特許第5663589号(P5663589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663589多相ゼリー状飲料組成物を作製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663589
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】多相ゼリー状飲料組成物を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20150115BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   A23L2/00 A
   A23L2/38 P
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-535773(P2012-535773)
(86)(22)【出願日】2010年10月25日
(65)【公表番号】特表2013-509163(P2013-509163A)
(43)【公表日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】EP2010066090
(87)【国際公開番号】WO2011051238
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年9月12日
(31)【優先権主張番号】09174317.9
(32)【優先日】2009年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ビッソン, ジーン‐ピアー
(72)【発明者】
【氏名】デロート, ジーン‐マーク
(72)【発明者】
【氏名】マーコート, アン
【審査官】 山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−168459(JP,A)
【文献】 特開平06−327421(JP,A)
【文献】 特開平09−009891(JP,A)
【文献】 特開平10−127244(JP,A)
【文献】 特開平07−284381(JP,A)
【文献】 特開昭62−069956(JP,A)
【文献】 特開2007−189922(JP,A)
【文献】 特開2004−313123(JP,A)
【文献】 特開2009−183226(JP,A)
【文献】 国際公開第01/095742(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/075669(WO,A1)
【文献】 Iwamori et al,Niigata J Health Welf,日本,2003年,Vol. 3, No. 1,p. 62-68,URL,http://mol.medicalonline.jp/library/journal/download?GoodsID=dq6ngthw/2003/000301/010&name=0062-0068e&UserID=61.202.255.157&base=jd_pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/00− 2/84
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
G−Search
Food Science and Tech Abst(FSTA)(ProQuest Dialog)
Foodline Science(ProQuest Dialog)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの別々の均質なゲル塊を含み、隣接する別々のゲル塊が異なるゲル強度を有する、水、果汁及び/又はミルクベースのそのまま飲めるゼリー状製品を製造するための方法であって、順に
(i)カラギーナン及びガラクトマンナンと混合された、水及び/又は果汁及び/又は乳製品のベースをそれぞれが含む、少なくとも2つの液化ゲル組成物を別々に調製するステップ、
(ii)前記組成物をそれぞれ別々に、少なくとも10秒間、少なくとも60℃に予熱するステップ、
(iii)前記液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30秒〜5分の間に含まれる時間、少なくとも65℃の温度で混合するステップ、
(iv)前記液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、40℃〜50℃の間に含まれる温度で冷却するステップ、
