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特許5663568ダウンリンク・メッセージ中継方法及びサービス・ネットワーク・ゲートウェイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663568
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ダウンリンク・メッセージ中継方法及びサービス・ネットワーク・ゲートウェイ
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/10 20090101AFI20150115BHJP
   H04W 36/02 20090101ALI20150115BHJP
【FI】
   H04W36/10
   H04W36/02
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-515324(P2012-515324)
(86)(22)【出願日】2010年3月23日
(65)【公表番号】特表2012-530418(P2012-530418A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】CN2010071241
(87)【国際公開番号】WO2010145243
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年3月7日
(31)【優先権主張番号】200910149464.8
(32)【優先日】2009年6月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506073915
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 威
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−12718(JP,A)
【文献】 特開2009−60156(JP,A)
【文献】 Huawei,Data Forwarding Resource Release,3GPP TSG-RAN WG3#63 R3-090169,3GPP,2009年 2月 9日,1-3 pages,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_63/Docs/R3-090169.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器がソース側の基地局からターゲット側の基地局へハンドオーバされる過程において、前記ソース側の基地局が前記ユーザ機器へハンドオーバ・コマンド・メッセージを送信した後であって前記ユーザ機器がターゲット側のセルとの同期を実現する前に、
前記ユーザ機器へ送信しようとしているダウンリンク・メッセージを、ソース側のサービス・ネットワーク・ゲートウェイ(以下、S−GWと記載する。)によって中継する、
ダウンリンク・メッセージ中継方法であって、
前記ソース側のS−GWは、当該ソース側の基地局とソース側のS−GWとの間の第1の返送ルートを介して中継された第1のパケット・データを受信した後、パケット・データ・ネットワーク(以下、PDNと記載する。)から受信するダウンリンク・メッセージをキャッシュして、前記ソース側の基地局への前記ダウンリンク・メッセージの送信を禁止するようにし、また、タイマーを稼動させるステップと、
前記ソース側のS−GWは、前記ソース側の基地局が前記第1の返送ルートを介して送信したメッセージ終了マークを受信した後、又は前記タイマーが設定時間を越えた後に、ターゲット側との第2の返送ルートを介して、キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継するステップと、
を含むことを特徴とするダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項2】
前記ソース側の基地局によって中継された前記メッセージ終了マークを受信する前、又は前記タイマーが設定時間を越える前に、さらに、
前記ソース側の基地局は、受信した、前記ユーザ機器へ送信しようとしているメッセージを、前記第1の返送ルートを介して、前記ソース側のS−GWへ中継するステップと、
前記ソース側のS−GWは、前記ソース側の基地局によって中継されたメッセージを、前記第2の返送ルートを介して前記ターゲット側へ送信するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項3】
前記ソース側の基地局によって前記第1の返送ルートを介して中継されたメッセージ終了マークを受信した後、又は前記タイマーが設定時間を越えた後に、さらに、
前記ソース側のS−GWは、前記ソース側の基地局との間の前記第1の返送ルートを削除するステップ
