特許第5663764号(P5663764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663764
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】接合装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-134893(P2010-134893)
(22)【出願日】2010年6月14日
(65)【公開番号】特開2012-4153(P2012-4153A)
(43)【公開日】2012年1月5日
【審査請求日】2013年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】307044493
【氏名又は名称】株式会社アドウェルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(72)【発明者】
【氏名】中居 誠也
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−183459(JP,A)
【文献】 特開2000−073031(JP,A)
【文献】 特開2001−127077(JP,A)
【文献】 特開2009−152410(JP,A)
【文献】 特開2009−289959(JP,A)
【文献】 特開2007−311465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の所定位置に形成された電極パターンに被接合物である他の基板の所定領域に形成された電極パターンを接合する接合装置において、
前記基板を保持するステージと、
前記基板および前記基板の所定位置に重ね合わされた前記他の基板前記所定領域に少なくとも超音波振動または熱から成る接合エネルギーを与える作用部と、前記所定領域周辺への前記作用部からの前記接合エネルギーの伝達を阻止する伝達阻止部とが設けられたヘッドと
前記他の基板の電極パターンと前記基板の電極パターンとの位置合わせを行う位置調整手段とを備え
前記伝達阻止部は、
前記作用部の周辺に配置され、前記他の基板の電極パターンに前記接合エネルギーが与えられるように前記所定領域と前記作用部とを位置合わせした状態で保持する挟持体を有し、該挟持体と前記ステージとの間に前記基板と一緒に前記他の基板を挟持する挟持機構を備え、
前記挟持体に保持された前記他の基板の電極パターンを、前記位置調整手段により前記基板の電極パターンに位置合わせした後に、前記挟持機構により前記挟持体と前記ステージとの間に前記基板および前記他の基板を一緒に挟持して、前記他の基板の電極パターンと前記基板の電極パターンとを接合することを特徴とする接合装置。
【請求項2】
前記持機構が持状態にあるときに、前記他の基板の少なくとも一部を切断する切断手段をさらに備える請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記ヘッドは、前記作用部が設けられた共振器を備え、
前記作用部は、前記接合エネルギーとして、少なくとも、前記共振器が超音波振動することによる超音波振動を前記所定領域に与える請求項1または2に記載の接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の所定位置に被接合物を接合する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波振動または熱から成る接合エネルギーにより基板の所定位置に被接合物を接合する技術が知られている。例えば、特許文献1に記載の実装装置では、電極パターン上に樹脂フィルムを介してICチップが仮付けされた基板が、案内テーブルにより押圧支持用ステージに案内されて、基板が押圧支持用ステージに支持された状態で、ICチップが基板に押圧具により押圧されて加熱されることで、ICチップが基板の所定位置に実装される。
【0003】
また、例えば、特許文献2に記載の接合装置では、ホーンに吸着保持されたフレキシブル基板と、可動テーブルに設けられた基板ホルダに載置されたガラス基板との相対的な位置ずれが可動テーブルにより補正された状態で、フレキシブル基板がガラス基板にホーンにより押圧されて超音波振動が付与されることで、フレキシブル基板がガラス基板の所定位置に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−286659号公報(段落0034〜0037、図8など)
【特許文献2】特開2007−317932号公報(段落0023〜0027、図1〜3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電子機器などの小型化に伴い、基板上に設けられる配線パターンなどの狭ピッチ化が進み、これにより、基板に接合される複数の被接合物どうしの間隔が狭くなっている。したがって、被接合物を基板に接合する際の超音波振動や熱から成る接合エネルギーが、接合対象である被接合物周辺の接合済みの被接合物に伝達されることにより、既に接合が完了した被接合物と基板との接合箇所にはがれなどが生じたりして、最悪の場合、接合済みの被接合物が基板から脱落するおそれがある。
【0006】
また、電子部品などが実装されたフレキシブル基板などの被接合物を、ステージ上の基板の所定位置に接合するときには、被接合物を基板に接合するための超音波振動や熱から成る接合エネルギーが被接合物に実装された電子部品に印加されて当該電子部品が破損するおそれがあった。また、基板の所定位置に被接合物を接合するための接合エネルギーが基板の他の部分に逃げることにより、接合エネルギーが不足して基板と被接合物との間に接合不良が生じるおそれがあった。
【0007】
