特許第5663638号(P5663638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663638
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】基板移送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20150115BHJP
   B25J 9/04 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B25J9/04 B
【請求項の数】29
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-178433(P2013-178433)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-78693(P2014-78693A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2013年10月31日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0113222
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0027548
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0028216
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513217252
【氏名又は名称】株式会社ティーイーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】李 壽鍾
(72)【発明者】
【氏名】崔 恩載
(72)【発明者】
【氏名】李 成杓
(72)【発明者】
【氏名】崔 炳▲参▼
(72)【発明者】
【氏名】金 允範
(72)【発明者】
【氏名】金 賢柱
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰完
(72)【発明者】
【氏名】金 正勇
(72)【発明者】
【氏名】池 昌▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰玉
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−035408(JP,A)
【文献】 特開2010−201556(JP,A)
【文献】 特開平10−296666(JP,A)
【文献】 特開2008−264923(JP,A)
【文献】 特開2005−116665(JP,A)
【文献】 特開2007−266221(JP,A)
【文献】 特開2004−207750(JP,A)
【文献】 特表2004−535674(JP,A)
【文献】 特開平04−283083(JP,A)
【文献】 特表2011−514652(JP,A)
【文献】 特開平11−207666(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/136292(JP,A1)
【文献】 特開平09−150392(JP,A)
【文献】 特開2009−088222(JP,A)
【文献】 特開2009−233824(JP,A)
【文献】 特開2003−045934(JP,A)
【文献】 特開2005−125479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱部材と、
前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、
前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送手段と、
一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、
一端部側は前記移送手段に回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持された第2アームと、
前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動されるように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームと前記第2アームとが互いに重なる状態で配列された際にも、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含む基板移送装置であって、
前記移送手段は、前記第1アームに設けられた前記アーム駆動部を用いて前記第1アームに対して前記第2アームを相対回転させることによって、前記基板の直線運動を案内するように構成されていることを特徴とする基板移送装置。
【請求項2】
前記移送手段は、
前記昇降/回転部材に結合された固定部材と、
前記固定部材にスライディング可能に設けられ、前記第2アームの一端部側が回転可能に支持され、前記第2アームによってスライディングされるスライディング部材と、
前記スライディング部材に一側が結合され、前記スライディング部材と共に運動し、前記基板が搭載支持される複数の爪を有するハンドとを含むことを特徴とする請求項1記載の基板移送装置。
【請求項3】
前記固定部材は、第1固定部材と第2固定部材とを有し、
前記スライディング部材は、前記第1固定部材にスライディング可能に設けられた第1
スライディング部材と、前記第2固定部材にスライディング可能に設けられ、前記第1スライディング部材の上側に位置した第2スライディング部材とを有し、
前記ハンドは、前記第1スライディング部材に結合された複数の爪を有する第1ハンドと、前記第2スライディング部材に結合された複数の爪を有する第2ハンドとを有し、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記移送手段を挟んで互いに対向しながら対をなし、
いずれか1つの前記第1アームの一端部側は、前記昇降/回転部材の一側に回転可能に支持され、いずれか1つの前記第1アームに連結されたいずれか1つの前記第2アームの一端部側は、前記第1スライディング部材に回転可能に支持され、
他の1つの前記第1アームの一端部側は、前記昇降/回転部材の他側に回転可能に支持され、他の1つの前記第1アームに連結された他の1つの前記第2アームの一端部側は、前記第2スライディング部材に回転可能に支持されたことを特徴とする請求項2記載の基板移送装置。
【請求項4】
互いに連結されたいずれか1つの前記第1アームといずれか1つの前記第2アームの運動と、互いに連結された他の1つの前記第1アームと他の1つの前記第2アームの運動とは互いに独立していることを特徴とする請求項3記載の基板移送装置。
【請求項5】
前記固定部材および前記スライディング部材には互いに挿入結合され、前記スライディング部材の運動を案内する案内レールおよび案内溝がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項2記載の基板移送装置。
