(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持手段は、前記旋回支持シャフト(15)を収容するための実質的にU形の保持ヨーク(35)として構成されていることを特徴とする請求項1記載の盗難防止装置。
前記第1ハーフカラー(9a)は、前記旋回支持シャフト(15)を前記軸受(17)に挿入するための挿入ガイド(19b)を備えていることを特徴とする請求項1記載の盗難防止装置。
前記保持ヨーク(35)は、前記軸受(17)にアクセスするための開口部(19a)の少なくとも一部を閉塞する側面ブランチ(35a)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
前記保持手段は、前記軸受(17)の中に前記保持手段を圧入することにより、前記保持位置に保持されるようになっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
前記保持ヨーク(35)は、前記筐体(3)の部材(6)に形成されている対応するフック(39)と相互作用するように構成されているフック状部分(37)を有することを特徴とする請求項8または9と組み合わせた、請求項5〜7のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
前記保持ヨーク(35)は、その外壁に、前記第1ハーフカラー(9a)に形成されている少なくとも1つの相補的なクリップ切欠(45a、45b)と相互作用しうる少なくとも1つのクリップ片(43)を有することを特徴とする請求項8または9と組み合わせた請求項5〜7のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現状においては、このクランプによる取り付けには、相当に高価な取付手段を必要とする2つのハーフカラー同士を、頑丈に連結する必要がある。具体的には、ピンの取り付けには、この連結を行うために、機械的な圧入装置を使用する必要があり、また、相当な力を加えることが必要である。さらに、取り付けが困難であるため、実施する上でかなりの抵抗がある。
【0005】
さらに、盗難防止装置を取り付けたり、取り外したりする際に、容易に接近しうるようにすると、盗難防止装置を解錠するために、盗難防止機構を直接操作することが可能となり、従って、所有車両における盗難防止装置の非破壊性が大きく制約されることになる。
【0006】
従って、本発明の目的は、従来技術におけるこれらの欠点を軽減し、ステアリングコラムに取り付ける前に、2つのクランプハーフカラーが分離されるのを阻止する一方、取り付けが簡単で安価な盗難防止装置を、ステアリングコラムに手作業で取り付けることのできる、ステアリングコラムのための改善された盗難防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題は、自動車のステアリングコラム用盗難防止装置において、
−可動ボルトが設けられ、前記ステアリングコラムの回転を阻止するように構成される筐体と、前記可動ボルトの移動を制御する錠と、
−前記ステアリングコラムに装着しうるような形状を有し、かつ前記筐体に固定されている第1ハーフカラーと、第2ハーフカラーとを有し、
・前記第2ハーフカラーの第1端部は、前記ステアリングコラムの軸線と実質的に平行な軸線に沿って、前記第1ハーフカラーに枢着され、
・前記第2ハーフカラーの第2端部は、前記ステアリングコラムに取り付けられている前記第1ハーフカラーに、クランプ手段により装着されており、
−前記第1端部(11)に旋回支持シャフト(15)が支持されている前記第2ハーフカラー(9b)と、
−前記旋回支持シャフト(15)を支持する軸受(17)と、前記軸受(17)にアクセスするための開口部(19a)とを有する前記第1ハーフカラー(9a)と、
−前記ステアリングコラム(2)に取り付ける前に、前記第1ハーフカラー(9a)および前記第2ハーフカラー(9b)が偶発的に分離することを阻止するため、前記軸受(17)に、前記第1ハーフカラー(9a)の旋回支持シャフト(15)を保持する保持手段とを備え、
前記保持手段は、前記軸受(17)にアクセスするための前記開口部(19a)の少なくとも一部を閉鎖し、かつ前記旋回支持シャフト(15)を前記軸受(17)の第1ハーフカラー(9a)に保持するように構成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成により、前記2つのハーフカラーを連結するための面倒な取付手段は不要となり、前記旋回支持シャフトを前記軸受に、簡単かつ安価な手作業で、しっかりと挿入し、強固に連結させることができる。