この発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、基板の所定位置に被接合物を接合するときに、基板および被接合物の所定領域に集中的に接合エネルギーを与えることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明にかかる接合装置は、基板の所定位置に形成された電極パターンに被接合物である他の基板の所定領域に形成された電極パターンを接合する接合装置において、前記基板を保持するステージと、前記基板および前記基板の所定位置に重ね合わされた前記他の基板前記所定領域に少なくとも超音波振動または熱から成る接合エネルギーを与える作用部と、前記所定領域周辺への前記作用部からの前記接合エネルギーの伝達を阻止する伝達阻止部とが設けられたヘッドと、前記他の基板の電極パターンと前記基板の電極パターンとの位置合わせを行う位置調整手段とを備え、前記伝達阻止部は、前記作用部の周辺に配置され、前記他の基板の電極パターンに前記接合エネルギーが与えられるように前記所定領域と前記作用部とを位置合わせした状態で保持する挟持体を有し、該挟持体と前記ステージとの間に前記基板と一緒に前記他の基板を挟持する挟持機構を備え、前記挟持体に保持された前記他の基板の電極パターンを、前記位置調整手段により前記基板の電極パターンに位置合わせした後に、前記挟持機構により前記挟持体と前記ステージとの間に前記基板および前記他の基板を一緒に挟持して、前記他の基板の電極パターンと前記基板の電極パターンとを接合することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、前記持機構が持状態にあるときに、前記他の基板の少なくとも一部を切断する切断手段をさらに備えていてもよい(請求項)。
【0010】
また、前記ヘッドは、前記作用部が設けられた共振器を備え、前記作用部は、前記接合エネルギーとして、少なくとも、前記共振器が超音波振動することによる超音波振動を前記所定領域に与えるようにしてもよい(請求項)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、基板の所定位置に形成された電極パターンと被接合物である他の基板に形成された電極パターンとを接合するときに、ステージに保持された基板および基板の所定位置に重ね合わされた他の基板の所定領域に、少なくとも超音波振動または熱から成る接合エネルギーが作用部により与えられるが、作用部の周囲に配置された挟持体が基板と一緒に他の基板を挟持することにより、所定領域周辺への作用部からの接合エネルギーの伝達が阻止されるため、基板および被接合物の所定領域に集中的に接合エネルギーを与えることができる。
【0012】
また、他の基板の電極パターンを基板の電極パターンに位置合わせして接合する際に、他の基板の電極パターンが形成された領域(所定領域)に接合エネルギーが与えられるように、他の基板の電極パターンと作用部とが位置合わせされた状態で他の基板が挟持体により保持される。そして、この状態で挟持体に保持された他の基板の電極パターンと、ステージに保持された基板の電極パターンとの位置合わせが位置調整手段により行われるため、作用部と他の基板の電極パターンと基板の電極パターンとの位置合わせが容易に行うことができ、これにより、接合の際に、他の基板および基板の電極パターンが形成された所定領域に集中的に接合エネルギーを与えることができる。また、他の基板および基板の電極パターンが形成された領域に接合エネルギーを与えるために、従来のように、接合エネルギーを与える前に両基板の電極パターンを位置合わせして他の基板を基板に導電性フィルムなどにより仮付けする工程が必要ないため、効率よく他の基板を基板の所定位置に接合することができる。
【0013】
請求項の発明によれば、持機構が持状態にあるときに、他の基板の少なくとも一部が切断手段により切断されるため、基板の所定位置への被接合物の接合に際して被接合物の不要な部分の切断を行うことができるので効率がよい。
【0014】
請求項の発明によれば、ヘッドは、作用部が設けられた共振器を備えており、作用部は、接合エネルギーとして、少なくとも、共振器が超音波振動することによる超音波振動を所定領域に与えることができるため実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の接合装置の第1実施形態たる超音波振動接合装置を示す図である。
図2図1の超音波振動接合装置が備える共振器を示す図である。
図3】共振器の右側断面図である。
図4】共振器の右側断面図である。
図5】超音波振動接合装置の第2実施形態における共振器の右側断面図である。
図6】超音波振動接合装置の第3実施形態における要部拡大図である。
図7】超音波振動接合装置の第4実施形態における共振器の右側断面図である。
図8】超音波振動接合装置の第5実施形態における共振器に設けられた作用部の部分底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
この発明の接合装置の第1実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。図1はこの発明の接合装置の第1実施形態たる超音波振動接合装置200を示す図である。図2図1の超音波振動接合装置200が備える共振器7を示す図であって、(a)は正面図、(b)は共振器7が支持された状態を示す正面図、(c)は共振器7が支持された状態を示す底面図、(d)は(a)〜(c)に示す共振器7の振動状態を示す図である。図3は共振器7の右側断面図であって、(a)は図2(c)のA−A線矢視断面図、(b)は基板23が保持された状態を示す模式図である。図4は共振器7の右側断面図であって、(a)は図2(c)のA−A線矢視断面図、(b)は基板23が保持された状態を示す模式図である。なお、図3および図4はそれぞれ異なる状態を示す図である。