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項4】
S−GW内でのハンドオーバの場合には、
前記ソース側のS−GWがキャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継した後に、さらに、
前記ソース側のS−GWは、前記メッセージ終了マークを前記ターゲット側へ中継するステップと、
前記ソース側のS−GWは、前記ターゲット側との間の前記第2の返送ルートを削除するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項5】
ターゲット側の基地局が前記ソース側のS−GWに所属する場合には、
前記第2の返送ルートは、前記ターゲット側の基地局と前記ソース側のS−GWとの間の返送ルートとなり、
前記ターゲット側は、前記ターゲット側の基地局となり、また、
前記ターゲット側の基地局は、前記PDNからのダウンリンク・メッセージと、前記ソース側の基地局によって中継されたメッセージと、前記メッセージ終了マークとを含む、前記ソース側のS−GWによって中継されたデータを受信する
ことを特徴とする請求項4に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項6】
ターゲット側の基地局とソース側の基地局が異なるS−GWに所属する場合には、
前記第2の返送ルートは、ターゲット側の基地局が所属するターゲット側のS−GWと前記ソース側のS−GWとの間の返送ルートとなり、
前記ターゲット側は、前記ターゲット側のS−GWとなり、また、
前記ターゲット側のS−GWは、前記PDNからのダウンリンク・メッセージと、前記ソース側の基地局によって中継されたメッセージとを含む、前記ソース側のS−GWによって中継されたデータを受信する
ことを特徴とする請求項4に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項7】
前記ターゲット側のS−GWが、前記ソース側のS−GWによって中継されたデータを受信した後に、さらに、
前記ターゲット側のS−GWは、前記ターゲット側の基地局との間の第3の返送ルートを介して、前記ソース側のS−GWによって中継された受信データを、前記ターゲット側の基地局へ中継するステップ
を含むことを特徴とする請求項6に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項8】
前記ターゲット側のS−GWが前記ソース側のS−GWによって中継されたデータを中継した後に、さらに、
前記ターゲット側のS−GWは、前記ターゲット側の基地局との間の前記第3の返送ルートを削除するステップ
を含むことを特徴とする請求項7に記載のダウンリンク・メッセージ中継方法。
【請求項9】
ソース側の基地局が受信した、ハンドオーバ中のユーザ機器へ送信しようとするメッセージと、サービス・ネットワーク・ゲートウェイへハンドオーバするメッセージの終了マークとを含む、前記ソース側の基地局によって中継されたデータを、当該サービス・ネットワーク・ゲートウェイと前記ソース側の基地局との間の返送ルートを介して、受信する第1の受信ユニットと、
パケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージを受信する第2の受信ユニットと、
前記第1の受信ユニットが前記ソース側の基地局によって中継された第1のパケット・データを受信した時、前記第2の受信ユニットが受信した前記パケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージをキャッシュするキャッシュ・ユニットと、
前記第1の受信ユニットが受信した前記データをターゲット側へ返送し、さらに、前記第1の受信ユニットが前記メッセージの終了マークを受信した後、又は前記タイマーが設定時間を越えた後に、前記キャッシュ・ユニットがキャッシュしたダウンリンク・メッセージ及び前記メッセージの終了マークを、前記ターゲット側へ中継する返送ユニットと、
を備えることを特徴とするサービス・ネットワーク・ゲートウェイ。
【請求項10】
前記第1の受信ユニットが前記メッセージの終了マークを受信した後に、前記サービス・ネットワーク・ゲートウェイと前記ソース側の基地局との間の前記返送ルートを削除し、
及び/又は、
前記返送ユニットが、前記第1の受信ユニットにより受信した前記データ及び前記キャッシュ・ユニットによりキャッシュしたダウンリンク・メッセージを、前記ターゲット側へ返送した後に、当該サービス・ネットワーク・ゲートウェイと前記ターゲット側との間の返送ルートを削除する、
削除ユニットを