【請求項6】
前記第1アームは、
内部に空間が形成され、前記アーム駆動部が設けられ、上面および下面のうちの少なくとも一面が開放された本体と、
前記本体の開放された上面または下面に結合されたカバーとを有し、かつ、ケース状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の基板移送装置。
【請求項7】
前記本体と前記カバーとの間には、シーリング部材がそれぞれ介在したことを特徴とする請求項6記載の基板移送装置。
【請求項8】
前記昇降/回転部材と前記移送手段との間には離隔部材が介在し、
前記支柱部材の内部には前記昇降/回転部材を昇降および回転させる駆動軸が設けられ、
前記駆動軸と前記昇降/回転部材と前記離隔部材および前記本体には通路が形成され、
外部の電源を前記アーム駆動部に供給するためのケーブルは前記通路を通過することを特徴とする請求項6記載の基板移送装置。
【請求項9】
支柱部材と、
前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、
前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、
一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、
一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持されるものの、ベンディングされた第2アームと、
前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を
結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含む基板移送装置であって、
前記移送ユニットは、前記第1アームに設けられた前記アーム駆動部を用いて前記第1アームに対して前記第2アームを相対回転させることによって、前記基板の直線運動を案内するように構成されていることを特徴とする基板移送装置。
【請求項10】
前記第2アームは、第1本体部と第2本体部とを含む、ベンディングされた形状に形成され、
前記第1本体部の端部側は、前記移送ユニットに回転可能に支持され、前記第2本体部の端部側は、前記第1アームの他端部側に回転可能に支持されると同時に、前記アーム駆動部によって回転し、
前記第1本体部の長さは、前記第2本体部の長さより長く形成されたことを特徴とする請求項9記載の基板移送装置。
【請求項11】
前記第2アームは、第1本体部と第2本体部とを含む、ベンディングされた形状に形成され、
前記第1本体部の端部側は、前記移送ユニットに回転可能に支持され、前記第2本体部の端部側は、前記第1アームの他端部側に回転可能に支持されると同時に、前記アーム駆動部によって回転し、
前記第1本体部の長さは、前記第2本体部の長さより短いか等しく形成されたことを特徴とする請求項9記載の基板移送装置。
【請求項12】
前記第1本体部と前記第2本体部は、それぞれ直線状または弧状のうちの1つの形状に形成されたことを特徴とする請求項10または11記載の基板移送装置。
【請求項13】
支柱部材と、
前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、
前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、
一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、
一対で構成され、それぞれベンディングされて形成されるものの、一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持される第2アームと、
前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含む基板移送装置であって、
前記移送ユニットは、前記第1アームに設けられた前記アーム駆動部を用いて前記第1アームに対して前記第2アームを相対回転させることによって、前記基板の直線運動を案内するように構成されていることを特徴とする基板移送装置。
【請求項14】
一対で構成された前記第2アームは、それぞれ第1本体部と第2本体部とを含む、ベンディングされた形状にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項13記載の基板移送装
置。
【請求項15】
前記第1本体部と前記第2本体部は、一体に形成されたことを特徴とする請求項14記載の基板移送装置。
【請求項16】
一対の前記第2アームは、互いに対向しながら対称をなすことを特徴とする請求項14記載の基板移送装置。
【請求項17】
前記第1本体部の長さは、前記第2本体部の長さより長く形成されたことを特徴とする請求項14記載の基板移送装置。
【請求項18】
前記第1本体部の長さは、前記第2本体部の長さより短いか等しく形成されたことを特徴とする請求項14記載の基板移送装置。
【請求項19】
一対の前記第2アームのうち、いずれか1つおよび他の1つの前記第2アームの第1本体部の端部側は、前記移送ユニットにそれぞれ回転可能に支持され、いずれか1つおよび他の1つの前記第2アームの第2本体部の端部側は、前記第1アームの他端部側にそれぞれ回転可能に支持されると同時に、前記アーム駆動部によってそれぞれ回転し、
前記移送ユニットにそれぞれ回転可能に支持されたいずれか1つの前記第2アームの第1本体部の端部側と他の1つの前記第2アームの第1本体部の端部側とは、前記移送ユニットに支持された回転中心を基準として同心をなし、
前記第1アームにそれぞれ回転可能に支持されたいずれか1つの前記第2アームの第2本体部の端部側と他の1つの前記第2アームの第2本体部の端部側とは、前記第1アームに支持された回転中心を基準として同心をなすことを特徴とする請求項14記載の基板移送装置。
【請求項20】
前記第2アームは、前記第1アームより熱膨脹係数の小さい材質で形成されたことを特徴とする請求項9または13記載の基板移送装置。
【請求項21】
前記第1アームはアルミニウム材で形成され、前記第2アームはスチール材で形成されたことを特徴とする請求項20記載の基板移送装置。
【請求項22】
前記第1アームには、冷却装置が設けられたことを特徴とする請求項9または13記載の基板移送装置。
【請求項23】
前記第1アームは、
内部に空間が形成され、前記アーム駆動部が設けられ、上面および下面のうちの少なくとも一面が開放された本体と、
前記本体の開放された上面または下面に結合されたカバーとを有し、かつ、ケース状に形成されたことを特徴とする請求項9または13記載の基板移送装置。
【請求項24】
前記昇降/回転部材と前記移送ユニットとの間には離隔部材が介在し、
前記支柱部材の内部には前記昇降/回転部材を昇降および回転させる駆動軸が設けられ、
前記駆動軸と前記昇降/回転部材と前記離隔部材および前記本体には通路が形成され、
外部の電源を前記アーム駆動部に供給するためのケーブルは前記通路を通過することを特徴とする請求項23記載の基板移送装置。
