(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つの前記指示器(51,52)又はこれらの一部が、互いに離間して配列され、かつ、双方が前記総合指示器(61)に作用する、請求項1から3のいずれか一項に記載の作動器。
前記ハンドル(41)は前記指示器(51,52)に第1方向からの力を適用することができ、かつ、前記力伝達部は前記第1方向とは異なる第2方向からの対向力を適用することができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の作動器。
前記指示器(51,52)は、前記ハンドル(41)の作動レバー(41b)と同じ枢動軸まわりに枢動することができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の作動器。
前記指示器(51,52)は、軸(A)に対して回転可能であり、かつ、径方向に突出した指示器部材であって、その角度位置が、関連づけられた前記継手(10)のロック状態を示す指示器部材を有する、請求項11に記載の継手システム。
2つの前記継手(10)はそれぞれが、前記継手(10)のロック状態において互いに対してロックされる第1継手部材(111)及び第2継手部材(112)を有し、回転される支持体(121)によってアンロックにされ、及び、前記継手(10)のアンロック状態において互いに対して軸(A)まわりに回転し、
2つの前記車両シート側部の2つの前記継手(10)間に伝達ロッド(107)が前記軸(A)と平行に配列される、請求項11から13のいずれか一項に記載の継手システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例が
図1から20を参照して以下に例示される。
【0015】
シートクッション3及びバックレスト4を有する車両シート1が、例えば、ミニバンのような自動車の中央又は後部シート列の外側シートとして設けられる。以下の方向指示において、車両シート1は自動車の進行方向前方に配列され、乗員に適した車両シート1の使用位置において、バックレスト4はシートクッション3の後端に配置されていると仮定する。バックレスト4は本例において、複数の使用位置を画定するべく傾斜が継手10によって調整可能である。用語「シートクッション3」は、この場合にはシートクッション支持体3a及び被覆パッドである構造物を含むサブアセンブリ全体として理解されることが意図される。コンポーネントがシートクッション3に連結される場合、シートクッション3の構造物との連結もそのように理解される。これはバックレスト4にも当てはまる。この構造の車両シート1は、独国特許第102008050468(B3)号明細書に開示されている。当該開示の内容は、この点において明示的に参照としてここに組み入れられる。
【0016】
簡便のため、実質的に対称な車両シート1の左車両シート側部のみが以下に記載される。すなわち、以下に言及されるコンポーネントは、そうでないことが記載されない限り、(オプションとして鏡面対称的に)二重に存在する。まず、特定の使用位置すなわち設計位置にある車両シート1が記載される。この位置では、バックレスト4が垂直に対して後方に、例えば23°傾斜される。車両シート1のベース9が、自動車の構造物に接続される。
【0017】
本実施例において、ベース9は、車両シート1の長手方向調整を可能とするシートレールの形態であるが、代替的に、車両構造物に固定的に接続され又は車両構造物自体となる単数コンポーネントの形態であってもよい。ベース9の様々な変形例を組み合わせてモジュラーシステムを形成することもできる。本場合において、ベース9は、車両構造物に直接的に接続される第1シートレール9aと、当該第1シートレールに対して長手方向に変位可能な第2シートレール9bとを有する。実質的にU字形状の輪郭がつけられた2つのシートレール9a及び9bは、それぞれ内向き又は外向きに曲げられた長手方向縁端の一方が他方の後ろに係合し、周知のレールロックシステムによって一緒にロックされ得る。
【0018】
前脚11がベース9に対し、本例では第2シートレール9bに固定的に接続された状態で嵌められる。しかしながら、前脚11は、ベース9に対してリリース可能にロックすることもできる。シートクッション3が、揺動アーム13によって前脚部11に連結される。揺動アーム13の両端にはリンクが設けられる。当該リンクの一方が、前脚部11に対する連結をなし、他方がシートクッション3の前端に対する連結をなす。
【0019】
さらに、前脚11とは別個に構成されかつベース9にリリース可能にロックされる後脚21が、進行方向において前脚11の後ろのベース9に配列される。当該ロックは、ロックシステムとも称する後脚21に嵌められたロック23によって行われる。後脚21は、より正確には、当該ベースに固定された対応要素、例えば第2シートレール9bのボルトにロックされるので、車両構造物に間接的に接続されることとなる。
