(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、分子中に少なくとも1個のメルカプト官能性有機基及び少なくとも1個のアミノ官能性有機基が存在するオルガノポリシロキサンである。本明細書において用いる「メルカプト官能性有機基」とは、硫黄原子を含有するいずれかの有機基である。「アミノ官能性有機基」とは、窒素原子を含有する有機基である。
【0011】
オルガノポリシロキサンは、独立して(R
3SiO
0.5)、(R
2SiO)、(RSiO
1.5)、又は(SiO
2)シロキシ単位から選択されるシロキサン単位を含有するポリマーであり、式中、Rはいずれかの一価有機基であってもよい。オルガノポリシロキサンの(R
3SiO
0.5)、(R
2SiO)、(RSiO
1.5)、又は(SiO
2)シロキシ単位中のRがメチル基である場合、シロキシ単位は一般的にはそれぞれM、D、T、及びQ単位と称される。これらのシロキシ単位は各種方法で組み合わせ、環状、線状、又は分岐構造を形成することができる。得られるポリマー構造の化学的及び物理的特性は変わり得る。例えば、オルガノポリシロキサンは、平均ポリマー式中のシロキシ単位の数及びタイプに応じて揮発性又は低粘度流体、高粘度流体/ガム、エラストマー又はゴム、及び樹脂とすることができる。Rはいずれかの一価有機基であってもよく、あるいはRは1〜30個の炭素を含有する炭化水素基であり、あるいはRは1〜30個の炭素原子を含有するアルキル基であり、又はあるいはRはメチルである。
【0012】
本発明のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、R
nSiO
(4−n)/2中のR基の少なくとも1個がメルカプト基であり、R基の少なくとも1個がアミノ基であることにより特徴づけられる。アミノ官能性基及びメルカプト官能性基は、R置換基を有するいずれかのシロキシ単位上に存在していてもよい、すなわち、それらはいずれかの(R
3SiO
0.5)、(R
2SiO)、又は(RSiO
1.5)単位上に存在していてもよい。
【0013】
アミノ官能性有機基は、本明細書において式中でR
Nと指定され、式:−R
1NHR
2、−R
1NR
22、又はR
1NHR
1NHR
2を有する基により示され、式中、各R
1は独立して少なくとも1個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、R
2は水素又はアルキル基である。各R
1は一般的には2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基である。R
1は:−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CHCH
3−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−、及びCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−のような基により示される。アルキル基R
2はRについて上で例示したとおりである。R
2がアルキル基である場合、一般的にはメチルである。
【0014】
適切なアミノ官能性炭化水素基のいくつかの例としては:−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CHCH
3NH、−CH
2CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2NHCH
3、−CH
2CH
2CH
2NHCH
3、−CH
2(CH
3)CHCH
2NHCH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2NHCH
3、−CH
2CH
2NHCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2NHCH
2CH
2NHCH
3、−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2NHCH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2CH
2NHCH
3、及びCH
2CH
2NHCH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2CH
3がある。一般的には、アミノ官能性基は−CH
2CH
2CH
2NH
2である。
【0015】
メルカプト官能性有機基は本明細書において式中でR
Sと指定され、式:−R
1SR
2を有する基により例示される。式中、R
1及びR
2はそれぞれ上で定義したとおりである。メルカプト官能性基は、以下の式:CH
2CH
2CH
2SH、−CH
2CH(CH
3)SH、−CH
2CH
2CH
2CH
2SH、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、−CH
2CH
2SCH
3により例示される。一般的には、メルカプト官能性基は−CH
2CH
2CH
2SHである。
【0016】
アミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、以下の平均式を有するシロキシ単位を含む。
[R
2SiO]
a[RR
NSiO]
b[RR
SSiO]
c
式中、aは1〜4000、あるいは1〜1000、あるいは1〜200であり、bは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、cは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、Rは独立して一価有機基であり、あるいはRは1〜30個の炭素原子を含有する炭化水素であり、あるいはRは1〜12個の炭素を含有する一価アルキル基であり、又はあるいはRはメチル基であり、R
