特許第5663660号(P5663660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663660アップリンクパワー制御方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663660
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】アップリンクパワー制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/24 20090101AFI20150115BHJP
【FI】
   H04W52/24
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-512724(P2013-512724)
(86)(22)【出願日】2010年11月5日
(65)【公表番号】特表2013-527723(P2013-527723A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】CN2010078466
(87)【国際公開番号】WO2011150628
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2013年1月8日
(31)【優先権主張番号】201010194448.3
(32)【優先日】2010年6月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509024525
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(72)【発明者】
【氏名】ルー,チェンホン
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/091676(WO,A1)
【文献】 特開2010−011464(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/109162(WO,A2)
【文献】 特表2010−520711(JP,A)
【文献】 特開2010−010969(JP,A)
【文献】 特開2009−201106(JP,A)
【文献】 3GPP TS 36.213 V9.1.0 (2010-03),3GPP,2010年 3月,pages:1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 52/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アップリンクパワー制御方法であって、
基地局は端末にレファレンスサービス率に対応する目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及び変調符号化方式(MCS)等級に基づいて送信パワーを調整するイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つ送信し、且つ端末送信パワーの制限値から目標受信パワー及びパスロス補償量を引いてパワーマージンを得て、該パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定して且つ端末に送信することを備え
前記基地局は端末に前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つ送信するとともに、レファレンスサービス信号対雑音比期望値を維持し、
前記基地局は維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期望値SINRtargetを調整した後、以下方式によってパワー調整量Poffsetを調整して且つ相応のパワー制御ワードを生成し、測量して得た端末アップリンクサービス復調信号対雑音比SINRmに基づいて、以下公式によってレファレンスサービス復調信号対雑音比SINRを計算し、SINR=SINRm−ΔTF、
且つ以下公式によってパワー調整量Poffsetを計算し、Poffset=SINR−SINRtarget、
計算したパワー調整量Poffsetに基づいて相応のパワー制御ワードを生成し、
その中に、ΔTFは端末アップリンクサービスのMCS等級に基づいて確定したパワーマージンであアップリンクパワー制御方法
【請求項2】
前記端末は基地局から送信した前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーター及び前記MCS等級を受信した後、目標受信パワー、パスロス補償量及び前記MCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期望送信パワーを得て、且つ該期望送信パワーによって送信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基地局は前記パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定する時に、正パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以上であり、負パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以下である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