【0020】
後脚21はさらに、後脚四節リンク26によって前脚11に連結される。後脚四節リンク26の4つのメカニズム部材は、第1ロッド27と、進行方向において当該第1ロッド27の後ろに配列される第2ロッド29とを含む。各ロッドはそれぞれ2つの端にリンクを有する。したがって、後脚21は、ロッド27及び29によってベース9に接続される。後脚四節リンク26は、使用位置においてロック23によってロック状態に保持される。継手10の第1継手部材も後脚21に嵌められる一方、継手10の第2継手部材は、第1継手部材に対してバックレスト枢動軸33まわりに枢動可能かつロック可能であって、バックレスト4に固定される。したがって、バックレスト4は、後脚21に対する傾斜を継手10によって調整することができる。バックレスト枢動軸33は、2つの車両シート側部間を水平方向に延び、当該軸が物理的に構成される場合に両側部に設けられる継手10間の伝達ロッドとして使用することができる。
【0021】
シートクッション3は、一つのみのリンク35によってバックレスト4の両側部に直接的に連結される。それを目的として、フレーム状のシートクッション支持体3a又はより正確には2つの側方部材には、進行方向において後部にアーム3bが設けられる。アーム3bは、本例ではシートクッション支持体3aに形成され、かつ、斜め上方(及び後方)に突出する。リンク35はアーム3bの端に配列される。リンク35は、バックレスト枢動軸33に対して変位されて配列され、かつ、バックレスト枢動軸33に対して平行な枢動軸を有する。設計位置において、リンク35は、バックレスト枢動軸33の上方かつ進行方向後ろに配置される。揺動アーム13の2つのリンク、バックレスト枢動軸33を有する継手10、及びリンク35は、もう一つの四節リンクを形成する。当該四節リンクを以下、クッション四節リンク36と称する。使用位置において、当該クッション四節リンク36は、継手10によってロック状態に保持される。
【0022】
バックレスト4の傾斜調整中、継手10は、各車両シート側部においてアンロックされ、バックレスト4はバックレスト枢動軸33まわりに設計位置まで枢動する。クッション四節リンク36も動いて、その後各継手10が再びロックされる。クッション四節リンク36の動きも、シートクッション3の傾斜をわずかに変化させる。バックレスト4はまた、後方に枢動して平坦状態になることもできる。その結果、車両シート1はリクライニング位置となる。
【0023】
車両シート1を、一の顕著な非使用位置であるエントリ位置に動かすべく、ロック23がアンロックにされる。それを目的として、バックレスト4の外方かつ上方側部に位置決めされるハンドル41が、以下に詳細に記載されるようにユーザによって作動される。ハンドル41が作動されることにより、2つのボーデンケーブル43を介した力伝達が2つのロック23にもたらされて当該ロック23がアンロックにされる。ここで後脚21が、後脚四節リンク26すなわちロッド27及び29によって前方に変位され、すなわち後脚21が、複数の枢動の重畳によってベース9に対して上方かつ前方に動く。これにより、後脚21はベース9から離れる。継手10はロックされたままである。これにより、バックレスト4は、後脚21に対して剛性配列となるが、全体として前方に枢動する。前方に枢動する揺動アーム13がシートクッション3の前端を下げる一方、後脚21の変位動は、シートクッション3の後端を上げる。
【0024】
後部列シートへのアクセスが容易になるエントリ位置に到達すると、ロック23又はもう一つのロック装置は、オプションとして前脚11にロックされる。すなわち、後脚21及び前脚11が好ましくは一緒にロックされる。先の使用位置まで戻る動きが、上記ステップの逆シーケンスでの脚11及び21間の当該ロックシステムのリリース後にもたらされる。
【0025】
後脚四節リンク26のための代替枢動位置が、使用位置とエントリ位置との対比によって画定され得る。すなわち、後脚21は、車両シート1の当該代替枢動位置まわりの枢動が同じ開始及び終了位置を有していた場合、当該代替枢動位置はベース9又は車両構造物に連結される。しかしながら、本発明に係るソリューションでは、代替枢動位置は明らかにベース9の下に存在する。したがって、代替枢動位置が作られることはあり得ない。後脚21がベース9に直接的に連結されるので、所望のエントリ寸法(すなわち車両シート1の後ろにあるアクセス可能空間の寸法)が達成され得る。したがって、相対的に短い枢動アームの場合には枢動角度範囲の良好な利用が、後脚四節リンク26によってもたらされる。
【0026】
オプションとして、シートレール9a及び9bのロックシステムが、使用位置からエントリ位置への遷移中にアンロックされる。その結果、第2シートレール9bが前方に変位され得る。これにより、車両シート1の後ろにある空間すなわちエントリ寸法が増加し、さらにはアクセスが容易となる。例えば独国特許第102007636450(B3)号明細書に開示されているように、シートレール9a及び9bの力制御アンロックシステムが、例えばロッド27及び29の一方が枢動中にアンロックシステムを作動させる点で好ましい。代替的に、他のシーケンスも可能である。
