK−Lambda UK Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン スキナー
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−129849(JP,A)
【文献】 特表2008−539692(JP,A)
【文献】 特開2003−340573(JP,A)
【文献】 特開2000−125545(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/109694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンバーターの入力電流を成形するためのPFC(力率改善)デバイスであって、
AC(交流)入力電圧VACから導出された整流入力電圧Vrecを受信する受信手段と、
前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
前記負荷値Lに応じて参照オフセット電圧Voffを決定する決定手段と、
前記整流入力電圧Vrecと前記参照オフセット電圧Voffとの差(Vrec−Voff)に比例する参照波形Irefを生成する波形生成手段と、
前記参照波形Irefにしたがって、前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voffと略等しい値よりも高い値となる導通期間αの間、前記電流成形手段が駆動するように前記電流成形手段を制御する制御手段とを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とするPFCデバイス。
【請求項2】
AC(交流)入力電圧VACを受信する入力端子と、
負荷に電力を供給する出力端子と、
前記負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
整流入力電圧Vrecを提供するために前記AC入力電圧VACを整流する整流回路と、
誘導デバイスと、
前記誘導デバイスを介して、前記整流入力電圧Vrecを供給するように、前記誘導デバイスと前記整流回路とを制御可能に接続するスイッチング手段と、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、導通期間αの間、前記誘導デバイスと前記整流回路との前記接続を可能にする導通期間制御手段と、
前記負荷値Lに応じて参照オフセット電圧Voffを決定する決定手段と、
前記整流入力電圧Vrecと前記参照オフセット電圧Voffとの差(Vrec−Voff)に比例する参照波形Irefを生成する波形生成手段と、
前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voffと略等しい値よりも高い値となる前記導通期間αの間、前記スイッチング手段を制御し、繰り返し前記誘導デバイスと前記整流回路との接続を行うことによって、前記誘導デバイスに流れる電流の波形を、前記参照波形Irefにしたがって成形する電流成形制御手段とを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とするパワーコンバーター回路。
【請求項3】
前記参照オフセット電圧Voffは、下記(1)式で定められ、
Voff=KVpeak …(1)
Vpeakは、前記整流入力電圧Vrecのピーク値であり、Kは、少なくとも、前記負荷値Lに依存する係数である請求項1に記載のPFCデバイス。
【請求項4】
前記(1)式における前記Kの値は、Kmin<K<Kmaxの範囲であり、Kmin>0、Kmax<1である請求項3に記載のPFCデバイス。
【請求項5】
前記参照波形Irefは、下記(2)式によって定められ、
Iref=D(Vrec−Voff) …(2)
Dは、1以上の乗数である請求項1および3ないし4のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項6】
得られた前記負荷値L用の前記導通期間αは、
a)高調波電流の規格に対応するための最小導通期間
b)効率を略最大化するために演算された導通期間
の(a)(b)の導電期間のうち、より大きいものと略等しい請求項1および3ないし5のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項7】
前記導通期間αは、前記負荷値Lが少なくとも負荷上限値を超えるまでは、前記負荷値Lに応じて増加する請求項1および3ないし6のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項8】
前記負荷値Lが前記負荷上限値より大きい場合、前記導通期間αは固定される請求項7に記載のPFCデバイス。
【請求項9】
前記負荷値Lが負荷下限値より小さい場合、前記導通期間αは、固定される請求項7または8に記載のPFCデバイス。
【請求項10】
前記導通期間αは、前記負荷値Lに応じて、略指数関数的に増加する請求項1および3ないし9のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項11】
前記負荷値Lが負荷下限値より小さい場合、前記導通期間αは最小導通期間αminと略等しい値であり、
前記負荷値Lが前記負荷下限値以上かつ負荷上限値以下の場合、前記導通期間αは前記最小導通期間αminより大きく、かつ前記負荷値Lに応じて増加し、
前記負荷値Lが前記負荷上限値よりも大きい場合、前記導通期間αは最大導通期間αmaxに固定される請求項1および3ないし6のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項12】
前記最小導通期間αminは、50〜70度である請求項11に記載のPFCデバイス。
【請求項13】
前記負荷下限値は、50〜100Wである請求項11または12に記載のPFCデバイス。
【請求項14】
前記最大導通期間αmaxは、150〜170度である請求項11ないし13のいずれかに記載のPFCデバイス。
【請求項15】
前記導通期間αは、前記整流入力電圧Vrecのピーク値Vpeakをおおよその中心として、略対称である請求項1に記載のPFCデバイス。
【請求項16】
前記導通期間αの中心は、0〜10度の範囲で前記ピーク値Vpeakから遅延している請求項15に記載のPFCデバイス。
【請求項17】
電力供給装置の構成方法であって、
複数の負荷値用に、
高調波成分の規格に対応するための最少導通期間を決定する工程と、
効率を略最大化する導通期間を決定する工程と、
前記決定された導通期間のうちより大きい導通期間を選択する工程と、
前記各負荷値用に選択された前記導通期間が実質的に得られるように、前記導通期間と前記負荷値を関連付ける関数を決定する工程と、
前記関数にしたがって、前記導通期間/角を実質的に制御する前記電力供給装置を構成する工程とを備え、
前記電力供給装置の動作は、
前記負荷値にしたがって、参照オフセット電圧Voffを決定する工程と、
前記電力供給装置の整流入力電圧Vrecと前記参照オフセット電圧Voffの差に比例する参照波形Irefを生成する工程と、
前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voffと略等しい値よりも高い値となる間、前記電力供給装置の入力電流を前記参照波形Irefにしたがって成形する工程とを備えることを特徴とする電力供給装置の構成方法。
【請求項18】
