特許第5663760号(P5663760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663760
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   H05K7/18 J
   H05K7/18 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-15185(P2011-15185)
(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2012-156360(P2012-156360A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 正樹
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−232168(JP,A)
【文献】 特開2003−188556(JP,A)
【文献】 特開2002−299863(JP,A)
【文献】 特開2008−193011(JP,A)
【文献】 特開2010−278050(JP,A)
【文献】 特開2009−224630(JP,A)
【文献】 特開2002−217572(JP,A)
【文献】 特開2005−030123(JP,A)
【文献】 特開2008−261154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接配置された各キャビネットの連結面となる側面に、キャビネットの扉方向にスライド自在に支持した側板を備えた電気電子機器収納用キャビネットであって、上記側板をキャビネットの前面側もしくは背面側からスライドさせる側板操作部が設けられており、この側板操作部は、後端が側板に枢着され、前端の操作把持部が垂直レールに形成された長孔に昇降自在に支持されたリンクを備え、操作把持部の昇降操作によって側板をスライドさせるリンク機構からなることを特徴とする電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項2】
側板操作部をキャビネットの前面側部もしくは背面側部に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項3】
隣接配置された各キャビネットの側板操作部を、キャビネットの前面側部もしくは背面側部の何れか一方に設けたことを特徴とする請求項2記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項4】
各側板にキャビネットの内側からのみ操作できる固定部を設け、隣接する両側のキャビネットの内側から固定部を解除した状態においてのみ側板をスライド可能としたことを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項5】
側板操作部を、各キャビネットの縦フレームと機器取付用のマウントレールとの間に設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータセンター等において多数個を列状に連結して使用される電気電子機器収納用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用キャビネットの一種であるラックを列架で設置しているデータセンターでは、データセンター事業者がフロア全体を一括使用する場合のほかに、データセンター事業者がラック単位で別の使用者にレンタルする場合がある。ラックごとにレンタルする場合、同じ使用者のラックを隣接させ、連結面となる側板を取り外してラック間の配線を行ったり、側板の一部に窓を形成したり、側板をスライドさせて開口を作り配線を行なうことがある。
【0003】
しかし側板を取り外してしまうと保管や処分に困ることとなる。また側板の一部に窓を形成したり、側板をスライドさせて開口を作る場合には、ラックの内側からその作業を行なう必要があるが、ラック内部の搭載機器や配線が邪魔になって非常に作業性が悪いという問題があった。また作業中に誤って配線を引掛け、故障の原因となることがあった。
【0004】
そこで本出願人は特許文献1に示すように、ラックの前後幅の約半分の幅の側板を隣接配置された各ラックの連結面となる側面にそれぞれ配置し、隣接配置された各ラックの側板どうしを連結するとラック間の開口が閉塞され、必要に応じて各ラックの側板どうしを重なる位置にスライドさせると、開口を形成できるふすま方式の側板構造を開発した。
【0005】
