特許第5663537号(P5663537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663537軟質部材の取付構造、筆記具及び軟質部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663537
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】軟質部材の取付構造、筆記具及び軟質部材
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/02 20060101AFI20150115BHJP
   B43K 3/00 20060101ALI20150115BHJP
   B43K 23/08 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   B43K29/02 Z
   B43K3/00 H
   B43K9/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-182660(P2012-182660)
(22)【出願日】2012年8月21日
(62)【分割の表示】特願2008-63589(P2008-63589)の分割
【原出願日】2008年3月13日
(65)【公開番号】特開2012-250538(P2012-250538A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2012年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 久嗣
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−90984(JP,A)
【文献】 実開平6−75780(JP,U)
【文献】 特開2001−18581(JP,A)
【文献】 特開平9−169196(JP,A)
【文献】 実開平5−29792(JP,U)
【文献】 特開平10−283107(JP,A)
【文献】 特開2004−148744(JP,A)
【文献】 特開2006−123337(JP,A)
【文献】 特開2007−144991(JP,A)
【文献】 特開2007−223302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具の軸筒またはキャップの筒体の上端部に軟質部材を取り付ける軟質部材の取付構造であって、
筒体の上端に突部を設け、軟質部材に取付孔を設け、前記突部の外周面と前記取付孔の内周面との嵌合によって、筒体の上端部に軟質部材を取り付けてなり、
前記軟質部材は、弾性材料により一体に形成され、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材であり、前記軟質部材の外周面が、上端部に形成された大径部と、該大径部より下方に延設された小径部と、該大径部と小径部との間に形成された段部とを備え、前記取付孔が、前記軟質部材の軸心を軸方向に貫通して、前記大径部の上端及び前記小径部の下端開口され、一方、前記筒体の上端部に、前記突部の外周を包囲する筒状の規制壁部を設け、前記突部の外周面と前記取付孔の内周面とを嵌合させた際、前記軟質部材の外周面が径方向外方に自由に膨出変形可能とし、且つ前記段部と前記規制壁部の上端とが軸方向に当接するとともに、前記小径部の下端が、前記筒体と離間し、前記大径部の上端部外周面が、被接触面に接触可能な接触面となることを特徴とする軟質部材の取付構造。
【請求項2】
前記規制壁部が、軸方向に延びる円筒状であり、前記規制壁部の内周面と、前記突部の外周面との間には、環状の空間が形成される請求項1記載の軟質部材の取付構造。
【請求項3】
前記突部の上端部の外径を前記軟質部材の取付孔の下端部の内径より小さく設定した請求項1又は2に記載の軟質部材の取付構造。
【請求項4】
前記突部が、上端の小外径部と、該小外径部より下方に延設される大外径部とを備え、前記小外径部の外径を前記取付孔の下端部の内径より小さく設定し、前記大外径部の外径を前記取付孔の下端部の内径より大きく設定した請求項3に記載の軟質部材の取付構造。
【請求項5】
前記突部の上端部に膨出部を設け、一方、前記取付孔の内周面に係止壁部を設け、前記突部の外周面と前記取付孔の内周面とを嵌合させた際、前記膨出部が前記係止壁部に抜け止め係止される請求項1乃至の何れかに記載の軟質部材の取付構造。
【請求項6】
前記弾性材料が、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーである請求項1乃至5の何れかに記載の軟質部材の取付構造。
【請求項7】
前記軟質部材の大径部の上端部外周面に、凸曲面が形成された請求項1乃至6の何れかに記載の軟質部材の取付構造。
【請求項8】
請求項1乃至の何れかに記載の軟質部材の取付構造を備え、熱変色性の筆跡を形成することを特徴とする筆記具。
【請求項9】