前記関数は、指数関数である請求項17に記載の電力供給装置の構成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力率改善デバイス(Power Factor Correction Device,以下PFCデバイスという)、PFCデバイスを備えるパワーコンバーター(Power Converter)に関する。
【背景技術】
【0002】
長年の間、AC(交流)主電源に接続される負荷(load)用に、高調波歪みが少ない電力を用いたい(draw power)という要求が存在している。ヨーロッパでは、EN61000−3−2が、単相電力供給装置に関連する標準規格として知られている。EN61000−3−2は、エンド機器毎に異なった限界値を設定している。
【0003】
工業的利用のため、EN61000−3−2は、高調波成分の絶対レベルについての限界値を規定している。実際、約0.6の力率で、最大100Wで稼働を行う電力供給装置は、追加のPFC(力率改善)なしで、絶対限界値の規格に対応しなければならない。しかしながら、高電力(high power level)の場合、力率が1に近いような、さらに高いPF(力率)が要求される。
【0004】
照明機器やコンピュータ機器用に、EN61000−3−2は、より厳しい高調波電流限界値(harmonic current limit)を規定している。このような機器に用いられる電力は、他の工業的利用よりも低電力(low power level)において、1に近いPF(力率)を要求される。
【0005】
このEN61000−3−2の規格に対応するための一般的な力率改善技術は、入力電流を略正弦波に成形することである。低負荷の場合には、規格に対応する場合であっても、ある程度の入力電流波形におけるクロスオーバー歪み(cross-over distortion)は、許容可能である。そのため、別の入力波形を作成し、EN61000−3−2の規格に対応するPFC回路が良く知られている。しかしながら、入力波形として、急峻なエッジを有する矩形波や略矩形波を用いることは、一般的に避けられる。なぜならば、これらは多くの高調波成分を有する傾向にあるからであり、また可聴ノイズ(audile noise)を増大させる結果を招くからである。
【0006】
従来は、このような手法により、高調波成分の規格対応を実現しようとしていた。しかしながら、これらの手法は、例えば、スイッチング損失の増加のような、効率性の低下が伴っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
US7,295,452は、位相制御を用いた境界伝導モード(boundary conduction mode)PFC回路を開示している。このPFC回路は、瞬時入力電流(instantaneous input current)に逆比例したスイッチング周波数で駆動を行う。また、電流のゼロクロス近傍において、周波数が発散する(極端に高くなる)のを避けるため、電流のピーク値近傍を中心にして、動作の開始と停止が対称に行われる。この結果、ゼロクロス(すなわち、電流量0)近傍の波形の一部が欠損した正弦波入力電流が生成される。そして、コンバーターの駆動点には急峻な登りエッジが、コンバーターの停止点には急峻な下りエッジが発生する。これらの急峻なエッジは、望ましくない高次の高調波となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の目的は、パワーコンバーターの入力電流を成形するPFC(力率改善)デバイス(回路)を提供することにある。本発明に係るPFCデバイスは、
パワーコンバーターの入力電流を成形するためのPFC(力率改善)デバイスであって、
AC(交流)入力電圧VACから導出された整流入力電圧Vrecを受信する受信手段と、
前記パワーコンバーターに接続(supplied)された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
参照波形Irefにしたがって、前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、導通期間αの間、前記電流成形手段が駆動するように前記電流成形手段を制御する制御手段とを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の目的は、パワーコンバーター回路を提供することにある。本発明に係るパワーコンバーター回路は、
AC(交流)入力電圧VACを受信する入力端子と、
負荷に電力を供給する出力端子と、
前記負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
整流入力電圧Vrecを提供するために前記AC入力電圧VACを整流する整流回路と、
誘導デバイスと、
前記誘導デバイスを介して、前記整流入力電圧Vrecを供給するように、前記誘導デバイスと前記整流回路とを制御可能に接続するスイッチング手段と、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、導通期間αの間、前記誘導デバイスと前記整流回路との前記接続を可能にする導通期間制御手段と、
前記導通期間αの間、前記スイッチング手段を制御し、繰り返し前記誘導デバイスと前記整流回路との接続を行うことによって、前記誘導デバイスに流れる電流の波形を、参照波形Irefにしたがって成形する電流成形制御手段とを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とする。
【0010】
この導通期間αの外においては、誘導デバイスは、整流回路に接続されていないことは理解されるところであろう。
【0011】
このように、負荷値に応じて導通期間(すなわち、導通角)αを制御することによって、効率性を高めることが可能となる。
【0012】
この点に関し、小さな導通期間αは、AC入力電圧VACの各半サイクルにおけるスイッチング動作の回数を減少させることができる。そのため、平均して低いスイッチング損失を実現することができる。しかしながら、小さい導通期間αによって、同時に、高い実効電流(rms current)が発生することから、導電損失(conduction loss)が大きくなってしまう。
【0013】
低負荷の場合、スイッチング損失は、導電損失よりも支配的である。したがって、低負荷の場合、導通期間αは、スイッチング損失を減少させるため、関連する高調波電流の規格に対応するのに必要なだけの期間を確保したうえで、より小さく設定するのが好ましい。これにより、全体の効率性を高めることができる。
【0014】
高負荷の場合、導電損失が増大し、一般的には、導電損失がスイッチング損失よりも支配的になる。したがって、高負荷の場合、導通期間αは、導電損失を減少させるため、大きく設定するのが好ましい。これにより、全体の効率性を高めることができる。さらに、高負荷の場合における高調波限界値に対応するのに必要な期間を確保するために、導通期間αをある程度大きくする必要がある。したがって、導通期間αの最小値は、高調波限界値によって決定される。しかしながら、効率性を最大化するためには、導通期間αは、高調波成分の規格に対応するために必要な大きさ以上であるのが好ましい。
【0015】
本発明における、顕著な効率性の向上は、低負荷の場合において実現される効率性の向上である。最大300Wレートの電源供給装置においては、全ての負荷値における効率性の改善が可能となる。なぜならば、このような電源供給装置においては、高調波成分の規格に対応するために、180度に近い導通期間αで駆動を行う必要がないからである。