さらに含むことを特徴とする請求項9に記載のサービス・ネットワーク・ゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信の領域に関し、詳しくは、ダウンリンク・メッセージ中継方法及びサービス・ネットワーク・ゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
進化型無線アクセス・ネットワーク(Evolved UTRAN、以下E−UTRANと略称)における、進化型基地局(E−UTRAN NodeB、以下eNBと略称)と、コア・ネットワークの移動管理エンティティ(Mobility Management Entity、以下MMEと略称)及びサービス・ネットワーク・ゲートウェイ(Serving Gateway、以下S−GWと略称)との間のインタフェースは図1に示す。コア・ネットワークのMME又はS−GWとeNBとの間のインタフェースは、S1インタフェースである。eNB同士間のインタフェースは、X2インタフェースである。
ユーザ機器(User Equipment、以下UEと略称)がハンドオーバする過程において、データ・パケットの中継は、X2又はS1インタフェースを介して行うことができる。X2インタフェースが第1選択で、X2インタフェースを介して中継できない場合、S1インタフェースを介してデータを中継する。
【0003】
現在、23.401プロトコルに記載されたS1ハンドオーバ(即ち、S1インタフェースを介したデータの中継)プロセスは、以下の通りである。
ソース側のeNBは、UEからの測定報告を受信した後、ハンドオーバを決定する。また、ソースeNBは、ハンドオーバ要求(Handover Required)メッセージを、ソース側のMMEへ送信する。
ソース側のMMEとS−GWとによってソース側で単独にハンドオーバできない場合、ターゲット側のMME及び/又はターゲット側のS−GWを再配置する必要がある。ソースMMEは、ターゲットMMEに、フォワード再配置要求(Forward Relocation Request)メッセージを送信する。
ターゲットMMEは、関連するコンフィギュレーションを確立した後、ターゲットeNBへ、ハンドオーバ要求(Handover Request)メッセージを送信する。
ターゲットeNBは、ハンドオーバ要求確認(Handover Request Acknowledge)メッセージを、ターゲットMMEへ返信する。また、ターゲットMMEは、返送ルートを構築することを、ターゲットS−GWへ通知する。
ターゲットMMEは、フォワード再配置応答(Forward Relocation Response)メッセージを、ソースMMEへ返信する。
また、ソースMMEは、返送ルートを構築することを、ソースS−GWへ通知する。
【0004】
ソースMMEは、ハンドオーバ・コマンド(Handover Command)を、ソースeNBへ送信する。
ソースeNBは、UEへHandover Commandメッセージを送信した後、ダウンリンク・メッセージを送信せずに、データの中継を開始する。
パケット・データ・ネットワーク(Packet Data Network、以下PDNと略称)・メッセージは、UEがHandover Commandメッセージを受信した後且つ新しいセルとの同期を実現する前に、ソースS−GWを介してソースeNBに達し、その後、ソースeNBによってソースS−GWへ中継され、最後に、ソースS−GWによって返送ルートを介してターゲットS−GW又はターゲットeNBへ中継される。
このように、当該段階におけるダウンリンク・メッセージは、ソースS−GWからソースeNBへ、さらにソースS−GWへと、無意味な中継を経る。ソースeNBとソースS−GWは、これらのメッセージを重複して処理する。ソースeNBとソースS−GWの資源は、浪費される。メッセージがUEに達する時間を増やす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術におけるソースeNBとソースS−GWとが、ダウンリンク・メッセージを重複して処理することによる、ソースeNBとソースS−GWの資源の浪費という問題に鑑み、本発明は、改善されたダウンリンク・メッセージ中継方法及びサービス・ネットワーク・ゲートウェイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一方面によると、ユーザ機器がソースeNBからターゲットeNBへハンドオーバする過程において、
ソースeNBがユーザ機器へハンドオーバ・コマンド・メッセージを送信した後であってユーザ機器がターゲット・セルとの同期を実現する前に、
ソースS−GWは、ソースeNBがソースeNBとソースS−GWとの間の第1の返送ルートを介して中継した第1のパケット・データを受信した後、受信したPDNからのダウンリンク・メッセージをキャッシュし、また、ソースeNBへの該ダウンリンク・メッセージの送信を禁止するようにして、タイマーを稼動させるステップと、
