(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1は商品販売処理装置であるPOS端末で、買物客が持ち込む商品についての商品販売処理を実行する。このPOS端末1の本体2が貨幣管理装置20上に装着され、その貨幣管理装置20が店舗のレジカウンタに載置される。
【0012】
POS端末1の本体2は、キーボード3、モードスイッチ4、カードリーダ5、タッチパネル式のオペレータ表示器6、客面表示器7、レシートやジャーナルをプリントするプリンタ8などを有する。さらに、バーコード読取用の手持式のスキャナ9が本体2から導出される。
【0013】
キーボード3は、預かり金額などを置数するための置数キー、1取引として販売登録された商品の合計出力を指示する小計キー、1取引の代金を現金決済することを宣言して当該取引の締めを指示する預/現計キー、置数データのクリアを指示するクリアキーなどを備える。モードスイッチ4は、「登録」,「点検」,「精算」,「設定」などの各種業務モードを選択するためのスイッチで、専用の鍵で操作される。カードリーダ5は、非現金決済に用いるカードが挿入されてスライド操作されることにより、そのカードに記録されているデータを読取る。オペレータ表示器6は、商品販売処理の実行に必要な各種処理画面を表示する。客面表示器7は、カラー写真やカラー動画によるコマーシャル情報、たとえば『いらっしゃいませ』などの顧客案内情報、取引明細(商品名、単価、個数)、取引結果(合計金額,預かり金額、釣り銭額)等を表示する。
【0014】
貨幣管理装置20は、硬貨釣銭機30、紙幣釣銭機40、および棒金ドロワ50を含む。
硬貨釣銭機30は、硬貨投入口31および硬貨排出トレイ32を正面側に備え、硬貨投入口31に投入される硬貨をその種類別(以下、金種別という)に分けて収容し、POS端末1から指定される額の硬貨をその収容している硬貨の中から抽出しそれを釣銭として硬貨排出トレイ32に払い出す。また、硬貨釣銭機30は、硬貨投入口31の隣り位置に、文字表示用の表示器(LCD)33、および複数の操作キーからなる操作部(操作手段)34を備える。複数の操作キーとして、硬貨回収キー釦、リセットキー釦、硬貨在高キー釦、スタートキー釦が配置されている。
【0015】
紙幣釣銭機40は、紙幣投入口41および紙幣排出口42をレジカウンタの係員と対峙する側に備え、紙幣投入口41に挿入される紙幣をその金種別に分けて収容し、POS端末1から指定される額の紙幣をその収容している紙幣の中から抽出しそれを釣銭として紙幣排出口42から払い出す。また、紙幣釣銭機40は、上面部に、文字表示用の表示器(LCD)43、および複数の操作キーからなる操作部(操作手段)44を備える。複数の操作キーとして、少なくとも紙幣回収キー釦、リセットキー釦、紙幣在高キー釦、スタートキー釦が配置されている。
【0016】
棒金ドロワ50は、硬貨釣銭機30に対する補充用の棒金を収容する。棒金は、一定枚数の硬貨を棒状に積層しそれをビニールや紙で包装したもので、硬貨釣銭機30が扱う硬貨の金種に対応する複数種のものが予め用意されている。
【0017】
制御回路を
図2に示す。
POS端末1は、CPU10、各種プログラム記憶用のROM11、データ記憶用のRAM12を構成要素とするコンピュータを含む。CPU10には、ROM11およびRAM12のほかに、アプリケーションプログラム記憶用のハードディスクドライブ(HDD)13、通信用インタフェース14,15、上記キーボード3、オペレータ表示器6、客面表示器7、プリンタ8、スキャナ9が接続される。通信用インタフェース14は、店舗内に敷設されたLAN60に接続される。通信用インタフェース15は、貨幣管理装置20に接続される。
【0018】
貨幣管理装置20は、CPU21、プログラム記憶用のROM22、データ記憶用のRAM23を構成要素とするコンピュータを含む。CPU21には、ROM22およびRAM23のほかに、通信用インタフェース
24、硬貨釣銭機30、紙幣釣銭機40、棒金ドロワ50が接続される。通信用インタフェース24は、POS端末1の通信用インタフェース15に接続される。
【0019】
