【実施例】
【0061】
鍵となる中間体の合成
【0062】
1) N,N-ビス(β-メトキシカルボニルエチル)ベンジルアミン
室温で、18.9g(0.22モル)のアクリル酸メチルおよび100mLのメタノールを、500mLの三ツ口ボトルに加え、10.7g(0.1モル)のベンジルアミンと50mLのメタノールとの混合溶液を、撹拌中の上記三ツ口ボトルに、一滴ずつゆっくりと添加した。温度は自然に上昇し、そして反応系の温度が50℃を超えないように、添加速度を調整した。この添加後、反応物を室温で0.5時間撹拌し、還流下で8時間反応させた。反応の完了後、未反応のメタノールおよびアクリル酸メチルを、減圧蒸留で除去し、淡黄色の油状産物であるN,N-ビス(β-メトキシカルボニルエチル)ベンジルアミンを得た(27.3g、収率98%、bp 174〜176℃/533Pa)。
【0063】
2) 1-ベンジル-4-ピペリドンの合成
500mLの丸底フラスコに、200mLの無水トルエンおよび4.5g(0.11モル)のナトリウムメトキシドを加えた。反応物を60℃に加熱して、しばらく撹拌し、28g(0.1モル)のN,N-ビス(β-メチルプロピオネート)ベンジルアミンが溶解した50mLのトルエン溶液を、一滴ずつゆっくりと添加した。反応溶液はすぐに粘稠性になったので、撹拌速度を上昇させた。この添加後、反応物を8時間還流させた。反応の完了後、還流を停止させて、反応物を室温まで冷ました。少量の水を加えて、未溶解の物質を溶解させた。反応物を静置して層に分離させ、トルエン相を濃縮塩酸(50mL×3)で抽出し、水相と塩酸相とを組み合わせた。還流下で6時間反応させた後、反応物を室温まで冷まし、水酸化ナトリウム溶液を加えてpH値を約8〜9に調節した。酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、酢酸エチル相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で一度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸留して溶媒を回収し、淡黄色の油状液体である1-ベンジル-4-ピペリドンを得た(15g、収率80%、bp: 136-142℃/400Pa。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.32-7.34 (5H, m), 3.60 (2H, s), 2.72 (4H, s), 2.43 (4H, s))。
【0064】
3) トリメチルスルホキシドのヨウ素塩の合成
500mLの丸底フラスコに、156g(2モル)のDMSOおよび142g(1モル)のヨウ化メチルを加えた。反応物を高性能還流装置に入れ、3日間反応させた。反応の完了後、反応物を冷まし、濾過し、水で2回結晶化させて、白色結晶状固体であるトリメチルスルホキシドのヨウ素塩を得た(130g、収率:約: 60%、mp: 203℃(昇華))。
【0065】
4) N-ベンジル-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンの合成
18.9g(0.1モル)の1-ベンジル-4-ピペリドン、24.2g(0.11モル)のトリメチルスルホキシドヨウ素塩、0.5gのテトラブチルアンモニウムブロミド、および200mLのトルエンを、500mLの丸底フラスコに加え、室温で、60mLの(15%)水酸化ナトリウム溶液を、一滴ずつゆっくりと添加した。反応物を80℃に加熱し、8時間反応させ、それから室温に冷ました。トルエン相を分離し、水相をトルエン(50mL×3)で抽出した。トルエン相を合わせ、水、飽和塩化ナトリウム溶液で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸留して溶媒を回収し、淡黄色の油状液体であるN-ベンジル-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンを得た(19g、収率:93%。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.31-7.33 (5H, m), 3.56 (2H, s), 2.64 (2H, s), 2.53-2.62 (4H, m), 1.52-1.86 (4H, m))。
【0066】
5) 1-(2-フルオロベンジル)-4-ピペリドンの合成
64.00g(0.443モル)のo-フルオロベンジルクロリドを秤量し、そこに250mLのジクロロメタンを加えた。62.40g(0.406モル)の4-ピペリドン塩酸塩一水和物を撹拌下で加え、それから、91.00g(0.899モル)のトリエチルアミンを、冷水による冷却および撹拌下で一滴ずつ添加した。反応物を室温で4.5時間撹拌し、その後、還流下で撹拌して一晩反応させた。翌日、反応物を冷まし、濾過して固形物を除去し、ジクロロメタンとエチルエーテルで順番に洗浄し、組み合わせ、水で洗浄して、乾燥させ、溶媒を回収して、68.95gの粗生成物(82.00%)を得、これを次の反応に直接使用した。
【0067】
6) N-(2-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンの合成
68.95g(0.333モル)の1-(2-フルオロベンジル)-4-ピペリドン粗生成物を反応ボトルに加え、290mLのトルエンを加えた。撹拌しながら、反応物を油浴中で80℃にて加熱し、それから、83.00g(0.377モル)のヨウ化トリメチルスルホキシドおよび2.20g(0.0065モル)の硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、順番に反応物に加えた。それから、90mLの水溶液に溶解した28.40g(0.710モル)の水酸化ナトリウムを、撹拌下、一滴ずつ反応物に添加した。この添加後、反応物を、80℃の浴槽温度において一晩撹拌した。翌日、反応物を冷まし、水で二回洗浄し、少量のトルエンで抽出し、組み合わせ、溶媒を回収して、淡黄色液体(54.70g(74.2%))、すなわち粗製の目的産物を得た。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.394 (1H, dt, J
1 = 7.56 Hz, J
2 = 1.68 Hz), 7.254 (1H, m), 7.118 (1H, ddd, J
1 = 7.56 Hz, J
2 = 1.12 Hz), 7.037 (1H, dtd, J
1 = 8.96 Hz, J
2 = 1.12 Hz), 3.562 (2H, d, J = 1.12 Hz), 2.647 (2H, s), 2.637 (4H, m), 1.820 (2H, m), 1.569 (2H, m)。
【0068】
7) 1-(4-フルオロベンジル)-4-ピペリドンの合成
58.10g(0.402モル)の4-フルオロベンジルクロリドを秤量し、250mLのジクロロメタンをこれに加え、それから62.00g(0.404モル)の4-ピペリドン塩酸塩一水和物を加えた。その後、86.00g(0.850モル)のトリエチルアミンを、30〜40℃の浴槽温度における撹拌下、一滴ずつ添加した。この添加後、反応物を撹拌下で過熱して還流させ、一晩反応させた。翌日、反応物を冷まし、濾過して固形物を除去し、ジクロロメタンおよびエチルエーテルで順番に洗浄し、組み合わせ、水で洗浄して、乾燥させ、溶媒を回収して、61.10の粗生成物(73.3%)を得た(