【0009】
また、前記2つのハーフカラーは、前記ステアリングコラムの周りに、強固に取り付けられる前に、暫定的に固定される。
【0010】
また、この盗難防止装置は、次の特徴の1つ以上を、個々に、または、組み合わせて備えることができる。
−前記保持手段を、前記旋回支持シャフトを収容するための実質的にU形の保持ヨークとして構成する。
−前記第1ハーフカラーは、前記旋回支持シャフトを前記軸受に挿入するための挿入ガイドを備えている。
−前記保持手段は、保持位置に到達するため、前記軸受の中で並進可能となるように装着される。
−前記保持手段は、前記保持位置に到達するため、前記軸受の中で回転可能としうるように装着される。
−前記保持手段は、プラスチックまたは金属から形成される。
−前記保持ヨークは、前記軸受にアクセスするための前記開口部の少なくとも一部を閉塞する側面ブランチを有する。
−前記盗難防止装置は、前記保持位置において前記保持手段を固定させる固定手段を備えている。
−前記保持手段は、前記軸受の中に前記保持手段を圧入することにより、前記保持位置に保持されている。
−前記筐体は、前記保持手段に当接するようになっている固定手段を備えている。
−前記保持ヨークは、前記筐体に確実に装着されるボルトガイドに形成されている対応するフックと相互作用するように構成されたフック状の部分を有する。
−前記保持ヨークの外壁に、前記第1ハーフカラーに形成されている少なくとも1つの相補的なクリップ切欠と相互作用するための少なくとも1つのクリップ片を設けてある。
−前記保持ヨークは、前記軸受の中をスライドして、前記保持位置に到達するように装着されている。
【0011】
また、本発明は、盗難防止装置に保持ヨークを取り付ける方法において、
−前記旋回支持シャフトに前記保持ヨークを取り付けるステップと、
−前記保持ヨークおよび前記旋回支持シャフトによって構成される組立体を、前記軸受に取り付け、前記保持ヨークを前記第1ハーフカラーに配置するステップ
とを備えることを特徴としている。
【0012】
さらに本発明は、盗難防止装置に保持ヨークを取り付ける方法において、
−前記第1ハーフカラーの開口部と、前記保持ヨークの開口部とが一致するように、前記2つの側面ブランチによって区切られる前記保持ヨークの内部空間が、前記第1ハーフカラーの前記開口部に開口する開位置において、前記保持ヨークを、前記旋回軸線に実質的に平行な第1挿入軸線に沿って前記第1ハーフカラーに取り付けるステップと、
−前記旋回支持シャフトを、前記第1挿入軸線と実質的に直交する第2挿入軸線に沿って前記保持ヨークに取り付けるステップと、
−前記保持ヨークおよび前記旋回支持シャフトにより構成されている前記組立体を、前記保持ヨークの側面ブランチが、前記第1ハーフカラーの前記開口部の少なくとも一部を閉塞するまで、前記旋回軸線を中心に回転させるステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に基づく限定を目的としない以下の実施形態の説明から明らかとなると思う。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これらの図および以下の説明において、同一または同様な構成要素には、同一の符号を付してある。
【0016】
本発明は、ステアリングコラムを安全に使用するため、自動車のステアリングコラム(図示せず)に取り付けられるようになっている盗難防止装置に関する。
【0017】
図1は、盗難防止装置1の一実施形態を示す。この盗難防止装置1は、
−第1部分3aおよび第2部分3bを有する盗難防止体の筐体3と、
−第1部分3aに移動するように装着されるボルト5と、
−ボルト5の移動を制御するため、第2部分3bに回転するように装着される錠7とを備えている。
【0018】
ボルト5は、ステアリングコラム(図示せず)から離れている解錠位置と、ステアリングコラムの回転を阻止する施錠位置との間を移動するように装着されている。
【0019】
従って、ボルト5は、ボルトガイド6(
図2aに示す)を介して、筐体3の第1部分3aにスライドしうるように装着される。このように、解錠位置では、ボルト5は、ボルトガイド6の内部に完全に引き込まれた後方の保持位置にある。反対に、施錠位置では、ボルト5は、ステアリングコラムに適応して相互作用可能となるように、ボルトガイド6の端部6aに突出する。
【0020】
図2a、
図2b、
図3、
図5、
図6aおよび
図6bに示すように、クランプカラー9は、筐体3に装着され、筐体3をステアリングコラムに取り付けるため、ステアリングコラムの周りにクランプして装着されるように構成されている。もちろん、クランプカラー9を、筐体3の一部として一体に構成してもよい。