前記突部及び前記規制壁部とともに、請求項1乃至8の何れかに記載の軟質部材の取付構造を構成することを特徴とする軟質部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質部材の取付構造及び筆記具に関する。詳細には、筆記具の軸筒またはキャップ等の筒体の上端部に軟質部材を取り付ける軟質部材の取付構造、及びこれを備えた筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軟質部材の取付構造に関して、特許文献1には、頭部に凹部を有し、この凹部に消し具を圧入固定してなる筆記具の消し具付きキャップにおいて、前記凹部の底壁には凸部を、内側壁には長手方向に延在するリブを形成し、前記消し具に形成した孔部に前記底壁の凸部を圧入してなる筆記具の消し具付きキャップが開示されている。
【0003】
また、従来の軟質部材の取付構造に関して、特許文献2には、キャップの頂部や軸胴の後端部にシリコーンゴムからなる摩擦体を嵌合させる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2578273号公報
【特許文献2】特開2004−148744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の構造は、軟質部材(消し具)が、凹部底壁の凸部と凹部内側壁のリブにより挟持固定されるため、軟質部材を凹部に圧入する際に大きな押し込み力が必要であり、取付作業が困難となるおそれがある。
【0006】
また、前記特許文献2の構造は、軟質部材(摩擦体)の一部を外部に露出させ、軟質部材の他の部分を嵌合部内面に圧入する構造であるため、強固な取り付けを得ようとすると、軟質部材全体の長手寸法が長くなるとともに軟質部材が圧入される筒体(キャップまたは軸筒など)の端部の長手寸法が長くなる。その結果、筒体の外観デザイン上の自由度が減少するおそれがある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、軟質部材の取付作業が容易となり、また、筒体の外観デザイン上の自由度が増加する軟質部材の取付構造を提供しようとするものである。本発明で、筒体において、「上」とは突部側を指し、「下」とはその反対側を指す。また、本発明で、軟質部材において、「下」とは突部への挿入側を指し、「上」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本願の第1の発明は、筆記具の軸筒またはキャップの筒体1の上端部に軟質部材4を取り付ける軟質部材の取付構造であって、筒体1の上端に突部2を設け、軟質部材4に取付孔5を設け、前記突部2の外周面と前記取付孔5の内周面との嵌合によって、筒体1の上端部に軟質部材4を取り付けてなり、前記軟質部材4は、弾性材料により一体に形成され、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材であり、前記軟質部材4の外周面が、上端部に形成された大径部41と、該大径部41より下方に延設された小径部42と、該大径部41と小径部42との間に形成された段部43とを備え、前記取付孔5が、前記軟質部材4の軸心を軸方向に貫通して、前記大径部41の上端及び前記小径部42の下端に開口され、一方、前記筒体1の上端部に、前記突部2の外周を包囲する筒状の規制壁部3を設け、前記突部2の外周面と前記取付孔5の内周面とを嵌合させた際、前記軟質部材4の外周面が径方向外方に自由に膨出変形可能とし、且つ前記段部43と前記規制壁部3の上端とが軸方向に当接するとともに、前記小径部42の下端が、前記筒体と離間し、前記大径部41の上端部外周面が、被接触面に接触可能な接触面となること(請求項1)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0009】
前記第1の発明の軟質部材の取付構造は、突部2の外周面と取付孔5の内周面との嵌合によって、筒体1の上端部に軟質部材4を取り付けてなる。これにより、小径部42の外周面と規制壁部3の内周面とを、非接触とすることができる。この結果、突部2を軟質部材4の取付孔5に嵌合させる際、軟質部材4が径方向外方に自由に膨出変形可能となり、大きな押し込み力が不要となり、取り付け作業が容易となる
【0010】
また、前記第1の発明の軟質部材の取付構造は、突部2の外周面と取付孔5の内周面とを嵌合させた際、段部43と規制壁部3の上端とが軸方向に当接することにより、取付孔5と突部2との軸方向の嵌合長さを、ばらつきなく一定に維持することができる。
【0011】
さらに、取付孔5が上方及び下方に開口されること(即ち、取付孔5が軸方向に貫通してなること)により、突部2を取付孔5に嵌合する際、取付孔5内部の空気を、圧縮させることなく、取付孔5の上端開口部から外部に確実に逃がすことができ、突部2への軟質部材4の取付作業が容易となる。
【0012】
