特許第5663674号(P5663674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663674脊椎インプラント、前処理用器具及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663674
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】脊椎インプラント、前処理用器具及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20150115BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   A61F2/44
   A61B17/56
【請求項の数】20
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-557844(P2013-557844)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-518512(P2014-518512A)
(43)【公表日】2014年7月31日
(86)【国際出願番号】US2012028158
(87)【国際公開番号】WO2012125382
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】61/451,840
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513228580
【氏名又は名称】エフビーシー デバイス エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125508
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 愛
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,フィン,ビャルケ
(72)【発明者】
【氏名】ロビー,ブルース,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ラウリドセン,ペーター,ジェイ.
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−126085(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/91775(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/92102(WO,A1)
【文献】 特表2011−502004(JP,A)
【文献】 特表2007−508908(JP,A)
【文献】 特表2010−510852(JP,A)
【文献】 特表2010−510846(JP,A)
【文献】 特公平5−70470(JP,B2)
【文献】 特表2008−517723(JP,A)
【文献】 特許第4495212(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の中央領域を含む第一の内面を画定し、且つ第一の外面を画定する第一の椎間要素と、
第二の中央領域を含む第二の内面を画定し、且つ第二の外面を画定する第二の椎間要素と、
を含む椎間板インプラントにおいて、
前記第一と第二の椎間要素の第一と第二の内面は、対向して整合する状態に配置されるように適合され、
前記第一と第二の椎間要素の第一と第二の外面は、互いから外方向に向くように配置されるように適合され、且つ患者の脊柱の各椎に隣接して配置されるように構成され、
前記第一の中央領域は、単弧により画定される、前記患者の脊柱に対して内外方向に配置されるように構成された第一の形状、及び(i)該第一の中央領域の前縁から該第一の中央領域の後縁まで延び、且つ(ii)少なくとも2つの弧により画定される、前記患者の脊柱に対して前後方向に配置されるように構成された第二の形状を画定し、且つ、
前記第二の中央領域は、単弧により画定される、前記患者の脊柱に対して内外方向に配置されるように構成された第一の形状、及び(i)該第二の中央領域の前縁から該第二の中央領域の後縁まで延び、且つ(ii)直線により画定される、前記患者の脊柱に対して前後方向に配置されるように構成された第二の形状を画定する、
前記椎間板インプラント。
【請求項2】
前記第一と第二の椎間要素の内外及び前後形状のうちの少なくとも一方が、少なくとも1つの方向に実質的に同じである、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項3】
前記第一と第二の椎間要素は、相互に関して該第一と第二の椎間要素の軸回転と前後並進運動に抵抗するが、これを阻止しない1つ又は複数の構造的特徴物を含む、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項4】
前記第一と第二の椎間要素が、相互に関して該第一と第二の椎間要素の側屈を制限する1つ又は複数の構造的特徴物を含む、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項5】
前記第一と第二の椎間要素の各々は、前記第一と第二の中央領域に関して第一の方向へと横に延びる第一のウィングと、前記第一と第二の中央領域に関して第二の方向へと横に延びる第二のウィングと、を画定する、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項6】
前記第一の椎間要素の前記第一の中央領域と前記第二の椎間要素の前記第二の中央領域は接触関係に置かれるよう適合され、このような第一と第二の中央領域の接触係合は、少なくとも部分的に、その関節形状を確立する、請求項5記載の椎間板インプラント。
【請求項7】
前記第一と第二の椎間要素間の相対的運動を許容する、前記第一と第二の椎間要素のそれぞれの前記第一と第二のウィングに協働的構造が画定される、請求項5記載の椎間板インプラント。
【請求項8】
前記協働的構造は直立突起と溝を含む、請求項7記載の椎間板インプラント。
【請求項9】
協働的な直立突起と溝の各々は、前方ギャップ、後方ギャップ、及び遠位ギャップを画定する、請求項8記載の椎間板インプラント。
【請求項10】
前記第一と第二のウィングは、骨新生を許容する開口部を画定する、請求項5記載の椎間板インプラント。
【請求項11】
前記第一と第二の椎間要素は相互に関して可動的に連結され、且つ前記第一と第二の椎間要素は、埋植後ある期間が経過すると、相互に関して固定又は癒合されるようになる、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項12】
前記第一と第二の椎間要素は、骨新生によって固定又は癒合されるようになる、請求項11記載の椎間板インプラント。
【請求項13】
前記第一と第二の椎間要素の前記第一の外面と第二の外面のうちの少なくとも一方は、隣接する解剖学的構造に関する固定を促進する表面特徴物を含む、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項14】
前記椎間板インプラントは、in situで固定装置と人工椎間板のうち少なくとも一方として機能する、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項15】
前記第一と第二の椎間要素は、埋植後に可動である、該第一と第二の椎間要素間の接触点又は接触領域を画定するように可動的に連結される、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項16】
前記接触点又は接触領域は、前記前後方向及び前記内外方向の両方に、ある区間又は領域内で可動である、請求項15記載の椎間板インプラント。
【請求項17】
前記第一と第二の椎間要素間に設置されるポリマー部材を更に含む、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項18】
前記第二の中央領域の第二の形状は、該第二の中央領域の前縁から該第二の中央領域の後縁まで延びる、請求項1記載の椎間板インプラント。
【請求項19】
(a) 患者の脊柱の2つの椎間に配置されるように適合された椎間板インプラントであって、
(i) 第一の中央領域を含む第一の内面を画定し、且つ第一の外面を画定する第一の椎間要素と、
(ii) 第二の中央領域を含む第二の内面を画定し、且つ第二の外面を画定する第二の椎間要素と、
を含み、
前記第一と第二の椎間要素の第一と第二の内面は、対向して整合する状態に配置されるように適合され、
前記第一と第二の椎間要素の第一と第二の外面は、互いから外方向に向くように配置されるように適合され、且つ前記患者の脊柱の各椎に隣接して配置されるように構成され、
前記第一の中央領域は、単弧により画定される、前記患者の脊柱に対して内外方向に配置されるように構成された第一の形状、及び(i)該第一の中央領域の前縁から該第一の中央領域の後縁まで延び、且つ(ii)少なくとも2つの弧により画定される、前記患者の脊柱に対して前後方向に配置されるように構成された第二の形状を画定し、且つ、
前記第二の中央領域は、単弧により画定される、前記患者の脊柱に対して内外方向に配置されるように構成された第一の形状、及び(i)該第二の中央領域の前縁から該第二の中央領域の後縁まで延び、且つ(ii)直線により画定される、前記患者の脊柱に対して前後方向に配置されるように構成された第二の形状を画定する、
前記椎間板インプラントと、
(b) 前記椎間板インプラントと前記2つの椎のうち少なくとも一方に対する支持を提供する、後方安定化器具と、
の組合せ。
【請求項20】
前記後方安定化器具が、柔軟インプラント、ダイナミックインプラント、半剛性インプラント及び剛性インプラントから成る群より選択される、請求項19記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、“Spinal Implant,Instrument for Preparation and Method of Use”と題し、2011年3月11日に米国特許商標庁に出願され、出願番号第61/451,840を付与された本願と同時係属中の仮特許出願の優先権を主張する。上記仮特許出願の全文を参照によって本願に援用する。
【0002】
本願は、椎間板インプラントの分野、即ち脊柱全体に適用可能な椎間板インプラントに関する。開示されている椎間板インプラントの例示的実施形態は、有利な点として、最終的に、解剖学的に適正な位置における椎体との癒合及び脊椎(例えば、頸椎、胸椎及び/又は腰椎領域)の安定化を提供する。より詳しくは、本願は、相互に関して可動的に連結され、時間が経過すると骨新生(bone in−growth)が可能になるようになされた第一と第二の椎間要素を提供することによって、先行技術のインプラントの欠点に対処し、これを克服する椎間板インプラントに関する。それゆえ、開示されている椎間板インプラントでは、埋植時及び患者の離床後は第一と第二の椎間要素間の相対的運動が可能であり、その結果、インプラントは、埋植後の当初期間中に患者ごとの固有であり一意の脊椎バランスに基づいて所望の位置を確保できるが、その後、第一と第二の椎間要素が相互に関して固定される(即ち、癒合する)。本願はまた、椎間板インプラントを所望の解剖学的位置に設置するための有利な器具及び関連する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
下肢痛を伴う、又は伴わない背部痛は、成人人口の主要な問題である。痛みの原因は多岐にわたり、場合によっては、このような痛みの軽減に手術が必要となりうる。腰痛は、脊椎の腰椎領域における脊椎動物の体及び/又は椎間板のずれが原因かもしれない。脊椎のL4〜L5とL5〜S1領域が特に弱い。保存的治療では効果の見られない激痛のある患者にとっては、固定術が現時点で実行可能な選択肢と考えられている。脊椎固定術(1つの椎骨を別の椎骨に固定する)はしばしば、痛みのある可動部分の運動を減少させるために行われ、その結果、その部分に伴う痛みが軽減する。この異常な、痛みを伴う運動の現象は、椎間板関連組織(例えば、椎間板起因の疼痛及び/又は変性円板疾患)、椎骨の異常なすべりや動き(例えば、脊椎すべり症及び/又は脊椎分離症)、或いはその他の変性脊椎疾患、例えば、これに限定されないが、椎間関節変性等によって引き起こされることがある。これに加えて、脊椎固定術は、脊椎が過剰に不安定性となるあらゆる状態、例えば特定の骨折、感染、腫瘍及び/又は脊椎変形(側弯症等)にも適応とされる場合がある。
【0004】
椎体間手術は、患者の前側又は背側の何れからも施行でき、例として挙げられる手技は「後方進入腰椎椎体間固定術」(posterior lumbar interbody fusion:PLIF)、「経椎間孔椎体間固定術」(transforaminal lumbar interbody fusion:TLIF)、「側方進入腰椎椎体間固定術」(lateral lumbar interbody fusion:XLIF)、「前方進入椎体間固定術」(anterior interbody fusion:AIF)、「前方進入腰椎椎体間固定術」(anterior lumbar interbody fusion:ALIF)、「前方進入頸椎切除固定術」(anterior cervical discectomy and fusion:ACDF)と呼ばれる。上記の固定術は全体として、一般に「全周性固定術」と呼ばれる。上記の全周性固定術の各々においては一般に、隣接する2つの椎体間から椎間板を除去し、例えば骨等の構造物を2つの椎体間に挿入する。従来の後側方脊椎固定(posterolateral spine fusion:PLF)術中、一般に移植片が脊椎の後側方部分に配置される。後方手術はこれまでに、容認可能な臨床的結果を生むことが証明されており、前柱支持体の追加により更に術後成績が改善するとされている。しかしながら、後方進入式の外科手技は残念ながら、もっぱら前方進入式の手技と比較して、回復までにより長い期間を要する。
【0005】
一般に、椎間板インプラントの位置は手術中に決定される。その位置は、外科医が用いる固定方法等の要素及び/又は使用インプラントの設計によって影響を受ける。癒合には、しばしば数カ月(例えば3〜6カ月)を要する骨成長の発生までの期間、安定化させることが必要であるため、その位置は癒合を実現するのに重要である。位置が正しくないと、手術によって偽関節(骨癒合不全)が残る可能性があり、又は隣接椎間板にかかるストレスにより二次的影響が表れることさえありうる。後に手術が必要となった場合、その手術が前の手術によって複雑となる。