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.322 (2H, m), 7.027 (2H, t, J = 8.68 Hz), 3.585 (2H, s), 2.733 (4H, t, J = 6.16 Hz), 2.441 (4H, t, J = 6.16 Hz))。この粗生成物を、次の反応工程に直接使用した。
【0069】
8) N-(4-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンの合成
61.00g(0.295モル)の1-(4-フルオロベンジル)-4-ピペリドン粗生成物を反応ボトルに加え、260mLのトルエンをこれに加えた。油浴中で、反応物を80℃において加熱して撹拌し、それから、70.00g(0.318モル)のヨウ化トリメチルスルホキシドおよび2.70g(0.0080モル)の硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、順番に反応物に加え、それから、120mLの水溶液に溶解した28.00g(0.700モル)の水酸化ナトリウムを、撹拌下、一滴ずつ添加した。この添加後、反応物を、80℃の浴槽温度において一晩、継続して撹拌した。翌日、反応物を冷まし、水で二回洗浄し、少量のトルエンで抽出し、組み合わせ、乾燥させ、溶媒を回収して、淡黄色液体(47.50g(72.8%))、すなわち粗製の目的産物を得た(
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.298 (2H, m), 7.007 (2H, m), 3.519 (2H, s), 2.565 (2H, s), 2.559 (4H, m), 1.827 (2H, m), 1.534 (2H, m))。
【0070】
9) 1-(2,4-ジフルオロベンジル)-4-ピペリドンの合成
28.20g(0.125モル)の2,4-ジフルオロベンジルブロミドを秤量し、200mLのジクロロメタンをこれに加え、それから、62.00g(0.404モル)の4-ピペリドン塩酸塩一水和物を撹拌下で加えた。その後、86.00g(0.850モル)のトリエチルアミンを、30〜40℃の浴槽温度における撹拌下、一滴ずつ添加した。この添加後、反応物を過熱し、還流させ、一晩反応させた。翌日、反応物を冷まし、濾過して固形物を除去し、ジクロロメタンおよびエチルエーテルで順番に洗浄し、組み合わせ、水で洗浄して、乾燥させ、溶媒を回収して、61.10 gの粗生成物(73.3%)を得た(
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.31-7.33 (5H, m), 3.56 (2H, s), 2.64 (2H, s), 2.53-2.62 (4H, m), 1.52-1.86 (4H, m))。この粗生成物を、次の反応工程に直接使用した。
【0071】
10) N-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンの合成
28.20g(0.125モル)の1-(2,4-ジフルオロベンジル)-4-ピペリドン粗生成物を反応ボトルに加え、200mLのトルエンをこれに加えた。油浴中で、反応物を80℃において加熱して撹拌し、29.60g(0.135モル)のヨウ化トリメチルスルホキシドおよび0.60g(0.0018モル)の硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、順番に反応物に加え、それから、60mLの水溶液に溶解した11.40g(0.285モル)の水酸化ナトリウムを、撹拌下、一滴ずつ添加した。この添加後、反応物を、80℃の浴槽温度において一晩、継続して撹拌した。翌日、反応物を冷まし、水で二回洗浄し、少量のトルエンで抽出し、組み合わせ、乾燥させ、溶媒を回収して、淡黄色液体22.00g(73.6%)、すなわち粗製の目的産物を得た(
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.361 (1H, m), 6.76-6.89 (2H, m), 3.597 (2H, d, J = 1.12 Hz), 2.651 (2H, s), 2.601 (4H, m), 1.829 (2H, m), 1.545 (2H, m))。
【0072】
[実施例1]
1-[(1-ベンジル-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-メチル]-ピリジン-2(1H)-オン(化合物1。本発明においてYL-0911と呼ぶこともある)の調製
【0073】
方法1:102.00 g(0.501モル)のN-ベンジル-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および、48.20g(0.512モル)の2-アミノピリジンを秤量し、256mLのエチレングリコールモノメチルエーテルおよび25mLの水をそこに加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において撹拌し、2日間反応させた。まだ多量の未反応原料があることがTLCによって示され、その後、反応物を100℃に加熱して、さらに1日反応させ、室温に冷まし、減圧下で蒸留して溶媒を除去した。260mLのエタノールおよび37.20gのフマル酸をさらに反応物に加え、それからそれを溶解するために反応物を加熱して撹拌し、45℃まで自然に冷ました。30mLの無水エチルエーテルを加え、反応物を静置して固形物を沈殿させた。固形物を濾過して、少量のイソプロパノールで洗浄した。濾過物と洗浄溶液とを組み合わせ、減圧下で蒸留して溶媒を回収した。100mLの水を加え、混合物を、20.20gの水酸化ナトリウムおよび14.20gの無水酢酸ナトリウムで塩基性にし、ジクロロメタン(80mL×3)で抽出し、水で洗浄して、乾燥させて、溶媒を回収した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、0〜10%のメタノール-ジクロロメタンの勾配で溶出した。比較的極性を有する主成分を回収し、減圧下で蒸留して溶媒を除去し、石油エーテル-テトラヒドロフランを使用して結晶化し、淡黄色の砂状結晶を得て、これを乾燥させて、約48.50gの固形物を得た(収率32.6%)。融点: 137〜139℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.396 (1H, hept, J = 6.72, 2.24 Hz), 7.22-7.34 (6H, m), 6.641 (1H, dd→d, J = 8.92 Hz), 6.231 (1H, t×d, J = 6.72, 1.4 Hz), 4.753 (1H, s), 4.045 (2H, s), 3.530 (2H, s), 2.663 (2H, br-t), 2.401 (2H, td), 1.56-1.76 (4H, m)。塩酸塩:39.00gの結晶をTHF-EtOH(3:1)に溶解し、HCl-EtOHを用いて塩化し、無色顆粒状結晶を、38.35g、収率79.0%にて得た。融点:216〜218℃。HR-MS (m/z, TOF): C
18H
23N
2O
2、理論値:299.17595、実測値:299.17649。
【0074】
