特許第5663559号(P5663559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許56635593−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]1H−インドールの合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663559
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]1H−インドールの合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/06 20060101AFI20150115BHJP
   A61K 31/404 20060101ALN20150115BHJP
   A61P 25/06 20060101ALN20150115BHJP
【FI】
   C07D403/06CSP
   !A61K31/404
   !A61P25/06
【請求項の数】39
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-506351(P2012-506351)
(86)(22)【出願日】2009年11月9日
(65)【公表番号】特表2012-524736(P2012-524736A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2009064850
(87)【国際公開番号】WO2010121673
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2012年9月18日
(31)【優先権主張番号】MI2009A000678
(32)【優先日】2009年4月22日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506399631
【氏名又は名称】エッフェ.イー.エッセ. ファブリカ イタリアーナ シンテーティチ エッセ.ペー.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】セラフィニ、 シロ
(72)【発明者】
【氏名】カステリン、 アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ダル サント、 クラウディオ
【審査官】 品川 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−516290(JP,A)
【文献】 特開2001−131146(JP,A)
【文献】 特表2006−528172(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/150500(WO,A1)
【文献】 特開平05−507288(JP,A)
【文献】 Green Chemistry,2001年,Vol.3,p.13-16
【文献】 IP. com Journal,2007年,Vol.7(4B),2 (No. IPCOM000149536D)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、エレトリプタン又はその塩を合成する方法:
a)ジカルボン酸を用いて化学式(6)の中間体を塩化し、誘導体塩を得るステップと、
【化1】
b)任意で、ステップa)に従って得られた前記塩を溶媒結晶化によって精製して、化学式(6)の中間体の精製した塩を得るステップと、
c)ステップa)に従った前記化学式(6)の中間体の塩、又はステップb)に従った前記精製した塩を、化学式(10)の中間体に転換するステップと、
【化2】
d)化学式(10)の中間体をエレトリプタン又はその塩に転換するステップ。
【請求項2】
中間体(6)を塩化してその後得られた塩を結晶化するための前記ステップa)及びb)は、有機溶媒中、又は水と水に混合可能な有機溶媒との混合物中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機溶媒はアルコールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、及びペンタノールの中から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒と水の混合物を使用する場合、混合物中の水は、10体積%〜20体積%の間の量で含まれる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒に対する粗製中間体(6)の重量/体積%の量は8%〜15%の間で変化する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ジカルボン酸は、粗製中間体(6)に対し化学量論量で、又は最大15%のモル過剰量で使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジカルボン酸はフマル酸又はシュウ酸である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップa)及びb)において、中間体(6)のイソプロパノール溶液を、シュウ酸又はフマル酸が溶解したイソプロパノール/水の溶液中に室温で滴下する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップa)及びb)において、シュウ酸またはフマル酸を、固体の形態で中間体(6)のエタノール溶液に添加する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ジカルボン酸はシュウ酸であり、中間体(6)のシュウ酸塩は、加熱下での再溶解と再沈殿を通じて水により再結晶化される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