ソースS−GWは、ソースeNBが第1の返送ルートを介して送信したメッセージ終了マークを受信した後(S−GW内のハンドオーバ)、又はタイマーが設定時間を越えた(S−GW間のハンドオーバ)後、ターゲット側との第2の返送ルートを介して、キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継するステップと、
を含むダウンリンク・メッセージ中継方法を提供する。
【0007】
本発明の他の一方面によると、
ソースeNBにより受信された、ハンドオーバ中のユーザ機器へ送信するメッセージと、サービス・ネットワーク・ゲートウェイへ中継するメッセージの終了マーク(S−GW内のハンドオーバ)とを含み、ソースeNBによって中継されたデータを、サービス・ネットワーク・ゲートウェイとソースeNBとの間の返送ルートを介して、受信する第1の受信ユニットと、
パケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージを受信する第2の受信ユニットと、
ソースeNBによって中継された第1のパケット・データを第1の受信ユニットが受信した場合、第2の受信ユニットが受信したパケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージをキャッシュ(caching)するキャッシュ・ユニットと、
第1の受信ユニットが受信したデータをターゲット側へ返送し、さらに、第1の受信ユニットが上記メッセージ終了マークを受信した(S−GW内のハンドオーバ)後、又は上記タイマーが設定時間を越えた(S−GW間のハンドオーバ)後に、キャッシュ・ユニットがキャッシュしたダウンリンク・メッセージ及び該メッセージ終了マーク(S−GW内のハンドオーバ)をターゲット側へ中継する返送ユニットと、
を備えるサービス・ネットワーム・ゲートウェイを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記の少なくとも一つによると、
ソースS−GWは、ソースeNBが返送ルートを介して中継した第1のパケット・データを受信した後、受信したPDNからのダウンリンク・メッセージをソースeNBに中継せず、PDNからのダウンリンク・メッセージをキャッシュして、タイマーを稼動させ、
また、ソースS−GWは、ソースeNBから送信されたメッセージ終了マーク(End Marker)(S−GW内のハンドオーバ)を受信した時、又は上記タイマーが設定時間を越える時(S−GW間のハンドオーバ)、キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ送信する。
よって、ダウンリンク・メッセージがソースeNBとソースS−GWとの間で無意味に中継されることを防止できる。ソースeNBとソースS−GWがダウンリンク・メッセージを重複して処理することによる、ソースeNBとソースS−GW資源の浪費を防止できる。メッセージの中継回数を減少し、ダウンリンク・メッセージの伝送効率を向上できる。
【0009】
本発明の他の特徴及びメリットは、明細書において説明し、明細書からさらに明確になる。又は、本発明を実施することによって把握できる。
本発明の目的及び他のメリットは、明細書、特許請求の範囲、図面に特別に指摘された構造によって実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここで説明する図面は、本発明を理解させるためのものであり、本発明の一部を構成するものであり、本発明における実施例と共に本発明を解釈し、本発明を不当に限定するもののではない。
図1図1は、関連技術におけるE−UTRAN中の基地局同士の間、及び基地局とMME/S−GWとの間のインタフェースの接続を示す図である。
図2図2は、本発明の実施例に係るダウンリンク・メッセージ中継方法を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施例に係るシグナリング・ストリームとデータ・ストリームを示す図である。
図4図4は、本発明の実施例1に係るシグナリング・ストリームとデータ・ストリームを示す図である。
図5図5は、本発明の実施例1に係るフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施例2に係るシグナリング・ストリームとデータ・ストリームを示す図である。
図7図7は、本発明の実施例2に係るフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施例3に係るシグナリング・ストリームとデータ・ストリームを示す図である。
図9図9は、本発明の実施例3に係るフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施例に係るサービス・ゲートウェイの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[機能概要]
