【実施例】
【0080】
以下、実施例
、参考例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0081】
〔
参考例1〕
<銅の表面処理工程>
厚さ35μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名:「F−WS箔」)の表面を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した。
【0082】
その後、表面処理された電解銅箔を、シランカップリング剤としての50%エタノール溶液で5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−803」)を含む表面調整組成物の溶液に室温(25℃)・30秒の条件で浸漬させた後、イオン交換水で洗浄し、80℃・5分の条件で乾燥させた。上記シランカップリング剤の縮合率は90%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
【0083】
<多層配線基板製造工程>
表面処理された電解銅箔の銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性を評価するため、表面処理された電解銅箔の両面にビルドアップ配線板用絶縁材(松下電工株式会社製汎用プリプレグ、商品名:「FR−4」)を重ねて、150℃・20kg/m
2→150℃・30kg/m
2・0.5時間→180℃・30kg/m
2・1.5時間の条件で加熱しながら積層プレスし、その後に、80℃・1.5時間の条件で冷却した。その後積層プレスを終了し、20℃・20分間の条件で冷却した。
【0084】
<銅の表面処理後の物性>
(1)銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観
銅の表面処理後における電解銅箔の外観は、SEM(Scanning Electron Microscope、日本電子株式会社製、商品名:「JSM5310」)により、倍率を1000倍および5000倍にして目視にて評価した。その結果、凹凸がない(平坦な)状態を「○」とし、凹凸がほとんどない状態を「△」とし、凹凸がある状態を「×」とした。
【0085】
(2)銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性
多層配線基板の銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性、即ち多層配線基板における絶縁材からの銅箔の引き剥がし強さは、万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名:「テンシロン」)により、JIS C 6481に準拠してロードセル100kg/m
2、レンジ2%、クロスヘッドスピード50mm/min、チャートスピード20mm/minの条件で測定した。
【0086】
(3)上記物性の評価結果
上記物性の評価結果は、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.80kN/mであった。
【0087】
〔
参考例2〕
表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。
【0088】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.20kN/mであった。
【0089】
〔
参考例3〕
電解銅箔を、クロメート電解銅箔に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。
【0090】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.00kN/mであった。
【0091】
〔
参考例4〕
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から酸化剤を含む表面処理剤での粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。
【0092】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「△」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
【0093】
〔
参考例5〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から30%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
【0094】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
【0095】
〔
参考例6〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
【0096】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
【0097】
〔
参考例7〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとアミノシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM903」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
【0098】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
【0099】
〔
参考例8〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソシアネートシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBE9007」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
【0100】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
【0101】
〔
参考例9〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈したアミノシランとエポキシシランとの混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更したこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
【0102】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.70kN/mであった。
【0103】
〔
参考例10〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈したアミノシランとエポキシシランとの混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
【0104】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
【0105】
〔実施例
1〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したポリアクリル酸(分子量2万ホモポリマー)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:1000ppm、ポリアクリル酸の濃度:1000ppm)に変更したこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
【0106】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.70kN/mであった。
【0107】
〔実施例
2〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したポリアクリル酸(分子量2万ホモポリマー)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:1000ppm、ポリアクリル酸の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
【0108】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
【0109】
〔
参考例1
1〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したメタクリロキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM503」)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:500ppm、メタクリロキシシランの濃度:500ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
【0110】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
【0111】
〔
参考例1
2〕
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した後にシランカップリング剤としての5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)を含む表面調整組成物で処理する操作から、スズ化合物を含む表面処理剤での処理と5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む表面調整組成物での処理とを同時に行う操作に変更したこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は90%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
【0112】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.10kN/mであった。
【0113】
〔比較例1〕
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した後にシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。
【0114】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
【0115】
〔比較例2〕
電解銅箔の代わりにクロメート電解銅箔を用いたこと以外は、
参考例3と同様の操作を行った。
【0116】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.20kN/mであった。
【0117】
〔比較例3〕
電解銅箔の表面処理を、酸化剤を含む表面処理剤で粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)した後にシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったこと以外は、
参考例4と同様の操作を行った。
【0118】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「×」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.00kN/mであった。
【0119】
〔比較例4〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−アミノプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−903」)に変更したこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
【0120】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
【0121】
〔比較例5〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−403」)に変更したこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
【0122】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
【0123】
〔比較例6〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−アミノプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−903」)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、
参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
【0124】
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
【0125】
〔実施例のまとめ〕
表1に、銅の表面処理後における上記物性の評価結果をまとめた。
【0126】
【表1】
【0127】
参考例1と
参考例2とを比較すると、
参考例2では
参考例1と比べて表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0128】
参考例2と
参考例3とを比較すると、
参考例3では
参考例2と比べて電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から亜鉛化合物を含む表面処理剤での処理(クロメート)に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は低下するものの、十分な密着性は維持しているという結果になった。
【0129】
参考例2と
参考例4とを比較すると、
参考例4では
参考例2と比べて電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から酸化剤を含む表面処理剤での粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観に凹凸がほとんどなく、上記電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0130】
参考例2と
参考例5〜8とを比較すると、
参考例5〜8では
参考例2と比べてシランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0131】
参考例1と
参考例9とを比較すると、
参考例9では
参考例1と比べてシランカップリング剤の種類を変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は低下するものの、シランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、十分な密着性は維持しているという結果になった。
【0132】
参考例2と
参考例10とを比較すると、
参考例10では
参考例2と比べてシランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0133】
参考例9と実施例
1とを比較すると、実施例
1では
参考例9と比べてアミノシランをポリアクリル酸に変更しても、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は同等であるという結果になった。
【0134】
参考例10と実施例
2とを比較すると、実施例
2では
参考例10と比べてアミノシランをポリアクリル酸に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0135】
参考例6と
参考例11とを比較すると、
参考例11では
参考例6と比べてメルカプトプロピルトリメトキシシランをメタクリロキシシランに変更しても、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は同等であるという結果になった。
【0136】
参考例1と
参考例12とを比較すると、
参考例12では
参考例1と比べてスズ化合物を含む表面処理剤での処理とシランカップリング剤を含む表面調整組成物での処理とを同時に行ったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
【0137】
実施例1,2および参考例1〜12と比較例1,2とを比較すると、比較例1,2では
実施例1,2および参考例1〜12と比べてシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。
【0138】
参考例4と比較例3とを比較すると、比較例3では
参考例4と比べてシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。
【0139】
実施例1,2および参考例1〜12と比較例4〜6とを比較すると、比較例4〜6では
実施例1,2および参考例1〜12と比べてシランカップリング剤をモノマー(縮合率0%)として含めたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。