(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663603
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】無線OFDMAシステムにおけるアップリンク電力制御メッセージインデキシング方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/54 20090101AFI20150115BHJP
【FI】
H04W52/54
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-552235(P2012-552235)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公表番号】特表2013-527994(P2013-527994A)
(43)【公表日】2013年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2010079926
(87)【国際公開番号】WO2011097922
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2012年8月13日
(31)【優先権主張番号】12/924,676
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/303,719
(32)【優先日】2010年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506423280
【氏名又は名称】聯發科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEDIATEK INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ユー−ハオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イ−シェン
【審査官】
野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】
Text Proposal of PC-AMAP IE Assignment in IEEE802.16D1(5.3.6.5.4.10),IEEE C802.16m-09/2072,2009年 8月30日,P.1-9
【文献】
DRAFT Amendment to IEEE Standard for Local and metropolitan area networks Part16: Air Interface for Fixed and Mobile Broadband Wireless Access Systems,IEEE P802.16mD4-February 2010,2010年 2月 3日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 52/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線OFDMAシステム中の移動局により伝送される、アップリンクサブフレームの第一位置で割り当てられるファーストフィードバックチャネルに基づいて、アップリンクチャネル品質を推定する工程;および、
基地局により、前記推定されたアップリンクチャネル情報に応答して伝送され、ダウンリンクサブフレームの第二位置に割り当てられる出力制御メッセージを前記移動局に伝送する工程、を含み、
前記第二位置は、第一位置の後に位置し、両者の間に、遅延時間を有し、
前記遅延時間は、前記ファーストフィードバックチャネルの周期に無関係であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記遅延時間は、前記無線OFDMAシステムで予め定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一位置は、第一フレームインデックス、第一サブフレームインデックスおよび第一チャネルインデックスに関連し、前記第二位置は、第二フレームインデックス、第二サブフレームインデックスおよび第二チャネルインデックスに関連し、前記第二フレームインデックス、前記第二サブフレームインデックスおよび前記第二チャネルインデックスは、前記第一フレームインデックス、前記第一サブフレームインデックス、前記第一チャネルインデックスおよび前記遅延時間に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