UEがソースeNBとターゲットeNBとの間でハンドオーバする場合、UEがHandover Commandメッセージを受信した後であって新しいセルとの同期を実現する前に、UEへ送信しようとしているダウンリンク・メッセージは、ソース側からターゲット側へ中継する必要がある。
従来の技術によると、該段階において、PDNから送信されるダウンリンク・メッセージは、ソースS−GWを介してソースeNBに達し、その後ソースeNBによってソースS−GWに中継する。
それゆえ、ソースeNBとソースS−GWとは、ダウンリンク・メッセージを重複して処理する。
当該問題に対し、本発明の実施例によると、改善されたダウンリンク・メッセージの中継方法を提供する。
本発明の実施例において、ソースS−GWは、ソースeNBによって返送されたデータ・パケットを受信すると、PDNからのダウンリンク・メッセージをソースeNBへ中継せずに、ソースeNB内で固有のUEについてのデータのターゲット側への送信が終了するまで、PDNから送信されたメッセージをキャッシュし、その後、キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継する。
【0012】
互いに矛盾しない限り、本願における実施例及び実施例に記載の特徴は、組み合わせることができる。
【0013】
以下、図面を参照して、本願の好適の実施例を説明する。
以下に記載の好適の実施例は、本発明を説明及び解釈するものであり、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0014】
本発明の実施例によると、まず、S1を介してハンドオーバする場合、UEがソースeNBからターゲットeNBにハンドオーバする過程において、ソースeNBがUEへHandover Commandメッセージを送信した後であってUEがターゲット・セルとの同期を実現する前に、該UEへ送信しようとしているダウンリンク・メッセージを中継するダウンリンク・メッセージ中継方法を提供する。
【0015】
図2は、本発明の実施例に係わるダウンリンク・メッセージ中継方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、本発明の実施例に係わるダウンリンク・メッセージ中継方法は、以下のステップ(ステップS201〜ステップS203)を含む。
【0016】
ステップS201:
ソースS−GWは、ソースeNBがソースS−GWとの間の第1返送ルートを介して中継した第1のパケット・データを受信した後、受信したPDNからのダウンリンク・メッセージをキャッシュし、該ダウンリンク・メッセージのソースeNBへの中継を禁止し、そして、タイマーを稼動させる。
【0017】
ステップS203:
ソースS−GWは、ソースeNBによって第1の返送ルートを介して中継したメッセージ終了マーク(End Marker)を受信した後、又は上記タイマーが設定時間を越えた後、ターゲット側との第2の返送ルートを介してキャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継する。
【0018】
以下、上記の各ステップを詳しく説明する。
(一)ステップS201
具体的な実施中において、図3に示すように、ステップS201の処理は、以下のようなシグナリング・ストリーム・ステップによってトリガーされることができる(図3において、実線はシグナリング・ストリームを、点線はデータ・ストリームを示し、次の図においても同じである。)。
ステップ1において、ソースeNBは、UEからの測定報告を受信した後ハンドオーバを決定する。また、ソースeNBは、ソースMMEへ、ハンドオーバ要求(Handover Required)メッセージを送信する。
ステップ2において、ソースMMEとソースS−GWによって単独にハンドオーバを行うことができない場合、(即ち、ソースMMEとターゲットMMEとが異なり、ソースS−GWとターゲットS−GWが異なる場合、)ターゲットMME及び/又はターゲットS−GWを再配置する必要がある。このため、ソースMMEは、ターゲットMMEへ、フォワード再配置要求(Forward Relocation Request)メッセージを送信する。
ステップ3において、ターゲットMMEは、関連コンフィギュレーションを確立した後、ターゲットeNBへ、ハンドオーバ要求(Handover Request)メッセージを送信する。
ステップ4において、ターゲットeNBは、ターゲットMMEへ、ハンドオーバ要求確認(Handover Request Acknowledge)メッセージを返信する。また、ターゲットMMEは、返送ルートを構築することを、ターゲットS−GWへ通知する。
ステップ5において、ターゲットMMEは、ソースMMEへ、フォワード再配置応答(Forward Relocation Response)メッセージを返信する。また、ソースMMEは、ソースS−GWへ、返送ルート(ソースS−GWとソースeNBとの間の上記第1の返送ルートと、ソースS−GWとターゲットeNB(ターゲットeNBとソースeNBが共にソースS−GWに所属する場合)又はターゲットS−GW(ターゲットeNBとソースeNBが異なるS−GWに所属する場合)との間の第2の返送ルートと、を含む)を構築することを通知する。