(v)前記液化ゲル組成物のそれぞれの塊を常に撹拌し続けながら、前記液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30℃〜38℃の間に含まれる温度で冷却するステップ、
(vi)前記液化ゲル組成物をそれぞれ容器に連続して注入するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
(i)カラギーナンの濃度が、製品のベースがミルクを含有する場合、製品の0.30重量%以下であり、
(ii)ガラクトマンナンの濃度が、製品の0.01重量%〜0.1重量%の間に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
室温でのゲル塊のゲル強度が、前記製品が完全にゼリー状の場合、10〜400gの間に含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
室温での製品中の隣接するゲル塊のゲル強度が、前記製品が完全にゼリー状の場合、少なくとも10%異なる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
室温でのゲル塊のゲル強度が、前記製品が完全にゼリー状の場合、20〜300gの間に含まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
室温での製品中の隣接するゲル塊のゲル強度が、前記製品が完全にゼリー状の場合、少なくとも25%異なる、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、新しい魅力的な側面と、新しい口当たりを示し、消費者に独創的な使用法を提案する、新しい範囲の、好ましくは冷蔵の、商業用のそのまま飲める飲料に関する。
【発明の背景】
【0002】
現在の商業用のそのまま飲める(RTD)飲料は、単相の液体からなり、冷蔵又は周囲温度で保存された状態で提供されている。これらは、典型的に、ネスフラッペ(Nesfrappe)(登録商標)などのRTDコーヒー製品、ネスレ−ブースト(Nestle−Boost)(登録商標)などのRTDジュースである。
【0003】
ゼリー状RTD製品の調製は、先行技術から知られている。これらの製品は、単相の製品からなる。多くの場合、そのゲル強度は制御することが難しく、特許特開2004−215526号公報は、飲用する前にゲルの崩壊を助けるための非食用の固体球をボトルキャップに付けることを記載している。
【0004】
しかし、消費者の飲用行為にも適合する安定で許容できる質感及び粘度をゼリー状RTD飲料にもたらすためのこのような解決法には、固体球をボトルに挿入すると、消費者がその球を飲物と一緒に飲み込む恐れがあり、それによって深刻な損傷を引き起こし得るので、非常に危険になり得る、という大きな欠点がある。
【0005】
したがって、本発明の一つの主な目的は、ゲル強度及び粘度が飲用行為に適合し、いかなる種類の消費者の希望にも適した、魅力的なそのまま飲めるゼリー状飲料、即ち、消費者にとって固すぎず又はゆるすぎず、また、消費者にとって完全に安全なRTD飲料を、消費者に提供することである。
【発明の概要】
【0006】
上述の目的は、少なくとも2つの別々の均質なゲル塊を含み、隣接する別々のゲル塊が異なるゲル強度を有する、水、果汁及び/又はミルクベースのそのまま飲めるゼリー状製品を製造するための方法であって、順に
(i)カラギーナン及びガラクトマンナンと混合された、水及び/又は果汁及び/又は乳製品のベースをそれぞれが含む、少なくとも2つの液化ゲル組成物を別々に調製するステップ、
(ii)組成物をそれぞれ別々に少なくとも10秒間、好ましくは20秒間、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃に予熱するステップ、
(iii)液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30秒〜5分の間に含まれる時間、好ましくは約2分間、少なくとも65℃、好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは70〜75℃の間に含まれる温度で混合するステップ、
(iv)液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、40℃〜50℃の間に含まれる温度、好ましくは45℃の温度で冷却するステップ、
(v)液化ゲル組成物のそれぞれの塊を常に撹拌しながら、液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30℃〜38℃の間に含まれる温度、好ましくは33℃〜35℃の間、より好ましくは34℃の温度で冷却するステップ、
(vi)液化ゲル組成物をそれぞれ容器に連続して注入するステップ