方法2:43.50g(0.214モル)のN-ベンジル-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および19.90g(0.209モル)の2-ヒドロキシピリジンを秤量し、85mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから3.25g(0.024モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加えた。混合物を、ジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させた。溶媒を回収して、残渣を石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、46.80g、収率56.2%にて得た。融点: 137〜139℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.392 (1H, hept, J = 6.72, 2.24 Hz), 7.22-7.34 (6H, m), 6.638 (1H, dd→d, J = 8.92 Hz), 6.232 (1H, t×d, J = 6.72, 1.4 Hz), 4.751 (1H, s), 4.041 (2H, s), 3.526 (2H, s), 2.660 (2H, br-t), 2.398 (2H, td), 1.56-1.76 (4H, m)。塩酸塩:43.00gの結晶をEtOAc-EtOH(3:1)で溶解し、それからHCl-EtOHで塩化し、無色細顆粒状結晶を、40.50g、収率86.3%にて得た。融点:217〜219℃。
【0075】
[実施例2]
1-{[1-(2-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン -2(1H)-オン(化合物2)の調製
【0076】
23.00g(0.104モル)のN-(2-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および10.30g(0.108モル)の2-ヒドロキシピリジンを秤量し、80mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから1.00g(0.007モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加えた。混合物を、ジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させた。溶媒を回収し、石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、22.80g、収率69.3%にて得た。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.372 (2H, m), 7.228 (2H, m), 7.092 (1H, t, J = 7.56 Hz), 7.020 (1H, t, J = 8.96 9.24 Hz), 6.639 (1H, d, J = 9.24 Hz), 6.228 (1H, t×d, J
1 = 6.72 Hz, J
2 = 1.12 Hz), 4.720 (1H, s), 4.036 (2H, s), 3.603 (2H, s), 2.69 (2H, dd, J
1 = 7.84 Hz, J
2 = 3.64 Hz), 2.46 (2H, t×d, J
1 = 8.40 Hz, J
2 = 2.80 Hz), 1.55-1.74 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、20.00gの産物を得た。融点:249〜251℃。
【0077】
[実施例3]
1-{[1-(4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン-2(1H)-オン(化合物3)の調製
【0078】
4.47g(0.0202モル)のN-(4-ベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および2.03g(0.0213モル)の2-ヒドロキシピリジンを秤量し、60mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから0.18g(0.0013モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加え、この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を回収した。残渣を、石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、4.92g、収率77.0%にて得た。融点:154〜156℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.392 (1H, tdt, J
1 = 7.84 Hz, J
2 = 2.24 Hz), 7.22-7.29 (3H, m), 6.988 (2H, t×t, J
1 = 8.68 Hz, J
2 = 1.96 Hz), 6.642 (1H, dd→d,J = 8.40 Hz), 6.232 (1H, t×d, J
1 = 6.72 Hz, J
2 = 1.40 Hz), 4.729 (1H, s), 4.042 (2H, s), 3.484 (2H, s), 2.699 (2H, dd, J
1 = 7.56 Hz, J
2 = 3.92 Hz), 2.381 (2H, t×d, J
1 = 10.93 Hz, J
2 = 3.08 Hz), 1.55-1.70 (4H, m)。3.84gの遊離塩基を秤量し、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、5.35gの産物を得た。融点:166〜168℃、収率:97.6%。
【0079】
[実施例4]
1-{[1-(2,4-ジフルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン-2(1H)-オン(化合物4)の調製
【0080】
2.40g(0.0200モル)のN-(2,4-ベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および2.00g(0.0210モル)の2-ヒドロキシピリジンを秤量し、40mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから0.25g(0.0018モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加え、この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を回収した。残渣を、石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、3.64g、収率54.4%にて得た。融点:136〜138℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.33-7.43 (2H, m), 7.228 (1H, dd, J
1 = 6.72 Hz, J
2 = 1.68 Hz), 6.75-6.88 (2H, m), 6.643 (1H, dd, J
1 = 8.40 Hz, J
2 = 0.56 Hz), 6.235 (1H, t×d, J
1 = 6.72 Hz, J
2 = 1.40 Hz), 4.808 (1H, s), 4.041 (2H, s), 3.587 (2H, s), 2.690 (2H, dd→d, J = 11.20 Hz), 2.381 (2H, t×d→t, J
1 = 9.52 Hz, J