各フレームはN個のサブフレームユニットを含み、前記遅延時間はX個のサブフレームユニットに等しく、Nは正の整数で、且つ、Xは小数であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記出力制御メッセージは、電力オフセットを含み、前記移動局の前記アップリンク伝送電力を調整することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記無線OFDMAシステムは、周波数分割双方向(FDD)システム、又は、ハイブリッド周波数分割双方向(H-FDD)システムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基地局であって、
無線OFDMAシステムの移動局により伝送される、アップリンクサブフレームの第一位置で割り当てられるファーストフィードバックチャネルに基づいて、アップリンクチャネル品質を推定する受信器、
出力制御メッセージを生成し、前記推定されたアップリンクチャネル情報に応答する出力制御モジュール、および
前記出力制御メッセージを前記移動局に伝送する伝送器であって、前記出力制御メッセージはダウンリンクサブフレームの第二位置で割り当てられ、前記第二位置は前記第一位置の後に位置し両者の間に固定遅延時間がある第二位置であり、前記遅延時間は前記ファーストフィードバックチャネルの周期に無関係であるところの伝送器、
を含むことを特徴とする基地局。
【請求項8】
前記遅延時間は、前記無線OFDMAシステムで予め定義されることを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記第一位置は、第一フレームインデックス、第一サブフレームインデックス、及び、第一チャネルインデックスに関連し、前記第二位置は、第二フレームインデックス、第二サブフレームインデックス、及び、第二チャネルインデックスに関連し、前記第二フレームインデックス、前記第二サブフレームインデックス、及び、前記第二チャネルインデックスは、前記第一フレームインデックス、前記第一サブフレームインデックス、前記第一チャネルインデックス、及び、前記遅延時間に基づいて決定されることを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項10】
各フレームはN個のサブフレームユニットを含み、前記遅延時間はX個のサブフレームユニットに等しく、Nは正の整数で、且つ、Xは小数であることを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
前記出力制御メッセージは電力オフセットを含み、前記移動局の前記アップリンク伝送電力を調整することを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項12】
前記無線OFDMAシステムは、周波数分割双方向(FDD)システム、又は、ハイブリッド周波数分割双方向(H-FDD)システムであることを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項13】
無線OFDMAシステム中の複数の移動局により伝送される複数のファーストフィードバックチャネルにより、ダウンリンクチャネル情報を受信するステップ、
前記無線OFDMAシステム中の基地局により、前記受信されたファーストフィードバックチャネルに基づいて、アップリンクチャネル品質を推定するステップ、および
前記基地局により応答する前記推定されたアップリンクチャネルに応答する複数の出力制御メッセージを、前記複数の移動局に伝送するステップ、を含み、
各出力制御メッセージは、各ファーストフィードバックチャネルに関連して割り当てられて、各対応するファーストフィードバックチャネルと遅延時間に基づいて、各移動局は、各出力制御メッセージを定位することが出来、前記遅延時間は前記ファーストフィードバックチャネルの周期に無関係であることを特徴とする方法。
【請求項14】