しかしこの側板もラックの内側からスライド操作を行わねばならないうえ、作業者の手前側の側板はスライド操作をすることができるが、もう一方の側板は手が届かないために反対側からしかスライド操作をすることができないという問題があった。特に広大なデータセンターでは多数のラックが列状に配置されているため、ラックの正面側から裏面側にまで行くためには長い距離を移動しなければならないうえ、移動中に何番目のラックであるか迷うことさえあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−278050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、隣接する電気電子機器収納用キャビネット間を搭載機器や配線に邪魔されることなく閉塞したり、開口させたりすることができ、しかも裏側に回らなくても側板のスライド操作を行なえるようにしたふすま方式の側板構造を持つ電気電子機器収納用キャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、隣接配置された各キャビネットの連結面となる側面に、キャビネットの扉方向にスライド自在に支持した側板を備えた電気電子機器収納用キャビネットであって、上記側板をキャビネットの前面側もしくは背面側からスライドさせる側板操作部が設けられており、この側板操作部は、後端が側板に枢着され、前端の操作把持部が垂直レールに形成された長孔に昇降自在に支持されたリンクを備え、操作把持部の昇降操作によって側板をスライドさせるリンク機構からなることを特徴とするものである。
【0009】
この側板操作部は、キャビネットの前面側部もしくは背面側部に設けるものとし、隣接配置された各キャビネットの側板操作部を、キャビネットの前面側部もしくは背面側部の何れか一方に設けることが好ましい。また、各側板にキャビネットの内側からのみ操作できる固定部を設け、隣接する両側のキャビネットの内側から固定部を解除した状態においてのみ側板をスライド可能とすることが好ましい。
【0010】
側板操作部は、各キャビネットの縦フレームと機器取付用のマウントレールとの間に設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気電子機器収納用キャビネットは、側板をキャビネットの前面側もしくは背面側からスライドさせることができるので、キャビネット内部の側部が配線などにより狭くなっていても、作業性よくスライド操作が可能である。特に隣接配置された各キャビネットの側板操作部を、キャビネットの前面側部もしくは背面側部の何れか一方に設ければ、裏側に回って操作する必要がない。
【0012】
また各側板にキャビネットの内側からのみ操作できる固定部を設け、隣接する両側のキャビネットの内側から固定部を解除した状態においてのみ側板をスライド可能とした構造とすれば、一方の固定部を解除しても側板をスライドさせることができない。このため両方のキャビネットの使用者が一致して初めて側板の操作が可能となり、セキュリティの保護に優れたものである。
【0013】
本発明では側板操作部としてリンク機構を採用したので、確実な操作が可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態を示す斜視図である。
図2】リンク機構からなる側板操作部の拡大斜視図である。
図3】連結部の水平断面図である。
図4】連結部に開口を形成した状態の斜視図である。
図5】連結部を閉じた状態の斜視図である。
図6】連結部に開口を形成した状態の斜視図である。
図7】固定部の斜視図である。
図8】固定部の垂直断面図である。
図9第1の参考形態を示す斜視図である。
図10】紐状伝達機構からなる側板操作部の拡大斜視図である。
図11】連結部に開口を形成した状態の斜視図である。
図12第2の参考形態を示す斜視図である。
図13】操作棒を係止部材に挿入した状態の斜視図である。
図14】固定部の斜視図である。
図15】固定部の反対側からの斜視図である。
図16第3の参考形態を示す斜視図である。
図17】固定部の斜視図である。
図18】固定部の反対側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を示す。
図1図8は本発明の第1の実施形態を示す図である。図1には隣接配置された2つのキャビネット1、1とそれらの連結面が図示されている。実際のデータセンター内には多数のキャビネット1が列状に配置されているのであるが、本発明の要部はキャビネット間の連結面の部分であるので、図面を見やすくするために左右2つのキャビネット1a、1bのみを図示した。以下の説明はこれらのキャビネット1a、1b間の連結面についてのみ行なうが、その他の連結面も同様の構成である。
【0016】
