特許第5663601号(P5663601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663601
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】バイオセンサ用電極配列
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20150115BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20150115BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20150115BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   G01N27/28 301B
   G01N27/46 338
   G01N27/28 331Z
   G01N27/28 331D
   G01N27/30 F
   G01N27/30 351
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-550369(P2012-550369)
(86)(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公表番号】特表2013-518264(P2013-518264A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2011000353
(87)【国際公開番号】WO2011092010
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2013年8月19日
(31)【優先権主張番号】12/696,316
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100179257
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】ベティー、テリー
(72)【発明者】
【氏名】グロル、ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】バック、ハービー
(72)【発明者】
【氏名】ディーボルド、エリック アール
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、エイブナー
(72)【発明者】
【氏名】リッグルス、ランディ
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−510903(JP,A)
【文献】 特開2001−255297(JP,A)
【文献】 特表2009−543098(JP,A)
【文献】 特表2007−510902(JP,A)
【文献】 特表2005−537498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1および第2端部の間、および、対向する第1および第2縁部の間に広がる支持基板
前記支持基板上に位置付けられ、前記第1および第2端部の間と、前記第1および第2縁部の間とのうちの1つの間、または両方の間で、前記支持基板に沿ってびる内側エッジを含むスペーサー基板
前記スペーサー基板の前記内側エッジが、毛管路の境界を画定し、前記スペーサー基板とともに機能するカバーと、
前記毛管路内に少なくとも1つの作用電極を備え、
前記作用電極が、前記支持基板の前記対向する第1および第2端部の間の方向にびる幅と、対向する端部間で、前記幅に対して交差する長さに沿ってびる本体部分とを含み、
前記本体部分が、前記毛管路内に、前記本体部分の前記長さに沿って位置する少なくとも2つの作用電極部分を含み、前記少なくとも2つの作用電極部分は、少なくとも1つの接続部分によって接続され、
前記作用電極は、前記本体部分の対向する端部の少なくとも一方からび、前記スペーサー基板の前記内側エッジを横切るようにして、前記支持基板上の前記作用電極のリード線までびる、少なくとも1つの接続ネックをさらに含み、
前記2つの作用電極部分のそれぞれが、前記接続ネックの最大幅よりも大きい最小幅を画定し、前記接続部分は、前記接続ネックの最小幅よりも小さい最大幅を画定することを特徴とするバイオセンサ。
【請求項2】
前記毛管路が、前記支持基板の前記第1端部に注入口を含み、前記作用電極の前記本体部分の全体が、前記毛管路内に位置することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記作用電極が、前記毛管路内において、前記本体部分の対向する端部の他方からびる第2ネックを含み、前記第2ネックが、前記スペーサー基板の前記内側エッジを横切るようにしてびることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記毛管路内に少なくとも1つの対極をさらに備え、前記少なくとも1つの対極のそれぞれが、前記作用電極に隣接するように位置することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記作用電極が、前記少なくとも2つの作用電極部分の間でび、前記少なくとも2つの作用電極部分を前記毛管路において相互接続する、第1および第2接続部分を含み、前記第1および第2接続部分のそれぞれが、前記接続ネックの最小幅よりも小さい最大幅を含み、前記第1および第2接続部分が、前記接続部分と前記作用電極部分との間で、非導電性スペースによって互いから離間されていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記作用電極部分のそれぞれが、矩形、円形および楕円形のうちの1つの形状を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項7】
前記少なくとも2つの作用電極部分が、5つの作用電極部分を含み、前記少なくとも1つの接続部分が、4つの接続部分を含み、隣接する一対の前記作用電極部分が、前記4つの接続部分のそれぞれによって接続されることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項8】
前記作用電極の前記少なくとも1つの接続部分が、前記作用電極の少なくとも2つの作用電極部分の間をびる、複数の接続部分の列を含み、前記接続部分の列のうちの隣接する対は、非導電性スペースによって互いから離間し、前記接続部分の列のそれぞれは、前記少なくとも1つの接続ネックの最小幅よりも小さい最大幅を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項9】
前記作用電極の本体部分の前記少なくとも2つの作用電極部分は、前記作用電極の前記本体部分に格子状のパターンを形成するために、前記複数の接続部分の列に沿って離間する複数の作用電極部分を含むことを特徴とする請求項8記載のバイオセンサ。
【請求項10】
対向する第1および第2端部の間、および対向する第1および第2縁部の間に広がる支持基板
前記支持基板上に位置付けられるスペーサー基板であって、前記支持基板に沿ってび、前記支持基板の前記第1および第2端部の間と、前記第1および第2縁部の間とに位置する内側エッジを含むスペーサー基板
前記スペーサー基板の前記内側エッジが、毛管路の境界を画定し、前記スペーサー基板とともに機能するカバーと、
前記支持基板の前記対向する第1および第2端部の間の方向にびる幅と、対向する端部間で、前記幅に対して交差する長さとを画定する本体部分を含む、少なくとも1つの作用電極を備え、
前記長さおよび幅は、前記本体部分が前記毛管路内に位置するような大きさにされ、
前記作用電極は、それぞれが、前記本体部分の対向する端部のそれぞれから前記スペーサー基板の前記内側エッジを横切るようにしてびる第1および第2接続ネックをさらに含み、
前記本体部分は、前記第1および第2ネックのそれぞれの最大幅よりも大きい最小幅を画定し、
