(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波で駆動されるランプ光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を発生させるために、カプセルの中で放電させることはよく知られている。
【0003】
典型的な例としてナトリウムランプや蛍光灯などがある。後者は紫外線を発生する水銀蒸気を用いている。この水銀蒸気が蛍光性粉末を励起させて発光させている。これらはタングステン・フィラメントのランプよりも消費電力1ワット当たりの光束の点では高効率である。しかしながら、これらの照明器具はカプセル内に電極が必要となる点で劣っている。これらは放電に必要な電流を流すために劣化し、最終的には効率も低下する。
【0004】
国際出願番号PCT/GB2006/002018号(以下「2018ランプ」という)、ランプ用バルブに関する国際出願番号PCT/GB2005/005080号、マイクロ波で駆動されるランプの整合回路に関する国際出願番号PCT/GB2007/001935号に示すとおり、我々は無電極バルブ型ランプを開発してきた。これらはすべて、バルブ内の発光プラズマを励起させるためのマイクロ波エネルギーを使用して無電極で駆動されるランプに関するものである。マイクロ波のエネルギーをバルブに供給するために電波の使用を伴う以前の提案は、例えばフュージョン・ライティング社の米国特許番号5,334,913号によって成し遂げられている。もし、電波の導波器が使用されると、導波器の物理的な大きさは、空気中のマイクロ波の波長分の1であるので、ランプは大型になってしまう。例えばこのような光は街灯に使用しても問題はないが、多くの機器に対して適さなくなってしまう。そのため、前記2018ランプは誘電性の導波器を使用しているが、これは実質的に2.4GHzの駆動周波数で波長を減らしている。このランプは背面投射型テレビのような家庭用電気機器に適している。
【0005】
国際公開番号WO2009/063205として国際公開されている、我々の国際出願番号PCT/GB2008/003829では、マイクロ波で駆動される光源であって、前記光源が、
・中に密閉された内部空間を有するプラズマのルツボであって、そこから出てくる光に対して半透明な材料からなる固体のプラズマのルツボと、
・前記プラズマのルツボを取り囲むファラデー箱であって、前記プラズマのルツボから出てくる光を少なくとも部分的に透過しつつ、マイクロ波を閉じ込めているファラデー箱と、
・前記密閉された内部空間において、その内部で発光プラズマを生成するために充填された、マイクロ波のエネルギーによって励起可能な充填材と、
・前記充填材にプラズマを誘導するマイクロ波エネルギーを伝送するために前記プラズマのルツボの中に設けられたアンテナであって、前記アンテナが、
・マイクロ波エネルギー源と結合するために前記プラズマのルツボの外側に伸びているアンテナ接続部
を有しているようなアンテナと、
を有しており、前記密閉された内部空間のプラズマからの光が前記プラズマのルツボを通過可能であり、そこから前記箱を介して放射されるように配置されたことを特徴とする光源、について開示している。
【0006】
この出願において用いられているように、「半透明」とは半透明とされている物の材料が透明または半透明であることを意味し、「プラズマのルツボ」とはプラズマを閉じ込めた密封体を意味し、内部空間の充填材がアンテナからのマイクロ波エネルギーによって励起された時はその内部空間内を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/129102号
【特許文献2】国際公開第2006/070190号
【特許文献3】国際公開第2007/138276号
【特許文献4】米国特許第5334913号明細書
【特許文献5】国際公開第2009/063205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、マイクロ波で駆動される光源を改良した光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
・中から出てくる光に対して半透明な材料からなる誘電体と、
・前記誘電体の内部にある内部空間と、
・マイクロ波の共振器として前記ファラデー箱の内部にある前記誘電体を取り囲み、マイクロ波を閉じ込めているファラデー箱と、
・前記誘電体の内部にある前記内部空間の内部の半透明材料からなる密閉されたプラズマの筐体と、
・前記誘電体に対して前記内部空間の内部に前記プラズマの筐体を配置する手段と、
・発光プラズマを形成するためにマイクロ波エネルギーによって励起可能な材料からなり、前記プラズマの筐体に封入された充填材と、
・前記充填材にプラズマを誘導し、マイクロ波エネルギーを伝送するために前記ファラデー箱の中に突き出したアンテナであって、
