特許第5663730号(P5663730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663730
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】弾性波装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20150115BHJP
   H03H 3/08 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H03H9/25 A
   H03H3/08
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-534507(P2013-534507)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】JP2013000802
(87)【国際公開番号】WO2013128823
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2013年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-41644(P2012-41644)
(32)【優先日】2012年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514250975
【氏名又は名称】スカイワークス・パナソニック フィルターソリューションズ ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】松島 賢一
【審査官】 橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−117730(JP,A)
【文献】 特開2008−227748(JP,A)
【文献】 特開2009−267484(JP,A)
【文献】 特開2009−010559(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/057699(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/134928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/25
H03H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板の上面に設けられた櫛形電極と、
前記櫛形電極に接続された配線と、
前記圧電基板の前記上面に設けられ、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーと、
前記素子カバーの上面に設けられた第1の電極と、
前記圧電基板の前記上面に設けられて、前記素子カバーと前記第1の電極とを覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂の上面に設けられた端子電極と、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極と前記端子電極とを電気的に接続する第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極は電気メッキにより形成された金属よりなり、
前記第1の電極のメッキ粒径は前記第2の電極のメッキ粒径よりも大きい、弾性波装置。
【請求項2】
圧電基板と、
前記圧電基板の上面に設けられた櫛形電極と、
前記櫛形電極に接続された配線と、
前記圧電基板の前記上面に設けられ、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーと、
前記素子カバーの上面に設けられた第1の電極と、
前記圧電基板の前記上面に設けられて、前記素子カバーと前記第1の電極とを覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂の上面に設けられた端子電極と、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極と前記端子電極とを電気的に接続する第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極のヤング率は前記第2の電極のヤング率よりも小さい、弾性波装置。
【請求項3】
圧電基板と、
前記圧電基板の上面に設けられた櫛形電極と、
前記櫛形電極に接続された配線と、
前記圧電基板の前記上面に設けられ、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーと、
前記素子カバーの上面に設けられた第1の電極と、
前記圧電基板の前記上面に設けられて、前記素子カバーと前記第1の電極とを覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂の上面に設けられた端子電極と、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極と前記端子電極とを電気的に接続する第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極は無光沢銅メッキにより形成された金属よりなり、
前記第2の電極は光沢銅メッキにより形成された金属よりなる、弾性波装置。
【請求項4】
圧電基板と、
前記圧電基板の上面に設けられた櫛形電極と、
前記櫛形電極に接続された配線と、
前記圧電基板の前記上面に設けられ、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーと、
