特許第5663722号(P5663722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663722
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】粒子光学部品
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/141 20060101AFI20150115BHJP
   H01J 37/145 20060101ALI20150115BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H01J37/141 A
   H01J37/145
   H01J37/28 B
【請求項の数】48
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2008-542650(P2008-542650)
(86)(22)【出願日】2006年11月28日
(65)【公表番号】特表2009-517816(P2009-517816A)
(43)【公表日】2009年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2006011413
(87)【国際公開番号】WO2007060017
(87)【国際公開日】20070531
【審査請求日】2009年10月1日
(31)【優先権主張番号】60/740,581
(32)【優先日】2005年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】508070345
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル, エルティーディー.
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニッペルマイヤー、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト、ステファン
【審査官】 田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−225936(JP,A)
【文献】 特開昭59−078434(JP,A)
【文献】 特開2002−134051(JP,A)
【文献】 特開昭57−019947(JP,A)
【文献】 特開2005−251440(JP,A)
【文献】 特開平09−171791(JP,A)
【文献】 国際公開第98/013854(WO,A1)
【文献】 特表2004−534360(JP,A)
【文献】 特開2000−348658(JP,A)
【文献】 米国特許第03394254(US,A)
【文献】 特開平06−110397(JP,A)
【文献】 特開平10−208680(JP,A)
【文献】 特開昭57−118357(JP,A)
【文献】 特開2002−056794(JP,A)
【文献】 特開2005−236061(JP,A)
【文献】 特表2002−507045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00− 37/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子光学検査システムであって、
対称軸に関して実質的に回転対称である第1の磁極片及び第2の磁極片であって、前記第1の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、前記第1及び第2の磁極片は、互いに電気的に絶縁されている、第1の磁極片及び第2の磁極片と、
前記第1の間隙の領域に集束磁界を生成するための第1の励磁コイルと、
前記第1の磁極片の前記半径方向内端部によって形成される穴を通って延びるビーム管と、
前記ビーム管に電圧を供給するための第1の電圧源と
を含む対物レンズ装置を含み、
前記粒子光学検査システムは、少なくとも1つの磁界装置を含むビーム経路スプリッタ装置をさらに含み、
前記ビーム経路スプリッタ装置の前記少なくとも1つの磁界装置の下端は、物体平面から第1の距離を隔てて配置され、前記第1の励磁コイルの上端は、前記物体平面から第2の距離を隔てて配置され、前記第1の距離は、前記第2の距離よりも短く、
前記第1の磁極片の径方向における内側部分は、実質的に円錐状の形状を有し、前記半径方向内端部は、半径方向外端部よりも前記物体平面に近接して配置され、
前記少なくとも1つの磁界装置の前記下端は、前記第1の磁極片の前記内側部分によって形成された前記円錐内に配置されていることを特徴とする粒子光学検査システム。
【請求項2】
記少なくとも1つの磁界装置の前記下端が前記第1の磁極片の前記内側部分によって規定される空間内に配置されるように、前記対称軸に向かって延びている、請求項1に記載の粒子光学検査システム。
【請求項3】
前記第1の磁極片の前記内側部分によって形成された前記円錐は、約20°〜約70°の範囲の円錐開口角を有する、請求項に記載の粒子光学検査システム。
【請求項4】
対物レンズ装置であって、
物体平面に被処理物体を取り付けるための物体取付部であって、前記物体に電圧を供給するための電気コネクタを有する物体取付部と、
対称軸に関して実質的に回転対称である第1の磁極片及び第2の磁極片であって、前記第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されてこれらの間に第1の間隙を形成し、前記第2の磁極片は、前記第1の磁極片よりも前記物体取付部に近接しており、前記第1及び第2の磁極片は、互いに電気的に絶縁されている第1の磁極片及び第2の磁極片と、
前記第1の間隙に集束磁界を生成するための第1の励磁コイルと、
前記第1の磁極片の前記半径方向内端部によって形成される穴を通って延びるビーム管と、
前記ビーム管が接地電位よりも、少なくとも約15kV高くなるように、前記ビーム管に電圧を供給するための第1の電圧源と、
前記電気コネクタが接地されるか、又は、接地電位よりも、少なくとも0.1kV低くなるように、前記電気コネクタに電圧を供給するための第2の電圧源とを含むことを特徴とする対物レンズ装置。
【請求項5】
前記第1の電圧源は、前記ビーム管が接地電位よりも、少なくとも約30kV高くなるように、前記ビーム管に電圧を供給する請求項4に記載の対物レンズ装置
【請求項6】
前記第1の電圧源は、前記ビーム管が接地電位よりも、少なくとも約45kV高くなるように、前記ビーム管に電圧を供給する請求項5に記載の対物レンズ装置
【請求項7】
前記第2の電圧源は、前記電気コネクタが接地電位よりも、少なくとも約15kV低くなるように、前記電気コネクタに電圧を供給する請求項4〜6のいずれかに記載の対物レンズ装置
【請求項8】
前記第2の電圧源は、前記電気コネクタが接地電位よりも、少なくとも約30kV低くなるように、前記電気コネクタに電圧を供給する請求項7に記載の対物レンズ装置
【請求項9】
前記第2の電圧源は、前記電気コネクタが接地電位よりも、少なくとも約45kV低くなるように、前記電気コネクタに電圧を供給する請求項8に記載の対物レンズ装置
【請求項10】
前記第2の磁極片の電位が、前記電気コネクタの電位よりも、約0.1kV〜約10kV高くなるように、前記第2の磁極片に電圧を供給するための第3の電圧源をさらに含む、請求項4〜9のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項11】
前記第3の電圧源は、可変電圧源である、請求項10に記載の対物レンズ装置。
【請求項12】
前記ビーム管は、前記第1の磁極片から電気的に絶縁されている、請求項4〜11のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項13】
前記第1の磁極片は、実質的に接地電位に設定されている、請求項12に記載の対物レンズ装置。
【請求項14】
前記第2の磁極片に電圧を供給するための第3の電圧源をさらに含み、前記第3の電圧源は、前記電気コネクタ及び前記第2の磁極片に接続されている、請求項に記載の対物レンズ装置。
【請求項15】
前記第2の磁極片の前記半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成する半径方向内端部を有する第3の磁極片であって、前記第1の磁極片は、絶縁層によって前記第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁されている、第3の磁極片をさらに含む、請求項10に記載の対物レンズ装置。
【請求項16】
前記絶縁層は、前記第1の磁極片の外側部分と前記第2の磁極片の外側部分との間に設けられている、請求項15に記載の対物レンズ装置。
【請求項17】
前記第1の磁極片は、内側部材と外側部材とを含み、前記外側部材は、前記外側部分を含み、前記内側及び外側部材は、絶縁層によって互いに電気的に絶縁されている、請求項16に記載の対物レンズ装置。
【請求項18】
前記第1の磁極片の前記外側部材は、前記第1の励磁コイルを収容するように構成され、前記第1の磁極片の前記内側部材は、前記対称軸に向かって延びる実質的に円錐状の部分を含む、請求項17に記載の対物レンズ装置。
【請求項19】
前記第1の磁極片の前記内側部材は、前記ビーム管に隣接して配置され、かつ、前記ビーム管に電気的に接続されている、請求項17又は18に記載の対物レンズ装置。
【請求項20】
対物レンズ装置であって、
対称軸に関して実質的に回転対称であり、前記対物レンズ装置の物体平面の同じ側に配置された第2の磁極片及び第3の磁極片であって、前記第3の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成し、前記第2及び第3の磁極片は、互いに電気的に接続されている、第2の磁極片及び第3の磁極片と、
前記第2の間隙に磁界を生成するための第2の励磁コイルと、
前記第2の励磁コイルに励磁電流を供給するための第2の電源であって、実質的に接地電位にある第2の電源と、
前記第2の磁極片が前記第2の励磁コイルの電位に対して、約15kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給するための第3の電圧源とを含むことを特徴とする対物レンズ装置。
【請求項21】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第2の励磁コイルの電位に対して、20kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項20に記載の対物レンズ装置。
【請求項22】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第2の励磁コイルの電位に対して、25kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項21に記載の対物レンズ装置。
【請求項23】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第2の励磁コイルの電位に対して、30kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項22に記載の対物レンズ装置。
【請求項24】
前記対称軸に関して実質的に回転対称であり、前記対物レンズ装置の前記物体平面の前記第2及び第3の磁極片と同じ側に配置された第1の磁極片であって、前記第1の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の前記半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、
前記第1の磁極片は、前記第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁され、
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、約15kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に前記電圧を供給するようにさらに構成された、第1の磁極片と、
前記第1の間隙に磁界を生成するための第1の励磁コイルとをさらに含む、請求項20〜23のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項25】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、20kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に前記電圧を供給する請求項24に記載の対物レンズ装置。
【請求項26】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、25kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に前記電圧を供給する請求項25に記載の対物レンズ装置。
【請求項27】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、30kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に前記電圧を供給する請求項26に記載の対物レンズ装置。
【請求項28】
前記第2の励磁コイルに冷却媒体を供給するための冷却媒体源を有する冷却システムであって、前記冷却媒体源は、実質的に接地電位にある、冷却システムをさらに含む、請求項20〜27のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項29】
対物レンズ装置であって、
対称軸に関して実質的に回転対称であり、前記対物レンズ装置の物体平面の同じ側に配置された第2の磁極片及び第3の磁極片であって、前記第3の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成し、前記第2及び第3の磁極片は、互いに電気的に接続されている、第2の磁極片及び第3の磁極片と、
前記第2の間隙に磁界を生成するための第2の励磁コイルであって、絶縁ワイヤの複数の巻線を含み、前記第2及び第3の磁極片のうちの少なくとも1つに対して前記第2の励磁コイルを支持するために少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられている、第2の励磁コイルと、
前記第2の磁極片が前記第2の励磁コイルの電位に対して、約15kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給するための第3の電圧源とを含むことを特徴とする対物レンズ装置。
【請求項30】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記補償コイルの電位に対して、20kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項29に記載の対物レンズ装置。
【請求項31】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記補償コイルの電位に対して、25kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項30に記載の対物レンズ装置。