【0021】
例えば、金属シートを曲げて形成されているこのクランプカラー9は、ステアリングコラムのシャフトに嵌合しうるように、ステアリングコラムのシャフトの外径よりもわずかに大きい内径を有する。
【0022】
また、クランプカラー9は、第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bを有する。
【0023】
第1ハーフカラー9aは、筐体3に装着されるか、または、この筐体3と一体的に構成される。より具体的には、ボルト5およびボルトガイド6を組み込むことで、筐体3の第1部分3aと一体的に構成することができる。また、第2ハーフカラー9bは、第1ハーフカラー9aに連結される。このため、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bは、対応する形状を有する。
【0024】
第2ハーフカラー9bは、第1ハーフカラー9aにそれぞれ連結される第1端部11および第2端部13を有している。
【0025】
第1端部11は、ステアリングコラムの軸線と実質的に平行な旋回軸線A1に沿って、第1ハーフカラー9aに枢着されている。
【0026】
第1ハーフカラー9aと第2ハーフカラー9bとの間を関節でしっかりと連結するため、第2ハーフカラー9bの第1端部11に、旋回支持シャフト15が支持されている。
【0027】
この目的のため、第2ハーフカラー9bの第1端部11を、例えば、ピンの形状を有する旋回支持シャフト15を収容する筐体に形成することができる。
【0028】
変形例として、旋回支持シャフト15は、例えば、第2ハーフカラー9bの第1端部11を巻き付けることにより、第2ハーフカラー9bと一体としてもよい。
【0029】
図2aおよび
図5に示す他の変形例として、旋回支持シャフト15と一体に構成されている第2ハーフカラー9bを、概ね、T形とし、その端部がシャフトとして機能するようにすることができる。
【0030】
この旋回支持シャフト15は、第1ハーフカラー9aに設けられた軸受17と相互作用する。軸受17は、第2ハーフカラー9bの第1端部11に対向して配置されている第1ハーフカラー9aの側面21に設けられている。
【0031】
また、第1ハーフカラー9aのこの側面21には、第1ハーフカラー9aに設けられている軸受17の中に旋回支持シャフト15を挿入できるように、第2ハーフカラー9bの第1端部11に対向して開口部19aが設けられている。従って、開口部19aは、第1ハーフカラー9aの開口端部につながっている。
【0032】
この開口部19aは、軸受17に旋回支持シャフト15を拘束する通路を構成している。換言すれば、開口部19aは、第1ハーフカラー9aの内側または外側に対する軸受17の通路を構成している。
【0033】
旋回支持シャフト15のための挿入ガイド19bを、第1ハーフカラー9aに設けることができる。具体的には、挿入ガイド19bは、開口部19aに設けられている。
【0034】
挿入ガイド19bは、例えば、図示のように、側面21に設けられている挿入スロットであり、旋回支持シャフト15を第1ハーフカラー9aに挿入するため、実質的に旋回支持シャフト15と平行な軸線A2に沿って延在している。
【0035】
さらに、旋回支持シャフト15は、実質的に旋回軸線A1と直交する挿入軸線Bに沿って、開口部19aから軸受17の中に挿入されている。
【0036】
第1実施形態においては、第1ハーフカラー9aは、おおむね、平行六面体の形状を有する旋回支持シャフト15のための挿入ハウジングを構成し、平坦な底部を有する軸受17に、前記第1ハーフカラー9aの開口部19aを介してアクセスすることができる。
【0037】
可能な第2実施形態においては、
図2bに示すように、軸受17は、第1ハーフカラー9aの軸受17に旋回支持シャフト15を装着するため、通路の端部に対応する軸受17の底部に、少なくとも1つの凹部17bを設けることができる。
【0038】
この凹部17bは、第1ハーフカラー9aに挿入された旋回支持シャフト15の最終位置にあり、第2ハーフカラー9bを第1ハーフカラー9aに締結したとき、軸受17の底部における旋回支持シャフト15の位置を定める。
【0039】
従って、凹部17bは、旋回支持シャフト15が挿入されるときに通る軸受17の直線面17aまで延在している。この凹部17bは、直線面17aが実質的に横切る方向において軸受17の直線面17aまで延在するため、軸受17は、通常、軸受17の内側から横方向に見た場合、L状である。
