(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663762
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】膝関節用サポータ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/06 20060101AFI20150115BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20150115BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20150115BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
A61F13/06 A
A61F13/00 355S
A61F5/01 N
A41D13/06
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-208168(P2012-208168)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61139(P2014-61139A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】501202875
【氏名又は名称】岩田 一男
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】岩田 一男
【審査官】
一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6402712(US,B1)
【文献】
登録実用新案第3156790(JP,U)
【文献】
特開2001−17462(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3075818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/06
A41D 13/06
A61F 5/01
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面帯本体の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部を二股状に連設して、前記各締付用帯部の先端内面に面ファスナー雄部を設けて、また、各締付用帯部の外面側には前記面ファスナー雄部が係止できる面ファスナー雌部を形成して、膝の上下において夫々向かい合う締付用帯部の先端側を重ね合わせて、外側に重ねた締付用帯部の先端内面に設けた面ファスナー雄部を内側に重ねた締付用帯部の外面側に形成した面ファスナー雌部に係止して装着する膝関節用サポータであって、前記各締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成できるものとして、前記内側に重ね合わせた締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成して装着することを特徴とする膝関節用サポータ。
【請求項2】
各締付用帯部の先端を折り返して重合させて形成するパット部を、各締付用帯部の先端を内側に折り返して先端内面の面ファスナー雄部を先端より基端側内面に設けた面ファスナー雌部に係止して形成した請求項1に記載の膝関節用サポータ。
【請求項3】
巻きつけ方向に伸縮を付与させた請求項1又は2に記載の膝関節用サポータ。
【請求項4】
巻きつけ方向に伸縮を付与する手段が背面帯本体を伸縮ある網目生地よりなるものとした請求項3に記載の膝関節用サポータ。
【請求項5】
巻きつけ方向に伸縮を付与する手段が背面帯本体を伸縮ある網目生地よりなるものと、締付用帯部を弾性生地よりなるものとした請求項3に記載の膝関節用サポータ。
【請求項6】
背面帯本体の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部を上下及び左右において対称として二股状に連設した請求項1―5の何れか1項に記載の膝関節用サポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝関節に装着して歩行および膝の持ち上げを容易とすることができ、また、装着も容易な膝関節用サポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
膝関節用サポータとしては、膝の後部に添装する後部帯部の両側から膝の上下の大腿下部と脛上部を囲装して締付固定する締付用帯部を二股状に連設して、屈曲時に膝蓋骨が突出できる開口が形成できるものが知れている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
前記した膝関節用サポータは膝への装着は容易であるが、膝の上下の大腿下部と脛上部を締付固定して装着するため、装着時において的確な締付固定をおこなっても歩行、屈伸動作により締付用帯部がずれて所期の締付固定の効果が発揮できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−17462号公報