【請求項32】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記補償コイルの電位に対して、30kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項31に記載の対物レンズ装置。
【請求項33】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記補償コイルの電位に対して、45kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項32に記載の対物レンズ装置。
【請求項34】
前記対称軸に関して実質的に回転対称であり、前記対物レンズ装置の前記物体平面の前記第2及び第3の磁極片と同じ側に配置された第1の磁極片であって、前記第1の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の前記半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、
前記第1の磁極片は、前記第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁され、
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、約15kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に前記電圧を供給するようにさらに構成された、第1の磁極片と、
前記第1の間隙に磁界を生成するための第1の励磁コイルとをさらに含む、請求項29に記載の対物レンズ装置。
【請求項35】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、20kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項34に記載の対物レンズ装置。
【請求項36】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、25kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項35に記載の対物レンズ装置。
【請求項37】
前記第3の電圧源は、前記第2の磁極片が前記第1の磁極片の電位に対して、30kVを超える差を有する電位になるように、前記第2の磁極片に電圧を供給する請求項36に記載の対物レンズ装置。
【請求項38】
前記第2の励磁コイルに冷却媒体を供給するための冷却媒体源を有する冷却システムをさらに含む、請求項29〜37のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項39】
対物レンズ装置であって、
物体平面に被処理物体を取り付けるための物体取付部であって、前記物体に電圧を供給するための電気コネクタを有する物体取付部と、
対称軸に関して実質的に回転対称である第3の磁極片であって、前記対称軸に対して横方向に延びる第3の磁極片と、
前記第3の磁極片が前記電気コネクタの電位に対して、約0.1kV〜10kVの差を有する電位になるように、前記第3の磁極片に電圧を供給するための第3の電圧源と、
前記第3の磁極片から電気的に絶縁され、前記第3の磁極片と前記物体取付部との間に配置された遮蔽電極とを含み、
前記第3の磁極片は、前記物体取付部に対向する表面を有し、前記表面が前記物体平面と実質的に平行に延びている半径方向内側環状部を前記物体平面から第1の距離を隔てて有するとともに、前記表面が前記物体平面と実質的に平行に延びる半径方向外側環状部を前記物体平面から第2の距離を隔てて有し、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも大きく、
前記遮蔽電極は、内部開口を有し、前記第3の磁極片の前記内側環状部の半径方向外端部は、半径方向において前記遮蔽電極の前記内部開口内に配置されていることを特徴とする対物レンズ装置。
【請求項40】
前記遮蔽電極は、前記物体取付部の前記電気コネクタに電気的に接続されている、請求項39に記載の対物レンズ装置。
【請求項41】
前記遮蔽電極は、実質的に環状の形状を有し、前記対称軸は、前記環状の形状によって形成される内部開口を通過する、請求項39又は40に記載の対物レンズ装置。
【請求項42】
前記半径方向外側環状部は、前記物体平面に対して30°未満の角度で配置されている、請求項39に記載の対物レンズ装置。
【請求項43】
前記半径方向内側環状部は、前記物体平面に対して20°未満の角度で配置されている、請求項39または42に記載の対物レンズ装置。
【請求項44】
第2の磁極片をさらに含み、
前記第3の磁極片の半径方向内端部及び前記第2の磁極片の半径方向内端部は、これらの間に間隙を形成し、前記第2の磁極片は、前記第3の磁極片に面する表面を有する内側斜行部分を有し、前記第3の磁極片は、前記第2の磁極片に面する表面を有する斜行部分(angular portion)を有し、前記第3及び第2の磁極片の互いに面する表面は、40°未満の角度をそれらの間に形成している、請求項39、42または43に記載の対物レンズ装置。
【請求項45】
前記第3及び第2の磁極片の互いに面する表面は、35°未満の角度をそれらの間に形成している、請求項44に記載の対物レンズ装置。
【請求項46】
前記間隙は、実質的に半径方向の間隙である、請求項44または45に記載の対物レンズ装置。
【請求項47】
前記第2の磁極片は、半径方向内側部分を有し、前記第3の磁極片に面する前記表面は、前記第3の磁極片の前記内側環状部の前記第2の磁極片に面する前記表面に対して、約3°〜約35°の角度をなして配置されている、請求項44〜46のいずれかに記載の対物レンズ装置。
【請求項48】
対物レンズ装置であって、
物体平面に被処理物体を取り付けるための物体取付部と、
対称軸に関して実質的に回転対称である第1の磁極片及び第2の磁極片であって、前記第1の磁極片の半径方向内端部は、前記第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、前記第2の磁極片は、前記第1の磁極片よりも前記物体取付部に近接している、第1の磁極片及び第2の磁極片と、
前記第1の間隙に集束磁界を生成するための第1の励磁コイルと、
前記第1の磁極片の前記半径方向内端部によって形成される穴を通って延びるビーム管であって、前記穴は、前記穴の直径が最小直径である第1の平面から前記第1の磁極片の前面部が配置された第2の平面まで延び、前記前面部は、前記第1の磁極片の前記物体平面に最も近接して配置された部分であり、前記前面部における前記穴の直径は、前面直径であり、前記前面直径と前記最小直径との差は、約10mmよりも大きく、前記第1及び第2の平面間の距離は、約5mmよりも大きい、ビーム管と、
前記ビーム管が前記第2の磁極片の電位と異なる電位になるように、前記ビーム管に電圧を供給するための第1の電圧源とを含むことを特徴とする対物レンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子光学システムにおいて用いられる対物レンズ装置に関する。また、本発明は、粒子光学ビームシステム及び粒子光学検査システムに関する。
【0002】
本発明は、電子、陽電子、ミュー粒子、イオン(荷電原子又は分子)などのような任意のタイプの荷電粒子に適用され得る。
【背景技術】
【0003】
より小さく複雑な微細構造デバイスに対する需要の高まり及びその製造・検査プロセスにおけるスループットの向上に対する継続的な要求が、単一の荷電粒子ビームの代わりに多数の荷電粒子ビームレットを用いる粒子光学システムを開発し、それによってこのようなシステムのスループットを大幅に向上させる誘因となっている。以下により詳細に述べるように、多数の荷電粒子ビームレットは、例えば、多孔アレイを用いる単一のカラム、多数の個別のカラム、又は両者の組み合わせによって形成され得る。多数のビームレットの使用は、顕微鏡やリソグラフィシステムといった粒子光学部品、装置及びシステムの設計の新たな課題の全般に関係している。
【0004】
米国特許第6,252,412号(特許文献1)から1つの従来の粒子光学システムが公知である。同特許に開示される電子顕微鏡装置は、半導体ウェハなどの物体を検査するために用いられる。複数の一次電子ビームが互いに平行に物体上に集束され、そこに複数の一次電子スポットを形成する。一次電子によって生成され、それぞれの一次電子スポットから発する二次電子が検出される。各一次電子ビームに対して別個の電子ビームカラムが設けられている。複数の別個の電子ビームカラムは、高密度に充填されている。物体上に形成される一次電子ビームスポットの密度は、電子顕微鏡装置を形成する電子ビームカラムの残すフットステップのサイズによって制限される。従って、物体上に同時に形成され得る一次電子ビームスポットの数もまた、実際には制限されており、その結果、表面積の大きい半導体ウェハを高分解能で検査する際の上記装置のスループットが制限される。
【0005】
米国特許第5,892,224号(特許文献2)、米国特許出願公開第2002/0148961号(特許文献3)、米国特許出願公開第2002/0142496号(特許文献4)、米国特許出願公開第2002/0130262号(特許文献5)、米国特許出願公開第2002/0109090号(特許文献6)、米国特許出願公開第2002/0033449号(特許文献7)、米国特許出願公開第2002/0028399号(特許文献8)から、被検査物体の表面上に集束される複数の一次電子ビームレットを用いる電子顕微鏡装置が公知である。上記ビームレットは、複数の開口が形成された多孔プレートによって生成され、多孔プレートの上流側には、多孔プレートに形成された開口を照射するための単一の電子ビームを生成する電子源が設けられている。多孔プレートの下流側には、開口を通過する電子ビームの電子によって複数の電子ビームレットが形成される。複数の一次電子ビームレットは、全ての一次電子ビームレットが通過する開口を有する対物レンズによって物体上に集束される。そして、一次電子スポットのアレイが物体上に形成される。各一次電子スポットから発する二次電子は、それぞれの二次電子ビームレットを形成し、これら複数の一次電子ビームスポットに対応する複数の二次電子ビームレットが生成される。複数の二次電子ビームレットも対物レンズを通過し、上記装置は、CCD電子検出器の複数の検出器ピクセルのそれぞれの1つに二次電子ビームレットのそれぞれを供給するように二次電子ビーム経路を形成する。二次電子ビーム経路を一次電子ビームレットのビーム経路から分離するためにウィーンフィルタが用いられている。
【0006】
複数の一次電子ビームレットを含む1つの共通の一次電子ビーム経路と、複数の二次電子ビームレットを含む1つの共通の二次電子ビーム経路が用いられているため、単一の電子光学カラムを用いることができ、物体上に形成される一次電子ビームスポットの密度は、この単一の電子光学カラムのフットステップのサイズによって制限されない。
【0007】
上記文献の実施の形態に開示される一次電子ビームスポットの数は、数十スポット程度である。物体上に同時に形成される一次電子ビームスポットの数によってスループットが制限されるため、より高いスループットを実現するためには一次電子ビームスポットの数を増加させることが望ましい。しかし、電子顕微鏡装置の所望の結像分解能を維持しつつ、これらの文献に開示される技術を用いて同時に形成される一次電子ビームスポットの数を増加させること、すなわち、一次電子ビームスポットの密度を増加させることは困難であることが分かっている。
【0008】
上記の電子についての記載は、他の荷電粒子にも同様に当てはまる。
【特許文献1】米国特許第6,252,412号
【特許文献2】米国特許第5,892,224号
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0148961号
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0142496号
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0130262号
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0109090号
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0033449号
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0028399号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、向上した粒子光学特性を有する対物レンズ装置及び粒子光学システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多数の荷電粒子ビームレットを用いる粒子光学システムに適用可能であるが、本発明は、多数のビームレットを用いるシステムへの適用に限定されず、荷電粒子の単一ビームのみを用いる粒子光学システムにも同様に適用可能である。
【0011】
第1の局面によれば、本発明は、物体平面及び対称軸を有する対物レンズ装置であって、対称軸に関して実質的に回転対称であり、物体平面の同じ側に配置された第1、第2及び第3の磁極片を含む対物レンズ装置を提供する。第1、第2及び第3の磁極片は、第1、第2及び第3の磁極片の半径方向内端部が、1つ又はそれ以上の荷電粒子ビームのビーム経路によって横切られる穴をそれぞれ規定するように対称軸に向かって延びている。第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されてこれらの間に第1の間隙を形成し、第3の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されてこれらの間に第2の間隙を形成している。
【0012】
上記対称軸は、対物レンズ装置が含まれる粒子光学システムの光軸に一般に一致するため、本明細書において、これら2つの用語は、同じ効果に対して用いられる。対物レンズ装置は、対称軸である場合も、そうでない場合もあり得る中心軸を有するものとして記載することができ、この中心軸は、対物レンズ装置が含まれるシステムの光軸に一般に一致し、従って、光軸という用語と同義に用いられる。
【0013】
第1の間隙の領域において磁界を生成するために第1の励磁コイルが設けられ、第2の間隙の領域において磁界を生成するために第2の励磁コイルが設けられている。第1の励磁コイルに励磁電流を供給するために第1の電源が設けられ、第2の励磁コイルに励磁電流を供給するために第2の電源が設けられている。第1及び第2の電源は、同じ電源の2つの部分であり得る。第1及び第2の電源は、第2の磁極片において第1の励磁コイルによって生成される磁束が、第2の磁極片において第2の励磁コイルによって生成される磁束と同じ方向か又は異なる方向に向くように、第1及び第2の励磁コイルに電流を供給して、励磁電流を生成するように構成されている。
【0014】
一般に、第1の励磁コイルは、第1及び第2の磁極片間に配置され、第2の励磁コイルは、第2及び第3の磁極片間に配置される。
【0015】