水は、中間体(6)の体積/重量の量において、10:1で用いられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中間体(6)の精製した塩は、HPLC法によって確認される99%以上、又は99.5%以上の純度を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)又はステップb)に従って得られた中間体(6)の塩を、前記中間体(10)に転換する前記ステップc)は、インドールの窒素のアシル化、及びこれにより得られた中間体と、フェニルビニルスルホンとの、トリ−o−トリルホスフィン及び触媒Pd(Ac)の存在下でのヘック縮合によって行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記中間体(6)の塩は、中間体(6)の遊離塩基を遊離させるようにあらかじめ塩基性水溶液で処理され、かつ前記中間体(6)の遊離塩基を単離し、適切な溶媒に溶解し、有機塩基及びアシル化剤が添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒はジメチルホルムアミド又は別の双極性非プロトン性溶媒であり、前記アシル化剤は無水酢酸であり、前記塩基はトリエチルアミンであり、かつ70℃を超える温度、または100℃で、HPLC法で検出可能であるように、遊離塩基中間体(6)のアセチル化生成物への実質的に完全な転換を行うのに十分な時間で反応が行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アセチル化された中間体(6)は、シュウ酸塩に転換され、適切な溶媒を用いた結晶化及び可能な再結晶化により精製される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アセチル化された中間体(6)は、単離されることなく、Pd(Ac)、トリ−o−トリルホスフィン、フェニルビニルスルホン、及びトリエチルアミンを含む溶液に添加される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記試薬と中間体(6)のモル比は、フェニルビニルスルホンでは1:1であり、トリ−o−トリルホスフィンでは1:10であり、Pd(Ac)では0.5〜0.8:10である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記縮合反応は、70℃から溶媒の沸点までの間の温度で、反応が完了するのに十分な時間で実施される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
化学式(10)の中間体をエレトリプタン又はその塩に転換する前記ステップd)は、
d1)化学式(10)の中間体の脱アシル化反応、及び
d2)エレトリプタン又はその塩が得られるように、スルホン酸に近接する二重結合C=Cを還元することを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップd1)は、炭酸カリウムのメタノール溶液の存在下、又はトリアルキルアミンの存在下で実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップd2)は、接触水素化によって実施される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記脱アシル化された中間体(10)は、接触水素化に供される前に臭化水素酸で塩化され、この水素化反応の後に、エレトリプタン臭化水素酸塩を直接得る、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップd1)及び前記ステップd2)は、それぞれの中間体を単離することなく1つのステップで実施される、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記エレトリプタン遊離塩基を、エレトリプタンの重量に対し2重量%〜6重量%の量のシュウ酸のエタノール溶液で処理し、形成された固体を濾別し、及び濾液から光学的純度が100%のエレトリプタン遊離塩基を回収するステップをさらに含む、請求項1〜23に記載の方法。
【請求項27】
光学的に精製したエレトリプタン遊離塩基を臭化水素で処理して、光学的に精製したエレトリプタン臭化水素酸塩を得るステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
下記化学式で表わされ、
【化3】
前記HAはジカルボン酸である、化合物。
【請求項29】
前記HAはフマル酸又はシュウ酸である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
ジカルボン酸を用いた化学式(6)の中間体の塩化を含む、請求項28又は29に記載の化合物を調製するための方法。
【化4】
【請求項31】
エレトリプタン及びその塩の調製のための、請求項28又は29に記載の化合物の使用。
【請求項32】
エレトリプタン又はその塩を合成する方法であって、以下のステップを含み、ステップi)及びii)は、中間体(6)に関する請求項1〜27のいずれか1項の記載に従って行われる、方法。
i)ジカルボン酸を用いて化学式(8)の中間体を塩化し、誘導体塩を得るステップと、
【化5】
ii)任意で、ステップi)に従って得られた前記塩を溶媒結晶法により精製して、精製した化学式(8)の中間体の塩を得るステップと、
iii)ステップi)に従った前記化学式(8)の中間体の塩、又はステップii)に従った前記精製した塩を、化学式(10)の中間体に転換するステップと、
【化6】

iv)化学式(10)の中間体をエレトリプタン又はその塩に転換するステップ。
【請求項33】
誘導体塩がフマル酸又はシュウ酸の塩である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
【化10】
の化学式で表わされ、前記HAはジカルボン酸である、化合物。
【請求項35】
ジカルボン酸がフマル酸又はシュウ酸である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
ジカルボン酸を用いた化学式(8)の中間体の塩化を含む、請求項34または35の化合物を調製するための方法。
【化8】
【請求項37】
ジカルボン酸がフマル酸又はシュウ酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
エレトリプタン及びその塩を調製するための、請求項34または35に記載の化合物の使用。
【請求項39】
エレトリプタンの塩が、エレトリプタン臭化水素酸塩であり、
エレトリプタン臭化水素酸塩が、より高い融点のα型への転換に対して安定なβ安定型であって、吸湿性ではなく、針状結晶を含み、
エレトリプタン臭化水素酸塩は、PXRDパターンが5.4,10.7,12.6,13.0,15.4,17.3,17.9,18.9,19.9,22.3,23.3,24.5,27.5°2θのピークを有し、及び/又はDSC吸熱ピークが最大で155℃(20℃/分)であり、及び/又はヌジョール法におけるFT−IR吸収バンドが3240,2673,2528,1449,1409,1302,1293,1237,1152,1138,1122,1086,973,926,870,811,791,771,747,689,631cm−1であり、及び/又はFT−IR ATR吸収バンドが、3237,2941,2656,1479,1447,1432,1409,1302,1293,1237,1152,1122,1087,973,926,870,790,770,745,688cm−1であることによって特徴付けられる、