伝送チャネル品質は変化する時、前記基地局は統計の予定時間間隔内に受信した該端末データのブロック誤り率に基づいて、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期望値を調整し、パワー調整量を計算して且つ相応のパワー制御ワードを生成して端末に送信し、同時に前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整し、且つ調整した後のパワーマージンに基づいて改めて端末に使用可能なMCS等級を確定して且つ端末に送信することをさらに含む請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記基地局は前記ブロック誤り率に基づいて、維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期望値を調整するステップは、
前記ブロック誤り率がブロック誤り率閾値とブロック誤り率閾値の変動上限値との和より大きいなら、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期望値に対してプリセットのアップステップサイズを上げるステップ、
前記ブロック誤り率がブロック誤り率閾値とブロック誤り率閾値の変動下限値との差より小さいなら、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期望値に対してプリセットのダウンステップサイズを下げるステップを備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基地局は前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整するステップは、
カレントパワーマージンから前記パワー制御ワードを引いた後、調整した後のパワーマージンとするステップを備える請求項4に記載の方法。
【請求項7】
基地局無線資源制御(RRC)層のパラメーター設定モジュール、媒体アクセス制御(MAC)層のアップリンクインナーループパワー制御モジュール、MAC層のアップリンクアウターループパワー制御モジュール及び復調信号対雑音比測量モジュールを備えるアップリンクパワー制御システムであって、
前記パラメーター設定モジュールは、端末にレファレンスサービス率に対応する目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及び変調符号化方式(MCS)等級に基づいて送信パワーを調整するイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定し、且つ前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールに送信するように設置され、
前記アップリンクアウターループパワー制御モジュールは、受信したパラメーター設定モジュールから送信した設定パラメーターと端末の各伝送ブロックに対応した冗長検査インジケーターに基づいて予定時間間隔内に受信した該端末データのブロック誤り率を統計し、維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期望値を調整し、且つ調整した後のレファレンスサービス信号対雑音比期望値をアップリンクインナーループパワー制御モジュールに送信するように設置され、
前記復調信号対雑音比測量モジュールは、端末アップリンクサービス復調信号対雑音比を測量して且つ報告するように設置され、
前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールは、受信した復調信号対雑音比測量モジュールから報告した端末アップリンクサービス復調信号対雑音比に基づいてレファレンスサービス復調信号対雑音比を計算し、且つ該レファレンスサービス復調信号対雑音比と受信したアップリンクアウターループパワー制御モジュールから送信したレファレンスサービス信号対雑音比期望値の差値に基づいてパワー調整量を計算して且つ相応のパワー制御ワードを生成して端末に送信し、端末送信パワーの制限値から目標受信パワー及びパスロス補償量の和を引いてパワーマージンを得て、且つ該パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定して端末に送信するように設置されるアップリンクパワー制御システム。
【請求項8】
さらに端末のアップリンク送信モジュールを備え、
前記アップリンク送信モジュールは、基地局から送信した前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーター及び前記MCS等級を受信した後、目標受信パワー、パスロス補償量及び前記MCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期望送信パワーを得て、且つ該期望送信パワーによって送信するように設置される請求項に記載のシステム。
【請求項9】
さらに基地局物理層のアップリンクサービス復調モジュールを備え、
前記アップリンクサービス復調モジュールは、端末アップリンクサービスデータを受信し、且つ各伝送ブロックに対応した冗長検査インジケーターを復調して報告するように設置され、
前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールはさらに、前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整し、且つ調整した後のパワーマージンに基づいて改めて端末に使用可能なMCS等級を確定し、端末に送信するように設置される請求項又はに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、特にアップリンクパワー制御方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー制御は通信システムが資源割り当てと干渉管理を実現する肝心な技術の1つである。移動通信システム中に、アップリンクパワー制御は逆方向リングパワー制御とも称し、有効なアップリンクパワー制御方法はユーザーの通信品質への要求を満足できる前提に、ユーザー端末の送信パワーを減少させ、各ユーザー設備(User Equipment、UE)の間の干渉を低下させ、端末の待機時間を延長させ、通信システムの容量を増加させる。