2 = 11.48 Hz), 1.56-1.72 (4H, m)。3.40gの結晶を取り、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、2.80gの産物を得た。融点:178〜180℃、収率:75.5%。
【0081】
[実施例5]
5-ブロモ-1-[(1-ベンジル-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-メチル]-ピリジン-2(1H)-オン(化合物5)の調製
【0082】
実施例1の方法2を参照しながら、N-ベンジル-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンおよび5-ブロモ-2-ヒドロキシ-ピリジンを使用して遊離塩基を調製した。融点:146〜148℃。産物をエタノール-酢酸エチルに溶解し、HCl-EtOHで塩化し、塩酸塩を収率78.5%にて得た。融点:148〜150℃。
1H-NMR (D
2O, ppm) δ: 7.594 (1H, d, J = 2.80 Hz), 7.495 (1H, dd, J
1 = 9.52 Hz, J
2 = 2.52 Hz), 7.24-7.34 (5H, m), 6.365 (1H, d, J = 9.52 Hz), 4.112 (2H, s), 3.891 (2H, s), 3.208 (2H, d, J = 13.15 Hz), 3.031 (2H, t, J
1 = 11.20 Hz, J
2 = 12.60 Hz), 1.742 (2H, t×d, J
1 = 11.20 Hz, J
2 = 3.95 Hz), 1.573 (2H, J = 14.57 Hz)。
【0083】
[実施例6]
5-ブロモ-1-{[1-(2-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン-2(1H)-オン(化合物6)の調製
【0084】
7.00g(0.0316モル)のN-(2-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および5.50g(0.0314モル)の5-ブロモ-2-ヒドロキシ-ピリジンを秤量し、40mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから0.53g(0.004モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加え、この混合物を、ジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を回収した。残渣を石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、4.20g、収率69.3%にて得た。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.413 (1H, s), 7.399 (1H, dd, J
1 = 8.20 Hz, J
2 = 2.80 Hz), 7.358 (1H, t×d, J
1 = 7.28 Hz, J
2 = 1.68 Hz), 7.229 (1H, m), 7.096 (1H, t×d, J
1 = 7.56 Hz, J
2 = 1.12 Hz), 7.021 (1H, hept→t, J
1 = 9.80 Hz), 6.543 (1H, dd,J = 8.12 Hz), 3.994 (2H, s), 3.848 (1H, s), 3.602 (2H, s), 2.699 (2H, dd, J
1 = 7.56 Hz, J
2 = 3.82 Hz), 2.46 (2H, t×d, J
1 = 8.96 Hz, J
2 = 2.52 Hz), 1.54-1.74 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、4.60gの産物を得た。融点:184〜186℃。
【0085】
[実施例7]
5-ブロモ-1-{[1-(4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン-2(1H)-オン(化合物7)の調製
【0086】
4.43g(0.0200モル)のN-(4-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および3.55g(0.0202モル)の5-ブロモ-2-ヒドロキシ-ピリジンを秤量し、40mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、それから0.15g(0.0011モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約80℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加え、この混合物を、ジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を回収した。残渣を石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、2.65g、収率33.2%にて得た。融点:181〜183℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.419 (1H, s), 7.405 (1H, dd, J
1 = 9.80 Hz, J
2 = 2.52 Hz), 7.252 (1H, t, J = 8.68 Hz), 6.990 (2H, t, J = 8.68 Hz), 6.547 (1H, d, J = 9.80 Hz,), 4.000 (2H, s), 3.864 (1H, s), 3.480 (2H, s), 2.641 (2H, dd, J
1 = 7.84 Hz, J
2 = 3.92 Hz), 2.352 (2H, t×d, J
1 = 9.84 Hz, J
2 = 1.96 Hz), 1.53-1.73 (4H, m)。2.65gの遊離塩基を秤量し、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、2.29gの産物を得た。融点:255〜257℃、収率:80%。
【0087】
[実施例8]
5-ブロモ-1-{[1-(2,4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-ピリジン-2(1H)-オン(化合物8)の調製
【0088】
実施例1の方法2を参照しながら、N-(2,4-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンおよび5-ブロモ-2-ヒドロキシ-ピリジンを原材料として使用して遊離塩基を調製した。融点:172〜174℃。産物をエタノール-酢酸エチルに溶解し、HCl-EtOHで塩化し、塩酸塩を得た。融点:271-273℃,
1H-NMR (D
2O, ppm) δ: 7.601 (1H, s), 7.508 (1H, d, J = 9.52 Hz), 7.330 (1H, q, J
1 = 8.12 Hz, J
2 = 6.44 Hz), 6.884 (1H, q, J
1 = 8.40 Hz, J
2 = 7.00 Hz), 6.365 (1H, d, J = 9.52 Hz), 4.175 (2H, s), 3.904 (2H, s), 3.262 (2H, d, J = 11.76 Hz), 3.081 (2H, t, J
1 = 12.32 Hz, J
2 = 12.60 Hz), 1.742 (2H, t×d→t, J
1 = 11.20 Hz, J
2 = 13.44 Hz), 1.593 (2H, J = 14.56 Hz)。