【0016】
例として、EN61000−3−2のクラスA規格を満たす装置について説明する。この場合、高周波の限界値(15〜39次高調波)は2.25A/nである。ここで、nは、高調波の次数である。もし、入力電流が矩形波に近い場合、すなわち、ある位相で波形がカットされたような形状を有し、半サイクル毎に90度の導通期間αがある場合、高調波電流は、1/nの割合で減少していく(これは矩形波の特性である)。この場合、基本波は、約2.25Aに制限されている。高周波の高調波を有さない波形は、より高次の基本波として使用される。例えば、基本波から1/nの割合で減衰(roll off)する高調波の場合、3次の高調波の限界値は、6.9A rmsの基本波に対応し、5次の高調波の限界値は、5.7A rmsの基本波に対応することができる。高次の高調波は、より早い割合で減衰する。本発明において、関連する限界値は、典型的には、3次と5次の高調波であって、要求レベル以下のうち、より高次の高調波である。
【0017】
得られた前記負荷値用の前記導通期間αは、以下の(a)(b)の導電期間のうち、より大きいものと略等しいものとなることが好ましい。
a)高調波電流の規格に対応するための最小導通期間
b)効率を略最大化するために演算された導通期間
【0018】
前記導通期間αは、少なくとも上限値を超えるまでは、前記負荷値Lに応じて増加するのが好ましい。前記導通期間αが前記上限値より大きい場合、前記導通期間αは、固定されるのがより好ましい。前記導通期間αが下限値以上の場合、前記導通期間αは、前記負荷値Lに応じて増加するのが好ましい。前記導通期間αが下限値より小さい場合、前記導通期間αは、固定されるのがより好ましい。前記導通期間αは、前記負荷値Lに応じて、略指数関数的に増加するのが好ましい。
【0019】
本発明のデバイス(回路)は、導通期間αの長さを、最低限、入力信号内の高調波成分が所定の限界値を超えないような長さとすることが好ましい。
【0020】
これにより、負荷に依存する本発明の導通期間αは、関連する規格を満たしつつ、さらに効率性が改善されたシステムを実現することができる。
【0021】
本発明の制御手段は、導通期間αの間、前記電流成形手段が駆動するように前記電流成形手段を制御するのが好ましい。ここで、
前記負荷値Lが負荷下限値より小さい場合、前記導通期間αは最小導通期間αminと略等しい値であり、
前記負荷値Lが前記負荷下限値以上かつ負荷上限値以下の場合、前記導通期間αは前記最小導通期間αmin以上、かつ前記負荷値Lに応じて増加し、
前記負荷値Lが前記負荷上限値よりも大きい場合、前記導通期間αは最大導通期間αmaxに固定されるのが好ましい。
【0022】
前記最小導通期間αminは、好ましくは50〜70度であり、より好ましくは約60度である。
【0023】
前記負荷下限値は、好ましくは50〜100Wであり、より好ましくは約75Wである。
【0024】
前記負荷上限値は、好ましくは機器の電力レベルと高調波規格によって定められる。例えば、EN61000−3−2の規格に対応するよう設計された400WのPFCデバイスにおいては、高調波規格に対応するため、90度より大きい導通角は要求されない。しかしながら、効率性を高めるためには、最大導通角は、120〜150度とするのが好ましい。
【0025】
高調波規格に対応させた前記最大導通期間αmaxは、好ましくは150〜170度であり、より好ましくは約160度である。その理由は、ゼロクロス近傍における主電源からの電力消費が低くなるためである。
【0026】
実際の負荷の閾値、最大導通期間αmax、および最小導通期間αminは、システムの特性、エンド機器、およびAC入力電圧VACに依存することは理解されるところであろう。
【0027】
また、以下で参照される負荷値Lは、瞬時値であってもよく、また主電源のサイクル数で平均した値であってもよいことは理解されるところであろう。
【0028】
前記導通期間αは、前記整流入力電圧Vrecのピーク値Vpeakをおおよその中心として、略対称であることが好ましい。また、前記導通期間αの中心は、前記ピーク値Vpeakに完全に一致していなくてもよい。例えば、前記導通期間αの中心は、0〜10度の範囲で前記ピーク値Vpeakから遅延していてもよく、典型的には約4度遅延している。
【0029】
上述のような波形の遅延は、以下の2つの理由にから好ましい。第1に、PFCデバイスに用いられる入力EMCフィルタの典型的な読み出し電流(leading current)をオフセットすることが可能となる。第2に、PFCデバイスが、ブリッジ整流器の出力キャパシタンスをディスチャージすることが可能となる。これにより、デバイスの電圧値が、導通期間αの開始点および終了点となるAC電圧の値を決定するための、直接検知値となる。これは、導通期間αの開始電圧値が、導通期間αの終了電圧値よりも大きいため可能である。このような状態は、AC供給がゼロクロスを跨ぎ、その大きさが増加している場合にのみ発生する。
【0030】
導通期間αは、AC入力電圧VACの正側半サイクルまたは負側半サイクルの範囲に入るので、導通期間αは、180度より小さいことは理解されるところであろう。
【0031】
好ましい実施形態として、本発明のデバイス(回路)は、さらに、前記負荷値Lに応じて参照オフセット電圧Voffを決定する参照オフセット電圧決定手段を備え、前記制御手段は、前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voff以上の間、前記電流成形手段を駆動するよう電流成形手段を制御する。
【0032】
すなわち、前記導通期間制御手段は、前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voff以上の間、前記誘導デバイスと前記整流回路との接続を可能とするよう構成されている。さらに、前記電流成形制御手段は、前記整流入力電圧Vrecが前記参照オフセット電圧Voff以上の間、前記誘導デバイスに流れる電流を成形するよう構成されている。
【0033】
そのため、導通期間αの長さは、参照オフセット電圧Voffの変化に応じて、変化する。
【0034】
電流成形手段の整流入力電圧Vrecの値は、システム内のヒステリシスによって、参照オフセット電圧Voffよりもわずかに大きいかわずかに小さいかで、有効化または無効化されてもよい。これは、ノイズを排除するために必要なもので、当業者であれば理解されるところであろう。
【0035】
前記参照オフセット電圧Voffは、下記(1)式で定められ、
Voff=KVpeak …(1)
ここで、Vpeakは、前記整流入力電圧Vrecのピーク値であり、Kは、少なくとも、前記負荷値Lに依存する係数である。
【0036】
前記(1)式における前記Kの値は、Kmin<K<Kmaxの範囲である。ここでKmin>0、Kmax<1である。
【0037】
したがって、参照オフセット電圧Voffは、常に、整流入力電圧Vrecの範囲内である。
【0038】
上記(1)式のKの値は、好ましくは関連する高調波電流の規格に依存する。
【0039】
Kの値は、エンドアプリケーションに応じて、予め定められているのが好ましい。上記(1)に従い、Kmaxは、最小導通期間(角)αminを設定し、Kminは、最大導通期間(角)αmaxを設定する。導通期間αは、これら2つの値の間を、エンドアプリケーション用に最適化された略指数関数に従って動くように制御されるのが好ましい。この指数関数は、低負荷の場合において、急激な導通期間(角)αの初期変化率(initial rate-of-change)をもたらし、さらに、高負荷の場合において、導通期間(角)αの変化率を低下させる。また、指数関数に限られず、他の関数を用いてもよい。