【0003】
従来のアップリンクパワー制御技術の大きくは時分割同期符号分割多重アクセス(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access、TD−SCDMA)システムの早期のアップリンクパワー制御方法を参考にし、基地局がUEのアクセスするサービス類型に基づいてUEにサービス類型伝送率と対応した期待受信パワーを送信し、同時が自身に目標受信信号対雑音比を維持し、UEが受信した期待受信パワーとパスロス値を加算して期待送信パワーを得て、該パワーによって送信する。伝送チャネル品質は変化する時、基地局はある期間に該UEデータを受信したブロック誤り率(Block Error Rate、BLER)によって維持している目標受信信号対雑音比を調整し、相応のパワー制御ワードを生成してUEに送信し、それによりUE送信パワーに対して制御する。
【0004】
ところで、TD−SCDMAシステムの高速ダウンリンクパケットアクセス(High Speed Downlink Packet Access、HSDPA)技術中に、特に長期的な進化(Long Term Evolution、LTE)システム中に、自己適応変調符号化(Adaptive Modulation and Coding、AMC)技術を導入することによってもっと高い率のダウンリンクパケットサービス率を提供し、スペクトラム利用効率を向上させる。その中に、AMCの核心は即ち自己適応変調符号化方式(Modulation Coding Scheme、MCS)等級の選択を実現することである。相応的に、UE送信パワーを影響する要素を増加する。第3世代の移動体通信システムの標準化プロジェクト(3rd Generation Partnership Project、3GPP)組織のLTE協議中に目標受信パワーPO_PUSCH、パスロス補償因子、パワー制御ワード及び「MCS等級に基づいて送信パワーを調整するパラメーター」deltaMCSなどの複数のパラメーターを定義してUE送信パワーを制御する。基地局がどのようにこれらのパラメーターを有効的に利用して端末のアップリンク送信パワーを制御することは目前に解決する必要のある問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術問題はアップリンクパワー制御方法及びシステムを提供し、UEに適合したMCS等級の自己適応選択を支持し、UEアップリンク送信パワーに対する有効な制御を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術問題を解決するために、本発明はアップリンクパワー制御方法を提供し、前記方法は、
基地局は端末にレファレンスサービス率に対応する目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及び変調符号化方式(MCS)等級に基づいて送信パワーを調整するイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つ端末に送信し、且つ端末送信パワーの制限値から目標受信パワー及びパスロス補償量を引いてパワーマージンを得て、該パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定して且つ端末に送信することを備える。
【0007】
該方法はさらに、前記端末は基地局から送信した前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーター及び前記MCS等級を受信した後、目標受信パワー、パスロス補償量及び前記MCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期待送信パワーを得て、且つ該期待送信パワーによって送信することを備える。
【0008】
前記基地局は前記パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定する時に、正パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以上であり、負パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以下である。
【0009】
該方法はさらに、前記基地局は端末に前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つ送信すると同時に、レファレンスサービス信号対雑音比期待値を維持すること、
伝送チャネル品質は変化する時、前記基地局は統計の予定時間間隔内に受信した該端末データのブロック誤り率に基づいて維持、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整し、パワー調整量を計算して且つ相応のパワー制御ワードを生成して端末に送信し、同時に前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整し、且つ調整した後のパワーマージンに基づいて改めて端末に使用可能なMCS等級を確定して且つ端末に送信することを備える。
【0010】
前記基地局は前記ブロック誤り率に基づいて維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整するステップは、
前記ブロック誤り率がブロック誤り率閾値とブロック誤り率閾値の変動上限値との和より大きいなら、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期待値に対してプリセットのアップステップサイズを上げる増加するステップ、