【0027】
増加した格納空間が利用可能となるもう一つの顕著な非使用位置である平坦フロア位置に車両シート1を変更するべく、継手10のアンロック後にバックレスト4が前方に折り畳まれる。クッション四節リンク36が、傾斜調整の場合のように動く。揺動アーム13が前方に動くことにより、クッション四節リンク36ひいてはシートクッション3が下げられ始める。バックレスト4の後部が少なくともほぼ水平位置に存在する平坦フロア位置のように、バックレスト4がシートクッション3上に配置される。当該折り畳まれて一緒になった平坦フロア位置が、継手10がロックされることによって固定される。継手10のアンロック後に、上記ステップの逆シーケンスでの先の使用位置に戻る動きが行われる。
【0028】
上記程度までの当該構造は実質的に、独国特許第102008050468(B3)号明細書に対応する。既に上述のように、車両シート1をエントリ位置まで動かすべく、2つのロック23の作動をアンロック目的で行うハンドル41が、アンロック作動装置として設けられる。ボーデンケーブル43が、アンロック作動装置と2つのロック23との間に力伝達要素として設けられる。
【0029】
ハンドル41はいくつかの部分で構成される。ハンドル41は、バックレストに固定される保持器41aと、剛性の枢動軸まわりに保持器41内を枢動可能であってハンドル領域41b’及びこれに一体的に接続される作動アーム41b”を有する作動レバー41bと、作動レバー41bに直接隣接するスロット状指示器開口41cとを有する。
【0030】
ボーデンケーブル保持器45は、保持器41aに隣接して配列される。ボーデンケーブル保持器45は、ボーデンケーブル43のシースのための2つのシースサポート45aと、ボーデンケーブル保持器45の2つの開口によって保持される剛性シャフト45bと、シャフト45bまわりに枢動可能な2つのコア端保持器45cとを有する。
【0031】
枢動可能な当該コア端保持器45cはそれぞれ、扇形状領域と湾曲遷移領域とを有する。当該扇形状領域は、一端が突出しかつハンドル41の作動アーム41b”と協働するカム45c’と、当該扇形状領域の他端に配列されかつ当該扇形状領域の外周面の当該側部に当該端領域によって形成される接触領域45c”とを備える。当該外周面は、当該湾曲遷移領域において、実質的に径方向に延びる領域に合流する。カム45c’と、第1ボーデンケーブル43に関連づけられた接触領域45c”とを備える第1コア端保持器45の扇形状領域全体が、本例では第1指示器51を形成する。カム45c’と、第2ボーデンケーブル43に関連づけられた接触領域45c”とを備える第2コア端保持器45の扇形状領域が、本例では第2指示器52を形成する。当該2つの指示器51及び52は、これらの接触領域45c”を介して総合指示器61と協働する。総合指示器61はボーデンケーブル保持器45内に位置決めされ、総合指示器61の表示アーム61aが、ハンドル41のスロット状指示器開口41cの領域内に位置決めされて当該領域を超えて突出し得る。
【0032】
総合指示器61は本例では、互いに対して約90°の角度に配列される実質的に2つの隣接平面(表示アーム61の外側面、並びに表示アーム61a及び作動アーム61b間の接続領域の外側面)と、90°よりも大きな角度で曲がりかつ少なくとも一部が半径にある面(作動アーム61bの外側面)とが形成する形態にある。表示アーム61a及び作動アーム61bの外側面は、面取りされたくさびの態様で、すなわち先端が欠けたくさびの形態で配列される。表示アーム61aは、その外側面と平面をなす態様にあるボーデンケーブル保持器45の案内面45dと、上方及び下方に変位することができるように当接する。他側部に位置決めされた作動アーム61bは、その外側面が接触領域45c”において2つの指示器51、52と協働する。本例では、作動アーム61bの外側面は、指示器51,52の外側面の曲率に従って形成される。作動アーム61bの外側面は、指示器51、52が最大範囲まで上がった場合に、作動アーム61bの曲率が指示器51、52の枢動軸と同心となるような寸法を有する。
【0033】
作動アーム61bの少なくとも一部が湾曲した外側面を備える総合指示器61の構造に起因して、指示器51、52は個別に又は一緒に、対応するボーデンケーブル45の作動発生時に総合指示器61がさらに動くことのないまま、総合指示器61が最大範囲まで拡張される位置からさらに枢動することができる。
【0034】