【0006】
3種類の一般的な「全体人工椎間板置換術」(total disc replacement:TDR)用インプラントが知られている。第一のTDR用インプラントは、非制約型の設計として特徴付けてもよく、このような設計にはいくつかの利点があるように思われ、それは非制約型の設計のほうが生理学的運動の回転瞬間軸(instantaneous axis of rotation:IAR)を提供できる可能性が高く、それゆえ、生体内でより広い運動範囲を示すからである。こうした非制約型の設計では制約がないことから、屈伸時の極限点における椎間関節又は関節包靭帯への過剰な負荷を防止できる。更に、IARが可動的であるため、非制約型の設計のほうがインプラント埋入時の小さなエラーによる影響を受けにくいかもしれず、その一例にCharite全体人工椎間板置換がある。第二のTDR用インプラントは、制約型の設計として特徴付けてもよく、制約型の装置は後方要素をせん断負荷から保護する点で有利であり、その一例にFLEXICOREインプラント(Stryker Spine,Allendale,NJ)がある。日常生活での活動中には、かなり大きい脊椎せん断負荷がかかる。第三のグループのTDR用インプラントは、半制約的インプラントとして特徴付けともよく、PRODISCインプラント(Synthes Spine,West Chester,PA)等の市販の商品が含まれる。
【0007】
特許文献には、背部痛及び/又は下肢痛及び/又は脊椎不安定性に関する問題に対処するための努力が記載されている。それゆえ、例えばRalphらの米国特許出願公開第2006/0235529号明細書(以下、「Ralphの‘529号公開特許」という)は、骨癒合を起こさないように明白に設計された椎間板インプラントに関する。Ralphのインプラントの特徴は、相互に関して可動的に連結される、対向する第一と第二のプレートである。Ralphの‘529号公開特許の例示的実施形態には「スパイダスプリング」が含まれ、これは「正常な人の椎間板の軸方向への生体力学的パフォーマンスを模倣する長いサイクル寿命(long cycle life to mimic the axial biomechenical performance of the normal human intervertebral disc)」を呈する。[Ralphの‘529号公開特許、段落0030]Ralphのインプラントの外面は凸状メッシュと多孔質リングを含み、これらは解剖学的にインプラントを固定する、即ち「補綴物を椎間腔内に永久的に固定する(permanently securing the prosthesis within the invertebral space)」ように骨新生を助長する。[Ralphの‘529号公開特許、段落0019]それゆえ、Ralphの‘529号公開特許は、第一のプレートを第一の椎体に関して固定するための骨新生と第二のプレートを第二の椎体に関して固定するための骨新生を予想しながら、第一と第二のプレート間の相対的運動を持続させている。Ralphの‘529号公開特許はそれゆえ、明らかに、第一と第二のプレート間の骨新生が確実に回避されるように設計されている。Ralphの‘529号公開特許には、Ralphらによれば骨癒合が患者にとって好ましくなく、かつ有害であるため、従来の固定ケージの技術は劣っていると明示されている。
【0008】
Wagnerらの米国特許第6,641,614号明細書(以下、「Wagnerの‘614号特許」という)は、1対の係合プレートと、それらの間に配置された整合装置を含む固定装置を提供する。整合装置は、係合プレート間の高さを調節するように適合されており、その結果、特定の患者に合わせて固定器具をカスタム化できる。注目すべき点として、Wagnerの固定装置の高さは概して、前端と後端で異なるように適合されている。Wagnerの‘614号特許の整合装置は必然的に、係合プレート間の「調節された」相対的位置に到達したか否かの外科医の判断に依存することになる。外科医は、このような判断を下す際、専用の機器を使って調節装置をコントロールする必要がある。それゆえ、Wagnerの固定装置により実現される「調節可能性」は、よくても、その患者にとって有利であるかもしれない、又は有利ではないかもしれない係合プレート間の「調節された」高さに到達させることにおける外科医の臨床経験次第である。実際、手術時における個々の根拠に基づいて正しい脊椎位置を高い精度で選択する方法は、現時点ではない。
【0009】
従来の固定装置の場合と同様に、Wagnerの‘614号特許の係合プレートは、「係合プレートの内部への骨の成長を可能にする複数の開口部(a plurality of openings to allow bone growth to occur through the engaging plates)」、例えば総面積が係合プレートの総面積の約60%〜80%を占める開口部を含む。[Wagnerの‘614号特許第2コラム37〜42行]Wagnerの固定装置は、埋植され、高さ調節が行われると、隣接椎骨に関して所定の位置に固定される。それゆえ、Ralphの‘529号公開特許の椎間板インプラントとは異なり、Wagnerの固定器具は「健常な生来の椎間板の機能を模倣する(to mimic the functionality of a healthy natural invertebral disc)」ようにはなされておらず、及び/又は意図されていない。[Ralphの‘529号公開特許、段落0118]
それゆえ、Ralphの‘529号公開特許とWagnerの‘614号特許に示されているように、特許文献の教示は概して2つの異なるカテゴリに分類される。即ち、Ralphの‘529号公開特許により代表される、埋植後に対向するプレート間の相対的運動が確実に維持されるように設計される第一のカテゴリと、Wagnerの‘614号特許により代表される、埋植後に隣接椎骨間を迅速に癒合させるように設計される第二のカテゴリである。
【0010】
このような背景から、脊椎固定の革新的な方法がChristensenの米国特許第8,007,536号明細書に開示されており、これは連結手段を介して柔軟に接続された2つの椎間要素を含む椎間板インプラントを開示している。手術後、2つの椎間要素の相対的可動性は時間とともに低下し、これはインプラントの周囲、特に骨性統合領域の中で起こる骨新生によってこれらの要素の相互に関する可動性が徐々に低下するからである。骨新生の発生時から、インプラントの要素の相対的可動性は要素の相対的固定へと変わる。脊椎インプラントの固定は、有利な点として、患者の運動と患者の脊椎内の荷重の影響を受ける位置で起こり、その結果、患者にとってより受け入れられやすい。Christensenの‘536号特許の内容全体を参照によって本願に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、脊椎領域、例えば頸椎、胸椎及び/又は腰椎を、患者の運動及び患者の脊椎内の荷重により影響を受ける位置で固定できるようにする点で、従前のChristensenの研究を更に改良することである。これに加えて、本願は、例えば協働的な特徴物を通じて、所望の方向/位置へのインプラントの埋植を可能にし/助長する器具とインプラントを提供する。上記及びその他のニーズは、本明細書で開示される脊椎インプラントによって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、脊椎手術に使用される椎間板インプラントと、前記椎間板インプラントが使用される脊椎手術の方法を提供する。開示されている椎間板インプラントは、例えば脊椎の頸椎、胸椎及び/又は腰椎領域等、臨床的に幅広く利用できる。開示されている椎間板インプラントは一般に、対向する1対の要素を含み、これらは当初は相互に関して自由に移動できるが、時間の経過により相互に関して固定される。それゆえ、対向する要素は埋植後当初は相対的運動を示し、それが時間の経過に伴い骨新生によって失われ、最終的には対向する椎間要素が相互に関して固定され、即ち癒合する。
【0013】
本願の椎間板インプラントは、最適ではない位置へのインプラントの癒合/固定に起因するかもしれない先行技術による外科手技の不成功につながる問題に対処するものと確信される。先行技術のインプラントが最適ではない位置に設置されるのは、癒合/固定位置が手術中に決定されるという事実による可能性があり、手術中の背中の位置は、立っている/負荷がかかっている、又は座っている時間が大半を占める、患者の起きている時間帯の位置とは異なる。
【0014】
開示されている椎間板インプラントは、有利な点として椎間板インプラントの要素が埋植後のある期間にわたって相対的に移動できるようにすることにより、先行技術の外科用インプラントの上記のような制限を克服する。より詳しくは、開示されている椎間板インプラントは、埋植手術後のある期間にわたって相互に移動できるように連結される対向要素を含むが、このような対向要素は、埋植後、ある期間が経過すると、要素を所望の相対的位置に固定するのに寄与する骨成長に基づいて、相互に関して固定された位置をとる。注目すべき点として、対向要素の最終的な固定位置は、埋植中に外科医が決定するのではなく、その患者に関連する解剖学的要素と埋植後に患者が経験する脊椎の動きによって一意的に決定される。対向要素間の埋植後の可動期間により、有利な点として、骨新生による最終的な固定が、患者の固有の負荷/運動によって影響を受ける位置で起こり、その結果、確実に固定位置がより患者の自然な位置に近付き、軽快、脊椎安定性の向上及び/又は背部痛及び/又は下肢痛の軽減と隣接椎間板疾患の低減の可能性が高まる。
【0015】
それゆえ、本願は、脊椎運動領域(例えば、頸椎、胸椎及び/又は腰椎)の調整可能な椎体間固定を提供するインプラントのほか、人工椎間板用インプラント、インプラントの隣接骨の前処置用器具、及びインプラント上の関連する特徴物及びこの器具とインプラントの使用方法に関する。
【0016】
本願の目的は、術後の特定の運動を可能にして、患者が、解剖学、筋力及びより一般的には姿勢と脊椎のバランスにより、脊椎固定のための適当な位置を決定できるようにすることである。本願の装置及び関連する方法は、運動を可能にする一方で、有利な点として、運動に特定の制限を加え、また他の特定の運動に対する抵抗力も提供する。
【0017】
本願の他の目的は、骨材料をインプラントに接続又はその他の方法で結合させる手段を含め、骨癒合(fusion mass)を最大にする方法として、脊椎インプラントに、その埋植に関連して。有意な量の骨移植片、骨代用材及び/又は骨移植エクステンダを前方から設置できるような全体的形状によって特徴付けられる脊椎インプラントを提供することである。
【0018】
本願の別の目的は、屈曲/伸展、側屈、軸回転における制約のない(又は実質的に制約のない)運動を可能にする能力を有する2部品型人工椎間板のための関節面形状を提供することである。しかしながら、開示されている椎間板は、このような制約のない/実質的に制約のない運動を可能にしながらも、他の特定の運動に対しては特定の制限を提供し、及び/又は他の特定の運動に対する抵抗力を提供する。
【0019】
本願のまた別の目的は、インプラントの所望の位置に隣接する骨に窩洞を形成する器具、窩洞内に適合するインプラントの特徴物、及びその器具とインプラントの使用方法を説明することである。具体的には、本願は、有利な点として、インプラントと骨の間の相対的運動、特に骨に関するインプラントの前方運動に対する抵抗を提供する。
【0020】
本願の例示的実施形態において、本願の椎間板インプラントは、固定インプラント装置又は人工椎間板装置として機能してもよい。開示されているインプラントは一般に、第一の内面と第一の外面を画定する第一の椎間要素と、第二の内面と第二の外面を画定する第二の椎間要素を含む。それぞれの椎間要素の第一の内面と第二の内面は通常、関節面形状を画定する構造的特徴物を含む。関節面形状は、第一と第二の椎間要素間の相対的運動を許容でき、例えば、このような関節面形状は、少なくとも部分的に、内外側及び前後側形状が同じでないことによって特徴付けられる。第一と第二の椎間要素の内外側及び前後側形状の少なくとも一方は、少なくとも1つの方向には実質的に同じであってもよい。これに加えて、第一と第二の椎間要素は、軸回転と前後運動に抵抗するが、これを阻止しない、1つ又は複数の特徴物を含んでいてもよい。
【0021】
開示されているインプラントの第一と第二の椎間要素はまた、側屈を制限する1つ又は複数の構造的特徴物も含んでいてよい。
【0022】
第一と第二の椎間要素のうちの少なくとも一方と関連付けられる、少なくとも1つの固定ブロックが提供されてもよい。固定ブロックは、第一及び/又は第二の椎間要素に関して取り付けられてもよい。固定ブロックは一般に、第一と第二の椎間要素の前方に位置付けられる。これに加えて、固定ブロックは一般に、本体と、第一と第二の椎間要素のうちの一方に形成された穴に関して取り付けられるようになされたコネクターステムと、を含む。
【0023】
本願による例示的な椎間板インプラントは、第一と第二の椎間要素を含み、その各々が中央領域と、中央領域に関して第一の方向へと横に延びる第一のウィングと、中央領域に関して第二の方向へと横に延びる第二のウィングと、を画定する。第一の椎間要素の中央領域と第二の椎間要素の中央領域は一般に、接触関係に設置されるようになされており、このような中央領域の接触係合は、少なくとも部分的に、その関節面形状を確立する。
【0024】
第一と第二の椎間要素のそれぞれのウィングに、協働構造が通常、画定される。協働構造は、有利な点として、第一と第二の椎間要素間の相対的運動を許容できる。本願の例示的埋植では、協働構造は直立突起と溝を含む。協働的な直立突起と溝の各々が通常、前方ギャップ、後方ギャップ、遠位ギャップを画定する。
【0025】
第一と第二の椎間要素のウィングは、骨新生を許容する開口部を画定してもよい。それゆえ、第一と第二の椎間要素は、当初の埋植時には相互に関して可動的に連結されてもよく、埋植後、ある期間が経過した後に相互に関して固定され、又は癒合してもよい。固定又は癒合は一般に、例えば第一と第二の椎間要素に、及び/又は第一と第二の椎間要素の前方に形成された開口部を通じた骨新生によって実現する。これに加えて、第一及び/又は第二の椎間要素の外面は、隣接する解剖学的構造に関する固定を促進する表面特徴物、例えば棘状突起、錐体要素、コーティング及びこれらの組合せを含んでいてもよい。第一と第二の椎間要素はまた、その縁辺に沿って、前方に面する複数の開口部を含んでいてもよく、このような複数の開口部は、(i)固定ブロックの取付と、(ii)その臨床的設置のための器具との相互連結のうちの少なくとも一方を許容するように機能する。