前記素子カバーの上面に設けられた第1の電極と、
前記圧電基板の前記上面に設けられて、前記素子カバーと前記第1の電極とを覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂の上面に設けられた端子電極と、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極と前記端子電極とを電気的に接続する第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極の内部応力は引っ張り応力であり、
前記第2の電極の内部応力は圧縮応力であり、
前記第1の電極の前記内部応力の大きさは前記第2の電極の前記内部応力よりも小さい、弾性波装置。
【請求項5】
圧電基板と、
前記圧電基板の上面に設けられた櫛形電極と、
前記櫛形電極に接続された配線と、
前記圧電基板の前記上面に設けられ、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーと、
前記素子カバーの上面に設けられた第1の電極と、
前記圧電基板の前記上面に設けられて、前記素子カバーと前記第1の電極とを覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂の上面に設けられた端子電極と、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極と前記端子電極とを電気的に接続する第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極の密度は前記第2の電極の密度よりも小さい、弾性波装置。
【請求項6】
圧電基板の上面に櫛形電極および配線を形成するステップと、
前記圧電基板の前記上面に、空間を介して前記櫛形電極を覆う素子カバーを形成するステップと、
前記素子カバーの上面に無光沢電解銅メッキにより第1の電極を形成するステップと、
前記圧電基板の前記上面に、前記素子カバーと前記第1の電極を覆う封止樹脂を形成するステップと、
前記封止樹脂を貫通して前記第1の電極を露出させる穴を形成するステップと、
前記穴を充填する第2の電極と前記封止樹脂の上面に配置される端子電極を光沢電解銅メッキにより形成するステップと、
を含み、
前記第1の電極のメッキ粒径は前記第2の電極のメッキ粒径よりも大きい、弾性波装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の弾性波装置1の断面図である。弾性波装置1は、圧電基板2と、圧電基板2の上に設けられた櫛形電極3と、圧電基板2の上に設けられた配線4と、櫛形電極3を包囲する側壁5と、側壁5の上面に設けられた蓋体7と、蓋体7の上に設けられた電極8と、蓋体7および電極8を上から封止する封止樹脂9と、封止樹脂9を貫通する電極10と、電極10の上面に設けられた端子電極11とを有する。側壁5は櫛形電極3が励振する空間6を囲む。蓋体7は空間6を上方から覆う。
【0003】
弾性波装置1に類似する従来の弾性波装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−185976号公報
【発明の概要】
【0005】
弾性波装置は、圧電基板と、圧電基板上面に設けられた櫛形電極と、櫛形電極に接続された配線と、圧電基板上に設けられて空間を介して櫛形電極を覆う素子カバーと、素子カバー上に設けられた第1の電極と、素子カバーと第1の電極とを覆う封止樹脂と、封止樹脂上に設けられた端子電極と、封止樹脂を貫通して第1の電極と端子電極とを電気的に接続する第2の電極とを備える。
【0006】
この弾性波装置では、第1の電極と第2の電極は電気メッキにより形成された金属よりなる。第1の電極のメッキ粒径は第2の電極のメッキ粒径よりも大きい。
【0007】
若しくは、この弾性波装置では、第1の電極のヤング率は第2の電極のヤング率よりも小さい。
【0008】
若しくは、この弾性波装置では、第1の電極は無光沢銅メッキにより形成された金属よりなり、第2の電極は光沢銅メッキにより形成された金属よりなる。
【0009】
若しくは、この弾性波装置では、第1の電極の内部応力は引っ張り応力であり、第2の電極の内部応力は圧縮応力であり、第1の電極の内部応力の大きさは第2の電極の内部応力よりも小さい。
【0010】
若しくは、この弾性波装置では、第1の電極の密度は第2の電極の密度よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施の形態における弾性波装置の断面図である。
図2A図2Aは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図2B図2Bは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図2C図2Cは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図3A図3Aは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図3B図3Bは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図3C図3Cは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図4A図4Aは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図4B図4Bは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図4C図4Cは実施の形態における弾性波装置の製造方法を示す断面図である。