一方、総合指示器61は、図面には例示されないスプリングによって、拡張方向とは逆の下方に押圧される。さらに、指示器51、52が総合指示器61を拡張方向に押圧するようにスプリングが指示器51、52を付勢する。指示器51、52の戻りは、ボーデンケーブル43によってもたらされる。ばね定数は、総合指示器61の拡張が確保される程度に設定される。すなわち、総合指示器61を収縮方向において下方に押圧するスプリングの弾性力が、総合指示器61を拡張方向に動かすべく指示器51、52を偏向させるそれぞれのスプリングの力よりも小さくされる。総合指示器61の作動アーム61bの当該湾曲した外側面が、指示器51、52の対応する湾曲した外側面と接触領域45c”において組み合わされる結果、総合指示器61の動きが確実に制限される。
【0035】
総合指示器61と組み合わせられるハンドル41の機能が以下に詳細に説明される。
【0036】
図2及び3に例示されるロックされた初期位置において、2つのロック23が、対応する後脚21によってロックされる。把持領域41b’を容易に把持できるように、ハンドル41の把持領域41b’は、わずかに上げられている。ハンドル41の作動アーム41b”が、カム45c’の領域において双方の指示器51、52と当接する。指示器51、52の他側部では、接触領域45c”の湾曲した遷移領域が総合指示器61と当接する。関連づけられた非例示のスプリングによって下に押圧される総合指示器61は、表示アーム61aが、
図3に例示されるように、スロット状指示器開口41cにおいて終端する最低位置に配列される。
【0037】
図4及び4に例示されるように、作動レバー41が作動されると、2つのボーデンケーブル43は、2つのロック23が完全にアンロックされた位置となって対応する後脚21をリリースするまで作動される。ハンドル41の作動レバー41bが引かれることにより、作動アーム41b”を伴う把持領域41b’の枢動がもたらされる。本例では、コア端保持器45cのカム45c’に隣接する作動アーム41b”が当該カム45c’を支承する。その結果、コア端保持器45cも枢動を行い、作動レバー41bの枢動及びコア端保持器45cの枢動が、少なくとも実質的に同じ枢動軸まわりで生じる。コア端保持器45cはコア端を支承するので、当該コア端は、シースサポート45aが保持するシースに対して移動する。これにより、ロック23に対して力伝達がもたらされ、当該ロックがアンロックされる。同時に、コア端保持器45cは、指示器51、52として機能する過程において、下に押圧する弾性力に対抗して総合指示器61を支承する。総合指示器が案内面45dに沿って上方に押されるので、表示アーム61aが、指示器開口41cを通って上方に突出し、操作者にとって視認できる(
図6参照)。総合指示器61の変位移動中、接触領域45c”内の当接位置は、扇形状領域の外周面の方向において変化する。指示器51、52の少なくとも一つが総合指示器61を押すことによって、指示器51、52が、作動アーム61bの湾曲した外側面が指示器51、52の枢動軸と同心に配列されることで上方に拡張されるとすぐに、総合指示器61の拡張移動が終わる。すなわち、総合指示器61は、指示器51、52がさらに回転しても、さらに拡張することがない。
【0038】
図10及び8に例示されるように、バックレスト4が前方に折り畳まれて車両シート1がエントリ位置となる間、ロック23は、アンロック位置のままである。すなわち、総合指示器61も、表示アーム61aが指示器開口41cを通ってさらに突出している点でアンロック状態を示す。これは、作動レバー41bの作動アーム41b”が戻りスプリング(図面に例示せず)の弾性力に起因して初期位置に戻るとしても、ボーデンケーブルが依然、初期状態におけるコア端とシースとの所定の相対的変位を有することによって保証される。その結果、指示器51、52のみがわずかに後方に動き、特に、再び作動アーム41b”と当接するにはまだ至っていない。したがって、指示器51、52は依然、接触領域45c”が総合指示器61に当接したままであり、総合指示器61を拡張位置に保持する。
【0039】
図9から12に例示されるように、ロック23がロックされつつあるときに問題が生じると、対応するロック23にボーデンケーブル43が関連づけられている場合、当該コアとシースとの相対的変位が完全にはリセットされない。その結果、対応する指示器51(
図9、10を参照)及び52(
図11、12を参照)も、それぞれが戻ることはない。指示器51又は52は、総合指示器61に関連づけられた図示しないスプリングの力に対抗して総合指示器61を拡張位置に保持する。これは、ロック23の一方の不完全なロックが生じると、対応する指示器51又は52それぞれが、再び作動アーム41b”に当接するように動くことはなく、初期位置に対して枢動された位置のままとなるからである。その結果、ユーザは容易に誤動作を特定することができる。
【0040】
したがって、総合指示器61は、2つの指示器51及び52と組み合わされて車両シート1のためのロック表示部をなす。一般に、本実施例に係る車両シート用作動器71は、2つのロック23の共通作動を目的とするハンドル41、当該ハンドル41と2つのロック23それぞれとの間の力伝達部、2つの指示器51、52、及び総合指示器61によって形成される。
