特許第5663729号(P5663729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663729原動機付き車両の開閉パネルを自動的にロック解除する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663729
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】原動機付き車両の開閉パネルを自動的にロック解除する装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20150115BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20150115BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   E05B49/00 K
   E05B49/00 R
   B60R25/01
   B60R16/02 630J
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-529557(P2011-529557)
(86)(22)【出願日】2009年10月1日
(65)【公表番号】特表2012-504717(P2012-504717A)
(43)【公表日】2012年2月23日
(86)【国際出願番号】EP2009062771
(87)【国際公開番号】WO2010037821
(87)【国際公開日】20100408
【審査請求日】2012年9月4日
(31)【優先権主張番号】08/05457
(32)【優先日】2008年10月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506415218
【氏名又は名称】ヴァレオ セキュリテ アビタクル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック グアン
【審査官】 神崎 共哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−002095(JP,A)
【文献】 特開2008−138440(JP,A)
【文献】 特開2001−355363(JP,A)
【文献】 特開2005−135271(JP,A)
【文献】 特開2005−307692(JP,A)
【文献】 特開2001−271527(JP,A)
【文献】 特開2006−124943(JP,A)
【文献】 特開2002−047839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両(1)の少なくとも1つの開閉部材(3)を、自動的にロック及び/又はロック解除する装置であって、前記車両内に設置されるように構成されている中央処理ユニット(5)と、携帯型識別部材(17)とを含む遠隔操作開閉システム(4)を備え、前記中央処理ユニット(5)は、無線周波数を利用して、前記携帯型識別部材(17)の認証を行なうことができ、前記装置は更に、身体の一部の所定の動き(25)を離れた場所から認識して、前記動きが行なわれた箇所の前面の前記少なくとも1つの開閉部材を、前記動き(25)が登録者の動きであると認識される場合に、ロック及び/又はロック解除する遠隔操作光学認識手段(13)を備えており、かつ前記中央処理ユニット(5)は、前記遠隔操作光学認識手段(13)を、前記携帯型識別部材(17)から送出される無線周波数信号を前記中央処理ユニット(5)が受信するときに作動させる作動手段(11)を含み、
前記中央処理ユニット(5)は、前記携帯型識別部材(17)から送出される前記無線周波数信号を、前記遠隔操作光学認識手段(13)が作動した後に、かつ前記原動機付き車両(1)の別の開閉部材(3)が開くまで無効化するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記作動手段(11)は、前記携帯型識別部材(17)の認証に応答して制御されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の原動機付き車両(1)の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項3】
前記携帯型識別部材(17)は、前記携帯型識別部材(17)からの作動指令がユーザ(21)によって出されるときに、無線周波数信号を繰り返し送出するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の原動機付き車両(1)の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項4】
前記中央処理ユニット(5)は、前記車両と前記携帯型識別部材との距離を推定する手段を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を、自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項5】