前記ブロック誤り率がブロック誤り率閾値とブロック誤り率閾値の変動下限値との差より小さいなら、維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期待値に対してプリセットのダウンステップサイズを下げる低下するステップを備える。
【0011】
前記基地局は維持している前記レファレンスサービス信号対雑音比期待値SINRtargetを調整した後、以下方式によってパワー調整量Poffsetを調整して且つ相応のパワー制御ワードを生成し、
測量して得た端末アップリンクサービス復調信号対雑音比SINRmに基づいて、以下公式によってレファレンスサービス復調信号対雑音比SINRを計算し、SINR=SINRm−ΔTF、
且つ以下公式によってパワー調整量を計算し、Poffset=SINR−SINRtarget、
計算したパワー調整量Poffsetに基づいて相応のパワー制御ワードを生成し、
その中に、ΔTFは端末アップリンクサービスのMCS等級に基づいて確定したパワーマージンである。
【0012】
前記基地局は前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整するステップは、
カレントパワーマージンから前記パワー制御ワードを引いた後、調整した後のパワーマージンとするステップを備える。
【0013】
本発明はさらに、基地局無線資源制御(RRC)層のパラメーター設定モジュール、媒体アクセス制御(MAC)層のアップリンクインナーループパワー制御モジュールを備えるアップリンクパワー制御システムを提供し、
前記パラメーター設定モジュールは、端末にレファレンスサービス率に対応する目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及び変調符号化方式(MCS)等級に基づいて送信パワーを調整するイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定し、且つ前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールに送信するように設置され、
前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールは、端末送信パワーの制限値から目標受信パワー及びパスロス補償量の和を引いてパワーマージンを得て、且つ該パワーマージンに基づいて端末に使用可能なMCS等級を確定して端末に送信するように設置される。
【0014】
前記システムはさらに端末のアップリンク送信モジュールを備え、
前記アップリンク送信モジュールは、基地局から送信した前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのdeltaMCSパラメーター及び前記MCS等級を受信した後、目標受信パワー、パスロス補償量及び前記MCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期待送信パワーを得て、且つ該期待送信パワーによって送信するように設置される。
【0015】
前記システムはさらに基地局物理層のアップリンクサービス復調モジュールと復調信号対雑音比測量モジュール、及びMAC層のアップリンクアウターループパワー制御モジュールを備え、
前記アップリンクサービス復調モジュールは、端末アップリンクサービスデータを受信し、且つ各伝送ブロックに対応した冗長検査インジケーターを復調して報告するように設置され、
前記復調信号対雑音比測量モジュールは、端末アップリンクサービス復調信号対雑音比を測量して且つ報告するように設置され、
前記アップリンクアウターループパワー制御モジュールは、受信したパラメーター設定モジュールから送信した設定パラメーターと端末の各伝送ブロックに対応した冗長検査インジケーターに基づいて予定時間間隔内に受信した該端末データのブロック誤り率を統計し、維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整し、且つ調整した後のレファレンスサービス信号対雑音比期待値をアップリンクインナーループパワー制御モジュールに送信するように設置され、
前記アップリンクインナーループパワー制御モジュールはさらに、受信した復調信号対雑音比測量モジュールから報告した端末アップリンクサービス復調信号対雑音比に基づいてレファレンスサービス復調信号対雑音比を計算し、且つ該レファレンスサービス復調信号対雑音比と受信したアップリンクアウターループパワー制御モジュールから送信したレファレンスサービス復調信号対雑音比期待値の差値に基づいてパワー調整量を計算して且つ相応のパワー制御ワードを生成して端末に送信し、同時に前記パワー制御ワードに基づいてカレントパワーマージンを調整し、且つ調整した後のパワーマージンに基づいて改めて端末に使用可能なMCS等級を確定し、端末に送信するように設置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明はLTEアップリンクパワー制御を実現する方法を提供し、該方法はdeltaMCSのイネーブル機能を利用して端末送信パワーをレファレンスサービスに必要な送信パワーとパワーマージンの2部分に分け、パワー制御ワードによってチャネル変化のレファレンスサービスに必要な送信パワーに対する調整を維持し、同時にパワーマージンでAMCを実現し、それによりAMC伝送を支持する有効なアップリンクパワー制御を実現させ、なお、本発明はLTEアップリンクパワー制御を実現するシステムを提供し、該システムは構造が簡単で、UEに適合したMCS等級の自己適応選択を支持できるとともに精確で有効にアップリンクパワー制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明による実施例のアップリンクパワー制御方法のステップフローチャートである。