Nは上で定義したような一価アミノ官能性有機基であり、R
Sは上で定義したような一価メルカプト官能性有機基である。
【0017】
式[R
2SiO]
a[RR
NSiO]
b[RR
SSiO]
c中のシロキシ単位はいずれの順序であってもよく、換言すると、この式は指定シロキシ単位のいずれの順序も意味しない。さらに、アミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンは追加の(R
3SiO
0.5)、(R
2SiO)、(RSiO
1.5)、又は(SiO
2)シロキシ単位を含有することができる。アミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンは、(ターポリマーの末端シロキシ単位上にシラノール基をもたらす)ヒドロキシ基で、又は(ターポリマーの末端シロキシ単位上にアルコキシ基をもたらす)1〜30個の炭素原子を含有するアルキル基で終端することができる。アルキル基を用いる場合、アルキル基は1〜30個の炭素を含有する線状又は分岐アルキルとすることができ、あるいはアルキル基はステアリルのような炭素原子4〜20、あるいは8〜20個の長鎖アルキル基とすることができる。あるいは、オルガノポリシロキサンはトリメチルシリル基のようなトリアルキルシリル基で終端することができる。
【0018】
本発明のアミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンを表すことができる平均式の代表的な、非限定的な例としては、
HO−[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
cH
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
cSi(CH
3)
3
HO[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
c[(CH
3)SiO
1/2]
dH
HO[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
c[SiO
2]
eH
HO[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
c[(CH
3)SiO
1/2]
d[SiO
2]
eH
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
a[(CH
3)R
NSiO]
b[(CH
3)R
SSiO]
c[(CH
3)SiO
1/2]
d[SiO
2]
eSi(CH
3)
3が挙げられる。
式中、aは1〜4000、あるいは10〜1000、あるいは10〜400であり、bは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、cは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、dは0〜200、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、eは0〜200、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、R
N及びR
Sは上で定義したとおりである。
【0019】
1つの実施形態では、アミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンは、以下の平均式の例によって表すことができる。
【化1】
式中、aは1〜4000、あるいは10〜1000、あるいは10〜400であり、bは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、cは1〜1000、あるいは1〜100、あるいは1〜50であり、R’はH、1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、又は(CH
3)
3Siである。
【0020】
本発明のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、追加の有機官能性基を含有することもできる。本明細書において用いられる「有機官能性基」とは、いずれかの数の炭素原子を含有する有機基を意味するが、その基は炭素及び水素以外の少なくとも1個の原子を含有する。こうした有機官能性基の代表的な例としては、アミン、アミド、スルホンアミド、第4級、エーテル、エポキシ、フェノール、エステル、カルボキシル、ケトン、ハロゲン置換アルキル及びアリール基が挙げられる。
【0021】
本発明のアミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンは、成分:
(A)ジアルコキシジアルキルシランと、
(B)アミノ官能性アルコキシシランと、
(C)メルカプト官能性アルコキシシランと、
任意に、(D)アルコール、モノアルコキシシラン、又はジシラザンから選択される末端ブロック剤と
を混合し、成分のうちで縮合反応を開始させることにより調製することができる。一般的には、水を成分(A)、(B)、及び(C)の混合物に添加し、成分の加水分解を引き起こし、縮合反応を促進する。添加する水の量は変わり得るが、一般的には成分(A)、(B)、及び(C)との混合物の10〜60重量パーセント、あるいは20〜40重量%である。
【0022】
