(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663676
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】廃自動車ガラスの分離装置
(51)【国際特許分類】
B62D 67/00 20060101AFI20150115BHJP
B23P 19/04 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
B62D67/00
B23P19/04 K
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-558803(P2013-558803)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公表番号】特表2014-508073(P2014-508073A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】KR2012011636
(87)【国際公開番号】WO2013122322
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2013年4月8日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0016630
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0155129
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513086544
【氏名又は名称】リサーチ コーポレーション ファウンデーション、ヨンナム ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー、ファ チョ
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05953802(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第02170851(GB,A)
【文献】
特表2002−503558(JP,A)
【文献】
特開2000−344161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 67/00
B23P 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃自動車10のセンターピラー12(center pillar)またはシート14に配置される支持部100;
一側は前記支持部100に連結され、他側はフロントガラス16またはリアガラス18の内側に密着してフロントガラスまたはリアガラスを押圧する押圧部200;及び
前記押圧部200に連結され、前記押圧部200に駆動力を伝達する駆動部300;を含み、
前記押圧部200は一側が前記支持部100に設置されるシリンダー210を含み、前記シリンダー210は前記駆動部300からの空圧または油圧の伝達によって駆動され、
前記シリンダー210はハウジング211と前記ハウジング211から押し出されるかまたは引き込まれるシリンダーロッド213でなり、前記シリンダーロッド213と前記フロントガラス16またはリアガラス18の間には押圧プレート部400が配置され、
前記押圧プレート部400はフロントガラス16またはリアガラス18に接触する押圧プレート410を含み、前記押圧プレート410はシリンダーロッド213によって押圧され、
前記押圧プレート410の後面には支持フレーム420が配置され、前記支持フレーム420には前記シリンダーロッド213が結合され、前記シリンダーロッド213が支持フレーム420を押圧する場合、前記支持フレーム420は前記シリンダーロッド213の圧力を前記押圧プレート410に分配し、
前記支持フレーム420の一側には前記シリンダーロッド213の末端が挿入される定着孔421が形成されることを特徴とする、廃自動車ガラスの分離装置。
【請求項2】
前記押圧プレート410には吸着具430が結合されることで、前記押圧プレート410をフロントガラス16またはリアガラス18に仮固定させることを特徴とする、請求項1に記載の廃自動車ガラスの分離装置。
【請求項3】
前記押圧プレート410の中央部は前方に突出した弧状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の廃自動車ガラスの分離装置。
【請求項4】
前記押圧プレート410はフロントガラス16またはリアガラス18の外周の形状に対応する形状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の廃自動車ガラスの分離装置。
【請求項5】
廃自動車10のセンターピラー12(center pillar)またはシート14に配置される支持部100;
一側は前記支持部100に連結され、他側はフロントガラス16またはリアガラス18の内側に密着してフロントガラスまたはリアガラスを押圧する押圧部200;及び
前記押圧部200に連結され、前記押圧部200に駆動力を伝達する駆動部300;を含み、