前記第1および第2接続ネックのそれぞれが、前記本体部分から、前記支持基板上の電極リード線にびることによって、前記第1および第2接続ネックそれぞれが、前記作用電極と、前記バイオセンサを測定器に接続するように構成された、少なくとも1つの接触部との間を電気的に接続することを特徴とするバイオセンサ。
【請求項11】
前記支持基板の前記対向する第1および第2端部と、前記対向する第1および第2縁部とが、矩形を形成することを特徴とする請求項10記載のバイオセンサ。
【請求項12】
前記毛管路は、前記支持基板の前記第1端部に位置し、前記毛管路は、前記支持基板と前記カバーとの間に、前記第1端部において注入口を含むことを特徴とする請求項10記載のバイオセンサ。
【請求項13】
前記内側エッジが、略U字型の形状を画定し、前記作用電極の前記本体部分の全体が、前記毛管路内に位置することを特徴とする請求項12記載のバイオセンサ。
【請求項14】
前記作用電極の前記本体部分が、前記本体部分の中心または中心近傍で最大幅を有し、前記最大幅から、前記第1および第2接続ネックのそれぞれに隣接する前記最小幅まで、幅がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項10記載のバイオセンサ。
【請求項15】
前記第1接続ネックは、前記支持基板に沿って前記少なくとも1つの接触部までびる電極リード線までび、前記第2接続ネックは、前記毛管路の外側に位置する電極ループ部分までび、前記作用電極が前記毛管路の内部と外側とで継続したループを形成するように、前記電極ループ部分は、前記電極リード線に前記第2接続ネックを結合することを特徴とする請求項10記載のバイオセンサ。
【請求項16】
対向する第1および第2端部の間、および、対向する第1および第2縁部の間に広がる支持基板
前記支持基板上に位置付けられるスペーサー基板であって、前記支持基板に沿ってび、前記第1縁部から前記支持基板の前記第1端部に隣接する前記第2縁部へびる内側エッジを含むスペーサー基板
前記スペーサー基板の前記内側エッジは、毛管路の境界を画定し、前記スペーサー基板とともに機能するカバーと、
前記毛管路内の少なくとも1つの作用電極とを含み、
前記作用電極は、前記毛管路内に、前記第1および第2縁部に向かってびる長さを有する本体部分を含み、前記作用電極は、前記本体部分の一端からび、前記本体部分を横切って前記支持基板の前記第2端部に向かってびる接続ネックをさらに含み、前記内側エッジは、前記本体部分から離間して、前記接続ネックを横切るようにしてび、前記接続ネックが、前記支持基板の前記第2端部に向けられており、
前記毛管路内に、第1および第2対極をさらに備え、
前記作用電極の前記本体部分は、前記第1および第2対極の間に位置し、
前記第1対極は、前記支持基板の前記第1端部と、前記作用電極との間に位置し、
前記第2対極は、前記第1および第2縁部の間に向けられた本体部分を含み、前記内側エッジが、前記第2対極の前記本体部分に沿って延びることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項17】
前記作用電極の前記本体部分の全体が、前記毛管路内に位置することを特徴とする請求項16記載のバイオセンサ。
【請求項18】
前記作用電極が、前記本体部分の対向する端部からび、前記本体部分を横切って、前記支持基板の前記第2端部に向かってびる第1および第2接続ネックを含み、前記内側エッジは、前記第1および第2接続ネックのそれぞれを横切るようにしてび、前記第1および第2接続ネックが、前記支持基板の前記第2端部に向けられていることを特徴とする請求項16記載のバイオセンサ。
【請求項19】
前記接続ネックが、前記内側エッジを横切るようにしてびる前記本体部分を、唯一電気的に接続することを特徴とする請求項16記載のバイオセンサ。
【請求項20】
前記本体部分が、前記長さの大部分に沿って最小幅を有し、前記接続ネックは、前記支持基板の前記第1および第2縁部の間でびる方向に最大幅を有し、前記本体部分の最小幅は、前記接続ネックの最大幅よりも大きいことを特徴とする請求項16記載のバイオセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学的バイオセンサは公知である。これらは、生体試料、特に血液の様々な検体の濃度を判定するために用いられている。電気化学的バイオセンサについては、米国特許第5,413,690、5,762,770、5,798,031、5,997,817、7,073,246、7,195,705および7,473,398と、米国特許出願公開第2005/016844号明細書に記載されており、これら開示のそれぞれを参照することによって、明示的に本明細書に含まれるものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば、糖尿病および類似した病状の患者数が増加するにつれ、患者が自身の血中グルコースレベルを監視する血糖自己測定は、慣習となっている。血中グルコースレベルの自己測定の目的は、このレベルが高すぎるか、または低すぎるかに基づいて、濃度レベルを判定してから正しい措置を講じることで、これを正常な範囲に戻すことである。正しい措置が講じられなければ、深刻な合併症を生じる恐れがある。血糖測定は、糖尿病患者にとっては日常的である。血液グルコースレベルを正しく、かつ定期的にテストしないと、心疾患、腎臓病、神経損傷、失明など、深刻な糖尿病関連の合併症を引き起こす恐れがある。
【0004】
多くのバイオセンサでは、電気化学的分析を使い、検体濃度に関係する電流を測定することによって、血液グルコースレベルを判定する。こうしたバイオセンサでは、電極基板とともに毛管路を使うことができ、この電極基板は、毛管路内に作用電極領域を備える。電気化学セルの電流応答は、作用電極領域に正比例する。しかし、毛管路を画定するバイオセンサの構成要素の製造および組立ての際に、作用電極領域にばらつきができる。バイオセンサ間での、毛管路における作用電極領域のばらつきは、望ましくない。というのは、電極領域のばらつきによって、検体濃度の測定が不正確になるからである。したがって、バイオセンサ製造時に、作用電極領域のばらつきを最小限にするバイオセンサの配置が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バイオセンサに関する。このバイオセンサは、支持基板、支持基板上に位置する電極、支持基板上に位置するスペーサー基板、およびスペーサー基板上に位置するカバーを含む。カバーは、支持基板とあわせて毛管路を画定する。電極は、毛管路において作用電極領域を画定する少なくとも1つの作用電極を含む。作用電極は、毛管路内の有効作用電極領域を最大にしながらも、作用電極に対するスペーサー基板の配置のばらつきによる毛管路内の有効作用電極領域のばらつきを最小限にするように構成される。
【0006】
一態様によると、バイオセンサは、対向する第1および第2端部の間、および対向する第1および第2縁部の間に広がる支持基板、第1および第2端部間、および第1および第2縁部間の支持基板に沿って伸びる内側エッジを含んだ、支持基板上に位置付けられたスペーサー基板、スペーサー基板とあわせて、スペーサー基板の内側エッジが毛管路の境界を画定するようにするカバー、および、毛管路内の少なくとも1つの作用電極を備える。この作用電極は、幅と、この幅に対して垂直な長さ方向に沿って、その両端の間で伸びる本体部分とを含む。本体部分は、毛管路における本体部分の長さ方向に沿って位置する、少なくとも2つの作用電極部分を含み、これら少なくとも2つの作用電極部分は、少なくとも1つの接続部分によって接続される。作用電極は、本体部分の対向する両端の少なくとも1つから、スペーサー基板の内側エッジを横切るようにして伸びる、少なくとも1つの接続ネックをさらに含む。2つの作用電極部分はそれぞれ、接続ネックの最大幅(maximum or greatest width)よりも大きい最小幅(minimum or least width)を画定し、接続部分は、接続ネックの最小幅(minimum or least width)よりも小さい最大幅(maximum or greatest width)を画定する。
【0007】