ステップ6において、ソースMMEは、ソースeNBへ、ハンドオーバ・コマンド(Handover Command)を送信する。
ステップ7において、ソースeNBは、Handover Commandメッセージを受信した後、UEへHandover Commandメッセージを送信する。
上記のステップ7の後であって、UEがターゲット・セルとの同期を実現するまでにおいて、ソースeNBは、UEへダウンリンク・メッセージを送信することができない。ソースeNBは、受信した、該UEへ送信しようとしているデータを中継する必要がある。そのため、ソースeNBは、ソースS−GWとの間の返送ルート(即ち、第1の返送ルート)を介して、受信したデータをソースS−GWへ返送する。ソースS−GWは、ソースeNBにより返送された第1のパケット・データを受信した後、ステップS201をトリガーする。ソースS−GWは、PDNから該UEへ送信したメッセージを、ソースeNBへ送信しなくなり、PDNから送信されたメッセージをキャッシュする。
【0019】
(二)ステップS203
ソースeNBは、UEへHandover Commandメッセージを送信した後、受信した該UEへ送信しようとしているメッセージを上記第1の返送ルートを介してソースS−GWへ中継する。ソースS−GWは、ソースS−GWとターゲット側(ターゲットeNB又はターゲットS−GW)との間の第2の返送ルートを介して、該データをターゲット側へ中継する。ソースeNBは、受信したUEへ送信しようとしている全てのデータを返送した後、第1の返送ルートを介してソースS−GWへメッセージ終了マーク(End Marker)を中継する。ソースS−GWは、該End Marker(S−GW内のハンドオーバ)を受信した後、又は上記タイマーが設定時間を越えた後(S−GW間のハンドオーバの後)、ソースeNBとソースS−GWとの間の上記第1の返送ルートを削除することができる。
ソースS−GWは、ソースeNBが第1の返送ルートを介して送信したメッセージ終了マークを受信した後(S−GW内ハンドオーバの後)、又は上記タイマーが設定時間を越えた後(S−GW間のハンドオーバの後)、PDNから送信されてキャッシュしたダウンリンク・メッセージを、ターゲット側との間の第2の返送ルートを介して、ターゲット側へ送信する。キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継し、さらに、メッセージ終了マークをターゲット側へ中継した(S−GW内のハンドオーバの)後、又は上記タイマーが設定時間を越えた後(S−GW間のハンドオーバ)、ソースS−GWは、ターゲット側との間の第2の返送ルートを削除することができる。
実際の応用において、ソースS−GWは、一つ又は複数のPDNから送信されるダウンリンク・メッセージを受信することがある。
具体的な実施中において、ターゲットeNBがソースeNBと同一のS−GW(即ち、ソースS−GW)に所属することもあるし、異なるS−GWに所属することもある。
ターゲットeNBがソースS−GWに所属する場合、上記第2の返送ルートは、ターゲットeNBとソースS−GWとの間の返送ルートとなる。ターゲット側は、ターゲットeNBとなる。また、ターゲットeNBは、上記のPDNからのダウンリンク・メッセージと、ソースeNBによって中継されたメッセージと、メッセージ終了マークとを含み、ソースS−GWによって中継されたデータを受信する(具体的には、図3に示すように、ソースS−GWはデータをターゲットeNBに中継する。)。
ターゲットeNBとソースeNBが異なるS−GWに所属する場合、上記第2の返送ルートは、ターゲットeNBが所属するターゲットS−GWとソースS−GWとの間の返送ルートとなる。上記のターゲット側は、ターゲットS−GWとなる。また、ターゲットS−GWは、上記のPDNからのダウンリンク・メッセージと、ソースeNBによって中継されるメッセージとを含み、ソースS−GWによって中継されたデータを受信する。
ターゲットeNBとソースeNBが異なるS−GWに所属する場合、ターゲットS−GWは、ソースS−GWによって中継されたデータを受信した後、ターゲットeNBとの間の第3の返送ルートを介して、ソースS−GWによって中継された受信データを、ターゲットeNBへ中継する。
ターゲットS−GWは、ソースS−GWによって中継されたデータを中継した後、ターゲットeNBとの間の第3の返送ルートを削除することが好ましい。
【0020】
本発明の実施例によると、S1ハンドオーバする際のメッセージの中継回数を減少することができる。
本発明の実施例に係わる発明を理解させるため、以下、具体的な実施例によって詳しく説明する。
【0021】
実施例1.