【0026】
第一と第二の椎間要素は一般に、埋植後に自動的に位置変更可能な回転中心を画定するように、可動的に連結される。例示的実施形態において、2つの椎間要素間の接触点又は接触領域は、前後方向と内外方向の両方及び、要素の曲率によれば上下方向へのシフトを含む区域又は領域内で自動的に位置変更可能であってもよい。また、当然のことながら、接触点/領域の移動と2つの椎間要素の相対的位置と向きによって、2つの構成要素の回転中心もまた、三次元的に(前後、内外、上下に)移動する。
【0027】
本願は更に、(i)シャフトと、(ii)シャフトに設置される操作具と、(iii)操作具がその中に設置される空洞を画定する試行用インプラントと、を含む手術器具を提供する。試行用インプラントは一般に、椎間腔に適合するような構成と寸法である。これに加えて、操作具は通常、2つの隣接する骨構造に窩洞を形成するようになされている。操作具はまた一般に、少なくとも2つの位置間で移動されるようになされており、このような位置のうちの少なくとも一方では、操作具の少なくとも一部が試行用インプラントから外側に延びる。試行用インプラントは、その第一と第二の面に開口部が画定されていてもよく、操作具は、少なくとも部分的に、第一と第二の開口部を通って延びる動作位置へと移動するようになされていてもよい。突起がシャフトの遠位端に画定されてもよく、これと協働する穴が、突起を受けるために試行用インプラントに画定されてもよい。
【0028】
本願は更に、インプラントの前方運動を防止するために、骨構造内に画定される窩洞と協働する隆起特徴物を画定する脊椎インプラントを提供する。
【0029】
本願と関連する例示的な方法において、この方法は、
椎間腔に手術器具の動作部を設置するステップであって、この手術器具が長いシャフトと少なくとも1つの骨切削要素を含むようなステップと、
骨切削器具のシャフトを回転させて、骨の終板に窩洞を形成するように少なくとも1つの骨切削要素を作動させるステップと、
手術器具の動作部を椎間腔から取り外すステップと、
少なくとも1つの骨切削要素により形成された窩洞と嵌合する隆起特徴物を有するインプラントを挿入するステップと、
を含む。
【0030】
これに加えて、開示されている方法は、(i)手術器具の動作部を、少なくとも1つの骨切削要素が閉鎖又は保護位置にある状態で椎間腔の中に設置するステップと、(ii)椎間腔内で、少なくとも1つの骨切削要素を閉鎖又は保護位置から開放又は動作位置に移動させるステップと、を含んでいてもよい。骨切削器具の骨切削要素は、椎間腔内で、試行用インプラントの両面において動作するようになされていてもよい。椎骨終板から採取された骨材料を回収し、生検等の分析目的のため、及び/又は骨移植手術を容易にするために使用できる。本願の例示的実施形態において、採取された骨、例えばインプラント挿入のための所望の窩洞を形成する際に生成された骨切削片を捕集し、保持するための器具及び/又は器具付属品が提供されてもよい。
【0031】
開示されている椎間板インプラントのその他の特徴、機能、利点は、特に添付の図面に関連付けて読んだ場合に以下の説明から明らかとなるであろう。
【0032】
当業者による本願の椎間板インプラントの作製と使用を支援するために、以下のような添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本願による例示的なインプラントの等角図である。
図2図1の例示的なインプラントの第一の構成要素/椎間要素の上面図である。
図3図1の例示的なインプラントの第二の構成要素/椎間要素の斜視図である。
図4図1と2の例示的なインプラントの第一の構成要素/椎間要素の斜視図であり、第二の構成要素/椎間要素と組み立てられた時の、それに面するこの構成要素/要素の形状を示す。
図5】組み立てられた状態の図1〜4の例示的なインプラントの第一と第二の構成要素/要素の上面図である。
図6図5の線B−Bに沿った、組み立てられた状態の第一と第二の構成要素/要素の前断面図である。
図7図5の線A−Aに沿った、組み立てられた状態の第一と第二の構成要素/要素の側方断面図である。
図8】組み立てられた状態の図1〜7の例示的なインプラントの第一と第二の構成要素/要素の側面図である。
図9】本願によるインプラントに関して使用される例示的な固定ブロックの上面図である。
図10図9の例示的な固定ブロックの正面図である。
図11図9と10の例示的な固定ブロックの斜視図である。
図12】本願によるインプラントに関して使用される別の固定ブロックの上面図である。
図13】本願による別のインプラントの代替的構成要素/椎間要素の斜視図である。
図14図13に示される構成要素/椎間要素とともに使用される代替的な第二の構成要素/椎間要素の斜視図であり、図13の構成要素/椎間要素に面することになる面/形状を示す。
図15】本願による例示的な試行用インプラントと骨切削器具のアセンブリの、切削器具が非切削位置にある時の斜視図である。
図16図15による試行用インプラントと骨切削器具のアセンブリの、骨切削器具が切削位置にある時の斜視図である。
図17図15と16のアセンブリに関連付けられる例示的な骨切削器具の斜視図である。
図18図15と16のアセンブリに関連付けられる試行用インプラントの斜視図である。
図19】本願による骨切削器具によって作られる空間と嵌合する構成と寸法の例示的なインプラントの斜視図である。
図20】本願による例示的なインプラントの等角図であり、例示的な接触点/領域を概略的に示す。 [図21]別の例示的な試行用インプラントと骨切削器具の、切削器具が非切削位置にある時の部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願は、脊椎治療、例えば頸椎、胸椎及び/又は腰椎治療に使用される椎間板インプラントに関する。開示されている椎間板インプラントは、有利な点として、脊椎を安定化させ、関連する脊椎の問題に対処することができる。開示されている椎間板インプラントは、隣接椎体との癒合を刺激し、開示されている椎間板インプラントの設計と動作に基づき、時間の経過に伴って椎間板インプラントが生理学的位置に固定されるのを助長する。それゆえ、本願の例示的実施形態において、椎間板インプラントは、腰椎、胸椎及び/又は頸椎領域に挿入するために使用できる。
【0035】
1.椎間板インプラント
本願による例示的な椎間板インプラントは、椎体間に臨床的に挿入されるようになされている。インプラントは一般に2つの要素を含み、これらが一体に連結されて椎間板インプラントを形成する。インプラントの、立位の個人に設置された状態で見た場合の上面と下面は、第一と第二の外側癒合面と呼ばれる。2の要素の対向面は内部連結面と呼ばれ、有利な点として、開示されている脊椎インプラントの当初埋植時に要素を相互に関して可動的に連結するように機能する特徴物/協働機構を含む。それゆえ、連結手段/機構は、第一と第二の椎間要素を相互に関して接続し、及び/又は整合させる機能を果たす。椎間要素の連結は、即ち、骨新生に基づいて第一と第二の椎間要素が相互に関して固定される前に、前記第一と第二の椎間要素の相互に関する運動を調整する。それゆえ、前記2つの椎間要素の連結により、要素が相互に関して固定的に位置づけることはない。本願によれば、前記要素が連結されても、一般に要素は相互に関して少なくとも1つの方向にわずかに移動できる。
【0036】
有利な点として、第三の要素を本明細書に記載されている第一と第二の要素間に設置してもよい。それゆえ、例えば非金属の構成要素を第一と第二の要素間に設置して、その接触領域間に設置されるようにしてもよい。非金属の構成要素はポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリエーテルケトンケトン(polyether ketone ketone:PEKK)、及び/又はポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone:PEEK)から作製してもよい。非金属の構成要素は、シート、比較的薄いブロック又は表面処理の形態をとることができ、有利な点として、金属−金属接触を防止するように機能し、その結果、金属疲労の可能性を低減させる。実際、開示されているポリマー材料のシート及び/又はブロックは、in situで第一と第二の要素間に挿入された時に楔様の構造として機能してもよい。例示的実施形態において、開示されているポリマー材料は、開示されている椎間要素の第一及び/又は第二の要素の「雄」部分に設置し、及び/又は塗布してもよい。
【0037】
第一と第二の椎間要素の各々は挿入後、開示されている脊椎インプラントと隣接椎体との癒合が得られる/実現するまで、適当な手段、例えば1つ又は複数の有棘延長部によって隣接椎体に安定化させてもよい。それゆえ、インプラントと近隣/隣接骨との癒合/固定は、開示されている脊椎インプラントと従来の脊椎インプラントのどちらについても、椎間板インプラントの外面で起こる。
【0038】
本願の解釈において、「固定されたインプラント」とは、前記インプラントの椎間要素が相互に関して移動できないインプラントを表し、又は指し、即ち、第一と第二の椎間要素は、第一と第二の椎間要素間に存在する当初の可動的連結を無効にするような骨新生に基づいて、相互に関して実質的に固定される。これに対して、インプラントと隣接錐体との癒合は、椎間板インプラントの外面で起こる。
【0039】
本明細書中で後述するように、開示されている脊椎インプラントは、有利な点として、開示されている椎間板インプラントの構造的設計と動作に基づいて臨床的に実現される、第一と第二の椎間要素の相互に関する可動性という一時的な性質から恩恵を受ける。それゆえ、開示されているインプラントの第一と第二の椎間要素は、埋植後の最初の期間、例えば挿入後少なくとも1日は相対的に運動可能なままであり、その後、このような最初の期間が経過した後は、第一と第二の椎間要素は相互に関して実質的に固定され、その結果、開示されている脊椎インプラントは、挿入後、例えば12〜18カ月未満で固定されたインプラントへと変化する。
【0040】
それゆえ、本願の例示的な椎間板インプラントは、第一の外側癒合面と第一の内側連結面を有する第一の椎間要素と、第二の外側癒合面と第二の内側連結面を有する第二の椎間要素と、第一と第二の椎間要素を相互に関して可動的に接続する連結手段/機構と、を含む。これに加えて、各椎間要素は一般に、時間の経過によって第一と第二の要素の相互に関する固定を可能にし/助長する骨性統合領域を含み、インプラントの第一と第二の要素は、挿入後、少なくとも1日は相対的に運動可能なままであり、インプラントは、臨床的に挿入/埋植された後12〜18カ月未満で固定されたインプラントに変化する。
【0041】
添付の図面を参照しながら、本願の椎間板インプラントを以下により詳しく説明する。しかしながら、このような実施例を扱う前に、本願では、本明細書で開示する有利な椎間板インプラントに関連する形状、連結手段/機構、大きさ、材料、コーティング、コーティング剤、骨性統合領域/開口部、切開部/周方向差し込み領域、一時的可動性、治療方法について概説する。
【0042】
a.形状
本発明による椎間板インプラントは、一時的な安定化を可能にし、癒合と骨新生による長期的固定を刺激するどのような形状であってもよい。
【0043】
椎間板インプラントの形状は、上から見た場合に、丸形、円形、楕円形、扁円形又はソラマメ形の形状を有していてもよい。椎間板インプラントは、後方進入又は前方進入型の手術に使用するように設計されてもよいが、好ましくは、前方進入術用に設計され、その方が、術後の回復期間が短縮される可能性があるからである。或いは、開示されているインプラントは、経椎間孔腰椎椎体間固定又は側方進入腰椎椎体間固定用として設計されてもよい。
【0044】
b.連結手段/機構
第一と第二の椎間要素の連結手段/機構は、例えば、埋植後の当初期間中に第一と第二の椎間要素が相互に関して若干移動できるようにするべきである。連結手段/機構は好ましくは、第一と第二の椎間要素の内側連結面に位置付けられる。椎間要素の内側連結面により形成される領域/空間は、インプラントの連結領域と呼んでもよい。椎間板インプラントの一時的可動性が得られるようにするために、第一と第二の椎間要素を連結しても、剛性のインプラントを形成しない。前述のように、非金属の構成要素、例えばポリマーシート、ブロック及び/又は表面処理を連結手段/機構間に設置してもよく、その結果、それらの間の金属−金属接触が制限される。本願で提出される図面に示されているように、内面の例示的な連結は、第一と第二の要素が少なくとも1つの方向に相互に関して移動する幾分かの余地を残す。
【0045】
c.大きさ
椎間板インプラントの円周は椎体の円周より小さくてもよい。具体的には、開示されている椎間板インプラントの形状は、椎体の基部がその前部においてインプラントに関して突出するように画定されてもよい。例えば、椎体は、インプラントに関して少なくとも0.2mm突出してもよく、また随意選択により、インプラントの縁辺を0.4mm又は0.6mmだけ超えてもよい。本願の他の例示的実施形態において、インプラントの外縁から椎体の縁辺までの距離は、この距離が5mm以上のオーダとなるように画定される。
【0046】
このような寸法構成は、有利な点として、椎間板インプラントの側面における、又はこれに沿った骨新生の刺激を提供し、及び/又は可能にする可能性があり、椎間要素が隣接椎体に関して固定された後、骨組織は開示されている椎間要素の外縁において、又はこれに沿って結合する可能性があり、その結果、椎間要素は、埋植後ある期間で相互に関して更に固定される。
【0047】
d.材料
本発明による椎間板インプラントは、埋植に適したどのような材料でも作製できる。それゆえ、開示されているインプラントは、セラミック、ポリマー、骨、金属の群から選択される1つ又は複数の材料で構成できるが、これらに限定されない。金属、ポリマー、セラミックが好ましい。材料は、インプラントへと加工する前及び/又は後に、ガラス状、ゴム状、半結晶、結晶の状態であってもよい。
【0048】