硬貨釣銭機30は、表示器33および操作部34を有するほかに、硬貨投入口31に投入される硬貨をその金種ごとに選別して取込む選別機構301、この選別機構301が取込む硬貨を金種別に収納する収納部302、釣銭としての硬貨を硬貨排出トレイ32に払い出す出金機構303、硬貨投入口31に投入される硬貨を検知する入金センサ304、収納部302が収納した硬貨とその金種を1枚ずつ検知する収納センサ305、出金機構303が払い出す硬貨とその金種を1枚ずつ検知する出金センサ306などを有する。
【0020】
紙幣釣銭機40は、表示器43および操作部44を有するほかに、紙幣投入口41に挿入される紙幣をその金種ごとに選別して取込む選別機構401、この選別機構401が取込む紙幣を金種別に収納する収納部402、釣銭としての紙幣を紙幣排出口42から払い出す出金機構403、紙幣投入口41に挿入される紙幣を検知する入金センサ404、収納部402が収納した紙幣とその金種を1枚ずつ検知する収納センサ405、出金機構403が払い出す紙幣とその金種を1枚ずつ検知する出金センサ406、および回収部407などを有する。回収部407は、出金機構403が払い出そうとする紙幣に何らかの不良があることを出金センサ406が検知してその払い出しを中止する処置いわゆる出金リジェクトが生じた場合に、そのリジェクトの対象となった紙幣を出金機構403から回収して保持する。
【0021】
上記LAN60に複数のPOS端末1が接続され、これらPOS端末1ごとに1つの貨幣管理装置20が接続される。また、LAN60に、各POS端末1より上位の管理用端末としてストアサーバ70が接続される。ストアサーバ70は、店舗の管理室(バックヤードともいう)に設置され、各POS端末1および各貨幣管理装置20と共に商品販売処理システムを構成するもので、システム管理用の制御部としてCPU71を有する。このCPU71に、各種プログラム記憶用のROM72、データ記憶用のRAM73、表示部74、操作部75、通信用インタフェース76が接続される。通信用インタフェース76は、LAN60に接続される。
【0022】
そして、貨幣管理装置20のCPU21は、ROM22内のプログラムに基づく主要な機能として次の(1)〜(8)の手段を有する。
(1)POS端末1から払い出しが指示される額(買物客が支払う現金の額と販売金額との差額)の貨幣すなわち硬貨および紙幣を硬貨釣銭機30および紙幣釣銭機40において抽出し釣銭として払い出す第1制御手段。
【0023】
(2)硬貨または紙幣の投入および払い出しに伴い、硬貨釣銭機30が収納している硬貨の量(枚数)および額いわゆる在高(ありだか)を入金センサ304、収納センサ305、および出金センサ306の各検知結果に応じて種類別つまり金種別に検出し、かつ紙幣釣銭機40が収納している紙幣の量(枚数)および額いわゆる在高を入金センサ404、収納センサ405、および出金センサ406の各検知結果に応じて種類別つまり金種別に検出する検出手段。検出結果である在高は、検出ごとにRAM23に更新記憶する。硬貨の金種は、例えば1円・5円・10円・50円・100円・500円である。紙幣の金種は、例えば千円・二千円・五千円・万円である。
【0024】
(3)硬貨釣銭機30内の硬貨を扱う処理および紙幣釣銭機40内の紙幣を扱う処理のいずれかに異常たとえば搬送エラーや上記出金リジェクトが生じたとき、あるいは当該貨幣管理装置20の電源である商用交流電源に異常たとえば瞬時停電が生じたとき、上記検出済みの在高に誤りの可能性がある旨を報知する第1報知手段。この報知は、例えば、当該貨幣管理装置20と共に商品販売処理を実行するPOS端末1のオペレータ表示器6の表示により行う。搬送エラーとは、入金や出金に伴う硬貨や紙幣の搬送中に硬貨や紙幣が詰まったり、複数枚の硬貨や紙幣が重なり合った状態で搬送されるエラーのことである。
【0025】
(4)上記第1報知手段の報知に伴い、上記異常に関連する硬貨または紙幣の金種を判定する判定手段。具体的には、搬送エラーが発生した場合、その発生時を含む所定期間内に搬送対象であった硬貨または紙幣の金種を判定する。出金リジェクトが発生した場合は、その発生時を含む所定期間内に払い出し対象であった硬貨または紙幣の金種を判定する。商用交流電源に瞬時停電が発生した場合は、その発生時を含む所定期間内に搬送対象および払い出し対象であった硬貨または紙幣の金種を判定する。