請求項1〜27又は32〜33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレトリプタンの名前で知られる、3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドール、又はその塩の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
臭化水素酸塩として現在市販されている3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドールすなわちエレトリプタンは、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT1B/1D)受容体のアゴニストであり、片頭痛の治療に使用される。
【0003】
このような分子の様々な合成の方法が知られているが、一般的に使用されているものの1つが、図1に示されるとおり、5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドールと、フェニルビニルスルホンとの間のヘック反応(ステップ4又は4b)により、1−(3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノン中間体を得る合成方法である。
【0004】
この反応は、反応環境中に存在する不純物に非常に敏感である、パラジウムベースの触媒を用いる。したがって、5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール中間体を、フェニルビニルスルホンと反応させる前に、十分に精製することが不可欠である。
【0005】
先行技術文献(欧州特許第0592438号,米国特許第5,545,644号及び米国特許第6,100,291号)において、5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール中間体の精製は、クロマトグラフィーカラムを用いて行われる。これは、ほとんど実験室内のみで実施できる方法であるが、いかなる場合でも高コストと長い処理時間を要し、さらに大量の溶媒を使用するため、環境的に推奨されない方法である。
【0006】
さらに、5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール中間体の結晶化(国際公開第2008/150500号、及び米国特許第5,545,644号)により得られる精製された中間体では、その含有率は98%を超えないことが知られている(HPLC解析により確認)。
【0007】
中間体のこれらの特性は、後続工程のために十分に純粋な生成物を得られるように、後続するヘック反応の理想的な実行を保証するのには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明が取り組む課題は、高純度の5−ブロモインドール中間体を介したエレトリプタンを合成する方法を提供することである。
【0009】
このような問題は、添付の特許請求の範囲に記載の方法により解決される。このクレームの規定は本明細書の一部を構成する。
【0010】
図面は、例示を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、先行技術の方法に従ったエレトリプタンの合成図を示す。
図2図2は、本発明の特定の態様に従ったエレトリプタンの合成図を示す。
図3図3は、本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩のPXRDパターンを示す(ブルカー社 AXS D8 Advance;CuKα,γ=1.5406Å 40kV、及び40mA 3秒/ステップ、0.02°/ステップ)。
図4図4は、本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩のDSCスペクトルを示す(メトラートレド社 DSC820;20℃/分)。
図5図5は、本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩のFT−IRスペクトルを示す(パーキンエルマー社;ヌジョールマル法)。
図6図6は、より狭い波長範囲に拡張した、本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩のFT−IRスペクトルを示す。
図7図7は、本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩のFT−IR ATRスペクトルを示す(パーキンエルマー社 FT−IR ATR Spectrum 100)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下のステップを含む、エレトリプタンを合成する方法に関する:
a)ジカルボン酸を用いて化学式6の中間体を塩化して、対応する塩を得るステップと、
【化1】
b)任意で、ステップa)に従って得られた前記塩を溶媒結晶化によって精製して、化学式6の中間体の精製した塩を得るステップと、
c)ステップa)に従った化学式6の中間体の前記塩、又はステップb)に従って精製した前記塩を、化学式10の中間体に転換するステップと、
【化2】
d)化学式10の中間体をエレトリプタン又はその塩に転換するステップ。
【0013】
一態様において、中間体6を塩化し、得られた塩を結晶化するためのステップa)及びb)は、有機溶媒中、又は水と水に混和性の有機溶媒との混合物中で実施される。好ましくは、有機溶媒はアルコールであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、及びペンタノールの中から選択されるアルコールである。特に好ましい態様において、アルコールはイソプロパノールである。
【0014】
有機溶媒と水との混合物が使用される場合、混合物中の水の量は、10体積%〜20体積%の間で含まれることが好ましい。
【0015】
好ましくは、溶媒に対する粗製中間体6の重量/体積%の量は、8%〜15%の間で変化し、一般には、使用する溶媒に応じて実験的に定められる。
【0016】
ジカルボン酸は、粗製中間体6に対し化学量論量で、又は最大15%のモル過剰量で用いられる。
【0017】
これに従って得られたものは、以下の化学式を有する化合物である。
【化3】
ここで、HAはジカルボン酸である。
【0018】
好ましいジカルボン酸は、フマル酸又はシュウ酸であり、より好ましくはシュウ酸である。
【0019】