【0041】
2つの指示器と協働する総合指示器を上述したが、当該総合指示器は当然に、3つ以上の指示器とも協働し得る。この場合、総合指示器は、当該複数の指示器の一つのみが誤動作を示すとすぐに誤動作を示す。例えば、シートレールのロックシステム及び/又は継手のロックシステムに関する問い合わせを、ロックのロックシステムに関する問い合わせと組み合わせて行うことができる。
【0042】
さらに、ボーデンケーブル43によって後脚21をロックする上述のロック23の代わりに、例えばシートレールのロックシステムのような他の任意のロックシステムも、エントリ位置(イージーエントリ位置)をとるべく長手方向に変位する間に、アンロックすることができる。その結果、本例での作動器71は、リリースされたシートレールのロックシステムを、特にシートレールのロックシステムの誤動作を示す。
【0043】
図20に例示される一変形実施例によれば、同一及び同等な要素が同じ参照番号を使用して言及されるが、作動器71は、総合指示器61の形態のみが前記のものと異なる。再びであるが、この指示器は、表示アーム61a、作動アーム61b、及びこれらの間に配列される接続領域を有する。本例では、表示アーム61aの平坦外側面とこの場合の接続領域との角度は90°未満である。作動アーム61bはさらに、指示器51、52の枢動軸と同心ではないが、その代わり、指示器51、52の端領域の曲率に一致する曲率を有するように構成される。作動アーム61bの端が、実質的に外方に引き出され、かつ、当該接続領域に対して実質的に平行に延びる。指示器51及び/又は52により総合指示器61が駆動される実施例とは対照的に、当該指示器の動きの終わりが作動アーム61bの端領域の当該構成によってもたらされる。その結果、総合指示器61の拡張は、最も枢動された指示器51、52の角度位置に依存する。すなわち、前記実施例に係る総合指示器61の作動アーム61bの湾曲面が指示器51、52の枢動軸と同心に位置決めされる場合には、時期尚早な停止がもたらされることはない。
【0044】
本発明の第2実施例が、
図21から36を参照して以下に例示される。
【0045】
自動車用車両シート1は、シート部材3’、及び当該シート部材3’に対して傾斜調整可能なバックレスト4を有する。バックレスト4の傾斜を調整するべく、シート部材3’とバックレスト4との遷移領域に水平に配列された伝達ロッド107が手動で、例えば操作レバー105によって回転される。伝達ロッド107は、車両シート1の両側部にある継手10に係合する。
【0046】
継手10は、軸Aまわりに互いに回転可能な第1継手部材111及び第2継手部材112を有する。(仮想)軸Aは、本例では伝達ロッド107と整合されて円筒座標系の使用方向指示を画定する。2つの継手部材111及び112は、ほぼ円ディスク形状と表現できる。継手部材111及び112双方は好ましくは、少なくとも複数の領域が硬化され得る金属、特に鋼を含む。軸方向作用力を受けるべく、すなわち継手部材111及び112を軸方向に保持するべく、包囲リング113が設けられる。包囲リング113は好ましくは、硬化されないのが好ましい金属、特に鋼を含む。包囲リング113は好ましくは、実質的に平坦な環状形を有するが、代替実施例では、円筒状部分と平坦な環状部分の端面とによるL字状の輪郭がつけられる。
【0047】
包囲リング113は、2つの継手部材111及び112の一方、本例では第2継手部材112の外環部分に、例えばレーザ溶接によって又は他の周知の固定法によって固定的に接続される。包囲リング113は、軸方向に直交する平面に配列される内側環状部分が、オプションとして滑りリングが介在されて、2つの継手部材111及び112の相対動を妨げることなく第1継手部材111の径方向外側周縁領域全体に係合する。さらに、2つの継手部材111及び112の対向する内側面は、異物及び汚染物の導入並びに損傷から保護される。
【0048】
したがって、包囲リング113及びこれに固定的に接続された継手部材111又は112は、相対的に可動な部材である2つの継手部材111及び112の他方を取り囲む。したがって、構造的に見ると、2つの継手部材111及び112は一緒になって(包囲リング113とともに)ディスク状ユニットを形成する。
【0049】
ひとたび継手10が組み付けられると、第1継手部材111は、例えば、バックレスト4の構造物に固定的に接続される。すなわちバックレストに固定される。第2継手部材112はその後、シート部材3’の構造物に固定的に接続される。すなわちシート部材に固定される。しかしながら、継手部材111及び112の関連づけは交換することもできる。すなわち、第1継手部材111がシート部材に固定されて第2継手部材112がバックレストに固定される。継手10は、バックレスト4とシート部材3’との間の力経路内に存在する。
【0050】