本願の例示的実施形態において、開示されている脊椎インプラントは、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン(Ti)、チタン合金、例えばNiTiの形状記憶合金、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、プラチナ(Pt)の群から選択された金属又は金属合金で構成できるが、これらに限定されない。好ましい金属と金属合金はチタン、タンタル、チタン合金、コバルトクロム及びその合金である。本願により使用される例示的なコバルトクロム材料は、CoCrMo合金を含む。本願により使用される例示的なチタン合金は、Ti6AI4Vを含む。本願により使用される例示的なステンレス鋼材料には、オーストナイト系ステンレス鋼、特に316及び316L型、Niフリーステンレス鋼が含まれる。
【0049】
遷移金属等の金属を使って、本願の椎間板インプラントを作製してもよい。例えば、耐食性材料であるタンタル(Ta)を使用してもよい。実際、タンタルは本願によるインプラントの作製に有益でありえ、これは、それが一般に体液の作用による影響を受けず、刺激性を与えないからである。チタンは2つ目の耐食性遷移金属であり、高い硬度を有し、生理的に不活性であり、その結果、本願によるその有益性が高まる。チタンとタンタルは、比類のない骨性統合能力を有する。更に、これらの金属から作製される椎間板インプラントの解剖学的位置は、従来の撮像方法によって容易に分析できる。
【0050】
本願により使用される例示的なセラミック材料は、生体不活性セラミック(アルミニウム(Al)、部分安定化ジルコニア(ZrO)、窒化珪素(Si)、生体活性セラミック(水酸燐灰石(Ca10(PD(OH))、バイオガラス)及び吸収性セラミック(例えば、燐酸三カルシウム、Ca(PO)を含むが、これらに限定されない。燐灰石とは燐酸塩鉱物の群を指し、一般に水酸燐灰石、フッ素燐灰石、塩素燐灰石と呼ばれ、これらは結晶格子内のそれぞれOH−、F−、又はCl−イオンの濃度が高いためにこのように名付けられる。水酸燐灰石は歯のエナメル質の主成分と骨材料の大きな割合を占める成分である。水酸燐灰石は、天然発生の形態の燐酸カルシウムであり、化学式はCa(PO(OH)であるが、一般には、結晶単位格子が2つの分子を含むことを示すためにCa10(PO(OH)と表記される。水酸燐灰石は、受容者によって受け入れられやすく、骨新生の実質的な刺激となる。
【0051】
燐酸カルシウムセラミックのほとんどが結晶質である。結晶が高温で熱処理され、焼結されて、バイオセラミック材料が生成される。化学的には、これらは水酸燐灰石、燐酸三カルシウム、又はこれら2つの混合物である。これらは一般に粉末、粒状、又は多孔質、又は無孔質ブロックとして供給される。
【0052】
燐酸三カルシウムは水酸燐灰石より多孔質であり、10〜20倍の速度で生分解される。焼結温度もまた、完成品の挙動に影響を与える。燐酸三カルシウムは、製造条件に応じて、数カ月以内に完全に吸収されるか、数年かかって生体吸収される。体内で、これは部分的に、より生分解に時間がかかる水酸燐灰石に変換される。本願の例示的実施形態では、吸収性セラミック粒や吸収性燐酸三カルシウム(TCP)セラミック粒等の人工骨材料が使用される。
【0053】
開示されている脊椎インプラントは更に、全体的又は部分的に、ガラスと熱分解カーボンで作製されてもよく、これは骨癒合刺激の点で効率が高い。
【0054】
本願による脊椎インプラントの作製に全体的又は部分的に使用される例示的なポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ−D,L−乳酸−ポリ(エチレングリコール)、ポリ燐酸塩、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、超高分子量ポリエチレン(ultra high molecular weight polyethylene:UHMWPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)の群から選択されるが、これらに限定されない。本願による好ましいポリマーは、PEEKとPEKKを含む。例示的実施形態によれば、ポリマー要素(例えば、シート、ブロック及び/又は表面処理)は、本願による対向金属面間に配置されてもよい。
【0055】
本願による脊椎インプラントの作製に全体的又は部分的に使用される例示的な骨は、異種移植片、同種移植片、自家移植片の群から選択されてもよい。本願による好ましい骨は、異種移植片と同種移植片を含む。
【0056】
開示されているインプラントは、1つ又は複数の適当な材料から作製してもよい。それゆえ、例示的実施形態において、開示されている脊椎インプラントは上記の材料の少なくとも1つからなる。別の実施形態において、開示されているインプラントは、少なくとも2種類の異なる材料からなる。いずれの材料も、インプラント全体の総量の1〜90パーセント等を構成してもよい。それゆえ、1つの材料はインプラント全体の総量の1〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%又は80〜90%を占めてもよい。インプラントの要素は、金属の中心コアと、これを取り囲む1層の吸収性セラミック材料を含んでいてもよい。別の実施形態において、開示されているインプラントは、少なくとも3種類の異なる材料からなる。
【0057】
椎間板インプラントの材料の弾性は好ましくは、骨の弾性と同等のオーダである。これに加えて、1つ又は複数の要素又は要素の一部を特定の材料の被覆層で覆うことによって、機能を最適化してもよい。
【0058】
e.コーティング
インプラントのコーティングは、インプラントを埋植時及び埋植後の期間中に血液等の体液から保護するために行うことができる。コーティングは或いは、又はこれに加えて、適当な組成物を含めることによって、インプラントの近辺の骨成長を制御するために使用してもよい。
【0059】
例示的実施形態において、開示されているインプラントが被覆されるのは、外側癒合面、内側連結面又は要素の開口部の内面、又は各面もしくは面のあらゆる組合せの中のいずれの部分であってもよい。好ましい実施形態においては、開口部の内面が被覆される。
【0060】
コーティングは一般に、少なくとも1層のコーティング材料を含む。コーティング材料は、どのような適当な材料から選択されてもよい。それゆえ、コーティングは、本明細書において後述するように、骨誘導及び/又は骨形成剤を含んでいてもよい。コーティングはまた、適当なポリマー材料、例えば、第一と第二の椎間要素の金属−金属接触を最小限にする材料の形態であってもよい。コーティングは更に、1つ又は複数の抗生剤を含んでいてもよい。
【0061】
「被覆される」とは、コーティング材料が被覆面の外側にしかないかもしれないことも意味する。コーティングの厚さは一般に、コーティングの所望の機能と特性に基づいて選択され、厚さは1mm未満、0.5mm未満、又は0.25mm未満であってもよい。コーティングの厚さはまた、開示されているインプラントの表面に沿って、例えばインプラントの異なる表面地点において異なっていてもよい。開示されている椎間板インプラントのコーティングは、どのような適当なコーティング方法によって施されてもよく、例えば要素をコーティング材料の溶液に所定の時間だけ浸漬させる方法がある。コーティング材料はまた、インプラントに吹き付けてもよく、そのほか、前記コーティングを刷毛塗りによって塗布することもできる。
【0062】
f.コーティング材料
本願の例示的実施形態において、1つ又は複数の保護コーティングを開示されている脊椎インプラントに設けてもよく、このような保護コーティングの材料は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ−D,L−乳酸−ポリエチレングリコール、ポリ燐酸塩、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)とゼラチンスポンジの合成材料、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸)、L−PLAとポリカプロラクトン(PCL)のホモポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、擬似ポリ(アミノ酸)の群から選択されるが、これらに限定されない。開示されているポリマー材料は、有利な点として、本願による第一と第二の椎間要素間の金属−金属接触を制限及び/又は排除することができる。
【0063】
別の例示的実施形態において、コーティングは、生理活性成分、例えば骨誘導及び/又は骨形成剤(水酸燐灰石及び/又は燐酸三カルシウム等)又は抗生剤を含んでいてもよい。例えば、コーティングに骨誘導及び/又は骨形成剤を含めることによって、早期の骨形成工程、例えば特定の細胞クラスの走化性を誘導でき、その一方で、抗生剤を含めることにより、細菌感染を軽減又は防止できる。
【0064】
骨誘導及び/又は骨形成剤は、「成長因子」と呼ぶこともでき、及び/又はそれを含むことができ、一般に、細胞表面の受容体と結合する蛋白であり、主として、細胞移動、細胞増殖及び/又は分化を活発化させる。多くの骨誘導及び/又は骨形成剤は万能であり、様々な細胞種類の細胞分裂を刺激し、その一方で、ある細胞種類に特定のものもある。
【0065】
骨誘導と考えられる物質は一般に、モルフォゲン、例えば骨形成蛋白を含んでいる。モルフォゲンは、未分裂の細胞を表現型的に変換するように刺激することによって、組織と臓器系の発育を開始させる。本願により使用可能な適当な成長因子は、成長及び分裂因子等の組織成長促進物質、例えば血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor:PDGF)、形質転換成長因子(transforming growth factor:TGF)、酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor:FGF)、インスリン様成長因子(insulin−like growth factor:IGF)、骨形成蛋白(bone morphogenetic proteins:BMP)及びこれらの組合せ等を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本願の例示的実施形態において、骨誘導及び/又は骨形成剤は、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor:PDGF)(PDGF−AA,−AB,−BB)、インスリン様成長因子I及びII(IGF−I、IGF−II)、繊維芽成長因子(FGF)(酸性FGF−aFGF、塩基性FGF−bFGF)、形質転換成長因子ベータ(TGF−B)(TGF−B(TGF−B 1、2、3、4、5))、骨誘導及び骨形成蛋白(BMP)(BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12)、表皮成長因子(epidermal growth factor:EGF)、セメント質由来成長因子(cementum−derived growth factor:CGF)、上皮小体ホルモン関連蛋白(PTHrP)の骨成長因子の群から選択されてもよい。好ましい成長因子又は骨誘導及び/又は骨形成剤は、骨形成蛋白(BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12)及び血小板由来成長因子(PDGF)(PDGF−AA、−AB、−BB)を含む。
【0067】
本願によって使用されるコーティングは、少なくとも1種の骨誘導及び/又は骨形成剤と、随意選択により2種以上のそのような化学物質、例えば2種の化学物資、3種の化学物質、4種の化学物質、5種の化学物質、6種の化学物質、7種の化学物質、8種の化学物質、9種の化学物質、10種の化学物質、又はそれ以上を含んでいてもよい。本願の実施例は、1種、2種又は3種の骨誘導及び/又は骨形成剤を含む。より好ましい実施例は、1種又は2種の骨誘導及び/又は骨形成剤を含む。
【0068】
1つ又は複数の層のコーティング材料を開示されているインプラントに形成し、又は塗布してもよい。2層又はそれ以上の層が形成/塗布される実施例では、これらの層の組成は同じでも異なっていてもよく、1層又は複数の層は骨誘導及び/又は骨形成剤又はその他の生体活性成分を含んでいてもよい。
【0069】
或いは、骨誘導及び/又は骨形成剤は、開示されている椎間板インプラントの要素を形成する材料の1つ又は複数からなっていてもよい。それゆえ、インプラントは、骨誘導及び/又は骨形成剤の1種又は複数を分泌するように設計されてもよく、それによって骨成長の刺激が、椎間板インプラントの要素によって命令され、又はその他の方法で開始/支持される。開示されている椎間板インプラントは好ましくは、骨形成を促進する。
【0070】
g.骨性統合領域/開口部
開示されている椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素は一般に、骨性統合領域を含む、及び/又は画定する。このような領域は一般に、骨成長を刺激し、命令する能力を有する。例えば、椎間要素は、このような椎間要素の外面の、近隣の脊椎要素に関して癒合するための骨成長を刺激するようになされていてもよい。開示されている椎間要素はまた一般に、時間の経過に伴って椎間要素が相互に関して固定されるように、骨新生を更に命令するようになされている。それゆえ、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素の一時的な可動性は、挿入/埋植後のある期間内に、第一と第二の椎間要素の固定に取って代わられる。それゆえ、骨性統合領域を含めることによって、時間の経過による第一と第二の椎間要素の相互に関する固定も可能となり、及び/又は促進される。
【0071】
第一と第二の椎間要素の内面と外面は、本願による骨新生を最適化するように設計された骨性統合領域を含み、及び/又は画定してもよい。本明細書において後述するように、骨性統合領域は、全体的又は部分的に、骨新生のための進入点となる、椎間要素の表面の穴及び/又は切開部等の開口部によって画定されてもよい。骨性統合領域はまた、適当な骨誘導及び/又は骨形成剤、及び/又は骨誘導及び/又は骨形成材料も含んでいてよい。椎間要素に形成された開口部に骨誘導及び/又は骨形成剤が含まれる本願の実施例、及び/又はそのような開口部内の骨誘導及び/又は骨形成材料は「充填」開口部と呼ばれる。
【0072】