一態様において、中間体6のイソプロパノール溶液を、シュウ酸又はフマル酸が溶解しているイソプロパノール/水の溶液中に、上記の量で室温で滴下する。
【0020】
異なる態様において、シュウ酸又はフマル酸を、固体の形態で中間体6のエタノール溶液に添加する。
【0021】
中間体6の塩の沈殿後、分離し、溶媒を用いて洗浄し、乾燥して、HPLC分析によって99%以上の純度が確認された中間体6の塩を得る。特定の態様において、中間体6のシュウ酸塩を、加熱下での水への再溶解及び再沈殿によって水で再結晶化し、洗浄及び乾燥することにより、HPLCによって99.5%以上の純度が確認された中間体6のシュウ酸塩が得られる。このような態様において、好ましくは水は、中間体6の体積/重量の量において、約10:1で使用するものとする。一態様において、中間体6の塩を中間体10に転換するステップc)は、インドールの窒素原子のアシル化、及びこれに続く、得られた中間体とフェニルビニルスルホンとのヘック縮合によって行われる。このような方法は、2つの分子を反応させるために、トリ−o−トリルホスフィン及び触媒Pd(Ac)の存在を必要とする。
【0022】
一態様において、中間体6の精製された塩は、塩基中間体6を遊離させるように、塩基性水溶液、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液を用いて処理される。これはその後単離され、適切な溶媒、好ましくはジメチルホルムアミド又は類似の双極性非プロトン性溶媒に溶解され、有機塩基及びアシル化剤で処理される。一態様において、無水酢酸及びトリエチルアミンが使用される。こうして、インドールの窒素はアセチル化される。反応は、70℃を超える温度、好ましくは約100℃で、遊離の塩基中間体6がアセチル化生成物(図2の分子8)に実質的に完全に転換するのに十分な時間に亘り行われる。これは、HPLC分析により確認することができる。
【0023】
好ましい態様において、得られたアセチル化中間体6は単離されてないが、適切な溶媒の溶液に添加される。溶媒は、好ましくはアシル化工程において使用されたのと同じ溶媒であり、Pd(Ac)、トリ−o−トリルホスフィン、フェニルビニルスルホン、及びトリエチルアミンを含む。
【0024】
前記試薬と中間体6とのモル比は、ヘック反応の従来の化学量論によって決められ、例えば約1:1のフェニルビニルスルホン/中間体6の比、約1:10のトリ−o−トリルホスフィン/中間体6の比、及び0.5〜0.8:10のPd(Ac)/中間体6の比とすることができる。このようなモル比は、当業者の管理下で、反応の進行を妨げることなく、所定の範囲内で変更することができることは明らかである。縮合反応は、70℃と溶媒の沸点との間の温度で、反応を完了するのに十分な時間で、好ましくは実行される。
【0025】
一態様において、得られた化学式10の中間体を、エレトリプタン又はその塩に転換するステップd)は、
d1)化学式10の中間体の脱アシル化反応、及び
d2)エレトリプタン又はその塩を得るように行われるスルホン基に隣接するC=C二重結合の還元
を含む。
【0026】
一態様において、ステップd1)は塩基との反応によって実施される。好ましくは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、又はトリアルキルアミンのアルコール溶液が使用される。例えば、反応は、炭酸カリウム又はジメチルエチルアミンのメタノール溶液の存在下で実施され得る。
【0027】
一態様において、ステップd2)は接触水素化によって実施され、例えば触媒Pd/Cの存在下で実施される。
【0028】
一態様において、脱アシル化された中間体10は、接触水素化に供する前に臭化水素酸で塩化され、上記の水素化反応の後に、エレトリプタン臭化水素酸塩が直接得られる。
【0029】
好ましい一態様において、ステップd1)及びステップd2)は1つのステップにおいて、すなわち、それぞれの中間体を単離することなく、実施される。
【0030】
化学式6の中間体は、例えば図2に示す合成図に従って調製される。すなわち、プロリンのカルボキシル基の活性化の後、R−ベンジルオキシカルボニルプロリンと5−ブロモインドールとの縮合、及びこれに続く、例えば水素化アルミニウムリチウムを用いた還元による、ベンジルオキシカルボニル保護基の脱離が行われる。さらに実施例として、使用した方法の詳細を、実施例1、2及び3に示す。本発明の方法の変更に従って、アセチル化された化学式8の中間体も、塩、特にフマル酸塩又はシュウ酸塩の形成、及びこれに続く結晶化によって精製される。中間体(8)のシュウ酸塩は、化学式6の中間体に関して、上記したように、結晶化することが可能である。
【0031】
一態様に従って、本発明の方法は、塩化して中間体6を場合により精製するステップa)及びb)を省略し、代わりに、中間体8を塩化し、得られた塩を場合により精製する方法に置き換えてもよい。
【0032】
上記で得られたものは、化学式
【化4】
の中間体であり、ここで、HAは、ジカルボン酸、好ましくはフマル酸又はシュウ酸である。
【0033】
従って、方法は以下のステップを含むものとする。
i)ジカルボン酸を用いて化学式8の中間体を塩化して、誘導体塩、好ましくはフマル酸又はシュウ酸の塩を得るステップ、
【化5】
ii)任意で、ステップi)に従って得られた前記塩を溶媒結晶化により精製し、精製した化学式8の中間体の塩を得るステップ、
iii)ステップi)に従った化学式8の中間体の前記塩、又はステップii)に従った前記精製した塩を、化学式10の中間体に転換するステップ、及び
【化6】
iv)化学式10の中間体をエレプトリタン又はその塩に転換するステップ。
【0034】
中間体8の塩化及び、任意で行われるこれの結晶化と再結晶化による精製は、化学式6の中間体に関して記載したと同様の方法によって実施されるため、繰り返して記載しないものとする。
【0035】
一態様において、エレトリプタンの光学的純度は、エレトリプタン遊離塩基をエタノールに溶解し、及びこれをエレトリプタンの重量に対し2重量%〜6重量%の量のシュウ酸で処理することによって、実質的に100%の光学的純度まで増加させることができる。この方法は、エレトリプタンシュウ酸塩(S体で濃縮)を沈殿させ、一方で、主たる異性体(R異性体)は溶液中に残る。
【0036】
光学的に精製したエレトリプタン遊離塩基の溶液は、次にこれを臭化水素酸で処理し、得られた塩を結晶化することによって、エレトリプタン臭化水素酸塩に転換することができる。
【0037】
これにより、本発明のさらなる目的は、上記で定義した方法であり、前記エレトリプタン遊離塩基を、エレトリプタンに対し2重量%〜6重量%の量のシュウ酸のエタノール溶液で処理し、任意で活性炭を添加し、形成された固体を濾別し、濾液から光学的純度が約100%のエレトリプタン遊離塩基を回収し、任意で、前記光学的に精製されたエレトリプタン遊離塩基を臭化水素酸塩に転換するステップをさらに含む。