各フレームはN個のサブフレームユニットを含み、前記遅延時間はX個のサブフレームユニットに等しく、Nは正の整数で、Xは小数であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各ファーストフィードバックチャネルは各P個のサブフレームユニットにより伝送され、Pは正の整数、前記遅延時間は前記Pの値と無関係であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記遅延時間が予め定義されて、複数の移動局の数量が多い時、リソースが効果的に用いられて、前記出力制御メッセージを伝送することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延時間が予め定義されて、Pが大きい数値の時、前記遅延時間は、実質上、各ファーストフィードバックチャネルの前記周期より短いことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記遅延時間が予め定義され、前記出力制御メッセージが、ハイブリッド周波数分割双方向(H-FDD)システムのダウンリンクサブフレームに割り当てられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
各出力制御メッセージは、電力オフセットを含み、複数の移動局のアップリンク伝送電力を調整することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワーク通信に関するものであって、特に、無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信システム中の出力制御メッセージインデキシング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信システムにおいて、各移動局の伝送電力は、所望のチャネル品質を達成しシステム容量を最大化する一定レベルに維持される必要がある。無線OFDMAシステム中の無線リソースは、各無線周波数(RF)キャリア中のサブキャリアに分割されるので、無線信号は、異なるサブキャリアを用いて、データストリームにより、各移動局からそのサービング基地局に伝送される。その結果、データストリームおよびサブキャリア毎の伝送電力は、サービング基地局により受信されたターゲットアップリング信号対干渉および雑音電力比(SINR)、及び、サービング基地局のサブキャリア毎のノイズと干渉レベルによって決まる。閉ループ出力制御(CLPC)メカニズムにおいて、各移動局の伝送電力は、サービング基地局から伝送される送信電力制御(TPC)命令により制御される。サービング基地局は、周期的に、移動局のアップリンクチャネル品質を監視し、且つ、応答として、移動局の周期的な伝送電力更新のためのTPC命令を伝送する。
【0003】
移動局のアップリンクチャネル品質は、移動局により実行されるダウンリンクチャネル測定に基づいて、サービング基地局により生成、又は、推定される。時分割二重(TDD)システムにおいては、チャネル相互依存(channel reciprocity)のため、アップリンクチャネル品質は、ダウンリンクチャネル測定から導き出される。周波数分割双方向(FDD)システムにおいて、アップリンクチャネル品質は、ダウンリンクとアップリンクチャネル間のチャネル相関性を活用することにより、ダウンリンクチャネル測定から推定される。
【0004】
IEEE802.16mシステムの一例においては、まず、サービング基地局は、ファーストフィードバックチャネル(FFBCH)の持続期間と周期を移動局に配置する。その後、移動局は、配置されたFFBCHにより、そのダウンリンクチャネル情報を報告する。受信されたFFBCHに基づいて、サービング基地局は、アップリンクチャネル品質、アップリンクSINRを推定する。推定されたアップリンクチャネル品質に応答するため、サービング基地局は、チャネル変化を検出し、ダウンリンクフレームの出力制御先進−MAP(PC-A-MAP)中で、出力制御A-MAP-IEを伝送することにより、出力制御コマンドを伝送して、チャネル変化を追跡する。受信されたPC-A-MAP-IEに基づいて、移動局は、出力制御コマンドを識別し、伝送電力レベルを調整する。無線OFDMAシステム中に複数の移動局があるとき、複数の移動局に用いる複数の出力制御コマンドが、同一PC-A-MAPに統合化される可能性が高い。
【0005】
PC-A-MAP中で、出力制御コマンドを識別するため、移動局は、出力制御コマンドのアドレス、即ち、PC-A-MAP中のPC-A-MAP-IEを知ることが必要である。しかし、移動局に、PC-A-MAP-IEインデキシング(indexing)を提供して、効果的、且つ、効率的に、送信電力制御を実行するのが課題として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信システム中の出力制御メッセージインデキシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワークにおける出力制御メッセージインデキシングの方法が提供される。