この態様の1つの改良例において、毛管路は、支持基板の第1端部において注入口を有し、作用電極の本体部分は、その全体が毛管路内に位置する。
【0008】
この態様のさらなる改良例において、この作用電極は、毛管路における本体部分の両端のうちの他端から伸びる第2ネックを含み、この第2ネックは、スペーサー基板の内側エッジを横切るように伸びる。
【0009】
この態様のさらなる改良例において、作用電極は、少なくとも2つの作用電極部分の間で伸び、かつ、毛管路内で、これらを互いに接続する、第1および第2接続部分を含む。第1および第2接続部分はそれぞれ、接続ネックの最小幅(minimum or least width)よりも小さい最大幅(maximum or greatest width)を有し、第1および第2接続部分は、接続部分と作用電極部分との間の非導電性スペースによって、互いから離れている。
【0010】
この態様のもう1つの改良例において、作用電極の少なくとも1つの接続部分は、作用電極の少なくとも2つの作用電極部分間で伸びる複数の接続部分の列を含む。隣接する一対の接続部分の列は、非導電性スペースによって互いから離れ、接続部分の各列は、少なくとも1つの接続ネックの最小幅(minimum or least width)よりも小さい最大幅(maximum or greatest width)を有する。
【0011】
この態様のもう1つの改良例において、作用電極の本体部分の少なくとも2つの作用電極部分は、複数の接続部分の列に沿って離間する複数の作用電極部分を含み、作用電極の本体部分に格子状パターンを形成する。
【0012】
もう1つの態様によると、バイオセンサは、対向する第1および第2端部の間と、対向する第1および第2縁部の間に広がる支持基板、支持基板に沿って伸びる内側エッジを含む支持基板上に位置するスペーサー基板であって、内側エッジが、支持基板の第1および第2端部間と、第1および第2縁部間とに位置するスペーサー基板、スペーサー基板とあわせて、スペーサー基板の内側エッジが毛管路の境界を画定するようにするカバー、および、少なくとも1つの作用電極を備える。少なくとも1つの作用電極は、所定の幅と、本体部分の両端の間で、この幅に対して垂直な長さとを画定する本体部分を含む。この長さおよび幅は、本体部分が毛管路内に位置するようなサイズとなる。作用電極は、本体部分の両端のそれぞれから、スペーサー基板の内側エッジを横切るようにしてそれぞれ伸びる、第1および第2接続ネックをさらに含む。本体部分は、第1および第2ネックそれぞれの最大幅(maximum or greatest width)よりも大きい最小幅(minimum or least width)を画定する。第1および第2接続ネックそれぞれが、本体部分から支持基板上の電極リード線へ伸びることによって、第1および第2接続ネックそれぞれが、作用電極を電気的に接続する。
【0013】
この態様の1つの改良例において、作用電極の本体部分は、本体部分の中心で最大幅を有し、中心から第1および第2接続ネックそれぞれに向かって、幅が狭くなる。
【0014】
この態様のもう1つの改良例において、第1接続ネックは、支持基板に沿って電極接触部へ伸びる電極リード線へと伸び、第2接続ネックは、毛管路の外側に位置する電極ループ部分に伸びる。電極ループ部分が、第2接続ネックを電極リード線へ結合させることによって、作用電極が、毛管路の内部および外側に位置する、継続したループを形成する。
【0015】
もう1つの態様によると、バイオセンサは、対向する第1および第2端部の間と、対向する第1および第2縁部の間とで広がる支持基板、支持基板に沿って伸びる内側エッジを含む、支持基板上に位置するスペーサー基板であって、この内側エッジは、第1縁部から支持基板の第1端部に隣接する第2縁部に伸びるスペーサー基板、スペーサー基板とあわせて、スペーサー基板の内側エッジが毛管路の境界を画定するようにするカバー、および、毛管路内の少なくとも1つの作用電極を備える。作用電極は、その長さが毛管路内の第1および第2縁部に向かって伸びる本体部分を含む。作用電極は、本体部分の一端から支持基板の第2端部へ向かって伸びる接続ネックをさらに含む。内側エッジは、本体部分から離間し、接続ネックを横切るように伸び、接続ネックは、支持基板の第2端部に向かって伸びるように向けられている。
【0016】
この態様の1つの改良例において、作用電極の本体部分の全体が、毛管路内に位置する。
【0017】
この態様のもう1つの改良例において、作用電極は、本体部分の両端から支持基板の第2端部へ向かって伸びる第1および第2接続ネックを含み、内側エッジは、第1および第2接続ネックそれぞれを横切るように伸び、第1および第2接続ネックは、支持基板の第2端部に向けられている。
【0018】
この態様のもう1つの改良例において、本体部分は、その長さの大部分に沿って、最小幅(minimum or least width)を含み、接続ネックは、支持基板の第1および第2縁部に向かう方向で測ったときの最大幅(maximum or greatest width)を有し、本体部分の最小幅は、接続ネックの最大幅よりも大きい。
【0019】
もう1つの態様によると、バイオセンサを製造する方法は:支持基板を用意する工程、支持基板上に、本体部分と、本体部分の端から伸びる少なくとも1つの接続ネックとを含み、少なくとも1つの接続ネックの幅は、作用電極の本体部分における最小幅(minimum or least width)部分より大きい、少なくとも1つの作用電極を形成する工程、および、支持基板上にスペーサー基板を置く工程を備え、スペーサー基板は、毛管路の境界を画定する内側エッジを含み、本体部分における、最小幅を画定する部分全体が、毛管路内に位置するように、内側エッジが、作用電極の少なくとも1つの接続ネックを横切るように伸びている。
【0020】
さらなる態様によると、バイオセンサを製造する方法は、支持基板を用意する工程、支持基板上に、その長さの大部分に沿って実質的に一定の幅を画定する本体部分を含み、幅から外側へ突出する中心部分を含む、少なくとも1つの作用電極を形成する工程、および、スペーサー基板の内側エッジの、対向する部分が、本体部分の、対向する側方部分を横切るように伸び、作用電極の中心部分の全体が、内側エッジの部分によって画定された毛管路内に位置するように、支持基板上にスペーサー基板を配置する工程を備え、この中心部分は、内側エッジの部分間の本体部分の長さの半分未満を占めている。
【0021】
さらなる態様、実施態様、形態、特徴、利益、目的および利点は、発明の詳細な記載および添付の図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施態様のバイオセンサの斜視図である。
図2図1のバイオセンサの局部透視図で示される部分を含む平面図である。
図3】3−3線に沿った、図1のバイオセンサの一部の断面図である。
図4】試料受け取りチャンバおよび電極配置を示す図1のバイオセンサの一部を示す平面図である。
図5】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図6】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図7】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図8】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図9】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図10】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図11】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図12】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図13】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図14】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図15】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図16】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