磁極片の形状、構成及び位置、励磁コイルの位置及び構成、並びに、励磁電流によっては、間隙の領域に生成される磁界は、異なる磁界強度及び異なる寸法を有し得る。例えば、磁界は間隙に近接する領域にわたってのみ延びている場合もあるし、あるいは物体平面にまで延びている場合もある。集束効果を実現するために検査光学システムにおいては、通常、磁気レンズが使用されるので、集束磁界は、良好な集束効果を達成し、物体平面の前での焦点ずれを防止し、粒子光学収差を回避するために、一般に、物体平面にまで延びている。
【0016】
本発明の第1の局面における対物レンズ装置により、第1の間隙の磁界が集束磁界を横切る1つ又はそれ以上の荷電粒子ビームに対して集束効果をもたらしつつ、第2の間隙に生成される磁界が第1の間隙から物体平面上の位置又は少なくともその付近まで延びる集束磁界を補償するように構成されるように、第1及び第2の間隙において磁界を調整することが可能となる。
【0017】
第1及び第2の間隙は、例えば、互いに対して角度をなして配置され得る。第1及び第2の半径方向間隙間に形成される角度は、例えば、10〜約170度の範囲にあってもよく、また、例えば、45〜135度又は60〜120度の範囲にあってもよい。すなわち、この例示的な実施の形態において、第1の間隙は、第2の間隙と対称軸との間に形成される角度と異なる角度で対称軸に対して配置されている。間隙間の角度を求めるため、間隙を形成するそれぞれの磁極片の半径方向内端部を結ぶ直線を用いて間隙を表してもよい。
【0018】
例示的な一実施の形態において、第1の間隙は、実質的に軸方向に向いている、すなわち、対称軸に対して実質的に平行に又は比較的に小さい角度をなし、従って、軸方向間隙を形成している。軸方向間隙は、間隙を形成する磁極片の半径方向最内端部が対称軸から同じ距離を有する必要があることを必ずしも意味せず、最内端部が対称軸から異なる距離を有する実施の形態、及び互いに最も近接して配置された磁極片の半径方向内端部上の点の間に形成された間隙が45°未満、例えば、30°未満又は15°未満の角度を対称軸に対して形成する実施の形態も含む。第2の間隙は、対物レンズ装置に対して実質的に半径方向に、すなわち、対称軸に直交して向き、従って、半径方向間隙を形成し得る。半径方向間隙は、最も近い距離(最も近い距離に沿った直線)によって磁極片の半径方向内端部間に規定される間隙が、対称軸に対して、約50°〜90°、例えば、対称軸に対して、約80°〜90°の角度をなして配置される実施の形態も含む。
【0019】
例示的な一実施の形態によれば、(第1の間隙に生成される)集束磁界は、物体平面上であってかつ光軸を中心とする領域における合計磁界が実質的にゼロになる程度まで第2の間隙に生成される磁界によって補償される。すなわち、補償磁界は、物体平面上の領域における集束磁界を実質的に打ち消す。
【0020】
このような構成により、対物レンズ装置の有利な結像特性を得ることが可能となる。特に、集束磁界によって生じる像の回転が、物体平面の付近において解消される。これにより、システムの全体的な性能を、特に、対物レンズ装置を用いて検査及び/又は処理される構造体に関して向上させることが可能となる。
【0021】
なかでも、第1の間隙が軸方向間隙であり、第2の間隙が半径方向間隙である実施の形態の構成は、特に有利である。なぜなら、磁極片を、第2の磁極片の半径方向内端部を物体平面に近接して配置し、物体平面の付近で集束磁界も生成されかつ配置されるようにすることができるからである。一方、第1の間隙の下端も規定する第2の磁極片の半径方向内端部間に半径方向間隙も形成されており、第3の磁極片により、半径方向間隙を第1の間隙に近接して配置すると共に、集束磁界を物体平面の付近に発生させて、物体平面のすぐ付近において磁界補償効果を実現することが可能となる。第2の間隙が半径方向に向いていることにより、対物レンズ装置の下流側に補償磁界を生成することも可能となるので、対物レンズ装置の内部の集束磁界に干渉を及ぼさず、従って、これによって得られる集束効果は損なわれない。このように、本実施の形態により、有利には、集束磁界の大部分が影響を受けないようし、物体平面上/付近で補償磁界を作用させることが可能となる。
【0022】
従って、例示的な実施の形態において、第3の磁極片の半径方向内端部及び第2の磁極片の半径方向内端部は、物体平面と実質的に平行に配置された同じ平面に実質的に配置されている。
【0023】
さらなる例示的な一実施の形態において、対物レンズ装置は、対称軸に関して実質的に回転対称である第4の磁極片であって、第4の磁極片と第1の磁極片との間に第3の間隙が形成され、第3の間隙は、物体平面から第1の間隙よりも大きい距離を隔てて配置された、第4の磁極片と、第3の間隙において調整磁界を生成するための第3の励磁コイルとをさらに含み得る。
【0024】
調整磁界は、集束磁界を、その強度、位置、寸法及びその他のパラメータに関して調整するために用いられ得る。調整磁界は、例えば、集束磁界強度を増加又は減少させるために用いられ得る。第4の間隙は、例えば、軸方向間隙であり得る。例えば、第4の磁極片の半径方向内端部は、対称軸から、第1の磁極片の半径方向内端部と対称軸との間の距離よりも大きい、これと等しい、あるいは小さい距離を隔てて配置され得る。
【0025】
磁極片は、例えば、第2及び第3の磁極片が互いに電気的に接続され、第1の磁極片が、第2及び第3の磁極片から絶縁層などによって電気的に絶縁されるように配置及び構成され得る。
【0026】
これらの例示的な実施の形態において、絶縁層は、第1の磁極片の外側円筒部又はこれと一体に形成された外側円筒部と、第2及び第3の磁極片によって形成されかつこれらを接続する実質的に円筒状のヨークとの間に設けられている。外側円筒部は、例えば、絶縁層も実質的に軸方向に延びるように、ヨーク及び対称軸の周囲にかつこれらと実質的に平行に延びていてもよい。さらに又はもしくは、第1の磁極片は、環状の実質的にディスク形あるいはディスク状部を含むか、又は、これと一体に形成された環状ディスク形あるいはディスク状部を含み得る。これらの例示的な実施の形態において、絶縁層は、第1の磁極片と一体に形成された外側環状ディスク形部と第2の磁極片の外側部分との間に設けられ得る。これらの例示的な実施の形態において、環状ディスク形あるいはディスク状部及び外側部分は、少なくともその一部にわたって平行な表面を有するように配置される。
【0027】
さらなる例示的な実施の形態において、第1の磁極片は、内側部材と外側部材と(すなわち、2つの別個の部分)を含み、内側及び外側部材は、絶縁層によって互いに電気的に絶縁されている、本明細書において、内側及び外側とは、対称軸からの半径方向距離、すなわち、対称軸に直交する平面における対称軸からの距離を意味する。このような例示的な実施の形態においては、第1の磁極片の外側部材と第2の磁極片外側部分との間に、さらなる絶縁層が設けられ得る。本発明に係る対物レンズ装置のこの例示的な実施の形態において、第1の磁極片の外側部材は、第1の励磁コイルを収容するように構成され得る。第1の磁極片の内側部材は、対称軸に向かって延びる実質的に円錐状の部分を含むか、あるいはこれで構成され得る。外側部材は、例えば、実質的に環状の形状を有し得る。
【0028】
第2の局面によれば、本発明は、物体平面及び対称軸を有する対物レンズ装置であって、対称軸に関して回転対称である第1及び第2の磁極片を含む対物レンズ装置を提供し、第1及び第2の磁極片の内端部は、1つ又はそれ以上の荷電粒子ビームのビーム経路によって横切られるように構成されたそれぞれの穴を規定している。第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されてこれらの間に(第1の)間隙を形成し、第2の磁極片は、物体平面に第1の磁極片よりも近接して配置されている。第1及び第2の磁極片は、互いに電気的に絶縁されている。第1の間隙において集束磁界を生成するために第1の励磁コイルが設けられており、ビーム管が、第1の磁極片の半径方向内端部によって形成される穴を通って延びている。
【0029】
第2の局面における対物レンズ装置は、被処理物体を当該物体が物体平面に配置されるように取り付けるための物体取付部をさらに含む。物体取付部は、被処理物体に電圧を供給するための電気コネクタを有する。
【0030】
本明細書において、「被処理物体」は、1つの荷電粒子ビーム又は複数の荷電粒子ビームレットによって検査、結像及び/又は操作される物体を含むと理解される。
【0031】
本発明の第2の局面における対物レンズ装置は、ビーム管が接地電位よりも約15kV以上高くなるように、ビーム管に電圧を供給するように構成された第1の電圧源をさらに含む。第2の電圧源が、電気コネクタが接地されるか又は接地電位よりも低くなるように、電気コネクタに電圧を供給するように設けられ、構成されている。例示的な実施の形態において、第2の電圧源は、電気コネクタが接地電位よりも約15kV以上低くなるように電圧を供給するように構成され得る。
【0032】
例示的な実施の形態において、本発明の第2の局面における対物レンズ装置は、第2の磁極片の電位が、電気コネクタの電位よりも、約0.1kV〜約10kV高くなるように、第2の磁極片に電圧を供給するように構成された第3の電圧源をさらに含む。第1〜第3の電圧源は、別個の電圧源であってもよく、又は同じ電圧源の一部であってもよい。
【0033】
このような構成により、例えば、対物レンズ装置を用いる電子顕微鏡システムの有利な光学特性を実現することができる。なぜなら、電子顕微鏡システムのビーム整形部品によって、特に高い運動エネルギーを有する一次電子ビームを生成することができ、ビームの一次電子は、物体平面のすぐ上で所望の運動エネルギーに減速され、一次電子間のクーロン相互作用が大幅に低減されるからである。また、物体平面に配置された物体と第2の磁極片との間に生成された電界は、物体から発する二次電子を加速させる。
【0034】
例示的な実施の形態において、第1又は第2の電圧源によって供給される電圧は、20kV、25kV、もしくは30kVと等しいか又はこれらより高く、例えば、45kVと等しいか又はこれより高い電圧を含み得る。
【0035】
第3の電圧源によって供給される電圧は、例えば、物体平面の真上の電界を正確に所望の値に調整することを可能にする可変電圧であってもよい。同様に、例示的な実施の形態において、第1及び/又は第2の電圧源は、可変電圧源であってもよい。
【0036】
例示的な一実施の形態において、ビーム管は、第1の磁極片から電気的に絶縁されている。
【0037】
さらなる例示的な実施の形態において、第1の磁極片は、実質的に接地電位にある。
【0038】
さらなる例示的な実施の形態によれば、第3の電圧源のコネクタの一方は第2の磁極片に接続され、コネクタの他方は、物体取付部の電気コネクタに接続されている。すなわち、第3の電圧源は、第2の磁極片及び電気コネクタの両方に接続されている。
【0039】
さらなる例示的な実施の形態において、第1の磁極片は、薄い絶縁層によって第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁されている。その有利な実施の形態において、第1の磁極片と、第2又は第3の磁極片との間には、大きい重なり領域が設けられている。すなわち、それぞれの磁極片の対向する表面が互いの付近に、好ましくは、互いに平行又はほぼ平行に配置されている大きな領域が設けられている。これにより、第1の磁極片と、第2及び第3の磁極片との間に十分な電気的絶縁を実現しつつ、第1の間隙において集束磁界を形成するための十分に低い磁気抵抗を維持することが可能となる。
【0040】
一般に、これらの例示的な実施の形態において、絶縁層は、第1の磁極片の外側部分と第2の磁極片の外側部分との間に設けられているのが好ましい。
【0041】
第1の磁極片が、一体に形成された外側円筒部を有する例示的な実施の形態において、絶縁層は、第1の磁極片の当該円筒部と第2の磁極片の外側部分との間に設けられているのが好ましい。
【0042】
第2の局面における対物レンズ装置のさらなる例示的な実施の形態において、対物レンズ装置は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成する半径方向内端部を有する第3の磁極片であって、第1の磁極片が、絶縁層によって第2及び第3の磁極片の両方から電気的に絶縁された、第3の磁極片をさらに含み得る。
【0043】
第1の局面における対物レンズ装置の実施の形態及び特徴は、第2の局面における対物レンズ装置に同様に適用することができる。
【0044】
さらなる例示的な実施の形態において、第1の磁極片は、内側部材と外側部材と(すなわち、2つの別個の部分)を含み、内側及び外側部材は、絶縁層によって互いに電気的に絶縁されている。この場合、外側部材は、一般に第2の磁極片の外側部分に面するように配置される磁極片の外側部分も含むことになる。例示的な実施の形態において、第1の磁極片の外側部材は、第1の励磁コイルを収容するように構成され、第1の磁極片の内側部材は、対称軸に向かって延びる実質的に円錐状の部分を含む。これらの実施の形態は、第1の磁極片の内側部材がビーム管に隣接して配置され、かつ、これと電気的に接続されている場合に、特に有利である。
【0045】
第1の磁極片を内側部材と外側部材とに分割し、内側部材と、内側部材によって形成される穴を通って延びるビーム管とを電気的に接続することは、ビーム管への電力供給が容易になるという利点を有する。ビーム管自体に電気的配線を施すのではなく、電力は、磁極片の内側部材を介して供給され、電気的接続のためにより簡単に利用できる。さらに、第1の磁極片を2つの部材に分割し、これら2つの部材を互いに電気的に絶縁することにより、クリープ電流などを防止するためにより複雑なレイアウトを必要としがちである電気絶縁層をビーム管と第1の磁極片との間に設ける必要がなくなる。
【0046】
第3の局面において、本発明は、対物レンズ装置であって、第2の磁極片及び第3の磁極片であって、対称軸に関して実質的に回転対称であり、対物レンズ装置の物体平面の同じ側に配置され、第3の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成し、第2及び第3の磁極片は、互いに電気的に接続されている、第2の磁極片及び第3の磁極片と、第2の間隙において磁界を生成するための第2の励磁コイルと、第2の励磁コイルに励磁電流を供給するように構成された第2の電源であって、実質的に接地電位にある第2の電源と、第2の磁極片が第2の励磁コイルの電位に対して、約15kVを超える、特に、20kVを超える、特に、25kVを超える、特に、30kVを超える差を有する電位になるように、第2の磁極片に電圧を供給するように構成された第3の電圧源とを含む対物レンズ装置を提供する。
【0047】
単に、本明細書に記載される本発明の他の実施の形態及び局面の理解及び参照を容易にする目的で、本発明の本局面における対物レンズ装置の磁極片は、「第2」及び「第3」の磁極片(「第1」及び「第2」ではなく)として示され、同じことが電源の番号付けにも当てはまる。
【0048】
この構成において、第2の磁極片は、有利には、物体平面に近接する領域において電界を整形すると共に、高い電位にある第2の励磁コイルに励磁電流を供給するように電源を作動させることを防ぐために用いることができる。
【0049】