・マイクロ波エネルギー源と結合するために前記誘電体の外側に突き出したアンテナ接続部
を有しているようなアンテナと、
を有することを特徴とするマイクロ波で駆動される光源が提供される。
【0010】
通常、これらの誘電体と筐体は、いずれも同一材料からなり、好ましくは石英材料からなる。
【0011】
好ましくは、密閉されたプラズマの筐体は
石英製の引き抜きチューブからなり、前記チューブの引き抜きが内面
の滑らか
なボア
を提供する。チューブは
空隙を備えた誘電体内のボアに収容される。この配置は、内面が滑らかになっているボアを提供すると共に、プラズマの高熱に対して、誘電体内の当該ボアの内部においてひび割れを引き起こす応力を隔離するものである。好ましくは、当該
空隙は、ファラデー箱の内部の誘電体のマイクロ波共振に対して、無視できるほど小さくして設けられる。
【0012】
チューブ状の筐体が、溶融された状態の石英製の蓋体で封着され、誘電体内のボアの中に全体が挿入された状態であることが予測される。これは、特に石英材料からなる誘電体に対して当該蓋体を溶融することによって配置することができる。しかしながら、このような構造は、製造しやすくするために役立つものではない。
【0013】
通常、筐体は、筐体のチューブをその首部を絞った形にすることによって形成される。充填して封着をした後、首部は、内部空間の端部を横切るように融着された円盤によって支持される。
【0014】
別な実施形態では、筐体チューブの首部の外側の少なくとも一つのチューブ状の部分は絞られず、誘電体に対して溶融される。筐体チューブの首部の外側の少なくとも一つのチューブ状の部分は、内部空間の中で融着しやすいように据え込み(upset)することができる。あるいは、筐体チューブの首部の外側の1つか2つのチューブ状の部分は、その内部空間が筐体を有している状態で、誘電体の面に対して取り付けられた各々のチューブ状の部品の中に溶融される。
【0015】
この筐体は、内部空間の他端が開放している状態で、チューブ状の部品によってのみ一端が保持される。あるいは、筐体は、内部空間の他端が閉鎖している状態でチューブ状の部品によってのみ保持される。
【0016】
有利には、誘電体内のボアは、筐体と誘電体の間を断熱するためにプラズマの筐体の外径より大きくされる。
【0017】
別な実施例において、筐体は、
取り付けられた元のチューブ状の
一片を
残し、小さな首部を
有して封着される。これにより、アンテナを誘電体の中に突き出して収容することができ、別個のアンテナを誘電体の中に設ける必要がなくなる。この実施例では、チューブは誘電体に突出して、誘電体に遡る別のチューブに取り付けられるので、筐体と誘電体の間の熱経路を長くすることができる。
【0018】
好ましくは、筐体と誘電体の間の
空隙は、筐体
から隔離するように封着される。この
空隙は、さらなる断熱のために真空にしたり、窒素などの不活性ガスを充填したりすることができる。窒素の対流が予測されると共に、この配置では、誘電体に対してプラズマの筐体をかなり断熱することができる。
【0019】
ここで、本発明を理解させるため、添付図面と共に、様々な具体的な実施形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の光源の斜視図を示す図である。
【
図2】
図1の光源に含まれるバルブを備えたマイクロ波の共振器本体の縦断面図である。
【
図3】本発明の第2の共振器本体の縦断面図である。
【
図4】本発明の第3の共振器本体の縦断面図である。
【
図5】本発明の第4の共振器本体の縦断面図である。
【
図6】本発明の第4の共振器本体の変形例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照すると、本発明のランプ1は、結合回路3を介してマグネトロン2によって駆動される。マグネトロン2や結合回路3の詳細は、我々の同時継続している2009年5月8日付の特許出願第0907947.6号に記載されている。これらは本発明の構成要素ではないので、詳細については省略する。
【0022】
ランプ1は、透明な石英材料からなるマイクロ波の共振器本体11を有している。これは、結合回路3のアルミニウム製の末端部5の端面4上で支持されている。この本体11と末端部5は同一直径の円形であり、それにより、本体11の端面14とその円形側面15とを覆い、張力を有するバンド6によってその結合末端部5に挟着されているミシン目で描かれているファラデー箱12は、本体11を末端部5に固定する。この詳細は、上述したように特許出願第0907947.6号に記載されているものと同様にすることが不可欠である。
【0023】
本体11は、中央ボア16を有しており、中央ボア16内に挿入され、密封されたプラズマを含んだ筐体バルブ17を有している。このバルブ17もまた石英材料からなり、ボアに密着するような外径を有している。バルブ17自身は
、石英製