キャビネット1a、1bの連結面となる側面、すなわち左側のキャビネット1aの右側面と右側のキャビネット1bの左側面には、可動式の側板2aと2bがそれぞれ設けられている。これらの側板2a、2bは何れもキャビネットの前後幅の半分以上の幅を持つが、通常の側板のようにキャビネットの前後幅と等しい幅ではなく、それよりも短い幅を持つ。以下に説明するように、これらの側板2a、2bはふすまのようにスライドさせて連結面を封鎖したり、開口を形成したりするものである。従ってその幅はキャビネットの前後幅の半分よりやや大きければよく、キャビネットの前後幅の5割以上7割以下とすることが好ましい。ただし必要な開口幅が狭くてもよければ、キャビネットの前後幅未満の範囲でさらに幅を広くしても差支えない。なお、側板は片側を固定して1枚の側板としたものでもよく、1枚の側板の場合には側板の幅はキャビネットの前後幅の半分以下としたものでよい。
【0017】
これらの側板2a、2bは何れもその上端をキャビネット天井の奥行フレーム3に支持され、その下端をキャビネット底部の奥行フレーム4に支持され、前後方向にスライド自在に支持されている。この部分の詳細は前記の特許文献1に開示されている。また中間高さ位置に規制レール5が水平に設けられており、側板2a、2bの側面に突設した係合片6を規制レール5の上縁に係合させることにより、キャビネットが大型化した場合にも側板2a、2bがばたつくことがないようになっている。これらは側板2a、2bを水平方向にスライド自在に支持する側板支持機構を構成している。
【0018】
キャビネット間の連結面を封鎖する場合には、例えば図1に示すように一方の側板2aを後側、他方の側板2bを前側に互い違いに位置させるのであるが、連結面に開口を形成したい場合にはふすまを開くように一方または双方の側板をスライドさせる必要がある。本発明はこのスライド操作をキャビネットの前面側もしくは背面側から行なうための側板操作部10をキャビネット内部に組み込んだものであり、以下に詳細に説明する。
【0019】
第1の実施形態では、側板操作部10はリンク11と垂直レール12とを含むリンク機構である。リンク11は後側の先端が側板の下部に枢着され、前側の先端を図2のように垂直レール12に形成された長孔13に昇降自在に支持され、全体としては後下がりとなっている。リンク11の前側の先端には長孔13内をスライドする操作把持部14が取付けられており、その摘みを持って操作把持部14を昇降させれば、側板をスライドさせることができる構造である。この実施形態では、リンク11の後側の先端は側板に取り付けられた垂直リブ15に枢着されている。上記の側板操作部10は側板2a、2bにそれぞれ設けられており、左右で面対称となっているほかは同一構造である。
【0020】
この側板操作部10は、図3に示すようにキャビネット内部の縦フレーム7と機器取付用のマウントレール8との間に設けることが好ましい。マウントレール8よりも後ろ側の部分は配線や機器実装の空間となるため、操作が行いにくいためである。
【0021】
図1の状態では、キャビネット1aの側板2aは後方位置にあり、キャビネット1bの側板2bは前方位置にある。連結面の前側に開口を形成したい場合には、キャビネット1bの前面扉を開き、操作把持部14を長孔13に沿って下方に押下げる。するとリンク11は次第に水平に近づきながら側板2bを後方に押し、図4のように前側に開口が形成される。逆に後ろ側に開口を形成したい場合には、キャビネット1aの前面扉を開き、図5のように下方位置にあった操作把持部14を長孔13に沿って上方に引き上げる。するとリンク11は次第に立ち上がりながら側板2aを前方にスライドさせ、図6のように後側に開口が形成される。
【0022】
上記のように、本発明によればキャビネットの前面側から側板操作部10を操作し、側板2a、2bを直接持たなくても前方または後方にスライドさせることができるので、マウントレール8よりも内側部分に搭載機器や配線があっても支障なく連結面の開閉が可能である。なおこの実施形態では側板操作部10を前面側部に配置したが、背面側部に配置することも可能である。しかし隣接するキャビネットの側板操作部10が前後逆方向にあると不便であるから、上記の実施形態のように、キャビネットの前面側部もしくは背面側部の何れか一方に集中させて設けることが好ましい。
【0023】
以上の説明では、例えばキャビネット1aの扉を開けばキャビネット1aの側板2aをスライドさせることができるようであるが、隣接するキャビネット1bの使用者が異なる場合には、勝手に連結面に開口を形成されることはセキュリティ上、好ましくない。そこで両方のキャビネットの内側からロックを外さないと側板が動かせない固定部20を設けておくことが好ましい。
【0024】