他の添加剤を成分(A)、(B)、及び(C)に添加し、反応を促進する、又は得られる製品品質を向上させることができる。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような色及び透明度を向上させることが知られる化合物を反応混合物に添加することができる。
【0023】
成分(A)〜(D)と組み合わせて用いられるこうした添加剤の量は、変わり得るが、一般的には効果的な量は通常反応混合物の0.1〜5重量パーセント程度である。
【0024】
1つの実施形態では、ジアルコキシジアルキルシランはまず水と及び任意でEDTAと組み合わされる。この実施形態では、アミノ−メルカプト官能性ポリシロキサンは、
I)(A)ジアルコキシジアルキルシラン及び水の混合物を加熱する工程と、その後、
II)(B)アミノ官能性アルコキシシラン及び(C)メルカプト官能性アルコキシシラン、並びに、任意に、(D)アルコール、モノアルコキシシラン、又はジシラザンから選択される末端ブロック剤、を添加する工程と、
III)得られた混合物を縮合反応によって反応させる工程と、
によって調製することができる。
【0025】
縮合反応は、一般的には縮合触媒の添加を含む。縮合触媒は当技術分野において知られるいずれかのシラノール縮合触媒から選択することができ、酸又は塩基のいずれかであってもよい。縮合触媒は、オルトリン酸ナトリウムのようなリン酸塩と組み合わせて用いられる、アルカリ金属水酸化物又はスズ化合物のような強塩基であってもよい。触媒は有機酸であってもよい。有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリト酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、サリチン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。無機酸の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸及びリン酸が挙げられる。触媒はまた第4級アンモニウム塩又はカルボン酸、ルイス酸若しくはルイス塩基であってもよい。縮合触媒は通常、総反応成分に対して0.0005〜5重量/重量%、あるいは0.001〜1重量パーセントで添加される。
【0026】
本方法中の成分(A)は、一般式:R
22Si(OR
2)
2により表すことができるジアルコキシジアルキルシランであり、式中、Meはメチルであり、R
2は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基である。一般的にはジアルコキシジアルキルシランはジメトキシジメチルシランである。
【0027】
アミノ官能性アルコキシシラン(B)は、分子中にアミノ官能性有機基及び少なくとも1個のSiに結合したアルコキシ基を含有する。アミノ官能性有機基は、R
Nにより表されるような、上述のアミノ官能性有機基のいずれかから選択することができる。よって、アミノ官能性アルコキシシラン(B)は、以下の式を有するシラン化合物から選択することができる。
R
3hR
NiSi(OR
4)
[4−(h+i)]、
式中、hは0、1又は2であり、iは1又は2であるが、ただし(h+i)≦3であり、
R
3は1〜30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
R
4は1〜20個の炭素原子を含有するアルキル基である。アミノ官能性アルコキシシランは当技術分野において知られ、多く市販されている。
【0028】
本発明の方法中の成分(B)に適したアミノ官能性アルコキシシランの代表的、非限定的な例としては:
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
4NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)SiCH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)
2NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)SiCH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)
3NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH(CH
2)
4NH
2、
(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3O(CH
2)
2NH
2、及び同様のエトキシ(C
2H
5O)シランが挙げられる。アミノ官能性アルコキシシラン(B)はまた2個以上の独立した上述のアミノ官能性アルコキシシランの混合物であってもよい。
【0029】
メルカプト官能性アルコキシシラン(C)はメルカプト官能性有機基を含有し、上でR
Sと指定した上記メルカプト官能性有機基のいずれかから選択することができる。よって、メルカプト官能性アルコキシシラン(C)は、以下の式を有するシラン化合物から選択することができる。
R
3hR
SiSi(OR
4)
[4−(h+i)]
式中、hは0、1又は2であり、iは1又は2であるが、ただし(h+i)≦3であり、
R
Sは上で定義したようなメルカプト官能性有機基であり、
R
3は1〜30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
R
4は1〜20個の炭素原子を含有するアルキル基である。メルカプト官能性アルコキシシランは当技術分野において知られ、多く市販されている。
【0030】