【0038】
驚くことに、本発明の方法により、エレトリプタン臭化水素酸塩が、安定であり、且つ吸湿性でない単変性β型多形体として得られることが分かった。本発明のエレトリプタン臭化水素酸塩のβ安定型多形体は、針状結晶を含む。
【0039】
エレトリプタン臭化水素酸塩のβ型は知られており、かつファイザーの名義で米国特許第6,110,940号に開示された。しかしながら、この特許において、β型のエレトリプタン臭化水素酸塩は安定ではなく、かつ高い融点を有するα型に転換されることが報告されている。β型のα型への転換は、含水アセトン中で実施される。後の欧州特許第1135381B1号公報において、ファイザーはβ型エレトリプタン臭化水素酸塩の不安定性を確認している。国際公開第2008/137134号において、Teva phaemaceutical USAは、イソブタノール、酢酸メチル、THFと水との混合物、シクロヘキサンなどの有機溶媒中でのスラリー化による、β型からα型への転換方法を記載している。さらに、α型は、β型を50℃、真空下で24時間単純に加熱することにより製造される。同文献においては、THF/水、若しくは酢酸エチル/水、若しくはMIBK中で80℃、又はエチレングリコール中で25℃でスラリー化することにより、β型をアモルファスへと転換する方法も記載されている。
【0040】
上記の方法によって調製されたエレトリプタン臭化水素酸塩の単変性β型は、大変安定であるばかりでなく、吸湿性でも無いことが、本出願の発明者によって確認されている。いかなる理論に縛られること無く、本発明の方法で得られる結果は、ファイザー及びTevaが報告したβ型の不安定性に関与し得る、現実に知られていない検出不可能な不純物を含まないエレトリプタン塩を得るためのものと考えられる。ファイザー及びTevaにより記載されたエレトリプタン臭化水素酸塩β型の調製方法は、本発明の方法とは異なる。何故なら、例えば、分子11の水素化は、臭化水素酸塩の代わりにメシル酸塩で実施されるからである。本発明の方法は、メタンスルホン酸エステル及びカウンターイオン交換に関与する、遺伝毒性のある不純物の潜在的な形成を回避する。
【0041】
図3〜7は、本発明の方法で得られたエレトリプタン臭化水素酸塩β安定型のスペクトルデータ及びPXRDパターン、DSC曲線及びFT−IRスペクトルを示す。
【0042】
本発明において得られたエレトリプタン臭化水素酸塩β安定型は、PXRDパターンのピークが5.4,10.7,12.6,13.0,15.4,17.3,17.9,18.9,19.9,22.3,23.3,24.5,27.5°/2θであり;DSC吸熱ピーク最大が155℃(20℃/分)であり;ヌジョール法におけるFT−IR吸収帯が3240,2673,2528,1449,1409,1302,1293,1237,1152,1138,1122,1086,973,926,870,811,791,771,747,689,631cm−1であり;FT−IR ATR吸収帯が3237,2941,2656,1479,1447,1432,1409,1302,1293,1237,1152,1122,1087,973,926,870,790,770,745,688cm−1であることによって特徴付けられる。
【0043】
下記の実施例18は、本発明に従ったエレトリプタン臭化水素酸塩β安定型について実施されたいくつかの試験を示し、生成物は試験した全ての条件で安定であることを示し、これにはβ型から他の型への転換について先行技術文献に記載された条件も含まれる。
【0044】
下記の実施例19は、本発明に従ったエレトリプタン臭化水素酸塩β安定型の吸湿性試験を示し、生成物が吸湿性でないことを示す。
【実施例】
【0045】
実施例1(図2の分子02)
ベンジル(2R)−2−(クロロカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレート
40mLのトルエンと40mLの塩化オキサリルとを含む混合物を、トルエン200mL及びDMF0.5mL中に、100gの1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−D−プロリンを含む溶液に、室温で30分間かけて添加した。20〜25℃で2時間攪拌後、HPLCは完全な転換を示した。反応混合物をオイルで真空下、約40℃で濃縮し、トルエンに再溶解し、再濃縮することにより122.1gの残留物を得た。20〜25℃で、残留物を100.00mLのTHFに溶解し、この溶液を実施例2で使用した。
【0046】
実施例2(図2の分子05)
ベンジル(2R)−2−[(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)カルボニル]ピロリジン−1−カルボキシレート
290.00mLの塩化メチルマグネシウム(THFで3M)溶液を、MTBE1200mL及びTHF400mL中に、157.3gの5−ブロモ−1H−インドールを含む溶液に、室温で45分間かけて添加した。短時間の攪拌後、実施例1で得られた溶液を、3〜17℃で素早く添加した。20℃で30分間攪拌した後、800mLの10%クエン酸水溶液を反応混合物にゆっくり添加し、pH3の2つの溶解相を得た。中間層を濾過した後、下部の水相を分離し廃棄した。上部の水相を、200mLの10%クエン酸溶液及び200mLの塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、真空下で濃縮して残留物を得た。800mLのMTBEを添加した後、得られた懸濁液を還流させながら60分間加熱して、水を蒸留して取り除いた。反応混合物を20〜25℃に冷却し、2時間の攪拌後、濾過した。生成物を200mLのMTBEで部分に分けて洗浄し、乾燥させて、HPLC分析で99.4%、カールフィッシャー法で0.47%の、109.6gの標題の化合物を得た。
【0047】
実施例3(図2の分子06)
5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール
THF820mL中に、205gのベンジル(2R)−2−[(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)カルボニル]ピロリジン−1−カルボキシレートを含む溶液を、60℃で30分間かけて、307.5mLのTHF及び479.2mLの10%LiAlHを含むフラスコ中に滴下した。3時間の還流後、対照HPLCが反応の完了を示し、反応混合物を20〜25℃に冷却した。この温度において、20.5mLの水と82mLのTHFとを含む混合物を、約15分間かけて滴下した。その後、別の20.5mLの水を約15分間、続いて41mLの15%NaOHを約15分間、最後に別の123mLの水を15分間かけて、それぞれ添加した。30分間の攪拌後、塩を濾過し、ケーキを410mLのイソプロパノールで洗浄した。反応混合物(HPLC分析で65.3%)を濃縮して、残留物として、165.3gのオイルを得た。この残留物を410mLのイソプロパノールで希釈し、シュウ酸塩を得るために使用した。