【0040】
「L」状であることにより、旋回支持シャフト15は、実質的に互いに直交する2つの方向に移動することができる。
【0041】
軸受17の一部である凹部17bは、開口部19aの軸線に実質的に直交する1つの軸線上に形成され、例えば、軸受17の直線面17aによって一端が終結する半円筒状を有している。
【0042】
さらに、旋回支持シャフト15を第1ハーフカラー9aの軸受17に容易に挿入させるため、
−第2ハーフカラー9bは、第2ハーフカラー9bの残りの部分よりも幅狭な側面部分27を有していてもよく、
−第1ハーフカラー9aは、凹部29の両側に2つの突出部31、33を構成するように、側面21に設けられた対応する幅の凹部29を有していてもよい。
【0043】
さらに、この盗難防止装置1は、ステアリングコラムに取り付ける前に、第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bが偶発的に分離されることを阻止するため、軸受17が面する第1ハーフカラー9aに、旋回支持シャフト15を保持する保持手段を備えている。従って、保持手段は、取り外し可能であり、ステアリングコラムの周りにクランプカラー9を取り付けるために、取り外すことができる。
【0044】
また、この保持手段は、軸受17の開口部19aのためのカバーとして機能する。
【0045】
この保持手段は、軸受17の開口部19aの少なくとも一部を閉塞するようになっている。従って、保持手段は、旋回支持シャフト15を軸受17に保持し、軸受17の開口部19aを介して、旋回支持シャフト15が取り外されることを確実に阻止する。
【0046】
換言すれば、前記保持手段は、全動作を妨げることなく、旋回支持シャフト15を軸受17に保持可能なようにして、軸受17に設けられている。このように、旋回支持シャフト15は、前記保持手段により、前記開口部19aの少なくとも一部が閉塞されているため、引き抜くことができない一方、軸受17において回転動作のみが可能である。
【0047】
保持手段は、例えば、第1側面ブランチ35aおよび第2側面ブランチ35bを有し、全体として実質的に「U」状の保持ヨーク35である。
【0048】
保持ヨーク35は、旋回支持シャフト15を跨ぎ、その第1側面ブランチ35aおよび第2側面ブランチ35bは、旋回支持シャフト15の両側に位置している。
【0049】
一方の第2側面ブランチ35bは、旋回支持シャフト15に対して、第1ハーフカラー9aの内側に配置され、他方の第1側面ブランチ35aは、旋回支持シャフト15に対して第1ハーフカラー9aの外側に配置されている。
【0050】
第1側面ブランチ35aは、開口部19aを閉塞し、旋回支持シャフト15が第1ハーフカラー9aから偶発的に外れるのを阻止している。
【0051】
他の実施形態として、保持手段を、旋回支持シャフト15の内側に広がる部分を有することなく、少なくとも一部が開口部19aを閉塞する部分を有するものとしてある。
【0052】
この実施形態によれば、保持手段は、少なくとも1つのブランチが開口部19aを閉塞し、他のブランチが、第1ハーフカラー9aに対する外側および内側間の旋回支持シャフト15を覆う「L」状を有している。
【0053】
また、ある実施形態では、保持手段は、少なくとも一部が開口部19aを閉塞する位置にある部分を有するものとされる。これにより、開口部19aの周縁部に保持部分を構成することができる。
【0054】
これらの2つの第1側面ブランチ35aおよび第2側面ブランチ35bによって区切られている内部空間Eは、旋回支持シャフト15を収容する筐体を構成している。
【0055】
この保持ヨーク35は、第1側面ブランチ35aが開口部19aを閉塞する保持位置における軸受17に配置されている。この場合、旋回支持シャフト15は、これ以上、開口部19aを介して軸受17から取り外すことができない。
【0056】
保持ヨーク35は、軸受17の並進、または、他の選択として、軸受17の回転により、この保持位置に到達させることができる。
【0057】
図2a、
図2bおよび
図3に示す第1実施形態によれば、保持ヨーク35を、旋回支持シャフト15を軸受17に挿入する挿入軸線Bに沿って軸受17に装着させることができる。
【0058】
選択的な一実施形態によれば、先ず、保持ヨーク35を軸受17に挿入し、次いで、保持ヨーク35を保持位置に配置する前に、例えば、第2ハーフカラー9bを回転させ、旋回支持シャフト15を保持ヨーク35に挿入することができる。
【0059】