【請求項25】
支柱部材と、
前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、
前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、
一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、
一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持された第2アームと、
前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含み、
前記第2アームは、前記第1アームより熱膨脹係数の小さい材質で形成された基板移送装置であって、
前記移送ユニットは、前記第1アームに設けられた前記アーム駆動部を用いて前記第1アームに対して前記第2アームを相対回転させることによって、前記基板の直線運動を案内するように構成されていることを特徴とする基板移送装置。
【請求項26】
前記第1アームはアルミニウム材で形成され、前記第2アームはスチール材で形成されたことを特徴とする請求項25記載の基板移送装置。
【請求項27】
前記第1アームには、冷却装置が設けられたことを特徴とする請求項25記載の基板移送装置。
【請求項28】
前記第1アームは、
内部に空間が形成され、前記アーム駆動部が設けられ、上面および下面のうちの少なくとも一面が開放された本体と、
前記本体の開放された上面または下面に結合されたカバーとを有し、かつ、ケース状に形成されたことを特徴とする請求項25記載の基板移送装置。
【請求項29】
前記昇降/回転部材と前記移送ユニットとの間には離隔部材が介在し、
前記支柱部材の内部には前記昇降/回転部材を昇降および回転させる駆動軸が設けられ、
前記駆動軸と前記昇降/回転部材と前記離隔部材および前記本体には通路が形成され、
外部の電源を前記アーム駆動部に供給するためのケーブルは前記通路を通過することを特徴とする請求項28記載の基板移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を移送する基板移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子用ウエハ、ディスプレイ装置用ガラス基板または薄膜型太陽電池用ガラス基板などのような基板は、基板上に複数の工程を行って製造する。このとき、基板は、それぞれの工程に必要な最適な条件を提供する基板処理装置にローディングされて処理される。
【0003】
今日、生産性を向上させるために基板を一括して処理できるクラスタータイプの基板処理装置が開発されて用いられている。
クラスタータイプの基板処理装置は、基板が格納されるロードロックチャンバと、基板を移送するための移送チャンバと、それぞれの工程を行うための複数の工程チャンバとを含む。基板を移送する基板移送装置は、一般に、真空状態の移送チャンバに設けられ、基板をロードロックチャンバから移送チャンバ、移送チャンバからロードロックチャンバまたは移送チャンバの間に移送する。
【0004】
特許文献1に開示された基板搬送装置は、ベルト駆動機構38を用いて多関節アーム31を折り畳んだり展開し、多関節アーム31が折り畳まれたり展開されることにより、ハンド32が直線往復運動しながら被処理基板を移送する。しかしながら、前記基板搬送装置は、ベルト駆動機構38を用いて多関節アーム31を折り畳んだり展開するため、ベルト駆動機構38の一側が外部に露出することが不可欠である。これにより、ベルト駆動機構38で発生するパーティクルによって被処理基板が損傷する恐れがある。
【0005】
このような問題を解消した搬送ロボットが、特許文献2に開示されている。
前記搬送ロボットは、第1リンクアーム31の一端部側に形成された軸31aがモータなどのような駆動ユニットによって旋回ベース300上に回転可能に設けられ、第1リンクアーム31の他端部側は中間リンク33に回転可能に設けられる。そして、第2リンクアーム34の一端部側は、直線運動機構20に回転可能に設けられ、他端部側は、中間リンク33に回転可能に設けられる。
【0006】
そうして、第1リンクアーム31が軸31aの中心O1を基準として正逆回転することにより、中間リンク33を基準として第1リンクアーム31と第2リンクアーム34とが互いに折り畳まれたり展開されたりして、直線運動機構20が直線往復運動する。直線運動機構20には、ワークWが搭載支持される複数のハンド21が設けられる。
【0007】
前記搬送ロボットは、第1リンクアーム31が旋回ベース300に支持された軸31aを基準として回転するため、第1リンクアーム31の他端部側と第2リンクアーム34の他端部側とが互いに回転可能に結合されていれば、第1リンクアーム31の両端部側を結ぶ仮想の直線と、第2リンクアーム34の両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行をなす死点(Singularity)の状態となった際、第1リンクアーム31の回転によって第2リンクアーム34も第1リンクアーム31と同様に回転する恐れがある。すると、第1リンクアーム31と第2リンクアーム34とが互いに折り畳まれたり展開されたりしないため、直線運動機構20が直線運動をすることができない。
【0008】
これを防止するために、前記搬送ロボットは、第1リンクアーム31の他端部側および第2リンクアーム34の他端部側を中間リンク33に互いに離隔させて回転可能に設け、別の副リンクアーム32の一端部側および他端部側を旋回ベース300および中間リンク33に回転可能に設ける。
【0009】
そのため、このような従来の搬送ロボットは、構造が複雑で、コストが上昇するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0008400号公報
【特許文献2】特許第4364001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、コストを低減することができる基板移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための、本発明に係る基板移送装置は、支柱部材と、前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送手段と、一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、一端部側は前記移送手段に回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持された第2アームと、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動されるように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームと前記第2アームとが互いに重なる状態で配列された際にも、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部(前記アーム駆動部は前記第1アームに設けられる)とを含む。