サービング基地局は、フィードバック割り当てA-MAP-IE(FA-A-MAP-IE)により、アップリンクファーストフィードバックチャネル(FFBCHs)を配置する。FA-A-MAP-IEは、始動フレームとサブフレーム、および、移動局がダウンリンクチャネル情報の報告に用いるFFBCHの持続期間と周期を含む。その後、移動局は、配置されたFFBCHsにより、ダウンリンクチャネル情報を報告する。基地局は、各移動局の受信されたFFBCHに基づいて、アップリンクチャネル品質、例えば、信号対干渉および雑音電力比(SINR)を推定する。推定されたチャネル品質情報に基づいて、基地局はチャネル変化を検出し、電力オフセット値を伝送する出力制御コマンドを生成して、移動局の伝送電力レベルを調整する。
【0008】
本発明に係る一実施形態においては、移動局の出力制御コマンドは一PC-A-MAPに統合化され、インデキシングスキームは、配置されたFFBCHに基づいて、黙示的(implicitly)である。例えば、FFBCHがアップリンクフレームの第一位置にある場合、FFBCHに応答する次のPC-A-MAP-IEは、ダウンリンクフレームの第二位置に位置し、第二位置は、第一位置の後に位置し、且つ、両者間には所定の固定遅延時間がある。一例として、各フレーム中のサブフレームの総数がNに等しい場合、遅延時間はN/2サブフレームに予め定義される。
【0009】
FFBCHと対応するPC-A-MAP-IE間の固定時間遅延を用いることにより、各移動局は、基地局から伝送されるPC-A-MAP中で、それ自身の出力制御コマンドを識別することができ、追加のシグナリングオーバーヘッドが不要である。一実施形態においては、遅延時間は、相対して短く、且つ、別のパラメータ、例えば、FFBCHの周期から独立するように予め定義される。PC-A-MAP-IEは、所定の時間遅延で、FFBCHのすぐ後に続くので、チャネル条件が急速に変化しても、出力制御コマンドは無効にならない。この他、資源は、基地局に接続されない移動局上に浪費されない。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、効果的、且つ、効率的に、送信電力制御が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施形態による無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム中の出力制御スキームを示す図である。
【
図2】新規の出力制御メカニズムを用いた通信プロトコルに関連するフレームの構造を示す図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態による無線OFDMAシステム中の出力制御メッセージインデキシングの方法のフローチャートである。
【
図4】周波数分割双方向(FDD)システム中の出力制御メッセージインデキシングの一具体例を示す図である。
【
図5】ハイブリッド周波数分割双方向(H-FDD)システム中の出力制御メッセージインデキシングの一具体例を示す図である。
【
図6】FDD/H-FDDシステム中の出力制御メッセージインデキシングの別の具体例を示す図である。
【
図7】無線OFDMAシステム中の出力制御メッセージインデキシングの4個の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係る一実施形態による無線直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム10中の送信電力制御スキームを示す図である。無線OFDMAシステム10は、サービング基地局BS11と複数の移動局MS12−MS16を含む。基地局BS11は、メモリ21、プロセッサ22、出力制御モジュール23、および、アンテナ25に結合される送受信機24を含む。同様に、各移動局(例えば、MS12)は、メモリ31、プロセッサ32、出力制御モジュール33、及び、アンテナ35に結合される送受信機34を含む。
【0013】
無線OFDMAシステム10において、各移動局MS12−MS16は、所定の受信器で適切な信号受信を確保できる程度に十分高く、且つ、エネルギーを保存し、別の受信器に干渉が生じない程度に十分に低い電力レベルで無線信号を伝送することが望ましい。この他、各移動局の伝送電力を制御して、最低必要なチャネル品質を確保することにより、システム容量が最大化する。閉ループ出力制御(CLPC)メカニズムにおいて、各移動局の伝送電力は、サービング基地局BS11から伝送される出力制御メッセージにより制御される。サービング基地局BS11は、各移動局のアップリンクチャネル品質を周期的に監視し、且つ、応答して、送信電力制御(TPC)命令を伝送し、各移動局の周期的な伝送電力更新に用いる。時分割二重(TDD)システムにおいては、チャネル相互依存のため、アップリンクチャネル品質は、ダウンリンクチャネル測定から導き出される。周波数分割双方向(FDD)システムにおいて、アップリンクチャネル品質は、ダウンリンクとアップリンクチャネル間のチャネル相関を有効利用することにより、ダウンリンクチャネル測定から推定される。