前記車両と前記携帯型識別部材との距離を推定する前記手段は、前記携帯型識別部材(17)から送出され、かつ前記中央処理ユニット(5)により受信される無線周波数信号の電力の推定値を利用していることを特徴とする、請求項4に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項6】
前記車両(1)と前記携帯型識別部材(17)との距離を推定する前記手段は、超音波トランスデューサを含み、かつ前記携帯型識別部材(17)から送出される無線周波数信号を受信することにより作動するようになっていることを特徴とする、請求項4に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項7】
前記遠隔操作光学認識手段(13)は、前記携帯型識別部材(17)が前記車両(1)の周りの所定の周囲領域内に位置するときに作動するようになっていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項8】
前記無線周波数信号は、50〜500MHzの高周波波形から成ることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項9】
前記携帯型識別部材(17)は、前記無線周波数信号の送出を、所定時間が経過した後に中断するように構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項10】
前記携帯型識別部材(17)は、前記無線周波数信号の送出を、前記携帯型識別部材(17)からの作動解除指令が、前記ユーザ(21)によって出されるときに中断するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項11】
前記携帯型識別部材(17)は再充電可能なバッテリを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の原動機付き車両(1)の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項12】
前記携帯型識別部材(17)は、前記バッテリの充電レベルを測定する手段と、前記遠隔操作光学認識手段(13)を作動させるために用いられる無線周波数信号の送出を、前記バッテリの前記充電レベルが所定のレベルを下回る場合に無効化する無効化手段とを含むことを特徴とする、請求項11に記載の原動機付き車両(1)の少なくとも1つの開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材を自動的にロック解除する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による装置は、例えば識別番号を付与された車両のユーザが、車両の直ぐ傍で操作を行なう必要なく、車両の中に入ることができるようにするための無線周波数受信機を備える車両に適用することができる。
【0003】
最先端技術では、操作を何もしないで接近を可能にする装置は、大抵、ハンズフリーアクセスシステムに接続された接近センサを備えているので、認証処理は、接近センサが、ユーザが居ることを検出したときにのみ開始される。従って、認証処理が正しく働いた場合、認識装置は、車両の1つ以上の開閉部材のロック解除を開始する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インタラクティブシステムでは、望まないのに、時として、開閉部材のロックが解除されるという問題がある。単に、バッジ着用者が車両の周囲に居るだけで、ドアのロックを解除するのに十分であり、かつバッジと車両の送信/受信ユニットとの間で信号授受することにより、ドアのロック解除を、ユーザがロック解除を希望していないのに、またはユーザがロック解除に気付くことなく指令するという状況が発生する。
【0005】
従って、システムが、車両の開閉部材群の全てをロック解除する場合、悪意を持った人物が車両に近づいて、例えば物品を車両から盗む危険が生じる。
【0006】
更に、これらのハンズフリーアクセスデバイスには、高価な機器が付随することになり、このハンズフリーアクセスデバイスは、永続的な走査を周囲に対して行なうために、一定のエネルギーを必要とする。このエネルギーの消費によって、車両がエンジンを停止して停車している場合には、車両のバッテリが早期に放電してしまい、そのため車両が発進できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の1つの目的は、最先端技術における上述の不具合を解決することにあり、更には、原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材を、車載機器を少なくする必要がある遠隔制御により、自動的にロック及び/又はロック解除して、望まないロック及び/又はロック解除を防止することを可能にする装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、光学認識手段によるバッテリ消費量を、前記手段の起動条件を改善することにより抑制することにある。この目的のために、本発明は、ハンズフリーシステムタイプのシステムに関して考案されているだけでなく、携帯型識別部材から車両内に設置される中央処理ユニットのようなコンピュータへの単方向無線周波数送信を行なうことにより、ドアを開放する装置にも関するものである。