【0026】
(5)所定の操作に応じて、上記判定手段で判定した金種をPOS端末1におけるオペレータ表示器6の表示により報知する第2報知手段。例えば、POS端末1におけるキーボード3の所定の操作に応じて、硬貨釣銭機30および紙幣釣銭機40に収納している全ての硬貨および貨幣の金種と量(枚数)をPOS端末1におけるオペレータ表示器6で一覧表示し、上記判定手段で判定した金種をその一覧表示に対するマーク表示の付加により報知する。
【0027】
(6)上記所定の操作に応じて、上記判定手段で判定した金種の硬貨または紙幣を硬貨釣銭機30または紙幣釣銭機40に収納している硬貨または紙幣の中から抽出して払い出す第2制御手段。
【0028】
(7)上記第1報知手段の報知に伴い、上記判定手段で判定した金種を硬貨釣銭機30における表示器33の表示により報知する第3報知手段。例えば、硬貨釣銭機30に収納している全ての硬貨の金種と量(枚数)を操作部34における硬貨在高キー釦の押圧操作ごとに1金種ずつ表示器33で順に表示し、上記判定手段で判定した金種をその表示器33の表示に対するマーク表示の付加により報知する。
【0029】
(8)上記第1報知手段の報知に伴い、上記判定手段で判定した金種を紙幣釣銭機40における表示器43の表示により報知する第4報知手段。例えば、紙幣釣銭機40に収納している全ての紙幣の金種と量(枚数)を操作部44における紙幣在高キー釦の押圧操作ごとに1金種ずつ表示器43で順に表示し、上記判定手段で判定した金種をその表示器43の表示に対するマーク表示の付加により報知する。
【0030】
つぎに、貨幣管理装置20のCPU21が実行する制御を
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、POS端末1および貨幣管理装置20による商品販売処理の実行中、
図4に示すように、買物客がレジカウンタに持ち込む商品を登録するための登録明細画面80がPOS端末1のオペレータ表示器6で表示される。
【0031】
貨幣管理装置20のCPU21は、硬貨釣銭機30内の硬貨を扱う処理および紙幣釣銭機40内の紙幣を扱う処理のいずれかに搬送エラーや出金リジェクトなどの異常が生じたとき、または当該貨幣管理装置20の電源である商用交流電源に瞬時停電などの異常が生じたとき(ステップ101のYES)、当該貨幣管理装置20で検出済みの在高に誤りの可能性がある旨をPOS端末1の表示により報知する。
【0032】
すなわち、CPU21は、在高に誤りの可能性がある旨の指標として、在高警告アイコン81,82,83のいずれかの画像パターンを、オペレータ表示器6で表示中の登録明細画面80の下部に表示する(ステップ102)。なお、在高警告アイコン81,82,83の表示による報知のことを在高違算予告ともいう。
【0033】
在高警告アイコン81は、硬貨釣銭機30の在高および紙幣釣銭機40の在高の両方に誤りの可能性がある旨を係員に知らせるためのものである。在高警告アイコン82は、硬貨釣銭機30の在高に誤りの可能性がある旨を係員に知らせるためのものである。在高警告アイコン83は、紙幣釣銭機40の在高に誤りの可能性がある旨を係員に知らせるためのものである。
【0034】
貨幣管理装置20のCPU21は、在高警告アイコン81,82,83のいずれかの表示に伴い、上記発生した異常に関連する硬貨または紙幣の金種を判定する(ステップ103)。例えば、異常が硬貨の搬送エラーであれば、その搬送エラーの発生時を含む所定期間内に搬送対象であった硬貨の金種を判定する。異常が紙幣の搬送エラーであれば、その搬送エラーの発生時を含む所定期間内に搬送対象であった紙幣の金種を判定する。異常が紙幣の出金リジェクトであれば、その出金リジェクトの発生時を含む所定期間内に払い出し対象であった紙幣の金種を判定する。異常が瞬時停電であれば、その瞬時停電の発生時を含む所定期間内に搬送対象および払い出し対象であった硬貨または紙幣の金種を判定する。
【0035】