【0013】
また、上記の目的を達成するための、本発明に係る基板移送装置は、支柱部材と、前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持されるものの、ベンディングされた第2アームと、前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含む。
【0014】
さらに、上記の目的を達成するための、本発明に係る基板移送装置は、支柱部材と、前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、一対で構成され、それぞれベンディングされて形成されるものの、一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持される第2アームと、前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含む。
【0015】
なお、上記の目的を達成するための、本発明に係る基板移送装置は、支柱部材と、前記支柱部材の上面に昇降および回転可能に設けられた昇降/回転部材と、前記昇降/回転部材に設けられ、基板が搭載支持され、前記昇降/回転部材と共に運動すると同時に、前記昇降/回転部材に対して直線運動可能に設けられ、前記基板を移送する移送ユニットと、一端部側が前記昇降/回転部材に回転可能に支持された第1アームと、一端部側は前記移送ユニットに回転可能に支持され、他端部側は前記第1アームの他端部側に回転可能に支持された第2アームと、前記第1アームに設けられ、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第1アームと前記第2アームとが互いに折り畳まれたり展開されたりする状態で運動するように駆動するものの、前記第1アームと前記第2アームが運動する間、前記第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、前記第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なって平行に配列された際、前記第2アームの他端部側を前記第1アームの他端部側を基準として回転させ、前記第2アームが前記第1アームから展開されるようにして死点(Singularity)を除去するアーム駆動部とを含み、前記第2アームは、前記第1アームより熱膨脹係数の小さい材質で形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る基板移送装置は、スライディング部材の外側に露出した第1アームの端部側に回転可能に連結された第2アームの端部側がアーム駆動部によって正逆方向に回転する。そのため、第1アームの両端部側を結ぶ仮想の直線と、第2アームの両端部側を結ぶ仮想の直線とが重なりつつ平行をなす死点(Singularity)の状態となっても、第1アームと第2アームは容易に展開される。したがって、第1アームおよび第2アームだけでハンドの設けられたスライディング部材を容易にスライディングさせることができるため、構造が簡単で、コストが低減される効果がある。
【0017】
そして、熱による影響を多く受ける第2アームが第1アームより耐熱性の強い材質で形成されるため、第2アームの変形が相対的に小さい。したがって、小さい力で第2アームを回転させ、第2アームを死点の状態からずらすことができる効果がある。
【0018】
そして、第1アームの他端部側に連結された第2アームの他端部側がベンディング形成される。そのため、第1アームと第2アームが熱などによって長さが変形しても、小さい力で第2アームを回転させ、第2アームを死点の状態からずらすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の平面斜視図である。
図2図1の一部分解底面斜視図である。
図3A図2の左側面図である。
図3B図3Aの「A」部拡大図である。
図4A図1に示された第1アームの分解斜視図である。
図4B】駆動軸と昇降/回転部材と離隔部材と第1アームの概略結合断面図である。
図5A】本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図1の平面図である。
図5B】本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図1の平面図である。
図5C】本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図1の平面図である。
図5D】本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図1の平面図である。
図6図1に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の平面斜視図である。
図8A】本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図7の平面図である。
図8B】本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図7の平面図である。
図8C】本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図7の平面図である。
図8D】本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図7の平面図である。
図9図7に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る基板移送装置の第1アームおよび第2アームの平面斜視図である。
図11図10に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
後述する本発明に関する詳細な説明は、本発明が実施できる特定の実施形態を例として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、互いに排他的である必要はないことが理解されなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造および特性は一実施形態に関連し、本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現可能である。また、各々の開示された実施形態における個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲内で変更可能であることが理解されなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として受け入れようとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、それら請求項が主張するのと均等なすべての範囲と共に添付した請求項によってのみ限定される。図面において、類似の参照符号は、様々な側面にわたって同一または類似の機能を指し示し、長さおよび面積、厚さなどとその形態は、便宜のために誇張して表現されてもよい。