例示的な実施の形態において、本発明の第3の局面における対物レンズ装置は、第1の磁極片であって、対称軸に関して実質的に回転対称であり、対物レンズ装置の物体平面の第2及び第3の磁極片と同じ側に配置され、第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、第1の磁極片は、第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁され、第3の電圧源は、第2の磁極片が第1の磁極片の電位に対して、約15kVを超える、特に、20kVを超える、特に、25kVを超える、特に、30kVを超える差を有する電位になるように、第2の磁極片に電圧を供給するようにさらに構成された、第1の磁極片と、第1の間隙において磁界を生成するための第1の励磁コイルとをさらに含む。
【0050】
さらなる例示的な実施の形態によれば、第2の励磁コイルに冷却媒体を供給するための冷却媒体源を有する冷却システムが設けられている。有利には、冷却媒体源は、接地電位又はほぼ接地電位に設定され得る。冷却媒体は、例えば、水であってもよい。
【0051】
本発明の第4の局面によれば、対物レンズ装置であって、第2の磁極片及び第3の磁極片であって、対称軸に関して実質的に回転対称であり、対物レンズ装置の物体平面の同じ側に配置され、第3の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第2の間隙を形成し、第2及び第3の磁極片は、互いに電気的に接続されている、第2の磁極片及び第3の磁極片を含む対物レンズ装置が提供される。第4の局面における対物レンズ装置は、第2の間隙において磁界を生成するための第2の励磁コイルと、第2の磁極片が、補償コイルの電位に対して、約15kVを超える、特に、20kVを超える、特に、25kVを超える、特に、30kVを超える、特に、45kVを超える差を有する電位になるように、第2の磁極片に電圧を供給するように構成された第3の電圧源とをさらに含む。
【0052】
本発明の本局面における対物レンズ装置の第2の励磁コイルは、絶縁ワイヤの複数の巻線を含み、第2及び第3の磁極片のうちの少なくとも1つに対して第2の励磁コイルを支持するために少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられている。
【0053】
別個の巻線を形成するワイヤを囲む絶縁層とは異なるこのようなさらなる絶縁層により、第2の励磁コイル全体を第2及び第3の磁極片から効率的に絶縁し、第2の励磁コイルに適切な電流を供給するための電源を第2及び第3の磁極片の電位と異なる電位に保持することが可能となる。
【0054】
絶縁層は、例えば、セラミック材料又は注型樹脂から形成されていてもよい。
【0055】
単に、本明細書に記載される本発明の他の実施の形態及び局面の理解及び参照を容易にする目的で、本発明の本局面における対物レンズ装置の磁極片は、第3の局面と同様に、「第2」及び「第3」の磁極片(「第1」及び「第2」ではなく)として示される。このことは、電圧源にも同様に当てはまる。
【0056】
例示的な一実施の形態において、第4の局面における対物レンズ装置は、対称軸に関して実質的に回転対称であり、対物レンズ装置の物体平面の第2及び第3の磁極片と同じ側に配置された第1の磁極片であって、第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されて第1の間隙を形成し、第1の磁極片は、第2及び第3の磁極片から電気的に絶縁され、第3の電圧源は、第2の磁極片が第1の磁極片の電位に対して、約15kVを超える、特に、20kVを超える、特に、25kVを超える、特に、30kVを超える差を有する電位になるように、第2の磁極片に電圧を供給するようにさらに構成された、第1の磁極片と、第1の間隙において磁界を生成するための第1の励磁コイルとをさらに含む。
【0057】
第5の局面において、本発明は、対物レンズ装置であって、被処理物体を当該物体が対物レンズ装置の物体平面に配置されるように取り付けるための物体取付部であって、物体に電圧を供給するための電気コネクタを含む対物レンズ装置を提供する。対物レンズ装置は、本発明の他の局面の用語にしたがって第3の磁極片と呼ばれる磁極片をさらに含み、第3の磁極片は、対物レンズ装置の対称軸に関して実質的に回転対称であり、対称軸に対して実質的に横方向に延びている。以下において第3の電圧源と呼ばれる電圧源が、第3の磁極片が電気コネクタの電位に対して、約0.1kV〜約10kVの差を有する電位になるように、第3の磁極片に電圧を供給するように設けられ、構成されている。対物レンズ装置は、第3の磁極片と物体平面との間に配置され、第3の磁極片から電気的に絶縁された遮蔽電極をさらに含む。
【0058】
第3の磁極片に印加される電圧は、物体が処理される領域において物体の表面上に電界を生成する働きをする一方、遮蔽電極を設けることにより、処理されている領域の外側の物体の領域を当該電界から遮蔽することが可能になる。従って、この遮蔽効果により、物体に対する帯電作用を防止するかあるいは低減することができる。
【0059】
例示的な一実施の形態によれば、遮蔽電極は、物体平面と遮蔽電極との間の空間に実質的に電界が存在しないように、物体取付部の電気コネクタに電気的に接続されている。
【0060】
さらなる例示的な実施の形態によれば、遮蔽電極は、内部開口を有する実質的にリング形状を有しており、内部開口は、システムの光軸あるいは対物レンズ装置の対称軸と実質的に同軸状である。
【0061】
第3の磁極片は、物体取付部の方向に面する表面を有する。例示的な実施の形態において、第3の磁極片は、上記表面が物体平面と実質的に平行に延びている半径方向内側環状部を物体平面から第1の距離を隔てて有し、上記表面が物体平面と実質的に平行に延びている半径方向外側環状部を物体平面から第2の距離を隔てて有し、第2の距離は、第1の距離よりも大きい。半径方向内側環状部は、第3の磁極片の内周縁部と一致し得る半径方向内端部と、物体平面に対して内側斜行部分と異なる角度をなして配置された第3の磁極片の表面と一致し得る半径方向外端部とを有する。従って、内側環状部は、物体平面に外側環状部よりも近接して配置されている。さらに、この例示的な実施の形態において、遮蔽電極は、上述のように、第3の磁極片の対称軸に関して同軸状であり得る内部開口を有し、第3の磁極片の内側環状部は、その半径方向外端部が遮蔽電極の内部開口内に配置されるように配置及び構成されている。すなわち、この例示的な実施の形態において、内部開口の直径は、内側環状部が遮蔽電極の内部開口内に完全に収容され得るように、第3の磁極片の内側環状部の直径よりも大きく、内側環状部は、遮蔽電極と同じ平面に配置され得る。従って、遮蔽電極も、物体平面からおよそ第1の距離を隔てて配置されることになる。これらの例示的な実施の形態において、第3の磁極片の外側環状部の第2の距離は、遮蔽電極が同じ平面に配置され、特に外側環状部の領域において、第3の磁極片と遮蔽電極との間に間隙が維持されるように選択される必要がある。
【0062】
これらの例示的な実施の形態において、内側環状部及び外側環状部は、互いのすぐ隣りに配置することができるので、第3の磁極片の(物体平面に面する)表面は、第1の距離から第2の距離への移行に対応するために段部を有することになるか、又は、内側及び外側環状部は、第1の距離から第2の距離への移行に対応するために、物体平面に対して角度をなして配置された中間環状部によって互いに連結され得る。中間環状部は、例えば、第3の磁極片の物体に対向する表面の大部分が物体平面と実質的に平行に配置されるように、他の環状部と比べて比較的小さくてもよく、従って、これらの実施の形態において、第3の磁極片は、中間環状部において小さい屈曲を有することになる。
【0063】
この文脈において用いられる、「実質的に平行」は、半径方向外側環状部の表面が、物体平面に対して、例えば、30°までの角度、又は、さらなる例において、20°までの角度をなして配置された実施の形態及び/又は半径方向内側環状部が、物体平面に対して、20°までの角度、もしくは別の例において、10°までの角度をなして配置された実施の形態も含む。
【0064】
本発明の本局面における対物レンズ装置は、本発明の他の局面に関連して本明細書に記載されるさらなる部品及び特徴も含み得る。特に、例示的な実施の形態において、対物レンズ装置は、第2の磁極片をさらに含み、第3の磁極片の半径方向内端部及び第2の磁極片の半径方向内端部は、これらの間に間隙を形成している。さらなる例示的な実施の形態において、第2の磁極片は、第3の磁極片に面する表面を有する内側斜行部分を有し、第3の磁極片は、第2の磁極片に面する表面を有する斜行部分を有し、第3及び第2の磁極片の互いに面する表面は、40°未満、例えば、35°未満の角度をこれらの間に形成している。間隙は、実質的に半径方向の間隙である。別のさらなる例示的な実施の形態において、第2の磁極片は、半径方向内側環状部を有し、第3の磁極片に面する表面は、第3の磁極片の上記内側環状部の第2の磁極片に面する表面に対して、約3°〜約35°の角度をなして配置されている。
【0065】
本発明の第6の局面によれば、対物レンズ装置であって、物体平面に被処理物体を取り付けるための物体取付部と、対物レンズ装置の対称軸に関して実質的に回転対称である第1及び第2の磁極片とを含む対物レンズ装置が提供される。第1及び第2の磁極片は、第1及び第2の磁極片の半径方向内端部が1つ又はそれ以上の荷電粒子ビームによって横切られるように構成された穴を規定するように、対称軸に向かって延びている。第1の磁極片の半径方向内端部と第2の磁極片の半径方向内端部との間に形成された第1の間隙において集束磁界を生成するために、第1の励磁コイルが設けられている。1つ又はそれ以上の荷電粒子ビームを導くように構成されたビーム管が、第1の磁極片の半径方向内端部によって形成される穴を通って延びている。本局面における実施の形態において、第1の磁極片の穴は、一般に、穴の直径が最小直径である第1の平面から、第1の磁極片の前面部が配置された第2の平面まで延びている。穴の直径は、第1の平面におけるその最小直径から、第2の平面における前面直径まで、約10mmよりも大きく増加し、第1及び第2の平面間の距離は、約5mmよりも大きいので、テーパ状形状が形成される。
【0066】
第1の磁極片のこのようなテーパ状形状あるいは円錐形状により、一般に粒子光学システムの光軸と一致する対称軸において磁界強度分布を形成することができるので、対物レンズの所望の光学特性が実現される。
【0067】
本発明の第7の局面によれば、荷電粒子ビームシステムであって、荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、荷電粒子によって横切られるように構成された少なくとも1つのビーム整形レンズと、荷電粒子によって横切られるように構成された対物レンズとを含み、対物レンズは、対称軸及びこれに対応付けられた物体平面を有する、荷電粒子ビームシステムが提供される。
【0068】
少なくとも1つのビーム整形レンズ及び対物レンズは、物体平面のそれぞれの位置において荷電粒子が入射する全ての方向の平均として定義され得る荷電粒子の平均入射方向が、光軸を囲む物体のリング状内側部分においての光軸と反対方向に向き、かつ、リング状外側部分を囲む物体平面の部分のリング状内側部分内の位置における平均入射方向が光軸の方向に向くように、構成されている。
【0069】
このような構成により、物体平面における3次テレセントリック誤差を大幅に低減することができる。
【0070】
例示的な一実施の形態によれば、リング状内側部分内の位置における平均入射角の最大平均角θiは、以下の式によって定義される、リング状外側部分内の位置における平均入射角の最大平均各θoに関連している。
【0071】
【数4】
【0072】
例示的な一実施の形態において、最大平均角θiは、最大平均角θoの絶対値と最大で30%だけ、例えば、最大で20%異なる。さらには、わずか15%以下又はさらには10%以下だけ異なっていてもよい。
【0073】
さらなる例示的な実施の形態によれば、リング状外側部分内の位置における平均入射角の最大平均角は、約1mradよりも大きくてもよい。
【0074】
このような構成は、有利には、上述のように、テーパ形状を有する磁極片を含む対物レンズ装置を用いて実施され得る。このような構成のさらなる利点は、対物レンズ装置に関連する像面湾曲を低減することを可能にするということである。
【0075】
本発明の第8の局面によれば、対物レンズ装置であって、物体平面に被処理物体を取り付けるための物体取付部と、物体平面から距離を隔てて配置され、対物レンズ装置の対称軸と同軸状である第1の直径の開口を有する第1の電極と、物体平面から第2の距離を隔てて、かつ、第1の電極と物体平面との間に配置され、上記対称軸と同軸状である第2の直径の開口を有する第2の電極とを含む対物レンズ装置が提供される。
【0076】
第1の電圧源が、第1の電極に接続されており、第1の電圧源は、第1の電極が被処理物体に対して第1の電位に設定されるように構成及び作動されてもよく、第2の電圧源が、第2の電極に接続されており、第2の電圧源は、第2の電極が被処理物体に対して第2の電位に設定されるように構成及び作動されてもよい。
【0077】
第1及び第2の距離、第1及び第2の直径、並びに、第1及び第2の電圧は、物体平面の真上に生成される電界に対する第1の電極の寄与の大きさが、当該電界に対する第2の電極の寄与の大きさと同程度になるように調整される。上記生成される電界に対する第1又は第2の電極の寄与は、2つの設定、すなわち、第1及び第2の設定を比較することにより、評価及び検査され得る。第1の設定において、第1の電極は、電気コネクタ、従って、物体に対して第1の電位にあり、第2の電極は、電気コネクタと同じ電位にある。第2の設定において、第1の電極は、電気コネクタに対して第1の電位にあり、第2の電極は、第1の電極と同じ電位にある。
【0078】
例示的な一実施の形態によれば、以下の関係が満たされ、
【0079】
【数5】
【0080】
式中、
1は、第1の設定における物体平面の電界であり、
2は、第2の設定における物体平面の電界である。
【0081】
例示的な実施の形態において、上記定義された比率
【0082】
【数6】
【0083】
は、0.2以下、0.1以下、又は0.05以下であり得る。
【0084】
本局面は、電子ビームシステムに特に当てはまる。この関係が満たされる構成は、物体平面において電界を生成する物体平面に隣接した電極の大きい開口及び物体平面におけるこれに応じた大きい電界が適用される場合に、特に有利である。物体平面の領域における均一な電界は、二次電子に対して均一な抽出電界を形成し、これにより、向上した二次電子収量及び/又は二次電子に対する良好な収差係数が実現されると考えられる。
【0085】
第9の局面によれば、本発明は、粒子光学検査システムであって、対称軸に関して実質的に回転対称である第1の磁極片及び第2の磁極片であって、第1の磁極片の半径方向内端部は、第2の磁極片の半径方向内端部から距離を隔てて配置されてこれらの間に第1の間隙を形成し、第1の磁極片は、対称軸に向かって斜めに延びる内側部分を有し、第1及び第2の磁極片は、互いに電気的に絶縁されている、第1の磁極片及び第2の磁極片と、第1の間隙の領域において集束磁界を生成するための第1の励磁コイルと、第1の磁極片の半径方向内端部によって形成される穴を通って延びるビーム管と、ビーム管に電圧を供給するように構成された第1の電圧源とを含む対物レンズ装置を含み、粒子光学検査システムは、少なくとも1つの磁界装置を含むビーム経路スプリッタ装置をさらに含み、ビーム経路スプリッタ装置の上記少なくとも1つの磁界装置の下端は、物体平面から第1の距離を隔てて配置され、第1の励磁コイルの上端は、物体平面から第2の距離を隔てて配置され、第1の距離は、第2の距離よりも短い、粒子光学検査システムを提供する。すなわち、ビーム経路スプリッタ装置は、対物レンズ装置に少なくとも部分的に挿入されている。