図17】もう1つの実施態様の毛管路および電極配置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の原理の理解を深めるために、これから、図示された実施態様を参照し、特定の用語を使ってこれを説明する。ただし、これによって発明の範囲を制限することが意図されてはおらず、図示された装置における変更およびさらなる修正、ならびに図示されるような、本発明の原理のさらなる応用については、本発明に関連する分野における当業者が通常思いつくと考えられている、ということが理解されよう。
【0024】
本発明は、バイオセンサと、製造時のばらつきに対する有効作用電極領域の影響を減少させるバイオセンサの製造方法とに関する。本発明により、有効作用電極領域と接触する、バイオセンサの毛管路に位置付けられた検体の電気化学的分析における電流測定の精度および正確性が向上する。作用電極領域を画定するための、絶縁オーバーレイのスクリーン印刷に関わるであろう製造工程において、大幅な追加の工程または材料を必ずしも必要としないで、利点が得られるため、バイオセンサおよびその製造方法は、比較的コストが低い。本発明の態様は、図1〜17に示されるが、これらは正寸ではなく、また、いくつかの図における同じ構成要素には、同じ参照符号が付されている。
【0025】
図1〜3は、電極支持基板12と、電極14、16、18を画定する支持基板12上に位置する導電体13と、支持基板12上に位置するスペーサー基板20と、スペーサー基板20上に位置するカバー22とを有するバイオセンサ10の形態をとる本発明の態様を例示している。スペーサー基板20は、支持基板12に沿って毛管路25を画定する。電極14、16、18は、毛管路内で有効作用電極領域を画定する少なくとも1つの作用電極を含む。有効作用電極領域とは、毛管路25が測定シーケンスを開始するに十分な量の流体試料を含んだ時に、毛管路25内の流体試料に接触する作用電極の領域である。
【0026】
矩形の形状としてのバイオセンサ10が示されているが、バイオセンサ10は、本開示の原理にしたがって、多くの形状のうち、いずれにもすることができるということが理解される。さらに、バイオセンサ10は、本開示の原理にしたがって、ロール状の材料、シート状の材料またはその他の原料からつくられる、大量のバイオセンサのうち、いずれにもすることができる。一実施態様において、バイオセンサ10をつくる材料の選択肢として、ロール加工するのに十分に柔軟でありながら、バイオセンサ10の完成品に有用な剛性を与えるのに十分に硬い原料が含まれる。バイオセンサの配置、および本明細書に記載されるバイオセンサの製造方法によって、バイオセンサ間の有効作用電極領域のばらつきが最小になり、流体試料の電気化学的分析の際の、作用電極によって測定される電流の値の精度および正確性が向上する。
【0027】
作用電極、または毛管路内に露出した作用電極の少なくとも一部の形成が不正確だと、有効作用電極領域のばらつきが生じうる。しかしながら、本発明が解決しようとする、ばらつきの問題は、有効作用領域が露出している毛管路自体の形成が、不正確であるがために起こるものである。毛管路を画定するためにスペーサー層を利用するバイオセンサについては、毛管路を画定するためにスペーサー層に形成される、内側エッジまたは縁部の形成が不正確になることがある。このことは、作用電極がこうした内側エッジを横切るようにして伸びる有効作用電極領域に影響を及ぼす。この位置において、スペーサーの内側エッジのずれが、毛管路内における作用電極の露出部分を直接大きくするか、または小さくすることによって、有効作用電極領域が大きくなるか、または小さくなる。したがって、本発明は、毛管路内に露出した全作用電極領域上の内側エッジの不正確性による全ての影響を最小限にするように設計された作用電極構成に関する。
【0028】
電極支持基板12は、図2および3において示される。支持基板12は、スペーサー基板20に面する第1表面24、および第1表面24と反対側の第2表面26を含む。さらに、支持基板12は、対向する第1および第2端部28、30と、第1および第2端部28、30間で伸びる、対向する縁部32、34とを有する。支持基板12の端部28、30および縁部32、34は、概して矩形の形状を形成するように図示されているが、支持基板12の端部および縁部は、本開示の原理にしたがって、様々な形状および大きさのうち、いずれを形成してもよいことが、理解されるべきである。1つの特定の実施態様において、支持基板12は、たとえば、ポリエチレンナフタレート(PEN)といった、ポリエステルまたはポリイミドを含む、柔軟なポリマーで形成することができる。当該技術分野において当業者が思いつくような、支持基板12用の他の好適な材料についても考慮される。
【0029】
電極14、16、18は、支持基板12の第1表面24上に設けられた導電体13から形成される。導電体13に好適な材料の例として、アルミニウム、(グラファイトなどの)炭素、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、(水銀合金としての)水銀、ニッケル、ニオビウム、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレニウム、(高度にドープされた多結晶シリコンなどの)シリコン、銀、タンタラム、錫、チタニウム、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの混合物、および合金、酸化物またはこれら要素の金属化合物などが挙げられ、またこれらに限定されない。1つの特定の実施態様において、電極14、16、18は、レーザーアブレーションまたはレーザースクライビング加工によって残りの導電体13から分離されて、電極周辺に広がる領域から導電体13を、広範囲なフィールドアブレーションなどで広範囲に、または、ラインスクライビングなどによって最小限に取り除くことによって、電極14、16、18はつくられる。他の実施態様では、ラミネーション、スクリーン印刷またはフォトリソグラフィーといった、当該技術分野において当業者が思いつくであろう、電極14、16、18を形成する他の技術について考慮されている。
【0030】
電極14および18は、参照電極または対極60を画定し、電極16は作用電極70を画定する。これら電極それぞれの少なくとも一部は、毛管路25内に位置する。リード線62、64は、対極60から伸び、リード線72は作用電極70から伸びている。リード線62、64、72は、電極60、70から伸び、電極支持基板12の第2端部30にある接触部36、38、40のそれぞれとで接触する。接触部36、38、40は、その内部にバイオセンサ10が置かれたら、測定器(図示せず)またはその他の装置との電気的接続を提供する。電極60、70から伸びるリード線62、64、72は、好適な長さを有するように、かつ、電極支持基板12のあらゆる好適な位置まで伸びるように形成できると考えられる。電極の構成、電極の数、そして電極間の間隔は、本開示にしたがって、様々なものであってよく、また、本明細書においてさらに例示され、かつ説明されるように、3つ以上の電極が形成されてよいと、さらに考えられる。
【0031】
バイオセンサ10のスペーサー基板20は、電極支持基板12の縁部32、34間に伸びる第1部材40を含む。スペーサー基板20は、単一の部材または複数の部材から構成されてよいと考えられる。第1部材40は、毛管路25に面し、毛管路25の境界を画定する内側エッジ50を含む。図1〜3に例示される実施態様において、内側エッジ50は、端部28、30間および縁部32、34間に位置する、複数の部分50a、50b、50cを含む。縁部分50a、50b、50cは、毛管路25のうち少なくとも三方に沿って、略U字型のパターンで伸び、バイオセンサの端部28に試料注入口46を有する毛管路25の境界を画定する。注入口46はまた、要望に応じて、縁部32、34の1つに設けられてもよい(図示せず)。他の実施態様では、図15〜17が示すように、直線状の内側エッジ50が考えられている。さらに他の実施態様では、半卵型(hemi-ovular)、半円形またはその他の形状の毛管路を形成する内側エッジ50が考えられており、内側エッジ50の1つまたは2つ以上の部分は、その長さの全体または一部に沿って、線状または非線状の縁部を含んでよい。