【0014】
図1に示されるように、サービング基地局BS11は、まず、フィードバック割り当て先進−MAP情報部(フィードバック割り当てアドバンスド−MAP情報要素)(feedback allocation Advanced-MAP information element)(即ち、FA-A-MAP-IE,図示しない)により、ファーストフィードバックチャネル(FFBCH)を構成する。その後、各移動局(例えば、MS15)は、構成されたFFBCHにより、ダウンリンクチャネル情報を報告する。BS11は、受信されたFFBCHに基づいて、アップリンクチャネル推定を実行し、出力制御コマンドを伝送して、PC-A-MAP内の出力制御A-MAP情報部(即ち、PC-A-MAP-IE。図示しない)を送信することにより、チャネル変化を追跡する。PC-A-MAPは、複数の移動局に送られる統合化PC-A-MAP-IEを含む。本発明に係る一実施形態においては、出力制御コマンドは、配置されたFFBCHに基づいて設計されるので、各移動局は、効率的、且つ、効果的に、対応する出力制御コマンドを識別して、その伝送電力レベルを調整する。
【0015】
無線OFDMAシステム中の無線リソースは、各RFキャリア中のサブキャリアに分割されるので、各移動局は、特定のサブキャリア(例えば、サブチャネル)のデータストリームを用いて、無線信号を伝送する。よって、特定のチャネルの伝送電力は、チャネル品質に密接に関わる。現在のところ、先進無線OFDMAシステム(例えば、
図1の無線OFDMAシステム10)において、移動局(例えば、MS15)の出力制御式は以下に示される:
【0016】
P = L + SINR
TARGET + NI + Offset (1)
【0017】
式中、Pは、発送されるデータストリームとサブキャリア毎の伝送電力レベル、Lは、移動局(例えば、MS15)により計算される推定された平均ダウンリンク伝搬損失、SINR
TARGETは、基地局(例えば、BS11)により受信されるターゲットアップリング信号対干渉および雑音電力比、NIは、基地局のサブキャリア毎の雑音および干渉の推定された平均電力レベル、および、Offsetは、移動局に用いる電力オフセットの修正項(correction term)である。電力オフセットは、基地局から移動局に伝送される出力制御コマンドにより制御される。出力制御コマンドは、周期的(例えば、閉ループ出力制御)、又は、非周期的(例えば、開ループ出力制御)に、基地局から伝送される。
【0018】
図2は、上述の出力制御メカニズムを用いた通信プロトコルに関連するフレームの構造を示す図である。
図2のフレーム構造は実際のフレーム構造ではなく、本発明を説明する目的のための簡潔な図である。
図2中のフレームは、ダウンリンクサブフレーム51、53、及び、アップリンクサブフレーム52を含む。ダウンリンクサブフレームは、基地局から一つまたはそれ以上の移動局に伝えられ、アップリンクサブフレームは、移動局から基地局に戻って伝えられる。当技術分野で周知のように、縦軸の単位は、通信に用いることができる各種サブキャリア(即ち、サブチャネル)を示す。横軸は、時間ドメイン中の左から右への時間延伸を示す。よって、ダウンリンクサブフレームは、時間上、アップリンクサブフレームの後に位置する。
【0019】
図2に示されるように、FA-A-MAP-IE54は、ダウンリンクサブフレーム51中に含まれ、後続のアップリンクサブフレーム52中のFFBCH55を配置する。例えば、FA-A-MAP-IE54により、FFBCH55の始動フレームとサブフレーム、FFBCH55の持続期間と周期が配置される。配置されたFFBCH55により、移動局は、ダウンリンクチャネル情報を基地局に報告することができる。その後、基地局は、FFBCHに基づいて、アップリンクチャネル品質、例えば、信号対干渉および雑音電力比(SINR)を推定する。推定されたアップリンクチャネル品質に基づいて、基地局はアップリンクチャネルの電力レベルを導き出す。その後、基地局は、チャネル変化があるかどうか、および、電力調節を実行してチャネル変化に応答する必要があるかどうかを判断することができる。電力調節が必要な場合、その後、電力オフセットは、出力制御コマンドにより、移動局に送られる。