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る基板移送装置を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の平面斜視図であり、図2は、図1の一部分解底面斜視図であり、図3Aは、図2の左側面図であり、図3Bは、図3Aの「A」部拡大図である。
【0022】
図示のように、本発明の第1実施形態に係る基板移送装置は、クラスタータイプの基板処理装置の移送チャンバの底などに設けられ、内部に密閉空間が形成された支柱部材110を含む。支柱部材110は、円筒状、六面体状または角状などのように多様に形成可能である。
【0023】
支柱部材110の上面には、昇降および回転可能に昇降/回転部材120が設置されることができる。昇降/回転部材120は、支柱部材110の内部に設けられた駆動ユニット(図示せず)によって昇降および回転する駆動軸113の上端部側に連結され、駆動軸113によって昇降および回転する。
【0024】
昇降/回転部材120には、基板50(図5A参照)を支持して移送する移送ユニットが設けられる。前記移送ユニットは、昇降/回転部材120と共に運動すると同時に、昇降/回転部材120に対して直線運動可能に設けられ、基板50を移送する。
【0025】
前記移送ユニットは、固定部材130と、スライディング部材140と、複数のハンド150とを含むことができる。
固定部材130は、所定の長さを有する直方体状に形成され、長手方向が基板50の移送方向と略平行をなしつつ、昇降/回転部材120の上面側に結合される。スライディング部材140は、略四角板状に形成され、固定部材130と略直交し、固定部材130の長手方向に沿ってスライディング可能に固定部材130に設けられる。このとき、固定部材130およびスライディング部材140には、互いに挿入結合され、スライディング部材140の運動を案内する案内レール130a(図3B参照)および案内溝140a(図3B参照)がそれぞれ形成されることができる。
【0026】
そして、ハンド150は、スライディング部材140に一端部側が結合され、スライディング部材140と共に運動し、他側部位には基板50が搭載支持される。基板50は、ハンド150に搭載支持されて移送される。
【0027】
固定部材130は、昇降/回転部材120の上側にそれぞれ設けられた複数の第1固定部材131と複数の第2固定部材135とを含むことができ、スライディング部材140は、第1固定部材131にスライディング可能に設けられた第1スライディング部材141と、第2固定部材135にスライディング可能に設けられた第2スライディング部材145とを含むことができる。第1スライディング部材141の上側に第2スライディング部材145が位置することができる。
【0028】
第1固定部材131は、第2固定部材135の内側に設置され得、離隔部材133(図2参照)を介して昇降/回転部材120の上面に設置され得る。すなわち、第1固定部材131は、離隔部材133によって昇降/回転部材120の上面と所定の間隔を有する。
【0029】
第1固定部材131と昇降/回転部材120の上面との間には、ブラケット167が通過しながら配置され、ブラケット167は、第1固定部材131と後述する第2アーム165とを連結する。
【0030】
そして、第1固定部材131および第2固定部材135の一端面および他端面には、第1固定部材131と第2固定部材135とを互いに一体に連結する連結板137が結合される。
【0031】
ハンド150は、第1スライディング部材141に結合された複数の第1ハンド151と、第2スライディング部材145に結合された複数の第2ハンド155とを有する。第1スライディング部材141の上側に第2スライディング部材145が位置するため、第1ハンド151の上側に第2ハンド155が位置することはもちろんである。
【0032】
第1ハンド151と第2ハンド155を上下に配置した理由は、第1ハンド151で基板50をローディングし、第2ハンド155で基板50をアンローディングするか、第1ハンド151で基板50をアンローディングし、第2ハンド155で基板50をローディングするためである。したがって、本発明の第1実施形態に係る基板移送装置は、第1ハンド151と第2ハンド155を用いて一度に基板50をローディングしたりアンローディングすることができる。
【0033】
スライディング部材140は、第1アーム161および第2アーム165によってスライディングされながら直線往復運動する。
詳細に説明すれば、第1アーム161は、ケース状に形成され得、一端部側は昇降/回転部材120の一側に回転可能に支持される。第1アーム161の他端部側には回転軸161aが回転可能に設けられ、内部には回転軸161aを回転させるモータ170(図4A参照)とギヤなどを含むアーム駆動部(図示せず)が設置されることができる。
【0034】
そして、第2アーム165の一端部側は、前記移送ユニットのスライディング部材140の一側に回転可能に支持され、他端部側は、回転軸161aに押し込み固定される。そうして、回転軸161aが回転すると、第2アーム165が回転する。
【0035】
すなわち、前記アーム駆動部は、回転軸161aを回転させ、回転軸161aの回転によって第2アーム165が回転軸161aを基準として回転する。これにより、第1アーム161と第2アーム165とが互いに折り畳まれたり展開されたりする形態で運動し、第1アーム161と第2アーム165とが互いに折り畳まれたり展開されたりすることによりスライディング部材140がスライディングされる。
【0036】
第1アーム161および第2アーム165は、前記移送ユニットを挟んで互いに対向しながら対をなす形態で設置されることができる。したがって、いずれか1つの第1アーム161の一端部側は、回転/昇降部材120の一側に回転可能に支持され、いずれか1つの第1アーム161に連結されたいずれか1つの第2アーム165の一端部側は、第1スライディング部材141の一側に回転可能に支持される。そして、他の1つの第1アーム161の一端部側は、回転/昇降部材120の他側に回転可能に支持され、他の1つの第1アーム161に連結された他の1つの第2アーム165の一端部側は、第2スライディング部材145の一側に回転可能に支持される。そうして、いずれか1つの第1アーム161およびいずれか1つの第2アーム165によって第1スライディング部材141がスライディングされ、他の1つの第1アーム161および他の1つの第2アーム165によって第2スライディング部材145がスライディングされる。
【0037】
このとき、互いに連結されて連動するいずれか1つの第1アーム161といずれか1つの第2アーム165の運動と、互いに連結されて連動する他の1つの第1アーム161と他の1つの第2アーム165の運動とは互いに独立している。したがって、第1スライディング部材141と第2スライディング部材145は互いに独立して運動し、これにより、第1ハンド151で基板50をアンローディングした際、第2ハンド155で基板50をローディングすることができる。