を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【0007】
好ましくは、本発明による方法において、
(i)カラギーナンの濃度は、製品のベースがミルクを含有する場合、製品の0.30重量%以下、好ましくは製品の0.15重量%以下であり、
(ii)ガラクトマンナンの濃度は、製品の0.01重量%〜0.1重量%の間に含まれる。
【0008】
加えて、本発明による方法は、室温でのゲル塊のゲル強度が、製品が完全にゼリー状の場合、10〜400gの間、好ましくは20〜300gの間、より好ましくは30〜320gの間に含まれるようにすることが好ましい。
【0009】
さらにより好ましくは、本発明の方法は、室温での製品中の隣接するゲル塊のゲル強度が、前記製品が完全にゼリー状の場合、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%異なるようにする。
【0010】
本発明はさらに、10〜400gの間、好ましくは20〜300gの間、より好ましくは30〜320gの間に含まれる様々なゲル強度を有するゲル粒子を含む、ゼリー状のそのまま飲める飲料組成物の調製のための方法であって、順に
(i)少なくとも2つの別々の均質なゲル塊を含み、隣接する別々のゲル塊が異なるゲル強度を有する、水、果汁及び/又はミルクベースのそのまま飲めるゼリー状製品を用意するステップ、
(ii)最も弱いゲル塊を崩壊させて粒子にするのに十分な時間、前記製品を手で振るステップ
を含む方法を対象とする。
【0011】
好ましくは、この方法は、ゲル塊の少なくとも1つが、Brookfield粘度計を用いて測定すると、8℃で1000mPa.s未満の粘度を有する。
【0012】
この製品の範囲は、その相(即ち、ゲル塊)が、消費者が消費前に製品を振る時だけ混合する多層の飲用製品として特徴づけられる。実際に、製品を振ることは絶対条件ではなく、消費者は、以下のとおり、消費者が選ぶ状態で製品を消費する選択肢を有する。
− 全く振らない:ゲル塊は独立し、崩壊しないままである、又は
− ある程度振る:ゲル塊の少なくとも一部が崩壊して粒子になり、少なくとも部分的に混合する、又は
− 徹底的に振る:製品中のすべてのゲル塊が崩壊して粒子になり、混合する;製品中のすべてのゲル塊のゲル強度及び粘度が低い場合、製品の最終的な外観は、実質的に均質である
【0013】
本発明の重要な新規性は、消費者が製品に加える振動強度及び継続時間によって、消費者が、得られる製品の側面をカスタマイズすることである。
【発明の詳細な説明】
【0014】
前述した通り、本発明は、少なくとも2つの別々の均質なゲル塊を含み、隣接する別々のゲル塊が異なるゲル強度を有する、水、果汁及び/又はミルクベースのそのまま飲めるゼリー状製品に関する。
【0015】
有利には、隣接する2つの別々のゲル塊のゲル強度は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%異なる。消費者によって製品に振動運動が加えられると、このような差異によって、2つの塊のうち1つが、強い方のゲル塊によってより小さい粒子に崩壊する。
【0016】
本発明の極めて好ましい実施形態において、別々のゲル塊のそれぞれは、カラギーナン及びガラクトマンナンの混合物を含む。
【0017】
製品を構成する相は、中性又は酸性とすることができる。相は、水ベース、果汁ベース又はミルクベースとすることができる。
【0018】
冷蔵した製品を用いて実行した試験において、達成された保存期間は、4〜8℃の貯蔵温度で最大45日であった。本発明による製品は、より高い温度で、典型的には室温で、少なくとも4週間保存時安定にすることもできる。
【0019】
製品(典型的に、ボトルに詰められている)を多少振ることによって、消費者は、飲用する前に製品の外観を調整することができる。全く振らなければ、消費者は、異なるゲル相を1つずつ飲用することができる。少し振れば、ゲル塊はほとんど崩壊せず大きな粒子になり、ゲル塊は別のゲル塊にほとんど混合されない。消費者が激しく長時間(例えば10秒以上)製品を振ることを選ぶ場合、異なるゲル塊は崩壊して微細な粒子になり、製品中の異なるゲル塊のチクソ性に応じて、ゲル塊は他のゲル塊と混合される。
【0020】
この革新的な製品挙動は、以下の連携によって可能になった。
生産能力:温度によるゲルの粘度及びゲル化反応速度の制御、個々の相の注入能力;これらのすべてのパラメーターは、異なる相が、製品の充填中及び充填後に手で振動させない限り混合しないような、視覚的に多相の製品の製造を確実にすることを助ける。
調合による各相のゲル強度(特に、製品を構成する異なる相の間の特定のゲル強度比、及び少なくとも1つの相の容易にゲルが崩壊する能力)の制御。