【0017】
1.装置構成
図1に示す超音波振動接合装置200は、接合機構27と、実装機構28と、位置認識部29と、搬送部30と、制御装置31とを備え、被接合物として接合機構27のヘッド部26に保持された他の基板23に形成された電極パターン23aを、実装機構28のステージ10に保持された基板24の所定位置に形成された電極パターン24aに位置合わせして、超音波振動を与えることにより他の基板23を基板24の所定位置に接合する。
【0018】
接合機構27は、上下駆動機構25と、ヘッド部26(本発明の「ヘッド」に相当)とを備えている。上下駆動機構25は、上下駆動モータ1と、上下駆動モータ1の回転軸に連結されたボルトナット機構2と、ヘッド保持部6とを備え、ヘッド保持部6は、ヘッド逃がしガイド5により上下方向にガイドされて自重をキャンセルする自重カウンター4に上方に牽引された状態でボルトナット機構2に連結される。
【0019】
したがって、上下駆動モータ1が駆動されると、ボルトナット機構2の移動体が上下ガイド3でガイドされながら上下動するのに伴い、ボルトナット機構2に連結されたヘッド保持部6が上下動する。また、ヘッド保持部6には共振器7を有するヘッド部26が結合されており、ヘッド保持部6の上下動に伴ってヘッド部26が上下動する。
【0020】
また、ボルトナット機構2とヘッド保持部6との連結部分にロードセルなどにより形成される圧力センサ32が設けられており、圧力センサ32は、ヘッド部26に保持された基板23およびステージ10に保持された基板24に対する加圧力を検出する。また、ヘッド保持部6の側端にリニアエンコーダなどにより形成されるヘッド高さ検出手段36が設けられており、ヘッド高さ検出手段36は、ヘッド部26の矢印Z方向における位置、すなわち、ヘッド部26のステージ10に対する高さを検出する。なお、ヘッド部26の構成および動作については後で詳細に説明する。
【0021】
また、架台35と、架台35の上方に配置されるフレーム34と、ヘッド部26の加圧中心を囲むようにヘッド部26の周辺に配設されて架台35とフレーム34とを連結する4本の支柱13とが配設されており、接合機構27は、フレーム34に結合して設けられている。なお、支柱13およびフレーム34の一部は図示省略する。
【0022】
実装機構28は、内部にステージヒータ11が設けられたステージ10と、ステージ10に結合されたステージテーブル12とを備えている。ステージ10は、載置面に基板24を吸引により吸着保持する保持機構を備え、必要に応じてステージヒータ11により載置面に吸着保持した基板24を加熱する。ステージテーブル12は、平行・回転移動自在な移動軸を有しており、ステージ10を平行・回転移動することにより、ステージ10に吸着保持された基板24のヘッド部26に保持された基板23に対する位置を調整する。なお、ステージ10の載置面に基板24を保持する構成は、上記した吸引により吸着保持する構成に限られず、静電吸着により基板24を保持する構成や機械式のチャック機構により基板24を保持する構成など、基板24を保持できる構成であればどのようなものであってもよく、また、ステージ10の載置面に基板24を載置するだけでもよい。
【0023】
また、位置認識部29は、上下マーク認識手段14と、振幅検出器33と、上下マーク認識手段14および振幅検出器33を水平・上下移動する認識手段移動テーブル15とを備えている。上下マーク認識手段14は、ヘッド部26およびステージ10にそれぞれ保持されて上下に対向配置された基板23および基板24の間に挿入されて、両基板23,24に設けられた位置認識用のアライメントマークを認識する。振幅検出器33は、基板23,24および共振器7の振幅を検出する。
【0024】
搬送部30は、被接合物としての他の基板23を搬送する基板搬送装置16および基板搬送コンベア17と、基板24を搬送する基板搬送装置18および基板搬送コンベア19とを備えている。
【0025】
制御装置31は、超音波振動接合装置200全体の制御を行うための操作パネル(図示省略)を備え、超音波振動接合装置200全体の制御を行う。すなわち、制御装置31は、ヘッド部26の共振器7に連結された振動子8を駆動制御したり、ヘッド高さ検出手段36によるヘッド部26の高さ位置の検出信号に基づいて上下駆動機構25を制御してヘッド部26の矢印Z方向における高さを調節したりする。また、制御装置31は、圧力センサ32により検出される基板23および基板24への加圧力に基づいて上下駆動機構25を制御して基板23および基板24への加圧力を制御したり、上下マーク認識手段14による両基板23,24のアライメントマークの認識結果に基づいてステージテーブル12を制御して両基板23,24の相対位置を調整したり、振幅検出器33により検出された共振器7などの振幅の大きさに基づいて振動子8を駆動制御したりする。
【0026】
2.ヘッド部の構成
ヘッド部26は、図2に示すように、共振器7と、共振器7の一端に連結されて制御装置31により駆動制御される振動子8と、共振器7を支持する支持手段70と、共振器7の最大振幅部である位置f2に設けられて所定領域に接合エネルギーを与える作用部40と、作用部40からの接合エネルギーが所定領域周辺に伝達するのを阻止する伝達阻止部としての持機構50とを備えている。
【0027】
共振器7は、チタン合金(6Al−4V)や鉄、ステンレスなどの金属により形成され、制御装置31に駆動制御される振動子8が発生する振動に共振して超音波振動する。また、共振器7は、ほぼ中央の位置f2と、両端位置f0,f4とが最大振幅部となるように、共振周波数の一波長の長さでほぼ左右対称に形成されている。
【0028】