図2図2は本発明による実施例のアップリンクパワー制御システムの模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本方法の主旨はdeltaMCSパラメーターのイネーブル機能を利用して端末送信パワーをレファレンスサービスに必要な送信パワーとパワーマージンの2部分に分け、且つパワー制御ワードによってチャネル変化のレファレンスサービス需要な送信パワーに対する調整を実現し、同時にパワーマージンでAMCを実現する。
【0019】
上記の思想に基づいて、本発明はアップリンクパワー制御を実現する方法を提供し、具体的に以下の技術方案を採用し、
基地局はUEにレファレンスサービス率に対応する目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及びイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つUEに送信し、且つUE送信パワーの制限値から目標受信パワー及びパスロス補償量を引いてパワーマージンを得て、得た該パワーマージンに基づいてUEに使用可能なMCS等級を確定して且つUEに送信する。
【0020】
それにより、UEは即ち基地局が設定したパラメーターに基づいて、目標受信パワー、パスロス補償量及びMCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期待送信パワーを得て、且つ該期待送信パワーによって送信する。
【0021】
その中に、端末が基地局から送信したこれら設定したパラメーターを受信した後の処理は、即ちこれらパラメーターに基づいてどのように送信パワーを計算するかのことであり、従来の協議中に明確に定義された。
【0022】
その中に、前記パワーマージンに基づいてUEに使用可能なMCS等級を確定する時に、正パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以上であり、負パワーマージンであれば、確定したMCS等級がレファレンスサービス率以下である。具体的な確定方法は3GPP36.213協議を参考でき、各MCS等級がそれぞれ1種のサービス率に対応する。
【0023】
なお、基地局はUEにパラメーターを設定すると同時に、レファレンスサービス信号対雑音比期待値を維持し、
伝送チャネル品質は変化する時、基地局は統計の予定期間間隔内に受信した該UEデータのブロック誤り率情報に基づいて維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整し、パワー調整量を計算して且つ相応のパワー制御ワードを生成してUEに送信し、同時にUE送信パワーの制限値から目標受信パワー及びUEパスロス補償量、パワー制御ワードの三者の和を引いたパワーマージンに基づいて改めてUEに使用可能なMCS等級を確定し、且つUEに送信し、それによりAMC技術を支持するもとにUEのアップリンク送信パワーに対して制御する。
【0024】
さらに、上記の方法は具体的に、以下のステップを備える。
【0025】
1、高位レイヤーがパラメーターを設定するステップ
基地局の無線資源制御(Radio Resource Control、RRC)層は各アクセス端末設備にレファレンスサービス目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、及びイネーブルのdeltaMCSを設定し、同時にこれら設定したパラメーターを基地局の媒体アクセス制御(Medium Access Control、MAC)層に送信する。また、基地局のRRC層はさらにMAC層に各端末設備レファレンスサービス信号対雑音比期待値を設定する。
【0026】
2、レファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整するステップ
基地局のMAC層は受信した設定パラメーターに基づいて、ローカルに物理層から報告した端末からの各伝送ブロックに対応する冗長検査インジケーターに対してアップリンクアウターループパワー制御の測量統計(該統計は一定な周期ごとに行い)を行い、各端末設備の調整後のレファレンスサービス信号対雑音比期待値SINRtargetを得る。
【0027】
3、端末レファレンスサービス復調信号対雑音比を得るステップ
基地局のMAC層はローカルに物理層が測量した復調後の端末アップリンクサービスチャネルの信号対雑音比から端末アップリンクサービスとレファレンスサービスの送信パワーマージンを引いて端末レファレンスサービス復調信号対雑音比SINRを得る。
【0028】
4、パワー制御ワードを生成するステップ
基地局のMAC層は各端末レファレンスサービス復調信号対雑音比と各端末の調整した後の信号対雑音比期待値を比較し、端末のSINRがSINRtargetより高いと、基地局が該端末設備に送信パワーを低下するパワー制御ワードを送信し、逆に、端末のSINRがSINRtargetより低いと、該端末設備に送信パワーを増加するパワー制御ワードを送信し、端末のSINRがSINRtargetに等しいと、該端末設備に0であるパワー制御ワードを送信する。
【0029】
5、端末MCS等級を確定するステップ
基地局のMAC層は受信した設定パラメーター、各端末のパワー制御ワード及び各端末送信パワーの制限に基づいて、各端末カレントのパワーマージンを計算し、それにより各端末に使用可能なMCS等級を確定して端末に送信する。
【0030】
以下に図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。ただし、衝突しない場合に、本出願中の実施例及び実施例中の特徴が互いに任意に組み合わせることができる。
【0031】
図1に示すように、本発明実施例のアップリンクパワー制御方法は主に以下のステップを備える。
【0032】
1、高位レイヤーがパラメーターを設定するステップ