【0020】
基地局から移動局に電力オフセットを伝送するために、二種のスキームが用いられる。第一スキームにおいては、アップリンク出力制御調整メッセージ(AAI-UL-POWER-ADJ)が、ダウンリンクMAC制御メッセージとして、特定の移動局に送られる。AAI-UL-POWER-ADJメッセージは、大きい電力ジャンプを提供して、検出されたチャネル変化にすぐに適応する。第二スキームにおいては、複数の移動局に用いられる出力制御コマンドは統合化され、且つ、ダウンリンクサブフレーム53のPC-A-MAP56により伝送される。各移動局は、その後、PC-A-MAP56内のそれ自身の出力制御コマンドの位置を識別する。AAI-UL-POWER-ADJメッセージと対照的に、PC-A-MAP56は、各移動局の検出されたチャネル変化に対し、小規模の電力調節を実行する。本発明に係る一実施形態によると、PC-A-MAP56中の各出力制御コマンドは、既に配置された前のFFBCH55に基づいて黙示的にインデックスされ、追加のシグナリングオーバーヘッドが不要である。従来の出力制御メッセージインデキシングスキームを用いて、各移動局は、それ自身の出力制御コマンドを定位させ、且つ、その伝送電力レベル調整の対応する電力オフセットを識別する。
【0021】
図3は、本発明に係る一実施形態による無線OFDMシステム中の出力制御メッセージインデキシングの方法のフローチャートである。ステップ61において、サービング基地局は、FA-A-MAP-IEにより、アップリンクファーストフィードバックチャネルを配置する。FA-A-MAP-IEは、始動フレームとサブフレーム、及び、移動局がダウンリンクチャネル情報の報告に使用するFFBCHの持続期間と周期を含む。ステップ62において、基地局は、配置されたFFBCHsにより、移動局により報告されるダウンリンクチャネル情報を受信する。受信されたFFBCHsに基づいて、基地局は、アップリンクチャネル品質を推定し、チャネル変化を検出する。ステップ63において、検出されたチャネル変化に基づいて、基地局は、統合化出力制御コマンドを生成し、このコマンドは、電力オフセットを伝送して、移動局の伝送電力レベルを調整する。一実施形態においては、移動局に用いられる出力制御コマンドは一PC-A-MAPに統合化され、且つ、インデキシングスキームは、配置されたFFBCHsに基づいて黙示的である。例えば、FFBCHがアップリンクフレームの第一位置にある場合、FFBCHに応答する後続のPC-A-MAP-IEは、ダウンリンクフレームの第二位置に位置し、第二位置は、第一位置の後に位置し、且つ、両者間に固定遅延時間を有する。最後に、ステップ64において、基地局は、出力制御コマンドを移動局に伝送する。移動局は、受信されたPC-A-MAP中の出力制御コマンドを識別し、且つ、それらの伝送電力レベルを調整する。出力制御メッセージインデキシングの異なる具体例と実施例を、以下で図と共に説明する。
【0022】
図4は、周波数分割双方向(FDD)システム中の出力制御メッセージインデキシングの具体例を示す図である。FDDシステムにおいて、アップリンクとダウンリンクサブフレームは、異なる周波数チャネルを用いる。その結果、アップリンクとダウンリンクサブフレームは同じ時間スロットで伝送される。
図4に示されるように、各ダウンリンクフレーム(例えば、第(i−1)、第iおよび第(i+1)フレーム)は8個サブフレームを含み、各サブフレームは点線の陰影で示され、整数は、そのサブフレーム番号(例えば、0−7)を示す。同様に、各アップリンクフレームは8個のサブフレームを含み、各サブフレームは斜線で示され、整数は、そのサブフレーム数を示す。第一移動局MS#1に配置されたFFBCH#1はサブフレーム#3に位置し、且つ、各アップリンクフレームで繰り返される。第二移動局MS#2に配置されたFFBCH#2はサブフレーム#7に位置し、各アップリンクフレームで繰り返される。
図4の例においては、FFBCH#1は第一位置に位置し、FFBCH#1に応答するPC-A-MAP#1は、第二位置に位置する。FFBCH#1は、PC-A-MAP#1の後にあり、且つ、両者の間に、固定遅延時間を有する。同様に、FFBCH#2に対応するPC-A-MAP-IE#2は、FFBCH#2の後に位置し、両者間に、同一の固定遅延時間を有する。更に特に、
図4中の固定遅延時間は、4個のサブフレームの時間長さに等しい。つまり、FFBCH#1に応答するPC-A-MAP IE #1は、各ダウンリンクフレームのサブフレーム#7で伝送され、PC-A-MAP-IE#2は、各ダウンリンクフレームのサブフレーム#3で伝送される。