【0048】
実施例4(図2の分子07)
粗製5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドールエタンジオエート
実施例3で得られた溶液の半分を、666.2mLのイソプロパノール、153.5mLの水、及び21.6gのシュウ酸を含むフラスコ内に、室温での攪拌下で2時間かけて滴下した。20〜25℃で2時間の攪拌後、得られた結晶を濾過し、103mLのイソプロパノールで洗浄した。50℃で乾燥後、生成物は67.2g(HPLC純度96.5%)であった。
【0049】
実施例5(分子07)
純粋5−ブロモ−3−{[2R]−1−メチルピロリジン−2−イル}メチル}−1H−インドールエタンジオエート
実施例4で得られた粗製生成物を別の粗製生成物と合わせて合計244g(HPLC平均分析96.4%)としたものを、還流下で2440mLの水に溶解し、12.2gの活性炭と共に加熱処理し、加熱下で濾過し、約40分かけて0℃まで冷却した。0℃で1時間の攪拌後、結晶性生成物を濾過し、244mLの水で洗浄し、乾燥後、HPLC分析で99.5%、カールフィッシャー法で0.14%の、199gのシュウ酸塩分子7を得た。
【0050】
実施例6(分子07)
5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドールエタンジオエート
10gの5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール(微量のトルエンを含むオイル状のもの、HPLC純度98.3%)の20mLイソプロパノール溶液を、65mLのイソプロパノール、15mLの水、及び3.4gの無水シュウ酸を含む溶液に、20〜25℃で約2時間かけて滴下した。20〜25℃で2時間攪拌後、反応混合物を濾過し、結晶性生成物を80℃で乾燥させて、8.72g(カールフィッシャー法で0.09%、HPLC純度99.6%)を得た。生成物(シュウ酸塩分子07)は192.5℃(DSC10°/分)の融点、H−NMR(DMSO−d)スペクトル:δ11.30(br s,1H),7.81(br d,1H),7.37−7.33(m,2H),7.21(dd,j=1.9Hz及び8.7Hz,1H),3.64−3.48(m,2H),3.32(dd,j=14Hz及び4.9Hz,1H),3.11−3.00(m,1H),2.96−2.85(m,1H),2.83(s,3H),2.04−1.84(m,3H),1.80−1.67(m,1H)、及び、シュウ酸との1:1の化学量論に相当するNaOHの力価を有する。
【0051】
実施例7(フマル酸塩分子07)
5−ブロモ−3−{[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール(2E)but−2−エンジオエート
3.46gのフマル酸を、8.75gの粗製5−ブロモ−3−{[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール(HPLC分析で64.9%)の43.75mLエタノール溶液に添加した。2時間攪拌した後、反応混合物を濾過し、1/1の比の10mLのエタノール/ヘプタンで洗浄し、結晶を真空下のオーブン内で、7.1g(HPLC純度91.7%)の一定重量が得られるまで乾燥させた。
【0052】
実施例8(フマル酸塩分子07)
5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール(2E)but−2−エンジオエート
10gの5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール(微量のトルエンを含むオイルとして、HPLC純度98.3%)の20mLイソプロパノール溶液を、65mLのイソプロパノール、15mLの水、及び4.4gの無水フマル酸を含む溶液中に、30〜35℃で約2時間かけて滴下した。20〜25℃で2時間攪拌後、反応混合物を濾過し、結晶性生成物を80℃で乾燥させて、7.12g(カールフィッシャー法で0.08%、HPLC純度99.4%)を得た。母液を−15℃に冷却することによって、1.23g(カールフィッシャー法で0.17%、HPLC純度99.0%)をさらに得た。生成物(分子7のフマル酸塩)は、199.4℃(DSC10°/分)の融点、H−NMR(DMSO−d)スペクトル:δ11.18(br sr,1H),7.75(d,j=1.9Hz,1H),7.3(d,j=8.6Hz,1H),7.3(d,j=2,3Hz,1H),7.18(dd,j=1.9Hz及び8.6Hz,1H),6.54(s,2H),3.41−3.31(m,1H),3.21(dd,j=14Hz及び4.5Hz,1H),3.13−3.02(m,1H),2.8−2.65(m,2H),2.62(s,3H),1.92−1.72(m,3H),1.70−1.56(m,1H)、及びフマル酸との1:1の化学量論に相当するNaOHの力価を有する。
【0053】
実施例9(分子10)
1−(3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノン
570グラムの5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドールエタンジオエート、4360mLのトルエン、4360mLの水、及び436mLの50重量%KOH水溶液の混合物を、反応器に入れ、21〜25℃で15分間攪拌し、デカント後、下部の水相を廃棄し、有機相を436mLの水で洗浄し、濃縮して、残留物として512gのオイルを得た。この残留物を349mLのジメチルホルムアミドに溶解し、その後289mLのトリエチルアミン及び196mLの無水酢酸を添加した。反応混合物を100℃で4時間、攪拌下で加熱した結果、HPLC対照は、アセチル化化合物への完全な転換を示した。959mLの脱気したDMF、20.7gの酢酸パラジウム、及び56.7gのトリ−o−トリルホスフィンを、別のフラスコに添加した。30分間の攪拌後、313gのフェニルビニルスルホン、436mLのトリエチルアミン、及び先に調製したアセチル化化合物の溶液を添加した。5時間還流(約115℃)させ、続いて50℃に冷却した後、反応混合物を、55℃の、2550mLの酢酸イソプロピル及び436mLの水を含む反応器内に添加した。44gの活性炭を添加し、1時間の攪拌後、反応混合物を、カートリッジで濾過し、939mLの酢酸イソプロピルで洗浄した。別の500mLの酢酸イソプロピルをカートリッジの洗浄に使用し、続いて真空下で蒸留して体積を戻した。3489mLの水を、20〜23℃で、1時間かけて添加し、約16時間攪拌しながら放置した。その後、反応混合物を濾過し、粗製生成物を1310mLの水で洗浄し、460.3g(カールフィッシャー法で6.9%、HPLC純度97.0%)の重量になるまで、35℃で乾燥した。