また、共振器7は、断面形状がほぼ円形状の円柱状に形成されており、共振器7の最小振幅部(ノーダルポイント:NP)に相当する位置f1,f3には、他の位置よりも径が小さい小径部7aが形成されている。なお、この実施形態では、小径部7aは、断面形状が八角形状に形成されているが、小径部7aの断面形状としては八角形状に限られず、円形状に形成したり、他の多角形状に形成してもよい。
【0029】
支持手段70は、ヘッド保持部6に支持される基部71と、基部71に設けられた第1部材72aと第2部材72bとを有するクランプ部72とを備え、共振器7に形成された小径部7aを第1部材72aおよび第2部材72bにより持してボルト73で固定することで共振器7をクランプ部72により支持する。なお、共振器7を支持固定する手段としてはボルト73を用いたクランプ部72に限られず、電気制御可能に構成された機械的なクランプ機構など、共振器7を確実に支持することができればどのようなものであってもよい。
【0030】
作用部40は、共振器7の最大振幅部である位置f2に凸設されており、この実施形態では、図2(c)および図3(a)に示すように、作用面40aとしての下面視形状と断面形状とがほぼ長方形状である直方体状に形成されている。そして、作用部40は、ステージ10に保持された基板24の所定位置に重ね合わされた基板23の所定領域に作用面40aが接触することにより、共振器7が振動子8の振動に共振することによる超音波振動から成る接合エネルギーを所定領域に与える。
【0031】
なお、この実施形態では、作用部40は共振器7に一体的に形成されているが、共振器7と同じ材質の金属や、超硬タングステンカーバイト、セラミックス、ダイヤモンドなどの金属以外の材質により形成された作用部40を、ねじなどにより共振器7に固定して設けてもよい。このように構成すれば、作用部40が磨耗などにより破損した場合に、ねじ留めされた作用部40を交換することにより容易に作用部40を復元することができる。
【0032】
また、超硬タングステンカーバイト、セラミックス、ダイヤモンドなどの板状部材を作用部40の下面に、樹脂接着剤や、Ni、Cu、Agなどの金属ろうにより貼着することにより作用面40aを形成してもよい。このように構成すれば、作用面40aを形成する板状部材が磨耗などにより破損した場合に、作用部40の下面に貼着された部材を交換することで、容易に作用部40を復元することができる。また、作用部40の下面に板状のセラミックヒータを貼着して作用面40aを形成してもよく、このようにすれば、接合エネルギーとして、超音波振動と共に熱エネルギーを作用部40から接合対象に与えることができる。
【0033】
持機構50は、持体51を備え、ステージ10に保持された基板24の所定位置に重ね合わされた基板23の所定領域を囲むように、持体51とステージ10との間に基板23,24を持する。持体51は、図2(c)および図3(a)に示すように、ステージ10との間で基板23,24を持する持面51aを形成する板状の部材の略中央部分に作用面40aとほぼ同形状であって作用面40aよりも一回り大きな挿通窓52が透設されて形成されている。
【0034】
また、支持手段70の基部71に、支持手段70に支持された共振器7の略中央部分を前後から挟むように一対の基台53が設けられており、持体51は、挿通窓52に作用部40が挿通されて作用面40aが下方に露出した状態で、一対の基台53の下面と対向する持体51両側のフランジ部分に透設された貫通孔にボルト54が挿通されることにより基台53に取り付けられている。このとき、図3(a)および図4(a)に示すように、持体51は、両側のフランジ部分と基台53の下面との間にギャップdが設けられて基台53に取り付けられており、持体51は、ギャップdの範囲で上下に遊動する。
【0035】
すなわち、図3(a),(b)に示すように、ヘッド部26(共振器7)がステージ10から離間した状態では、持体51は自重により下動し、作用面40aは、持体51の持面51aとほぼ同一面内または少し持体51側に没入した状態となる。また、図4(a),(b)に示すように、ヘッド部26がステージ10に近接して持面51a(基板23)がステージ10(基板24)に当接し、さらにヘッド部26がステージ10に近接すると持体51はギャップdの範囲で作用部40に対して上動する。したがって、図4(b)の点線Aにより示される所定領域に作用部40の作用面40aが接触した状態で、所定領域を囲むように持体51の持面51aとステージ10との間に両基板23,24が一緒に持される。
【0036】
また、持体51の持面51aには挿通窓52を囲むように基板23を吸着保持するための吸着溝55が形成されている。また、持体51には、吸着溝55の所定箇所の底に一方の開口56aが形成され、持体51の外側面に他方の開口56bが形成された吸引孔56が設けられている。そして、外部に配設された真空ポンプを有する吸着ユニット80(一部図示省略)のバルブが、吸引孔56の他方の開口56bに接続されており、吸着ユニット80により他方の開口56bから吸引されることで基板23が持体51の持面51aに吸着保持される。
【0037】
また、持体51の持面51aの四隅には、アライメント用のアライメントマーク57が設けられており、アライメントマーク57と基板23に設けられたアライメントマークを上下マーク認識手段14で認識して位置調整することにより、基板23は持面51aの所定位置に吸着保持される。
【0038】
なお、この実施形態では、接合エネルギーが与えられる所定領域として基板23に電極パターン23aが形成された領域に接合エネルギーが作用部40の作用面40aから与えられるように、すなわち、電極パターン23aが形成された領域と作用面40aとが接触するように位置合わせされた状態で基板23が持体51に保持される。そして、持体51に保持された基板23の電極パターン23aと、ステージ10に保持された基板24の電極パターン24aとの位置合わせが、上下マーク認識手段14により認識された両基板23,24の位置情報に基づく制御装置31による実装機構28のステージテーブル12の制御により行われる。