継手10は、第1継手部材111及び第2継手部材112が一緒にロックされ得る係合部材の態様である。これは例えば、その開示内容がこの点で明示的に参照としてここに組み入れられる独国特許第102006015560(B3)号明細書に記載されている。
【0051】
第2継手部材112は、本例では4つの案内セグメント114を有する。案内セグメント114はそれぞれ、まっすぐな案内面を対で備えてバー116を径方向側方に案内する。本例では合計4つのバー116が、2つの継手部材111及び112間に画定される構造的空間内において、互いに対し、本例ではそれぞれ90°だけオフセットされた状態で配列される。バー116の径方向外側周縁には、歯配列が設けられる。当該歯配列は、内側歯付リングの形態にある第1継手部材111の歯付リング117と係合(ラッチ)するように動き得る。歯付リング117及びバー116が協働すると継手10がロックされる。
【0052】
第1継手部材111は、第2継手部材112の抜き部に配列され、その径方向外側全体に係合される。これにより、2つの継手部材111及び112は互いに支持し合う。歯付リング117を有する第1継手部材111の径方向外側周縁領域は、案内セグメント114と第2継手部材112の径方向外側周縁領域との径方向間に配列される(当該周縁領域は第1継手部材111を支持する機能を果たす)。例えば衝突事象のように大きな負荷がかかる場合、第1継手部材111は変形後、歯付リング117が、負荷の方向において近くに配置された案内セグメント114に当接するように動くことができる。案内セグメント114は、歯付リング117に向かう方向に(同心で)湾曲する面を有する。これによって継手10の強度が増す。
【0053】
第1継手部材111は第2継手部材112に支持され得る。しかしながら、その関係は正確に交換され得る。すなわち、第2継手部材112が、第1継手部材111に支持され得る。しかしながら、原則的に双方の配列は同等である。
【0054】
継手10の中心には、支持体121が配列される。支持体121は、例えばプラスチック材料を含み、2つの継手部材111及び112の少なくとも一方に、本例では第1継手部材111に、より正確にはその中心開口に回転可能に支持される。第1車両シート側部において、伝達ロッド107の端は、軸Aに整合された伝達ボルト107aを有する。伝達ボルト107aは、伝達ロッド107の、輪郭がつけられたベース部材に回転固定的に嵌められ、当該中空ベース部材に挿入され若しくは当該ベース部材に固定され、又は当該ベース部材に一体的に形成される。伝達ボルト107aは、円筒状部分が、中空支持体121の孔123の内側において互いに回転可能となるように配列される。孔123自体に輪郭がつけられる。他方の第2車両シート側部では、支持体121が伝達ロッド107に回転固定的に接続される。伝達ロッド107は、中空支持体121の中心孔123の中に導入される。支持体121の一端、本例では第2継手部材112の端には、本例ではプラスチック材料を含む固定リング124が設けられる。固定リング124は好ましくは、超音波溶接によって支持体121に固定される。
【0055】
継手部材111及び112間に画定される構造的空間内に配列される偏心器127が、支持体121上に回転固定的に配列される。スプリング配列135が、例えば一つの又は一方が他方の内側に嵌められた2つのらせんスプリングが、2つの継手部材111及び112の一方の、本例では第2継手部材112の、中心受け入れ部材の中に配列され、かつ、本例では外側部に支持される。スプリング配列135が偏心器127に作用する。本例では、スプリング配列135は、支持体121上に回転固定的に配列される。このようなスプリング配列135は例えば、その開示内容がこの点で明示的に参照としてここに組み入れられる独国特許第102005046807(B3)号明細書に記載されている。スプリング配列135による作用を受ける偏心器127は、径方向に可動な複数のバー116に作用してこれらを付勢する。その結果、バー116は、径方向外向きに押圧されて歯付リング117にラッチする。これにより、継手10がロックされる。
【0056】
制御ディスク136が、バー116と第1継手部材111との間の軸方向にある構造的空間内に配列され、本例では偏心器127上に回転固定的に配置される。制御ディスク136は、本例では4つの制御経路を有する。各制御経路は、各バー116の突起138と協働する。突起138は、関連づけられたバー116から軸方向に突出する。支持体121並びにそれに伴い駆動される偏心器127及び制御ディスク136の(数度だけの)回転が生じると、制御ディスク136は、スプリング配列135の力に対抗して、バー116を径方向内向きに、すなわち歯付リング117から外れるように引っ張る。これにより、継手10がアンロックされ、2つの継手部材111及び112は、互いに対して軸Aまわりに回転することができる。このときバックレスト4は、軸Aまわりに枢動可能となり、傾斜が調整される。すなわち、もう一つの使用位置をとる。