【0038】
図4Aは、図1に示された第1アームの分解斜視図であり、図4Bは、駆動軸と昇降/回転部材と離隔部材と第1アームの概略結合断面図であって、これを説明する。
図示のように、第1アーム161は、内部に所定の空間が形成され、上面および下面のうちの少なくとも一面が開放された本体162と、本体162の開放された上面または下面にそれぞれ結合されるカバー163とを有し、かつ、長方形のケース状に形成される。このとき、本体162とカバー163との間には、本体162とカバー163との間をシーリングするシーリング部材164が介在されることができる。
【0039】
前述のように、第1アーム161の他端部側である本体162の他端部側には、第1アーム161の他端部側が結合される回転軸161aが設けられ、本体162の内部には、回転軸161aを回転させるための前記アーム駆動部が設けられる。
【0040】
ところで、前記アーム駆動部を駆動するためには、前記アーム駆動部に外部の電源が供給されなければならない。このために、駆動軸113と昇降/回転部材120と離隔部材133には、互いに連通形成され、ケーブル(図示せず)の通過する通路113a、120a、133aがそれぞれ形成され、本体162の下面にも、前記ケーブルの通過する通路161bが形成される。
【0041】
本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を、図5Aから図5Dを参照して説明する。図5Aから図5Dは、本発明の第1実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図1の平面図である。
【0042】
第1スライディング部材141のスライディング動作と第2スライディング部材145のスライディング動作は同じであるので、第1スライディング部材141のスライディングについてのみ説明する。
【0043】
図5Aに示されているように、第1アーム161が第2アーム165の右側(図5Aを眺める側の立場から右側であり、明細書の他の部分もこれと類似する)に位置し、回転軸161aを基準として、第1アーム161と第2アーム165とが互いに展開された状態を最初の状態と仮定する。図5Aに示された状態では、下側に位置した第1ハンド151(図5B参照)が第2ハンド155に遮られて見えない。
【0044】
図5Aに示された状態で、第1アーム161の内部に設けられた前記アーム駆動部によって回転軸161aが時計方向の正方向に回転すると、第2アーム165が回転軸161aを基準として正方向に回転する。すると、第1アーム161の一端部側が昇降/支持部材120に支持されているため、第1アーム161と第2アーム165は、回転軸161aを基準として、図5Bに示されているように、互いに近くなりつつ折り畳まれる方向に運動する。
【0045】
図5Bに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム165が正方向にさらに回転すると、図5Cに示されているように、第1アーム161の両端部側を結ぶ仮想の直線と、第2アーム165の両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なりつつ平行をなす死点(Singularity)の状態となる。
【0046】
そして、図5Cに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム165が正方向にさらに回転すると、第2アーム165が第1アーム161の右側に位置しつつ、図5Dに示されているように、第1アーム161と第2アーム165とが互いに展開された状態となる。すなわち、第2アーム165が第1アーム161に支持された部位を基準として回転するため、第1アーム161と第2アーム165が死点(Singularity)の状態で配列されても、第2アーム165は容易に回転する。そのため、第2アーム165は、死点の状態から容易にずれながら第1アーム161と展開された状態となる。
【0047】
すると、第2アーム165によって第1スライディング部材141が左側から右側に直線運動するようになり、第1スライディング部材141によって第1ハンド151が左側から右側に移動しながら基板50を移送する。
【0048】
その後、図5Dに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム165が反時計方向の逆方向に回転すると、第1アーム161と第2アーム165は、最初の状態の、図5Aに示された状態となる。
【0049】
第1スライディング部材141と第2スライディング部材145は互いに独立してスライディングされるため、第1ハンド151で基板50をアンローディングする場合には、第2ハンド155で基板50をローディングすればよい。
【0050】
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置は、第2アーム165がスライディング部材140の外側に露出した他端部側を基準として前記アーム駆動部によって正逆方向に回転する。したがって、第1アーム161と第2アーム165は、死点の状態でも容易に展開される。
【0051】
図6は、図1に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図であって、これを説明する。
図示のように、第1アーム161と第2アーム165が死点の状態で配列された際、回転軸161aを基準として、第1アーム161から固定部材130の第1固定部材131の側面までの垂直距離L1と、第2アーム165から固定部材130の第1固定部材131の側面までの垂直距離L2とが等しければ、第1アーム161と第2アーム165とが互いに展開可能となる。
【0052】
逆に、回転軸161aを基準として、第1アーム161から固定部材130の第1固定部材131の側面までの垂直距離L1と、第2アーム165から固定部材130の第1固定部材131の側面までの垂直距離L2とが等しければ、第1アーム161と第2アーム165とが互いに容易に折り畳み可能となる。
【0053】
ところで、基板移送装置は、高温の環境で用いられるため、第1アーム161と第2アーム165が熱によって変形して長さが伸長し得る。そして、スライディング部材140に一端部側の支持された第2アーム165が高温環境の基板処理装置で発生する熱および高温の基板によって影響をより多く受けるため、さらに長さが伸張する。より詳細に説明すれば、基板を基板処理装置にローディングまたはアンローディングする瞬間には、第1アーム161に比べて相対的に第2アーム165が基板処理装置にはるかに近い位置に位置するため、第2アーム165が熱による影響をより多く受ける。
【0054】
すると、第1アーム161と第2アーム165が死点の状態で配列された際、第2アーム165の伸張によって第2アーム165が回転軸161aにきつく嵌合された状態となるため、第2アーム165を回転させ、死点の状態からずらすためには、大きい力が必要となる。