本発明の方法中の成分(C)に適したメルカプト官能性アルコキシシランの代表的、非限定的な例としては:
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH(CH
3)SH、
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
2(CH
3)SiCH
2CH
2SCH
3、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH(CH
3)SH、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2SH、
(C
2H
5O)
3SiCH
2CH
2SCH
3、及び対応するメトキシ系シランが挙げられる。
【0031】
任意で、アルコール、モノアルコキシシラン、又はジシラザンから選択される末端ブロック剤(D)を成分(A)、(B)、及び(C)と適切な触媒で共反応させる。アルコールはオルガノポリシロキサン中に末端ブロックアルコキシ基として組み込まれる傾向がある。いずれの理論にも縛られることを望まないが、本発明者らは、アルコール基とSi−OHとの間の反応がSi−アルコキシ基とSi−OH基との間の反応よりかなり遅いが、アルコールが分子量の調整剤として機能するには十分に速いと考える。アルコール又はその他の鎖停止試薬の非存在下で、高分子量ヒドロキシル末端アミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンが生成される。アルコールは、8〜30個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばn−オクタノール、n−デカノール、オクタデカノール、セチルアルコール又は線状及び分岐12〜16Cアルコールの市販の混合物とすることができる。こうした高分子量脂肪族アルコールは、6〜20個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸を用いて透明な液体反応生成物を生成する場合に好ましい。あるいは、アルコール(D)はエーテルアルコール、例えば2−メトキシプロパノール若しくは2−ブトキシエタノール又はヒドロキシ末端ポリエーテル、例えばポリエトキシル化脂肪アルコール若しくはポリプロピレングリコールモノエーテルであってもよい。
【0032】
あるいは、Rが一価有機基であるモノアルコキシシランROSiR
3をアミノシラン(B)、ジアルコキシジアルキルシラン(A)、及びメルカプトシラン(C)と適切な触媒の存在下で共反応させることができる。R
3Si基は末端ブロック基としてメルカプト含有アミノ官能性ポリシロキサン中に組み込まれる。あるいは、末端ブロック剤はヘキサメチルジシラザンのようなジシラザンであってもよい。
【0033】
成分(A)、(B)、(C)、及び任意で(D)の量は、各種分子量並びに各種量のアミノ及びメルカプト官能性基を有するアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンを生成するために変わり得る。上述のように、添加する(D)の量はアミノ−メルカプトオルガノポリシロキサンの全分子量又は重合度を制御する。一般的には成分(A)、(B)、及び(C)のモル量はそれぞれ:
(A)+(B)+(C)が合計100%となり、
(A)1〜99.5、あるいは10〜60、又はあるいは30〜40、
(B)0.5〜60、あるいは10〜40、又はあるいは20〜30、
(C)0.5〜60、あるいは10〜40、又はあるいは20〜30
のモルパーセントをもたらすように選択される。
【0034】
[(B)+(C)]/[(A)+(B)+(C)]のモル比は、0.05〜1、あるいは0.5〜1、又はあるいは0.9〜1と変化し得る。
【0035】
ジアルコキシジアルキルシラン(A)、アミノシラン(B)及びメルカプトシラン(C)の間の反応は0〜200℃の範囲内のいずれかの温度で行うことができる。少なくとも50℃の温度が好ましく、もっとも好適には60℃〜120又は140℃である。反応は5ミリバール〜5バールの範囲内の圧力で、例えば周囲圧力で行うことができる;反応の少なくとも後期は、とくに反応システムからの揮発性副生成物の除去を促進する必要がある場合、減圧下、例えば10〜400ミリバールで行われることがしばしば好ましい。
【0036】
アミノシラン、ジアルコキシジアルキルシラン及びメルカプトシランの間の反応は液相中に不希釈で、又はあるいは溶媒中で行うことができる。
【0037】
ジアルコキシジアルキルシラン(A)、アミノシラン(B)及びメルカプトシラン(C)の間の反応は、所望に応じて、液体有機又はシリコーン非反応性希釈剤の存在下で行うことができる。好適な希釈剤は、375mPas未満、例えば5〜100mPa.sの粘度を有する非反応性ポリシロキサンである。こうしたポリシロキサンの例としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン若しくはヘキサデカメチルヘプタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン若しくはドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]−トリシロキサン(M3T)、ヘキサメチル−3,3,ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン(M4Q)若しくはペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、又は非反応性、例えばトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。少なくとも5個のケイ素原子を有する環状ポリシロキサン、とくにデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)がとくに好ましい。あるいは、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒は脂肪族又は芳香族炭化水素であってもよい。