【0009】
この目的のために、本発明の主題は、原動機付き車両の少なくとも1つの開閉部材を、自動的にロック及び/又はロック解除する装置であり、この装置は、前記車両内に設置されるように構成されている中央処理ユニットと、携帯型識別部材とを含む遠隔操作開閉システムを備え、前記中央処理ユニットは、無線周波数を利用して、前記識別部材の認証を行なうことができ、かつ前記装置は身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識して、前記動きが行なわれた箇所の前面の前記少なくとも1つの開閉部材を、前記動きが登録者の動きであると認識される場合に、ロック及び/又はロック解除する光学手段を備えることを特徴とし、前記中央処理ユニットは、前記遠隔操作光学認識手段を、前記携帯型識別部材から送出される無線周波数信号を前記中央処理ユニットが受信するときに作動させる作動手段を含むことを特徴とする。
【0010】
第1の実施形態によれば、前記作動手段は、前記携帯型識別部材の認証に応答して制御される。
【0011】
別の実施形態によれば、前記携帯型識別部材は、前記識別部材からの作動指令がユーザによって出されるときに、無線周波数信号を繰り返し送出するように構成されている。
【0012】
別の実施形態によれば、前記中央処理ユニットは、前記車両と前記携帯型識別部材との距離を推定する手段を含んでいる。
【0013】
更に別の実施形態によれば、前記車両と前記携帯型識別部材との距離を推定する前記手段は、前記携帯型識別部材から送出され、かつ前記中央処理ユニットにより受信される無線周波数信号の電力の見積もり値を利用するようになっている。
【0014】
補足的な実施形態によれば、前記車両と前記携帯型識別部材との距離を推定する前記手段は、超音波トランスデューサを含み、前記携帯型識別部材から送出される無線周波数信号を受信することにより作動する。
【0015】
補足的な実施形態によれば、前記遠隔操作光学認識手段は、前記携帯型識別部材が車両の周りの所定の周囲領域内に位置するときに作動するようになっている。
【0016】
別の実施形態によれば、前記無線周波数信号は、50〜500MHzの高周波波形からなっている。
【0017】
更に別の実施形態によれば、前記識別部材は、前記無線周波数信号の送出を、所定時間が経過した後に中断するように構成されている。
【0018】
補足的な実施形態によれば、前記識別部材は、前記無線周波数信号の送出を、前記識別部材からの作動解除指令が、前記ユーザによって出されるときに中断するように構成されている。
【0019】
別の実施形態によれば、前記中央処理ユニットは、前記識別部材から送出される無線周波数信号を、前記遠隔操作光学認識手段が作動した後に、かつ前記原動機付き車両の別の開閉部材が開くまで、無効化するように構成されている。
【0020】
更に別の実施形態によれば、前記携帯型識別部材は、再充電可能なバッテリを含んでいる。
【0021】
補足的な実施形態によれば、前記識別部材は、前記バッテリの充電レベルを測定する手段と、前記遠隔操作光学認識手段を作動させるために用いられる無線周波数信号の送出を、前記バッテリの前記充電レベルが所定のレベルを下回る場合に無効化する無効化手段とを含んでいる。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明に関して想到し得る実施形態を例示的に、かつ非限定的に示す添付の図面を参照しながら、以下の説明を一読することにより、明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の装置を備える車両の平面図である。
図2】本発明の装置のブロック図である。
図3】運転者が車両のトランクを開けようとしている状態における図1の車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「識別部材」とは、識別部材の外部、具体的には、遠隔制御装置の外部にある装置による識別を可能にする信号を送出することができる機器の全てのタイプを指す。
【0025】
「開閉部材」とは、ヒンジ開閉方式またはスライド開閉式の車両サイドドア、及びトランクまたはテールゲートを指す。
【0026】
本発明による装置の種々の構成要素について、図を参照しながら以下に更に詳細に説明する。これらの図では、同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0027】
図1は、本発明による装置を備える原動機付き車両1を示し、この装置は、原動機付き車両1の1つ以上の開閉部材3を自動的にロック解除するようになっている。図2に詳細に示されているこの装置2は、遠隔操作開閉システム4を備え、この遠隔操作開閉システム4は、車両1の内部に設置されるように構成されている中央処理ユニット5を含み、この中央処理ユニット5は、例えば各ハンドル9の位置に、または各ハンドル9内に設置される周辺装置7に接続されている(図1)。「ハンドル」9という語は、ドアのハンドルだけでなく、車両のテールゲートまたはトランクのハンドルも意味していることを理解されたい。
【0028】