本願の例示的実施形態において、開示されている椎間要素は、骨新生に適した1つ又は複数の開口部を含むか、画定し、このような開口部は、(i)骨芽細胞と骨形成原細胞の進入を可能にし、(ii)このような骨芽細胞と骨形成原細胞の生存能力を維持するのに十分な大きさである。開口部は一般に、開示されている椎間要素の中へと進み、又は延び、要素の中への骨新生が可能となる。開口部は、椎間板インプラントの椎間要素の設計/形状に適合するどのような形状又は大きさであってもよい。例えば、開口部は、椎間要素を通って延びるまっすぐな(又は実質的にまっすぐな)通路を構成し、又は画定してもよい。例示的実施形態において、開口部の直径は、通路が椎間要素を通って延びる間に変化してもよく、例えば開放している通路の直径は、要素の内部空間とともに拡大してもよい。
【0073】
開口部によって占められる椎間要素の表面積は一般に、時間の経過によって第一と第二の椎間要素が相互に関して固定されるための所望のレベルの骨新生を支持するのに十分である。しかしながら、留意される点として、このような骨新生は一般に、このような開口部を通じた骨成長に限定されず、椎間要素の外縁に沿って、又はその周囲に延びる骨新生によって補完される。本願の例示的実施形態において、開口部は、第一及び/又は第二の椎間要素の表面積の少なくとも5%を占め、別の例示的実施形態では、このような面の少なくとも10%又は少なくとも15%が、十分な骨新生を可能にし、/刺激するためである。別の例示的実施形態において、開口部/穴によって占められる第一及び/又は第二の椎間要素の表面積は、このような表面積の10〜40%、例えばその20〜35%である。開口部と内部空間の容量は、開示されている椎間板インプラントの椎間要素の嵩容量の10〜90%、例えば椎間要素の嵩容量の20〜80%、30〜70%、40〜60%及び/又は30〜60%を構成してもよい。
【0074】
椎間要素の嵩容量について言及する場合、連結領域の容量は含まれず、個々の椎間要素の概算の容量にすぎず、開口部の容量と内部空間の容量があれば、これらを含む。
【0075】
本願の例示的実施形態において、第一と第二の椎間要素の1つ又は複数の開口部は、椎間要素が連結手段/機構を介して相互に係合された時に、相互に対向し、即ち実質的に整合する。このような開口部を対向するように/整合させて配置することにより、本願の所望の目的を達成するため、例えば椎間板インプラントを各外面において隣接椎体に関して癒合させ、椎間要素の内面によって形成/画定される連結領域内に骨組織が形成された時に、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素が相互に関して固定されるようにするために、両方の椎間要素の中への骨新生を促進するのに最適な条件となる。
【0076】
一方又は両方の椎間要素の表面上の小さな開口部は、「細孔」と呼んでもよく、これはインプラントが表面において骨成長を刺激する能力に影響を与える。インプラントの多孔性レベル、細孔の大きさの分布、細孔の形状、細孔の相互接続性は骨成長の程度に大きな影響を与える。骨誘導を促進する第一及び/又は第二の椎間体の外面上の例示的な細孔容積は、150〜500mmである。これに加えて、一方又は両方の椎間要素の外面は更に、隣接椎体に関する癒合を更に促進するために、粗い、でこぼこ、又はざらざらであってもよい。
【0077】
h.切開部/周方向差し込み領域
上述の開口部の代わりに、又はそれと共に、開示されている椎間要素は、骨新生と、時間の経過による第一と第二の椎間要素の固定を促進するための、様々な形/形状の切開部又は周方向差し込み領域を含み、又は画定してもよい。それゆえ、本願の例示的実施形態においては、椎間要素の、これを通る開口部を切開部/周方向差し込み領域と組み合わせることによって、所望の程度の骨新生を促進/助長してもよい。例えば、開示されている開口部及び切開部/周方向差し込み領域は、細胞が進入し、新たな骨を作るための足場を提供することによって、骨再生を刺激しうる。
【0078】
前述のように、開示されている椎間板インプラントの椎間要素は、1種又は複数の異なる材料から作製してもよい。本願の例示的実施形態において、充填物は椎間板インプラントの椎間要素の開口部及び/又は切開部/周方の差し込み領域の中に位置付けてもよく、その結果、充填されたインプラントが得られる。充填物は、骨形成活性及び/又は骨吸収阻害の命令及び/又は刺激に適した材料を含んでいてもよい。例えば、骨又は脱灰骨基質(DBM)の自家及び/又は同種移植片を充填材料として使用してもよい。人工骨材料、例えばセラミック材料もまた使用できる。吸収性材料、例えば吸収性セラミック粒も利用でき、これが適当な期間内での開口部及び/又は切開部/周方の差し込み領域内の骨形成を可能にし、及び/又は助長する。それゆえ、開示されている脊椎インプラントは、吸収性材料、例えば吸収性セラミック粒で充填されてもよく、これは適当なパッケージングによって骨新生のタイミング及び/又は程度に役立ちうる。別の例示的実施形態において、充填物は、コーティングに関して述べたように、骨誘導及び/又は骨形成剤を含んでいてもよい。
【0079】
i.一時的可動性
本願による椎間板インプラントは、有利な点として、周囲の椎体と椎骨と癒合する。具体的には、第一と第二の椎間要素の外側癒合面は、近隣の骨/椎体との癒合に適している。
【0080】
隣接骨/椎体に関する上記の癒合とは別に、開示されている第一と第二の椎間要素の特徴と配置により、有利な点として、埋植後にはこれらの要素は相互に関して一時的に運動可能となる。しかしながら、開示されている椎間板インプラントの要素は、骨再生を刺激するように、即ちインプラントの椎間要素の中へと骨成長を導くように構成される。この骨新生は、時間の経過に伴って第一と第二の椎間要素が相互に関して固定され、その結果、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素の一時的可動性に取って代わる/これを無効にすることにつながる。
【0081】
第一と第二の椎間要素の一時的可動性は、有利な点として、生理学的に容認可能な位置での椎間板インプラントの固定によって取って代わられ/無効とされる。このような、開示されているインプラントの生理学的に容認可能な位置は、埋植時点ではなく、挿入/埋植後数日から数週間で実現される。より詳しくは、インプラントの第一と第二の椎間要素の相対的位置は、それらの間の運動可能な連結に基づき、受容者の負荷、姿勢、脊椎運動によって影響を受ける、及び/又はそれに反応する位置に適応される。それゆえ、第一と第二の椎間要素の相互に関する固定は、インプラントの中及び/又はその周囲の骨新生により、埋植後、ある期間かかって起こる。インプラントの挿入/埋植に関連する外科手術中に判断される固定位置を確立するのではなく、開示されているインプラントが自然に、各患者に合わせて固定されることは、非常に有利である。
【0082】
本願のある例示的実施形態において、固定されたインプラントの形成につながる、第一と第二の椎間要素の相互に関する固定を引き起こすのは、主として椎間板インプラントの椎間要素の骨性統合領域で起こる骨新生である。
【0083】
本願の例示的実施形態において、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素は、埋植後のある期間、例えば8時間より長時間、16時間より長時間、及び/又は24時間より長時間にわたって相対的に運動可能なままである。別の例示的実施形態において、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素は、埋植後の、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、及び/又は4又は5日より長期の期間にわたって相対的に運動可能なままである。本願の実施形態において、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素は、挿入後、即ち埋植後1〜90日間、3〜30日間、及び/又は20〜25日間にわたり可動性を保つ。
【0084】
本願の別の例示的実施形態において、開示されている椎間板インプラントは、挿入/埋植後18カ月未満、又は12カ月未満、又は8カ月未満、又は6カ月未満で、固定されたインプラントに変化し、この場合、椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素の相対的可動性は、相互に関して固定される。例示的実施形態において、開示されている椎間要素は、挿入/埋植後3〜12カ月以内、5〜10カ月以内、及び/又は6〜9カ月以内で相互に関して固定される。
【0085】
開示されている椎間板インプラントの固定は、進行する骨新生に基づく漸進的なプロセスであるため、固定又は可動性の程度を埋植後に評価できる。更に、固定のプロセスは異なる対象物の異なる動力学で発生する。例示的実施例において、開示されている椎間板インプラントは、埋植直後の数週間で少なくとも65%固定され、又は埋植直後の数週間で少なくとも70%固定され、又は埋植直後の数週間で少なくとも75%固定され、又は埋植直後の数週間で少なくとも80%固定され、埋植直後の数週間で少なくとも85%固定されると予想できる。例示的実施形態において、開示されている椎間板インプラントは、埋植後1カ月で少なくとも90%固定され、又は埋植後1カ月で少なくとも92%固定され、埋植後1カ月で少なくとも95%固定される。最終的に、開示されている椎間板インプラントは100%固定される。
【0086】
j.治療方法
脊椎損傷又はその他の疾患による腰痛及び/又は下肢痛を有する患者においては、椎間板インプラントの挿入によって痛みが緩和する可能性がある。本願のある態様は、それを必要とする個人の治療方法に関し、この方法は、椎間板インプラントの挿入を含み、このような椎間板インプラントは、埋植後ある期間中、例えば挿入/埋植後少なくとも1日は相対的に運動可能なままである第一と第二の椎間要素を含み、インプラントは挿入後ある期間、例えば18カ月未満で固定インプラントに変化する。開示されている方法は、前方、側方、後方進入及び/又は経椎間孔固定術により行われてもよい。これに加えて、開示されている方法は、挿入/埋植(又はそれ以前からの)後方安定化手段/器具と組み合わせてもよい。後方安定化は、柔軟(ダイナミック)、半剛性又は剛性インプラント、例えば弓根スクリュー、棘突起間スペーサ又は椎間関節スクリュー又は、当業界で公知であるか、今後開発されるその他の固定/安定化方式の形をとることができる。
【0087】
第一と第二の椎間要素を同時に、即ち「プリアセンブル」状態で挿入してもよい。或いは、第一と第二の椎間要素は逐次的に挿入してもよく、第一と第二の椎間要素はin situで横並びに組み立て/位置付けられる。第三の要素、例えばポリマーシート又はブロックが第一と第二の椎間要素間に設置される場合、このような中間の第三の要素は、インプラントを脊椎内の所望の位置に解剖学的に設置する前に第一及び/又は第二の椎間要素に関して設置してもよく、又は逐次的に、例えば第一と第二の椎間要素が解剖学的な位置に挿入された後に挿入してもよい。
【0088】
2.例示的な椎間板インプラント
本願の例示的実施形態において、開示されている椎間板インプラントは、第一の外側癒合面と内側連結面を有する第一の椎間要素と、第二の外側癒合面と内側連結面を有する第二の椎間要素と、第一と第二の椎間要素を接続する連結手段/機構を含む。各椎間要素は一般に、1つ又は複数の骨性統合領域を含み、これは時間の経過に伴う第一と第二の要素の相互に関する固定を助長する。これに加えて、開示されている椎間板の実施例は、第一及び/又は第二の椎間要素に関して結合されるようになされた1つ又は複数の固定ブロックを含む。本願の椎間板インプラントの第一と第二の椎間要素は一般に、挿入/埋植後少なくとも1日は、相互に関して運動可能、即ち連結手段/機構に関して運動可能なままであり、インプラントは、埋植後ある期間、例えば挿入/埋植後18カ月未満で、固定インプラントに変化する。中間ポリマー要素(又は複数の中間ポリマー要素)を設置して、第一と第二の椎間要素に関連して発生しうる金属−金属接触を減少させ、及び/又は排除してもよい。
【0089】
図1〜11を参照すると、最初の例示的な椎間板インプラント10(及びその関連する構成要素)が概略的に示されている。それゆえ、まず図1を参照すると、椎間板インプラント10の等角図が示されており、このようなインプラントは、埋植後ある期間が経過すると「固定インプラント」として機能する。椎間板インプラント10は、第一の椎間要素12と第二の椎間要素14を含み、その内面が対向して整合する状態に近接して置かれるように相互に関して連結され、即ち組み立てられる。椎間板インプラント10は更に、第一の固定ブロック16と第二の固定ブロック18を含み、これらは第一と第二の椎間要素12、14に関して取り付けられる。より詳しくは、第一と第二の固定ブロック16、18は、椎間板インプラント10のそれぞれの角領域に位置付けられる。
【0090】
図1では第2の椎間要素14の外面20が見えており、椎間板インプラント10を隣接する解剖学的構造、例えば隣接椎体に関して固定されるのを助長する構造的特徴物及び/又は機能的属性を含んでいる。第一の椎間要素12の外面(図1では見えない)が、本願による第二の椎間要素14の外面20に関して後述するものと同じ、又は異なる表面特徴物、属性及び/又は処理を含んでいてもよいことが明確に想定される。
【0091】
それゆえ、例えば外面20(及び/又は第一の椎間要素12の外面)は、第二の椎間要素の外面20を実質的に覆う、概して錐体である複数の構造22を含み、及び/又は画定してもよい。材料に応じて、錐体構造22は、隣接骨と接触するための尖った先端又は丸い先端のいずれを有していてもよい。尖った/丸い先端の組合せを用いて、隣接骨に関する相互作用及び/又は固定が助長されるようにしてもよいことが更に想定される。追加的及び/又は代替的な表面形状を外面20に使用してもよく、例えばプラズマ溶射を施した外面20、均一に、又は不規則的に粗面化された外面20、湾曲した外面20又は平坦な外面20を全体又は部分的に使用してもよい。これらのいずれの場合も、外面20の骨固定挙動は、各種の骨親和性材料、例えば水酸燐灰石、燐酸三カルシウム、及びこれらの混合物を外面20に堆積させることによって増強できる。これに加えて、外面20の固定性能を、適当な建設材料、例えばチタン、チタン合金及び/又はタンタルを選択することによって増進させてもよい。更にまた、外面20に化学物質及び/又はコーティングを塗布して、第二の椎間要素14に隣接する骨の形成を促進してもよい。前述のように、本明細書において第二の椎間要素14の外面20に関して述べた表面特徴物、属性及び/又は処理は、第一の椎間要素12の外面(図1では見えない)にも同様に当てはまる。
【0092】