【0032】
スペーサー基板20が支持基板12に結合されると、支持基板12とカバー22との間のスペーサー基板20によって形成された毛管路25内になるように、電極60および70は位置づけられる。内側エッジ50によって画定される毛管路25の幅が少しでもばらつくと、毛管路25内に位置する作用電極70の有効領域がばらつき、検体濃度に関係して測定される電流が不正確なものとなる。スペーサー基板20によって無意識に露出またはカバーされうる作用電極70の有効領域に対してスペーサー基板20が支持基板12上に位置付けられたとき、バイオセンサ10は、露出しているはずの作用電極70の有効領域を最大にするように配置される。
【0033】
スペーサー基板20は、たとえば、接着剤コーティングされたポリエチレンテレフタラート(PET)−ポリエステルを含む、柔軟なポリマーのような絶縁材料から形成される。好適な材料の例として、両面が粘着剤でコーティングされた白色PETフィルムなどが挙げられるが、これに限定されない。スペーサー基板20は、様々な材料でつくられてよく、幅広い種類の市販の接着剤を、単独、または組み合わせて使用して、支持基板12に結合されうる内側面44と、カバー基板22に結合される外側面48とを含むことが考えられる。その上、支持基板12の表面24が露出していて、導電体13によってカバーされない場合、スペーサー基板20は、熱溶接または超音波溶着といった溶着によって、支持基板12に結合されてよい。また、支持基板12の第1表面24に、たとえば、バイオセンサ10の製品ラベルまたは取扱説明(図示せず)が印刷できるということも考えられる。
【0034】
カバー基板22は、スペーサー基板20の上面48に結合される。カバー基板22は、スペーサー基板20に面する内側面58と、外側面59とを含む。さらに、カバー基板22は、反対側にある第1および第2端部61、63と、第1および第2端部61、63間に伸びる縁部66、68とを含む。バイオセンサ10が組み立てられたとき、カバー22は、スペーサー支持基板20および電極支持基板12とあわせて、試料受け取りチャンバ、または毛管路25を画定する。カバー基板22の形状は、略矩形であるが、カバー基板22は、本開示の原理にしたがって、様々な形状やサイズのうちの1つで形成されてよいということがわかる。カバー基板22は、柔軟なポリマーから、好ましくは、ポリエステルやポリイミドといったポリマーから形成してよい。好適なポリマーの例として、親水性ポリエステルフィルムが挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
ここで、図3を参照すると、毛管路25は、端部61および28に隣接する、カバー22と支持基板12との間の試料注入口46を含む。図1および2が示すとおり、毛管路25は、縁部32、66および縁部34、68のそれぞれ間に位置する。毛管路25はまた、カバー22を貫通する1つまたは2つ以上の穴部、または、排気口として機能する、縁部32、66および/または縁部34、68へ伸びる追加の通路を含んでいてもよい。毛管路25はまた、スペーサー基板20の第1部材40の内側エッジ50によって画定される。したがって、バイオセンサ10が組み立てられたとき、毛管路25は、対極および作用電極60、70の少なくとも一部を横切って伸びる。
【0036】
電気化学的試薬は、対極および作用電極60、70上に配置できる、とさらに考えられる。こうした試薬は、特定の検体用の電気化学的を提供することができる。特定の試薬は、特定の検体または測定すべき検体に依存して選択されるが、これは当該技術分野において当業者にとっては周知である。バイオセンサ10において使用できる試薬の例として、全血試料のグルコースを測定するための試薬が挙げられる。
【0037】
毛管路25における対極60および作用電極70の1つの配置が図4にさらに示されている。作用電極70は、両端部の間の長さと、この長さに沿って、この長さの大部分に対して垂直な最小幅(minimum or least width)Wlとを有する本体部分74を含む。こうした長さおよび幅は、本体部分74の全体が毛管路25内に位置するようなサイズにされる。接続ネック76は、本体部分の両端部から、内側エッジ50を横切るようにして伸びる。接続ネック76はそれぞれ、最小幅Wlより大幅に小さい最大幅(maximum or greatest width)W2を有する。接続ネック76は、内側エッジ50の部分50a、50cが、本体部分74上ではなく、接続ネック76上に確実に位置するような長さとなる。毛管路25内に位置する本体部分74の領域が、接続ネック76の領域より著しく大きいため、内側エッジ50の大きさおよび形状のばらつき、および、支持基板12上のスペーサー基板20の配置によって生じる、毛管路25における有効作用電極領域のばらつきが、最小限になる。
【0038】
さらに、作用電極70を、少なくともリード線72を介して接触部40に接続させる、両方の接続ネック76によって、測定の正確性が向上する。電極ループ部分78は、作用電極70の片側の接続ネック76からスペーサー基板20の下で伸び、毛管路25に隣接する位置で、もう一方の接続ネック76から伸びるリード線72と結合される。
【0039】
電極ループ部分78を備えたバイオセンサが、所望の基本的実施態様である範囲で、接続ネック76はさらに、電磁的干渉に対する電極、特に作用電極への影響を最小限にする、ループ部分の有効領域を最小限にすることを可能にする。
【0040】
図5は、本明細書で説明される他のバイオセンサの実施態様の他の特徴のうち、いずれとでも組み合わせて使用できる特徴を備えた、バイオセンサ100用の電極配置の、もう1つの実施態様の一部を示す。バイオセンサ100は、第1対極60および第2対極160を備えた毛管路25を含む。作用電極170は、対極60、160間において、毛管路25内に位置する。毛管路25において、十分な量の検体試料を受け取ったら検出するために、試料充足性作用電極(SSWE)180は、注入口46と反対側の毛管路25の端に位置付けられる。作用電極170は、作用電極70と類似しており、両端の間の長さと、全体が毛管路25内に位置する最小幅W1とを有する本体部分174を含む。接続ネック176は、本体部分174の両端から、内側エッジ50を横切るようにして伸びる。接続ネック176の最大幅W2は、最小幅Wlより著しく小さい。毛管路25に位置する本体部分174の面積は、毛管路25内でばらつく接続ネック176の面積よりも著しく大きいため、内側エッジ50によって形成されるチャネルのサイズのばらつきと、支持基板12上のスペーサー基板20の配置とによって生じる、毛管路25における有効作用電極領域のばらつきは、最小限となる。
【0041】
さらに、一方の接続ネック176だけが、作用電極170を接触部40に接続させる。もう1方の接続ネック176は、センスリード接続部178に伸び、センスリード接続部は、支持基板12に沿って、バイオセンサ100のもう1つの接触部(図示せず)に伸びる。
【0042】
図6は、本明細書で説明される他のバイオセンサの実施態様の他の特徴のうち、いずれとでも組み合わせて使用できる特徴を備えた、バイオセンサ200用の電極配置のもう1つの実施態様の一部を示す。バイオセンサ200は、第1対極60および第2対極260を備えた毛管路25を含む。対極60、260は、内側エッジ50を横切るようにして、支持基板12の縁部32に沿って位置するリード線62、262まで伸びる。作用電極270は、対極60、260間において、毛管路25内に位置する。チャネル25において十分な量の検体試料を受け取ったら検出するために、SSWE280および試料充足性対極(SSCE)290は、注入口46の反対側の毛管路25の端に位置づけられる。SSWE280およびSSCE290は、リード線に沿って、支持基板12上の接触部(図示せず)に伸びる。