図5図5は従来の弾性波装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は実施の形態における弾性波装置21の断面図である。
【0013】
図1において、弾性波装置21は、圧電基板22の上面22Aに設けられた櫛形電極23と、圧電基板22の上面22Aに設けられた配線24と、圧電基板22の上面22Aに設けられた側壁25と、側壁25の上面25Aに設けられた蓋体27と、配線24の上面24Aから蓋体27の上面27Aにかけて設けられた電極29と、蓋体27および電極29を上方から封止する封止樹脂30と、封止樹脂30を貫通する電極31と、電極31の上面31Aに設けられた端子電極32とを有する。側壁25は櫛形電極23を囲み、櫛形電極23が励振する空間26を構成する。
【0014】
圧電基板22は、回転YカットX伝播の単結晶タンタル酸リチウムからなり、その板厚は100〜350μm程度である。
【0015】
櫛形電極23は圧電基板22の上面22Aに形成されたアルミニウムを主成分とする金属よりなり、櫛形電極23に電圧を印加することにより圧電基板22の上面22Aに弾性表面波を励振する。櫛形電極23の表面には、必要に応じて酸化ケイ素などの誘電体からなる保護膜が形成されている。
【0016】
配線24は、圧電基板22の上面22Aに形成された導体よりなり、櫛形電極23に電気的に接続されている。
【0017】
側壁25は、ポリイミド系の光硬化性樹脂を露光・現像して形成されている。
【0018】
空間26は、弾性表面波が励振されるために櫛形電極23の上方に設けられて密封されている。
【0019】
蓋体27は空間26を上方から覆って密封する。蓋体27は、ポリイミド系の光硬化性樹脂シートを側壁25の上面25Aに接着し、露光・現像して形成されている。側壁25と蓋体27とは櫛形電極23と空間26とを密封する素子カバー28を構成する。
【0020】
電極29は、配線24の上面24Aから側壁25の外側面を経由して蓋体27の上面27Aに至る導体の皮膜よりなり、無光沢電解銅めっきにより形成されている。電極29を構成する皮膜は、硫酸銅5水和物濃度150〜200g/L、硫酸50〜90g/Lに塩化物イオンを適量と界面活性剤を主成分とする添加剤を含むメッキ液から電解メッキ法により得られる。そのメッキ粒の寸法は3〜10μm、そのメッキ皮膜のヤング率は8〜17GPa、そのメッキ皮膜の内部応力は引っ張り応力である。電極29は、素子カバー28の大部分を覆うことにより、素子カバー28の機械的強度を確保するとともに、櫛形電極23および配線24に対するシールド効果を有し、空間26への水分の浸入を抑制する。電極29は、光沢電解銅メッキで形成した電極31と比較して、メッキ粒径をより大きくするとともにメッキ表面を粗面化し、ヤング率をより小さくするとともにより柔らかくし、その内部応力は引っ張り応力でありかつその大きさは電極31のそれより小さく、密度をより小さくしたものである。
【0021】
封止樹脂30は、圧電基板22の上面22Aに設けられて、素子カバー28と電極29を封止して硬化したエポキシ系の樹脂よりなり、シリカ等のフィラーを含有する。
【0022】
電極31は、封止樹脂30を貫通して電極29と端子電極32とを接続するビア電極であり、光沢電解銅めっきにより形成される皮膜よりなる。電極31を構成する光沢電解銅メッキ皮膜は、硫酸銅5水和物濃度150〜250g/L、硫酸50〜120g/Lに塩化物イオンを適量とポリエチレングリコールなどの添加剤や界面活性剤を含む硫酸銅メッキ液を用いて電解メッキにより得られる。ポリエチレングリコールはメッキ析出時の抑制成分として作用し、局部的な電流集中が抑制され、銅メッキ皮膜の析出粒径を小さくすることができる。界面活性剤はメッキ液の表面張力を下げて、メッキされる物とメッキ液との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤はメッキの抑制効果が低くメッキの析出粒径を制御する効果は得られにくいが、ポリエチレングリコールなどと併用することでメッキ液の濡れ性を保ちつつメッキ粒子の粒径を制御することが可能となる。電極31を構成する光沢電解銅メッキ皮膜は、内部応力として、圧縮応力を有する。電極31は、無光沢電解銅メッキで形成した電極29と比較して、メッキ粒径をより小さくするとともにメッキ表面を光沢化し、ヤング率をより大きくするとともにより硬くし、その内部応力をより相対的に大きい圧縮応力にし、密度をより大きくして導電率をより高めたものである。
【0023】
端子電極32は電極31の上面31Aとその周囲の封止樹脂30の上面30Aに設けられ、弾性波装置21を外部の電気回路に電気的に接続するための端子である。
【0024】
弾性波装置21は、ウエハレベルCSPと呼ばれ、弾性表面波素子が形成された圧電基板22と同等レベルの占有面積を有する極めて小型の寸法を実現できる。
【0025】
図5に示す従来の弾性波装置1は、製造工程において電極8の内部応力により圧電基板2が反って割れる場合があり、生産歩留りが低下する。
【0026】
実施の形態における弾性波装置21は、電極29のメッキ粒径を電極31のメッキ粒径よりも大きくしたことにより、電極29のメッキ皮膜を電極31のメッキ皮膜よりも柔らかくすることができる。したがって、圧電基板22に生ずる反りや、反りによる圧電基板22の割れを低減することができ、弾性波装置21の製造時の歩留りを向上することができる。
【0027】
電極29のメッキ粒径を大きくしたことに伴い、同時に電極29の表面を粗面化することが可能になる。したがって、電極29の表面に別途粗面化処理を行うことなく、電極29と封止樹脂30との間の接合強度を確保することが可能になるので、弾性波装置21の機械的強度を確保しつつ、製造工数を削減することができる。
【0028】