本実施例において、ターゲットeNBとソースeNBは、同一のMMEとS−GWに所属する。即ち、本実施例は、MME、S−GWの内でのS1ハンドオーバである。
図4は、本実施例に係るS1ハンドオーバする場合、S−GWのダウンリンク・メッセージのデータ及びシグナリング・ストリームの処理を示す図である。図4に示すように、本実施例においてS1ハンドオーバする場合、ハンドオーバのシグナリング・ストリームは図3に類似する。ただし、ソースMMEとターゲットMMEが同一であるので、図4は、図3と比べてメッセージ2及びメッセージ5が減少された点で異なっている。
【0022】
図5は、本実施例における、ソースeNBがUEへHandover Commandメッセージを送信した後の、データの中継を示すフローチャートである。図5に示すように、ソースeNBのデータの中継は、以下のステップを含む。
S1ハンドオーバを行う場合、ステップ501において、ソースeNBは、Handover Commandメッセージを送信した後、ソースS−GWとの間の返送ルートを介して、ソースS−GWへ、メッセージ(ハンドオーバするUEへ送信しようとしているメッセージ)を中継し始める。
ステップ502において、ソースeNBによって中継された第1のパケット・メッセージを受信した後、ソースS−GWは、コア・ネットワークのPDNからのメッセージをソースeNBへ中継せずに、ソースS−GWで直接キャッシュする。
ステップ503において、ソースS−GWは、ソースeNBによって中継されたメッセージを、返送ルートを介してターゲットeNBへ送信し、また、ソースeNBによって中継されたメッセージEnd Markerを受信した後、ソースeNBとの間の返送ルートを削除する。
具体的な実施中において、ソースS−GWは、ソースeNBによって中継されたメッセージを受信した後、ターゲットeNBとの間の返送ルートを介して、それをターゲットeNBへ中継する。
ステップ504において、ソースS−GWは、キャッシュしたPDNメッセージを、返送ルートを介して、ターゲットeNBへ中継する。
ステップ505において、ソースS−GWは、End MarkerをターゲットeNBへ中継し、ターゲットeNBとの間の返送ルートを削除する。
【0023】
実施例2.
本実施例では、同じMMEに属するSGWの間でのS1ハンドオーバを例に説明する。
図6は、本実施例においてS1ハンドオーバを行う場合の、データ・ストリームとシグナリング・ストリームのストリーム方向を示す図である。
図6に示すように、本実施例において、シグナリング・ストリームは、図4に示すものと大体同じであるが、データ・ストリームは、ソースeNBからソースS−GWへ、さらにターゲットS−GWへ、最後にターゲットeNBに達する。
【0024】
図7は、本実施例における、ソースeNBがUEへHandover Commandメッセージを送信した後の、データ・ストリームを中継するフローチャートである。
図7に示すように、本実施例において、ソースS−GWのデータの中継は、以下のステップを含む。
ステップ701において、S1ハンドオーバを行う場合、ソースeNBは、Handover Commandメッセージを送信した後、ソースS−GWとの間の返送ルートを介してメッセージをソースS−GWへ中継する。
ステップ702において、ソースeNBによって中継された第1のパケット・メッセージを受信した後、ソースS−GWは、コア・ネットワークPDNからのメッセージをソースeNBへ送信せず、ソースS−GWで直接キャッシュし、タイマーを稼動させる。
ステップ703において、ソースS−GWは、ソースeNBによって中継されたメッセージを、返送ルートを介してターゲットS−GWへ中継する。
ステップ704において、上記タイマーが設定時間を越えた場合、ソースS−GWは、ソースeNBとの間の返送ルートを削除し、キャッシュしたPDNメッセージを、返送ルートを介してターゲットS−GWへ送信する。
ステップ705において、ソースS−GWは、ターゲットS−GWとの間の返送ルートを削除する。
ステップ706において、ターゲットS−GWは、中継したメッセージ(ソースS−GWにキャッシュされたメッセージとソースeNBによって返送されたメッセージを含む)を、返送ルートを介してターゲットeNBへ中継し、ターゲットeNBとの間の返送ルートを削除する。
【0025】
実施例3.