【0039】
以上のように、この実施形態では、持体51が本発明の「保持部」として機能し、実装機構28が本発明の「位置調整手段」として機能している。
【0040】
3.接合動作
次に、超音波振動接合装置200による接合動作の一例について説明する。
【0041】
まず、基板搬送装置16により搬送された基板23が、基板23の電極パターン23aが形成された領域に作用部40の作用面40aから接合エネルギーが与えられるように位置合わせされた状態で持体51の持面51aに吸着保持される。そして、接合面が対向するように保持された基板23と基板24との間に上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により挿入されて、対向保持された両基板23,24の位置合わせ用アライメントマークが上下マーク認識手段14により認識される。
【0042】
続いて、認識された両基板23,24の位置情報に基づいて、基板23の位置を基準としてステージテーブル12によりステージ10を平行・回転移動して基板24の位置を移動することにより、基板23の電極パターン23aと基板24の電極パターン24aとの位置合わせが行われ、両基板23,24の接合位置が整合された状態(電極パターン23a,24aの位置が合わされた状態)で、上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により待避される。
【0043】
そして、上下駆動機構25により、待機位置からヘッド部26の下降が開始され、ヘッド高さ検出手段36による検出されるヘッド部26のステージ10からの位置が所定の高さに達して両基板23,24(電極パターン23a,24a)が接触する直前にヘッド部26の下降速度が減速される。次に、図4(b)に示すように、ヘッド部26が所定の高さに達して両基板23,24が接触すると、圧力センサ32からの検出信号に基いて、基板24および基板24の所定位置に重ね合わされた他の基板23の点線Aで示す所定領域が、作用部40の作用面40aとステージ10との間に持されたことが検出される。このとき、所定領域Aを囲むように、持体51の持面51aとステージ10との間に両基板23,24が一緒に持される。
【0044】
続いて、制御装置31により、ヘッド部26による両基板23,24の所定領域Aへの加圧力が制御されると共に、両基板23,24の所定領域Aに作用部40の作用面40aから超音波振動から成る接合エネルギーが与えられる。なお、振幅検出器33により両基板23,24の接触面間に「滑り」が生じていることが確認されながら超音波振動が両基板23,24に印加されてヘッド部26がステージ10に近接(下降)するように制御される。
【0045】
次に、両基板23,24の接合が完了すれば、持体51による基板23の吸着保持が解除されて、ヘッド部26の待機位置への復帰移動が開始され、ヘッド部26が待機位置に達すればヘッド部26の移動が停止される。そして、続いてステージ10に保持される基板24に接合される新たな基板23がヘッド部26に供給されて、供給された新たな基板23の基板24への接合が行われ、基板24に設定された全ての接合位置に対する基板23の接合が終了すれば、基板23が接合された状態でステージ10上に保持された基板24が基板搬送装置18の基板搬送コンベア19により排出されて接合動作が終了する。
【0046】
以上のように、上記した実施形態によれば、ステージ10に保持された基板24の所定位置に基板23を接合するときに、基板24および基板24の所定位置に重ね合わされた他の基板23の所定領域Aに超音波振動から成る接合エネルギーが作用部40の作用面40aから与えられるが、持機構50からなる伝達阻止部により、所定領域A周辺への作用部40からの接合エネルギーの伝達が阻止されるため、両基板23,24の所定領域Aに集中的に接合エネルギーを与えることができる。
【0047】
また、持機構50により、所定領域Aを囲むように持体51の持面51aとステージ10との間に両基板23,24が持されるため、作用部40の作用面40aから所定領域Aに与えられた接合エネルギーが、持機構50による持部分を越えて両基板23,24の所定領域A周辺に伝達することを確実に阻止することができる。
【0048】
このとき、持機構50は、両基板23,24を一緒に持するため、接合エネルギーが持体51に保持された基板23の所定領域A周辺に伝達することを阻止することができ、基板24の所定領域Aに集中的に接合エネルギーを与えることができる。
【0049】
また、持体51に保持される基板23に形成された電極パターン23aをステージ10に保持される基板24の所定位置に形成された電極パターン24aに位置合わせして両基板23,24を接合する際に、基板23の電極パターン23aが形成された領域を所定領域として接合エネルギーが作用部40の作用面40aから与えられるように位置合わせされた状態で基板23が持体51に保持されて、持体51に保持された基板23の電極パターン23aと、ステージ10に保持された基板24の電極パターン24aとの位置合わせが実装機構28により行われるため、接合の際の接合エネルギーを両基板23,24の電極パターン23a,24aが形成された領域に集中して与えることができる。
【0050】