また、弾性波装置21では、電極29のヤング率を電極31のヤング率よりも小さくしたことにより、電極29のメッキ皮膜を電極31のメッキ皮膜よりも柔らかくすることが可能になる。したがって、圧電基板22に生ずる反りや、反りによる圧電基板22の割れを低減することができるので、弾性波装置21の製造時の歩留りを向上することができる。
【0029】
また、弾性波装置21は、電極29の内部応力を引っ張り応力にし、電極31の内部応力を逆方向の圧縮応力にしたことにより、応力を相殺して圧電基板22に加わる応力を小さくすることができる。したがって、圧電基板22に生ずる反りや、反りによる圧電基板22の割れを低減することができるので、弾性波装置21の製造時の歩留りを向上することができる。さらに、面積が大きく圧電基板22の反りに対する影響の大きい電極29の内部応力を、面積が小さく圧電基板22の反りに対する影響の小さい電極31の内部応力よりも小さくしたことにより、全体として圧電基板22に加わる応力をさらに低減することが可能になり、圧電基板22の反りをさらに低減することができる。
【0030】
また、弾性波装置21は、電極29の密度を小さくしたことにより電極29の皮膜を柔らかい皮膜にすることが可能になる。したがって、電極29の応力を低減し、圧電基板22の反りを低減することを可能にするとともに、電極29の表面の粗面化を可能にする。
【0031】
また、弾性波装置21は、電極31の密度を大きくして緻密な皮膜を形成することにより、電極31の導通抵抗を低くすることができる。したがって、電極31は弾性波装置21の電気特性における影響を抑制することができるとともに、ビア電極としての機械的強度と接続信頼性を確保することができる。また、電極31は電極29と逆方向の相対的に強い圧縮応力を発生させることができ、全体として圧電基板22に加わる応力を低減することができる。
【0032】
弾性波装置21では、電極29を無光沢電解銅メッキにより形成したことにより、電極29のメッキ粒の粒径を大きくし、電極29の表面を粗面化するとともに皮膜密度を小さくすることを可能にする。したがって、電極29のヤング率を小さくし、内部応力を小さくするとともに引っ張り応力にすることができる。
【0033】
また、弾性波装置21は、電極31を光沢電解銅メッキにより形成したことにより、電極31のメッキ粒の粒径を小さくするとともに密度を高くすることができる。したがって、電極31の表面を光沢化し、電極31のヤング率を大きくするとともに、内部応力を相対的に大きくし圧縮応力にすることができる。
【0034】
次に、弾性波装置21の製造方法について説明する。図2A図2C図3A図3Cおよび図4A図4Cは弾性波装置21の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0035】
まず、圧電基板22の上面22Aに金属薄膜を形成し、これにフォトリソグラフ技術を用いてエッチングし、図2Aに示すように、複数の櫛形電極23と配線24を形成する。
【0036】
次に、圧電基板22の上面22Aにポリイミド系の光硬化性樹脂からなるシートをラミネートし、露光・現像・硬化することにより、図2Bに示すように、櫛形電極23を囲んで空間26を形成する側壁25を形成する。
【0037】
次に、側壁25の上面25Aに、ポリイミド系の光硬化性樹脂からなるシートをラミネートし、露光・現像・硬化することにより、図2Cに示すように、櫛形電極23が励振するための空間26を上方から覆う蓋体27を形成し、側壁25と蓋体27よりなる素子カバー28を形成する。
【0038】
次に、電解銅メッキのための給電導体を形成し、メッキレジスト33を圧電基板22の上面22Aに形成し、メッキレジスト133を蓋体27の上面27Aに形成し、無光沢電解銅メッキを行うことにより、図3Aに示すように、配線24の上面24Aから側壁25を通って蓋体27の上面27Aを覆う電極29を形成する。メッキレジスト133は電極29を介しての配線24の短絡を防止する。
【0039】
次に、図3Bに示すように、メッキレジスト33、133と電気メッキのための給電導体を除去する。
【0040】
次に、フィラーを含有するエポキシ系の樹脂シートをラミネートし硬化することにより、図3Cに示すように、素子カバー28と電極29を覆う封止樹脂30を形成する。
【0041】
次に、図4Aに示すように、封止樹脂30を貫通し電極29の上面29Aの一部を露出させる穴34をレーザー加工により形成し、過マンガン酸を用いて穴34の内部と封止樹脂30の上面30Aを含む表面にデスミア処理と表面粗化処理を行う。
【0042】
次に、電解銅メッキのための給電導体とメッキレジスト35を封止樹脂30の上面30Aに形成し、光沢電解銅メッキにより、図4Bに示すように、穴34を充填する電極31と端子電極32を形成する。
【0043】
次に、メッキレジスト35と電解銅メッキのための給電導体を除去し、図4Cに示す弾性波装置21が得られる。
【0044】
以上のように弾性波装置21は、電極29を無光沢電解銅メッキにより形成し、電極31を光沢電解銅メッキにより形成することにより、圧電基板22の反りや割れを低減できる。
【0045】
実施の形態において、「上面」「上方」等の方向を示す用語は圧電基板や櫛形電極等の弾性波装置の構成部品の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る弾性波装置は、主として移動体通信機器に用いられる高周波フィルタや分波器、共用器等において有用となる。
【符号の説明】
【0047】
21 弾性波装置
22 圧電基板
23 櫛形電極
24 配線
26 空間
28 素子カバー
29 電極(第1の電極)
30 封止樹脂
31 電極(第2の電極)
32 端子電極
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5