前記押圧部200は一側が前記支持部100に設置されるシリンダー210を含み、前記シリンダー210は前記駆動部300からの空圧または油圧の伝達によって駆動され、
前記シリンダー210は前記支持部100の相異なる位置に複数が設置され、複数のシリンダーのいずれか一つのシリンダーの圧力が減少する場合、前記駆動部300は他のシリンダーの圧力を増加させることを特徴とする、廃自動車ガラスの分離装置。
【請求項6】
前記複数のシリンダー210の圧力がいずれも減少する場合、前記駆動部300は作動を中断させることを特徴とする、請求項5に記載の廃自動車ガラスの分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体廃棄物の分離装置に係り、より詳しくは廃自動車のフロントガラスの分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車保有台数の増加につれて廃車処理は深刻な社会問題として台頭しており、廃棄物の量を減らす方案が切実に要求されている。
【0003】
一般的な廃自動車処理はプレスを用いて車体を圧縮することで体積を最小化させる程度であり、このように圧縮された車体は製鉄所などでリサイクルされて再使用されているが、圧縮された車体には鉄のような金属だけでなく車体に付着した各種材質、例えばガラスやその外の材質が混在しているため、リサイクルに相当な困難さがある。
【0004】
特に、廃自動車に付着した各種のガラスは自動車ボディーの体積縮小のために圧縮させる過程で粉砕及び圧縮される車体内に残存し、鉄の溶解の際に収率を低下させる要因として作用する。
【0005】
したがって、車体に付着した各種のガラスを分離する必要があるが、ガラスを車体から分離する過程が手作業で行われるため、煩わしいという問題があった。
【0006】
また、ガラスを分離するために、ガラスと車体の間に形成されたモールディングを除去しなければならないが、モールディングの除去が容易でなくて所要時間及び費用が増加することになる問題があるため、これに対する改善が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、廃自動車に付着したフロントガラス及びリアガラスを自動で分離することができる廃自動車ガラスの分離装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、モールディングを除去しないようにフロントガラス及びリアガラスを分離することができる廃自動車のフロントガラスの分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置は、廃自動車のセンターピラーまたはシートに配置される支持部と、一側は前記支持部に連結され、他側はフロントガラスまたはリアガラスの内側に密着してフロントガラスまたはリアガラスを押圧する押圧部と、前記押圧部に連結され、前記押圧部に駆動力を伝達する駆動部とを含んでなる。
【0010】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧部は、一側が前記支持部に設置されるシリンダーを含み、前記シリンダーは前記駆動部からの空圧または油圧の伝達によって駆動されることが好ましい。
【0011】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置のシリンダーは、ハウジングと前記ハウジングから押し出されるかまたは引き込まれるシリンダーロッドでなり、前記シリンダーロッドと前記フロントガラスまたはリアガラスの間には押圧プレート部が配置されることが好ましい。
【0012】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧プレート部は、フロントガラスまたはリアガラスに接触する押圧プレートを含み、前記押圧プレートはシリンダーロッドによって押圧されることが好ましい。
【0013】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧プレートの後面には支持フレームが配置され、前記支持フレームには前記シリンダーロッドが結合され、前記シリンダーロッドが支持フレームを押圧する場合、前記支持フレームは前記シリンダーロッドの圧力を前記押圧プレートに分配することが好ましい。
【0014】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧プレートには吸着具が結合されることで、前記押圧プレートをフロントガラスまたはリアガラスに仮固定させることが好ましい。
【0015】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧プレートの中央部は前方に突出した弧状に形成されることが好ましい。
【0016】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の押圧プレートはフロントガラスまたはリアガラスの外周の形状に対応する形状に形成されることが好ましい。
【0017】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の支持フレームの一側には前記シリンダーロッドの末端が挿入される定着孔が形成されることが好ましい。