図7図8はその説明図であり、垂直レール12のねじ穴からねじ込まれるセキュリティ用のねじ17の先端が、隣接するキャビネットの側板2bの孔部28またはリンク11の凹部18を貫通している。すなわちキャビネット1a側から螺合されるセキュリティ用のねじ17aは垂直レール12を貫通したうえ、キャビネット1b側に達して側板2bの孔部28に係合し、キャビネット1b側の側板2bを操作不能にロックし、同様にキャビネット1b側から螺合されるセキュリティ用のねじ17bはキャビネット1a側に達してリンク11の凹部18を貫通して操作把持部14を昇降不能にロックしている。このため、お互いに隣接するキャビネットの扉を開いて他方側のセキュリティ用のねじ17を外さないと一方側のキャビネットの側板を操作することができないこととなり、両方のキャビネット1a,1bの使用者が共通の場合にのみ連結面の開閉操作を行える結果となる。
【0025】
図9図11は本発明の第1の参考形態を示す図である。この第1の参考形態では、側板操作部10は紐状伝達機構からなる。図示のように前後の垂直フレーム21、22にプーリー23、24が取付けられ、それらの間に紐状体25が張設されている。前側のプーリー23にはハンドル26を設けてあり、紐状体25を任意の方向に動かせるようにしてある。紐状体25は途中で側板に係止具27によって係止されているので、ハンドル26を回せば側板をスライドさせることができる。なお紐状体25としては、ロープ、チェーン、ワイヤなどを用いることができ、チェーンの場合にはプーリーに変えてスプロケットを用いる。この側板操作部10も第1の実施形態と同様、各キャビネットにそれぞれ設けられるものである。なお、操作性を優先させる場合には、側板操作部10を前面側部と後面側部の両方に設けたものでよい。
【0026】
なお、紐状体25は必ずしも無端ベルト状である必要はなく、側板の後部に係止した紐状体25の端部を後部のプーリーを利用して前方に折り返し、またこれとは別に側板の前部に別の紐状体25を取付けてその端部をやはり前方に引き出し、ブラインドの要領でこれらの紐状体25を操作することにより、側板をスライドさせるようにしてもよい。
【0027】
図12図15は本発明の第2の参考形態を示す図である。この第2の参考形態では、常時はキャビネットとは別に保管してある操作棒30を現場に持ってきて、この操作棒30によって前面側若しくは背面側から側板を操作する。
【0028】
図13図15に示すように、側板2の重なり合う部分に孔部31を設け、シーソー型の係合部材32の一端に形成されたフック状の係合部33を係合させる。シーソー型の係合部材32は、他端に操作部34、中間位置に回転軸35を備えており、この回転軸35の部分にばね等を内蔵させて常時は閉状態に付勢するようにしておく。側板2は隣合うキャビネット1の両側からフック状の係合部33によってロックされ、開かない状態となっている。この係合部33は側板2の孔部31の一部を塞ぐように係合部の支持部36を設け、各々の係合部33のフックの係合部33は隣のキャビネットからは隠れた位置となっているので、隣のキャビネットの係合部33を外すことはできない。
【0029】
操作棒30の先端には横軸37が設けられ、係合部材32の操作部34に形成された長方形の孔部38を貫通できるようになっている。この長方形の孔部38に操作棒30の横軸37を通過させた後、90°ひねると抜け止めになるものである。図示の第2の参考形態では係合部材32は上下が互い違いになるように配置されており、図14の左側のキャビネットでは操作部34を下方向に移動させると開状態となり、右側のキャビネットでは操作部34を上方向に移動させると開状態となるものであるが、両側の操作部34を下方向に移動したときに開状態となるものとすることができる。このように操作部34を下向きに移動させたときに開状態となるものでは、操作棒30を長方形の孔部38に差し込んで、力を緩めると、操作棒30の先端の自重によって係合部を開状態とすることができる。係合部33を孔部31から外した後は、操作棒30を引いたり押したりすることにより、側板2をスライドさせる。
【0030】
このように着脱式の操作棒30を用いたものであっても、マウントレール8と縦フレーム7との間が狭かったり、配線が存在して手が入りにくい場合でも側板2の操作が簡単にできる。しかも、各々のキャビネット1のフレームとマウントレール8との間のスペースに操作棒30を差し込んで各々の係合部材32を同時に開状態としたときのみ、側板2を操作できるものである。また、この第2の参考形態ではリンク11や紐状体25等を各々のキャビネットに設けることが不要となり、作業者が事務所ごとやフロアーごとやラック列ごとに操作棒を用意するだけでよいので製造コストが低減される。もちろん、キャビネットの設置時で未だサーバー等のユニットが内部に入っていない状態やマウントレールと側板との間に配線がない場合や十分な隙間がある状態では、係合部を直接手で操作して側板を移動できるものである。