【0089】
[実施例9]
1-[(1-ベンジル-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-メチル]-4-メチルピリジン-2(1H)-オン(化合物9)の調製
【0090】
2.23g(0.0202モル)のN-(4-ベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタン、および、1.13g(0.0208モル)の2-ヒドロキシ-4-メチルピリジンを秤量し、50mLの無水メタノールに加え、それから0.18g(0.0013モル)の炭酸カリウムを加えた。反応物を、約70℃の浴槽温度において1日撹拌して反応させ、減圧下で溶媒を回収した。炭酸カリウム水溶液を残渣に加え、この混合物を、ジクロロメタンで2回抽出し、組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を回収した。残渣を石油エーテル-酢酸エチルで結晶化し、無色の薄片状結晶を、0.63g、収率20.2%にて得た。融点:145〜146℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.25-7.35 (5H, m), 7.105 (1H, d, J = 7.00 Hz), 6.438 (1H, s), 6.076 (1H, d, J = 6.72 Hz), 5.004 (1H, s), 4.005 (2H, s), 3.550 (2H, s), 2.673 (2H, dd→d, J = 11.48 Hz), 2.381 (2H, t×d→t, J
1 = 9.24 Hz, J
2 = 11.20 Hz), 2.203 (3H, s), 1.54-1.70 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、0.68gの産物を得た。融点:220〜222℃。
【0091】
[実施例10]
1-{[1-(2-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-4-メチルピリジン-2(1H)-オン(化合物10)の調製
【0092】
実施例9の方法を参照しながら、N-(2-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンおよび2-ヒドロキシ-4-メチル-ピリジンを合成のための原材料として使用して、2.69gの産物を収率40.8%にて得た。融点:122〜124℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.390 (1H, t, J = 6.86 Hz), 7.21-7.27 (1H, m), 7.07-7.13(2H), 7.023 (1H, t, J
1 = 9.80 Hz, J
2 = 8.68 Hz), 6.433 (1H, s), 6.072 (1H, dd, J
1 = 7.01 Hz, J
2 = 1.68 Hz), 5.017 (1H, s), 3.997 (2H, s), 3.633 (2H, s), 2.705 (2H, dd→d, J = 11.48 Hz), 2.507 (2H, t×d→t, J
1 = 9.52 Hz, J
2 = 10.92 Hz), 2.201 (3H, s), 1.55-1.72 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、2.85gの産物を得た。融点:190〜192℃。
【0093】
[実施例11]
1-{[1-(4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-4-メチルピリジン-2(1H)-オン(化合物11)の調製
【0094】
実施例9の方法を参照しながら、N-(4-フルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンおよび2-ヒドロキシ-4-メチル-ピリジンを合成のための原材料として使用して、0.90gの産物を収率27.3%にて得た。融点:154〜156℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.309 (2H, m), 7.104 (1H, d, J = 6.72 Hz), 7.000 (2H, m), 6.438 (1H, d→s), 6.081 (1H, dd, J
1 = 7.00 Hz, J
2 = 1.96 Hz), 5.094 (1H, br-s), 4.006 (2H, s), 3.530 (2H, d, J = 6.72 Hz), 2.677 (2H, dd→d, J = 11.20 Hz), 2.453 (2H, t×d→t, J
1 = 10.36 Hz, J
2 = 12.05 Hz), 2.204 (3H, d, J = 10.84 Hz), 1.55-1.72 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、0.94gの産物を得た。融点:250〜251℃。
【0095】
[実施例12]
1-{[1-(2,4-ジフルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル]-メチル}-4-メチルピリジン-2(1H)-オン(化合物12)の調製
【0096】
実施例9の方法を参照しながら、N-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-オキサ-6-アザスピロ[2,5]-オクタンおよび2-ヒドロキシ-4-メチル-ピリジンを合成のための原材料として使用して、0.58gの産物を収率16.7%にて得た。融点:157〜158℃。
1H-NMR (CDCl
3, ppm) δ: 7.356 (1H, dd→q, J
1 = 8.40 Hz, J
2 = 6.72 Hz), 7.094 (1H, d, J = 7.00 Hz), 6.75-6.87 (2H, m), 6.437 (1H, s), 6.079 (1H, d, J
1 = 7.00 Hz, J
2 = 1.96 Hz), 5.040 (1H, br-s), 3.996 (2H, s), 3.580 (2H, s), 2.678 (2H, dd→d, J = 11.48 Hz), 2.381 (2H, t×d, J
1 = 11.20 Hz, J
2 = 2.52 Hz), 2.204 (3H, d, J = 10.84 Hz), 1.54-1.70 (4H, m)。この産物を、エタノール-酢酸エチル中で加熱して溶解し、温かいうちにHCl-EtOHで塩化し、自然に冷まし、無色細顆粒状結晶を得た。この結晶を、真空下で乾燥させ、0.59gの産物を得た。融点:207〜210℃。
【0097】
本発明をさらに説明するために、以下の生物学的活性実験を使用する。
【0098】
生物学的活性実験1:5-HT
1A受容体および5-HT輸送タンパク質の、放射性リガンド競合的結合試験
【0099】
1.1 原理
【0100】
放射性同位体標識リガンド、および受容体含有膜タンパク質を、これら受容体とリガンドとが十分に結合して複合体を形成するよう、適切な条件下でインキュベートした。
【0101】
[R]が固定されて変わらず、[L
*]が十分に大きい場合に、[RL]結合は飽和に達し、そこで未結合の遊離放射性リガンドを除去して、放射線の強度を測定した。
【0102】
特異的結合CPM数=全結合CPM数−非特異的結合CPM数(各結合につき2つ組のチューブを用いた)
【数1】
【0103】
1.2 実験材料:
【0104】
(1) 5-HT