【0018】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置のシリンダーは前記支持部の相異なる位置に複数が設置され、複数のシリンダーのいずれか一つのシリンダーの圧力が減少する場合、前記駆動部は他のシリンダーの圧力を増加させることが好ましい。
【0019】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置の前記複数のシリンダーの圧力がいずれも減少する場合、前記駆動部は作動を中断させることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明による廃自動車のフロントガラスの分離装置の効果は次のようである。
【0021】
第一、本発明によれば、廃自動車に付着したフロントガラス及びリアガラスを自動で分離することができるので、フロントガラスの分離が煩わしくないという利点がある。
【0022】
第二、本発明によれば、モールディングを除去する必要がないので、フロントガラス及びリアガラスの分離にかかる時間と費用が節減されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による廃自動車ガラスの分離装置の使用状態を示す側面図である。
【
図2】
図1に示した廃自動車ガラスの分離装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示した押圧プレート部の平面図である。
【
図4】
図3に示した押圧プレート部とシリンダーが結合された状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の他の一実施例による押圧プレート部とシリンダーが結合された状態を示す側面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施例による廃自動車ガラスの分離装置の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による廃自動車ガラスの分離装置は、廃自動車のセンターピラーまたはシートに装着される支持部と、一側は支持部に連結され、他側はフロントガラスまたはリアガラスの内側に密着してフロントガラスまたはリアガラスを押圧する押圧部と、押圧部に連結されて押圧部に駆動力を伝達する駆動部とからなる。
【0025】
以下、図面を参照して本発明による廃自動車ガラスの分離装置について具体的に説明する。
【0026】
図1は本発明による廃自動車ガラスの分離装置の使用状態を示す側面図である。
図2は
図1に示した廃自動車ガラスの分離装置の斜視図である。
図3は
図1に示した押圧プレート部の平面図である。
図4は
図3に示した押圧プレート部とシリンダーが結合された状態を示す側面図である。
【0027】
従来には、廃自動車に付着したガラスの場合、手作業で分離して処理したが、処理が煩わしく、これにかかる費用及び時間が増加する問題があったが、本発明による廃自動車ガラスの分離装置は、廃自動車10のシート14に装着される支持部100、フロントガラス16を押圧する押圧部200、及び押圧部200に駆動力を伝達する駆動部300で構成され、駆動部300が駆動される場合、自動でフロントガラス16を押圧して分離させることができる。
【0028】
このような廃自動車ガラスの分離装置の支持部100は、
図1及び
図2に示したように、押圧部200が設置されるもので、廃自動車10にシート14が設置されている場合にはシート14に配置されてフロントガラス16を分離させるが、シート14が除去された場合には支持部100が廃自動車10の底面に装着され、センターピラー12に支持された状態でフロントガラス16を分離させるようになる。
【0029】
ここで、センターピラー12は車両の車体と屋根を連結する柱の中で、1列シートのドアと2列シートのドアの間に位置する柱を意味する。
【0030】
押圧部200はフロントガラス16を押圧するもので、一側は支持部100に連結され、他側はフロントガラス16に連結され、駆動部300の駆動の際、フロントガラス16を押圧して分離させる。
【0031】
このような押圧部200は、一側が支持部100に設置されるシリンダー210を含んでなることができ、シリンダー210は油圧または空圧によって移動することができるようにすることが好ましく、シリンダー210と支持部100は、
図2に示したように、軸によって相互に連結されることで、支持部100に結合された軸を中心に時計方向または反時計方向に回転することができるように構成して、廃自動車のガラスと当接する部分を選択することができる。
【0032】
シリンダー210をより具体的に説明すれば、
図2のように、シリンダー210は、支持部100に結合されるハウジング211と、ハウジング211から押し出されるかまたは引き込まれるシリンダーロッド213とからなり、廃自動車ガラスを分離させる場合、ガラスシリンダーロッド213の末端を接触させ、駆動部300を駆動させて使用する。
【0033】
一般に、自動車のガラスは、使用者の保護のために、破損の際にガラス片が取れなくて付いているようにフィルムが備えられているので、シリンダーロッド213の末端の面積を増やしてシリンダーロッド213の力を分散させれば容易に分離可能であるが、力を直接受ける部分が損傷してガラスの一部だけを廃自動車から分離することができる。
【0034】
したがって、シリンダーロッド213とフロントガラス16の間には、