【0043】
作用電極270は、その長さに沿って離間した、一対の作用電極部分274a、274bを備えた本体部分を含む。作用電極部分274a、274bはそれぞれ、その長さに対して垂直な最小幅W1を有し、全体が毛管路25内に位置するようなサイズになっている。ネック276は、作用電極部分274a、274bそれぞれの両端から伸び、内側エッジ50を横切るようにして、毛管路25の外側の位置まで伸びるに十分な長さを含む。ネック276の一方は、ターミナルネック(terminal neck)である。この一般的な意味としては、ネック276の一方は、毛管路の外側で途切れ、電極16の他の部分まで伸びないし、それに通じることはない。ところが、もう一方のネック276は、支持基板12上の少なくとも1つの接触部40に伸びるリード線に接続される。ネック276はそれぞれ、最小幅W1よりも大幅に小さい、最大幅W2を有する。
【0044】
さらに、作用電極部分274a、274bは、ネック276のいずれかの最小幅よりも小さい最大幅W3を有する接続部分278によって、互いに接続される。毛管路25に位置するはずの作用電極部分274a、274bの有効領域が、内側エッジ50によって生じるネック276の有効領域のばらつきより、著しく大きいため、毛管路25における有効作用電極領域のばらつきは、最小限になる。
【0045】
図7は、もう1つの実施態様の、バイオセンサ200’用電極配置の一部を示しており、これは、他に注記がなければ、バイオセンサ200と同一とすることができる。バイオセンサ200’は、対極60、260間において、毛管路25内に位置する作用電極270’を備えた毛管路25を含む。作用電極270’は、それぞれが最小幅W1を有する、一対の作用電極部分274a、274bを備えた本体部分と、作用電極部分274a、274bそれぞれの両端から、内側エッジ50を横切るようにして伸びるネック276とを含む。ネック276は、最小の第1幅W1よりも大幅に小さい最大幅W2を有する。さらに、それぞれが、ネック276それぞれの最小幅よりも小さい最大幅W3を有する、一対の接続部分278a、278bによって、本体部分274a、274bは、互いに接続される。
【0046】
図8は、もう1つの実施態様の、バイオセンサ200”用電極配置の一部を示し、これは、本明細書にて別段記載のない限り、バイオセンサ200と同一とすることができる。バイオセンサ200”は、対極60、260間において、毛管路25内に位置する作用電極270”を備えた毛管路25を含む。作用電極270”は、毛管路25内に位置する最小幅W1をそれぞれが有する一対の作用電極部分274a”、274b”を備えた本体部分と、作用電極部分274a”、274b”それぞれの両端から、内側エッジ50を横切るようにして伸びるネック276とを含む。ネック276は、最小幅W1より著しく小さい最大幅W2を有する。さらに、本体部分274a”、274b”は、接続ネック276の最小幅より小さい最大幅W3を有する接続部分278によって、互いに接続される。
【0047】
作用電極部分274a”、274b”それぞれは、それぞれのネック276と接続部分278との間に広がる楕円形状を含む。一実施態様において、ネック276と接続部分278との間の位置に電極材料を追加することによって、作用電極部分の領域の増加分が形成される。もう1つの実施態様において、本体部分274a”、274b”の間およびそれらの周りで、十分な電極材料を取り除くか、またはカバーして、接続部分278およびネック276を形成することによって、電極部分の領域の増加分は形成される。たとえば、毛管路25内において、絶縁材料で印刷するか、または接着剤および/またはスペーサー材料を置くことによって、十分に導電材料をカバーして、所望の形状および構成の本体部分を形成することができる。
【0048】
図9は、もう1つの実施態様の、バイオセンサ200'''用電極配置の一部を示す。これは、別段記載のない限り、もう1つのバイオセンサの実施態様200と同一とすることができる。バイオセンサ200'''は、対極60、260間において、毛管路25内に位置する作用電極270'''を備えた毛管路25を含む。作用電極270'''は、毛管路25内に位置する最小幅W1を有する、外側に突出する中心本体部分274a'''と、中心本体部分274a'''の両端から、内側エッジ50を横切るようにして伸びる側方部分276a'''、276b''' とを含む。側方部分276a'''、276b'''はそれぞれ、第1幅W1より著しく小さい最大幅W2を有する。さらに、側方部分276a'''、276b'''は、毛管路25内で、縁部50の両側の部分間の作用電極270'''の長さの大部分に沿って伸びる。
【0049】
一実施態様において、側方部分276a'''、276b'''は、内側エッジ50の両側の間で、作用電極270'''の全長の少なくとも50%に沿って伸びる。もう1つの実施態様において、側方部分276a'''、276b'''は、内側エッジ50の両側の間で、作用電極270'''の全長の少なくとも75%に沿って伸びる。外側に突出する中心本体部分274a'''によって、毛管路25内に位置するはずの作用電極270'''の有効領域が大きくなり、内側エッジ50によって生じる有効作用電極領域のばらつきによる効果が減少する。一実施態様において、中心本体部分274a'''は、作用電極270'''の中心、またはその近傍の幅を広くするために、側方部分276a'''、276b'''間の作用電極に、追加で導電材料を含むことによって形成される。追加で導電材料を含むのではなく、中心本体部分274a'''を形成する部分の幅を小さくすることなく、側方部分276'''の露出した幅が減少するように、スペーサーを構成(あるいは絶縁材料を追加)してよい。
【0050】
これらの実施態様のいくつかについて、1つの有用な態様となるのは、図6〜8の実施態様の少なくとも1つの接続部分であり、図9の実施態様の中心本体部分は、製造目的で、ポジティブまたはネガティブのレジストレーションパターンとして使用してよい。たとえば、製造装置は、接着剤またはスペーサー自体の正しい位置を決定するために、接続部分または中心本体部分の位置を光学的に検出するように構成することができる。本開示を考慮すると、当該技術分野において当業者は、本発明のこれらの実施態様およびその他の実施態様の、さらなる有用な態様について理解するであろう。
【0051】
図10は、本明細書で説明される、他のバイオセンサの実施態様の他の特徴のうち、いずれとでも組み合わせて使用できる特徴を備えたバイオセンサ300のもう1つの実施態様を示す。バイオセンサ300は、最小幅W1を画定する本体部分374を備えた作用電極370と、本体部分374の端から内側エッジ50を横切るようにして毛管路25の外側の位置まで伸びる、両側のネック376とを含む。本体部分374は、毛管路25内に位置する。ネック376はそれぞれ、最小幅W1よりも大幅に小さい最大幅W2を画定する。本体部分374は、格子状パターンを形成するように、作用電極部分の一連の相互接続された横列378および縦列380から構成される。非導電領域382は、横列378間および縦列380間にある。横列378および縦列380のそれぞれが、ネック376の最小幅よりも小さい最大幅を画定する。
【0052】
図10の実施態様において、対極360、390は、毛管路25内部に伸びる幅広の端部分362、392それぞれと、毛管路25を横切るようにしてそれぞれの端部分362、392へと伸びる中心セクション364、394それぞれとを含む。端部分362、392および中心セクション364、394は、作用電極370の格子状の本体部分374を囲む。さらに、内側エッジ50は、中心セクション394および端部分362、392と重なり、これらに沿って伸びる。バイオセンサ300’が、毛管路25を完全に横切って、内側エッジ50を通り、毛管路25の外側の位置まで伸びる均一の幅をそれぞれ含む対極360’、390’を含むことを除いては、図11の実施態様は、バイオセンサ300と同一である。
【0053】