また、作用部40の作用面40aと基板23の電極パターン23aとが位置合わせされた状態で基板23が持体51に保持されて、持体51に保持された状態の基板23の電極パターン23aとステージ10に保持された基板24の電極パターン24aとの位置合わせが実装機構28により行われるため、作用部40の作用面40aと基板23の電極パターン23aと基板24の電極パターン24aとの位置合わせを容易に行うことができ、両基板23,24の電極パターン23a,24aが形成された領域に集中して作用面40aから接合エネルギーを与えることができる。したがって、両基板23,24の電極パターン23a,24aが形成された領域に接合エネルギーを作用面40aから与えるために、従来のように、接合エネルギーを印加する工程の前に、基板23の電極パターン23aと基板24の電極パターン24aとを位置合わせした状態で基板23を基板24に導電性フィルムなどにより仮付けする工程が必要ないため、効率よく基板23を基板24の所定位置に接合することができる。
【0051】
また、共振器7に作用部40を設けることにより、接合エネルギーとして、少なくとも、共振器7が超音波振動することによる超音波振動を容易に所定領域Aに作用部40により与えることができるため実用的である。
【0052】
<第2実施形態>
この発明の接合装置の第2実施形態について図5を参照して説明する。図5は超音波振動接合装置200の第2実施形態における共振器7の右側断面図であって、(a)は図2(c)のA−A線矢視断面図、(b),(c)はそれぞれ基板23が保持された状態での異なる状態を示す模式図である。
【0053】
この実施形態が、上記した第1実施形態と異なる点は、持機構50に、基台53と持体51とを離間する方向に付勢力を有するばねなどにより形成される付勢手段58がさらに設けられている点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成および動作の説明を省略する。
【0054】
図5(a)に示すように、支持手段70に設けられた基台53の下面に付勢手段58を配設するための孔がさらに形成されており、例えばばねにより形成される付勢手段58がこの孔に挿入されて設けられている。そして、孔から突出する付勢手段58の先端が持体51の上面に当接することにより、付勢手段58は、持体51を基台53から離間する方向に付勢する。
【0055】
このように構成すると、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、以下の効果を奏することができる。すなわち、図5(c)に示すように、両基板23,24を持体51により持して作用部40により所定領域Aに接合エネルギーを印加する際に、両基板23,24の所定領域Aを囲むように持体51の持面51aとステージ10とにより持する力が付勢手段58の付勢力により増大するため、より確実に、作用部40からの接合エネルギーが両基板23,24の所定領域A周辺に伝達することを防止することができる。
【0056】
なお、この実施形態では、付勢手段58をばねにより形成したが、付勢手段58してはこの構成に限られず、基台53および持体51にそれぞれ反発するように磁石を設けることにより付勢手段58を形成してもよいし、基台53の下面に形成された孔にエアシリンダーを持体51が基台53から離間する方向に駆動力を有するように設けることにより付勢手段58を形成してもよく、持体51が基台53から離間する方向に付勢することができれば、ゴムなどの弾性力を有する部材を用いるなど、どのように付勢手段58を形成してもよい。
【0057】
<第3実施形態>
この発明の接合装置の第3実施形態について図6を参照して説明する。図6は超音波振動接合装置200の第3実施形態における要部拡大図であって、(a),(b)はそれぞれ基板23が保持された状態での異なる状態を示す模式図である。
【0058】
この実施形態が、上記した第2実施形態と異なる点は、共振器7に設けられた作用部40に吸着孔が形成されることによる吸着機構(図示省略)が設けられており、基板23と比べると小型のチップ部品123などが作用部40の作用面40aに吸着保持されて基板24の所定位置に接合される点である。その他の構成および動作は上記した第2実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成および動作の説明を省略する。
【0059】
図6(a)に示すように、作用部40の作用面40aにチップ部品123が吸着保持されて、チップ部品123に形成された電極123aと、基板24の所定位置に形成された電極パターン24aとの位置合わせが行われる。そして、図6(b)に示すように、基板24の所定位置にチップ部品123が重ね合わされた状態で作用部40からチップ部品123および基板24の所定領域Aに接合エネルギーが与えられて、チップ部品123が基板24の所定位置に接合される。
【0060】
このように構成すると、図6(b)に示すように、チップ部品123および基板24の所定領域Aに作用部40から接合エネルギーを与える際に、所定領域Aを囲むように持体51の持面51aとステージ10とにより基板24が持されるため、作用部40からの接合エネルギーが基板24の所定領域A周辺に伝達することが防止されると共に、基板24の所定領域A周辺を持する力が付勢手段58の付勢力により増大するため、上記した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
なお、この実施形態では、上記した第2実施形態と同様に、持機構50に付勢手段58を備える構成としたが、上記した第1実施形態のように付勢手段58を設けない構成としてももちろんよい。
【0062】
<第4実施形態>
この発明の接合装置の第4実施形態について図7を参照して説明する。図7は超音波振動接合装置200の第4実施形態における共振器7の右側断面図であって、(a)は図2(c)のA−A線矢視断面図、(b),(c)はそれぞれ基板23が保持された状態での異なる状態を示す模式図である。
【0063】