図3に示したように、押圧プレート部400が配置されることにより、フロントガラス16の全体またはフロントガラス16の角部が押圧できるようにすることが好ましい。
【0035】
図3を参照すれば、押圧プレート部400は、押圧プレート410と支持フレーム410を含んでなることができる。この際、押圧プレート410は分離しようとするフロントガラス16に対応する形状に形成されることが好ましい。
【0036】
支持フレーム420は押圧プレート410の後面に設置され、シリンダーロッド213で印加される力を押圧プレート410の全体に分配するもので、押圧プレート410とシリンダーロッド213が直接接触し、繰り返して力を加える場合、押圧プレート410に損傷が発生することができる。したがって、
図3のように、押圧プレート410に支持フレーム420を配置するのが好ましい。このような支持フレーム420は、シリンダーロッド213から受ける力を分散させるだけでなく押圧プレート410の剛性を増加させることもできる。
【0037】
本実施例による支持フレーム420は、
図3のように、互いに平行な一対の水平フレームと垂直フレームでなるが、押圧プレート410の剛性を増加させ、シリンダーロッド213から加わる力を分散させることができるいずれの形態にも構成されることができる。
【0038】
このような押圧プレート410を用いる場合、押圧プレート410を廃自動車のガラスに仮固定し、支持部100を廃自動車の1列シートに挿入した後、シリンダーロッド213の末端を押圧プレート410に固定して廃自動車のガラスを分離させる。このような過程で、シリンダーロッド213が押圧プレート410に固定される前まで作業者はフロントガラス16に押圧プレート410を仮固定させなければならないので、押圧プレート410にはガラスに付着される吸着具430を結合させることが好ましい。
【0039】
したがって、吸着具430を用いて押圧プレート410を廃ガラス16に固定させた後、シリンダーロッド213を押圧プレート410に固定させて廃自動車のガラスを分離させる。
【0040】
前述した押圧プレート410は多様な形状に形成できるが、一般的に自動車のフロントガラス16は前方に突出した弧状に形成されるので、押圧プレート410はこのようなフロントガラス16の形状に対応する形状に形成されることが好ましい。
【0041】
支持フレーム420の一側には、シリンダーロッド213の末端が挿入されて固定されることができるように定着孔421が形成されることが好ましい。定着孔421が形成されない場合、作業中にシリンダーロッド213の末端が支持フレーム420から離脱することができるので、定着孔421が形成されることが好ましい。
【0042】
本発明の他の一実施例による押圧プレート部とシリンダーが結合された状態を示す側面図である
図5を参照すれば、シリンダー210は支持部100の相異なる位置に複数が設置され、複数のシリンダーの中で一つのシリンダーの圧力が減少する場合、駆動部300は他のシリンダーの圧力を増加させることができるように構成することができる。
【0043】
図5の場合、垂直フレームと水平フレームが触れ合う部分にそれぞれシリンダー210が結合された実施例であり、初期にはそれぞれのシリンダー210に同一圧力が加わる場合であっても、一シリンダー210に近接したガラスの部分が他のシリンダーに近接したガラスの部分より先に分離される場合、一つのシリンダー210のシリンダーロッド213は他のシリンダー210のシリンダーロッド213より易しく伸張するので、一シリンダー210の圧力は他のシリンダー210に比べて減少するようになる。したがって、このようなそれぞれのシリンダー210の圧力変化を感知してどの部分のガラスが分離されたかが分かり、分離された部分に近接したシリンダー210ではなく、他のシリンダー210の圧力を増加させてより効果的にガラスを分離させることができる。
【0044】
また、複数のシリンダー210の圧力がいずれも減少する場合、ガラスが完全に分離されたと判断して駆動部300の作動を中断させることもできる。
【0045】
図1及び
図5を参照して説明した本発明による廃自動車ガラスの分離装置の場合、廃自動車10のフロントガラス16を基準として説明したが、本発明のさらに他の実施例による廃自動車ガラスの分離装置の使用状態を示す側面図である
図6のようにリアガラス18を分離させることに使うこともできる。
【0046】
この際、支持部100は2列シート14に装着させて使われ、押圧プレート410はリアガラス18に対応する形状に形成されることが好ましい。
【0047】
本明細書で説明した実施例及び添付図面は本発明の技術的思想の一部を例示的に説明するものに過ぎない。よって、本明細書で開示した実施例は本発明の技術的思想を限定するためのものではなく説明するためのものなので、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではないのは明らかである。本発明の明細書及び図面によって決められる技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することができる変形例及び具体的な実施例はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものに解釈されなければならないであろう。