1A受容体、5-HT輸送タンパク質(SERT)、NE輸送タンパク質(NET)を安定的に発現する異なる細胞株から、それぞれ抽出された、膜タンパク質。
(2) ラットの海馬および前部皮質から抽出された、粗製シナプトソーム。
(3) 高速冷却遠心分離機、HIACHI(モデル: 20PR-5)。
(3) 超高速冷却遠心分離機、HIACHI(モデル: SCP85H)。
(4) ホモジナイザー、ULTRA-TURRAXT25。
(5) UV-250紫外分光光度計、島津製作所、日本国。
(6) 20-ウェル セルハーベスター、Shaoxing Instrument Device社。
(7) 49型 ガラス繊維濾過膜、Shanghai Yuguang Clarification Material社。
(8) LS6500型 液体シンチレーションカウンター、Beckman社。
(9) 培養皿、12-ウェルプレート、96-ウェルプレート、Corning社。
【0105】
1.3 試薬:
【0106】
(1) [
3H]-8-OH-DPAT、[
3H]-シタロプラム、[
3H]-ニソキセチン、[
3H]-5-HT。これらはPE社の製品である。
(2) WAY100635、フルオキセチン、レボキセチン、デュロキセチン、デシプラミン、ブスピロン。これらはSigma社の製品である。
(3) メチルリカコニチン(MLA)、ポリエチレンイミン(PEI)、ウシ血清アルブミン(BSA)、PMSF、プロテイナーゼ阻害剤。これらはSigma社の製品である。
(4) シンチレーション液。これはPE社の製品である。
(5) Folin-フェノール試薬。これはHuawei Keyi社の製品である。
(6) Tris-HClバッファー溶液(50mM Tris-HCl、1mM EDTA、5mM MgCl
2、1mM PMSF、0.1% NaN
3、3μg/mlプロテイナーゼ阻害剤、pH 7.4)。
(7) HEK-293細胞株。これは、北京協和基礎医学研究所から購入した。
(8) 5-HT輸送タンパク質(SERT)およびNE輸送タンパク質(NET)。これらは、Addgene社(米国)から購入した2つのプラスミドである。
(9) 他の試薬はすべて、分析純度試薬である。
【0107】
1.4 実験方法
【0108】
1.4.1 YLシリーズ化合物のスクリーニング
【0109】
(1) ラット海馬の膜タンパク質の調製
【0110】
ウイスターラット(220〜260g、メスおよびオス)は、断頭により処置にし、海馬を迅速に分離して秤量し、10倍体積量のTris-HClバッファー溶液(50mM Tris-HCl、5mM MgCl
2、1mM EDTA、0.5% (W/V) BSA、1mM PMSF、3μg/mlプロテイナーゼ阻害剤、0.1% NaN
3、0.32Mショ糖、pH 7.4)中で、15,000rpmにて30秒、合計5回、ホモジナイズした。ホモジネートを、1000×gで10分間、遠心分離し、それから上清を39000×gで10分間、遠心分離した。沈殿物を回収し、元の重量に対して10倍体積量のTris-HClバッファー溶液(pH 7.4)に再懸濁し、それから39000×gで10分間、遠心分離した。沈殿物を同じバッファー溶液で洗浄し、39000×gで10分間遠心分離し、沈殿物を上記バッファー溶液に懸濁した。小分けにした後(すべての操作は氷浴のもとで行った)、産物を-80℃で貯蔵した。タンパク質濃度はLowrry法で測定した。
【0111】
(2) 試験化合物の、SERT([
3H]-シタロプラムを使用)および5-HT
1A受容体([
3H]-8-OH-DPATを使用)への結合についての、競合的結合試験
【0112】
1) 5-HT
1A受容体結合試験では、まずチューブを25℃の反応条件下に置く。
2) すべてのチューブに、ラット海馬から抽出された100μgの受容体タンパク質を、順番に加えた。
3) 非特異的結合チューブには、50μl(最終濃度:25μM)のWay100635を加え、30分間の事前反応を行った。
4) 試験チューブには、対応する濃度(スクリーニングに使用:10
-5、10
-7、10
-9M)の30μlの化合物を順番に加えた。
5) すべてのチューブに、40μlの[
3H]-8-OH-DPAT(7.34nM)を順番に加え、標識リガンドの最終濃度は1.28nMであった。
6) Tris-HClバッファー溶液(50mM Tris-HCl、1mM EDTA、5mM MgCl
2、0.1mM PMSF、0.1% NaN
3、pH 7.4)をすべてのチューブに供給し、体積を300μlとした。使用した陽性対照薬剤は5-HTおよび8-OH-DPATであった。
7) 25℃で1時間、反応を行った。
8) それから試料を49型ガラス繊維フィルターに適用し、真空吸引濾過し、その後2mlの氷冷Tris-HClバッファー溶液(50mM Tris-HClバッファー溶液、1mM EDTA、5mM MgCl
2、1mM PMSF、0.1% NaN
3、3μg/mlプロテイナーゼ阻害剤、pH 7.4)で3回洗浄した。フィルターを乾燥させて、1mlのシンチレーション液と共にシンチレーションバイアルに入れた。放射活性をシンチレーションカウンターによって測定した。
【0113】
化合物とSERTの競合的結合試験([
3H]-シタロプラムを競合に使用)は、上記と同じ工程で行い、反応における非標識リガンドは50μMの濃度のフルオキセチンであり、標識リガンド[
3H]-シタロプラムの濃度は1nMであった。使用した陽性対照薬剤は、デュロキセチンおよびフルオキセチンであった。
【0114】
1.4.2 YL-0911のSERTおよびNETに対する結合試験
【0115】
(1) ヒトSERTまたはNETを安定的に発現する、ヒト胚性腎臓293細胞の確立
【0116】
1) プラスミドの増幅、抽出、および同定
LB液体培養培地の調製:コンピテントバクテリアの増殖に使用した。
SERTおよびNET組換えプラスミドの増幅:JM109バクテリアのコンピテンスを調製し、そのバクテリアを形質転換して、形質転換バクテリアを多量に増殖させた。
組換えプラスミドの抽出、精製、および同定:組換えプラスミドの酵素的消化、アガロースゲル電気泳動による同定、多量の組換えプラスミドの抽出および精製、プラスミド配列の測定、プラスミドが正しい配列であることの確認。
【0117】
2) 細胞培養および安定的トランスフェクション
安定的トランスフェクションは、Lipofectamine 2000法によって行い、単一細胞クローン化した細胞株を調製した。
【0118】
1.4.3 YL-0911の、SERTまたは5-HT
1A受容体に対する放射性リガンド結合試験、および、SERTに対する[
3H]-シタロプラム、または5-HT
1Aに対する[
3H]-8-OH-DPATの飽和結合試験
【0119】
(1) SERTを安定的に発現する細胞株からの、膜タンパク質の調製
Applygen社から購入した膜タンパク質抽出キットを、抽出のために使用し、その工程および条件は、説明書に従って行った。
【0120】
(2) タンパク質含量の測定
Lowrry法によるタンパク質測定:細胞から抽出されたSERTおよびNETタンパク質の濃度は、それぞれ4.3 mg/mlおよび3.9 mg/mlと測定され、ラット海馬から抽出された5-HT
1A受容体の含量は5.5mg/mlであった。
【0121】
(3) [
3H]-8-OH-DPATおよび5-HT
1A受容体、[
3H]-シタロプラムおよびSERTの、飽和結合試験
1) すべてのチューブに、ラット海馬組織から抽出された50μgの量の5-HT
1A受容体タンパク質を、順番に加えた。