図示した例において、準備として、先ず、旋回支持シャフト15を保持ヨーク35に挿入し、次いで、保持ヨーク35および旋回支持シャフト15で構成される組立体を、挿入ガイド(挿入スロット)19bを介して軸受17に挿入する。
【0060】
この組立体をこのようにして取り付けたとき、挿入ガイド(挿入スロット)19bの開口部19aは、第1側面ブランチ35aによって閉塞され、旋回支持シャフト15は軸受17に固定される。
【0061】
保持ヨーク35は、保持ヨーク35が保持位置に固定され、保持ヨーク35が偶発的に取り外され、その結果として旋回支持シャフト15が取り外されるのを阻止することを保証するため、軸受17に圧入することができる。この場合、保持ヨーク35は、軸受17内に確実に固定されるような圧力を保持する。
【0062】
安全性を付加するため、保持ヨーク35を固定する付加的手段を設けることができる。
【0063】
例えば、ボルトガイド6は、保持ヨーク35を軸受17の保持位置に保持させるため、筐体3に取り付けるときに、圧力により保持ヨーク35を固定することができる。この場合、ボルトガイド6は、保持ヨーク35の固定手段を構成する。
【0064】
安全性をより高めるため、保持ヨーク35の固定手段として、追加の手段を設けることができる。
【0065】
保持ヨーク35を筐体3に取付けたとき、例えばボルトガイド6により、保持ヨーク35を軸受17内で動かないように保持位置とすることができる。これによりボルトガイド6は、保持ヨーク35を動かないように保持する手段となる。筐体3の他の個所または要素をもって、保持ヨーク35を動かないようにする手段を形成することも、当然可能である。
【0066】
従って、保持ヨーク35は、
図4a、
図4bに示すように、第2側面ブランチ35bからボルトガイド6に向かって、旋回軸線A1と直交して延在する第3側面ブランチ35cを備えている。
【0067】
さらに、例えば、ボルトガイド6を、保持ヨーク35を筐体3または筐体3の他の部品に連結するための手段として設けることができる。
【0068】
従って、第3側面ブランチ35cは、この実施形態では、ボルトガイド6に設けられる対応するフック39と相互作用する実質的にフックの形状の端部37を有する。
【0069】
このように、保持ヨーク35が軸受17の保持位置に配置すると、フック形状端部37およびフック39が、保持ヨーク35を固定し、例えば、クランプカラー9をステアリングコラムの周りに取り付ける前に、操作者による意図的な動作がない限り外れることがなくなる。
【0070】
代わりに、保持ヨーク35を、クリップさせることで保持位置に固定することができる。
【0071】
図5、
図6a、
図6b、
図7に示す第2実施形態においては、保持ヨーク35は、旋回支持シャフト15の挿入軸線Bと実質的に直交し、旋回軸線A1と実質的に平行である軸線Cに沿って、軸受17に取り付けることができる。
【0072】
従って、軸受17における第1ハーフカラー9aの側面21の上部には、保持ヨーク35のための挿入孔41が設けられている。この挿入孔41は、保持ヨーク35の形状に対応する円形である。
【0073】
この場合、保持ヨーク35および旋回支持シャフト15は、軸受17に別々に取り付けられる。
【0074】
挿入孔41は、軸受17における旋回支持シャフト15の凹部17bまたは最終位置のいずれかと同軸である。
【0075】
より具体的には、保持ヨーク35は、開位置における軸受17の中に挿入され、旋回支持シャフト15を続けて保持ヨーク35に挿入可能とするように、保持ヨーク35の内部空間Eが、軸受17の開口部19aに向けられている。
【0076】
この開位置において、保持ヨーク35の第1側面ブランチ35aおよび第2側面ブランチ35bが開口部19aを塞がないため、保持ヨーク35の開口部および軸受17の開口部19aは一致する。
【0077】
次いで、保持ヨーク35および旋回支持シャフト15によって構成される組立体を、旋回軸線A1の回りで矢印F方向(
図5)に旋回させることにより、第1側面ブランチ35aが軸受17の開口部19aを塞ぐため、保持ヨーク35が保持位置に配置される(
図6a、
図6b)。
【0078】
図7に示すように、保持ヨーク35は、旋回支持シャフト15の外形状を補完する内側形状を有し、第2ハーフカラー9bが旋回するとき、保持ヨーク35を保持位置に回転するため、旋回支持シャフト15が保持ヨーク35の側縁部36を押圧する。
【0079】
また、保持ヨーク35は、作業者が軸受17から取り外すため、保持ヨーク35の変形が容易となるように、第1側面ブランチ35aと第2側面ブランチ35bとの中間部を少ない材料で構成することができる。
【0080】
さらに、