【0086】
上記で用いられる「下(lower)」は、物体平面に対する方向を示しており、すなわち、「下」は、「上(upper)」よりも物体平面に近い距離を示す。
【0087】
ビームスプリッタ装置は、例えば、内容の全てが参照によって本明細書に援用される、本発明と同じ譲受人の国際公開第2005/024881号(米国特許仮出願第60/500,256号)に記載されるようなマルチビーム検査システムにおいて有利に用いられる。ビームスプリッタ装置については、図面を参照しながら詳細に後述する。
【0088】
ビーム経路スプリッタ装置は、物体平面に近接して配置されるのが好ましいことが分かっている。ビームスプリッタ装置を用いる従来のシステムにおいて、この装置は、典型的には、対物レンズ装置の上流側に、これら2つの部品が重なりあうことなく配置される。これとは対照的に、本発明の本局面によれば、ビームスプリッタ装置の下部、すなわち、物体平面に最も近接してかつこれに面して配置されたビームスプリッタ装置の部分は、実際に、対物レンズ装置に挿入される。これは、荷電粒子として電子を用いる検査システムにおいて特に有利である。なぜなら、被検査物体に衝突する電子によって生成される二次電子の像は、通常、物体平面のすぐ上に形成されるからである。従って、対物レンズ装置にビームスプリッタ装置を挿入することにより、二次電子の像と検査システムの最も近接する集束光学素子との間の経路を短くすることができ、検査性能が向上する。
【0089】
本発明の本局面における検査システムの例示的な実施の形態において、第1の磁極片の内側部分は、第1の磁極片の半径方向内端部が第1の磁極片の内側部分の半径方向外端部よりも物体平面に近接して配置され、これによって、上記少なくとも1つの磁界装置の下端が第1の磁極片の内側部分によって規定される穴あるいは空間内に配置されるように、対称軸に向かって延びている。
【0090】
本実施の形態において、粒子光学検査システムは、ビーム経路スプリッタ装置の磁界装置、より一般的には、ビーム経路スプリッタ装置の下部を取り付けるための、第1の磁極片に取り付けられ得る取付構造をさらに含み得る。取付構造は、少なくとも第1の磁極片に対するビームスプリッタ装置の磁界装置の位置を調整することも可能にし得る。
【0091】
例えば、第1の磁極片の内側部分は、実質的に円錐状の形状を有し、第1の磁極片の半径方向内端部は、その半径方向外端部よりも物体平面に近接して配置され、磁界装置の下端は、第1の磁極片の内側部分によって形成された円錐内に配置されている。これらの実施の形態において、第1の磁極片の内側部分によって形成された円錐は、例えば、20°〜約70°の範囲の円錐開口角を有し得る。
【0092】
別の例示的な実施の形態において、内側部分は、2つの実質的に円筒状の形状を含んでもよく、2つの円筒のうちの下部円筒は、上部円筒よりも小さい直径を有する穴を形成している。これらの実施の形態において、ビーム経路スプリッタ装置の下部は、上部円筒によって形成される穴の内部に少なくとも部分的に配置され得る。しかし、下部円筒の穴はより小さくなくてもよく、上部円筒の穴よりも大きいか、あるいはこれと同じであってもよい。別の構成も可能であり、当業者には明らかである。
【0093】
明示がなされなくとも、当業者には、本発明の特定の局面に関連して本明細書に記載される対物レンズ装置及びシステムの実施の形態の個々の特徴又は特徴の組み合わせが本発明の他の局面の対物レンズ装置及びシステムの実施の形態にも適用され得ることが理解される。
【0094】
例示的な実施の形態において、本発明に係る対物レンズ装置は、少なくとも1つの励磁コイルの内部に配置された加熱システムであって、上記少なくとも1つの励磁コイルの付近に配置された加熱コイルと、加熱コイルを通過する電流を制御しかつ調整するための制御部とを含む加熱システムをさらに含み得る。上記少なくとも1つの励磁コイルは、上述の実施の形態の第1、第2及び/又は第3の励磁コイルであってもよい。例えば、加熱コイルは、励磁コイルの内部、すなわち、励磁コイルの内部の空胴に配置されるか、あるいは、これと組み合わされ得る。特に、制御部は、必要に応じてかつ適用可能な場合に、加熱コイルを通過する電流を、上記少なくとも1つの励磁コイル、例えば、第1、第2及び第3の励磁コイルのうちの少なくとも1つを通過する電流(励磁電流)、第1、第2及び第3の磁極片のうちの少なくとも1つの温度のうちの少なくとも1つに依存して調整するように構成され得る。さらに、これらの実施の形態において、第1、第2及び第3の磁極片のうちの少なくとも1つの温度を検知するための温度センサが設けられてもよい。検知された温度は、次に、制御部に送信され、電源によって加熱コイルに供給される電流が制御される。本実施の形態は、1つ又はそれ以上の磁極片の温度を実質的に一定に維持することができるという利点を有する。従って、磁極片材料の膨張を引き起こす可能性のある、磁極片の加熱によって生じる外乱、ひいては、対物レンズ装置の寸法及び形状の不要な変化を防ぐことができる。磁極片の加熱は、対物レンズシステムの長期にわたる稼動によって起こる可能性があり、また、アプリケーションの変更、従って、集束力の変化及びこれに付随する励磁電流の変化によっても起こり得る。本実施の形態により、磁界、ひいては対物レンズ装置の集束特性を一定に、かつ、適切に制御可能に保持することが可能になる。別の実施の形態において、加熱コイルは、対称軸を中心とするほぼ閉じたリング、すなわち、その端部同士が接触しない不完全な円の形状を呈し得る。本実施の形態は、加熱コイルによって生成される可能性のある不要な磁界が防止されるという点で有利である。
【0095】
特に第2の励磁コイルを冷却するための冷却システムの使用については、本発明の第3の局面に関連してすでに述べた。流体の冷却媒体を用いるのではなく、本発明のいずれかの局面における対物レンズ装置の他の実施の形態は、特に励磁コイルによって生成される熱を奪い去る固体材料にのみ基づく冷却システムを利用してもよい。
【0096】
以下において第2の励磁コイルを参照して説明されるが、他の任意の励磁コイルにも適用され得る例示的な実施の形態において、第2及び第3の磁極片は、実質的にヨークと一体に形成されかつこれによって接続されており、これらの間における外側環状部の領域において第2の励磁コイルを収容している。励磁コイルは、一般に、電源に接続された絶縁ワイヤの多数の巻線を含む。本実施の形態において、ワイヤ巻線によって形成される励磁コイル本体の少なくとも外面は、熱伝導性が高く電気絶縁性のセラミック材料からなる1つ又はそれ以上の層によって少なくとも部分的に封入されている。このセラミック封入体は、第2及び第3の磁極片を接続するヨークの部分を通って延びる材料と同じか又は類似の材料からなる接続部材に接続されるか、あるいはこれと一体に形成されている。これらの接続部は、ヨークの外周に規則的な間隔で分布され、ヨークの半径方向外端部の周囲にかつこれと隣接して配置された高熱伝導性固体材料からなるリングに対して熱伝導接触を確立し得る。高熱伝導性材料からなるリングは、セラミック材料もしくは銅から形成されてもよく、又は、互いに接触する、セラミック材料からなるリング及び銅からなるリングの両方を含み得る。これらのリングは、第2及び第3の磁極片からさらに離れた冷却システムに好ましくは銅線によって接続されており、この冷却システムは、例えば、液体冷却に基づく冷却システムであり得る。固体冷却システムは、対物レンズ装置に含まれる高電圧部分からの冷却システムの絶縁が、液体冷却の場合よりも容易に実現されるという利点を有する。従って、本実施の形態は、磁極片内部の励磁コイルの付近に導電性材料が導入されていないという利点を有する。他の適した高熱伝導材料を用いることができ、この種の冷却システムは、第1及び第2の磁極片、又は冷却を必要とするシステムの他のいずれの部分に対しても用いられることは、当業者には明らかである。
【0097】
特に上述のタイプの固体冷却システムに関連した本発明のさらなる例示的な一実施の形態において、本発明に係る対物レンズ装置は、第2及び第3の磁極片を取り付けるための調整可能な取付構造をさらに含み得る。取付構造により、特に第1の磁極片に対する第2及び第3の磁極片の位置を調整することが可能となる。調整可能な取付構造は、例えば、第1及び第2の磁極片を接続するヨークの周囲に配置されかつこれに固定して取り付けられた取付リングを含み得る。例示的な一実施の形態において、取付リングは、3つ以上のワイヤ、より一般には、可撓性要素によって適切な位置に保持されている。ワイヤの下端は、例えば、好ましくは、取付リングの外周部の周りに等間隔をあけて配置された点において取付リングに固定され、ワイヤの上端は、有利には、第1の磁極片といった、第2及び第3の磁極片の上流側の1つ又はそれ以上の部品に取り付けられる。この取付構造により、第2及び第3の磁極片を、かさ高い支持部品を必要とすることなく、適切な位置に保持することが可能となる。従って、第2及び第3の磁極片は、完全に真空環境で保持され得る。特に第1の磁極片に対する、第2及び第3の磁極片の位置は、必要に応じて、上記ワイヤのうちの1つ又はそれ以上を適切に短くするかあるいは長くすることによって調整され得る。
【0098】
さらなる例示的な実施の形態において、調整可能な取付構造は、細密調整装置をさらに含む。精密調整装置は、例えば、対物レンズ装置において、取付リング、あるいは、より一般には、第2及び第3の磁極片の軸方向位置を調整するための機構、及び取付リング、あるいは、より一般には、第2及び第3の磁極片の半径方向位置を調整するための機構、又はこれら2つの組み合わせを含み得る。
【0099】
取付リング、従って、第2及び第3の磁極片の軸方向位置を調整するための機構は、固定された位置又は固定可能な位置を有する対物レンズ装置の部品に一方の端部が取り付けられたねじを含んでもよく、このねじは、ねじの回転によってその軸方向位置が変化するように取付リングに接続された巻線を有する。例えば、ねじを回転させることにより、例えば、第1の磁極片といった対物レンズ装置の他の部品に対して取付リングを上昇又は下降させ得る。
【0100】
半径方向位置を調整するための調整機構は、楔形部材、内部に2つのボールを有するチャンバを含むベアリング及びねじの組み合わせを含む装置によって形成され得る。チャンバ及びボールは、ボールがチャンバの4つの側壁のそれぞれに接触するように構成され、チャンバは、楔形部材の尖った側が2つのボールの間にかつこれらと接触して配置され得るように一方の側へ開いている。ねじの一方の端部は、ねじの回転が、ねじの下端をさらにチャンバ内又は外へ動かし、必要に応じて、チャンバを上側方向又は下側方向に動かすように、チャンバの上部内に延びている。従って、ねじの回転は、2つのボール間の距離に変化をもたらし、その結果、2つのボールは、互いに近づき、楔形部材の尖った側を外側に押す。磁極片に直接又は間接的に接続された楔形部材は、このような動きを磁極片に伝達し、それにより、対物レンズ装置におけるそれらの半径方向位置を、例えば、第1の磁極片に対して変化させる。当該技術分野において知られた他の調整機構も用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
本発明の上記及び他の有利な特徴は、以下の本発明の例示的な実施の形態の詳細な説明を添付図面を参照して考慮することにより、さらに明らかとなる。尚、本発明のすべての可能な実施の形態が本明細書に示される利点の全てあるいはいずれかを必ずしも示すとは限らない。
【0102】
図1は、本発明の一実施の形態における電子顕微鏡システムの基本的な特徴及び機能を概略的に示し、
図2は、図1に示す電子顕微鏡システムにおいて用いられ得る対物レンズ装置の一実施の形態の概略図であり、
図3は、図2に示す磁界生成部品の機能を説明するための電極構成を示し、
図4は、図2に示す対物レンズ装置のビーム管の下部の拡大図を示し、
図5は、図2に示す対物レンズ装置の実施の形態によって提供される光軸に沿った複数の物理的特性を示し、
図6a、図6bは、図1に示す電子顕微鏡システムの物体平面における平均入射角の半径方向依存を説明するためのグラフを示し、
図7は、本発明に係る対物レンズ装置のさらなる実施の形態を概略的に示し、
図8は、本発明に係る対物レンズ装置のさらに別の実施の形態を示し、
図9は、ビーム経路スプリッタ装置の例示的な一実施の形態を示し、
図10は、図8に示す実施の形態において用いられる冷却構造を示し、
図11は、図8に示す実施の形態において第2及び第3の磁極片を支持するための取付構造において用いられる調整機構を示し、
図12は、図8に示す実施の形態に組み込まれた加熱システムを示し、
図13は、図8に示す実施の形態の詳細を示す。
【0103】
以下に説明する例示的な実施の形態においては、機能及び構造において同様である部品には、可能な限り同様の参照符号を付す。従って、1つの特定の実施の形態の個々の部品の特徴を理解するために、他の実施の形態及び課題を解決するための手段の説明を考慮及び参照してもよい。
【0104】
図1は、電子顕微鏡システム1の基本的な機能及び部品を説明する概略図である。電子顕微鏡システム1は、被検査物体の表面上に一次電子ビームスポットを生成するために複数の一次電子ビームレット3’を用いる走査電子顕微鏡型(SEM)であり、上記表面は、対物レンズ装置100の物体平面101に配置されている。
【0105】
ビームスポットにおいて物体に入射する一次電子は、物体の表面から発する二次電子を生成する。二次電子は、対物レンズ装置100に入射する二次電子ビームレットを形成する。電子顕微鏡システム1は、検出装置200に複数の二次電子ビームレットを供給するための二次電子ビーム経路4’を形成する。検出装置200は、二次電子ビームレット4’を電子感受性検出器203の表面平面上に投影するための投影レンズ装置201、202を含む。検出器203は、固体CCDもしくはCMOS、シンチレータ装置、マイクロチャンネルプレートやPINダイオードアレイなどから選択される1つ又はそれ以上であり得る。
【0106】
一次電子ビームレット3’は、電子源301、直線ビーム管302、コリメータレンズ303、多孔プレート装置304及び視野レンズ305を含むビームレット生成装置300によって生成される。
【0107】
図1に示す実施の形態において、電子源301は、直線ビーム管302内においてシステムの光軸上に配置されており、さらにコリメータレンズ303によって生成される磁界に浸される。電子は、電子源301から抽出され、発散電子ビームを形成し、発散電子ビームは、コリメータレンズ303によって平行にされ、多孔装置304を照射するためのビーム3を形成する。多孔装置304は、カップ状電極304Bの中心に取り付けられた多孔プレート304Aを含む。カップ状電極304Bと直線ビーム管302の端部のフランジとの間に電界を生成することができ、この電界は、例えば、減速電界であってもよい。多孔装置は、多孔プレート304Aに衝突する単一の照射ビーム3から複数の一次電子ビームレット3’を生成する。多孔装置の詳細については、例えば、本明細書の導入部で引用される文献又は本発明と同一の譲受人の国際公開第2005/024881号(米国特許仮出願第60/500,256号)に示されている。