[2]本願の第2の発明は、前記規制壁部3が、軸方向に延びる円筒状であり、前記規制壁部3の内周面と、前記突部2の外周面との間には、環状の空間が形成される(請求項2)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0013】
[3]本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記突部2の上端部の外径を前記軟質部材4の取付孔5の下端部の内径より小さく設定したこと(請求項3)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0014】
前記第3の発明の軟質部材の取付構造は、筒体1の突部2と軟質部材4の取付孔5とが完全に嵌合する前に、筒体1の突部2を上向き状態で、突部2の上端部と軟質部材4の取付孔5の下端部とを確実に仮挿入状態(仮差し状態)にすることができる。それにより、前記仮挿入状態から軟質部材4を下方に押圧することによって、軟質部材4を筒体1に適正に取り付けることができ、取付不良の発生を回避できる。
【0015】
[4]本願の第4の発明は、前記第3の発明において、前記突部2が、上端の小外径部21と、該小外径部21より下方に延設される大外径部22とを備え、前記小外径部21の外径を前記取付孔5の下端部の内径より小さく設定し、前記大外径部22の外径を前記取付孔5の下端部の内径より大きく設定したこと(請求項4)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0016】
前記第4の発明の軟質部材の取付構造は、前記小外径部21の外径を前記取付孔5の下端部の内径より小さく設定したことにより、突部2の上端部と取付孔5の下端部とが仮挿入可能(仮差しが可能)である。また、前記第4の発明の軟質部材の取付構造は、前記大外径部22の外径を前記取付孔5の下端部内径より大きく設定したことにより、大外径部22の外周面と取付孔5の下端部の内周面とを確実に嵌合させることができる。
【0017】
尚、前記第4の発明の構成以外にも、前記第3の発明において、取付孔が、下端の大内径部と、該大内径部より上方に延設される小内径部とを備え、前記大内径部の内径を突部の上端部の外径より大きく設定し、前記小内径部の内径を突部の上端部の外径より小さく設定した構成でもよい。
【0018】
]本願の第の発明は、前記第1乃至第の発明の何れにおいて、前記突部2の上端部に膨出部を設け、一方、前記取付孔5の内周面に係止壁部を設け、前記突部2の外周面と前記取付孔5の内周面とを嵌合させた際、前記膨出部が前記係止壁部に抜け止め係止されること(請求項)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0019】
前記第の発明の軟質部材の取付構造は、突部2に対する軟質部材4の確実な抜け止めがなされる。
【0020】
]本願の第の発明は、前記第1乃至第5のいずれかの発明において、前記弾性材料が、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーであること(請求項)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0021】
]本願の第の発明は、前記第1乃至第6のいずれかの発明において、前記軟質部材の大径部の上端部外周面に、凸曲面が形成されたこと(請求項)を要件とする。(図1及び図2参照)
【0022】
]本願の第8の発明は、前記第1乃至第の発明の何れかの軟質部材の取付構造を備え、熱変色性の筆跡を形成することを要件とする筆記具である(請求項)。
【0023】
]本願の第の発明は、前記突部及び前記規制壁部とともに、前記第1乃至第8の何れかの発明の軟質部材の取付構造を構成することを要件とする軟質部材である(請求項9)。
【発明の効果】
【0024】
本発明の軟質部材の取付構造及び筆記具によれば、突部を軟質部材の取付孔に嵌合させる際軟質部材が径方向外方に自由に膨出変形可能となるため、大きな押し込み力が不要となり、取付作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態において、軟質部材の取付孔と筒体の突部とが嵌合する前の状態を示す要部縦断面図である。
図2】本発明の実施の形態において、軟質部材の取付孔と筒体の突部とが完全に嵌合した状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図2に本発明の実施の形態を示す。
本実施の形態の軟質部材の取付構造は、上端部に突部2を備えた筒体1と、該筒体1の突部2に取り付けられる軟質部材4とからなる。
【0027】
・筒体