図5に示すように、保持ヨーク35の外壁に、保持ヨーク35を保持位置にクリップさせる付加的な固定手段を構成するように、軸受17に設けられた対応するクリップ切欠45a、45bと相互作用するための少なくとも1つのクリップ片43を設けてもよい。
【0081】
この例では、保持ヨーク35は、同じ第2側面ブランチ35bに2つのクリップ片43を有する。第1のクリップ片43は、第2側面ブランチ35bの上部にあり、第2のクリップ片43は、第2側面ブランチ35bの底部にある。
【0082】
開位置(
図7)では、保持ヨーク35は、旋回支持シャフト15が保持ヨーク35に取り付けられることを許容するこの開位置に保持されるため、クリップ片43は、第1の対応するクリップ切欠45aに係合する。
【0083】
次いで、保持ヨーク35が保持位置まで回転すると、開位置に復帰させるための保持ヨーク35のいかなる偶発的な回転を阻止するように、各クリップ片43は、第2の対応するクリップ切欠45b(
図6b)と係合する。従って、保持ヨーク35がこの保持位置にある一方、旋回支持シャフト15は、軸受17から引き抜くことができない。
【0084】
従って、盗難防止装置1がまだステアリングコラムに取り付けられていない場合、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bは、軸受17の中に圧入されるか、または付加的手段、例えば、係合手段またはクリップ手段によって保持された保持ヨーク35を最初に取り外さない限り、分離させることができない。
【0085】
盗難防止装置1の筐体3とクランプカラー9との組立は、次のようにして行われる。
【0086】
筐体3の部品の全てを、組み立て、筐体3の中に挿入する。第1ハーフカラー9aを、筐体3に装着する。保持ヨーク35および第2ハーフカラー9bの第1端部11によって支持されている旋回支持シャフト15を、上述した第1実施形態または第2実施形態に係る第1ハーフカラー9aに連結された軸受17に挿入する。次いで保持ヨーク35を、旋回支持シャフト15を軸受17に保持させるため、保持位置に配置する。
【0087】
このように、手作業により組み立てられた盗難防止装置1は、ステアリングコラムに取り付けるため、第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bが偶発的に分離するおそれもなく、移動操作させることができる。
【0088】
さらに、盗難防止装置1をステアリングコラムに取り付けると、第2ハーフカラー9bの第2端部13は、クランプ手段、例えば、第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bのそれぞれに設けられているねじ孔47と相互作用するねじを用いて、第1ハーフカラー9aに装着される。
【0089】
この場合、第2ハーフカラー9bに加えられる力は、旋回支持シャフト15が軸受17に確実に保持されるようにする。このように、盗難防止装置1をステアリングコラムに取り付けると、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bは、クランプ手段を取り外さない限り、分離させることができなくなる。
【0090】
ステアリングコラムに対する盗難防止装置1の取り付けは、次のようにして行われる。まず、第1ハーフカラー9aをステアリングコラムの周りに配置し、次いで、第2端部13が第1ハーフカラー9aに面するように、第2ハーフカラー9bを旋回させる。これにより、第2ハーフカラー9bは、第1ハーフカラー9aにクランプして装着される。
【0091】
盗難防止装置1をステアリングコラムに取り付けたとき、旋回支持シャフト15が軸受17に保持されるため、軸受17は、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bがクランプすることによって生じる力に対抗する。
【0092】
従って、ステアリングコラムにクランプすることで生じる力に対抗するため、また、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bをステアリングコラムに取り付ける前の分離状態とすることを阻止する一方、侵入の試みに対して抵抗するため、この盗難防止装置は、2つの第1ハーフカラー9aおよび第2ハーフカラー9bの連結を強固にすることが分かると思う。
【0093】
このステアリングコラムのための盗難防止装置は、2つのクランプハーフカラーが、ステアリングコラムに取り付けられる前の分離状態となることを阻止する一方、簡単で安価な手作業によって、ステアリングコラムに取り付けることができるので有益である。