【0057】
2ドア自動車の場合、後部列シートへのアクセスは、バックレスト4が枢動によってリリースされることにより容易となる。それを目的として、アンロックされたバックレスト4は、使用位置の一つから外れるように前方に枢動されて、シートとしての使用に適しないリリース位置となる。操作レバー105又はもう一つの作動要素を枢動リリース動作全体にわたって保持する必要はないが、それにもかかわらず当該継手がそのリリースされた枢動位置で初めてロックされる場合には、操作快適性が増す。それを目的として、環状枢動リリース制御要素がオプションとして、継手10の制御ディスク136及び第1継手部材111間の軸Aまわりに設けられる。これは例えば、その開示内容がこの点で明示的に参照としてここに組み入れられる独国特許第102006015560(B3)号明細書に記載されている。
【0058】
2つの継手10、伝達ロッド107、及び操作レバー105は、継手システムの部品であるが、好ましくはさらに、例示されないが2つの継手10の一方に配列されるバックレスト補償スプリングを含む。伝達ロッド107は、継手10の第1車両シート側部と継手10の第2車両シート側部との間に配列される。
【0059】
双方の車両シート側部において、継手10の固定リング124は、複数の、本例では4つの異なる機能領域を有する。第2継手部材112に軸方向に直接隣接する固定リング124は、外側輪郭124a、本例では角が丸められた正方形を有し、径方向に突出する実体部分のまわりに延びるように構成される。第2継手部材112から離れた自由端では、固定リング124は、ここでも径方向に突出するカラー124bを有する。カラー124bの径方向内側には内側輪郭124c、例えば周縁波形の又はくさび状の輪郭が構成される。中空固定リング124には、径方向内向きに通路124dが設けられる。通路124dの中には、支持体121が部分的に導入され得る。本例では、支持体121が包囲する伝達ボルト107aが第1車両シート側部の通路124dによって回転可能に案内される一方、支持体121が包囲する伝達ロッド107は、第2車両シート側部に導入され得る。
【0060】
外側輪郭124aは、第1車両シート側部に設けられて第1指示器51と回転固定的に協働する。第1指示器51は、径方向に突出する指示器部材を有するリングであり、当該リングは、外側輪郭124aに対応する輪郭を有して好ましくは形状嵌めロック的に協働する。第1指示器51は、当該第1車両シート側部における支持体121ひいては偏心器127の角度位置を示す。再びであるが、これは、偏心器127が作用するバー116が径方向外側か又は径方向内側か、すなわち継手10がロックされているか又はアンロックされているかの尺度となる。
【0061】
例えばカラー124bに対して深さ11mmの溝124gが、固定リング124の外側輪郭124aとカラー124bとの間の軸方向に形成される。カラー124bは、被クリップ嵌めコンポーネントに対するクリップ嵌め接続を目的として設けられる。溝124gがあるので、カラー124bを、クリップ接続を与えるべく軸方向後方に係合することができる。クリップ嵌めされることが意図され、かつ、カラー124bと協働する一以上のフック状突起を有するコンポーネントは、本例ではアダプタ55である。環状アダプタ55は好ましくは、プラスチック材料から形成される。
【0062】
内側輪郭124cが、支持体121に作用する部材、本例では前記アダプタ55を有するべく適用可能な、回転方向に固定された接続又は駆動接続を目的として設けられる。アダプタ55は、内側輪郭124cに対応する輪郭であって、支承部分上の所定間隙に追従して形状嵌めロック的に協働することが好ましい輪郭を有する。したがって、アダプタ55は、固定リング124上の支承部分によって支持され、駆動用の支持体121に間隙を有して接続され、及び、クリップ嵌め接続によってカラー124bに軸方向に固定される。
【0063】
アダプタ55はまた、駆動用の伝達ボルト107aにも接続される。それを目的として、伝達ボルト107aは、輪郭がつけられた端部分107eを有する。これは、アダプタ55の中心開口55oの中に、当該円筒状部分に隣接するように挿入される。アダプタ55は、輪郭がつけられた端部分107eに対応する内側輪郭であって、当該中心開口55oの壁上に所定間隙に追従して形状嵌めロック的に協働するのが好ましい内側輪郭を有する。最終的にアダプタ55は、操作レバー105に回転固定的に接続される。それを目的として、操作レバー105(好ましくは金属製)は、輪郭がつけられた受け入れ部材105aを有する。受け入れ部材105aは、アダプタ55を形状嵌めロック的に受け入れる。環状アダプタ55の外側部には、受け入れ部材105aに対応する輪郭がつけられる。代替的に、操作レバー105及びアダプタ55は互いに一体的に構成される。誤用の事象に備え、操作レバー105は、スロットが開けられた部材105kを有する。部材105kには、シート部材に固定されたピン13pが係合する。これにより、操作レバー105の向きを変える角度が制限される。