【0108】
複数の一次電子ビームレットのビーム経路3’には、多孔装置304の焦平面の像を物体平面101に投影して、物体上に一次電子ビームスポットのアレイを形成するための視野レンズ305及び対物レンズ装置100が設けられている。
【0109】
一次電子ビーム経路3’におけるビームレット生成装置300と対物レンズ装置100との間、並びに、二次電子ビーム経路4’における対物レンズ装置100と検出装置200との間には、ビーム経路スプリッタ/コンバイナ装置400も設けられている。
【0110】
ビームスプリッタ装置400により、いずれも対物レンズ装置100を通過する一次電子ビームレットのビーム経路3’及び二次電子ビームレットのビーム経路4’を、二次電子ビームレットが検出装置200の方向に導かれるように分離することが可能となる。ビームスプリッタ装置の一例は、図9を参照しながら、より詳細に説明される。
【0111】
図2は、図1に示す電子顕微鏡システムにおいて用いられ得る対物レンズ装置100の例示的な一実施の形態の側面図の概略断面を示す。対物レンズ装置100は、被検査物体7の表面が電子顕微鏡システム1の物体平面101内に配置されるように物体7を取り付けるための物体取付部121を含む。物体7は、例えば、欠陥について検査が行なわれる半導体ウェハであり得る。
【0112】
対物レンズ102は、対物レンズ102の光軸120(すなわち、対称軸)と同軸状であり、半径方向内端部124を有する第1の磁極片123を含む。同じく光軸120に関して回転対称でありかつ同軸状である第2の磁極片125が、半径方向内端部126を有し、半径方向内端部124及び126間に実質的に軸方向の間隙が形成されるように、第1の磁極片123の半径方向内端部124から距離を隔てて配置されている。
【0113】
第1及び第2の磁極片123、125間における内端部124、126間に形成された間隙の半径方向外向きに(すなわち、間隙からより大きい距離を隔てて)、励磁コイル129が配置されている。ヨーク130が第1の磁極片の一部を形成しかつそこから半径方向外向きに延びている。また、ヨーク130は、第2の磁極片125によって形成されかつそこから半径方向外向きに延びるヨーク131に対向して配置されている。ヨーク130、あるいはヨーク130によって少なくとも部分的に囲まれるように配置された励磁コイル129と、ヨーク130、131が互いに隣接して配置された領域にあるヨーク131との間の間隙には、電気絶縁性樹脂133が設けられている。ヨーク130は、円筒部135を含み、円筒部135は、ヨーク131の対応する隣接円筒部136から絶縁性樹脂133によって隔てられており、第1の磁極片123のヨーク130の円筒部135は、第2の磁極片125のヨーク131の円筒部136を部分的に囲んでいる。第1のヨーク130は、環状ディスク形部137をさらに含み、ヨーク131の対応する隣接環状ディスク形部138から絶縁性樹脂133によって隔てられている。このように、第1及び第2のヨーク130、131は、ヨーク130及び131間、より正確には、それらの円筒部間及び環状ディスク形部間の領域が、それぞれ、磁極片123及び125から伸び、これらの一部を形成するヨーク130及び131間の磁気抵抗が低くなり、また、両磁極片123、125が互いに電気的絶縁状態に維持されるような相当な表面積を形成するように構成及び配置されている。
【0114】
第1の励磁コイル129には、第1の励磁コイル129に励磁電流を供給し、第1及び第2の磁極片123、125の半径方向内端部124、126間の間隙に磁界を生成するための電源141が接続されている。第1の励磁コイル129によって生成される電界は、矢印142で示す磁束を、磁極片123、125並びにヨーク130及び131によって形成される磁気回路に誘導し、第1及び第2の磁極片123及び125の半径方向内端部124及び126間に形成された第1の間隙によって磁気回路が閉じられるようになっている。第1の励磁コイル129によって生成された磁界は、光軸120と同軸状に配置されたビーム管152から出射する一次電子ビームレットの電子に対して集束効果を有する。
【0115】
ビーム管152の下端は、第1及び第2の磁極片123、125の半径方向内端部124、126間の第1の間隙の領域に配置されている。本実施の形態においては、ビーム管152を約+30kVの電位に保持するために、高電圧源153が設けられている。物体取付部121には、コネクタ156を介して電圧源155が接続され、約−29.7〜−28kVの可変高電圧が物体取付部121に供給される。被検査物体7は、物体7もまた約−29.7〜28.0kVの可変な電位に保持されるように物体取付部121と電気的に接触するように配置されている。
【0116】
一次電子がビーム管152を通って移動する際に約60〜90keVの運動エネルギーを有するように、電極装置(上流側、図示せず)の陰極は約−30kV〜約−45kVの電圧に保持されている。ビーム管152の下端は、ビーム管152の下端と物体平面101との間の空間において一次電子が減速電界を受けるように、物体平面101から距離を隔てて配置されている。この場合、一次電子は、約50eV〜約3000eVの着地エネルギーで物体7に入射することになる。
【0117】
また、第1の磁極片123の半径方向内側部分、すなわち、ヨーク130の半径方向内側部分と第1の磁極片123の半径方向内端部124とを含む部分は、励磁コイル127が配置された空胴124’’を有する。励磁コイル127は、図示しないさらなる電源に電源141と同様にして接続され、ヨーク130を含む第1の磁極片123から電気的に絶縁されている。第1の磁極片123の半径方向内端部124内にはさらなる間隙124’が形成されており、間隙124’は、空胴124’’につながっている。従って、第1の磁極片は、第4の磁極片及び第3の間隙124’を形成するように機能的に分割され構成されている。それぞれの電源によって励磁コイル127が励起されると、間隙124’の領域に磁界が形成され、この磁界は、第1の磁極片123と第2の磁極片125との間の第1の間隙において励磁コイル129によって生成される集束磁界の強度及び位置を精密に調整する働きをする。
【0118】
ビーム管152の下端と物体7との間に生成される電界は、これらの位置及びこれらに印加される電圧によって規定されるだけでなく、図示される実施の形態においては、第2の磁極片125に印加される電圧によっても影響される。特に、第2の磁極片125の半径方向内端部126は、電気コネクタ156及び第2の磁極片125の両方に接続された高電圧源159によって、例えば、物体取付部121の電気コネクタ156に対して、約+3.9kVの電圧に保持され得る。その効果について以下に図5を参照しながらより詳細に説明する。また、図2に示す実施の形態において、遮蔽電極154が示されており、遮蔽電極154には、遮蔽電極154の領域において電界から物体を遮蔽し、これによって物体の不要な帯電を防ぐように、電気コネクタ156又は物体取付部121と同じ電圧が印加される。遮蔽電極は、内部開口を有する環状形状を有し、光軸120に関して対称であり、さらに、荷電粒子が内部開口を通って物体に到達し得るように配置されている。
【0119】
図3に示すように、第2の磁極片125の下縁は、その半径方向内端部126において、物体7の物体平面101と一致する面から距離d1を隔てて配置されている。ビーム管152の下端は、物体平面101から距離d2を隔てて配置されている。磁極片125の半径方向内端部126によって規定される穴の直径をD1で示し、ビーム管152の下端における直径をD2で示す。
【0120】
距離d1及びd2、直径D1及びD2、並びに、磁極片125及びビーム管152に印加される物体7に対する電圧は、光軸120付近の領域において物体平面101の真上に生成される電界が実質的に均一な電界になるように調整される。図3は、ビーム管152の下端と磁極片125との間、並びに、磁極片125と物体7との間の静電界を表す様々な力線あるいは等電位線を示す。図3に示すように、物体平面101に最も近接する力線161は実質的に直線であり、光軸120の周囲の領域において実質的に均一な電界を示している。このような実質的に均一な電界は、一次電子ビームレット3のそれぞれを所望の着地エネルギーに減速させる目的で生成される。実質的に均一な電界は、二次電子ビームレット4’のそれぞれが対物レンズ102に入射する際に実質的に同じ運動エネルギーを有するように、物体7から発する二次電子に対して抽出電界も形成し得る。
【0121】
図2に示す対物レンズ装置の構成において、物体平面101における電界は、2つの成分に分割され得る。すなわち、電界の第1の成分E1が、磁極片125と物体7との間の電位差によって生成され、第2の成分E2が、ビーム管152と物体7との間の電位差によって生成される。両成分は、光軸120の周囲の領域において物体平面101における電界に対して実質的に同じ作用を有する。これは、ビーム管152に印加される電圧及び磁極片125に印加される電圧を以下の2つの設定にしたがって変化させることによって説明され得る。すなわち、第1の設定において、ビーム管152は、物体7に対して59kVの電位に設定され、磁極片125は、物体7と同じ電位に設定される。物体平面101上及び光軸120上に結果として生じる電界は、1.8kV/mmである。第2の設定においては、磁極片125は、物体7及びビーム管152に対して3.9kVの電位であり、物体平面101に結果として生じる電界は、1.2kV/mmである。
【0122】
従って、以下の要件、
【0123】
【数7】
【0124】
が満たされる。
【0125】
図2に示す実施の形態において、第3の磁極片163は、物体平面とほぼ平行に延び、半径方向内端部164を有する。第3の磁極片163の半径方向内端部164は、第2の磁極片125の半径方向内端部126よりも光軸120から大きい距離を隔てて配置され、両方の半径方向内端部は、光軸120に直交する同じ平面内に配置されている。このように、第3の磁極片163の半径方向内端部164と第2の磁極片125の半径方向内端部126との間に、半径方向間隙が形成されている。磁極片163は、磁極片125、ヨーク131及び磁極片163によって磁気回路が形成されるようにヨーク131と一体に形成されており、この磁気回路は、磁極片125及び163の内端部126及び164間に形成される間隙によって閉じられる。この磁気回路において、矢印166で示す磁束が励磁コイル167によって生成され、励磁コイル167には、電源169によって電流が供給される。磁極片125及び163間の間隙に形成された空間は、励磁コイル167と、磁極片125及び163と、ヨーク131との間に絶縁材料層を形成する働きをする絶縁性樹脂170が充填されている。このように、励磁コイル167は、磁極片125及び163から電気的に絶縁され、接地電位で作動し得るようになっている。
【0126】
図2において、第3の磁極片163が、第3の磁極片の物体7に面する表面が物体平面に配置された物体7と実質的に平行に延びている半径方向内側環状部163IPを、物体7から第1の距離を隔てて有することも示されている。加えて、第3の磁極片163は、第3の磁極片163の物体7に面する表面が物体平面101と実質的に平行に延びている半径方向外側環状部163OPを、物体7から第2の距離を隔てて有する。第2の距離は、第1の距離より大きく、すなわち、外側環状部163OPは、内側環状部163IPよりも物体7から遠くに配置されている。内側及び外側環状部163IP、163OPは物体7に対して小さい角度で配置され得るので、第1及び第2の距離は、第1及び第2の平均距離と呼ぶことができる。内側及び外側環状部163IP、163OPは、中間部163MPによってつながっており、中間部163MPは、第3の磁極片163の内側及び外側環状部163IP、163OPの両方よりも、物体7に対して大きい角度で配置されている。図2から、第3の磁極片の内側環状部の半径方向外端部は、遮蔽電極の内部開口内に半径方向に配置されていることも分かる。
【0127】
図2は、さらに、励磁コイル167を冷却するための冷却水の供給ライン171を概略的に示す。ライン171には、冷却水源172によって冷却水が供給され、冷却水源172も接地電位に設定されている。従って、励磁コイル167と、磁極片163及び125との間が電気的に絶縁されていることにより、冷却水源172及び電源169は、接地電位で便利に作動可能である。
【0128】
励磁電流を供給するよう、電源169は、物体平面101内及び光軸120上において、磁極片125及び163の内端部126及び164間の間隙に生成される磁界が、磁極片123及び125の内端部124及び126間の間隙に生成される集束磁界を補償するように調整されている。上記補償磁界により、有利には、集束磁界をゼロに補償することができ、その結果、物体7に入射する一次電子ビームレットの電子は、物体7の真上で実質的に磁界を全く受けない。上記領域に磁界が存在しないことにより、テレセントリック性、及び集束磁界によって誘発され得る像の回転に起因する誤差を改善することが可能となる。
【0129】
図5は、光軸120に沿った磁束密度すなわち磁界強度B及び電界強度Eのグラフを示す。磁界強度Bは、物体平面101から、最大で、図2に示す実施の形態の光軸120上の位置181まで急激に上昇する。磁界Bの物体平面101からの最大位置181への急激な上昇と比較して、磁界Bは、その後、物体平面101からの距離がさらに増加するにつれてゆっくりとした減少のみを示している。物体平面101からの距離の増加に伴うBのこのような緩やかな減少は、磁極片123の半径方向内端部124(内側部分)によって形成される穴をテーパ状にすることによって実現され得る。物体平面101から約28.4mmの距離を隔てて配置された第1の平面183において、上記穴は、約20mmの最小直径を有する。物体平面101に最も近接する磁極片123の前面部は、第2の平面184において約20mmの距離を隔てて配置されており、穴のこの部分における直径は、約41mm(前面直径)である。従って、磁極片123の半径方向内端部124によって形成される穴の直径は、物体平面101からの距離が減少するにつれて、平面184において最小値約22mmから最大値約41mm(前面直径)まで半径方向に増加する。
【0130】
磁極片123の半径方向内端部124(あるいは、内側部分)がこのような特定の形状を有することにより、集束磁界強度Bを、物体平面101からの距離の増加にしたがって比較的緩やかに減少させることが可能になる。
【0131】
図5は、光軸120からある一定の距離を隔てたところから始まり、対物レンズの焦平面において光軸120と平行する光線を表すγ線も示す。このγ線は、集束磁界強度Bが最大になる箇所である位置181に近接する位置において光軸120と交差する。これにより、例えば、像面湾曲の値が低くなる。
【0132】
図5は、γ線が光軸に対して斜めに物体平面101と交差することをさらに示す。これは、光学システムにテレセントリックな直線性誤差が存在することを示している。しかし、この小さいテレセントリックな直線性誤差は、許容されるものであるばかりではなく、以下に図6a及び図6bを参照しながら示される3次テレセントリック誤差を減少させるように意図的に選択されたものである。