周辺装置7は、例えばユーザの身体の一部の所定の動き、具体的には、足の動きの認識を可能にする、好ましくは足の回転、または足の回転方向の認識を可能にするカメラ13のような遠隔操作光学認識手段と、車両1のユーザ21が着用する携帯型識別部材17から送出される無線信号を受信することができる、少なくとも1つの無線周波数受信機15とを含んでいる(図3)。
【0029】
図示しない別の実施形態によれば、米国特許第US2006/044800号から知ることができるような赤外線センサを使用することを、ユーザの動きを追跡し、かつ認識するために考えることができる。
【0030】
明らかなことであるが、少なくとも1つの受信機15を、これらのハンドルとは別の車両の他の箇所に、例えば車両のルーフに、アップライトまたはバンパーに配置することもできる。
【0031】
カメラ13を、白黒カメラまたはカラーカメラとすることができる。このカメラは、中央処理ユニット5内に位置する作動手段11によって作動し、光軸18が車両1の横断面または後部面と直交して、開閉部材に相対するときに、カメラが遮蔽物の影響を絶対に受けることがないように配置しておくと有利である。
【0032】
識別部材17は、例えばバッジまたは遠隔制御装置の形状に作製され、中央処理ユニット5に接続されている無線周波数受信機15との無線周波数による遠隔通信を可能にする無線周波数信号を送出することができる手段を備えている。無線周波数信号の送出は、識別部材17に設けられる指令手段が作動することにより開始される。例えば、識別部材17が遠隔制御装置である場合、指令ボタンを押下することにより、無線周波数信号を所定時間に亘って送出することができる。または、例えば指令ボタンを再度押下することにより、指令手段の作動が停止するまで送出することができる。
【0033】
この通信は、具体的には、識別部材17の認証を行なうために、すなわち、前記部材17が実際に車両1に関連付けられていることをチェックするために使用される。
【0034】
上記の認証は、受信機15が受信する無線周波数信号を分析することにより行なわれる。
【0035】
更に、携帯型識別部材17は、エネルギー源として、バッテリまたは蓄電池と、そして好ましくは、このエネルギー源のエネルギー量を判断する手段とを備えている。更に、無線周波数信号を送出して、原動機付き車両1の開閉部材3の自動開放を可能にする機能は、利便機能として考えることができる。従って、識別部材17のバッテリ、または蓄電池のエネルギー量が、所定の値を下回る場合、携帯型識別部材17は、前記利便機能を無効化して、例えば車両1の開閉部材3の手動ロック解除のような基本機能に利用可能なエネルギーを消費せずに保存しておく。
【0036】
別の実施形態では、携帯型識別部材17は、無線周波数を送出することにより、従来通りの認証を受けて、車両のドアを開放するためにのみ使用されるモジュールを有し、このモジュールには、第1バッテリから、電力が供給される。携帯型識別部材17は更に、本利便機能のためにのみ使用されるモジュールを備え、このモジュールは、第1バッテリとは異なる再充電可能なバッテリから電力供給されるので、再充電可能なバッテリが消耗することにより、利便機能が単に停止するだけである。
【0037】
好適な実施形態では、車両は、車両のバッテリの充電レベルを測定する手段を備え、この手段は、このレベルを基準レベルと比較することができる。この手段は、例えば中央処理ユニット5から成っている。バッテリの充電レベルが基準レベル以下に低下すると、中央処理ユニット5は、カメラの起動機能を停止させるように指令する。
【0038】
この目的のために、中央処理ユニット5は、識別モジュールに問い合わせる機能、及び/又はこの識別モジュールから送出され、かつカメラを起動するために用いられる信号を受信し、かつ認識する機能が停止するように指示する。
【0039】
車両の内部で行なわれ、かつカメラを起動するために用いられる処理が、このように無効化されると、車両のバッテリの消費量の一部が削減され、バッテリの残りの耐用年数は、それに応じて延びる。
【0040】
本発明を更に深く理解するために、本発明の使用例について、図3を参照しながら説明する。
【0041】
識別部材17を装着した原動機付き車両1のユーザ21が、両腕を使って運び込む必要のある物品を、このユーザの車両のトランクに収容しようとしている。
【0042】
まず、ユーザは、無線周波数信号の送出を、識別部材17に、この目的のために設置されている指令ボタンを押下することにより開始する。この送出は、好ましくは繰り返し行なわれる。無線周波数信号の到達範囲は限られているので、この信号は、車両に設置された無線周波数受信機によって、ユーザが車両に近い領域19に居るときにのみ受信される(図1)。この領域19のサイズは、送出信号の電力によって変わる。
【0043】
次に、ユーザは、識別部材17をユーザのポケットに入れる。次に、ユーザは、両手が空くので、ユーザがその車両のトランクに収納しようとしている物品を両手で持つことができる。ユーザは、車両に近づくことにより、識別部材17から送出される無線周波数信号の到達範囲に対応する領域19に進入する。従って、これらの信号は、車両1に設けられる無線周波数受信機15によって受信され、次に、中央処理ユニット5に送信され、次に分析されて、前記信号の発信元の認証を行ない、これらの信号が、車両1に対応している識別部材17から送出される信号に対応することをチェックする。