【0054】
実施例10(分子08のシュウ酸塩)
1−(5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール−1−イル)エタノンエタンジオエート
実施例9と同様の方法で得られたアセチル化化合物(14.2gの粗製オイル、純度約93%、トルエンを含む)を14.2mLのエタノールに溶解し、3.79gの無水シュウ酸の47.3mLのエタノール溶液に滴下した。結晶化の後、生成物を濾過し、エタノールで洗浄し、乾燥して、純度99.5%の1−(5−ブロモ−3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−1H−インドール−1−イル)エタノンエタンジオエート9.0gを得た。生成物(分子8のシュウ酸塩)は、150℃(DSC10°/分)の融点、H−NMR(DMSO−d)スペクトル:δ8.27(d,j=8.8Hz,1H),7.93(br d,j=1.9Hz,1H),7.89(s,1H),7.51(dd,j=1.9Hz及び8.8Hz,1H),3.67−3.53(m,2H),3.33(br dd,j=13.9Hz及び4.7Hz,1H),3.12−3.00(m,1H),2.98−2.88(m,1H),2.86(s,3H),2.64(s,3H),2.12−1.86(m,3H),1.82−1.69(m,1H)、及びシュウ酸との1:1の化学量論に相当するNaOHの力価を有する。
【0055】
実施例11(分子10)
1−(3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノン
精製のために、実施例9で得られた生成物160gをアセトンに溶解し、400gのシリカゲルが充填されたカラム内に入れ、4リットルのアセトン/トリエチルアミン(比率99:1)で溶出した。生成物を含む画分を濃縮した後、143.3gの生成物を得た。このうち130gを、390mLのアセトンに溶解し、520mLの水をゆっくり添加して再沈殿させた。20〜25℃で2時間後、生成物を濾過し、一定重量に達するまで35℃で乾燥し、134.8g(カールフィッシャー法で0.54%、HPLC純度99.1%)を得た。
【0056】
実施例12(分子10)
1−(3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノン
精製のために、実施例9で得られた生成物160gをアセトンに溶解し、400gのシリカゲルを充填したカラム内に入れ、4リットルのアセトン/トリエチルアミン(比率99:1)で溶出した。生成物を含む画分を濃縮した後、142.6gの生成物を得た。このうち、120gを623mLのトルエンに溶解し、5gの脱色炭で処理した後、623mLのヘプタンをゆっくり添加して再沈殿させた。20〜25℃でその週末が過ぎた後、生成物を濾過し、一定重量に達するまで35℃で乾燥し、105.6g(カールフィッシャー法で0.27%、HPLC純度98.6%)を得た。
【0057】
実施例13(分子10)
1−(3{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノン
精製のために、実施例9と同様の方法で得られた粗製生成物121gを、484mLのトルエン及び484mLのヘプタンで希釈した。処理及びこれに続く脱色炭6gを用いた熱濾過後、484mLのヘプタンを、20〜25℃で1時間かけて添加した。20〜25℃で2時間後、生成物を濾過し、一定重量に達するまで35℃で乾燥し、110.2gを得た(カールフィッシャー法で0.23%、HPLC純度99.0%)。
【0058】
実施例14(分子13)
3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドール臭化水素酸塩(エレトリプタン臭化水素酸塩)
水5.6mL中に2.8gの炭酸カリウムを含む溶液を、222mLメタノール中に55.6gの1−(3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドール−1−イル)エタノンを含む溶液の混合物を含むフラスコ中に、滴下した。20分後、HPLCにより3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[(E)−2−(フェニルスルホニル)エテニル]−1H−インドールへの定量的な転換が示された。そこで333mLの水を添加した後、溶媒を残留物が277mLになるまで真空下で蒸発させ、278mLのメチルテトラヒドロフランを攪拌下で添加し、2つの透明な相を形成した。分離後、水相を83mLのメチルテトラヒドロフランで再抽出し、再混合させた有機相を138mLの水で洗浄した。濃縮して残留物を得た後(50.4gのオイル、HPLC純度99.1%を得た)、350mLのアセトン及び100mLの水を添加した。活性炭で処理後、10mLの62%臭化水素酸水溶液を、pH1.5になるまでゆっくり添加した。炭で処理後、18.5gの5%パラジウム炭素(湿度50%)を触媒として2回に分けて添加し、20℃の、その後50℃のオートクレーブ内で、反応混合物を水素化した。反応の完了後、触媒を濾過した後、反応混合物を濃縮して残留物を得、約16時間攪拌させながら、500mLのアセトンで希釈した。生成物を濾過し、一定重量に達するまで40℃で乾燥して、38.5g(カールフィッシャー法で0.19%、HPLC純度99.6%)を得た。
【0059】
実施例15(分子13)
3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドール臭化水素酸塩(エレトリプタン臭化水素酸塩)
アセチル誘導体(分子10)を有機アミンで加水分解することにより、実施例14の調製を再び行った。
【0060】
3gの分子10を12mlのメタノールに溶解し、その後1.58mlのジメチルエチルアミンを一滴ずつ添加した。室温で1時間攪拌し、5時間還流させた後、反応混合物を濃縮し、15mlのメタノールに再溶解し、この操作を再度繰り返した。残留物を27mlのメタノールに溶解し、0.54mlの60%HBr水溶液を一滴ずつ添加した。2時間後、結晶化した生成物を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、99.8%の純度の2.3gの分子12を得た。この中間体は、実施例14に開示する水素化に供することができる。