【0038】
液体有機又はシリコーン非反応性希釈剤は反応の開始から存在することができ、又は反応中に添加することができる。非反応性希釈剤の使用は、高分子量及び高粘度のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンを含有する扱いやすい組成物の生成を可能にする。10Pa.sより大きい、好適には20Pa.sより大きい、及び最大100Pa.s以上の粘度のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、繊維における用途に適した粘度の溶液又は分散液として調製することができる。非反応性希釈剤がシリコーンである場合、生成物は一般的にはアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンの溶液である。これらの高粘度アミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、繊維潤滑剤としてコンディショニングにおいてとくに効果的である。高分子量アミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンを生成する場合、調製の後期中にいくつかの試薬を除去することが好ましくあり得る。例えば、ジアルコキシジアルキルシラン(A)、アミノシラン(B)及びメルカプトプロピルシラン(C)ははじめに、鎖停止剤として機能するアルコールの存在下で反応させることができる。シリコーン非反応性希釈剤は反応中に添加することができる。反応を次に継続させ、アミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンの鎖長を増加させることができる。こうした継続的反応は例えば温度上昇及び/又は減圧で行い、アルコールの除去を促進することができる。存在する液体有機又はシリコーン非反応性希釈剤の量は例えば、アミノシラン(A)、ジアルコキシジアルキルシラン(B)及びメルカプトシラン(C)の総重量に対して10〜2000重量%、好適には20〜500重量%とすることができる。非反応性希釈剤中のアミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンの得られる溶液は、用いる際に必要に応じてさらに希釈することができる。
【0039】
アミノ−メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、繊維に向上した手触りとともに撥油性(疎油性)を与えるフルオロシリコーン化合物を調製するためのフッ化炭素との反応剤としても有用である。
【実施例】
【0040】
以下の実施例は本発明の組成物及び方法をさらに例示するために提示され、本発明を限定すると解釈されるものではない。実施例中のすべての部及び割合は重量に基づき、すべての測定値は、とくに反対の指示がない限り、約23℃で得られた。
【0041】
例1(比較例)
予備混合物を、窒素パージした以下の成分を有するガラス瓶中で調製した。
1.シラノール末端ポリジメチルシロキサン(Mn〜900) 416.2グラム
2.メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 130.3グラム
3.アミノプロピルメチルジメトキシシラン 15.28グラム
4.トリメチルエトキシシラン 27.14グラム
予備混合物は<10センチポイズの粘度を有する均質な透明/無色の混合物を形成した。予備混合物は周囲温度で数日間保存し、色又は粘度の変化は見られなかった。オーバーヘッドコンデンサー及びレシーバーを備えた加熱撹拌3口丸底フラスコに、587.04グラムの予備混合物及び1.416グラムのオクタン酸(CAS#124−07−2)を入れた。J−KEM Scientific(商標)のGemini温度制御器を用い、底の電熱マントルを制御し、オーバーヘッドの温度をガラスサーモウェル中のJ型熱電温度計で観測した。ポット温度を20℃から85℃まで4時間かけて上昇させた。毎分10cc未満の窒素の流速で窒素バブラーを用いて圧力を763mmHgで維持した。レシーバー中の揮発物のゆっくりとした蓄積は83.5℃のポット温度及び64℃のオーバーヘッド温度で開始した。ポット圧力を35mmhgまで45分間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を49℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、51グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット材料は15.38センチストークの粘度を有した。ポット圧力を35mmhgまで1時間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を40℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、27グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット材料は21.2センチストークの粘度を有した。