在高警告アイコン81の表示を見た係員は、硬貨釣銭機30の在高および紙幣釣銭機40の在高の両方に誤りの可能性があることを察知する。在高警告アイコン82の表示を見た係員は、硬貨釣銭機30の在高に誤りの可能性があることを察知する。在高警告アイコン83の表示を見た係員は、紙幣釣銭機40の在高に誤りの可能性があることを察知する。そして、係員は、レジカウンタにやってくる買物客が途絶えたとき、あるいは閉店後やPOS端末1の稼働休止時など、所定の操作としてPOS端末1のキーボード3における予め定められた複数のキーを押圧操作し、これにより貨幣の回収モードを設定する。回収モードの設定方法については、店舗の管理室やレジカウンタに備え付けのマニュアル本等に記載される。
【0036】
貨幣管理装置20のCPU21は、回収モードの設定時(ステップ104のYES)、
図5に示す釣銭機在高点検画面90をPOS端末1のオペレータ表示器6で表示する。釣銭機在高点検画面90は、レジカウンタ番号および日付などの表示のほかに、釣銭機在高点検レポート画面91の表示を含む。
【0037】
釣銭機在高点検レポート画面91は、検出済みの在高をRAM23から読出して金種別に一覧表示したもので、上部から下部にかけて、まず硬貨釣銭機30の収納部302に収納している硬貨の金種・枚数・合計額を金種ごとに1行ずつ文字表示し、続いて紙幣釣銭機40の収納部402に収納している紙幣の金種・枚数・合計額を金種ごとに1行ずつ文字表示し、さらに紙幣釣銭機40の回収部407に保持しているリジェクト紙幣の金種・枚数・合計額を金種ごとに1行ずつ文字表示し、かつ棒金ドロワ50に収納している棒金の金種・本数・合計額を金種ごとに1行ずつ文字表示している。
【0038】
係員は、釣銭機在高点検レポート画面91を見ることにより、硬貨釣銭機30の収納部302に、1円硬貨…10枚(合計額10円)、5円硬貨…10枚(合計額50円)、10円硬貨…10枚(合計額100円)、50円硬貨…10枚(合計額500円)、100円硬貨…10枚(合計額1,000円)、500円硬貨…5枚(合計額2,500円)が収納されていることを認識できる。紙幣釣銭機40の収納部402に、千円紙幣…0枚(合計額0円)、二千円紙幣…0枚(合計額0円)、五千円紙幣…10枚(合計額50,000万円)、万円紙幣…10枚(合計額100,000円)が収納されていることを認識できる。紙幣釣銭機40の回収部407に、千円紙幣…0枚(合計額0円)、二千円紙幣…0枚(合計額0円)、五千円紙幣…10枚(合計額50,000万円)、万円紙幣…5枚(合計額50,000円)が保持されていることを認識できる。棒金ドロワ50に、1円棒金…0本(合計額0円)、5円棒金…0本(合計額0円)、10円棒金…0本(合計額0円)、50円棒金…0本(合計額0円)、100円棒金…0本(合計額0円)、500円棒金…0本(合計額0円)が収納されていることを認識できる。
【0039】
貨幣管理装置20のCPU21は、釣銭機在高点検レポート画面91の表示に際し、上記判定した金種をその釣銭機在高点検レポート画面91の一覧表示に対するマーク表示の付加により報知する。例えば、発生した異常に関連する貨幣が1円硬貨であれば、1円硬貨の表示行の先頭位置に“*”マークM1を表示する。異常に関連する貨幣が千円紙幣であれば、千円紙幣の表示行の先頭位置に“*”マークM2を表示する。
“*”マークM1は、異常に関連する貨幣の金種が“1円硬貨”であることを係員に知らせる指標となる。“*”マークM2は、異常に関連する貨幣の金種が“千円紙幣”であることを係員に知らせる指標となる。
【0040】
そして、貨幣管理装置20のCPU21は、釣銭機在高点検レポート画面91の表示に伴い、上記判定した金種の硬貨または紙幣を硬貨釣銭機30または紙幣釣銭機40に収納している硬貨または紙幣の中から抽出して払い出す(ステップ106;払い出し処理)。すなわち、CPU21は、硬貨釣銭機30の収納部302に収納している全ての金種の硬貨の中から、1円硬貨の全てを抽出し、それを硬貨排出トレイ32に一括的に払い出す。このとき、係員は、
図1に破線で示すように、回収袋10を硬貨排出トレイ32の下部に予めセットしておくことにより、払い出される硬貨を回収袋10にまとめて回収することができる。また、貨幣管理装置20のCPU21は、紙幣釣銭機40の収納部402に収納している全ての金種の紙幣の中から、千円紙幣の全てを抽出し、それを紙幣排出口42から一括的に払い出す。
【0041】