【0044】
認証が成功した場合、遠隔操作開閉システム4は、車両のこれらの開閉部材3の全てに関して「ロック解除準備」状態になる。更に、受信信号を分析すると、ユーザが位置する場所までの距離を、例えばこれらの信号の電力を測定することにより、そして送信元と受信機との距離に応じた受信電力のデータベースと比較することにより、推定することもできる。この場合、遠隔操作開閉システム4は、前記距離が所定の距離を下回って、例えば5m未満である場合にのみ、「ロック解除準備」状態になる。更に、ユーザの接近のような更に別の条件を導入して、光学認識手段の作動を、識別部材が車両の近傍の周囲領域に収容されているときに回避することもできる。「ロック解除準備」状態になる結果、例えばカメラ13のような光学認識手段が作動し、画像を記録し始める。従って、身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識する光学手段、特にカメラ13は、認証が成功した後に中央処理ユニット5によって作動するだけであり、これにより、車両1のバッテリのエネルギーの管理を最適化することができる。従って、これらのカメラは、必要なときにのみエネルギーを消費する。別の表現をすると、ユーザ21が車両1の近くに居るときにのみ、エネルギーを消費する。
【0045】
別の構成として、認証が成功する場合、超音波測定システム(図示せず)を作動させて、ユーザが位置する場所までの距離を求めることができ、次にこのシステムは、「ロック解除準備」状態を、ユーザ21が車両1の近くに居るときに起動する。
【0046】
まず、ユーザ21が位置する箇所の前面の開閉部材3を、カメラ13、及び中央処理ユニット5の画像処理コンピュータ24を介して特定するのが好ましい。
【0047】
一旦、中央処理ユニット5が、注目する開閉部材を確認すると、他の開閉部材に取り付けたカメラ13は、画像の記録を停止して、画像処理コンピュータ24の処理能力を確保し、受信無線周波数信号を、例えば別のドアの開放のような所定のイベントが生じるまで無効化する。
【0048】
別の構成として、接近センサ26をハンドル内に、またはハンドルの近くに設置して、注目する開閉部材のカメラのみを作動させることもある。
【0049】
この例では、開閉部材3は、原動機付き車両1のトランクである。
【0050】
次に、身体の一部の所定の動きを、カメラ13によって離れた場所から光学的に認識する。カメラ13によって身体の一部の所定の動きを離れた場所から光学的に認識するこのステップは、階調画像に基づいて行なわれ、画像処理コンピュータ24の能力/費用の組み合わせを最適化することが好ましい。
【0051】
足25の動きを認識すること、特にユーザの足が回転する動きを、または回転する方向を認識する能力を備えることが賢明であることが分かっている。足25の動きは、カメラ及び画像処理コンピュータが認識することができるが、不連続である。
【0052】
足25の動きが、登録者の動きであると認識される場合、足25の動きが行なわれた箇所の前面の開閉部材3は、ロック解除される。すなわちロックが解かれる。
【0053】
車両のトランクに適切なバネを設けて、トランクを自動的に開放位置に駆動すると、車両のトランクが開放される。
【0054】
開閉部材に、開閉部材の開放をアシストするモータ駆動ユニット(図示せず)を設ける場合、中央処理ユニット5は、開閉部材の自動開放を、モータ駆動アシストユニットを介して開始する。
【0055】
このように、本発明の特徴によると、ユーザは、そのユーザの車両を、容易にかつ安全に操作することができる。このシステムはまた、機器を簡略化し、かつエネルギー消費の管理を最適化して、極めて優れた機能を発揮する。
【0056】
原動機付き車両の開閉部材の開放について上に説明した例示的な実施形態の、1つの変形例として、開閉部材の閉鎖に、同じステップ群及び同じ手段を用いて適用することができる。
【0057】
中央処理ユニットは、開閉部材の開放/閉鎖状態を、同じステップ群が行なわれるときに即座に識別し、開閉部材の閉鎖または開放を、開閉部材の該当する開放状態または閉鎖状態に応じて、それぞれ開始するので有利である。
【0058】
上に説明した手段によって制御することができる開閉部材は、原動機付き車両のトランク開閉部に限定されない。開閉部材は、サイドドア、窓、開閉ルーフ、または公知のタイプの車両に適合させた他のいずれかのタイプの開閉部材であってもよい。
【0059】
例えば、本発明の手段は、ロック及び/又はロック解除を行なうために、及び/又は幾つかの開閉部材を、モータ駆動により同時に開放したり、または閉鎖したりするために用いることができる。
【0060】
本発明は、車両における開閉ルーフを備える複数の窓を、同時に閉鎖、及び/又は開放するために適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 原動機付き車両
2 装置
3 開閉部材
4 遠隔操作開閉システム
5 中央処理ユニット
7 周辺装置
9 ハンドル
11 作動手段
13 カメラ
15 無線周波数受信機
17 携帯型識別部材
18 光軸
19 領域
21 ユーザ
24 画像処理コンピュータ
25 足
26 接近センサ
図1
図2
図3