固定を強化するための表面形状に加えて、多数の特徴物を第一及び/又は第二の椎間要素12、14の外面に追加して、固定を増強できる。例えば、米国特許第5,314,477号明細書において開示されているような竜骨又は、米国特許第5,556,431号明細書に開示されているようなねじ(1つ又は複数のねじが構成要素を通じて骨へと通され、その結果、この構成要素を骨に固定した状態に保つ)を、第一及び/又は第二の椎間要素12、14の外面に関して使用してもよく、これも本願の主旨と範囲から逸脱しない。上記の‘477号特許と‘431号特許の中の関連する内容を参照によって本願に援用する。
【0093】
図1の椎間板インプラント10の組立の点で、留意される点として、第一と第二の椎間要素12、14は一般に、相互に関して連結され、所望の解剖学的位置に解剖学的に同時に挿入/埋植される。しかしながら、代替的実施例において、第一と第二の椎間要素12、14は、所望の解剖学的位置に逐次的に挿入され、in situで組み立てられてもよい。その後、固定ブロック16、18は、解剖学的領域に導入され、第一と第二の椎間要素12、14に関して取り付けられてもよく、これについては以下に詳しく説明する。
【0094】
図1〜8に関して、留意される点として、第一と第二の椎間要素12、14の各々は、それぞれの本体を通って延びる複数の開口部を画定し、このような開口部は、第一と第二の椎体要素12、14の骨性統合領域として機能する。それゆえ、第一の椎間要素12は開口部24、26を画定し、これに対して第二の椎間要素14は開口部28、30を画定する。図1〜5に示される椎間板インプラント10の例示的な開口部24、26、28、30は実質的に不規則な形状であり、これは「耳」型とよばれるような形状を画定するが、本願は図1〜5に示される例示的な開口部の形状によって、又はそれに限定されない。注目すべき点として、第一の椎間要素12に関連する開口部(開口部24、26)は一般に、図1に示されるように第一と第二の椎間要素12、14が組み立てられた時に、第二の椎間要素14に関連する開口部(開口部28、30)と実質的に整合する構成と寸法である。
【0095】
図1の例示的な実施形態において、第一と第二の椎間要素12、14の各々に関連する開口部は、その対向面の表面積の実質的部分、例えばこのような表面積の50%より大きい部分を包含する。このようにして、第一と第二の椎間要素12、14を相互に関して「固定」するための椎間板インプラント10の中への骨新生が促進される。しかしながら、当然のことながら、本願は、開口部が前述の程度の開口部を構成する実施例によって、又はこれに限定されないと理解されるものである。例えば、開口部が構成するのは、表面積のうちのより小さいパーセンテージ、例えば10%、例えば中間の程度、例えば10%と50%の間のオーダであってもよい。更にまた、開口部は表面積のうちのより大きなパーセンテージ、例えば50%より大きいパーセンテージを構成してもよい。更に留意される点として、骨新生は、表面積に開口部を設けない例示的な実施形態においても実現されうる。例えばこの場合、少なくとも部分的に第一と第二の椎間要素の前方での骨新生を通じて癒合が起こる。
【0096】
図2を特に参照すると、椎間板インプラント10の上面図が示されており、これは主として第二の椎間要素12の外面20を示している。図1〜5の各種の図面から容易にわかるように、第一と第二の椎間要素12、14の外側形状は同じ(又は実質的に同じ)であってもよく、それによって、連結され/組み立てられた時に、実質的に均一な外縁/形状が画定される。それゆえ、椎間板インプラント10の第一と第二の椎間要素の組み合わされた/組み立てられた時の形状は、前縁32と後縁34を画定する。前縁32は、説明のために、3つの小領域、即ち中央前縁38を取り囲む前外側縁36aと前外側縁36bに分けてもよい。前外側縁36a、36bに関連する、中央縁辺38に関して凹んだ形状によって、骨材料及び/又はその他の所望の材料を椎間板インプラント10の前方の、骨癒合を助長及び/又は誘導しうる位置に設置することができる。有利な点として固定ブロック16、18の設置/連結を許容するのは、前外側縁36a、36bに隣接するこの陥凹領域であり、これについて以下に詳しく説明する。
【0097】
例示的な椎間板インプラント10の連結機構に関して、留意される点として、第一と第二の椎間要素12、14は協働的な内面40、42を画定し、これは椎間板10の埋植後の当初期間中の第一と第二の椎間要素12、14間の相対的運動を助長する。それゆえ、図1〜5の例示的実施形態では、図3において最もよくわかるように、第一の椎間要素12の内面40は、中央領域44と2つのウィング領域46、48を画定する。中央領域44とウィング領域46とが一緒に開口部24を形成し、又はその境界を定め、その一方で中央領域44とウィング領域48が開口部26を形成し、又はその境界を定める。外側のウィング領域46、48にはそれぞれ一組の溝50、52が設けられる。これに加えて、挿通穴54、56、58が第一の椎間要素12の前面60に形成される。挿通穴54、56、58は、椎間板インプラント10を所望の解剖学的位置に臨床的に送達するための設置用具(図示せず)と相互連結しやすくするために使用されてもよい。これに加えて、挿通穴54、56は、それぞれ固定ブロック16、18の取付を許容するように位置付けられる。本願によれば、その他の固定ブロック形状及び/又は設計も想定される。例えば、固定ブロックは、骨新生を助長する表面特徴物及び/又は形状を含んでいてもよい。それゆえ、当業者であれば容易にわかるように、本願は、実質的にどのような設計/形状の固定ブロックでも包含するが、このような固定ブロックが利用可能な前方空間内に設置できる寸法と構成であることが条件となる。
【0098】
図4は、第二の椎間要素14の内面42の斜視図を示す。第二の椎間要素14の内面42は、中央領域62と2つのウィング領域64、66を画定する。中央領域62とウィング領域64とが一緒に開口部28を形成し、又はその境界を定め、その一方で中央領域62とウィング領域66が開口部30を形成し、又はその境界を定める。1対の直立突起68、70がそれぞれ外側ウィング領域64、66に形成される。これに加えて、挿通穴72、74、76が第二の椎間要素14の前面78に形成される。挿通穴72、74、76は、椎間板インプラント10を所望の解剖学的位置へと臨床的に送達するための設置用具(図示せず)と相互作用しやすくするために使用されてもよい。これに加えて、挿通穴72、74は、それぞれ固定ブロック18、16の取付を許容するように位置付けられる。
【0099】
椎間板インプラント10の第一と第二の椎間要素は、有利な点として、第一の椎間要素12の内面40が第二の椎間要素の内面42と接触係合する状態になった時に、相互に関して可動的に連結される。上記のような接触係合の状態になると、第一の椎間要素12の開口部24は第二の椎間要素14の開口部28と実質的に整合し、第一の椎間要素12の開口部26は第二の椎間要素14の開口部30と実質的に整合する。これに加えて、第二の椎間要素14の直立突起68は第一の椎間要素12の溝50と整合/協働し、第二の椎間要素14の直立突起70は第一の椎間要素12の溝52と整合/協働する。直立突起70と溝52の整合/協働が図8の側面図において概略的に示されている。更にまた、第一の椎間要素12の中央領域44は第二の椎間要素14の中央領域62と接触関係にあり、それらの間に関節領域90が画定される(図6参照)。
【0100】
一般に、関節領域90は、第一と第二の椎間要素12、14間の主要接触部となる。第一の椎間要素12のウィング領域46、48に形成される開口部24、26と第二の椎間要素14のウィング領域64、66に形成される開口部28、30は、骨材料(又はその他の材料)を受けて、それらの中への骨新生を助長しうる。これに加えて、第一と第二の椎間要素12、14のそれぞれのウィング領域間の相互作用/接触は、有利な点として、それらの間の側屈を制限するように機能する。更に、第二の椎間要素14の突起68、70と第一の椎間要素12の溝50、52の間の相互作用はとりわけ、第一又は第二の椎間要素12、14の何れかの相互に関する前後運動に抵抗し、又はこれを限定するほか、第一又は第二の椎間要素12、14の何れかの相互に関する軸回転に抵抗し、又はこれを限定する役割を果たす。本願の例示的実施形態において、椎間板インプラント10は、中央の挿通穴58、76を通る前後平面に関して、即ち関節領域90により画定される平面に沿って対称(又は実質的に対称)である。
【0101】
図6と7は、例示的な椎間板インプラント10の第一と第二の椎間要素12、14の整合済みのアセンブリの断面を示す。図5を特に参照すると、図6と7の断面図が沿っている平面が示されている。それゆえ、図6の断面図は、図5の線B−Bにより画定される平面に沿って切断されており、図7の断面図は図5の線A−Aに沿って切断されている。第一の椎間要素12の中央領域44は概して、内外方向への第一の形状92(図6参照)と前後方向への第二の形状94(図7参照)を持つスイープサーフェス(swept surface)として画定される。一般に、内外方向への第一の形状92が単弧であることが好ましい。また、一般に、前後方向への形状94が少なくとも2つの弧で構成されることも好ましい。このような弧の組合せにより、有利な点として、屈伸時の患者の通常の解剖学的運動が可能となり、その一方で、第一と第二の椎間要素12、14間の接触力が制御される。しかしながら、本願は、図1〜8の例示的な第一の椎間要素12を参照して説明した弧型の実施例によって、又はこれに限定されない。
【0102】
第二の椎間要素の中央領域62もまた、概して、内外方向への第一の形状96(図6参照)と前後方向への第二の形状98(図7参照)を持つスイープサーフェスとして画定される。一般に、第一の形状96が単弧であることが好ましい。また、一般に、第二の形状98が直線からなることも好ましい。しかしながら、第一の椎間要素12と同様に、本願は図1〜8の例示的な第二の椎間要素14に関して説明した弧型の実施例によって、又はこれに限定されない。
【0103】
接触応力を軽減させるために、一般に、嵌合する弧92、96の内外方向への半径は同程度の(ただし、同じではない)数値であることが好ましく、その結果、第一と第二の椎間要素12、14間の接触応力が軽減される。また、第一の椎間要素12の形状が及ぶ範囲は一般に、第二の椎間要素14より大きく、それによって第一の椎間要素12のウィング46、48とそれに接触する第二の椎間要素14のウィング64、66が接触する前に、第二の椎間要素14が第一の椎間要素12に関して回転することが可能となり/助長される。
【0104】
図7からわかるように、本願の例示的な第一と第二の椎間要素12、14の前後方向の形状間にも有利な関係がある。内外形状と異なり、前後曲線は概してそれほど密接に合致しない。例えば、第一の椎間要素12の形状94は一般に、第二の椎間要素14の前後形状98と合致する。このような前後形状の合致によって、患者の必要な及び/又は所望の屈伸運動が可能となり、開示されている椎間板インプラントの埋植後の当初期間中の位置調節可能性が向上する。注目すべき点として、第一と第二の椎間要素12、14の中央領域44、62は、整合位置での接触領域100(図7参照)を画定する。
【0105】
椎間板インプラント10に関して例示的な形状を説明したが、その他の各種の形状も想定される。例えば、内外形状92、96は、ラジアス構造の対向面、楕円の対向面、キー溝型の対向面又はその他の概して湾曲した要素を含む形状によって形成/画定されてもよい。同様に、前後形状94、98は、ラジアス構造の対向面、楕円の対向面、キー溝型の対向面又はその他の概して湾曲した要素を含む形状によって形成/画定されてもよい。更に、関節面形状は逆転/反転させてもよいことが想定され、それによって図1〜8の例示的実施形態に関して説明した第一の椎間要素12の、開示された形状的特徴と機能を、その代わりに第二の椎間要素14に関連付けてもよく、またその逆でもよい。それゆえ、形状92、94の形状的特徴/機能を形状96、98の形状的特徴/機能と交換してもよい。しかしながら、留意される点として、本明細書で説明される形状の特徴を逆転させることは、第一と第二の椎間要素12、14の回転中心が、脊椎分節の下側錐体の後方半分にあると考えられている脊椎分節の自然の回転中心からずれる可能性があるため、好ましくないかもしれない。
【0106】
軸回転運動は、埋植後の当初期間中、少なくとも一因として第一と第二の椎間要素12、14の対向する形状92、96の内外半径におけるわずかな不一致に基づいて、第一と第二の椎間要素12、14間で可能となりうる。しかしながら、過剰な軸回転への抵抗が、第一の椎間要素12の溝50、52と第二の椎間要素14の、協働する突起部68、70の相互作用を通じて提供される。図3に示されるように、溝50、52は、有利な点として、実質的にV字形を画定しうる。溝50、52はまた、第一の椎間要素12の外面に概して平行な平坦な底面も画定しうる。それゆえ、V字形の形状は、平坦な底面まで延びる、対向する斜めの壁により形成/画定されてもよい。
【0107】
第二の椎間要素14のウィング64、66に関連し、そこから延びる直立突起68、70は概して、その上側部分に丸みのある形状的特徴を画定する。第一と第二の椎間要素12、14の中立的な整合時には、直立突起68、70は概して、第一の椎間要素12に画定される溝50、52の中に適合する。図8に示されるように、突起68、70と溝50、52の間の相互作用により概して、突起と溝の間に前方ギャップ(例えば、前方ギャップ102)、後方ギャップ(例えば、後方ギャップ104)、遠位ギャップ(例えば、遠位ギャップ106)が画定される。軸回転により、インプラント10の一方の側では前方ギャップ102が増大すると後方ギャップ104が縮小し、第二の側では後方ギャップ104が増大して、前方ギャップ102が縮小する。軸回転が続くと、一方の側では前方ギャップが閉じ/なくなり、インプラントの反対側では後方ギャップが閉じる。溝50、52と突起68、70の両方の相対的な形状によって、軸回転が(初期接触を超えて)継続すると、突起68、70が溝50、52の側面に乗り上げる。突起68、70が溝50、52の側面に乗り上げると、組み立てられた状態の第一と第二の椎間要素12、14の高さ、図8の「H」が増大する。「H」が増大すると、椎間腔にまたがる軟組織の張力が増大して、それ以上の軸回転に対抗する抵抗力がかかる。
【0108】
第一と第二の椎間要素12、14、特に協働する溝50、52と突起68、70の設計は一般に、前方及び後方ギャップ102,104が同等であり、その一方で遠位ギャップ106が前後ギャップ102、104に関して異なるように行われる。注目すべき点として、前方及び後方ギャップ102、104は一般に、第二の椎間要素14の第一の椎間要素12に関する自由な軸回転を制限するように機能する。遠位ギャップ106は一般に、突起68、70がそれに対応する溝50、52と接触することなく、第二の椎間要素14が第一の椎間要素12に関して側屈できるような空隙を提供するように機能する。