係員は、払い出される硬貨および紙幣を手元に回収し、回収した硬貨および紙幣の金種・枚数・状態を1枚ずつ自身の目で見て確認する。
【0042】
このとき、係員は、払い出される硬貨が1円硬貨であること、その1円硬貨の枚数が在高管理上は10枚であることを釣銭機在高点検レポート画面91および“*”マークM1の表示から把握する。そして、手元に回収した1円硬貨の枚数が表示どおりの10枚でない場合は、1円硬貨の在高に誤りがあることを認識する。手元に回収した1円硬貨の枚数が表示どおりの10枚であれば、1円硬貨の在高に誤りがないことを認識する。手元に回収した硬貨の中に1円硬貨と異なる金種たとえば5円硬貨や10円硬貨が混ざっていれば、1円硬貨の在高に誤りがあること、さらには5円硬貨や10円硬貨の在高にも誤りがあることを認識する。手元に回収した1円硬貨に汚損や変形などの不良硬貨が混ざっている場合は、その不良硬貨を取り除く作業を行う。
【0043】
また、係員は、払い出されるべき紙幣が千円紙幣であること、その千円紙幣の枚数が在高管理上は7枚であることを釣銭機在高点検レポート画面91および“*”マークM2の表示から把握する。そして、手元に回収した千円紙幣の枚数が表示どおりの7枚でない場合は、千円紙幣の在高に誤りがあることを認識する。手元に回収した千円紙幣の枚数が表示どおりの7枚であれば、千円紙幣の在高に誤りがないことを認識する。手元に回収した紙幣の中に千円紙幣と異なる金種たとえば5千円紙幣や万円紙幣が混ざっていれば、千円紙幣の在高に誤りがあること、さらには5千円紙幣や万円紙幣の在高にも誤りがあることを認識する。手元に回収した千円紙幣に汚損や破損などの不良紙幣が混ざっている場合は、その不良紙幣を取り除く作業を行う。
【0044】
こうして、硬貨および紙幣を1枚ずつ確認した係員は、手元に残る回収済み硬貨を硬貨釣銭機30の硬貨投入口31にまとめて投入するとともに、手元に残る回収済み紙幣を紙幣釣銭機40の紙幣投入口41にまとめて投入する。そして、係員は、全ての投入が完了したとき、POS端末1のキーボード3で投入完了の旨の操作を行う。
【0045】
貨幣管理装置20のCPU21は、回収モードの設定に応じた硬貨および紙幣の払い出しを行った後、硬貨投入口31に投入される硬貨および紙幣投入口41に投入される紙幣を受入れて収納部302,402にそれぞれ収納する(ステップ107;投入受入れ処理)。そして、貨幣管理装置20のCPU21は、投入完了の操作がなされたとき(ステップ108のYES)、収納部302に収納した硬貨の在高および収納部402に収納した紙幣の在高をそれぞれ金種別に検出し(ステップ109)、この検出結果をRAM23に更新記憶する(ステップ110)。
【0046】
さらに、貨幣管理装置20のCPU21は、検出結果の更新記憶に伴い、POS端末1のオペレータ表示器6で表示している在高警告アイコン81,82,83の表示を解除するとともに、回収モードを解除する(ステップ111)。この回収モードの解除により、釣銭機在高点検画面90の表示(在高点検レポート画面91および“*”マークM1,M2の表示を含む)も解除となる。
【0047】
以上のように、硬貨および紙幣を扱う処理に異常が生じると、検出済みの在高に誤りの可能性がある旨をPOS端末1のオペレータ表示器6における在高警告アイコン81,82,83の表示によって報知することにより、POS端末1および貨幣管理装置20を用いて商品販売処理を行う係員に対し、検出済みの在高に誤りの可能性があることを的確に知らせることができる。
【0048】
在高警告アイコン81,82,83の表示に気づいた係員によって回収モードが設定されると、検出済みの在高を釣銭機在高点検レポート画面91としてPOS端末1のオペレータ表示器6で一覧表示するので、検出済みの在高がどのようになっているかを係員に的確に知らせることができる。
【0049】
在高警告アイコン81,82,83の表示に伴い、異常に関連する硬貨または紙幣の金種を判定し、判定した金種が何であるかを釣銭機在高点検レポート画面91の一覧表示に対する“*”マークM1,M2の表示によって報知するので、どの金種の在高が怪しいかを係員に的確に知らせることができる。
【0050】