【0023】
図5は、ハイブリッド周波数分割双方向(H-FDD)システム中の出力制御メッセージインデキシングの別の具体例を示す図である。H-FDDシステムにおいて、アップリンクとダウンリンクサブフレームは、異なるサブフレーム中の同じRF回路をシェアする。その結果、アップリンクとダウンリンクサブフレームは、専用の時間スロットにより分離される。しかし、TDDシステムと異なり、H-FDDシステムには、UL/DLサブフレーム間でシェアされるある時間スロットがある。
図5に示されるように、サブフレーム0−1と7はダウンリンク伝送専用で、サブフレーム3−5はアップリンク伝送専用で、サブフレーム2と6は、アップリンクとダウンリンク伝送間でシェアされる。第一移動局MS#1に配置されたFFBCH#1はサブフレーム#2に位置し、各アップリンクフレームで繰り返される。第二移動局MS#2に配置されたFFBCH#2はサブフレーム#3に位置し、各アップリンクフレームで繰り返される。
図5の例においては、FFBCH#1に応答するPC-A-MAP-IE#1はFFBCH#1の後に位置し、両者間に、4個のサブフレームの固定遅延時間を有する。これにより、PC-A-MAP-IE#1は各ダウンリンクフレームのサブフレーム#6で伝送される。同様に、それらの対応するFFBCHsに応答する別のPC-A-MAP-IEsは、FFBCHsの後に伝送され、両者間は、同一の固定遅延時間を有する。
【0024】
一例としては、無線OFDMAシステム中の遅延時間が予め定義される。所定の遅延時間を使用し、移動局が、FA-A-MAP-IEにより、配置されたFFBCHの正確な位置を知る場合、移動局は、追加のシグナリング要求がなくても、その対応する出力制御メッセージのPC-A-MAP中の正確な位置を知る。しかし、別の例としては、遅延時間は、基地局から移動局に単独で信号を送る。
【0025】
図4と
図5の上述の例において、FFBCHは、各移動局の異なるサブフレームインデックスで割り当てられる。その結果、割り当てられたFFBCHsにより、異なる移動局は、異なるアップリンクサブフレーム中で、ダウンリンクチャネル情報を伝送する。それ故、異なる移動局のPC-A-MAP-IEsも、異なるダウンリンクサブフレームで伝送される。しかし、その他の方案においては、FFBCHsは同じサブフレームインデックスで割り当てられるが、異なるチャネルインデックスにより示される異なる周波数サブキャリアを有する。
図6は、このような例を示す。
図6の例において、移動局MS#1は、FFBCH#1中で、そのダウンリンクチャネル情報を伝送し、FFBCH#1はサブフレーム#2に位置し、チャネルインデックス#1を有する。一方、移動局MS#2は、FFBCH#2で、そのダウンリンクチャネル情報を伝送し、FFBCH#2もサブフレーム#2に位置するが、チャネルインデックス#2を有する。固定時間遅延が4個のサブフレームの時間長さに等しい場合、FFBCH#1に応答するPC-A-MAP-IE#1はサブフレーム#6で伝送され、チャネルインデックス#1を有し、FFBCH#2に応答するPC-A-MAP-IE#2は、サブフレーム#6で伝送され、チャネルインデックス#2を有する。その結果、MS#1とMS#2は、それ自身の出力制御メッセージのアドレスを定位し、且つ、伝送電力レベルを調整することができる。
【0026】
FFBCHと対応するPC-A-MAP-IE間の固定時間遅延を用いることにより、各移動局は、基地局から伝送されるPC-A-MAP中で、それ自身の出力制御コマンドを識別することができ、追加のシグナリングオーバーヘッドが不用である。本発明に係る一実施形態においては、遅延時間は、相対して短く、且つ、別のパラメータ、例えば、FFBCHの周期から独立するように予め定義される。PC-A-MAP-IEはFFBCHに接近し、且つ、両者の間には所定の時間遅延を有するので、チャネル条件の変化により、出力制御コマンドは無効にならない。この他、遅延時間が長すぎる場合、資源使用が、基地局に接続されない移動局上で浪費されない。更に、H-FDDシステムにおいては、遅延時間は容易に決定されて、PC-A-MAP-IEは、専用のアップリンクサブフレームで伝送され、その他のスケジューリング制限がない。以下で、異なる例の出力制御メッセージインデキシングを説明する。
【0027】
図7は、無線OFDMAシステム中の出力制御メッセージインデキシングの4例を示す図である。