【0040】
本発明のデバイスが、入力電流を参照波形に追従させる連続通電モード(Continuous Conduction Mode)で駆動するよう構成されていることは理解されるところであろう。
【0041】
本発明のデバイスは、さらに、参照波形Irefを生成する波形生成手段を備えているのが好ましい。
【0042】
前記電流成形手段は、前記導通期間αの開始点と終了点に略対応する位相角においてゼロクロスする参照波形Irefにしたがって、前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形するよう構成されていることが好ましい。
【0043】
これにより、高調波成分および可聴ノイズを減少させることができる。
【0044】
さらに、前記電流成形手段は、電流成形モジュールの前記導通期間αの間、(正の)略正弦波状の参照波形Irefにしたがって、前記パワーコンバーターの前記入力波形を成形するよう構成されていることが好ましい。
【0045】
これによっても、高調波成分および可聴ノイズを減少させることができる。
【0046】
前記参照波形Irefは、前記整流入力電圧Vrecと前記参照オフセット電圧Voffの差に比例するのが好ましい。
【0047】
前記参照オフセット電圧Voffは、前記導通期間αの開始点および/または終了点において、前記整流入力電圧Vrecと、略等しいことが好ましい。
【0048】
その結果、電流成形モジュールの導通期間αの間、参照波形Irefは、導通期間αの開始点と終了点に略対応する位相角においてゼロクロスする正の正弦波形状となる。そのため、急峻な登りエッジおよび下りエッジの発生を回避することができ、整流入力電流内の高調波電流成分、および可聴ノイズを減少させることができる。これは、従来よりも小さい導通期間αであっても、高調波成分の規格に対応できることを意味する。結果として、特に低負荷の場合における効率性を改善することができる。
【0049】
前記参照波形Irefは、下記(2)式によって定められるのが好ましい。
Iref=D(Vrec−Voff) …(2)
ここで前記Dとは、1以上の乗数である。
【0050】
ここで、Dは、D=Vrecpeak/(Vrecpek−Voff)であるのが好ましい。ここでVrecpeakは、整流されたACのピーク値であり、Gは、可変な相互コンダクタンス項である。Gは、PFCデバイスの出力電圧を所望のレベルに保つためのコントローラーによって決定される。
【0051】
上記(2)式における乗数Dは、Vrec−Voffで表される波形にゲインを与える。これは、ピーク値の大きさが整流入力電圧と比較して、減少してしまうことから、その減少を補償するためである。
【0052】
別の実施形態においては、参照波形Irefは、AC入力電圧VACを用いて、ルックアップテーブルを参照することによって生成されてもよい。
【0053】
本発明の第3の目的は、パワーコンバーターの入力電流を成形するPFC(力率改善)デバイスを提供することにある。本発明のPFCデバイスは、
AC(交流)入力電圧VACから導出された整流入力電圧Vrecを受信する受信手段と、
前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
前記負荷値Lに応じて参照オフセット電圧を決定する参照オフセット決定手段と、
参照波形にしたがって前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記整流入力電圧が前記参照オフセット電圧以上である間、前記電流成形手段を駆動するよう制御する制御手段とを備える。
【0054】
本発明の第4の目的は、パワーコンバーターの入力電流を成形するPFC(力率改善)デバイスを提供することにある。本発明のPFCデバイスは、
AC(交流)入力電圧VACから導出された整流入力電圧Vrecを受信する受信モジュールと、
前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定モジュールと、
参照波形にしたがって前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形モジュールと、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、導通期間αの間、前記電流成形手段が駆動するように前記電流成形手段を制御する制御モジュールとを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とする。
【0055】
本発明のデバイスは、さらに、前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定モジュールを備えることが好ましい。この場合、前記制御モジュールは、前記整流入力電圧が前記参照オフセット電圧以上の間、前記電流成形手段が駆動するように前記電流成形手段を制御することが好ましい。
【0056】
本発明のデバイスは、さらに、参照波形Irefを生成する参照波形生成モジュールを備えることが好ましい。
【0057】
本発明の第5の目的は、特許請求の範囲に記載されているような、PFC(力率改善)デバイスを備えるパワーコンバーターを提供することにある。
【0058】
本発明の第6の目的は、パワーコンバーターの入力電流を成形するPFC(力率改善)デバイスを備えるパワーコンバーターを提供することにある。本発明のPFCデバイスは、
AC(交流)入力電圧VACを受信し、整流入力電圧Vrecを提供する整流手段と、
前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
参照波形Irefにしたがって前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記AC入力電圧VACの正側半サイクルと負側半サイクルの双方において、導通期間αの間、前記電流成形手段が動作するように、前記電流成形手段を制御する制御手段とを備え、
前記導通期間αの長さは、前記負荷値Lに応じて制御されることを特徴とする。
【0059】
本発明の第6の目的は、パワーコンバーターの入力電流を成形するPFC(力率改善)デバイスを備えるパワーコンバーターを提供することにある。本発明のPFCデバイスは、
AC(交流)入力電圧VACを受信し、整流入力電圧Vrecを提供する整流手段と、
前記パワーコンバーターに接続された負荷による消費電力を表す負荷値Lを決定する負荷決定手段と、
参照波形Irefにしたがって前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記負荷値に応じて参照オフセット電圧を決定する参照オフセット決定手段と、
参照波形にしたがって前記パワーコンバーターの前記入力電流を成形する電流成形手段と、
前記整流入力電圧が前記参照オフセット電圧以上である間、前記電流成形手段を駆動するよう制御する制御手段とを備える。
【0060】
本発明の第7の目的は、電力供給装置の構成方法を提供することにある。本発明の方法は、
複数の負荷値用に、
高調波成分の規格に対応するための最少導通期間を決定する工程と、
効率を略最大化する導通期間を決定する工程と、
前記導通期間のうちより大きい導通期間を選択する工程と、
前記各負荷値用の選択した前記導通期間を得るために、前記導通期間と前記負荷値を関連付ける関数を決定する工程と、