この実施形態が、上記した第1実施形態と異なる点は、持機構50が両基板23,24の持状態にあるときに、基板23の少なくとも一部を切断する切断手段90をさらに備えている点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことによりその構成および動作の説明を省略する。
【0064】
図7(a)に示すように、この実施形態では、持体51の挿通窓52の内側面に沿って切断刃の刃先が下方を向くように切断手段90が固定して設けられている。したがって、同図(a),(b)に示すように、持体51が下動状態であれば、切断手段90の刃先が持体51側に没入した状態となり、同図(c)に示すように、持体51が上動状態であれば、切断手段90の刃先が持体51の持面51aよりも突出した状態となる。
【0065】
このように構成すると、図7(b)に示すように、持体51の持面51aに基板23が吸着保持されて、基板23に形成された電極パターン23aと、基板24の所定位置に形成された電極パターン24aとの位置合わせが行われる。そして、同図(c)に示すように、基板24の所定位置に基板23が重ね合わされた状態での作用部40とステージ10とによる両基板23,24の持が開始されると、支持手段70(共振器7)の下動に伴い切断手段90も下動することにより持面51aから切断刃の刃先が突出し、刃先が突出した切断刃により基板23が切断される。
【0066】
以上のように、この実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、持機構50が両基板23,24の持状態にあるときに、基板23の少なくとも一部が切断手段90により切断されるため、基板24の所定位置への基板23の接合に際して基板23の不要な部分の切断を行うことができるので効率がよい。
【0067】
なお、上記した第2実施形態と同様に、持機構50に付勢手段58を備える構成としてもよい。また、上記した第3実施形態にこの実施形態における切断手段90を設ける構成としてもよく、この場合、作用部40の作用面40aに保持される小型の部品に設けられたフレームなどを、基板24の所定位置への部品の接合に際して切断することができる。また、基板24がリードフレーム基板であるときなどに、基板24のリード部分などを切断手段90により基板23と一緒に切断するようにしてもよい。
【0068】
また、切断手段90が備える切断刃は、切断刃高炭素鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度鋼、焼結高速度鋼、超硬合金、セラミックス、サーメット、工業用ダイヤモンドなどの種々の材質により形成することができ、切断対象の種類や、要求される切断片の大きさに応じて材質を適宜選択すればよい。また、切断刃の刃先を、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)により、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンアルミナイトライド、アルミクロムナイトライドなどの硬質物質によりコーティングしてもよい。
【0069】
また、刃先が被接合物および基板に向くように切断手段としての切断刃を作用部40に一体的に形成してもよい。このようにすれば、切断刃による基板23,24などの切断の際に超音波振動が印加されるため、効率よく基板23,24などを切断することができる。
【0070】
<第5実施形態>
この発明の接合装置の第5実施形態について図8を参照して説明する。図8は超音波振動接合装置200の第5実施形態における共振器7に設けられた作用部140の部分底面図であって、(a)は作用部140および持体151の部分底面図を示し、(b)はフレキシブル基板223が持体151に保持された状態を示す図である。
【0071】
この実施形態が、上記した第1ないし第4実施形態と異なる点は、作用部140の作用面140aと持体151に形成された挿通窓152の形状が異なる点である。その他の構成および動作は上記した第1ないし第4実施形態と同様であるため、相当符号を付すことによりその構成および動作の説明を省略する。
【0072】
図8(a)に示すように、この実施形態では、作用部140の先端面に短冊形状の2つの作用面140aが凸設されており、持体151には、作用面140aの形状に応じた2つの挿通窓152が形成されている。また、持体151の持面151aの2つの挿通窓152の間には、フレキシブル基板223を吸着保持するための吸着溝155が形成されている(開口は図示省略)。
【0073】
このように構成すれば、図8(b)に示すように、フレキシブル基板223の両側に形成された電極パターン223aと作用面140aとが位置合わせされた状態で持体151の持面151aにフレキシブル基板223が吸着保持されて、フレキシブル基板223に形成された電極パターン223aと、基板24の所定位置に形成された電極パターン24aとの位置合わせが行われる。そして、基板24の所定位置にフレキシブル基板223が重ね合わされた状態でフレキシブル基板23の所定領域(電極パターン223aが形成された領域)に作用部140から接合エネルギーが与えられて、フレキシブル基板223が基板24の所定位置に接合される。
【0074】
以上のように、この実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、フレキシブル基板223の電極パターン223aが形成された領域に接合エネルギーが集中して印加されて、電極パターン223aが形成された領域周辺への接合エネルギーの伝達が抑制されるため、例えば、フレキシブル基板223の中央部分に電子素子が実装済みであったとしても、フレキシブル基板223が基板24の所定位置に接合される際の接合エネルギーによりフレキシブル基板223に実装済みの電子素子が破損するのが防止される。