基地局RRC層はアクセスした端末に目標受信パワーパラメーターPO_PUSCH、パスロス補償因子パラメーター、及びイネーブルのdeltaMCSパラメーターを設定して且つ送信し、同時に各設定パラメーターを基地局MAC層に伝送する。本実施例中に、符号化効率が0.4の4位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying、QPSK)サービスをレファレンスサービスに定義し、該レファレンスサービス率が一定な干渉マージンの下に必要になる目標受信パワーはPO_PUSCHである。例えば、干渉マージンの値の範囲は[5、10]dBであれば、対応の目標受信パワーの値の範囲は[−120、−100]dBであり、異なる基地局が受信機の復調性能に基づいて該範囲内にパラメーター設定を調整できる。パスロス補償因子αの値は[0、0.4、0.6、0.7、0.8、0.9、1]であり、デフォルトは1である。deltaMCSパラメーターはイネーブルに設置され、UEがMCS等級に基づいて送信パワーを調整することを表示する。
【0033】
また、基地局のRRC層はさらにMAC層に各端末設備レファレンスサービス信号対雑音比期待値SINRtargetを設定する。初期設定する時に各端末は同じ値を設定し、該値が基地局受信機の復調性能に基づいて確定でき、例えば、受信機が受信したレファレンスサービス復調BLERが10%に等しい時の受信信号対雑音比値を選択できる。
【0034】
2、レファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整するステップ
基地局のMAC層は受信した設定パラメーターに基づいて、ローカルに端末から送信したアップリンクデータに基づいてアップリンクアウターループパワー制御の測量統計を行い、各端末設備の調整した後のレファレンスサービス信号対雑音比期待値SINRtargetを得る。その中に、信号対雑音比期待値を調整するための測量統計方法は従来の各種信号対雑音比期待値を調整する統計測量方法を採用できる。
【0035】
以下にBLERを使用してある端末に対してSINRtargetを調整することを例として、具体的にその実現過程を説明し、該過程は以下のステップを備える。
【0036】
ステップA、基地局のMAC層は端末からのデータ伝送ブロック(Transmission Block、TB)を受信する個数を統計し、且つ物理層から報告した端末からの各TBに対応する冗長検査インジケーター(Cyclic Redundancy Check Indicator、CRCI)の値に基づいてTBブロックの正誤を判断し、誤りのTBブロックに対して統計し、
例えば、基地局は端末伝送からのTBを受信すると、総伝送ブロック数Ntotalに1を加え、この時に該TBの正誤を判断し、CRCI=1であれば、TBブロックに誤りがあることを表し、誤りのTBブロックの数Nerrorに1を加える。
【0037】
ステップB、Ntotalがプリセット測量統計周期に達した後、統計した誤りのTBブロック数量と総伝送ブロック数量に基づいてカレントBLERを計算し、且つ得たBLERがブロック誤り率閾値BLERthとBLERth変動上限値UP_thとの和より大きいかどうかを判断し、即ちカレントBLER>BLERth+UP_thかを判断し、YESであると、プリセットのアップステップサイズに基づいてSINRtargetを増加し、即ちSINRtarget=SINRtarget+アップステップサイズであり、その後にNtotal=0、Nerror=0にし、NOであると、得たBLERがブロック誤り率閾値BLERthとBLERth変動下限値Dw_thとの差より小さいかどうかを判断し、即ちカレントBLER<BLERth−Dw_thかを判断し、YESであると、プリセットのダウンステップサイズに基づいてSINRtargetを低下し、即ちSINRtarget=SINRtarget−ダウンステップサイズであり、その後にNtotal=0、Nerror=0にし、NOであると、SINRtargetを調整せず、Ntotal=0、Nerror=0にするステップ。
【0038】
3、端末レファレンスサービス復調信号対雑音比を計算するステップ
基地局のMAC層は物理層が測量した復調後の端末アップリンクサービスチャネルの信号対雑音比SINRmから端末アップリンクサービスとレファレンスサービスの送信パワーマージンΔTFを引いて端末レファレンスサービス復調信号対雑音比SINRを得て、即ちSINR=SINRm−ΔTFである。その中に、ΔTFは端末アップリンクサービスのMCS等級に基づいて計算して得られ、具体的な計算公式は3GPP36.213協議を参考する。
【0039】
その中に、物理層が測量した復調後の端末アップリンクサービスチャネルの信号対雑音比SINRmの初期化はSINRtargetで、ΔTFの初期化は0であり、即ち端末がまたデータサービスを送信しない時に、SINRm=SINRtargetで、ΔTF=0である。
【0040】
4、パワー制御ワードを生成するステップ
基地局のMAC層は各端末SINRとSINRtargetを比較し、且つパワー調整量Poffsetを計算し、Poffset=SINR−SINRtargetであり、Poffsetが0より大きいなら、基地局が該端末設備に送信パワーを低下するパワー制御ワードを送信し、Poffsetが0より小さいなら、基地局が該端末設備に送信パワーを増加するパワー制御ワードを送信し、Poffsetが0に等しいと、基地局が該端末設備に0であるパワー制御ワードを送信する。その中に、パワー制御ワードは基地局がUEに通知したパワー調整量である。
【0041】
5、端末MCS等級を確定するステップ
基地局のMAC層は受信した設定パラメーター、各端末のパワー制御ワード及び各端末送信パワーの制限PSDmaxに基づいて、各端末カレントのパワーマージンΔTF(i)を計算し、ΔTF(i)=PSDmax−PO_PUSCH −α・PL−f(i)であり、それにより各端末に使用可能なMCS等級を確定して端末に送信し、その中に、f(i)は対応する時刻に基地局が送信したパワー調整量の累積である。