前記関数に従って、前記導通期間/角を制御するための電力供給装置を構成する工程とを備える。
【0061】
前記関数は、指数関数であることが好ましい。前記導通期間αは、ターンオン位相角の項によって定められることは理解されるところであろう。前記選択された導通期間αは、上記(1)式における変数Kの値を決定するのに用いられる。さらに、導通期間αは、参照オフセット電圧Voffの変化に応じて変化することが好ましい。
【0062】
特許請求の範囲、明細書に記載された追加的、および好ましい特徴は、本発明の目的の全てに適用される。
【0063】
特に、いずれか、または全ての本発明は、AC(交流)入力電圧VACを受信する入力端子と、負荷に電力を供給する出力端子とを備えていてもよい。いずれか、または全ての本発明は、整流入力電圧Vrecを提供するためにAC入力電圧VACを整流する整流回路を備えていてもよい。いずれか、または全ての本発明は、誘導デバイスを備えていてもよい。いずれか、または全ての本発明において、電流成形手段/モジュールは、誘導デバイスを介して、前記整流入力電源Vrecを供給するように、前記誘導デバイスを前記整流回路に制御可能に接続するスイッチング手段/モジュールと、前記導通期間αの間、前記スイッチング手段を制御し、繰り返し前記誘導デバイスと前記整流回路との接続を行うことによって、前記誘導デバイスに流れる電流の波形を、参照波形Irefにしたがって成形する電流成形制御手段とを有していてもよい。いずれか、または全ての本発明は、前記導通期間αの間、前記誘導デバイスと前記整流回路との接続を可能とする導通期間制御手段を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1図1は、本発明の実施形態に係るPFC回路の簡略化した回路図である。
図2図2は、図1に示す回路のメインループプロセスを示すフローダイアグラムである。
図3図3は、図2に示すメインループプロセスにおける、タスクT1を示すフローダイアグラムである。
図4図4は、図2に示すメインループプロセスにおける、タスクT2を示すフローダイアグラムである。
図5図5は、PFC回路によって制御される典型的なDSP(Digital Signal Processor)の効率性を示す図である。
図6図6は、PFC回路によって制御されたDSPが生成する波形を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るPFC回路を備える単相ブーストコンバーターの簡略化した回路図である。
図8図8は、本発明に従ってプログラムされたデジタル信号コントローラーの機能を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明に従ってプログラムされたデジタル信号コントローラーの機能を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明に従ってプログラムされたデジタル信号コントローラーの機能を示すフローチャートである。
図11図11は、本発明に従ってプログラムされたデジタル信号コントローラーの機能を示すフローチャートである。
図12図12aは、表1のPF限界値を満たすよう設計された180WのPSUにおけるKvs負荷のグラフである。図12bは、エナジースター規格用のKvs負荷のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、本発明の実施形態に係るPFC回路を示す回路図である。この回路は、制御モジュール10と、電流成形モジュール(電流成形手段、スイッチング回路)11とを有する。
【0066】
電流成形モジュール11は、従来からよく知られているものであり、参照信号の波形にしたがって、入力電流を成形する機能を有する。例えば、テキサス・インスツルメントのアプリケーション・ノートSLUA259にあるようなブーストプリレギュレーター(boost pre-regulator)である。したがって、電流成形モジュール11の構成要素や機能はここでは詳細に記述しない。
【0067】
整流入力電圧Vrecは、負荷値Lと共に、制御モジュール10に対する入力として提供される。負荷値Lは、回路に結合(接続)された(associated with)負荷による消費電力(power drawn)、または瞬時電流を表す(represent)。すなわち、消費電力、または瞬時電流に対応するものである。
【0068】
整流入力電圧Vrecは、制御モジュール10の第1の決定モジュール12に入力として提供される。第1の決定モジュール12は、整流入力電圧Vrecのピーク値Vpeakを決定する。
【0069】
制御モジュール10は、記憶モジュール13を有する。記憶モジュール13は、変数A、B、C、Kmin、およびKmaxからなるルックアップテーブルを保存している。これらの変数A、B、C、Kmin、およびKmaxは、AC線間電圧(AC line voltage)と、エンドアプリケーションおよび関連する規格によって許容される高調波成分のレベルとに依存する。
【0070】
負荷値Lとピーク値Vpeakは、制御モジュール10の第2の決定モジュール14に入力として提供される。そして、適切なA、B、C、Kmin、およびKmaxが、記憶モジュール13から読み出される。
【0071】
第2の決定モジュール14は、下記(1)式を用いて、参照オフセット電圧Voffを演算する。
Voff=KVpeak …(1)
ここで、Kは下記(3)式で表される。
K=Fn(L’,A,B,C,Kmin,Kmax) …(3)
ここでL’とは、負荷値Lに対し、ローパスフィルタ施したものである。このL’は、主電源サイクル数で平均した負荷値を表す(represent)。すなわち、主電源サイクル数で平均した負荷値に対応するものである。
【0072】
高調波規格に対応し、効率を最大化する適切なKの値を決定するには、最初に、負荷値毎に異なったK用の理論値を演算する必要がある。これらの値は、指数関数曲線をフィッティングすることにより導出される。この指数関数曲線によって、どのようなL’の値が与えられても、Kの値を導出することができる。
【0073】
K用の理論値は、以下の工程によって演算される。
a)複数の負荷値を認識する。例えば、最大負荷値の何パーセントであるか、である。
b)関連する高調波規格を用いて、ターンオン位相角の限界値を演算する。すなわち、各認識された負荷値毎の、導通期間(角)αを開始することができる最大の位相角を演算する。この限界値は、高調波規格に対応すると認識された導通期間αの最も小さい値と略対応する。なぜならば、導通期間(角)αは、Vpeakをおおよその中心として、上述した遅延はあるものの、略対称となっているからである。
c)パワーコンバーターの特性分析から、各認識された負荷値毎に、効率を最大化する最適なターンオン位相角限界値を測定/演算する。この場合も、この値は、効率を最大化すると認識された最適導通期間(角)αと略対応する。
d)各認識された負荷値毎に、b)工程とc)工程で演算された2つのターンオン位相角限界値のうち、小さいほうを選択する。
e)要求されたターンオン角のサイン(sin、正弦)によってKの値を計算する。
【0074】
表1および表2は、エナジースター高調波規格に対応する典型的な180W製品の各数字を示すものである。
【0075】