【0055】
これを防止するために、本発明の第1実施形態に係る基板移送装置は、高温で基板処理が遂行されるので、熱による影響を多く受ける第2アーム165を、相対的に熱による影響が少ない第1アーム161より、熱に対する耐熱性の強い材料で形成することが好ましい。
【0056】
すなわち、第2アーム165は、第1アーム161より熱膨脹係数の小さい材質で形成されることが好ましく、より好ましくは、第1アーム161はアルミニウム材で形成され、第2アーム165はスチール材で形成されることが好ましい。
【0057】
すると、第2アーム165の、熱による変形がより少なくなるため、小さい力で第2アーム165を回転させ、死点の状態からずらすことができる。
本体162とカバー163とを有する、ケース状の第1アーム161には、冷却管などのような冷却装置(図示せず)が設置されることができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の平面斜視図であって、第1実施形態との違いだけを説明する。
【0058】
図示のように、第2アーム265は、第1本体部265aと第2本体部265bとを含む、ベンディングされた形状に形成され得、第2アーム265の一端部側および他端部側は、第1本体部265aの端部側および第2本体部265bの端部側に対応する部位である。
【0059】
そのため、第1本体部265aの端部側は、前記移送ユニットのスライディング部材240に回転可能に支持され、第2本体部265bの端部側は、回転軸261aに押し込み支持され、前記アーム駆動部によって回転する。第1アーム261の他端部側の回転軸261aを基準として第2本体部265bが回転することにより、第1アーム261と第2アーム265は互いに折り畳まれたり展開されたりする形態で運動する。
【0060】
第1本体部265aと第2本体部265bは、一体に形成されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
図8Aから図8Dは、本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の動作を示す、図7の平面図であって、これを説明する。
【0061】
第1スライディング部材241のスライディング動作と第2スライディング部材245のスライディング動作は同じであるので、第1スライディング部材241のスライディングについてのみ説明する。
【0062】
図8Aに示されているように、第1アーム261が第2アーム265の右側(図8Aを眺める側の立場から右側であり、明細書の他の部分もこれと類似する)に位置し、回転軸261aを基準として、第1アーム261と第2アーム265とが互いに展開された状態を最初の状態と仮定する。図8Aに示された状態では、下側に位置した第1ハンド251(図8B参照)が第2ハンド255に遮られて見えない。
【0063】
図8Aに示された状態で、第1アーム261の内部に設けられた前記アーム駆動部によって回転軸261aが時計方向の正方向に回転すると、第2アーム265の第2本体部265bが回転軸261aを基準として正方向に回転する。すると、第1アーム261の一端部側が昇降/支持部材220に支持されているため、第1アーム261と第2アーム265は、回転軸261aを基準として、図8Bに示されているように、互いに近くなりつつ折り畳まれる方向に運動する。
【0064】
図8Bに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム265が正方向にさらに回転すると、図8Cに示されているように、第1アーム261の両端部側を結ぶ仮想の直線と、第2アーム265の両端部側を結ぶ仮想の直線とが互いに重なりつつ平行をなす死点(Singularity)の状態となる。
【0065】
そして、図8Cに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム265が正方向にさらに回転すると、第2アーム265の第1本体部265aが第1アーム261の右側に位置しつつ、図8Dに示されているように、第1アーム261と第2アーム265とが互いに展開された状態となる。すなわち、第2アーム265が第1アーム261に支持された部位を基準として回転するため、第1アーム261と第2アーム265が死点(Singularity)の状態で配列されても、第2アーム265が容易に回転するため、第2アーム265は、死点の状態からずれながら第1アーム261と展開された状態となる。
【0066】
すると、第2アーム265によって第1スライディング部材241が左側から右側に直線運動するようになり、第1スライディング部材241によって第1ハンド251が左側から右側に移動しながら基板50を移送する。
【0067】
その後、図8Dに示された状態で、前記アーム駆動部によって第2アーム265が反時計方向の逆方向に回転すると、第1アーム261と第2アーム265は、最初の状態の、図8Aに示された状態となる。
【0068】
第1スライディング部材241と第2スライディング部材245は互いに独立してスライディングされるため、第1ハンド251で基板50をアンローディングする場合には、第2ハンド255で基板50をローディングすればよい。
【0069】
本発明の第2実施形態に係る基板処理装置は、第2アーム265がスライディング部材240の外側に露出した他端部側を基準として前記アーム駆動部によって正逆方向に回転する。したがって、第1アーム261と第2アーム265は、死点の状態でも容易に展開される。
【0070】
図9は、図7に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図であって、これを説明する。
図示のように、第1アーム261と第2アーム265が死点の状態で配列された際、回転軸261aを基準として、第1アーム261から固定部材230の第1固定部材231の側面までの垂直距離L1と、第2アーム265から固定部材230の第1固定部材231の側面までの垂直距離L2とが等しければ、第1アーム261と第2アーム265とが互いに展開可能となる。
【0071】
逆に、回転軸261aを基準として、第1アーム261から固定部材230の第1固定部材231の側面までの垂直距離L1と、第2アーム265から固定部材230の第1固定部材231の側面までの垂直距離L2とが等しければ、第1アーム261と第2アーム265とが互いに容易に折り畳み可能となる。
【0072】
ところで、基板移送装置は、高温の環境で用いられるため、第1アーム261と第2アーム265が熱によって変形して長さが伸張し得る。そして、スライディング部材240に一端部側の支持された第2アーム265が高温環境の基板処理装置で発生する熱および高温の基板によってさらに長さが伸張する。
【0073】
すると、第1アーム261と第2アーム265が死点の状態で配列された際、第2アーム265の伸張によって第2アーム265が回転軸261aにきつく嵌合された状態となるため、第2アーム265を回転させ、死点の状態からずらすためには、大きい力が必要となる。
【0074】