【0064】
第1指示器51は、一方の第2継手部材112と、他方のアダプタ55及び操作レバー105との間に軸方向に配列される。操作レバー105の、第1指示器51から離れた側部には、第2指示器52が配列される。第2指示器52は、伝達ボルト107aの端部分107eに回転固定的に配置される。第2指示器52は、径方向に突出する指示器部材を有する。当該指示器部材からは、伝達ボルト107aに対して平行な状態において、スタッドが、操作レバー105のアパチャ105fを通って突出しかつ延びる。当該スタッドは、第1指示器51に直接隣接して終端する。アパチャ105fは、本例では、第2指示器52が操作レバー105と直接接続しない程度に大きく選択される。代替的に、アパチャ105fは、駆動のための接続がもたらされるように、かつ、当該接続がアダプタ55と伝達ボルト107aの端部分107eとの接続に対し代替的又は累積的に存在するように構成される。
【0065】
2つの指示器51及び52の指示器部材の角度位置が、継手10のロック状態を示す。初期位置では、2つの継手10はそれぞれロック状態にある。すなわち、これらは、それぞれが互いから独立してロックされている。指示器51及び52双方は、これらの指示器部材が双方とも同じ方向に向けられるように取りつけられる。ピン状総合指示器61が、シート部材3’上に軸方向に変位可能に支持され、かつ、少なくとも一つの指示器スプリング63によってシート部材3’に対して付勢される。その結果、当該総合指示器61は、初期位置において遮蔽物によって覆われ、かつ、2つの指示器51及び52の指示器部材に対して(この場合、指示器部材上のスタッド57pに対して)間接的に押圧される。2つの指示器51及び52は、2つの継手10の少なくとも一方のアンロック状態を示すべく、論理OR機能によって総合指示器61を制御することができる。総合指示器61は、2つの指示器51及び52の指示器部材に直接隣接しないが、その代わり、総合指示器61に対して直列に配列される結合スプリング65を介してこれらと当接する。
【0066】
操作レバー105、ひいてはこれに回転固定的に接続されたアダプタ55が、初期位置から外れるように向きを変える場合、アダプタ55は、各間隙の通過に追従して、一方では第1車両シート側部の支持体121上の固定リング124を支承し、他方では第2車両シート側部の支持体121に回転固定的に接続された伝達ロッド107の伝達ボルト107aを支承する。したがって、継手10が双方の車両シート側部においてアンロックにされ、バックレスト4が枢動可能となる。第1指示器51は、固定リング124(第1車両シート側部において)の回転に伴い回転し、第2指示器52は、伝達ボルト107aの回転に伴い回転する。2つの指示器51及び52は、結合スプリング65によって、互いに平行に総合指示器61に作用する。これにより、総合指示器61は、指示器スプリング63の付勢に対抗して拡張し、かつ、2つの継手10のそれぞれがアンロック状態にあれば、遮蔽物を超えて突出し総合指示器61が視認できるようになる。したがって、総合指示器61は、少なくとも視認可能な領域が、信号色、好ましくは赤にされる。
【0067】
向きを変えた操作レバー105がリリースされる場合、2つの継手10に包含されたスプリング配列135が、支持体121に対して偏心器127を回転させて戻そうとするので、バー116がその作用を受ける。その結果、関連づけられた継手10がロック状態に到達する。第1車両シート側部では、支持体121がその固定リング124ひいては第1指示器51を回転させて戻す一方、第2車両シート側部では、支持体121は、伝達ロッド107を伝達ボルト107aと一緒にひいては第2指示器52を回転させる。さらに、前記固定リング124若しくは伝達ボルト107a又はその双方は、各間隙に追従してアダプタ55を回転させる。これにより、向きを変えていた操作レバー105が初期位置まで戻る。指示器51及び52双方が回転して戻ると、すなわち各継手10のロック状態を示すと、総合指示器61もまた、(これに作用する指示器スプリング63の付勢に起因して)内向きに移動する。しかしながら、例えばバー116及び歯付リング117が偶然「歯対歯」に配置されることにより、ロックすることができるのが2つの継手10の一方のみ(又はいずれもなし)の場合、ロック状態に到達している継手10に関連づけられた指示器51又は52のみが回転して戻る。依然としてアンロック状態にある継手10に関連づけられた他方の指示器52又は51は、回転したままの状態にある。その結果、総合指示器61は拡張したままとなる。したがって、ユーザは、初期位置にまだ到達していないこと、すなわち2つの継手10の少なくとも一方がまだロック状態になっておらず依然として正しくロックする必要があることを認識する。「歯対歯」位置は、バックレスト4の最小限の枢動(ほぼ1°)によって解消され得る。