【0133】
図6aは、1次テレセントリック誤差が存在しないと仮定した場合に対物レンズ102によってもたらされる3次テレセントリック誤差の依存を示す。平均入射角θ、従って、3次テレセントリック誤差は、中心軸すなわち光軸120からの距離rが増加するにつれて、r3に応じて増加する。図6aにおいて、円錐体191は、位置192において物体平面101に入射する一次電子の集束されたビームを示す。方向193は、それぞれの位置192におけるこれらの集束ビームの一次電子の平均入射方向を示す。これらの平均方向193は、光軸に対して平均入射角θの向きになっている。一次電子ビーム191の光軸120からの最大距離における最大平均角θは、40mrad程度であり得る。
【0134】
図1に示す視野レンズ305は、例えば、対物レンズ装置100に入射するビーム経路がテレセントリックなビーム経路にならない程度のテレセントリックな直線性誤差をもたらすように設計され得る。これにより、図6bに示すような3次テレセントリック誤差の依存が生じる。平均入射角θは、r=0から、まず、最小の−10mradを通過し、その後、最大値rにおいて、最大の+10mradに達する。このように、図6aに示す状態と比べて、3次テレセントリック誤差の最大値がうまく低減されている。
【0135】
図6bは、以下のようにも解釈することができる。すなわち、負の最大値θ(r)が位置する内側リング部分195において、物体平面101に入射する電子ビームは、光軸から発散しており(負の平均入射角、負の最大値θi)、内側リング部分195を囲む外側リング部分196において、物体平面101に入射する一次電子ビームは、光軸に対して収束している(正の入射角、最大平均入射角θ0)。これは、以下の比率によって適切に表され得る。
【0136】
【数8】
【0137】
図5の線CSは、像面湾曲の依存をさらに示し、線E’は、光軸120に沿った電界強度Eの導関数の依存を示している。
【0138】
物体平面101から大きな距離を隔てたところから開始した場合、像面湾曲CSは、E’が負でありかつ集束磁界Bが増加している領域を除いて、徐々に増加しているようである。E’が負であり、Bが増加している領域における像面湾曲CSのこのような減少は、物体平面101におけるCSの値を減少させるのに有利である。
【0139】
図4に、ビーム管152、並びに、ビーム管152と第1の磁極片123との間の絶縁材132の形状の例示的な実施の形態を示す。その大部分において、ビーム管152は、側壁の厚さが下端まで実質的に一定の直管である。ビーム管152の下端は、ビーム管152の半径方向外面の方向に約180度曲がったビーム管152の一部によって形成されている。この下端は、円形リムとして形成され、ビーム管152の直線部分の半径方向外面と円形リム152’との間に間隙152’’が形成されている。間隙152’’は、実質的に矩形であり、ビーム管152の直線部分の側壁と平行に延びている。間隙152’’の幅t4、すなわち、半径方向寸法は、約2mmである。リム152’の断面は、リム152’の外面、すなわち、ビーム管152の直線部分と反対方向に面する表面に嵌め込まれた円の半径によって適切に示され得る。リム152’の最上部152’a、すなわち、物体平面101から最も離れた部分において、リム152’の表面形状は円C1の半径(約1.2mm)によって示すことができ、隣接部分152’bは円C4の半径(約11mm)によって示すことができ、さらなる隣接部分152’cは円C3の半径(約3mm)によって示すことができ、リム152’の半径方向外側下端152’dは円C5の半径(約6mm)によって示すことができ、リム152の半径方向内側下端152’eは円C2の半径(約1.2mm)によって示すことができる。リム152’の最上部152’aは、第1の磁極片123の半径方向内端部124から約5mmの距離t2だけ離間している。リム152’の半径方向下端152’dは、第2の磁極片125上に配置された電極144から約10mmの距離t3だけ離間している。
【0140】
ビーム管152のこのような形状、特に、リム152’の設計により、有利な電界形状を実現することが可能となる。特に、第1の磁極片123の内端部124の傾斜及び/又はテーパ状領域が、光軸120から効率的に分離される。
【0141】
半径方向内端部124のビーム管152の外面と平行に延びる部分とビーム管152の外面との間に形成された空間に、絶縁部材132が配置され、絶縁部材132は、その領域において約4mmの厚さすなわち幅t1を有する。第1の磁極片123の半径方向内端部124の直径が増加し始める領域(第1の磁極片123の傾斜又はテーパ状部分の始端、図2の平面83も参照)において、絶縁部材132は、2つの部分132’及び132’’に分かれており、部分132’は、ビーム管152半径方向外面に沿って間隙152’’の下端までさらに延び、部分132’’は、第1の磁極片123の傾斜部分に沿って短く延びている。絶縁部材132のこのような形状及び構成により、第1の磁極片123及びリム152’をビーム管の管状部分から効率的に絶縁することが可能となる。間隙152’’内部の領域には電界が全く存在しないので、クリープ電流及び表面漏れの発生を防ぐのに有利である。第1の磁極片123の傾斜(あるいは、テーパ状)部分の一部は、電極材140によって被覆されている。
【0142】
図7は、本発明に係る対物レンズ装置のさらなる実施の形態を示す。部品の参照符号は、図2の対物レンズ装置の部品のものに準拠している。第1の磁極片123の形状は、空胴が形成されていないために第4の磁極片が存在せず、従って、さらなる調整磁界が形成されないという点で、図2に示す実施の形態と異なる。代わりに、位置合わせ素子(図示せず)が、第1の磁極片123の半径方向上部内端部124’’’とビーム管152の絶縁材132との間の空間149に配置されている。ビーム管152の絶縁材132は、図4を参照しながら詳細に説明した、いくつかのサブセクション132’、132’’を含む。空胴124’’が存在しないこと以外は、第1、第2及び第3の磁極片の構成、並びに、励磁コイル及び電源の構成は、図2に示す実施の形態のものと非常に類似している。半径方向内側領域において、第2の磁極片125の物体平面101と反対方向に面する表面は電極材144によって被覆され、電極材144は、第3の磁極片163の物体平面101の方向に面する表面の半径方向内側部分上に配置された電極材144’に接続されている。第1の磁極片123と第2の磁極片125との間は、絶縁性樹脂133によって絶縁され、絶縁性樹脂133は、電極材144の半径方向外側縁部まで半径方向内向きに延びている。励磁コイル129が第1の磁極片123の内部に配置された空間は、絶縁部材143によって対物レンズ装置の内部から隔てられ、絶縁部材143の一方の端部は、ねじ145によって第1の磁極片123に取り付けられており、絶縁部材143の上記端部と第1の磁極片123との間における上記ねじに隣接する間隙には、ガスケット146が設けられている。絶縁部材143の他方の端部には、さらなるガスケット146’が設けられ、絶縁部材143のこの端部は、絶縁性樹脂133と第1の磁極片123の環状ディスク形部との間に配置されている。物体平面101と反対方向に面する励磁コイル129の側面に直接隣接して水冷システム173が配置されており、水冷システム173は、電気絶縁性のねじ175によって第1の磁極片123のヨーク130に取り付けられている。水冷システム173は、対物レンズ装置102の外部に配置された冷却水源174に接続されている。このように、水冷システムは、ほぼ大気圧環境に便利に設けられている。
【0143】
励磁コイル167及び冷却水171のラインは、第2及び第3の磁極片125、163並びにヨーク131の内部に形成された空間において注型樹脂170に埋め込まれ、第2及び第3の磁極片125、167からの電気的絶縁を実現すると共に、冷却水源172をほぼ大気圧環境に設けることを可能にしている。注型樹脂170の半径方向内端部に隣接してガスケット147が設けられ、ガスケット147もまた第2の磁極片125の物体平面101の方向に面する表面及び第3の磁極片163の物体平面101と反対方向に面する表面に押し付けられて、圧力シールを形成する。
【0144】
上記絶縁装置は、水冷装置173、174、171、172をほぼ大気圧環境とすることだけでなく、対物レンズ装置の内部の大きな空間を排気することを不要にするという点で有利である。
【0145】
第3の磁極片163と遮蔽電極154との間を電気的に絶縁すると共に、圧力シールを形成するために、遮蔽電極154と第3の磁極片163の物体平面101の方向に面する表面との間には、セラミック/注型樹脂部材134が設けられている。注型樹脂/セラミック部材134の半径方向内端部は、厚みが減少している部分を有し、樹脂/セラミック部材134のこの薄い部分と、第3の磁極片163の物体に面する表面との間にガスケット148を収容するようになっている。注型樹脂/セラミック部材134及び遮蔽電極154は、接続リング180’に取り付けられており、接続リング180’は、遮蔽電極154と位置合わせされて配置されたさらなるリング180に遮蔽電極を接続している。さらなるリング180は、その上に配置されたセラミック/樹脂素材からなるリング139を有し、リング139は、ねじ179、接続部材178、及び、ねじ176によってヨーク130に取り付けられた接続部材177により、注型樹脂/セラミック部材134及びヨーク130に接続されている。
【0146】
図8に、本発明に係る対物レンズ装置のさらなる実施の形態を示す。磁極片やビーム管などの主要部品の主なレイアウトは、上述の実施の形態のものに概ね対応している。図2及び図7の実施の形態と、図8の実施の形態との主な違いは、ビーム管に対する第1の磁極片の配置にある。前述の2つの実施の形態においては、第1の磁極片123はビーム管152から電気的に絶縁され、接地電位にあったが、図8に示す実施の形態においては、第1の磁極片1501の内側部分がビーム管1152に電気的に接続されている。特に、ビーム管1152は、第1の磁極片1501の半径方向の最も内側の部分に取り付けられている。この構成は、ビーム管1152への電圧の供給が、前述の実施の形態に比べて容易となるという点で有利である。従って、本実施の形態において、第1の磁極片は、ビーム管と同じ電位に設定される。このことは、ビーム管1152の領域の静電界あるいは磁界に何ら悪影響を与えない。第1の磁極片をある電圧に設定するには、第1の磁極片を、ビーム管1152に接続され、かつ、絶縁層1503によって第1の磁極片の第2の部分1502から電気的に絶縁された内側部分1501に分割することが必要である。第1の磁極片の内側部分1501から第1の磁極片の外側部分1502に磁束を通過させるために、内側部分1501は、第1の磁極片の外側部分1502の円筒部1502Aに面してかつこれと平行に配置された円筒部1501Aを有する。さらに、第1の磁極片の内側部分1501は、平坦な環状部分1501Bを含み、環状部分1501Bは、円筒部1501Aに半径方向外側方向に連結され、第2の磁極片の外側部分の環状部分1502Bと並列にかつこれと対向して配置され、例えば、閉磁路を使用可能にするようになっている。絶縁層1503は、第1の磁極片1501のテーパ状の内側部分のセクションに沿って延び、円筒部1501A、1502B間、及び環状部1501B、1502B間に形成された間隙を埋めている。
【0147】
図8には、第1の磁極片の内側部分1501もまた、光軸1120に対して円錐開口角αを有する円錐状セクションを含むことも示されている。
【0148】
また、励磁コイル1129の周囲に配置された水冷ライン1173も図8に示されている。
【0149】
前述の実施の形態とのさらなる違いは、第2及び第3の磁極片の取り付け、第2及び第3の磁極片間に配置された励磁コイルの冷却、及び各部品の内部空間のシーリングにある。
【0150】
セラミック絶縁材1510の3つの側面上を励磁コイル1167が覆っており、励磁コイル1167及びセラミック絶縁材1510の両方は、第2及び第3の磁極片間の空間において注型樹脂1511によって固定されている。セラミック絶縁材1510は、熱伝導性導電材料からなる外側リングに接続され、外側リングは、銅配線によって第1の磁極片に接続されている。便宜上、この構成は図8には示されていないが、図10を参照して詳述されている。図8は、第2及び第3の磁極片1163、1125を支持するための取付構造の一部を示す。取付構造は、第2及び第3の磁極片1163、1125の半径方向外面上に配置された支持ブラケット1512を含み、ブラケット1512は、第2の磁極片1125の上面及び第3の磁極片1163の下面に跨がっている。ブラケット1512と磁極片1163、1125との間には、磁極片1163、1125に沿ってさらに延びるさらなる絶縁層1513が設けられている。ブラケット1512は、取付リング1514に固定されている。取付リング1514は、第1の磁極片の下部に接続部材1516によって固定された3つの金属線1515によって適切な位置に支持されている。この取付構造により、第1の磁極片及び物体平面に対する磁極片1125、1163の位置を調整することが可能となる。さらに、この取付構造により、第2及び第3の磁極片1125、1163を完全に真空環境に配置することが可能となるので、2つの磁極片1125、1163の内部空間を排気する必要がなくなると共に、複数のシールが不要となって運転及び設置がより容易となる。
【0151】
さらなる局面において、第1の磁極片の内側部分1501の選択された形状により、内側部分1501によって形成される空間あるいは穴の内部に対物レンズ装置の上流側に配置される部品を一体化することが可能となり、これにより、検査システムの所要空間が全体として減少し、システムの光学特性が向上する。図8に示す実施の形態においては、ビーム経路スプリッタ装置1400の下部が示されており、その外面は、アウトライン1400’として概略的にかつ簡単に示されている。さらに、磁界装置1407の下部が示されている。第1の磁極片1501の内側部分の物体平面と反対方向に面する内面には、階段状の突部1501Cが形成されている。上面に絶縁層1576が取り付けられた支持要素1575が、第1の磁極片の内側部分1501の突部1501Cによって支持されかつこれに固定されている。有利には、ビーム経路スプリッタ装置の外面1400’は、そのアウトラインが、支持要素1575及びその上の絶縁層1576によって形成されるものに対応するように形成され得る。この場合、ビーム経路スプリッタ装置1400の下部は、支持要素1575と離間したままになるように、又は、支持要素1575(あるいは、絶縁層1576)上に位置するように配置され得る。このように、ビーム経路スプリッタ装置1400の下部は、第1の磁極片の円筒部1501A及び環状部分1501Bによって形成される空間に挿入される。従って、ビーム経路スプリッタ装置の下端、及び、特に、磁界装置1407の下端P1は、物体平面1101から第1の距離D1を隔てて配置され、第1の距離D1は、励磁コイル1129の上面P2と物体平面1101との間の第2の距離D2よりも小さい。従って、第1の磁極片の内側部分の円錐状の内側下部及び円筒状の上部は、ビームスプリッタ装置の一部を収容する。
【0152】