ポット圧力を35mmhgまで1時間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を32℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、30グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット材料は35.85センチストークの粘度を有した。ポット圧力を35mmHgまで1と1/2時間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を37℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、34グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット材料は透明無色であり、60.45センチストークの粘度を有した。
【0042】
例2
予備混合物を、窒素パージした以下の成分を有するガラス瓶中で調製した。
1.ジメチルジメトキシシラン 626.7グラム
2.メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 129.6グラム
3.アミノプロピルメチルジメトキシシラン 15.13グラム
4.トリメチルエトキシシラン 27.38グラム
予備混合物は<10センチポイズの粘度を有する均質な透明/わずかにピンクの混合物を形成した。予備混合物は周囲温度で数時間保存し、粘度の変化は見られなかったが、薄ピンク色は持続した。オーバーヘッドコンデンサー及びレシーバーを備えた加熱撹拌3口丸底フラスコに、795.53グラムの予備混合物及び372.09グラムの水道水を入れた。ポット温度を20℃から85℃まで4時間かけて上昇させた。毎分10cc未満の窒素の流速で窒素バブラーを用いて圧力を763mmHgで維持した。レシーバー中の揮発物の蓄積は一定であり、ポット内容物は加熱中濁ったままだった。加熱の4時間後、440.33グラムの揮発物を除去した。ポット圧力を762mmhgから100mmHgまで1時間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を82℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、190.03グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット材料は27.73センチストークの粘度を有し、濁りが消え、透明で均質なポリマー溶液が生成され、これに1.406グラムのオクタン酸を添加した。ポット圧力を35mmhgまで1時間かけて低下させ、その間にポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を35℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、ポットをサンプリングし、粘度は32.75センチストークだった。圧力を35mmHgまで低下させ、3/4時間保持し、ポット温度を85℃で維持し、オーバーヘッド温度を41℃まで低下させた。圧力を窒素で763mmHgまで上昇させ、15.74グラムの揮発物をレシーバーから除去した。トリメチルエトキシシラン(4.708グラム)をポットに添加し、窒素での763mmHgの圧力とともに温度を85℃で1時間維持した。ポット内容物は0.45ミクロンのシリンジフィルターでのろ過後わずかに濁り、褐色であり、色及び濁りは変わらなかった。完成材料はわずかに濁り、淡褐色及び54.216センチストークの粘度だった。
【0043】
例3
予備混合物を、窒素パージした、オーバーヘッドコンデンサー及びレシーバーを備えた、以下の成分を有する加熱撹拌3口丸底フラスコ中で調製した。
1.ジメチルジメトキシシラン(蒸留) 799.94グラム
2.ヘプタン 30.03グラム
3.メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 165.51グラム
4.アミノプロピルメチルジメトキシシラン 19.41グラム
5.ヘキサメチルジシラザン 23.47グラム
6.脱イオン水 400.44グラム
予備混合物は撹拌すると濁る二相混合物を形成した。混合物を40℃まで1分かけて加熱し、1.69グラムのオクタン酸を添加した。フラスコを50℃まで加熱し、1/2時間保持し、一晩冷却させた。翌朝、最上層が濁った二成分混合物が見られた。フラスコ内容物を85℃まで1と1/2時間かけて加熱し、材料は71.3℃のポット温度でレシーバー中に集まり始めた。レシーバーを空にし、584.94グラムの揮発物を除去した。ポット内容物を真空フラッシュ装置に移した。この装置は真空レベルを制御するためのJ−Kem(登録商標)Scientific Infinity controller及び温度を制御するためのJ−Kem(登録商標)Scientific Gemini controllerを用いた。1時間かけて温度を40℃から87℃まで上昇させ、真空を721から74mmHgまで低下させた。真空を窒素で破壊し、215.9グラムの揮発物を除去した。2時間かけて温度を85℃で制御し、真空を721から33.5mmHgまで低下させた。真空を窒素で破壊し、9.71グラムの揮発物を除去した。2時間かけて温度を85℃で制御し、真空を721から33.1mmHgまで低下させた。真空を窒素で破壊し、3.4グラムのヘキサメチルジシラザンを添加した。<10cc/分での750.4mmHgの圧力とともに温度を85℃で1時間制御した。N
2をドライアイストラップから窒素バブラーまでに流した。加熱を一晩止め、翌朝2.71グラムの揮発物をレシーバーから回収し、44.41グラムの揮発物をドライアイストラップから回収した。ポットから67.63センチストークの粘度を有する483.3グラムの透明な生成物を回収した。