前記筒体1は、合成樹脂(例えばポリプロピレン、ポリカーボネイト)の射出成形により得られる。前記筒体1は、例えば、筆記具の軸筒、または軸筒のペン先側に着脱自在のキャップが挙げられる。前記筒体1の上端部には、軸方向上方に突出する突部2が一体に形成される。また、前記筒体1の上端部には、前記突部2の外周を包囲する筒状の規制壁部3が一体に形成される。前記突部2及び規制壁部3は、筒体1がキャップの場合には、キャップの閉塞端側に形成され、筒体1が軸筒の場合には、ペン先と反対側の端部(即ち軸筒の尾端)に形成される。尚、前記突部2、前記規制壁部3は、筒体1と一体に形成される構成以外に、別部品の取り付けにより構成することもできる。また、筒体1(筆記具のキャップ、または筆記具の軸筒)は、合成樹脂以外にも、金属により構成することもできる。
【0028】
・突部
前記突部2は、横断面円形状の軸方向に延びる棒状体であり、上端部に小外径部21が形成され、該小外径部21より大きい外径を有する大外径部22が該小外径部21より下方に形成される。
【0029】
・規制壁部
前記規制壁部3は、軸方向に延びる円筒状であり、前記規制壁部3の内周面と、前記突部2の外周面との間には、環状の空間が形成される。
【0030】
・軟質部材
軟質部材4は、横断面円形状を備える筒状体からなる。前記軟質部材4の外周面は、大径部41と、該大径部41の下方に一体に連設される小径部42と、該大径部41と小径部42との間(即ち大径部41の下端)に形成される段部43とからなる。前記軟質部材4の軸心には、軸方向に取付孔5が貫設される。前記軟質部材4の大径部41の上端部外周面には、凸曲面が形成される。
【0031】
前記軟質部材4は、弾性材料により一体に形成される。前記弾性材料は、例えば、合成ゴムや熱可塑性エラストマー等が挙げられる。本実施の形態では、前記軟質部材4は、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材が採用される
【0032】
・大径部
前記大径部41の下端の段部43が規制壁部3の上端に当接され、前記大径部41が規制壁部3の上端より上方に突出される。前記大径部41の最大外径は、規制壁部3の内径よりも大きく設定される。前記軟質部材4の大径部41の上端部外周面が、紙面等の被接触面に接触可能な接触面となる。
【0033】
・小径部
前記小径部42の外径は、前記規制壁部3の内周面の内径より小さく設定される。
【0034】
・取付孔
前記取付孔5の内径は、突部2の小外径部21の外径より僅かに大きく且つ突部2の大外径部22の外径より僅かに小さく設定される。前記取付孔5の内径は、軸方向に亘って同一外径を有する。
【0035】
・本実施の形態の作用
本実施の形態において、突部2が取付孔5に完全に嵌合する前において、図1に示すように、突部2を上向き状態にさせ、軟質部材4を筒体1の突部2の上方から落下させ、取付孔5の下端部に突部2の上端部(即ち小外径部21)を遊挿させ、突部2が取付孔5に仮挿入状態となる。このとき、突部2の大外径部22の上端と取付孔5の開口端(軟質部材4の下端)とが当接状態となる。
【0036】
その後、図2に示すように、さらに、突部2を軟質部材4の取付孔5に圧入し、突部2の大外径部22の外周面と取付孔5の内周面とを完全に嵌合させる。このとき、軟質部材4の大径部41の下端の段部43と、規制壁部3の上端とが当接される。また、このとき、大外径部22の外周面と取付孔5の内周面との嵌合により、軟質部材4の小径部42が径方向外方に膨出されるが、規制壁部3の内周面と膨出された小径部42の外周面とは、非接触状態にある。
【0037】
本実施の形態では、突部2の外周面と取付孔5の内周面とを嵌合させた際、段部43と規制壁部3の上端とが軸方向に当接することにより、取付孔5と突部2との軸方向の嵌合長さを、ばらつきなく一定に維持することができる。
【0038】
本実施の形態では、突部2の外周面と取付孔5の内周面とを嵌合させた際、小径部42の外周面と規制壁部3の内周面とが非接触状態にあること(突部2の外周面と取付孔5の内周面との嵌合のみによって、筒体1の上端部に軟質部材4を取り付けること)により、軟質部材4が径方向外方に自由に膨出変形可能であるため、大きな押し込み力が不要となり、取り付け作業が容易となる
【0039】
本実施の形態では、取付孔5の内径を突部2の小外径部21の外径より僅かに大きく設定したことにより、図1に示すように、筒体1の突部2と軟質部材4の取付孔5とが完全に嵌合する前に、筒体1の突部2を上向き状態で、突部2の上端部と軟質部材4の取付孔5の下端部とを仮挿入状態にすることができる。その結果、軟質部材4を突部2の上方より下方に落下させるだけで、確実に仮挿入状態とすることができ、軟質部材4の適正な取付が確実に得られる。
【0040】
本実施の形態では、取付孔5の内径を突部2の大外径部22の外径より僅かに小さく設定したことにより、大外径部22の外周面と取付孔5の下端部の内周面とを確実に嵌合させることができる。
【0041】
本実施の形態では、取付孔5が軸方向に貫通してなることにより、突部2を取付孔5に嵌合する際、取付孔5内部の空気を、圧縮させることなく確実に外部に逃がすことができ、突部2への軟質部材4の取付作業が容易となる。
【符号の説明】
【0042】
1 筒体
2 突部
21 小外径部
22 大外径部
3 規制壁部
4 軟質部材
41 大径部
42 小径部
43 段部
5 取付孔
図1
図2