【0109】
溝50、52と突起68、70と特に前方ギャップ102と後方ギャップ104は一般に、(i)第一と第二の椎間要素12、14間の自由な相対的前後運動と、(ii)椎間板インプラント10によって示される過剰な前後運動に対する抵抗の量と、を決定する。図8を参照すると、第二の椎間要素14が第一の椎間要素12に関して前方に移動した時、前方ギャップ102が組み立てられた状態の椎間板インプラント10の両側において閉じることがわかる。前方ギャップ102が完全に閉じると、それ以上前方に移動するには、軸回転について前述したように、突起68、70が溝50、52の側面に乗り上げることが必要となり、それによって組み立てられた状態の高さ「H」が増大する。
【0110】
本願によれば、突起68、70と溝50、52の他の形状も想定される。例えば、溝の斜めの壁に概して平行な平坦な傾斜面を含む突起を使用してもよい。同様に、概して丸い特徴又は、溝の壁に平行な平坦な傾斜面の何れかを有する突起と嵌合する、湾曲した壁を有する溝及び/又は、第一と第二の椎間要素12、14の上面と底面に対して概して垂直な壁を有する溝を使用してもよい。
【0111】
屈伸と側屈のどちらにおいても、開示されている椎間板インプラント10の関節面形状により、有利な点として、埋植後の当初期間中の実質的に自由な移動が可能となる。当初埋植期間におけるこの自由運動により、第一と第二の椎間要素12、14は、例えば脊椎の軟組織による影響及び/又はこれによりかけられる力に基づいて、確実に所望の相対的方位をとることができる。骨新生を通じて、このような所望の相対的方位は固定されるようになるが、これはこのような骨新生が第一と第二の椎間要素12、14間の相対的運動を当初は抑制し、最終的に阻止するからであり、即ち、それらの間で癒合が確立する。
【0112】
3.固定ブロック
前述のように、固定ブロック16、18を使って椎間板インプラントの前方の骨癒合を促進してもよい。図9、10、11は、例示的な固定ブロック16の上面図、正面図、斜視図であり、これらは概して、すべての実質的な点において、固定ブロック18に鏡像として対応する。例示的な固定ブロック16は一般に、2つの構造的要素、即ち柱状体110とコネクターステム112を含む。柱状体110は、図10に示されるように、非円形の柱と高さ「L」を画定してもよい。柱状体110の形状は概して、第一と第二の椎間要素12、14の形状と相補的であり、椎間板インプラント10の前外側縁辺36a、36bに隣接する前外側空間を(少なくとも部分的に)埋める(図2参照)。例示的な固定ブロック16の高さ「L」は概して、第一と第二の椎間要素12、14の、組み立てられた状態の高さ「H」と同等の高さである。
【0113】
固定ブロック16に関連するコネクターステム112によって、固定ブロック16と、第一又は第二の椎間要素12又は14の何れかの間の連結/接続が可能となる。例えば、コネクターステム112は、第一の椎間要素12の挿通穴54又は56及び/又は第二の椎間要素14の挿通穴72、74により受けられ、それによって固定ブロックは第一と第二の椎間要素12、14に関して一時的に整合し、固定される。
【0114】
代替的な固定ブロック120が図12に示される。固定ブロック120は非円形の柱状体122によって構成され、これは柱状体122から延びるコネクターステム124の形状を画定する。この代替的な固定ブロック120の形状により、両方の前外側縁辺36a、36bと協働する1つのブロックが提供され、これは前述の2つの固定ブロック16、18と異なる。コネクターステム124は、それぞれ第一又は第二の椎間要素12、14の挿通穴58又は76によって受けられ、これと嵌合するようになされている。ブロックの高さは概して、図10において固定ブロック16に関して示されている高さ「L」と同等であり、組み立てられた状態の椎間板インプラント10の高さ「H」と実質的に合致する。
【0115】
それゆえ、本明細書に記載されているように、固定ブロック16、18、120は、第一又は第二の椎間要素12、14に付着されてもよい。或いは、固定ブロック16、18、120は、コネクターステム112、124の少なくとも一部を第一と第二の椎間要素12、14間に設置することによって、第一と第二の椎間要素12、14に関して取り付けてもよい。これに加えて、開示されている固定ブロック16、18、120にはコネクターステムがなくてもよく、固定しない方法で第一と第二の椎間要素12、14に関して前方に設置することによって、第一と第二の椎間要素12、14に関連付けてもよい。
【0116】
開示されている固定ブロックの例示的な代替案では、可鍛性の骨移植材料を使用して、このような材料を椎間板インプラントの前方に設置する。可鍛性の骨移植材料は当業界では十分に定着しており、コーティングの項に記載した材料のほか、骨(異種移植片、同種移植片、自家移植片)、骨性生成物(例えば、脱灰骨基質)とポリマー、及びこれらの材料の組合せで構成できる。
【0117】
4.2部品型人工椎間板
図13は、本願による例示的な2部品型人工椎間板による代替的な第一の椎間要素130の斜視図を示す。第一の椎間要素130は、中央領域132と、中央領域132から延びる2つのウィング134、136と、それぞれウィング134、136の周辺に形成された溝138、140と、挿通穴142、144、146と、を含む。図14は、開示されている2部品型人工椎間板の代替的な第二の椎間要素150の斜視図を示す。第二の椎間要素150は、中央領域152と、中間領域152から延びる2つのウィング154、156と、それぞれウィング154、156の周辺の2つの直立突起158、160と、挿通穴162、164、166と、を含む。一般に、第一の椎間要素130の中央領域132は、第二の椎間要素150の中央領域152と係合的に接触し、第一と第二の椎間要素130、150間の主要な接触領域となり、このような係合的行為は、それらの間に関節領域を画定する。1つ又は複数のポリマー要素を第一と第二の椎間要素130、150間に設置して、それらの間の金属−金属接触を減少させ、及び/又は排除してもよい。
【0118】
一般に、対向する中央領域132、152間に画定される関節領域は、開示されている2部品型人工椎間板の第一又は第二の椎間要素130、150間の主要な接触部となる。ウィング134、136は、第二の椎間要素150の嵌合形状を介して、側屈を制限する。更に、ウィング134、136は溝138、140を含み、これらは、第二の椎間要素150の突起158、160と共に、第一又は第二の椎間要素130、150の何れかの他方に関する前後運動に抵抗し、又はこれを制限するほか、第一又は第二の椎間要素130、150の何れかの他方に関する軸回転に抵抗し、又はこれを制限する。同様に、ウィング154、156は第一の椎間要素130の嵌合形状を通じて側屈を制限する。更に、ウィング154、156は突起158、160を有し、これは、第一の椎間要素130の溝138、140と共に、第一又は第二の椎間要素130、150の何れかの他方に関する前後運動に抵抗し、又はこれを制限するほか、第一又は第二の椎間要素130、150の何れかの他方に関する軸回転に抵抗し、又はこれを制限する。注目すべき点として、開示されている椎間要素130、150は概して、中央の挿通穴146、166を通る前後平面に関して対称である。
【0119】
第一と第二の椎間要素130、150は、それぞれのウィングに骨新生を助長するための開口部を持たない。しかしながら、それ以外のすべての実質的な点において、第一と第二の椎間要素130、150は前述の第一と第二の椎間要素12、14とまったく同じである。従って、本明細書に記載されているように、第一と第二の椎間要素130、150を組み込んだ2部品型椎間板インプラントの特徴、機能、利点を十分に理解するには、第一と第二の椎間要素12、14の前述の説明を参照されたい。
【0120】
5.骨前処理用器具及び関連するインプラント
よく受け入れられていることとして、椎間腔内でのインプラントの安定性を確保することが重要であり、特に、インプラントが骨に関する前方への運動(いわゆる、前方亜脱臼又は前方移動)に抵抗することが重要である。前述のような粗くした表面は、前方移動の発生を防止する手段である。
【0121】
前方移動の発生を防止する別の方法は、骨に特徴物(雌型)を機械加工し、それと適合するための相手特徴物(雄型)をインプラントに設けることである。図15〜19は、このような「鍵式」の埋植を実現する例示的な器具とインプラントを示す。
【0122】
図15と16は、試行用インプラント251の骨切削器具252とのアセンブリ250を示す。試行用インプラント251により、外科医は椎間腔にアクセスし、特にインプラントのための適当な大きさ(おそらくは設置面積、高さ、前彎ロードシス)を検討することができる。骨切削器具252は、隣接椎体から骨を選択的に除去するために試行用インプラント251とともに使用され、その結果、インプラントを収容するための骨の特徴物(雌型)が作られる。骨切削器具252の切削部253は、試行用インプラント251内に画定されたポケット254の中にある。
【0123】
図15と16に更に示されるように、骨切削器具251には少なくとも2種類の位置がある。第一の種類の位置では、図15に例示されているように、骨切削部253が試行用インプラント251の上面255と下面256の間にある。この第一の位置により、組み立てられた状態の切削器具253と試行用インプラント251は手術部位へと通過させることができ、その際、血管等の隣接組織に及ぶ危険が低減される(「安全位置」という)。図16には、第二の種類の位置が示されており、骨切削部253は上面255と下面256の両方の外側にある(「切削位置」という)。図のように、骨切削器具253は、試行用インプラント251の中にあるそのシャフト257の周囲で回転させられることによって2種類の位置の間で移動される。骨切削器具は、試行用インプラント251の中にある状態でシャフト257の周囲で完全に回転されると、それによって試行用インプラント251に隣接する骨に窩洞が加工される。
【0124】
骨切削器具の形状により、図15と16に示される2つの位置がとられる。図17の分解図に示されるように、骨切削器具252は、骨切削部253と、シャフト257と、突起271と、骨切削部の接触面272と273と、を有する。接触面間の距離が試行用インプラント251の上面255と下面256の間の距離(即ち、試行用インプラントの高さ)と同等又はそれより小さい場合、骨切削器具252は1つ又は複数の「安全位置」に回転させることができる。或いは、骨切削器具252が骨を切削できるようにするためには、シャフト257の軸から切歯の頂点274までの距離が試行用インプラント251の高さを超えなければならない。これによって、骨切削器具252は、試行用インプラント251の上面255と下面256に隣接する組織と係合することができる。
【0125】
例示的実施形態において、骨切削器具252は、試行用インプラント251の上の骨と試行用インプラント251の下の骨の両方に窩洞を同時に形成するが、これは骨切削器具252全体を受ける中央スロット281と穴282(図18参照)及び、穴282と嵌合する骨切削器具252の突起271の位置による。
【0126】
或いは、試行用インプラント251は、骨切削器具252を受ける2つの穴282を収容でき、穴はどちらも、最も近い面(即ち、上面255と下面256)から同じ距離にある。この代替的実施形態では、骨切削器具252を、1つの穴282の中に組み付け、回転させて、試行用インプラント251の一方の側の骨の窩洞を形成し、その後、第二の穴に組み付け、回転させて、試行用インプラント251の反対の側の骨の窩洞を形成することができる。
【0127】
本願の例示的実施形態によれば、例えば開示されている骨切削器具252を使って骨の窩洞を形成することにより生成された骨材料を捕捉して後で使用してもよい。例えば、骨材料は分析目的、例えば生検のため、及び/又は骨成長/骨移植を促進するために使用してもよい。このような骨材料の捕捉に使用する装置は当業界で公知であり、骨の削りくず、骨の切りくず等を捕捉するために骨切削器具252とともに使用してもよい。
【0128】
図21を参照すると、本願による別の例示的な骨切削装置400の部分分解図が示されている。骨切削装置400は、上述の試行用インプラント251に構造的に対応する試行用インプラント402を含む。試行用インプラント402には、骨切削器具404が収容され、これは図21では非切削方向で示されている。骨切削器具404は外側に延びるシャフト406を含み、これによって骨切削器具404を切削方向と非切削方向の間で方向転換させやすくなる。ハンドル部材405は、シャフト406と着脱可能に係合するようになされている。ハンドル部材405は、第一と第二のハンドル延長部407a、407bを含み、それによって使用者がこれを扱いやすくなる。
【0129】
ハンドル部材405はまた、軸方向溝410を画定する実質的に円筒形延長部408も画定する。スライドピン412は、円筒形延長部408と協働する大きさとされる。スライドピン412は、円筒形延長部408の中にスライドピン412が設置されている時に、溝410の上に乗るような大きさである横方向に延在するボタン414を定める。圧縮ばね416が円筒形延長部408の中に設置されて、スライドピン412の近位端と係合する。圧縮ばね416は、ハンドル部材405に関してスライドピン412を付勢する。
【0130】
使用時には、スライドピン412の遠位端を、それに対応する、骨切削器具404に関連する穴と整合させてもよく、その一方で、円筒形延長部408の遠位端はシャフト406と整合し、実質的にこれを取り囲む。スライドピン412が骨切削器具404と係合すると、骨切削器具404は回転運動ができなくなる。それゆえ、スライドピン412は解除されるまで骨切削器具を非切削方向にロックする。スライドピン412は、それを近位方向に、即ち圧縮ばね416の付勢に対抗して引き戻すことによって、穴切削器具404から外すことができる。このようにして、骨切削器具404は切削方向へと自由に移動できる。
【0131】