【0061】
実施例16(分子13)
3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドール臭化水素酸塩(エレトリプタン臭化水素酸塩)
5ml水中に2.5gの無水炭酸カリウムを含む溶液を、200mlエタノール中に50gの分子10を含む溶液に、15分間かけて滴加した。反応は、20〜25℃で攪拌しながら実施し、HPLCでモニターした。出発化合物の量が0.5%未満となったら、5mlの酢酸を添加して反応混合物をpH8にし、脱色炭で処理した。ほとんどの溶媒が蒸発した後、300mlの水を加え、残留物が250mLとなるように、溶媒を再度蒸発させた。メチルテトラヒドロフラン(250ml)を添加し、混合物のpHを6mlの30%NaOH水溶液で、約12にした。相を互いに分離し、水相を75mlのメチルテトラヒドロフランで抽出した。有機相を回収し、水で洗浄した。得られた有機相を50℃の真空下で濃縮し、46.8gの分子11をオイルとして得た。
【0062】
このオイルを450mlのメタノールに溶解し、pH1.5に達するまで9mlの62%HBr水溶液を滴下して、分子12を得た。20〜25℃で1時間攪拌後、16.25gの5%Pd/C(湿度50%)を懸濁液に添加し、反応混合物を、5atmの水素及び20〜25℃で、オートクレーブ中で水素化した。出発化合物の量が0.5%未満となるまで、反応をHPLCでモニターし、その後触媒を濾別し、混合物を真空下でオイルへと濃縮した。残留物を135mlのイソプロパノールに溶解し、再度真空下で、オイルへと濃縮した。残留物を450mlのイソプロパノールで希釈し、還流下で30分間加熱した。さらに200mlのイソプロパノールを添加し、混合物を活性炭で濾過し、当初の体積まで濃縮した。
【0063】
温度を徐々に20〜25℃にし、その後懸濁液を20〜25℃で攪拌し、濾過し、45mlのイソプロパノールで洗浄した。固体を乾燥させて、37.9gの未精製の分子13を得た。収率は69.1%であり、HPLC純度は99.7%であった。
【0064】
粗分子13(70g)を168mlのアセトン及び672mlのイソプロパノールで希釈した。得られた混合物を溶解するまで還流下で加熱し、脱色炭で処理し、溶媒を除去した。残留物を154mlのアセトン及び616mlのイソプロパノールで希釈し、その後1時間かけて10℃まで冷却し、少なくとも2時間、10℃で攪拌した。固体を濾過し、140mlのイソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、結晶化収率が88%、HPLC純度が99.7%の、61.6gのエレトリプタン臭化水素酸塩を得た。
【0065】
実施例17(分子13)
3−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−5−[2−(フェニルスルホニル)エチル]−1H−インドール(エレトリプタン)の光学的精製
71gのエレトリプタン臭化水素酸塩(91%のR型と9%のS型のエナンチオマー純度を有する)を、355mLのCHCl及び約190mLの2%NaOH水溶液で処理した。pHを12に調整し、その後水相を分離して、106mLのCHClで抽出した。2つの有機相を混合し、106mLの水で洗浄した。脱色炭及び硫酸ナトリウムで処理した後、溶媒をロータリーエバポレータで除去し、オイルとして56.3gのエレトリプタン遊離塩基を得た。
【0066】
91%のR型、及び9%のS型のエナンチオマー純度を有する、53gのエレトリプタン遊離塩基を、530mlのエタノールに溶解し、エタノール265ml中に2.5gの無水シュウ酸を含む溶液を滴下して添加した。反応混合物を室温で一晩保ち、その後濾過して固体(S−エナンチオマーに富んだエレトリプタンシュウ酸塩)を分離した。濾過物を2gの炭素で処理して、濾過し、濃縮して乾燥させ、31.3gの、R型が100%のエレトリプタン遊離塩基を得た。
【0067】
任意に、このようにして得られた生成物を、300mlの塩化メチレン及び100mlの水に溶解し、10%KOH水溶液を添加して、pHを12にする。水相を分離する一方で、有機相を濃縮することにより、29.6gの残留物が得られる。この残留物を592mlのイソプロパノールに溶解し、5.8mlの62%臭化水素酸水溶液を添加して、最終のpHを2.5とする。臭化水素酸塩を結晶化する。攪拌下で2時間後、これを濾過して、60mlのイソプロパノールで洗浄する。乾燥後、R型が100%の、29.8gのエレトリプタン臭化水素酸塩が得られる。
【0068】
実施例18
エレトリプタン臭化水素酸塩β型多形体の安定性試験
本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩β型を、より融点の高いα型、またはアモルファスへの転換に対する安定性を評価するための一連の試験に供した。これらの試験は、様々な溶媒、様々な温度及び時間の条件において実施した。すべての試験において、エレトリプタン臭化水素酸塩β型は、A型、アモルファス、若しくは他の結晶形態、又はいかなる水素化型にも転換しなかった。DSCトレースは、実施例18に従って製造された全ての生成物で同じであり、β多型体のものと同じである。
【0069】
結果を以下の表で示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0070】
また、米国特許第6,110,940号(実施例2)及び国際公開第2008/137134号(実施例16、17、18、19)に記載されているエレトリプタンβ型をα型に転換するための同じ試験、並びに国際公開第2008/137134号(実施例2、7、8、12、及び13)に記載されているエレトリプタンβ型をアモルファスに転換するための同じ試験を、本発明のエレトリプタン臭化水素酸塩のβ型について、全く同じ条件を適用して実施した。これら全ての試験は、エレトリプタン臭化水素酸塩β型にのみを与えた。さらに、本発明のエレトリプタン臭化水素酸塩β型の他の型への、加熱/冷却サイクルによる転換についてのDSC試験中に実施された全ての試験は、常にβ型を提供した。これらの結果は、本発明のエレトリプタン臭化水素酸塩β型の安定性、及び従来技術に記載された同じ型のものと比較した際の異なる挙動を裏付ける。
【0071】
実施例19
エレトリプタン臭化水素酸塩β型多形体の吸湿性試験
本発明の方法に従って得られたエレトリプタン臭化水素酸塩β安定型を用いて、ヨーロッパ薬局方5.0(25℃、80%相対湿度、24時間)に記載されている吸湿性試験を行った。エレトリプタン臭化水素酸塩は、吸湿性を示さなかった(0.1%)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7