収納している硬貨および紙幣のうち、上記判定した金種の硬貨または紙幣のみ抽出して払い出すので、全ての硬貨および紙幣を払い出す場合に比べ、在高の確認に要する係員の手間を大幅に削減することができる。ひいては、確認作業に要する時間を短縮することができる。
【0051】
一方、貨幣管理装置20のCPU21は、在高警告アイコン81,82,83の表示に伴い、硬貨釣銭機30における操作部34の硬貨在高キー釦が押圧操作されるごとに、
図6に示すように、検出済みの在高をRAM23から1金種ずつ読出して硬貨釣銭機30の表示器33で順に表示する。
【0052】
すなわち、CPU21は、硬貨在高キー釦の1度目の押圧操作に応じて、表示器33で1円硬貨…10枚を表示する。硬貨在高キー釦の2度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を5円硬貨…10枚の表示に切替える。硬貨在高キー釦の3度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を10円硬貨…10枚の表示に切替える。硬貨在高キー釦の4度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を50円硬貨…10枚の表示に切替える。硬貨在高キー釦の5度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を100円硬貨…10枚の表示に切替える。硬貨在高キー釦の6度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を500円硬貨…10枚の表示に切替える。そして、硬貨在高キー釦の7度目の押圧操作に応じて、表示器33の表示を1度目の押圧操作時と同じ最初の表示に戻す。
【0053】
そして、貨幣管理装置20のCPU21は、異常に関連する硬貨の金種を表示器33の表示内容に対するマーク表示の付加により報知する。すなわち、CPU21は、1円硬貨…10枚の表示中に、“■”マークM3の表示を含める。これは、異常に関連する硬貨の金種が1円であることを係員に知らせる指標となる。
【0054】
また、貨幣管理装置20のCPU21は、在高警告アイコン81,82,83の表示に伴い、紙幣釣銭機40における操作部44の紙幣在高キー釦が押圧操作されるごとに、
図7に示すように、検出済みの在高をRAM23から1金種ずつ読出して紙幣釣銭機40の表示器43で順に表示する。
【0055】
すなわち、CPU21は、紙幣在高キー釦の1度目の押圧操作に応じて、キナイ・合計額207,000円・万円紙幣15枚・五千円紙幣10枚・二千円紙幣0枚・千円紙幣7枚を表示する。この表示は、紙幣釣銭機40の収納部402および回収部407における全ての金種の紙幣の在高を表わす。紙幣在高キー釦の2度目の押圧操作に応じて、表示器43の表示をスタッカ・合計額157,000円・万円紙幣10枚・五千円紙幣10枚・千円紙幣7枚・RJ1枚の表示に切替える。この表示は、紙幣釣銭機40の収納部402における全ての金種の紙幣の在高を表わすとともに、出金リジェクトが1枚発生してそれが回収部407に保持されていることを表わす。硬貨在高キー釦の3度目の押圧操作に応じて、表示器43の表示をスタッカ・合計額100,000円・万円紙幣10枚の表示に切替える。この表示は、紙幣釣銭機40の収納部402における万円紙幣の在高を表わす。硬貨在高キー釦の4度目の押圧操作に応じて、紙幣釣銭機40の表示器43の表示をスタッカ・合計額50,000円・五千円紙幣10枚の表示に切替える。この表示は、紙幣釣銭機40の収納部402における五千円紙幣の在高を表わす。硬貨在高キー釦の5度目の押圧操作に応じて、紙幣釣銭機40の表示器43の表示をスタッカ・合計額7,000円・千円紙幣7枚の表示に切替える。この表示は、紙幣釣銭機40の収納部402における千円紙幣の在高を表わす。そして、硬貨在高キー釦の6度目の押圧操作に応じて、表示器43の表示を最初の押圧操作時と同じ表示に戻す。
【0056】