【0075】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、上記した実施形態では、作用面40a,140aの全周が持体51,151に囲まれるように挿通窓52,152が形成されているが、作用部40,140から与えられる接合エネルギーが伝達するのを防止したい方向から作用面40a,140aを囲むように持体51,151を形成すればよく、必ずしも作用面40a,140aの全周を囲むように持体51,151を形成しなくともよい。
【0076】
また、上記した実施形態では、基板23やチップ部品123などを保持する構成として、真空ポンプで吸引することによる吸着機構を例に挙げて説明したが、基板23やチップ部品123などを保持する構成としてはこれに限られず、静電吸着による吸着機構や、機械式のチャック機構による保持機構、磁石による磁力を利用した保持機構など、ヘッド部26に基板23やチップ部品123などを保持することができればどようなものであってもよい。
【0077】
また、上記した共振器7の形状、材質、大きさなどは一例であって、共振器7をどのように形成してもよい。また、作用部40,140が設けられる共振器7の位置は中央部分に限られず、例えば、共振器7の側端の周面部に作用部40,140を設けてもよいし、最大振幅部以外の箇所に作用部40,140を設けてもよい。
【0078】
また、ステージ10に保持される基板としては、プリント基板やガラス基板、フレキシブル基板、フィルム基板、ウエハ、リードフレーム基板、金属箔基板、単層および多層樹脂基板など、どのようなものであってもよい。また、ステージ10に保持される基板に接合される被接合物としては、半導体基板、樹脂製の基板、フレキシブル基板、フィルム基板またはこれらの基板をダイシングしたチップ、電子部品、電気部品、リードフレーム基板、金属箔、金属バー、タブ形状のリード電極、(被膜)電線など、種々の部品を基板に接合することができ、接合部分の材料が超音波振動を印加することで接合できるものであればどのようなものであってもよい。例えば、Si、SiO、ガラス、イオン酸リチウム、酸化物単結晶(LT)、セラミックス系を含む酸化物等により形成されるウエハやチップなどに、金属溶融バンプあるいは配線パターンを形成したものどうしを接合することができる。
【0079】
また、上記した実施形態では、本発明の接合装置として超音波振動接合装置200を例に挙げて説明したが、熱から成る接合エネルギーを作用部から与えることにより、基板の所定位置に被接合物を熱圧着して接合したり、はんだなどのろう材を溶融して接合したり、熱硬化型接着剤を硬化することにより接合したりする接合装置にこの発明を適用してももちろんよい。
【0080】
また、上記した実施形態では、持体51,151は、共振器7と同じ材質により形成されているが、持体51,151を形成する材質を共振器7と異なる材質としてももちろんよく、スポンジやウレタンゴムなどの振動吸収部材により持体51,151を形成してもよい。このようにすれば、超音波振動から成る接合エネルギーが持体51,151を越えて所定領域A周辺に伝達するのを効率よく阻止することができる。
【0081】
また、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、発泡スチロールなどの断熱材により持体51,151を形成してもよく、ヒートシンク構造(冷却板)を有する形状に持体51,151を形成してもよい。このように構成すると、熱から成る接合エネルギーが持体51,151を越えて所定領域A周辺に伝達するのを効率よく阻止することができる。
【0082】
また、上記した実施形態では、持体51,151または作用部40の作用面40aに被接合物が保持され、保持された被接合物と基板とが位置調整(アライメント)されることにより、基板の所定位置に被接合物が接合されるように構成されているが、基板と被接合物との位置調整を先に行い、基板と被接合物とが非常に近接した状態、あるいは、基板の所定位置に接着剤などにより被接合物が仮付けされた状態で、作用部の作用面により押圧して超音波振動または熱から成る接合エネルギーを所定領域Aに与えることにより、基板の所定位置に被接合物が接合されるようにしてもよい。
【0083】
また、持体51,151の持面51a,151aにアライメントマークとして、ピン形状の凸部を設け、持体51,151に基板を供給するときに、基板に形成されたアライメント用孔に持面51a,151aに設けられたピン形状の凸部を挿通させることで、持体51,151と基板とのアライメントを行うようにしてもよい。
【0084】
また、例えばリードフレーム基板に被接合物を作用部から超音波振動を印加することにより接合するときに、リードフレーム基板のリード部分に作用部から超音波振動を伝達することで、当該リード部分が超音波振動で破断して切断されるように、作用部を切断手段として機能させてもよい。
【0085】
また、共振器の作用部を囲む持体の挿通窓の内側面などにバキューム穴を設け、外部に設けられた吸引ユニットにより吸引することで、バキューム穴から接合時に生じるゴミや塵などを吸引除去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
7 共振器
10 ステージ
23 他の基板(被接合物)
23a 電極パターン
24 基板
24a 電極パターン
26 ヘッド部(ヘッド)
28 実装機構(位置調整手段)
40,140 作用部
50 持機構(伝達阻止部)
51,151 持体(保持部)
90 切断手段
123 チップ部品(被接合物)
223 フレキシブル基板(被接合物)
200 超音波振動接合装置(接合装置)
A 所定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8