図9に、例示的なビーム経路スプリッタ装置400及び対物レンズ装置100の簡略化した実施の形態を概略的に示す。複数の一次電子ビームレットを含む一次電子ビーム経路3’は、ビーム経路スプリッタ装置400の第1の磁界部403に入射する。磁界部403は、図9に見られるように、一次電子ビーム経路を角度αだけ、一方の側に、特に、電子の移動方向右側に偏向させる均一な磁界を形成する。次いで、一次電子ビーム経路3’は、実質的に磁界が存在しないドリフト領域405を通過し、一次電子ビーム経路3’は、ドリフト領域405において直線を辿るようになっている。その後、一次電子ビーム経路3’は、一次電子ビーム経路13を角度βで右側に偏向させるための均一な磁界が形成された磁界領域407に入射する。次いで、一次電子ビーム経路3’は、物体平面101に配置された物体7の表面上に一次電子ビームレットを集束させる働きをする対物レンズ装置100に入射する。対物レンズ装置100の軸120は、システム全体の光軸zに一致している。
【0153】
対物レンズ装置100は、一次電子ビームレットに対して磁界集束機能を有する磁気レンズ群及び静電集束機能を有する静電レンズ群を含む。本発明に係るこの静電レンズ群の可能な構成については、例えば、図2及び図8を参照しながら上記に説明した。さらに、静電レンズは、物体面7に入射する前に一次電子を減速させるための電界によって一次電子に対して減速効果を発揮するように構成され得る。この図の記載に関連して言及される静電レンズ装置は、前述の実施の形態からいずれか適したものが選択され得る。
【0154】
静電レンズ装置に供給される電圧を変化させるために制御器420が設けられ、一次電子が物体に衝突する運動エネルギー、すなわち、着地エネルギーが、例えば、約0.3keV〜2.0keVの範囲で調整され得るようになっている。一次電子がビーム経路スプリッタ装置400を通過する運動エネルギーは、一般に、一定であり、物体面への一次電子の着地エネルギーに依存する。
【0155】
図示されるビーム経路スプリッタ装置のさらなる詳細についての記載は、本発明と同一譲受人の国際公開第2005/024881号(米国特許仮出願第60/500,256号)に見られる。当業者であれば、上記に示す複数の磁界領域を含むビームスプリッタを設計及び作製するための技術に精通しているであろう。米国特許第6、040,576号、又は「SMART:BESSY IIのための計画された超高分解能分光顕微鏡(A Planned Ultrahigh-Resolution Spectromicroscope For BESSY II)」(R.フィンクら(R.Fink et al),Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 84,1987年、231〜250頁、又は「低収差ビーム分離器(A Beam Separator With Small Aberration)」(H.ミューラーら(H.Muller et al),Journal of Electron Microscopy 48(3),1999年,191〜204頁)を参照されたい。
【0156】
磁界部403及び407における磁界強度の絶対値はほぼ等しく、磁界部403及び407の長さは、左側への角度αの偏向及びこれに続く右側への角度βの偏向によって引き起こされる空間分散が実質的にゼロになるように選択される。さらに、磁界部403及び407並びにドリフト領域405は、ビーム経路スプリッタ装置400によって一次電子ビーム経路3’に対して引き起こされる偏向が、1次において実質的に無非点収差であり、かつ、1次において実質的に歪曲収差を有しないように選択される。従って、物体7の表面に高品質でパターンを結像することができる。この結像品質は、物体7への一次電子の着地エネルギーに実質的に依存せずに維持される。
【0157】
複数の二次電子ビームレットを含む二次電子ビーム経路4’は、二次電子ビーム経路4’を角度γだけ右側に偏向させる磁界領域407によって一次電子ビーム経路3’から分離されている。
【0158】
例えば、約0eV〜100eVの範囲の運動エネルギーで物体7から発する二次電子は、対物レンズ装置100の静電レンズ装置によって生成される電界により、一次電子の着地エネルギーを調整するための制御器420による設定に依存する運動エネルギーに加速されることになる。従って、磁界領域407に入射する二次電子の運動エネルギーは、一次電子の着地エネルギーに依存して変化することになる。
【0159】
磁界領域407によってもたらされる二次電子ビーム経路4’に対する偏向角γは、これに応じて変化することになる。磁界領域407を出た後、二次電子ビーム経路は、二次電子ビーム経路4’をさらに右側に偏向させる均一な磁界を形成するさらなる磁場領域411に入る前に、実質的に磁界が存在しないドリフト領域409を通過する。磁界領域411の磁界強度は、制御器413によって調整され得る。磁界領域411を出た後、二次電子ビーム経路は、均一な磁界を形成するさらなる磁界領域415に直ちに入り、さらなる磁界領域415の磁界強度も、制御器413によって調整され得る。制御器413は、一次電子ビームの着地エネルギーの設定に依存して動作し、磁界領域411及び415における磁界強度を調整して、一次電子ビーム経路が、一次電子の着地エネルギー及び偏向角γに依存しない所定の位置及び所定の方向において磁界領域415を出るようにする。従って、2つの磁界領域411、415は、所定の二次電子ビーム経路4’が磁界領域415を出る際に、二次電子ビームをこれに一致するように調整する2つの連続したビーム偏向器の機能を果たす。
【0160】
制御器413によって磁界領域411、415の磁界強度が変化することにより、これら電子光学素子411、415が二次電子に対して有する四重極作用が変化する。四重極作用のこのような変化を補償するため、磁界領域415のすぐ下流側に、さらなる磁界領域419が設けられている。磁界領域419においては、均一な磁界が形成されており、その磁界強度は、制御器413によって制御される。また、磁界領域419の下流側には、四重極レンズ421が設けられており、四重極レンズ421は、着地エネルギーの異なる一次電子に対してビーム経路を補償する際に磁界部411、415によって引き起こされる残りの四重極作用を磁界領域419と協働して補償するように、制御器413によって制御される。
【0161】
二次電子ビーム経路に設けられた電子光学部品407、409、411、415、419及び421は、一次電子の着地エネルギーの1つの特定の設定に対して、ビーム経路スプリッタ装置400を通過する二次電子ビーム経路が、1次において実質的に無非点収差であり、1次において歪曲収差を有さず、かつ、1次において分散補正されるように構成されている。このような結像品質は、2kV以外の着地エネルギーの設定に対して維持されるが、一定限度量の分散補正の低下は生じる。
【0162】
尚、磁界部407、411、415及び419の領域には、物体平面101の中間像が形成される。中間像の位置は、一次電子の着地エネルギーの設定及びこれに応じた二次電子の運動エネルギーに依存して、ビーム軸に沿って変化する。
【0163】
図10に、特に図8に示す実施の形態で用いるのに適した、固体材料による冷却に完全に基く冷却装置の一実施の形態を概略的に示す。同様の参照符号は、同様の部品を示す。この例示的な実施の形態において、励磁コイル1167は、実質的に全ての側においてセラミック電気絶縁層1510で囲まれている。励磁コイル1167及び絶縁層1510の両方は、光軸の周りを一周して(図示しない外部電源に接続された、セラミック絶縁材を貫通する励磁コイルの電気的接続部を除いて)実質的に連続して延びている。励磁コイル1167とセラミック絶縁材1510からなる装置の3つの側には、電気絶縁材料(この場合は、注型樹脂)からなるさらなる層1511が形成されている。セラミック絶縁材1510は、接続部材1510Aによって、セラミック材料1512からなるリングと、銅製の内部コア1510Cを収容する外側セラミック外装体1510Bを含むリングとを両方含む外側リングに接続されている。両方のリングは、第2及び第3の磁極片1125、1163に固定して取り付けられ、また、図8を参照しながら説明した取付リング1514に固定されている。セラミック接続部材1510Aは、励磁コイル1167を囲むセラミック絶縁材1510と、銅製コアリング1510C及びセラミックリング1512との間に熱伝導接触をもたらし、励磁コイル1167によって発生する熱を除去する。銅製コアリング1510C及び励磁コイル1167の周囲のセラミック絶縁材1510と異なり、接続部材1510Aは、連続したリングとしてではなく、第2及び第3の磁極片1125、1163と一体に形成されかつこれらを接続するヨークの円周に配置された小リングセクションとして形成されており、この小セクションは、上記ヨークの第2及び第3の磁極片1125、1163の半径方向外面を貫通している。銅製リング及びセラミックリング、すなわち、1510A〜1510Cは、(図示しない)銅線によって、対物レンズ装置の排気された内部の外側にある冷却システムに接続されている。この接続は、例えば、取付構造に関連して図8に示すワイヤ1515及び接続片1516と同様に構成してもよく、第1の磁極片内に収容された励磁コイルの冷却システムに接続されるように第1の磁極片を貫通して延びていてもよい。このようにして、冷却システムの励磁コイルからの電気的絶縁を容易にすると共に、第2及び第3の磁極片に対して自在な取付構造を実現可能な冷却システムが形成される。
【0164】
図11に、図8に示すような、取付リング1514に支持された第2及び第3の磁極片の半径方向位置を調整するための調整装置を概略的にかつ簡単に示す。取付リング1514の穴1594’に、調整ねじ1594が収容される。穴1594’の下端、及び従ってねじ1594の下端は、互いに重ね合わせられた2つのボール1597、すなわち、上部及び下部ボール並びに楔形部材1596を収容するチャンバ1595の上部に連動連結され、楔形部材1596の尖った縁部1596’は、2つのボール1597の間に配置されている。この装置は、図11においてその効果についてのみ矢印1598で示すカウンタベアリングをさらに含み得る。チャンバ1595の上部及びねじ1594は、ねじ1594の回転によって、ねじ1594が取付リング1514及びチャンバ1595内に動くばかりでなく、ねじ1594が回転する際に上側ボールが下側に押されるだけでなく、下部ボールが上側に押されるように取付リング1514をチャンバの底部とともに上側に押すようにさらに連結されている。2つのボールがさらに互いに近づくように押されると、2つのボールの両方は、楔形部材1596が半径方向に移動されるような力を楔形部材1596に対して及ぼす。楔形部材は第2及び第3の磁極片に連動連結されているので、この半径方向の移動は、第2及び第3の磁極片の半径方向の移動に変換される。同じ原理がねじ1594の他方の方向への移動にも当てはまり、ボール1597がさらに互いから離れるように移動し、楔形部材1596がチャンバのさらに奥へ移動し、ここでもまた磁極片の半径方向の移動をもたらす。
【0165】
図12に概略的に示す実施の形態は図8に示すものと概ね対応しており、図12に示す実施の形態が加熱システムを含む点が異なっている。図示の加熱システムは、第2の励磁コイル1167の内部に設けられた加熱コイル1199を含む。加熱コイル1199は、第2の励磁コイル1167と同じ材料からなるワイヤのいくつかの巻線を含み、第2の励磁コイル1167を形成するワイヤに隣接して配置されている。加熱コイル1199は、電源PSに接続され、制御ユニットC1によって制御される。制御ユニットC1は、電源PSによって加熱コイル1199に供給される電流を、第2及び第3の磁極片1163、1125の温度並びに第2の励磁コイル1167に供給される励磁電流に依存して制御する。第2及び第3の磁極片1163、1125の温度は、温度センサT1及びT2によって測定され、温度センサT1及びT2は、制御ユニットC2に測定温度のデータを供給する。第2の励磁コイル1167に供給される励磁電流は、制御ユニットC3によって制御される。制御ユニットC2及びC3は、第2及び3の磁極片1163、1125の温度のデータ並びに第2の励磁コイル1167に供給される励磁電流のデータを、加熱システムの制御装置C1に供給し、制御装置C1は、供給されたデータに基づいて加熱コイル1199に供給される励磁電流を算出する。制御ユニットC1、C2、C3は、単一の制御ユニットの一部であってもよい。このように、磁極片、及び対物レンズ装置の内部環境は、一定温度に維持され、一定の環境を保ち得る。
【0166】
図13に、第2及び第3の磁極片1163、1125の内面間に形成される角度を表すために図8に示す実施の形態の詳細を示す。第2の磁極片1125は、第3の磁極片1163に面する表面1125Sを有し、第3の磁極片1163は、第2の磁極片1125に面する表面1163Sを有する。図13にIPR1として示す光軸1120を中心とする第1の環状部において、第2及び第3の磁極片1125、1163の表面1125S、1163Sは、これらの間に、約9°の角度β1を形成している。図13にIPR2として示す光軸1120を中心とする第2の環状部において、第2及び第3の磁極片1125、1163の表面1125S、1163Sは、これらの間に、約10°の角度β2を形成している。図13にIPR3として示す光軸1120を中心とする第3の環状部において、第2及び第3の磁極片1125、1163の表面1125S、1163Sは、これらの間に約15°の角度β3を形成している。従って、物体7に対する第2及び第3の磁極片1125、1163の小さな角度に関して、磁極片ひいては対物レンズ装置全体が比較的に幅広くかつ平坦に構成される。
【0167】
本発明をその特定の具体的な実施の形態に関しても説明したが、当業者には多くの代替例、変形例が理解されることは明らかである。従って、本明細書に記載される本発明の例示的な実施の形態は、説明を目的とし、いかなる限定を意図するものではない。請求項に記載される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
図1図1は、本発明の一実施の形態における電子顕微鏡システムの基本的な特徴及び機能を概略的に示す。
図2図2は、図1に示す電子顕微鏡システムにおいて用いられ得る対物レンズ装置の一実施の形態の概略図である。
図3図3は、図2に示す磁界生成部品の機能を説明するための電極構成を示す。
図4図4は、図2に示す対物レンズ装置のビーム管の下部の拡大図を示す。
図5図5は、図2に示す対物レンズ装置の実施の形態によって提供される光軸に沿った複数の物理的特性を示す。
図6図6a、図6bは、図1に示す電子顕微鏡システムの物体平面における平均入射角の半径方向依存を説明するためのグラフを示す。
図7図7は、本発明に係る対物レンズ装置のさらなる実施の形態を概略的に示す。
図8図8は、本発明に係る対物レンズ装置のさらに別の実施の形態を示す。
図9図9は、ビーム経路スプリッタ装置の例示的な一実施の形態を示す。
図10図10は、図8に示す実施の形態において用いられる冷却構造を示す。
図11図11は、図8に示す実施の形態において第2及び第3の磁極片を支持するための取付構造において用いられる調整機構を示す。
図12図12は、図8に示す実施の形態に組み込まれた加熱システムを示す。
図13図13は、図8に示す実施の形態の詳細を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13