そして、貨幣管理装置20のCPU21は、異常に関連する紙幣の金種を表示器43の表示内容に対するマーク表示の付加により報知する。例えば、最初の押圧操作時の表示中に、“■”マークM4の表示を含める。この“■”マークM4は、異常に関連する紙幣の金種が機内の全ての金種のいずれかであることを係員に知らせる指標となる。2度目の押圧操作による表示中に、“■”マークM5の表示を含める。この“■”マークM5は、異常に関連する紙幣の金種が万円・五千円・千円のいずれかであることを係員に知らせる指標となる。5度目の押圧操作による表示中に、“■”マークM6の表示を含める。この“■”マークM6は、異常に関連する紙幣の金種が千円であることを係員に知らせる指標となる。
【0057】
このように、検出済みの在高を硬貨釣銭機30の表示器33および紙幣釣銭機40の表示器43でもそれぞれ表示できることにより、たとえPOS端末1の稼働が休止または停止している場合でも、検出済みの在高を係員に知らせることができる。しかも、表示器33の表示および表示器43の表示は、異常に関連する硬貨および紙幣の金種を指し示す“■”マークの表示を含むので、たとえPOS端末1の稼働が休止または停止している場合でも、異常に関連する硬貨および紙幣の金種を係員に的確に知らせることができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、在高に誤りの可能性がある金種の硬貨または紙幣を一括して払い出す構成としたが、一括でなく、金種別に順次に払い出す構成としてもよい。在高に誤りの可能性がある金種が複数の場合、金種別に順次に払い出すほうが、係員による金種の仕分け作業が不要となるので、係員にかかる負担をさらに軽減することができる。この点を考慮し、在高に誤りの可能性がある金種が1つの場合は一括的な払い出しを行い、在高に誤りの可能性がある金種が複数の場合は金種ごとの順次の払い出しを行うようにしてもよい。
【0059】
その他、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 投入される貨幣を種類別に分けて収納し、指定される額の貨幣を前記収納している貨幣の中から抽出して払い出すとともに、その投入および払い出しに伴い貨幣の在高を検出する貨幣管理装置において、貨幣を扱う処理に異常が生じたとき、前記検出済みの在高に誤りの可能性がある旨を報知する報知手段と、前記異常に関連する貨幣の種類を判定する判定手段と、前記判定した種類の貨幣を前記収納している貨幣の中から抽出して払い出す制御手段と、を備えることを特徴とする貨幣管理装置。
[2]前記報知手段は、前記検出済みの在高に誤りの可能性がある旨を、当該装置と共に商品販売処理を実行する商品販売処理装置の表示により、報知する、ことを特徴とする付記[1]に記載の貨幣管理装置。
[3]前記収納している全ての貨幣の種類と量を前記商品販売処理装置の表示手段で一覧表示し、前記判定した種類の貨幣をその一覧表示に対するマーク表示の付加により報知する報知手段、をさらに備えることを特徴とする付記[2]に記載の貨幣管理装置。
[4]表示器と、操作手段と、前記収納している全ての貨幣の種類と量を前記操作手段の操作ごとに1種類ずつ前記表示器で順に表示するとともに、前記判定した種類の貨幣をその表示に対するマーク表示の付加により報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする付記[3]に記載の貨幣管理装置。
[5]前記貨幣は、硬貨および紙幣であり、投入される硬貨を金種別に分けて収納し、指定される額の硬貨を前記収納している硬貨および紙幣の中から抽出して払い出す硬貨釣銭機と、投入される紙幣を金種別に分けて収納し、指定される額の紙幣を前記収納している紙幣の中から抽出して払い出す紙幣釣銭機と、を含むことを特徴とする付記[1]乃至付記[4]のいずれかに記載の貨幣管理装置。
[6]コンピュータを含み、投入される貨幣を種類別に分けて収納し、指定される額の貨幣を前記収納している貨幣の中から抽出して払い出すとともに、その投入および払い出しに伴い貨幣の在高を検出する貨幣管理装置において、前記コンピュータを、貨幣を扱う処理に異常が生じたとき、前記検出済みの在高に誤りの可能性がある旨を報知する報知手段と、前記異常に関連する貨幣の種類を判定する判定手段と、前記判定した種類の貨幣を前記収納している貨幣の中から抽出して払い出す制御手段と、として機能させることを特徴とする貨幣管理装置のプログラム。