表1は、異なる負荷値毎の、エネジースター規格において定められたPF(力率)限界値と、演算によって求められた最大ターンオン位相角を示すものである。ここで、表に示した規格は、PF限界値を課していない。なぜならば、理論的には、90度のターンオン角を有することが可能だからである。しかしながら、特に、ターンオン角は、信頼性のある電流パルスを生成するため、常に90度より小さい値となる。
【0076】
表2は、エナジースター規格用の最大ターンオン位相角(ここでは“エナジースター限界値”としている)を示している。効率を最大化するための最適ターンオン位相角は、表中では、“効率限界値“と示している。これら2つの限界値のうち小さいほうがターンオン角として選択され、表中では、”ターンオン角“と示されている。さらに、選択されたターンオン位相角から演算されたKの値は、表中では、”K“と示されている。
【0077】
Kの理論値が演算されると、以下の(6)式により、指数関数曲線にフィッティングが行われる。
K=Kmin+(Kmax−Kmin)×(exp(−X/constant)) …(6)
ここで、X=負荷値−Offset1である。Offset1は、第1の負荷レベルである。
【0078】
より具体的には、
If X>0

K=Kmin+(Kmax−Kmin)(1−(A*X−B*X+C*X))
If(K<Kmin) then K=Kmin

Else K=Kmax
である。
【0079】
上記手順は、上記(6)式の近似式を計算していることに等しい。
【0080】
上記(6)式におけるKmaxとKminは、パワーコンバーターおよび/または負荷の技術的要求に従って定められる。
【0081】
Kmaxは、約0.87に設定されるのが好ましい。どのような場合においても、Kmaxは、0.9よりも小さい。なぜならば、0.9より値が大きくなるとPF(力率)が低下し、ヒステリシスが小さいような場合、これを改善することは困難だからである。
【0082】
高調波の規格に対応するよう要求されていない場合には、Kminは、0.1〜0.25の範囲で設定されるのが好ましい。これにより、供給された電流がゼロクロスした後に発生する、可聴ノイズの原因となる電流オーバーシュート(current overshooting)を防止できる。
【0083】
180WのPSUの場合、Kの最小値は、0.45である。そして、ゼロクロス近傍における電流オーバーシュートという問題が発生しない。
【0084】
図12aは、表1のPF限界値を満たすよう設計された180WのPSUにおけるKvs負荷値のグラフである。
【0085】
表1
【0086】
表2
【0087】
表3は、エナジースター規格(アメリカ規格)のPF(力率)規格を満たすKの測定最小値を示すものである。この計算されたKの値は、Kmin=0.453、Kmax=0.87、A=2、B=1、C=0.015としてフィッティングを行った結果である。高電力設計においては、Kminの値が減少する。これは、Kの値が低い状態での駆動は、高い力率(PF)となり(実効電流が減少した状態で)、高い効率性を発揮するからである。Kvs負荷値のグラフを、図12bに示す。
【0088】
効率性を最大化するために、Kは、示されている値よりも低いこと(より大きな導通期間(角)α)が望ましい。Kの適切な値は、電源回路の設計に依存する。ここで測定値は、300WのPFCデバイスのKvs負荷値の値である。このデバイスは、エナジースターの規格を満たしている。
【0089】
表3
【0090】
整流入力電圧Vrecと参照オフセット電圧Voffは、比較モジュール15の入力として提供される。比較モジュール15は、整流入力電圧Vrecと参照オフセット電圧Voffを比較し、オン/オフ信号Sを以下の(4)式、(5)式に従い生成する。
S=1(on) when VAC>Voff+H, and …(4)
S=0(off) when VAC<Voff …(5)
ここで、Hは、ヒステリシスを表す。
【0091】
また、整流入力電圧Vrecと参照オフセット電圧Voffは、波形生成モジュール16の入力として提供される。波形生成モジュール16は、以下の(2)式を用いて参照波形Irefを生成する。
Iref=D(VAC−Voff) …(2)
【0092】
上記(2)式において、Dは、ゲイン補正のために必要な信号であり、(VAC−Voff)が整流されたAC電圧のピーク値Vpeakと比較して減少することを補償するためのものである。
【0093】
Gは、PFCデバイスの出力を制御する制御回路によって決定される相互コンダクタンス項である。
【0094】
本実施形態においては、以下の(9)式により、1次のゲイン補正Dを求めている。
D=Vpeak/(Vpeak−Voff) …(9)
【0095】
もし、Dが導通デューティサイクルα/180度となる場合には、さらに正確なゲイン補正が行われてもよい。
【0096】
参照波形Irefは、PWMモジュール17の入力として提供される。PWMモジュール17は、参照波形Irefに基づき、PWM(Pulse Width Modulation)信号を提供する。
【0097】
PWM信号とSは、バッファーモジュール18に入力として提供される。バッファーモジュール18は、参照波形Irefにしたがって入力電流を成形するよう、電流成形モジュール11を駆動する。この駆動は、導通期間(角)αの間であってS=1の場合に行われる。
【0098】
図2から5は、図1に示す回路の動作を示す図である。
【0099】
図2は、メインループプロセスを示すものである。このメインループプロセスは、典型的な無限ループとして実装されている。
【0100】
ステップS11において、Vrec>Voff+Hが判定される。もし、この判定が真であるならば、プロセスは、ステップS12に移行する。ステップS12では、Sの値が判定される。もし、S=0(ステップS12の判定が偽)であるならば、プロセスは、ステップS13に移行する。ステップS13では、SはS=1とされ、電流成形モジュール11を駆動可能な状態となる。その後、プロセスは、ステップS16に移行する。もし、S=1(ステップS12の判定が真)であるならば、電流成形モジュール11は、既に、駆動可能な状態である。その後、プロセスは、ステップS16に移行する。
【0101】
もし、ステップS11の判定が偽であったならば、プロセスは、ステップS14へ移行する。ステップS14では、Sの値が判定される。もし、S=1(ステップS14の判定が偽)であるならば、プロセスは、ステップS15に移行する。ステップS15では、SはS=0とされ、電流成形モジュール11を駆動不可能な状態となる。もし、S=0(ステップS14の判定が真)であるならば、既に、電流成形モジュール11の駆動は不可能な状態である。その後、プロセスは、ステップS16に移行する。
【0102】
ステップS16において、メインループプロセスにおいて予定されたタスクで決定された値を反映させるために、いくつかのフィルタ係数がアップデートされる。そしてその後、プロセスは、S11に戻る。
【0103】
その結果、整流入力電圧Vrecが参照オフセット電圧Voffよりも大きい場合、電流成形モジュール11の駆動が可能となる。これは、導通期間(角)αの間、駆動するということと対応している。導通期間(角)αは、わずかな遅延はあるが、主電源の電圧のピーク値をおおよその中心としている。この導通期間(角)αは、参照オフセット電圧Voffの変化に伴い変化する。
【0104】
図3は、タスクT1を示す図である。タスクT1において、参照オフセット電圧Voffが決定される。タスクT1は、タスクスケジューラーや割り込みサービスルーチン(interrupt service routine)等によって、メインループの動作中、一定間隔で実行される。
【0105】