【0042】
その中に、PLは端末パスロス値であり、各端末送信パワーの制限PSDmaxは各端末能力等級制限の最大送信パワーであってもよく、干渉制限アルゴリズムに基づいて計算した最大送信パワーであってもよい。各端末のMCS等級はΔTF(i)に基づいて3GPP36.213協議を参考して確定できる。
【0043】
端末は基地局から送信したパラメーターに基づいて期待送信パワーPを計算し、期待送信パワーP=PO_PUSCH+α・PL+ΔTF(i)+f(i)であり、端末の初期期待送信パワーは実際にPSDmaxであり、端末が該PSDmaxによってアップリンク送信する。
【0044】
本発明が提供したパワー制御アルゴリズムは主に基地局側のアルゴリズムであり、端末が協議の規定の通りに基地局から送信したパワー制御命令ワードとMCS等級などのパラメーター情報に基づいて送信パワーを確定すればよい。
【0045】
図2は本発明による実施例のアップリンクパワー制御システムの模式図であり、図2に示すように、該システムは基地局のRRC層、MAC層と物理層からなり、その中にRRC層はパラメーター設定モジュールを備え、物理層は端末アップリンクサービス復調モジュールと復調信号対雑音比測量モジュールを備え、MAC層はアップリンクアウターループパワー制御モジュールとアップリンクインナーループパワー制御モジュールを備える。
【0046】
その中に、パラメーター設定モジュールは、端末に目標受信パワーパラメーターPO_PUSCH、パスロス補償因子パラメーター、及びイネーブルのdeltaMCSなどのパラメーターを設定し、同時に各設定パラメーターを基地局MAC層に送信するように設置され、
アップリンクインナーループパワー制御モジュールは、受信したRRC層の設定パラメーターと各端末送信パワーの制限に基づいて端末に適合するMCS等級を確定し、且つ端末に送信するように設置される。
【0047】
さらに、パラメーター設定モジュールはさらに、各設定パラメーターをMAC層のアップリンクインナーループパワー制御モジュールとアップリンクアウターループパワー制御モジュールに送信するように設置され、
アップリンクサービス復調モジュールは、端末アップリンクサービスデータを受信し、且つ各伝送ブロックに対応する冗長検査インジケーターを復調して報告するように設置され、
復調信号対雑音比測量モジュールは、各端末アップリンクサービス復調信号対雑音比を測量して且つ報告するように設置され、
アップリンクアウターループパワー制御モジュールは、チャネルが変化する時、受信したRRC層の設定パラメーターと物理層復調モジュールから報告した端末の各伝送ブロックに対応する冗長検査インジケーターに基づいて予定時間間隔内に受信した該端末データのブロック誤り率を統計し、維持しているレファレンスサービス信号対雑音比期待値を調整し、且つ調整した後のレファレンスサービス信号対雑音比期待値をアップリンクインナーループパワー制御モジュールに送信し、各端末設備に対してインナーループパワー制御を行なうように設置され、
アップリンクインナーループパワー制御モジュールはさらに、受信した復調信号対雑音比測量モジュールから報告した端末アップリンクサービス復調信号対雑音比に基づいてレファレンスサービス復調信号対雑音比を計算し、且つそれと受信したアップリンクアウターループパワー制御モジュールから送信したレファレンスサービス信号対雑音比期待値の差値に基づいてパワー調整量を計算し、且つ相応のパワー制御ワードを生成し、次に受信した設定パラメーターと各端末送信パワーの制限に基づいて端末に適合するMCS等級を確定して且つ端末に送信するように設置される。
【0048】
なお、該システムはさらに端末側のアップリンク送信モジュール(図面に表示していない)を備え、該アップリンク送信モジュールは、基地局から送信した前記目標受信パワーパラメーター、パスロス補償因子パラメーター、イネーブルのパラメーターdeltaMCS及び前記MCS等級を受信した後、目標受信パワー、パスロス補償量及び前記MCS等級に基づいて確定したパワーマージンを加算して期待送信パワーを得て、且つ該期待送信パワーによって送信するように設置される。
【0049】
一般の当業者は前記方法の全部或いは一部のステップがプログラムを用いて関連ハードウェアに対して命令を出し、完成させることができ、前記プログラムはコンピューターの可読記憶媒体、例えば読み出し専用メモリ、磁気ディスク或いは光ディスク等に記憶できると理解可能である。前記実施例の全部或は一部のステップは1つ或いは複数の集積回路を使用することで実現するという選択肢もある。それに対応し、前記実施例における各モジュール/ユニットはハードウェア形式で実現でき、またソフトウェアの機能モジュール形式でも実現できる。本発明は如何なる特定した形式のハードウェアとソフトウェアの結合にも限定されない。
【0050】
上記内容は本発明の適当な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明は各種の変更や変化を有するものであるということができる。本発明の主旨と原則の内で行なった如何なる修正、同等な引換、改善等でもすべて本発明の請求範囲に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明はLTEアップリンクパワー制御を実現する方法を提供し、該方法はdeltaMCSを利用して端末送信パワーをレファレンスサービスに必要な送信パワーとパワーマージンの2部分に分け、パワー制御ワードによってチャネル変化のレファレンスサービスに必要な送信パワーに対する調整を維持し、同時にパワーマージンでAMCを実現し、それによりAMC伝送を支持する有効なアップリンクパワー制御を実現させ、なお、本発明はLTEアップリンクパワー制御を実現するシステムを提供し、該システムは構造が簡単で、UEに適合したMCS等級の自己適応選択を支持できるとともに精確で有効にアップリンクパワー制御を実現する。
図1
図2