【特許文献2】特開平8−164150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記したような問題を解決して、装着が容易であり、且つ歩行、屈伸動作によっても締付用帯部がずれることのない膝関節用サポータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決した本発明の膝関節用サポータは、背面帯本体の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部を二股状に連設して、前記各締付用帯部の先端内面に面ファスナー雄部を設けて、また、各締付用帯部の外面側には前記面ファスナー雄部が係止できる面ファスナー雌部を形成して、膝の上下において夫々向かい合う締付用帯部の先端側を重ね合わせて、外側に重ねた締付用帯部の先端内面に設けた面ファスナー雄部を内側に重ねた締付用帯部の外面側に形成した面ファスナー雌部に係止して装着する膝関節用サポータであって、前記各締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成できるものとして、前記内側に重ね合わせた締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成して装着することを特徴とするものである。
【0007】
また、各締付用帯部の先端を折り返して重合させて形成するパット部を、各締付用帯部の先端を内側に折り返して先端内面の面ファスナー雄部を先端より基端側内面に設けた面ファスナー雌部に係止して形成することが好ましい。
【0008】
また、巻きつけ方向に伸縮を付与させることが好ましい。この巻きつけ方向に伸縮を付与する手段が背面帯本体を伸縮ある網目生地よりなるものとしても、背面帯本体を伸縮ある網目生地よりなるものと、締付用帯部を弾性生地よりなるものとしてもよい。
【0009】
さらに、背面帯本体の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部を上下及び左右において対称として二股状に連設することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
前記のような本発明の膝関節用サポータは、左右どちらの脚であっても、該膝関節用サポータの表裏のみを確認するだけで、上下及び左右の方向性を確認することなく容易に装着ができるものである。
【0011】
そして、各締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成できるものとしているので、内側に重ねた締付用帯部の先端を折り返して重合させてパット部を形成して、膝の上方において内側に重ねた締付用帯部に形成されたパッド部を膝蓋骨の上方と膝の上の大腿骨の一方の側方との位置に合わせて、また、膝の下方において内側に重ねた締付用帯部に形成されたパッド部を膝蓋骨の下方と膝の下の脛骨の一方の側方との位置に合わせ装着する。
【0012】
そうすれば、上側のパッド部の下端は膝蓋骨の上縁部に当接して、また、下側のパッド部の上端は膝蓋骨の下縁部に当接することとなる。これにより、膝の上部において締付固定している締付用帯部膝は下側にずれることはないものである。また、膝の下部において締付固定している締付用帯部膝は上側にずれることはないものである。従って、歩行、屈伸動作によっても締付用帯部がずれることがなく的確な締付固定を持続できるものである。
【0013】
また、各締付用帯部の先端を折り返して重合させて形成するパット部を、各締付用帯部の先端を内側に折り返して先端内面の面ファスナー雄部を先端より基端側内面に設けた面ファスナー雌部に係止して形成するものとすると、パット部は面ファスナー雄部と面ファスナー雌部の係止により任意の幅で形成でき、また、そのパッド形状を維持するので手指で保持する必要がないので装着も容易なものとなる。
【0014】
また、巻きつけ方向に伸縮を付与させることにより、面ファスナー雄部、雌部による係止位置を任意とすることと相俟って装着者の適した締め付けで容易に装着できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る膝関節用サポータを示す正面図である。
【
図2】本発明に係る膝関節用サポータを示す背面図である。
【
図3】本発明に係る膝関節用サポータを締付用帯部の先端を内側に折り返してパッド部を形成する一例を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る膝関節用サポータの装着例の一例を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る膝関節用サポータの装着過程の一例を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る膝関節用サポータを締付用帯部の先端を内側に折り返してパッド部を形成する他例1を示す正面図である。
【
図7】本発明に係る膝関節用サポータを締付用帯部の先端を内側に折り返してパッド部を形成する他例2を示す正面図である。
【
図8】本発明に係る膝関節用サポータを締付用帯部の先端を内側に折り返してパッド部を形成する他例3を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る膝関節用サポータの好ましい実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1、
図2において、1は膝装着時に膝裏に添装する背面帯本体である。該背面帯本体1の両側には二股状に膝の上下に巻きつける締付用帯部2を連設してある。すなわち、図示のとおり背面帯本体1の両側には夫々上下に2本づつの締付用帯部2、2が上下夫々において対向するように計4本が連設されている。また、背面帯本体1の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部2を上下及び左右において対称として二股状に連設している。
【0018】
そして、前記膝の上下に巻きつける各締付用帯部2の先端内面に面ファスナー雄部3を設けてあり、また、各締付用帯部2の外面側には前記面ファスナー雄部3が係止できる面ファスナー雌部4が形成してあり、膝の上下において夫々向かい合う締付用帯部2、2の先端側を重ね合わせて、外側に重ねた締付用帯部2の先端内面に設けた面ファスナー雄部3を内側に重ねた締付用帯部2の外面側に設けた面ファスナー雌部4に係止して装着するものである。なお、前記面ファスナー雌部4は締付用帯部2の外面側を表面が無数のループを形成したパイル生地21bよりなるものとしている。