図12は、もう1つの実施態様のバイオセンサ300”を示す。これは、二つの試料充足性電極配置ではなく、SSWE386”だけを含むことと、作用電極370のもう1つの構成も含むということとを除いては、もう一つのバイオセンサの実施態様300’と同一である。作用電極370”は、毛管路25内に位置する本体部分374”を含む。本体部分374”は、それぞれの絶縁または非導電の細長い列部分378”によって分離される、複数の作用電極部分の細長い列376”によって形成される。本体部分374”はまた、列376”のそれぞれの端を横切るようにして伸びて、列376”をそれぞれのネック382”と接続する、対向する作用電極端部分380”を含む。列376”のそれぞれは、最大幅Wlを画定し、ネック376”のそれぞれは、Wlよりも大きい最小幅W2を画定する。さらに、本体部分374”は、ネック382”の最大幅よりも大きい端部分380”において、最小の全幅を含む。
【0054】
図10〜12が示すように、完全に、または少なくとも部分的に、電極の導電部分で囲まれた、作用電極の「オープン」な領域、つまり非導電部分を有する、これらの実施態様のいくつかにおける1つの有用な態様は、作用電極が、短時間に亘って、作用電極部分の実際の領域に対応する領域を有する平面の電極のような作用をすることになる、ということである。しかし、長時間に亘っては、この作用電極は、作用電極部分の実際の領域と、有界な非導電部分の領域との両方を囲む領域を有する平面の電極のような作用をすることになる。したがって、時間が経つにつれ、作用電極領域は増加するようであり、このためバイオセンサは様々な測定電流の経時的変化を利用することができる。電流測定におけるこうした変化の時定数は、測定される流体または試料物質の電気活性物質の拡散係数に関係する。このため、流体の電気活性物質の濃度および拡散係数に関する情報が取得できるようになる。電流測定に関係する様々な時定数によって、キャパシタンスとファラデー電流とを別々に測定することもできる。なぜなら、キャパシタンスは、作用電極の実際の電導面領域に関係するが、より長い時間では、ファラデー電流は、非導電部分も含めて、電導性の作用電極部分によって、囲まれるか、または少なくとも部分的に囲まれる、作用電極の領域に関係するからである。したがって、作用電極は、より小さい「ピーク」電流でつくることができ、これは、電流測定装置が機能する上で役立つ。本開示を考慮すると、当該技術分野において当業者は、本発明のこれらの実施態様およびその他の実施態様の、さらなる有用な態様について理解するであろう。
【0055】
図13は、本明細書で説明される他のバイオセンサの実施態様の他の特徴のうち、いずれとでも組み合わせて使用できる特徴を備えた、もう1つの実施態様のバイオセンサ400を示す。バイオセンサ400は、第1対極460および第2対極490を備えた毛管路25を含む。作用電極470は、毛管路25内で、対極460、490間に位置する。作用電極470は、毛管路25内に位置する最大の第1幅W1を有する本体部分474と、本体部分474の両端から内側エッジ50を横切るようにして伸びるネック476とを含む。ネック476はそれぞれ、最大幅Wlより著しく小さい最大幅W2を含む。さらに、本体部分474は、本体部分474の中心またはその近傍で最大幅Wlとなり、そこからネック476のそれぞれとのジャンクションで最小幅W3にまで細くなり、この本体部分476の最小幅W3は、ネック476の最大幅W2よりも大きい。対極460、490は、それぞれが中心または中心近傍で最小幅を有し、この最小幅から、対極460、490の両側上の、内側エッジ50の部分に向かって広くなっていくように、反対側に配置される。このように配置することによって、毛管路25における作用電極領域および対極領域を最大にしながらも、内側エッジ50を横切るように伸びるはずのネック476の領域に関係して、毛管路25を画定する、内側エッジ50の部分の間に位置するはずの作用電極領域470の有効領域をより大きくもする。
【0056】
図14は、本明細書で説明される他のバイオセンサの実施態様の他の特徴のうち、いずれとでも組み合わせて使用できる特徴を備えた、もう1つの実施態様のバイオセンサ500を示す。バイオセンサ500は、第1対極560および第2対極590を備えた毛管路25を含む。作用電極570は、毛管路25内で、対極560、590間に位置する。作用電極570は、接続部分580で相互接続された複数のこぶ型作用電極部分578を備えた本体部分574を含む。ネック576は、本体部分574の両側から、内側エッジ50を横切るようにして伸びる。作用電極部分578はそれぞれ、毛管路25内に位置する最大幅Wlを有し、ネック576はそれぞれ、第1幅W1よりも大幅に小さい最大幅W2を有する。接続部分578はそれぞれ、ネック576の最小幅よりも小さい最大幅W3を含む。
【0057】
図示される実施態様では、作用電極部分578はそれぞれ、略円形を含む。他の実施態様では、作用電極部分578として、たとえば、楕円、四角、矩形、多角形および非円形の形状を含む、他のこぶ状形状(node-like shape)が考えられている。図示される実施態様では、複数のこぶは、5個のこぶ状の作用電極部分を含み、接続部分が、4つの接続部分を含み、作用電極部分の隣接する対が、その4つの接続部分のそれぞれによって接続される。他の実施態様では、こぶ状の部分を接続する、適切な数の接続部分を備えた、2つまたはそれ以上のこぶ状部分について考えられている。
【0058】
図15は、全幅での端部投与(full width end dose)のバイオセンサである、もう1つの実施態様のバイオセンサ600を示す。バイオセンサ600は、支持基板612の全幅に亘って広がる毛管路625を含む。毛管路の縁部650は、スペーサー基板620によって形成される。第1対極660および第2対極690は、毛管路625に亘って伸び、作用電極670は、毛管路625内で、対極660、690間に位置する。SSC692およびSSW694は、支持基板612の縁部に隣接するように、毛管路625内に位置する。バイオセンサ600の、記載のない部分は、本明細書で説明されるバイオセンサの実施態様のあらゆる特徴を含むことができる。
【0059】
作用電極660は、支持基板612の側縁間をその側縁に向かって水平方向に伸びる本体部分674と、毛管路625の反対側のバイオセンサ600の端部へ向かって、本体部分674から垂直に伸びる、反対側にある接続ネック676とを含む。内側エッジ650が接続ネック676を横切るようにして伸び、かつ、本体部分674の全体が毛管路625内に位置するように、スペーサー基板612は位置づけられる。このような配置によって、接続ネック676に沿って内側エッジ650を配置する位置のため、および/または内側エッジ650によって形成される毛管路625の境界が不規則になると、そのために生じうる、有効作用電極領域のばらつきに関係する、毛管路625内に位置するはずの作用電極670の領域が最大になる。
【0060】
図16は、図15のバイオセンサ600のもう1つの実施態様を示す。バイオセンサ600’は、本体部分674’から内側エッジ650を横切るようにして伸びる、接続ネック676’を1つだけ含む作用電極670’を含む。したがって、接続ネック676’によって形成される、毛管路625内の作用電極670’の有効領域は、図15の実施態様の接続ネック676によって形成される有効領域の半分である。したがって、毛管路625内に位置するはずの作用電極670’の本体部分674’の領域は、接続ネック676’に沿った、内側エッジ650を配置する位置のため、および/または内側エッジ650によって形成される毛管路625の境界が少しでも不規則になると、そのために生じうる、有効作用電極領域のあらゆるばらつきより、著しく大きい。
【0061】
図16の実施態様は、対極の配置が、図15の実施態様とは、さらに異なる。対極660’、690’は、支持基板612の片側に沿って、単一のリード線662’に接続される。図15および図16両方の実施態様において、内側エッジ650は、対極690、690’に沿って伸び、これらに部分的に重なる。
【0062】