型のパッケージング寸法の調整:特に、製品を入れるパッケージの上部空間が、製品の内容量と比較して大きい場合、振動によって異なるゲル塊を一緒に混合することをより容易にすることになる。例えば、パッケージの総内部体積の少なくとも10%に相当するパッケージ中の上部の空間は、振動中の異なるゲル塊の混合プロセスを容易にすることになる。
【実施例】
【0021】
以下の表は、本発明に従って生産したゲル塊の様々な配合を提示している。下に提示した12の配合(J1〜J12)のうち、2つ(J5及びJ7)は、ゲル塊の少なくとも1つに対して測定したゲル強度が高すぎて、消費者による手動の撹拌下で容易に崩壊しないので、許容できないものとして見なされた。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
すべての濃度は、総ゲル塊の重量%で示される。また、上で実施例として示した様々なゲル塊J1〜J4、J6及びJ8及びJ12を混合して、少なくとも2つのゲル塊を含む、本発明による最終製品を作製することができる。
【0025】
上記の実施例で示した様々なゲル塊は、分析すると以下の特徴を有する。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
上で示した配合の実施例で言及した粘度を、調合に応じて、以下の通り、選択したディスク径/可動サイズ、及び回転速度を用いて、標準的なBrookfield粘度計を8℃の温度で用いることによって測定する。
J2、J4、J10及びJ12:可動 04、速度 50rpm;
J1、J3、J9及びJ11:可動 92、速度 5rpm;
J5、J6、J7及びJ8:可動 93、速度 5rpm。
【0029】
本発明者らは、コーヒーベース又は果汁ベースのゲルの場合、安定剤は、pH又は固形分の影響がほとんどなく、質感に最も関与するということを、これらの結果から学ぶ。カラギーナンのレベルが低いと、降伏応力のない「液体ゲル」になるが(配合J2、J4、J10及びJ12)、カラギーナンの濃度が高くなると、ゲルは柔らかくなる(配合J1、J3、J9及びJ11)。
【0030】
ミルクベースを用いると、ゼリー状の構造及び滑りやすい表面のために、レオロジー的測定はあまり適切ではなく、したがって、「適用せず」(na)と記される。
【0031】
しかし、このテストから結論付けられ得ることは、どのような場合でもミルク及びカラギーナンの間の相乗効果は、強力なゲルをもたらし、0.15%のカラギーナンを用いる配合(J6及びJ8)は、本発明者らの製品の粘度範囲の上限であると見なすことができるということである。したがって、徹底的に振動させても、相当するゲル塊を崩壊させて、そのゲル塊を製品中のその他のゲル塊(複数可)と混合させることは、消費者(具体的には、力の弱い子供又は高齢者の場合)には非常に難しいことであるので、配合J5及びJ7は許容できない。
【0032】
基本的に、本発明の分野において許容できると見なされるゲル塊配合のすべては、消費者が、異なるゲル塊を崩壊して、一片が平均5mm未満の粒子にすること、及び500mlの製品の容量に対して、30秒未満、好ましくは15秒未満の時間、好ましくは5〜10秒間に含まれる時間、パッケージングされた製品を手で振動させることによって、前記ゲル塊を混合することを可能にするものである。
【0033】
本発明の目的は、いかなる特殊な努力をせず、良好な健康状態の少なくとも5歳のいかなるタイプの人でも振ることができる製品を、消費者に提供することである。
【0034】
方法
本発明による製品を生産するための方法は、順に
(i)カラギーナン及びガラクトマンナンと混合された、水及び/又は果汁及び/又は乳製品のベースをそれぞれが含む、少なくとも2つの液化ゲル組成物を別々に調製するステップ、
(ii)組成物をそれぞれ別々に少なくとも10秒間、好ましくは20秒間、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃に予熱するステップ、
(iii)液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30秒〜5分の間に含まれる時間、好ましくは約2分間、少なくとも65℃の温度、好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは70〜75℃の間に含まれる温度で混合するステップ、
(iv)液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、40℃〜50℃の間に含まれる温度、好ましくは45℃の温度で冷却するステップ、
(v)液化ゲル組成物のそれぞれの塊を常に撹拌しながら、液化ゲル組成物をそれぞれ別々に、30℃〜38℃の間に含まれる温度、好ましくは33℃〜35℃の間、より好ましくは34℃の温度で冷却するステップ、