図19には本願による椎間板インプラントに関連する例示的な椎間要素291が示されている。開示されている椎間要素は、骨に形成された窩洞と協働するような構成と寸法の、それと合致する特徴部を含む。椎間要素291はそれゆえ、骨切削器具252によって形成された骨窩洞と嵌合する特徴物292を含む。特徴物292は、面293とテーパ付導入部294を有する。面293は、骨切削器具252の後端面275と嵌合するようになされており、椎間要素291によるその隣接骨に関する移動に抵抗する方法となる。テーパ付導入部294により、インプラントを椎間腔に比較的挿入しやすくなる。注目すべき点として、当業者にとって明らかであるように、特徴物292の方向は、開示されているインプラントの側方への設置を許容するように調節されるであろう。
【0132】
図のように、骨切削器具252の切削面には、インプラントのテーパ付導入部294と合致するようにテーパが付けられている。これらの嵌合する形状のためのその他の形状もまた考えられる。
【0133】
6.回転中心
本願のインプラントは、固定装置と人工椎間板のいずれとして使用されるかを問わず、有利な点として、インプラントによって画定される回転軸について、in situ(in situ)可変性を提供する。in situ可変性とは、第一と第二の椎間要素によって画定される回転中心を、これらの椎間要素と周囲の解剖学的構造/特徴との間のin situの相互作用に基づいて、ただし特定の境界内で、様々な位置に画定できるように第一と第二の椎間要素が連結されることを意味する。本願の例示的実施形態において、第一と第二の椎間要素は、すべての方向への、ただし特定の境界内での、相対的運動、即ち全範囲の運動自由度を許容できるように連結される。本願の固定インプラントの実施例では、上述の全範囲の運動自由度は、埋植時及びその後のある期間にわたって存在する。しかしながら、骨新生が進むと、第一と第二の椎間要素が相互に関して自由に移動できる程度が徐々に減少して、最終的に癒合状態に至る。癒合状態となると、第一と第二の椎間要素はそれ以上いずれの方向にも相互に関して移動できなくなり、即ち、第一と第二の椎間要素は相互に関して固定される。本願の代替的な実施例、例えば人工椎間板の実施例において、上記の全方向への、ただし特定の境界内での、運動自由度は、埋植後無限に維持されてもよい。
【0134】
図20を参照すると、本願による例示的な椎間要素300が概略的に示されている。容易にわかるように、椎間要素300は第二の椎間要素(図示せず)と協働して本願による完全なインプラントを形成するようになされている。図20は、明瞭さを期して、1つの椎間要素300のみを示している。注目すべき点として、椎間要素300は、構造面において、図3の椎間要素12に対応するため、ここでは椎間要素300のこのような構造的特徴及び関連する機能的動作の詳細な説明は割愛し、特にインプラント10の説明と図1〜8を含め、椎間要素12(及び相補的な椎間要素14)に関する前述の説明を参照されたい。
【0135】
例示的な椎間要素300は、インプラント10の椎間要素12、14(図1〜8参照)に関して説明した方法で、第二の/相補的な椎間要素(図示せず)に関して可動的に連結されるようになされている。それゆえ、インプラント10の例示的な連結機構を、椎間要素300に関して、椎間要素300と第二の/相補的な椎間要素(図示せず)が相互に関する位置を、特定の境界内で、変更できるように利用してもよい。境界は、それらの間の連結の性質によって決まる。それゆえ、境界内で、2つの椎間要素間の相対的運動は、3つの回転(屈折/伸展、側屈、軸回転)のほか、2つの並進運動(前後、内外)において可能である。前後方向への並進運動は、もう一方の方向における変位に基づいて結合される。これらの要素に関連する形状の差により、要素間の相対的運動が制約される。
【0136】
例えば、図1〜8の例示的な第一と第二の椎間要素12、14に関して、並進的な前後運動は、開示されている突起/溝間の相互作用により制限される。同様の方法で、並進的な左右への移動は、対向する中央領域44、62間の相互作用によって制限される。更にまた、一般的には中央領域44、62に関する搖動/旋回運動の形態をとる相対的な回転運動は、第一と第二の椎間要素間の構造的係合によって制限される。しかしながら、前述の境界内で、第一と第二の椎間要素間の相対的運動は、少なくとも埋植後の当初期間中は可能である。2つの要素が相互に関して移動すると、それらの間の接触点/領域は変化する可能性があり、そのような移動によって、開示されているインプラント、例えばインプラント10の回転中心が第一と第二の椎間要素に関して移動する。
【0137】
図20に概略的に示されているように、椎間要素300の、第二の/相補的な椎間要素(図示せず)に関する接触点/領域は、領域325の中で自由に移動する。注目すべき点として、領域325は、椎間要素300上に、又はこれに関して境界線を有する「物理的な」領域ではない。むしろ、図20に概略的に示されている領域325は説明用にすぎない。接触点/領域325の全体的寸法は一般に、開示されているインプラントに関連する連結機構によって画定される。それゆえ、第一と第二の椎間要素間に関する並進及び/又は回転/旋回運動をより大きくすることができる連結機構を組み込むことによって、第一と第二の椎間要素間のより大きな相対的運動が可能となり、その結果、1つ又は複数の方向への接触点/領域325が大きくなる。反対に、より小さな寸法の接触点/領域325を実現するには、例えば第一と第二の椎間要素間に関する並進及び/又は回転/旋回運動を制限する連結機構を組み込むことによって、第一と第二の椎間要素間の相対運動の範囲を更に限定すればよい。
【0138】
埋植後に接触点/領域及び、従って回転中心の自動位置変更が可能なインプラントを提供することにより、本願は開示されているインプラントの臨床的成績を大きく改善する。より詳しくは、例えば特定の患者に関連する負荷及び運動の要因に基づいて、開示されているインプラントの回転中心を自動的に位置変更することにより、インプラントを脊椎の要求によりよく応答させることができ、また開示されているインプラントのin situでの動作に関連する不均衡な力及び/又はせん断力を軽減できる。
【0139】
本願について、その例示的実施形態を参照しながら説明したが、本願はこのような例示的実施例により、又はこれらに限定されない。むしろ、開示されている脊椎インプラントと器具には、当業者にとって明らかであるように、様々な改変、改良及び/又は改善を加えることができ、このような改変、改良、改善は本願の範囲内に明確に包含される。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)第一の内面と第一の外面を画定する第一の椎間要素と、第二の内面と第二の内面を画定する第二の椎間要素とを含む椎間板インプラントにおいて、前記第一の内面と前記第二の内面は、同じではない内外及び前後形状によって少なくとも部分的に特徴付けられる関節面形状を画定する構造的特徴物を含む椎間板インプラント。
(2)前記第一と第二の椎間要素の前記内外及び前後形状のうちの少なくとも一方が、少なくとも1つの方向に実質的に同じである、(1)に記載の椎間板インプラント。
(3)前記第一と第二の椎間要素は、軸回転と前後並進運動に抵抗するが、これを阻止しない1つ又は複数の構造的特徴物を含む、(1)又は(2)に記載の椎間板インプラント。
(4)前記第一と第二の椎間要素が、側屈を制限する1つ又は複数の構造的特徴物を含む、(1)〜(3)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(5)前記第一と第二の椎間要素のうちの少なくとも一方に関連する少なくとも1つの固定ブロックを更に含む、(1)〜(4)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(6)前記少なくとも1つの固定ブロックは前記第一又は第二の椎間要素に関して取り付けられている、(5)に記載の椎間板インプラント。
(7)前記少なくとも1つの固定ブロックは前記第一と第二の椎間要素の前方に設置される、(5)又は(6)に記載の椎間板インプラント。
(8)前記少なくとも1つの固定ブロックは、前記第一と第二の椎間要素のうちの一方に形成された穴に関して取り付けられるように適合されたコネクターステムと本体を含む、(5)〜(7)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(9)前記第一と第二の椎間要素の各々は、中央領域と、前記中央領域に関して第一の方向へと横に延びる第一のウィングと、前記中央領域に関して第二の方向へと横に延びる第二のウィングと、を画定する、(1)〜(8)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(10)前記第一の椎間要素の前記中央領域と前記第二の椎間要素の前記中央領域は接触関係に置かれるよう適合され、このような中央領域の接触係合は、少なくとも部分的に、その関節形状を確立する、(9)に記載の椎間板インプラント。
(11)前記第一と第二の椎間要素のそれぞれの前記ウィングに協働的構造が画定される、(9)又は(10)に記載の椎間板インプラント。
(12)前記協働的構造は前記第一と第二の椎間要素間の相対的運動を許容する、(11)に記載の椎間板インプラント。
(13)前記協働的構造は直立突起と溝を含む、(11)又は(12)に記載の椎間板インプラント。
(14)協働的な直立突起と溝の各々は、前方ギャップ、後方ギャップ、遠位ギャップを画定する、(13)に記載の椎間板インプラント。
(15)前記ウィングは、骨新生を許容する開口部を画定する、(9)に記載の椎間板インプラント。
(16)前記第一と第二の椎間要素は相互に関して可動的に連結され、前記第一と第二の椎間要素は、埋植後ある期間が経過すると、相互に関して固定又は癒合されるようになる、(1)〜(15)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(17)前記第一と第二の椎間要素は、骨新生によって固定又は癒合されるようになる、(16)に記載の椎間板インプラント。
(18)前記骨新生は、少なくとも部分的に、前記第一と第二の椎間要素の前方で起こる、(17)に記載の椎間板インプラント。
(19)前記第一と第二の椎間要素のうちの少なくとも一方の前記外面は、隣接する解剖学的構造に関する固定を促進する表面特徴物を含む、(1)〜(18)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(20)前記表面特徴物は、棘状突起、錐体要素、コーティング及びこれらの組合せからなる群から選択される、(19)に記載の椎間板インプラント。
(21)前記第一と第二の椎間要素はその縁辺に沿って、前方に面する複数の開口部を画定し、このような複数の開口部は、(i)固定ブロックの取付と、(ii)その臨床的設置のための器具との相互連結のうちの少なくとも一方を許容するように機能する、(1)〜(20)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(22)前記椎間板インプラントはin situで固定装置として機能する、(1)〜(21)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(23)前記椎間板インプラントはin situで人工椎間板として機能する、(1)〜(21)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(24)前記第一と第二の椎間要素は、埋植後に自動的に位置変更可能な接触点/領域を画定するように可動的に連結される、(1)〜(23)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(25)前記接触点/領域は、前記前後方向及び前記内外方向の両方に、ある区間/領域内で自動的に位置変更可能である、(24)に記載の椎間板インプラント。
(26)前記第一と第二の椎間要素間に設置されるポリマー部材を更に含む、(1)〜(25)の何れか1に記載の椎間板インプラント。
(27)前記第一と第二の椎体間要素の各々は、少なくとも部分的に金属から作製され、前記ポリマー部材は前記第一と第二の椎間要素間の金属−金属接触を縮小させ、又は排除するために有効である、(26)に記載の椎間板インプラント。
(28)シャフトと、前記シャフトに設置された操作具と、その中に前記操作具が設置される空洞を画定する試行用インプラントとを含む手術器具において、前記試行用インプラントは、椎間腔内に適合するような構成と寸法をとっており、前記操作具は2つの隣接する骨構造に窩洞を形成するように適合されている手術器具。
(29)前記操作具は少なくとも2つの位置間で移動されるように適合されており、前記少なくとも2つの位置のうちの一方において、前記操作具の少なくとも一部が前記試行用インプラントから外側に延びる、(28)に記載の手術器具。
(30)前記試行用インプラントは、その第一と第二の面に開口部を画定し、前記操作具は、少なくとも部分的に前記第一と第二の開口部を通って延びる動作位置に移動するように適合されている、(28)又は(29)に記載の手術器具。
(31)前記シャフトの遠位端に画定された突起と、前記試行用インプラントに画定された、前記突起を受けるための、それと協働する穴と、を更に含む、(28)〜(30)の何れか1に記載の手術器具。
(32)脊椎インプラントにおいて、前記インプラントの前方運動を防止するため、骨構造に画定された窩洞と協働する隆起特徴物を画定する脊椎インプラント。
(33)手術方法において、手術器具の動作部を椎間腔内に設置するステップであって、前記手術器具が長いシャフトと少なくとも1つの骨切削要素を含むようなステップと、骨切削器具の前記シャフトを回転させて、骨の終板に窩洞を形成するように前記少なくとも1つの骨切削要素を作動させるステップと、前記手術器具の前記動作部を前記椎間腔から取り外すステップと、前記少なくとも1つの骨切削要素によって形成された前記窩洞と嵌合する隆起特徴部を有するインプラントを挿入するステップとを含む方法。
(34)前記手術器具の前記動作部を、前記少なくとも1つの骨切削要素が閉鎖又は保護位置にある状態で、前記椎間腔内に設置するステップと、前記椎間腔内で、前記少なくとも1つの骨切削要素を前記閉鎖又は保護位置から開放又は動作位置へと移動させるステップとを更に含む、(33)に記載の方法。
(35)前記骨切削器具の前記骨切削要素は、前記椎間腔内で試行用インプラントの両面に作用するように適合されている、(33)又は(34)に記載の方法。
(36)前記骨の前記終板から除去された骨材料を、後に使用するために回収するステップを更に含む、(33)〜(35)の何れか1に記載の方法。
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