2) 非特異的結合チューブには、50μlの非標識リガンドway100635を加え、この非標識リガンドの最終濃度は10μMであり、事前反応を15分間行った。
3) 様々な濃度(0.2nM、0.3nM、0.6nM、0.9 nM、1.2 nM、1.5 nM、2.4 nM、4.0 nM、5.5nM)の[
3H]-DPATを、別々のチューブに加えた。
4) Tris-HClバッファー(pH 7.4)をすべての反応チューブに供給し、体積を200μlとした。
5) 37℃で1時間、反応を行った。
6) それから試料を49型ガラス繊維フィルターに適用し、真空吸引濾過し、5 mlの氷冷Tris-HClバッファーで5回洗浄した。フィルターを乾燥させて、1mlのシンチレーション液と共にシンチレーションバイアルに入れた。放射能強度を、LS6500型液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。
【0122】
SERTおよび[
3H]-シタロプラムの飽和結合試験は、上記と同じ工程により行い、各チューブに、トランスフェクトされた細胞から抽出した15μgの量のSERTタンパク質を順番に加え、非標識リガンドは100μMの濃度のフルオキセチンであり、標識リガンド[
3H]-シタロプラムの濃度は、0.4nM、0.6 nM、0.9 nM、1.2 nM、1.5 nM、2.4 nM、3.6 nM、7.2nM、8.2nM、9.2nM、10.2nMであった。
【0123】
(4) YL-0911および5-HT
1A受容体の競合的結合試験
1) 試験チューブを、37℃反応器中に置いた。
2) すべてのチューブに、50μgの量の受容体タンパク質を、順番に加えた。
3) 試験チューブに、20μlの試験薬剤(10
-3から10
-10Mの範囲の濃度を選んだ)を加えた。
4) 非特異的結合チューブには、50μlの非標識リガンドWAY100635を加え、この非標識リガンドの最終濃度は10μMであり、事前反応を15分間行った。
5) すべての試験チューブに、60μlの標識リガンドを順番に加え、標識リガンドの最終濃度は0.25nMであった。
6) Tris-HCl(pH 7.4)をすべての反応チューブに供給し、体積を200μlとした。
7) 37℃で1時間、反応を行った。
8) それから試料を49型ガラス繊維フィルターに適用し、真空吸引濾過し、5 mlの氷冷Tris-HClバッファーで5回洗浄した。フィルターを乾燥させて、1mlのシンチレーション液と共にシンチレーションバイアルに入れた。放射能強度を、LS6500型液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。
【0124】
SERTおよび[
3H]-シタロプラムの競合的結合試験は、上記と同じ工程により行い、細胞から抽出されてSERTに加えられたタンパク質の含量は15μgであり、非標識リガンドはフルオキセチンであり、標識リガンドの濃度は1.4 nMであった。
【0125】
1.4.4 ラットのシナプトソームにおける、YL-0911およびその陽性薬剤の、5-HT再取り込み阻害試験
【0126】
(1) シナプトソームタンパク質の調製
1) ラットを迅速に断頭して脳を取り出し、氷上で海馬および皮質を分離した。
2) 3匹のラットの同じ脳組織を組み合わせ、それに10倍体積量の氷浴ホモジネート液を加え、ホモジナイズした。
3) ホモジネートを、4℃にて1500gで10分間、遠心分離し、沈殿物を棄てた。
4) 上清を、4℃にて12000gで15分間、遠心分離し、その上清を棄て、その沈殿部分が粗製シナプトソームであった。
5) 再懸濁バッファーで2回洗浄し、4℃にて13000gで10分間遠心分離し、再び再懸濁した。
6) タンパク質濃度はLowrry法により測定した。
7) シナプトソームは氷上で保存し、試験は4〜6時間以内に完了させた。
注意:シナプトソームの調製のためのすべての手順は、低温において行った。
【0127】
(2) タンパク質含量の測定
タンパク質はLowrry法により測定した:粗製シナプトソームの測定された濃度は8.4mg/mlであった。
【0128】
(3) ラットのシナプトソームにおける、YL-0911およびその陽性薬剤の、5-HT再取り込み阻害試験
1) すべてのチューブに、50μgの量の粗製シナプトソームタンパク質を、順番に加えた。
2) 非特異的結合チューブには、50μlのフルオキセチンを加え、その最終濃度は100μMであり、事前反応を15分間行った。
3) 試験チューブには、10
-3から10
-10Mの範囲の様々な濃度の試験薬剤を順番に加え、15分間反応させた。
4) すべての試験チューブに、30μlの標識リガンド[
3H]-5-HTを順番に加え、その標識リガンドの最終濃度は20.3nMであった。
5) Tris-HCl(pH 7.4)をすべての反応チューブに供給し、体積を200μlとした。
6) 37℃で10分間、反応を行った。
7) それから試料を49型ガラス繊維フィルターに適用し、真空吸引濾過し、10 mlの氷冷Tris-HClバッファーで5回洗浄した。フィルターを乾燥させて、1mlのシンチレーション液と共にシンチレーションバイアルに入れた。放射能強度を、LS6500型液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。
【0129】
(4) YL-0911およびその陽性対照薬剤の、NET結合作用の予備的試験
10
-5および10
-7 mol/Lという2つの異なる薬剤濃度を使用して、NETを安定的に発現するHEK-293細胞株から抽出されたNETタンパク質に対する、YL-0911の結合作用を決定した。
【0130】
1.4.5 統計学的方法
【0131】
【数2】
算出された阻害パーセントを使用して、Orgin7.0/GraphPad Prism 4.0ソフトウェアを用いてIC
50値を計算した。飽和試験の結果を使用して、Orgin7.0/GraphPad Prism 4.0ソフトウェアを用いてK
d値を計算した。
【0132】
IC
50およびK
dを使用して、Ki値を計算した。K
i = (IC
50/(1+[L]/K
d)であり、[L]は、加えられた放射性リガンドの濃度である。
【0133】
1.4.6 研究結果
【0134】
1.4.6.1 SERTおよび5-HT
1Aに対する、YLシリーズ化合物の結合の、実験的スクリーニング
【0135】
(1) 5-HT
1A受容体に対するYLシリーズ化合物の競合的結合試験の結果を、表1に示す。
【表1】
【0136】
この結果は、異なる濃度における陽性対照薬剤と比較して、本発明の化合物は、本質的に同等の5-HT
1Aに対する親和性を有することを示している。
【0137】
(2) 5-HT輸送タンパク質(SERT)に対する試験化合物の競合的結合試験の結果
【0138】
表1の結果に従って、発明者らは、実施例1、2、4、5および6で得られた5つの化合物を、本発明の好適な化合物としてさらに調べ、SERTに対するそれらの親和性を観察した。結果を表2に示す。
【表2】
【0139】
この結果は、異なる濃度における陽性対照薬剤と比較して、本発明の化合物、特に化合物1、4および5は、本質的に同等のSERTに対する親和性を有することを示している。
【0140】
本発明の化合物の生物学的活性をさらに観察するために、例示的な化合物1(YL-0911)を以下のようにしてさらに試験した。
【0141】
1.4.6.2 5-HT
1A受容体(海馬から抽出したもの)およびSERT(トランスフェクトした細胞株から抽出した輸送タンパク質hSERT)の飽和結合試験
【0142】
研究結果は、SERTに対する[
3H]-シタロプラムの飽和結合から計算された試験K