【0019】
また、前記各締付用帯部2の先端は折り返して重合させてパット部20を形成できるものとしている。これにより、膝の上下において向かい合う締付用帯部2、2の先端側を重ね合わせる際に内側に重ね合わされることとなる締付用帯部2の先端を折り返して重合させてパット部20を形成して装着することができるものである。この場合、左右の膝に上下方向を確認することなく装着できるものである。特に、背面帯本体1の両側に膝の上下に巻きつける締付用帯部2を上下及び左右において対称として二股状に連設していればなおさらである。
【0020】
次に、このように構成された膝関節用サポータの装着例を
図3、
図4及び
図5により説明する。この装着例は右脚の膝に装着した状態を示ものであるが、左脚の膝への装着であっても同様である。
【0021】
先ず、
図3を正面視して示すよう、膝蓋骨(イ)の上方と膝の上の大腿骨の一方の側方である外側に位置させるパット部20(20a)を左上の締付用帯部2の先端を折り返して重合させて形成して、また、膝蓋骨(イ)の下方と膝の下の脛骨の一方の側方である内側に位置させるパッド部20(20b)を右下の締付用帯部2の先端を折り返して重合させて形成する。なお、これらパット部20(20a)、20(20b)は膝に装着時に形成してもよい。
【0022】
続いて、
図4に示すように背面帯本体1を膝裏に添装して、膝の上方において内側に重ねることとなる締付用帯部2に形成されたパッド部20(20a)を膝蓋骨(イ)の上方と膝の上の大腿骨の一方の側方である外側との位置に合わせて、また、膝の下方において内側に重ねることとなるた締付用帯部2に形成されたパッド部20(20b)を膝蓋骨(イ)の下方と膝の下の脛骨の一方の側方である内側との位置に合わせる。そして、外側に重ねた締付用帯部2の先端内面に設けた面ファスナー雄部3を内側に重ねた締付用帯部2の外面側に設けた面ファスナー雌部4に係止して装着する。
【0023】
そうすれば、上側のパッド部20(20a)の下端は膝蓋骨(イ)の上縁部に当接して、また、下側のパッド部20(20b)の上端は膝蓋骨(イ)の下縁部に当接することとなる。これにより、上側のパッド部20(20a)を形成した内側に重ねた締付用帯部2と該締付用帯部2に外側になるように重ねあわせて面ファスナー雄部3を面ファスナー雌部4に係止した締付用帯部2は膝の下側にずれることはないものである。また、下側のパッド部20(20b)を形成した内側に重ねた締付用帯部2と該締付用帯部2に外側になるように重ねあわせて面ファスナー雄部3を面ファスナー雌部4に係止した締付用帯部2は膝の上側にずれることはないものである。従って、歩行、屈伸動作によっても締付用帯部2がずれることがなく的確な締付固定を持続できるものである。
【0024】
また、この実施形態ではパット部20を、各締付用帯部2の先端を内側に折り返して先端内面の面ファスナー雄部3を先端より締付用帯部2の基端側内面に設けた面ファスナー雌部5に係止して形成される重合部よりなるものとしている。これにより、パット部20は面ファスナー雄部3と面ファスナー雌部5の係止により任意の幅で形成でき、また、そのパッド形状を維持するので手指で保持する必要がないので装着も容易なものものとなる。さらに、装着時に使用しない膝の上下において互いに重なり合う内側に重ね合わせた締付用帯部2の先端内面に形成した面ファスナー雄部3を有効に利用できるものでもある。
【0025】
また、前記背面帯本体1とこれに連設した締付用帯部2よりなる全体には巻きつけ方向に伸縮を付与する手段を備えたものとしている。具体的には前記背面帯本体1を伸縮ある網目生地よりなるものとするとともに締付用帯部2を弾性生地よりなるものとしている。なお、背面帯本体1と締付用帯部2のどちらか一方のみを伸縮あるものとして、全体に巻きつけ方向に伸縮を付与するものとしてもよい。
【0026】
また、この実施形態では膝装着時に膝裏に添装する背面帯本体1を伸縮ある網目生地よりなるものとしているので、通気性に優れており汗のかき易い膝裏が蒸れることを防止できるものである。
【0027】
さらに、この実施形態では背面帯本体1の両側に二股状に連設した締付用帯部2と該締付用帯部2の二股基端部2aは裏面側に遠赤外線放射パウダーを点状に練りこんだ銅繊維糸よりなる編地21aと、表面側にパイル生地21bをパイル面を表として重ねて周縁を伸縮性の布で縁取り縫製したものである。そして、各締付用帯部2の先端内面に面ファスナー雄部3を逢着し、締付用帯部2の先端より基端側内面に設けた面ファスナー雌部5となるパイル生地21bを逢着したものである。
【0028】
前記したように、締付用帯部2と該締付用帯部2の二股基端部2aを、肌が接する裏面側に遠赤外線放射パウダーを点状に練りこんだ銅繊維糸よりなる編地21aとしたこにより、銅による制菌防臭効果を発揮するとともに遠赤外線放射パウダーによる膝を暖める効果も奏するものである。
【0029】
また、上側のパッド部20(20a)と下側のパッド部20(20b)は、
図6において正面視して、右上の締付用帯部2と左下の締付用帯部2に形成することもでき、また、
図7において正面視して、左上の締付用帯部2と左下の締付用帯部2に形成することもでき、さらには、
図8において正面視して、右上の締付用帯部2と右下の締付用帯部2に形成することもできるものである。これにより、装着者において膝蓋骨(イ)の上方と膝の上の大腿骨の側方の任意の一方に、また、膝蓋骨(イ)の下方と膝の下の脛骨の側方の任意の一方にパット部20(20a)とパット部20(20b)を位置させることができるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 背面帯本体
2 締付用帯部
3 面ファスナー雄部
4 面ファスナー雌部
5 面ファスナー雌部
20 パッド部