なお、本発明の第2実施形態に係る基板移送装置の第2アーム265は、第1本体部265aと第2本体部265bとを含む、ベンディングされた形状に形成される。これにより、伸張した第2アーム265の長さを収縮させるためには、第1本体部265aと第2本体部265bとの境界部位を展開したり曲げたりする方向にベンディングさせればよい。
【0075】
ところで、図6に示された本発明の第1実施形態に係る第2アーム165は直線状であるため、第1アーム161と第2アーム165が死点の状態で配列された時、第2アーム165を死点の状態からずらすためには、第2アーム165の長手方向と平行な方向に力を作用して第2アーム165を収縮させなければならない。
【0076】
第2アーム165、265を収縮させるにあたり、図9に示されているように、第2アーム265の第1本体部265aと第2本体部265bとの境界部位を展開したり曲げる方向に若干ベンディングさせて第2アーム265を収縮させる力が、図6に示されているように、第2アーム165の長手方向と平行な方向に第2アーム165を収縮させる力に比べてはるかに小さいことはもちろんである。これは、第2アーム265と第2アーム165を同じ条件で製造したとの仮定の下で比較すると、第2アーム265の剛性が第2アーム165の剛性に比べて低いからである。
【0077】
第2アーム265の第1本体部265aの長さは、第2本体部265bの長さと等しくてもよく、第2本体部265bの長さより長いか短くてもよい。そして、第1本体部265aおよび第2本体部265b自体は、直線状であってもよく、弧状に形成されてもよい。
【0078】
前述のように、本発明の第2実施形態に係る基板移送装置は、第2アーム265をベンディングされた形状に形成し、相対的に小さい力を利用して死点の状態で配列された第2アーム265を伸張させたり収縮させて回転させることができる。死点の状態で配列された第2アーム265が小さい力によって伸張したり収縮したりし、第2アーム265の剛性が小さいため、第2アーム265が伸張または収縮した状態で自身の弾性によって最初の状態に復帰する際、反発力が減少するため、衝撃および振動が低減される効果がある。
【0079】
本発明の第2実施形態に係る基板移送装置も、第2アーム265を、第1アーム261より熱に対する耐熱性の強い材料で形成できることはもちろんである。すなわち、第2アーム265は、第1アーム261より熱膨脹係数の小さい材質で形成することができ、より好ましくは、第1アーム261はアルミニウム材で形成され、第2アーム265はスチール材で形成されることができる。そして、第1アーム261の内部に冷却管などのような冷却装置(図示せず)が設置できることはもちろんである。
【0080】
一方、基板50の移送距離が長い場合は、第1アーム261および第2アーム265の長さを長く形成しなければならないため、これにより、第1アーム261および第2アーム265の剛性も大きくなければならない。そして、基板50の重量が重い場合にも、第1アーム261および第2アーム265の剛性が大きくなければならない。しかしながら、第1アーム261はケース状に形成されるため、十分な剛性を確保することができるが、第2アーム265はバー状に形成されるため、剛性を向上させるためには厚さを厚くしなければならない。
【0081】
以下、厚さを厚くすることなく剛性を向上させた、本発明の第3実施形態に係る基板移送装置を説明する。
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態に係る基板移送装置の第1アームおよび第2アームの平面斜視図であり、図11は、図10に示された第1アームと第2アームが死点の状態で配列されたことを示す平面図であって、第2実施形態との違いだけを説明する。
【0082】
図示のように、第2アーム365、366は、互いに対向しながら対称をなす一対で用意される。
このとき、一対の第2アーム365、366のうち、いずれか1つおよび他の1つの第2アーム365、366の第1本体部365a、366aの端部側は、前記移送ユニットのスライディング部材340の第1スライディング部材341にそれぞれ回転可能に支持され、第2本体部365b、366bの端部側は、第1アーム361の他端部側にそれぞれ回転可能に支持されると同時に、前記アーム駆動部によってそれぞれ回転する。そして、スライディング部材340にそれぞれ回転可能に支持された、いずれか1つの第2アーム365の第1本体部365a部位と他の1つの第2アーム366の第1本体部366a部位とは、スライディング部材340に支持された回転中心を基準として同心をなし、第1アーム361にそれぞれ回転可能に支持された、いずれか1つの第2アーム365の第2本体部365b部位と他の1つの第2アーム366の第2本体部366b部位とは、第1アーム361に支持された回転中心を基準として同心をなすことが好ましい。
【0083】
第2アーム365、366が一対で用意されるため、第2アーム365、366の厚さを厚くすることなく剛性を向上させることができることはもちろんである。
そして、第2アーム365、366を収縮または伸張させるために第2アーム365、366をベンディングさせる時、いずれか1つの第2アーム365および他の1つの第2アーム366には垂直方向の力および水平方向の力がすべてそれぞれ作用する。ところで、いずれか1つの第2アーム365に作用する水平方向の力と、他の1つの第2アーム366に作用する水平方向の力とは互いに相殺されるため、相対的に小さい力でも第2アーム365、366を収縮させたり伸張させることができる。
【0084】
すなわち、一対で用意された本発明の第3実施形態に係る第2アーム365、366を収縮させたり伸張させるのに必要な力は、1つで用意された本発明の第2実施形態に係る第2アーム265を収縮させたり伸張させるのに必要な力に比例して増加しない。
【0085】
第2アーム365、366が一対で配置されて対称をなすことを例として示したが、必ずしもこれに限定されるものではないことはもちろんである。すなわち、一対の第2アーム365、366が非対称をなしてもよい。また、第2アーム365、365が必ずしも2つのアームで構成される必要はなく、3つ以上で構成されてもよい。
【0086】
本発明の第2実施形態に係る第2アーム265を、本発明の第3実施形態に係る第2アーム365、366のように一対で形成すると仮定すると、第2アーム265の厚さをより薄く形成する効果を奏することもできる。
【0087】
以上のような本発明の実施形態に対する図面は、詳細な輪郭ラインを省略したものであって、本発明の技術思想に属する部分が分かりやすいように概略的に示したものである。また、上記の実施形態は、本発明の技術思想を限定する基準とはなり得ず、本発明の請求の範囲に含まれた技術事項を理解するための参照的な事項に過ぎない。
【符号の説明】
【0088】
110:支柱部材
120:昇降/回転部材
130:固定部材
140:スライディング部材
150:ハンド
161:第1アーム
165:第2アーム
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11