本実施例では、MMEを超えたSGWの間でのS1ハンドオーバを例に説明する。
図8は、本実施例においてS1ハンドオーバを行う場合の、データ・ストリームとシグナリング・ストリームのストリーム方向を示す図である。
図8に示すように、本実施例において、シグナリング・ストリームは、図3と大体同じであり、データ・ストリームは、図6に類似する。
【0026】
図9は、本実施例に係るソースeNBがUEへHandover Commandメッセージを送信した後の、データ・ストリームの中継を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施例において、ソースS−GWのデータの中継は、以下のステップを含む。
ステップ910において、S1ハンドオーバする場合、ソースeNBは、Handover Commandメッセージを送信した後、ソースS−GWとの間の返送ルートを介して、UEへ送信しようとしている受信メッセージをソースS−GWへ中継する。
ステップ902において、ソースeNBによって送信された中継後の第1のパケット・メッセージを受信した後、ソースS−GWは、コア・ネットワークPDNからのメッセージをソースeNBへ中継せず、ソースS−GWで直接キャッシュし、タイマーを稼動させる。
ステップ903において、ソースS−GWは、ソースeNBによって中継されたメッセージを、返送ルートを介してターゲットS−GWへ中継する。
ステップ904において、上記タイマーが設定時間を越えた場合、ソースS−GWは、ソースeNBとの間の返送ルートを削除し、キャッシュしたPDNメッセージを、返送ルートを介してターゲットS−GWへ中継する。
ステップ905において、ソースS−GWは、ターゲットS−GWとの間の返送ルートを削除する。
ステップ906において、ターゲットS−GWは、中継されたメッセージを、返送ルートを介してターゲットeNBへ中継し、ターゲットeNBとの間の返送ルートを削除する。
本発明の実施例によると、サービス・ネットワーク・ゲートウェイを提供する。
【0027】
図10は、本発明の実施例によるサービス・ネットワーク・ゲートウェイの構造を示す図である。
図10に示すように、本発明の実施例によるサービス・ネットワーク・ゲートウェイは、
ソースeNBにより受信されたハンドオーバ中のユーザ機器へ送信するメッセージと、ソースS−GWへ中継しようとしているメッセージ終了マークとを含み、ソースeNBによって中継されたデータを、サービス・ネットワーク・ゲートウェイとソースeNBとの間の返送ルートを介して受信する第1の受信ユニット1と、
パケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージを受信する第2の受信ユニット3と、
第2の受信ユニット3に接続され、第1の受信ユニット1がソースeNBによって中継された第1のパケットのデータを受信した場合に、第2の受信ユニット3が受信したパケット・データ・ネットワークからのダウンリンク・メッセージをキャッシュするキャッシュ・ユニット5と、
第1の受信ユニット1及びキャッシュ・ユニット5に接続され、第1の受信ユニット1が受信したデータをターゲット側に中継し、さらに、第1の受信ユニット1がメッセージ終了マークを受信した後、又はタイマーが設定時間を越えた後に、キャッシュ・ユニット5にキャッシュされたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継し、上記メッセージ終了マーク(S−GW内のハンドオーバ)をターゲット側へ中継する返送ユニット7と、
を備える。
【0028】
ルートによる支出を減らすため、該サービス・ネットワーク・ゲートウェイは、第1の受信ユニット1に接続され、第1の受信ユニット1がメッセージ終了マークを受信した後又はタイマーが設定時間を越えた後に、サービス・ネットワークゲートウェイとソースeNBとの間の返送ルートを削除する削除ユニット2をさらに備えることが好ましい。
上記削除ユニット2は、さらに、第1の受信ユニット1が受信したデータおよびキャッシュ・ユニット5にキャッシュされたダウンリンク・メッセージが返送ユニット7によりターゲット側へ返送された後、サービス・ネットワーク・ゲートウェイとターゲット側との間の返送ルートを削除することが好ましい。
【0029】
上記のように、本発明の実施例によると、ソースS−GWは、ソースeNBが返送ルートを介して中継した第1のパケット・データを受信した後、受信したPDNからのダウンリンク・メッセージをソースeNBへ中継せずに、PDNからのダウンリンク・メッセージをキャッシュし、タイマーを稼動する。
ソースeNBによって中継されたメッセージ終了マーク(End Marker)を受信した場合(S−GW内のハンドオーバの場合)又はタイマーが設定時間を越えた場合に、ソースS−GWは、キャッシュしたダウンリンク・メッセージをターゲット側へ中継する。
よって、ダウンリンク・メッセージがソースeNBとソースS−GWとの間で無意味に中継されることを防止できる。ソースeNBとソースS−GWがダウンリンク・メッセージを重複処理することによるソースeNBとソースS−GW資源の浪費を防止できる。メッセージの中継回数を減少し、ダウンリンク・メッセージの伝送効率を向上することができる。
【0030】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば本発明に様々な修正や変形が可能である。本発明の要旨や原則内での如何なる修正、置換、改良などは本発明の保護範囲内に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10