図17は、図16の全幅での端部投与のバイオセンサ600’のもう1つの実施態様を示す。バイオセンサ600”は、本体部分674”から内側エッジ650を横切るようにして伸びる接続ネック676”を1つだけ含んだ作用電極670”を含む。さらに、作用電極670”は、内側エッジ650を横切るようにして伸びる、接続ネック676”の部分の最大幅W2よりも著しく大きい、その長さ全体または大部分に沿った、最小幅W1を含む。したがって、毛管路625内に位置するはずの作用電極670”の領域は最大となり、接続ネック676”の幅が狭くなった部分に沿って、内側エッジ650を配置する位置のため、および/または内側エッジ650によって形成される毛管路625の境界が少しでも不規則になると、そのために生じうる、有効作用電極領域のあらゆるばらつきより、著しく大きくなる。
【0063】
使用にあたって、多くのバイオセンサは、典型的には、バイアルに容れられるが、こうしたバイアルは、通常は、これを密封するように形成されたストッパーまたは他のアレンジを備える。しかし、バイオセンサは、個別にパッケージしてよいし、または、バイオセンサは、折り曲げたり、コイル状に巻いたり、カセットマガジン内に重ねたり、ブリスターパッケージに容れたりすることができると理解される。もう1つの実施態様においては、バイオセンサを備えた、取り外し可能な個々のセグメントを備えたカードとしてのパッケージが形成される。「BIOSENSOR TEST STRIP CARDS」と題された米国特許出願公開第12/198,197号明細書において、その例が見受けられる。その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そのバイオセンサは、スペーサー基板の内側エッジの配置による影響を受ける、作用電極の部分の領域に関係した、毛管路内に位置するはずの作用電極の領域を最大にする、本明細書で記載される配置を含むため、こうしたバイオセンサでの検体測定の精度が向上する。
【0064】
多くの流体試料のタイプは、本明細書で説明されるバイオセンサを使って分析できる。たとえば、全血、血漿、血清、リンパ液、胆汁、尿、精液、脳脊髄液、髄液、涙液および糞便検体やその他の体液など、当業者には容易に明らかとなる人体の体液が、測定できる。細胞組織の液調製物の分析もできるし、環境汚染物を潜在的に含んだ食品、発酵産物および環境中の物質も分析できる。好ましくは、全血がバイオセンサで分析される。
【0065】
バイオセンサのユーザは、血液採集用の切開部または穴部を有する指を、毛管路に通じる注入口に当てる。毛細管力によって、切開部または穴部から流れる液体の血液試料が、毛管路内に、毛管路を通して、毛管路内の試薬および電極に行きわたるように、引き込まれる。液体の血液試料は、試薬を溶解させて、電気化学反応が起こる毛管路内の電極を利用する。反応の開始以降、電源(たとえば、電池)によって、電極間にそれぞれ、電位差が印加される。電位差が印加される際、参照および対極における酸化型のメディエータの量および電位差は、作用電極の表面において、メディエータの電解酸化還元体を生じるに十分である必要がある。電流測定器(図示せず)によって、作用電極の表面で、メディエータの酸化還元体によって生じた電流が測定される。ここで論じられるバイオセンサによって、毛管路における作用電極領域のばらつきが最小限になるため、バイオセンサ別に測定される電流の正確性および精度が向上する。
【0066】
電気化学技術を使って使用するように構成されたバイオセンサの例として、ACCU−CHEK(登録商標)Avivaのテストストリップが挙げられる。これについては、米国特許出願公開第2005/0016844号明細書において、より十分に記載されている。この開示を参照することによって、その全体が本明細書に含まれるものとする。この例示的なテストエレメントは、インディアナ州、インディアナポリスのロシュダイアグノスティック社によって、米国において市販されている。
【0067】
バイオセンサを製造するための、1つの例示的な方法は、支持基板を用意する工程、本体部分と、本体部分の端から伸びる、少なくとも1つの接続ネックとを含み、少なくとも1つの接続ネックの幅が、作用電極の本体部分における部分の最小幅より大きい少なくとも1つの作用電極を支持基板上に形成する工程、および、毛管路の境界を画定する内側エッジを含み、最小幅を画定する本体部分の部分全体が、毛管路内に位置するように、この内側エッジが、作用電極の少なくとも1つの接続ネックを横切るように伸びるスペーサー基板を、支持基板上に位置づける工程を含む。
【0068】
1つの改良例において、この方法はまた、支持基板とカバーとの間に毛管路を形成するために、少なくともスペーサー基板上にカバーを置く工程も含んでよい。この方法のさらなる改良例においては、バイオセンサはグルコースセンサである。
【0069】
この方法のもう1つの改良例において、作用電極の本体部分は、第1および第2作用電極部分と、第1および第2作用電極部間に伸びる接続部分とを含み、本体部分の一部と、第1および第2作用電極部分それぞれとを画定する接続部分は、少なくとも1つの接続ネックの最大幅よりも大きい、毛管路内の最小幅を画定する。この方法のさらなる改良例において、接続部分は、第1および第2作用電極部分間に伸びる列を形成する複数の接続部分を含み、接続部分のそれぞれは、最小幅に相当する幅を画定する。この方法のいっそうさらなる改良例において、第1および第2作用電極部分は、複数の接続部分に沿って離間した、複数の作用電極部分を含むことによって、作用電極の本体部分に格子状パターンを形成する。
【0070】
もう1つの例示的なバイオセンサの製造方法は、支持基板を用意する工程、支持基板上に、本体部分の長さの大部分に沿って、ほぼ一定な幅を画定する本体部分を含み、当該幅から外側に突出する中心部分を含む、少なくとも1つの作用電極を形成する工程、および、スペーサー基板の内側エッジの対向する両部分が、本体部分の反対側にある両方の側方部分を横切るようにして伸び、作用電極の中心部分の全体が、内側エッジの部分によって画定される毛管路内に位置するように、支持基板上にスペーサー基板を位置づける工程を含み、中心部分は、内側エッジの部分間の本体部分の長さの半分未満を占める。この方法の改良例において、中心部分は、内側エッジの部分間の本体部分の長さの4分の1未満を占める。
【0071】
従来の血中グルコース測定器と、これに関連する電気的および光学的構成要素と、これらのそれぞれの測定技術とのさらなる詳細や例については、米国特許第5,352,351、4,999,482、5,438,271、6,645,368、5,997,817、6,662,439、再発行特許36,268、5,463,467、5,424,035、6,055,060、6,906,802、および5,889,585に記載されており、これら開示を参照することによって、それらの全体が本明細書に含まれるものとする。
【0072】
本発明は、図面および前述の記載において詳細に例示および記載されているが、これは例示的なもので、特徴を限定するものではないとみなされるべきで、また、いくつかの実施態様だけが図示および記載されていることと、本発明の趣旨の範囲内となる、すべての変更および修正が保護されることが望まれることとが理解される。上記の記載にて使用される、好ましくは(preferable、preferably、preferred)、または、より好ましい(more preferred)といった用語を使用することにより、そのように記載される特徴が、より望ましいものでありうることが示されるが、必要でないかも知れないし、このような特徴のない実施態様が、本発明の範囲内にあると考えてよい、と理解されるべきである。ここで、この範囲とは、以下の請求項によって規定される範囲である。請求項を読むにあたって、意図されているのは、「a」、「an」、「少なくとも1つの(at least one)」または「少なくとも1つの部分(at least one portion)」といった用語が使われている場合、請求項において、具体的に別段の記載がない限り、1つだけの項目に請求項を限定する意図はない、ということである。「少なくとも一部」および/または「一部」という用語が使われている場合、具体的に別段の記載がない限り、その項目は、その一部および/または全体を含むことができる。
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