【0031】
この第2の参考形態では操作棒を引掛ける操作部は係合部の操作部としたが、操作棒の横軸を側板自身に直接引っ掛けて操作部としてもよい。その場合の操作部は側端部の縁部若しくは側端部に孔部を設けたものが好ましい。
【0032】
また、操作部34の孔部38の他にも操作部34の先端を上方に向けたフック状としたものでもよい。また、図面の操作棒は先端に横棒を1つ設けたものであるので、側板を引く動作は横棒を長孔に入れて90°回して行い、押す動作は操作棒の先端部を孔部に位置させて行うものであるが、横棒を90°異ならせて2つ設けたり、略コ字状のフック部を設けたものでは操作棒と係合部材の係合が確実に行え、側板を押す動作と引く動作を操作棒のかけかえなしで行なうことができるものである。
【0033】
図16図18は本発明の第3の参考形態を示す図である。この第3の参考形態では、前側縦フレーム7と後側縦フレーム7との間に橋渡らせる側フレーム40にシーソー型の係合部材41を設け、この係合部材41の一端にフック状の係合部42、他端に操作部43、中間位置には回転軸44が設けられ、回転軸44と係合部42との間が側板2の前後の側端部45が当接する当接部となっている。
【0034】
この側フレーム40に設けた孔部47から操作部43が露出し、当接部が手前側のキャビネットの側板2の側端部45に当接し、係合部42が隣合うキャビネットの側板2に設けた孔部48に係合するようになっている。この回転軸44には付勢手段は設けられず、自重によって回転軸44に対して常に係合部42がある側に力が加わるので係合状態が保たれるものである。また、係合部材41のフック状の係合部42は隣合うキャビネットの側フレーム40によって隠蔽され、隣のキャビネットからは隣の係合部材41を操作できないようにしたものである。
【0035】
この側フレーム40に設けられた孔部47の上縁部と操作部43との間に操作棒30の横軸37を入れ込めば、操作棒30の荷重により係合部材41の操作部43が下側に押される。すると当接部は側板2の側端部45から当接状態が外れるとともに、フック状の係合部42は隣合うキャビネットの側板2の孔部48から外れる。隣合うキャビネットからも操作棒30によって同様の操作をしたときに各々の側板2が移動可能になるものである。また、操作部である側板の側端部は側板の前側端部と後側端部を折り曲げて前後両側に設けているので、キャビネットの前面側と後面側の両方から操作できるようになっている。また、この参考形態では操作部43は単なる突起としたが、第2の参考形態のように操作部43に孔部を設けたものでよく、先端を上方に向けたフック状としたものでもよい。
【0036】
次に具体的に動作を説明すると、図17はキャビネット1bの内部からの斜視図であり、図18はキャビネット1aの内部から見た斜視図で、上記のように係合部材41を解除する。前側に位置するキャビネット1bの側板2bは、その後端部については図17に示すキャビネット1b側の係合部材41bの動作により係合状態が解除され、図18に示すキャビネット1a側の係合部材41aの動作により図示を省略した側板2bの孔部から係合部が外れるので、移動可能となる。側板2bを少しでも移動させると、各々の係合部材41は常時係合が外れた状態となり、操作棒30を側板2a、2bの折り曲げ辺である側端部45に引掛けて側板2a、2bを移動するものである。
【0037】
また、この構造の変形例としては同様にシーソー型の係合部材を用いるが、一方側の係合部材は一方側のキャビネットの側板の孔部を通過して係合状態として、その先端部分で他方側のキャビネットの側板の側端部を当接状態とするものでも、同様に作用するものである。また、操作部にラッチ部材を付加して一時的に係合を外した状態を保持できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 キャビネット
2 側板
3 奥行フレーム
4 奥行フレーム
5 規制レール
6 係合片
7 縦フレーム
8 マウントレール
10 側板操作部
11 リンク
12 垂直レール
13 長孔
14 操作把持部
15 垂直リブ
17 セキュリティ用のねじ
18 凹部
20 固定部
21 垂直フレーム
22 垂直フレーム
23 プーリー
24 プーリー
25 紐状体
26 ハンドル
27 係止具
28 孔部
30 操作棒
31 孔部
32 シーソー型の係合部材
33 フック状の係合部
34 操作部
35 回転軸
36 支持部
37 横軸
38 孔部
40 側フレーム
41 シーソー型の係合部材
42 フック状の係合部
43 操作部
44 回転軸
45 側板の側端部
47 孔部
48 孔部
図1
図2
図5
図6
図7
図8
図11
図12
図13
図14
図15
図3
図4
図9
図10
図16
図17
図18