d値が1.50±0.6 nMであることを示しており、これは文献において報告されているものと合致する。5-HT
1Aに対する[
3H]-8-OH-DPATの飽和結合から計算された試験K
d値は、0.96±0.38nMであり、これは文献において報告されているものと本質的に合致する。上述の飽和曲線は詳細には示さない。
【0143】
1.4.6.3 5-HT
1A受容体に対する、YL-0911、ならびにその陽性薬剤ブスピロンおよび8-OH-DPATの、競合的結合試験(
図1に結果を示す)
【0144】
この結果は、YL-0911が、5-HT
1Aに対して、K
i値0.44±0.32nMという高い親和性を有することを示している。
【0145】
1.4.6.4 SERTに対する、YL-0911、ならびにその陽性薬剤デュロキセチンおよびフルオキセチンの、競合的結合試験(
図2に結果を示す)
【0146】
この結果は、YL-0911が、SERTに対して、Ki値5.38±0.27nMという高い親和性を有することを示している。
【0147】
1.4.6.5 粗製ラットシナプトソームにおける、YL-0911およびその陽性薬剤の、 5-HT再取り込み阻害曲線(
図3に結果を示す)
【0148】
この結果は、YL-0911が、ラット脳における5-HT再取り込みを、著しく阻害し得ることを示している(IC
50は8.51±0.23Nm)。
【0149】
結果の要約:飽和試験で得られたK
d値、および、競合的結合試験で得られたIC
50値によって、式に従ってK
iを計算した。ラット皮質から抽出されたシナプトソームを使用して、5-HT再取り込み試験を行い、その結果を解析してIC
50を得た。すべての結果を、下の表3に要約する。
【表3】
【0150】
1.5 簡潔な要約
【0151】
(1) 上記の図および表から、本発明の例示的化合物YL-0911は、2つの陽性薬剤と非常に近似した、SERTに対する親和性を有しており、K
i値は5.38±0.27nMであることがわかる。5-HT
1Aに対するその親和性は、陽性薬剤ブスピロンのものを明らかに上回っており、K
i値は0.44±0.32nMである。
【0152】
(2) SERT再取り込み阻害についてのYL-0911の試験では、5-HT再取り込み阻害のIC
50値は8.51±0.23nMである。
【0153】
(3) YL-0911のNETに対する選択性に関しては、NETに対する親和性は、SERTおよび5-HT
1Aに対する親和性よりも明らかに低い。
【0154】
要約すると、本発明の例示的化合物YL-0911は、SERTおよび5-HT
1Aに対して高い親和性を有する化合物であり、5-HT再取り込みに対して比較的高い阻害効果を有しており、従って、本発明の例示的化合物YL-0911は、2つの標的点を有し、抗うつ薬的活性を有し得る、新規の化合物である。
【0155】
生物学的効果の試験2:本発明の化合物の、抗うつ、抗不安、認識亢進行動における活性の評価
【0156】
本発明の例示的化合物YL-0911をこの試験において使用した。
【0157】
2.1 抗うつ行動についての絶望モデル
【0158】
2.1.1 マウスにおける強制水泳試験
【0159】
マウスにおける強制水泳試験(forced swim test)は、Porsoltらによって確立された、急性行動学的絶望のモデルである。
【0160】
(1) 実験装置:ガラスシリンダー(直径13 cm、高さ24cm、25℃で維持された水深10 cmの水を含む)
(2) 実験方法:体重20〜25gのオス昆明マウス。胃内への薬剤投与の1時間後、マウスを緩やかに水に入れ、全6分間の試験のうちの最後の4分間中における不動時間を記録した。
(3) 実験結果:表4を参照のこと。
【表4】
【0161】
胃内投与された本発明の例示的化合物YL-0911は、マウスにおける強制水泳試験において、抗うつ薬的効果を示すことが、この表から見出される。
【0162】
2.1.2 マウスにおける尾懸垂試験
【0163】
マウスにおける尾懸垂試験(tail suspension test)は、Steruら(1985)によって確立された、急性行動学的絶望のモデルである。
1) 実験装置:隔離板によって2つの実験チェンバー(20×25×30cm)に分けられた、実験フレーム。チェンバー内を貫通した棒上にマウスの尾を留めるためのクランプが取り付けられ、マウスを吊り下げられるようにしてある。
2) 実験方法:体重20〜25gのオス昆明マウス。マウスに、YL-0911または媒体(蒸留水)を胃内投与した。1時間後、尾の付け根から4分の3の距離の位置で、粘着テープをマウスの尾に巻きつけ、それから、懸垂フックをその粘着テープに通して、台上5cmのところで動物を吊り下げた。全6分間の試験のうちの最後の4分間中における不動時間を記録した。
3) 実験結果:表5を参照のこと。
【表5】
【0164】
胃内投与された本発明の例示的化合物YL-0911は、マウスにおける尾懸垂試験において、抗うつ薬的効果を示すことが、この表から見出される。
【0165】
2.2 抗不安行動の動物モデル
【0166】
Boissieら(1962)によって確立された、不安症の動物モデルである有孔板試験(hole board test)を、マウスにおいて実施した。
1) 実験装置:床に4つの孔(直径3 cm、深さ1.8 cm)を有する、透明アクリル樹脂の箱((40×40×27cm)。各々の孔の中心から、最も近い壁までの距離は、10cmである。
2) 実験方法:体重20〜25gのオス昆明マウス。マウスに、YL-0911または媒体(蒸留水)を胃内投与した。23日後、観察者に背を向けるようにして、上記有孔板の中心にマウスを置いた。動物の頭が、少なくとも目の位置まで孔の中に突っ込まれた場合に、覗き込みがあったものとした。最初の覗き込みまでの潜伏期間、覗き込みの回数、および覗き込みに費やされた時間を、5分間にわたって記録した。
3) 実験結果:表6を参照のこと。
【表6】
【0167】
本発明の例示的化合物YL-0911を用いた長期処置は、マウスにおける有孔板試験において、抗不安薬的効果を示すことが、この表における結果から見出される。
【0168】
2.3 動物モデルにおける認識亢進行動
【0169】
新奇物体認識試験(object recognition test)は、Limaらによって確立された、認識行動モデルである。
1) 実験装置:白色アクリル樹脂の箱(60×60×16cm)、2つの完全に同一な物体、1つの完全に異なる物体。
2) 実験方法:体重20〜25gのオス昆明マウス。マウスに、YL-0911または媒体(蒸留水)を、5日間胃内投与した。第6日目に、YL-0911または媒体で処置した後、各マウスを、上記アクリル樹脂箱の同じ場所に5分間置いて馴化させた。第7日目に、マウスにYL-0911または媒体を投与し、それから、2つの対角の隅に2つの同一物体を置いたアクリル樹脂箱の同じ場所に、5分間、マウスを個別に置いた。第8日目に、見慣れた物体のうちの1つを新奇物体と置き換えたほかは第7日目と同じ手順を使用して、マウスを記憶について試験した。
3) 実験結果:表7を参照のこと。
【表7】
【0170】
本発明の例示的化合物YL-0911を用いた長期処置は、マウスにおける新奇物体認識試験において、亢進された認識活性を示すことが、この表における結果から見出される。
【0171】
本発明の特定の実施態様を詳細に説明してきたが、当業者は、開示された教示に基づいて、これらの細部を修正・変更できること、および、これらの変更はすべて本発明の保護範囲に入ることを理解するであろう。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲、およびそのあらゆる均等物によって定められる。