図7の表100に示されるように、特定の移動局のFFBCHの位置は、フレームインデックスi、サブフレームインデックスm、及び、チャネルインデックスqに関連する。FFBCHに応答するPC-A-MAP-IEの位置は、フレームインデックスi’、サブフレームインデックスm’、および、チャネルインデックスq’に関連する。第一例#1においては、フレームインデックスi’=i+floor((m+x)/N)、サブフレームインデックスm’=(m+x)mod N、及び、チャネルインデックスq’=qで、Nは、各フレーム中のサブフレームの数量、及び、xは、サブフレーム番号を示す正の整数である。上述の例において、FFBCHが特定のフレーム、サブフレームおよびチャネルインデックスに関連する位置で発生する場合、その対応するPC-A-MAP-IEは、FFBCHの後のx個のサブフレームで発生する。即ち、移動局が、配置されたFFBCHにより、そのサービング基地局にそのダウンリンクチャネル情報を報告する時、サービング基地局はアップリンクチャネル品質を推定し、且つ、x個のサブフレームの遅延時間後、対応する出力制御コマンドに応答する。xの値はFFBCHの周期と関係がないが、所望の時間長さに予め定義できる。
【0028】
電気電子技術者協会(IEEE)802.16mシステムにおいて、標準の無線信号帯域幅、例えば、5、10または20MHzにとって、フレーム毎のサブフレームの総数(N)は8に等しい。一例において、xは、N/2=4に等しくなるように予め定義される。xが4の時、遅延時間はフレーム長さの半分に予め定義される。FFBCHの周期が8個のサブフレームに等しい場合、PC-A-MAP-IEは2個の連続したFFBCHの中間に落ちる。
【0029】
第二例#2においては、フレームインデックスi’=i+floor((m+x)/N)、サブフレームインデックスm’=(m+floor(x))mod N、及び、チャネルインデックスq’=qで、Nは各フレーム中のサブフレーム数量、xは、サブフレーム番号を示す数値である。この例において、FFBCHが、特定のサブフレーム、及び、チャネルインデックスに関連する位置で発生する場合、その対応するPC-A-MAP-IEは、FFBCHの後のfloor(x)サブフレームで発生する。ここの操作floor(x)は、xが整数でなく、小数の場合に用いられる。7MHzの非正規の無線信号帯域幅を有する無線システムにとって、フレーム毎のサブフレーム総数Nは5に等しい。一例として、xはN/2=2.5に等しくなるように、且つ、遅延時間floor(x)は2個のサブフレームに等しくなるように予め定義される。同様に、8.75MHzの非正規の無線信号帯域幅を有する無線システムにとって、フレーム毎のサブフレーム総数Nは7に等しい。一例として、xはN/2=3.5に等しくなるように、遅延時間floor(x)は3個のサブフレームに等しくなるように予め定義される。
【0030】
第三例#3においては、フレームインデックスi’=i+floor((m+floor(x))/N)、サブフレームインデックスm’=(m+floor(x))mod N、及び、チャネルインデックスq’=qで、Nは各フレーム中のサブフレーム数量、xはサブフレーム番号を示す数値である。第三例#3は第二例#2は非常に類似し、その差異は、floor(x)がフレームインデックスi’の計算に用いられることである。
【0031】
第四例#4においては、フレームインデックスi’=i+1、サブフレームインデックスm’=floor(s/T)mod N、及び、チャネルインデックスq’=smodTで、Nは、各フレーム中のサブフレーム数量、sはs=Q*m+qとして定義され、Qは、アップリンクサブフレーム中のFFBCHの総数量で、Q=Nfb * UL_FEEDBACK_SIZE − LHFB/3により与えられ、NfbはMzoneで3、且つ、PUSCを有するLzoneで4で、LHFBは、S-SFH SP1で定義されるUL HARQチャネルの数量、Tは、ダウンリンクサブフレーム中のPC-A-MAP IEの総数量で、T=ceil(U*Q/D)として計算され、UとDは、それぞれ、フレーム毎のPC-A-MAPとFFBCHを搭載するアップリンクとダウンリンクサブフレームの数量である。FDDシステムにおいて、UとDの値は同じである。
【0032】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
10:無線OFDMAシステム;
11:基地局;
12、13、14、15、16:移動局;
21、31:メモリ;
22、32:プロセッサ;
23、33:出力制御モジュール;
24、34:送受信機;
25、35:アンテナ;
51、53:ダウンリンクサブフレーム;
52:アップリンクサブフレーム;
54:FA-A-MAP-IE;
55:FFBCH;
56:PC-A-MAP;
61、62、63、64:ステップ;
100:表