(vi)液化ゲル組成物をそれぞれ容器に、40℃未満の温度で、好ましくは30℃より低い温度で連続して注入するステップ
を含む。
【0035】
製品の生産プロセス中、ゲル化反応速度及びゲルの硬度をさらに制御するために、より少ない量のカラギーナンを使用することに重点を置いて、さらなるテストを実行し、ゲル硬度(ゲル強度)と粘度とのバランスを取るために、ガラクトマンナン(例えばグアー)と時々混合した。
【0036】
理解され得るように、カラギーナンのレベルは、ゲル塊の粘度(流動性)に主に影響を与えることになり、一方、ガラクトマンナンのレベルは、ゲル強度(機械的拘束下で崩壊する能力)に主に影響を与えることになる。
【0037】
意外なことに、グアーに対するカラギーナンの特定の濃度及び比のために、充填中及び充填後に混合しない異なる製品相を連続して注入し、スプーンですくうことができる側面を得ることが可能であったことが観測された。
【0038】
注入中の製品のゼリー化を防ぐ、ゼリー化点より低いが動態である温度で注入することは、液体状態の2つのゲルを交互に注入可能するためには不可欠であり、そうでなければ、このレベルの温度で流動的でなくなる。ゲル塊(動態)中の一定の撹拌によって、各ゲル塊が目的のパッケージングに注入されるまで、流動性が注入に対して保証される。注入ステップ後、撹拌を止めると、ゲル塊は、極めて急速に(即ち数秒以内で)ゼリー状になる。その結果、同じパッケージングに数秒以内に1つずつ連続して注入される2つのゲル塊は、互いに入り込まない。
【0039】
言い換えれば、この原理は以下の通りである。相が、別法として、35〜45℃で透明なボトルに不安定な液体状態で注入される;ゲル塊のこの不安定な液体状態は、前記塊の連続的な撹拌によって維持することができ、このことがこれらの塊にエネルギーをもたらし、それによってゼリー化が起こることを防ぐ;撹拌を止めるとすぐ、各ゲル塊は、非常に急速に(数秒以内で)ゼリー化し始めるので、異なるゲル塊の連続注入を速くする(2つの異なるゲル塊を注入する間の途切れが数秒間であること)、即ち、高速製造の商業的なニーズに適合させても、パッケージに1つずつ注入されるゲル塊は、互いに入り込まない。
【0040】
注入後約30秒(又はゲル塊の配合及びゲル化剤の濃度によってはそれ以下)、及び隣接するゲル塊に入り込み始める前に、各相(ゲル塊)は、固体状態になり始める。
任意選択で、追加の層(トッピング、ピューレ、ムース、異なる着色又は芳香を有するその他のゲル)をこのゲル化混合物の上部に追加し、二層の飲物を作製することができる。
次いで、製品を密閉し、4℃に冷却する。この冷却ステップは、各相の最終ゲルの固化を達成し、製品を「凝固させる」ことを助ける。
このような状態で、未混合の相又は層が自由に動く危険性を少なくして、製品を輸送することができる。
消費者が、ボトルを取り扱い、少なくとも5〜10秒間ボトルを振る時のみ、相が流動化/崩壊/混合することになる。
【0041】
本発明は、以下の利点を提供する。
消費者に、最終的に泡状のトッピングなどの別の相を有し、製品が消費されるまで魅力のある安定な視覚的外観を示す、多相の飲用ゲルを提供する(多層とは、製品が異なるゲル塊を含むことを意味する)。
製品の視覚的外観は、製品を振るかどうかを選ぶことによって、完全に消費者が選ぶことができる;口での知覚(又は「口当たり」)も、製品を、多かれ少なかれ振ること、又は全く振らないことによって、消費者が自由に選ぶことができる;典型的には、質感(ゲル塊、大きい粒子、小さい粒子など)、粘度(ゲル塊中のチキソトロピー効果により、振動によって粘度が低下し得る)は、消費する前、又は消費中でさえ、消費者が自由に調整することができる(消費者は、パッケージを再度閉めて、次に飲み込む前に製品を振ることを選ぶことができる)。
生産業者は、少なくとも2つの飲用ゲル相を混合することなく1つのボトルに注入することができるが、既存の製造ラインを使用してもゲル相はゼリー化し、消費者が製品を消費する機会を持つまで、輸送中は混合せずに保たれる。
製品の配合は、変更することができ、様々な成分を組み入れることができ、例えば、製品中のゲル塊はすべて、純粋に天然で味の良い成分から作製することができる。
【0042】
本明細書に記載した現在好ましい実施形態の様々な変更及び改変は、当業者には明らかであろうことを理解するべきである。このような変更及び改変は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、及びその付随する利点を損なうことなく行うことができる。したがって、これらの変更及び改変は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。