の引き抜きチューブ18からなり、そのために内面が滑らかなボア19を有している。端部の蓋体20は、チューブ18に融着され、本体11のボア21内のアンテナ7を介して本体11にマイクロ波が供給されたとき、バルブ17内において発光プラズマを形成するように励起可能な材料を内包している。本体11は、ファラデー箱12の内部で共振を確立できるように、本体11とバルブ17ならびに当該バルブ17内の充填材を包含する内部空間とのサイズを決められる。バルブ17と本体11の間の
空隙は、共振目的上、一つと見なすことができるように無視できるほど小さくされている。バルブ17は、封着物23によって本体11に固定されている。
【0024】
この配置は、使用中の内部空間内の励起可能な材料に誘導されるプラズマによって非常に高い温度を受けることによって、ボア16の穿孔後に残存している割れ目が微小亀裂を引き起こす可能性を隔離する。それどころか、それを助長するプラズマとガスがバルブ17の内面が滑らかな微小亀裂のないボア内に含まれている。
【0025】
次に
図3を見ると、別のバルブの構成が示されており、バルブ31
は石英製
の引き抜きチューブからな
り、首部を絞った封着部32を有する。また、チューブは、本体34においてボア33内に密着するように嵌合する。ボアの各端部で首部を据え込んだ(upset)据え込み部35で、封着部36でボアを封着する。この結果、封着部36の内側に小さな
空隙37を有する構成となるが、この構成は共振させるのに有効であり、バルブ31内
にプラズマの内部空間38のみを有する固体の本体である。
【0026】
図4では、本体54のボア53より直径を小さくした首部52による封着を有する石英製チューブのバルブ51の変形例が示されている。このバルブ51は、開口部を有する円盤56によって支持されている自身の首部55を介して本体内で支持されている。これらは、首部52と本体54との両方で封着される。この結果、バルブ51は誘電体である本体54から熱的に隔離され、首部を介して本体54に伝達される熱より小さい熱で熱くすることができる。石英は熱膨張率が低いので、この構造は、バルブ51と本体54の熱膨張が異なるために生じる熱応力に耐えることとなることが予測される。それにもかかわらず、一端でのみ開口部を有し他端では開口部を有しないふたた56の当該一端でのみバルブ51はボア53内に配置することができる。バルブ51を取り囲んでいる封着された
空隙57は、封着前に排気して真空状態にするか、あるいは例えば窒素のような不活性ガスで充填することができる。当該
空隙57が排気されるか充填ガスを封入されるかに関わらず、本体54内で共振するマイクロ波に対して理論的に導き出せる小さな効果を有することとなる。
【0027】
図5には、また石英製チューブからなるバルブ71を有する実施例が示されており、当該バルブ71は、首部を絞った封着部72を一端に有し、その封着部72から離れた部分ではチューブ81はそのチューブの最大直径として続いている。上記実施例のようにチューブは引き抜かれ、その内面は滑らかで亀裂が生じにくくなっている。このバルブ71の封着部72から離れた端部82は封着されており、バルブ71はプラズマを生成するための励起可能な材料を供給もしくは充填されている。ボアはバルブ71の端部82に相当するその端部において
、より大きな直径の石英製のチューブ
の一片83を本体に対して融着させることによって、首部が形成されて封着される。
【0028】
より大きな直径の別なチューブ
の一片84は、本体の反対側の端部に対して融着され、バルブ71から離れたバルブチューブ81を取り囲んでいる。これら2つのチューブの先端は
一緒に融着され、前記外側のチューブを前記内側のチューブにくっつくように首部を絞り込むことによって、それらを一緒に融着し、それぞれの余った部分
を除去す
る。便宜上、この処理は首部を絞ってチューブ他端83を封着する工程の前に行われるものであり、首部を絞ってチューブ他端83を封着する工程では
、バルブと
共振器本体のボアの間にある封着された
空隙77から空気を排気する。
【0029】
この構成では、
・ボア73内の中央にバルブが配置され、
・バルブと本体の間に断熱用の
空隙が提供され、
・チューブ81とチューブ84の間に沿ってバルブからボアへの長い伝達経路が提供され、
・マイクロ波を本体に導入するためのアンテナ77用のバルブのチューブ81の中央の位置85が提供される。
【0030】
図6には変形例が示されており、この変形例では、本体内部の共振のモードが本体の軸方向の長さには依存せずに本体の直径にのみ依存し、本体が比較的長いものであり、外側のチューブ841が残留している。この配置では、アンテナ771は本体741の中により大きく拡張することができる。
【0031】
図4〜6の実施例では、断熱が良い状況でバルブ51,71が熱くなるため、より小さなワット数の動作が可能となることが予測できる。このように、充填材は小さな電力で発光放電できるように十分に熱くなった状態を維持することができる。