【0044】
例4
オーバーヘッドコンデンサー及びレシーバーを備えた3口丸底フラスコに、以下の成分を入れた。
1.ジメチルジメトキシシラン 879.61グラム
2.Versene(商標)100 0.803グラム
3.水道水 26.40グラム
内容物はわずかに黄色の、撹拌すると濁る二相混合物を形成した。混合物を50℃まで20分かけて加熱し、以下の材料を添加した。
1.ヘキサメチルジシラザン 29.42グラム
2.アミノプロピルメチルジメトキシシラン 20.91グラム
3.メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 154.27グラム
混合物はわずかに赤色に変わり、391.97グラムの水道水を添加すると素早く消えた。混合物を60℃まで加熱し、2時間保持し、1.902グラムのオクタン酸を添加した。加熱を止め、混合物を一晩撹拌しながら冷却させた。翌朝23.37グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポットを85℃まで2時間かけて大気圧で加熱した。オーバーヘッド温度は2時間かけて85℃まで上昇し、85℃での2時間後、610.17グラムの濁った揮発物をレシーバーから除去した。ポット温度を85℃で維持しながら、圧力を75mmHgまで1/2時間かけて低下させた。真空を窒素で破壊し、206.58グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット温度を90℃まで上昇させ、圧力を35mmHgまで1と1/4時間降下させた。真空を窒素で破壊し、加熱を止めた。ポットをサンプリングし、28.96センチストークの粘度を有する無色透明の材料を得た。材料を週末かけて窒素バブラーで撹拌させ、5.91グラムの揮発物をレシーバーから除去した(3日)。ポット温度を85℃まで上昇させ、圧力を30mmHgまで2時間低下させた。真空を窒素で破壊し、材料を5ミクロンのフィルターでろ過し、41.1センチストークの粘度を有する無色透明の材料を得た。5.22グラムのヘキサメチルジシラザンを得、ポット温度を85℃で1時間維持しながら圧力を29mmHgまで低下させた。真空を窒素で破壊し、加熱を止めた。ポットをサンプリングし、515.71グラムの55.79センチストークの粘度を有する無色透明な材料を得た。
【0045】
例5
オーバーヘッドコンデンサー及びレシーバーを備えた3口丸底フラスコに、以下の成分を投入した。
1.ジメチルジメトキシシラン(蒸留せず) 1194.63グラム
2.Versene(商標)100 1.072グラム
3.水道水 10.039グラム
内容物はわずかに黄色の、撹拌すると濁る二相混合物を形成した。混合物を45℃まで1時間かけて加熱し、以下の材料を加えた。
1.ヘキサメチルジシラザン 45.57グラム
2.アミノプロピルメチルジメトキシシラン 26.534グラム
3.メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 198.26グラム
4.オクタン酸 2.325グラム
5.水道水 573.86グラム
無色の二相混合物が生成された。温度を62℃まで上昇させ、4.5時間後、濁った白色混合物を形成した。6.11グラムの揮発物をレシーバーから除去し、温度を85℃まで上昇させた。85℃で4時間後、798.38グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット内容物を室温まで冷却し、真空フラッシュをセットアップした。このセットアップは、真空レベルを制御するためのJ−Kem(登録商標)Scientific Infinity controller及び温度を制御するためのJ−Kem(登録商標)Scientific Gemini controllerを用いた。1時間かけて温度を20.6℃から87℃まで上昇させ、真空を720から88.9mmHgまで降下させた。真空を窒素で破壊し、335.68グラムの揮発物を除去した。2時間かけて温度を85℃で制御し、真空を720から34.2mmHgまで低下させた。真空を窒素で破壊し、7.85グラムの揮発物をレシーバーから除去した。99.47グラムの水道水をポットに添加し、温度を72.9℃から88.3℃まで上昇させ、圧力を720から34.4mmHgまで30分間かけて低下させた。真空を窒素で破壊し、88.38グラムの揮発物をレシーバーから除去した。95.76グラムの水道水をポットに添加し、温度を77.7℃から88.1℃まで上昇させ、圧力を720から34.4mmHgまで1時間かけて低下させた。真空を窒素で破壊し、84.41グラムの揮発物をレシーバーから除去した。95.73グラムの水道水をポットに添加し、温度を77.1℃から84.5℃まで上昇させ、圧力を720から34.4mmHgまで30分間かけて低下させた。真空を窒素で破壊し、99.05グラムの揮発物をレシーバーから除去した。99.14グラムの水道水をポットに添加し、温度を73.7℃から86.5℃まで上昇させ、圧力を720から34.6mmHgまで40分間かけて低下させた。真空を窒素で破壊し、90.67グラムの揮発物をレシーバーから除去した。ポット温度を88℃で制御し、圧力を34.4mmHgで1時間制御し、ポットをサンプリングし、粘度は64.8センチストークだった。ポットを室温まで冷却し、6.58グラムのトリメチルエトキシシランを添加した。ポットを65℃まで30分間加熱し、ポット内容物を1.2ミクロンのフィルターを通してろ過した。合計763.45グラムの生成物を77.3センチストークの粘度を有する無色透明な液体として得た。