ステップS21では、第1の決定モジュール12が、整流AC電圧のピーク値Vpeakを決定する。ステップS22では、A、B、C、Kmin、およびKmaxの値が、記憶モジュール13に記憶されたルックアップテーブルから読み出される。ステップS23では、Lの値を取得する。ステップS21からステップS23は、どのような順番で実行されてもよいし、このうち、いくつかまたは全てのステップは、同時に実行されてもよい。ステップS24では、第2の決定モジュール14が、上記(1)式および(3)式に従い、参照オフセット電圧Voffの値を演算する。ステップS24の工程の後、タスクT1は終了する。
【0106】
上記(1)式および(3)式から、参照オフセット電圧Voffが整流AC電圧のピーク値Vpeakに対し、どの程度のパーセンテージであるか、および参照オフセット電圧Voffが負荷値Lに応じて変化することがわかる。
【0107】
この結果、参照オフセット電圧Voff、および導通期間(角)αは、瞬時負荷値Lに応じて変化する。
【0108】
図4は、タスクT2を示す図である。タスクT2では、参照波形Irefが生成される。タスクスケジューラーや割り込みサービスルーチン(interrupt service routine)等によって、メインループの動作中、一定間隔で実行される。
【0109】
ステップS31では、整流入力電圧Vrecが取得される。ステップS32では、参照オフセット電圧Voffの現在値が取得される。ステップS33では、Dの現在値が取得される。ステップS31からステップS33は、どのような順番で実行されてもよいし、このうち、いくつかまたは全てのステップは、同時に実行されてもよい。ステップS34において、第3の決定モジュールが上記(3)式により、参照波形Irefを演算する。ステップS34の工程の後、タスクT2は終了する。
【0110】
Dは、上記(9)式により、決定される。
【0111】
図2から図4において、これらのフローダイアグラムは、本発明を説明するために、実際の動作を簡略化したものであることは理解されるであろう。実際、これらに追加の様々な機能が追加されてもよい。しかしながら、そのような機能を追加、実行することは、当業者にとって容易であり、本発明の理解に特に必要でないことから、ここでは説明しない。
【0112】
上述の構成によって、導通期間(角)αは、効率性を向上させるため、瞬時負荷値Lに応じて変化する。これに関し、効率性に影響を与える2つの主要な要因は、スイッチング損失と導電損失である。スイッチング損失は、導通期間(角)αを小さくすることによって減少することができる。なぜならば、導通期間(角)αが小さければ、主電源の半サイクルごとのスイッチング動作の数を減らすことができ、結果としてスイッチング損失を減らすことになるからである。しかしながら、この手法では、高い実効電流(rms current)となってしまい、導電損失が増大する。
【0113】
低負荷の場合、スイッチング損失が支配的である。そのため、導通期間(角)αを小さくすることにより、全体の効率を改善することができる。
【0114】
高負荷の場合、導電損失が支配的である。そのため、導通期間(角)αを大きくすることにより、全体の効率を改善することができる。
【0115】
図5は、PFC回路によって制御される典型的なDSP(Digital Signal Processor)の全体効率を示す図である。図5には、このDSPが
1)主電源の半サイクル(180度)の全て範囲で駆動する場合
2)90度で固定された導通期間(角)の範囲で動作する場合
の効率が記載されている。
【0116】
図5に示すように、より高負荷な領域では、導通期間(角)を小さくすることによる効率性の改善が減少している。そして、より大きい導通期間(角)が好ましい。
【0117】
加えて、上述の構成によって、参照波形Irefは、導通期間(角)αを決定するのに用いられたのと同じ参照オフセット電圧Voffに基づく。したがって、参照波形Irefのゼロクロスポイントは、電流成形モジュール11のスイッチオン、スイッチオフポイントと一致する。これにより、入力電流の波形内において、急峻なエッジの発生を避けることができ、高調波成分を減少させることができる。これにより、従来より小さい導通期間(角)αであっても、高調波成分の規格に対応することが可能となる。結果として、特に、低負荷の場合に、効率性を改善することができる。
【0118】
図6は、PFC回路によって制御されたDSPが生成した波形を示す図である。トレース61は、整流されたAC入力電圧VACを表す。トレース62は、成形された入力電流を示す。トレース62は、整流されたAC入力電圧VACと近似となっていることがわかる。トレース63は、PFC回路のDC(直流)出力電圧を表す。
【0119】
本発明は、例えば、DSPやマイクロプロセッサー内のソフトウェアにおいて実行される。本発明は、また、ハードウェアにより実現可能である。
【0120】
図8から図11は、本発明に従ってプログラムされたデジタル信号コントローラーの機能を示すフローチャートである。
【0121】
図8は、コントローラーに実装されたメインループを示すフローチャートである。このメインループは、典型的な無限ループとして実装されている。このメインループは、例えば、変数Kや参照オフセット電圧Voffといった、使用する情報をアップデートするために、他のタスクスケジューラーや割り込みサービスルーチン(interrupt service routine)等によって、一定間隔で実行される他のタスクに依存するものである。
【0122】
図9は、タスク1を示すフローチャートである。タスク1は、Vpeakを更新するために、一定間隔で実行される。Vpeakは、主電源の電圧のピーク値である。
【0123】
図10および図11は、電流ループ用のコントロールループフィルタを処理するタスク2と、電圧ループ用のコントロールループフィルタを処理するタスク3とを示すフローチャートである。タスク3の出力は、相互コンダクタンス項である要求信号Demand(Vout)である。Demand(Vout)は、電圧と乗算されると、電流コントロールループで使用される電流参照値を導出することができる。この要求信号Demand(Vout)は、上記(2)式におけるGに対応する。
【0124】
図7は、本発明の実施形態に係るPFC回路を備える単相ブーストコンバーターの簡略化した回路図である。
【0125】
このコンバーターは、4つのダイオードブリッジ整流器71と、平滑コンデンサC1から成る整流回路70を備える。このブリッジ回路は、二つのノードを介して、AC入力電圧VAC(図示せず)に接続されている。平滑コンデンサC1は、ブリッジ回路の別の2つのノードに、並列に接続されている。平滑コンデンサC1の両サイドに接続された結線は、それぞれ、整流回路70で生成された整流入力電圧Vrecを伝達する。この信号は、図7において、ACとして識別される。
【0126】
入力インダクタL1は、平滑コンデンサC1の一方の端子に接続されている。入力インダクタL1は、ダイオードD1の陽極(anode)側に直列に接続されている。
【0127】
MOSFETのような、制御可能なスイッチ72は、平滑コンデンサC1と並列に接続されている。スイッチ72の一方の端子は、入力インダクタL1と、ダイオードD1の間のノードに接続されている。
【0128】
第2のコンデンサC2は、平滑コンデンサC1およびスイッチ72と、並列に接続されている。第2のコンデンサC2のもう一方の端子は、ダイオードD1の陰極(cathode)側に接続されている。
【0129】
第2のコンデンサC2の出力は、負荷(図示せず)に供給されるコンバーターの出力電圧信号Voutを表す。出力電圧信号Voutは、図7において、OUTPUTとして識別される。
【0130】
モジュール73には、ローパスフィルタ74に入力され、その後、増幅器A3の反転入力端子(inverting input)に入力される負荷信号(図7中では単に“Load“と識別されている)が存在している。抵抗R2は、ローパスフィルタ74と、増幅器A3との間に接続されている。ゼロ負荷時のオフセット(Zero load offset)を表すリファレンスは、非反転入力端子(non-inverting input)から増幅器A3に入力される。抵抗R2は、増幅器A3の出力端子と反転入力端子との間に接続されている。
【0131】
負荷信号は、下流の負荷(downstream load)から導出されることが好ましい。しかしながら、負荷信号は、シグナル強度の平均から導出されてもよい。
【0132】
モジュール73内のローパスフィルタ74は、負荷値Lを表す信号を提供するため、入力された負荷信号をフィルタ処理する。増幅器A3は、この信号を増幅し、ゲイン調整された負荷信号を提供する。
【0133】
モジュール79において、整流入力電圧Vrec(AC)は、直列に接続された抵抗R4、R5によって分周(divide down)され、R4とR5との間のノードに接続されたフィルタ75に入力される。
【0134】
フィルタ75は、分周された整流入力電圧Vrecをフィルタリングし、Vpeakを提供する。Vpeakは、整流入力電圧Vrecのピーク値を表す。
【0135】
モジュール73およびモジュール79からの出力は、それぞれ、乗算器M2で結合される。乗算器M2は、2つの信号を乗算し、整流入力電圧Vrecのピーク値と、ゲイン調整された負荷値Lとの積である信号を提供する。この信号は、参照オフセット電圧Voffであり、図7中ではoffsetとして識別される。
【0136】
モジュール76において、整流入力電圧Vrec(AC)は、直接接続されている抵抗R6、R7によって分周され、増幅器A1の非反転入力端子に入力される。増幅器A1の非反転入力端子は、抵抗R6とR7との間のノードに接続されている。
【0137】
乗算器M2の出力端子は、増幅器A1の反転入力端子に接続されている。抵抗R8は、乗算器M2の出力端子と、増幅器A1の反転入力端子との間に接続されている。抵抗R9は、増幅器A1の出力端子と、反転入力端子との間に接続されている。
【0138】
増幅器A1の出力は、整流入力電圧Vrec(AC)の分周値と参照オフセット電圧Voff(offset)の和となる。
【0139】
モジュール77において、第2のコンデンサC2の一方の端子は、増幅器A2の反転入力端子に接続されている。これにより、出力電圧信号Vout(output)が増幅器A2に提供される。抵抗R10は、第2のコンデンサC2と、増幅器A2の反転入力端子との間に接続されている。抵抗R11は、増幅器A2の出力端子と、反転入力端子との間に接続されている。
【0140】
増幅器A2の非反転入力は、所望の出力電圧を表す参照値(Ref)に設定されている。
【0141】
増幅器A2の出力は、得られた出力電圧と所望の出力電圧との差を表す誤差信号としての機能を有する。
【0142】
モジュール76とモジュール77の出力は、それぞれ、乗算器M1において結合される。乗算器M1は、2つの信号を乗算する機能を有する。
【0143】
乗算器M1は、AC電圧の2乗に逆比例する追加入力を受け入れてもよい。これは、線間電圧による回路ゲインの変動を除去するために、連続通電モード(Continuous Conduction Mode)PFC回路においてよく見られる手法である。
【0144】
乗算器M1の出力は、参照波形Irefを表す。
【0145】
乗算器M1の出力端子は、増幅器A4の非反転入力に接続されている。
【0146】
増幅器A4の反転入力端子は、コンバーターのAC入力電流に接続されている。図7に示すように、センシング抵抗R1は、平滑コンデンサC1と、スイッチ72との間に接続されている。さらに、増幅器A4の反転入力端子は、センシング抵抗R1とスイッチ72との間のノードに接続されている。しかしながら、別のセンシングスキームが用いられてもよい。抵抗R12は、センシング抵抗R1と増幅器A4の反転入力端子との間に接続されている。抵抗R13は、増幅器A4の出力端子と、反転入力端子との間に接続されている。
【0147】
増幅器A4は、内部電流ループ誤差増幅器として機能する。その出力は、比較器Comp2用に、要求信号(参照波形)を設定する。
【0148】
増幅器A4の出力端子は、比較器Comp2の一方の入力端子に接続されている。比較器Comp2のもう一方の入力端子は、三角波生成器(図示せず)に接続されている。三角波生成器は、三角波を生成する。比較器Comp2は、三角波と、増幅器A4から出力される要求信号とを比較し、スイッチ72を駆動するためのPWM出力信号を提供する。
【0149】
モジュール78において、整流入力電圧Vrec(AC)は、直列に接続された抵抗R14、R15によって分周され、さらに、比較器Comp1の一方の入力端子に入力される。この比較器Comp1の一方の入力端子は、抵抗R14と、抵抗R15との間のノードに接続されている。
【0150】
比較器Comp1のもう一方の入力端子は、乗算器M2の出力端子と接続されている。
【0151】
比較器Comp1は、分周された整流入力電圧Vrecと、参照オフセット電圧Voffとを比較し、信号を出力する。この信号は、整流入力電圧Vrecが、参照オフセット電圧Voffよりも大きいか小さいかを表す。
【0152】
比較器Comp1、Comp2の出力は、それぞれ、バッファーB1に提供される。B1の出力端子は、スイッチ72の制御端子に接続されている。B1の出力により、スイッチ72は制御される。
【0153】
バッファーB1は、比較器Comp1の出力が、整流入力電圧Vrecが参照オフセット電圧Voffよりも大きいことを示す場合にのみ、比較器Comp2のPWM出力信号を提供することにより、回路の電力段(power stage)を駆動する。
【0154】
したがって、力率改善(PFC)は、導通期間(角)αの全範囲において実行される。導通期間(角)αは、負荷値Lに依存する。この導通期間(角)αは、参照オフセット電圧Voffに依存する。
【0155】
さらに、PWMを調整する参照波形Irefは、整流入力電圧Vrecと参照オフセット電圧Voffとの差に対応する、ゲイン調整された信号である。参照オフセット電圧Voffは、導通期間(角)αを決定する。そのため、入力電圧の波形において、急峻な登りエッジおよび下りエッジが発生することを回避することができる。
【0156】
図7に示した回路の増幅器A1−A4において与えられるゲインは、特別なアプリケーション用に、参照オフセット電圧Voffに依存する導通期間(角)αが、関連する高調波成分の規格に対応するよう設定される。
【0157】
いずれかまたは全ての増幅器によって与えられるゲインは、固定値でも、その他の規格によって変動する値でもよい。本実施形態においては、いずれかまたは全てのゲインは、供給される電圧の状態に応じるものである。
【0158】
以上説明した実施形態は、本発明を説明するための1例でしかないことは理解されるところであろう。実際、本発明は、異なる構成に適用されてもよいし、実施形態の細かな点の追加または変更は、当業者にとって実施容易であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12