(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサとそれを用いた測定装置の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの一部切欠平面図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの側面図である。
【
図2C】
図2Cは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態における測定装置の回路ブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第1の実施の形態における測定装置の血糖値測定の処理を示すフローチャートである。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第1の実施の形態における測定装置の電圧印加部が電極に印加する電圧を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図6D】
図6Dは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図6E】
図6Eは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの一部切欠平面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの側面図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの分解斜視図である。
【
図7D】
図7Dは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図8D】
図8Dは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図8E】
図8Eは、本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の実施の形態おけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの一部切欠平面図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの側面図である。
【
図10C】
図10Cは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの分解斜視図である。
【
図10D】
図10Dは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの要部を示す図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図11C】
図11Cは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図11D】
図11Dは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図11E】
図11Eは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図11F】
図11Fは、本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第5の実施の形態におけるバイオセンサの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態における、バイオセンサ6および測定装置1の構成を示す斜視図である。
【0017】
測定装置1は、本体ケース1aの先端(
図1における左下側)にバイオセンサ6を挿入する装着部2を有し、また、測定装置1を構成する本体ケース1aの上面には、メニューボタン3、電源ボタン4および表示部5を有している。バイオセンサ6は、その後端部側(
図1における右上側)に、測定装置1を構成する本体ケース1aの装着部2への挿入部7を有しており、先端部側(
図1における左下側)には液状生体試料の点着部8を有している。
【0018】
バイオセンサ6の構成について説明する。
【0019】
図2Aは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサ6の構成を示す一部切欠平面図であり、
図2Bは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサ6の側面図であり、
図2Cは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサ6の分解斜視図である。
【0020】
図2A〜
図2Cに示すように、バイオセンサ6は、細長い板状体9(第1の板状体9とも記す)上に、細長い板状のスペーサ10を介して、細長い板状体11(第2の板状体11とも記す)が積層された構成である。
【0021】
板状体9には、
図2Cに示すように、その長手方向に、3つの電極A,B,Cを並列的に、かつ、絶縁状態で配置している。
【0022】
また、これら3つの電極A,B,Cの先端側(
図2Cの左側)においては、まず電極Bが長手方向に直交する方向に延伸し、次に、電極Aがその奥側(
図2Cの右側)において、長手方向に直交する方向に延伸する。さらに、電極Bの分岐電極B1が長手方向に直交する方向に延伸し、次に電極Cが長手方向に突出するように設けられている。
【0023】
そして、電極A,B,C上を覆うように、円形の試薬部12が設けられている(
図2C参照)。
【0024】
バイオセンサ6においては、電極Aおよび電極Bが検出電極となっている。これらの電極A,B間および電極A,B1間に流れる電流に基づいて、液状生体試料の特性が検出される。
【0025】
また、バイオセンサ6においては、電極Cが導入検出電極となっている。つまり、電極A,C間に流れる電流により、液状生体試料が所定位置へ到達したか否かが検出されるようになっている。
【0026】
図2A〜
図2Cに示したように、スペーサ10には、点着部8側が開口部となる導入溝13が、開口部から奥側(
図2A〜
図2Cの右側)に向けて設けられている。この導入溝13は、その上下面を板状体9、11で覆われた状態となっている。また、導入溝13の後端側(
図2A〜
図2Cの右側)は、
図2Aに示したように、バイオセンサ6の先端側における電極B,電極A,分岐電極B1,電極Cの位置まで到達するように構成されている。
【0027】
ここで、電極(導入検出電極)Cは、中央部分が導入溝13の開口部に向けて、突出した形状となっている(
図3を参照)。また、電極A(検出電極)、電極B(検出電極)は、導入溝13の開口部から奥側に向かう方向に対して直交する方向に向けて、導入溝13の溝外に延伸している。電極C(導入検出電極)は、導入溝13の開口部から奥側方向に向けて配置されている。
【0028】
ここで、電極C(導入検出電極)の構成についてさらに詳細に説明する。
図3A〜
図3Cは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの電極構成を示す要部平面図である。
図3Aは、試薬部12がない場合の電極構成を示し、
図3Bは、試薬部12と電極構成との関係を示し、
図3Cは、試薬部12および導入溝13と電極構成との関係を示している。
【0029】
図3A〜
図3Cに示すように、電極C(導入検出電極)の導入溝13の横幅の中央部分を、点着部8側(
図3Aにおける下側)に向けて突出させて突出部C1を形成している。通常状態において、点着部8に液状生体試料を点着すると、液状生体試料は、電極B(検出電極)、次に電極A(検出電極)、その後、分岐電極B1(検出電極)を介して、電極C(導入検出電極)の突出部C1に到達する。つまり、液状生体試料は、試薬部12の先端部側から後端部側に向けて順次、流入する事となる。
【0030】
なお、電極C(導入検出電極)の突出部C1の両側は、この中央の突出部C1よりも後方(
図3Aにおける上方)に配置して、後方部C2としている。
【0031】
電極(導入検出電極)Cの両側の後方部C2を突出部C1よりも後方に配置し、かつ、導入溝13の外に配置する(
図3Cを参照)。この構成により、導入溝13の両側に、液状生体試料が先行的に流入してきたとしても、そのときに、電極B(検出電極)の分岐電極B1と、電極C(導入検出電極)とが、後方部C2を介して導通状態になってしまうことを防止することができる。
【0032】
この点をさらに詳細に説明する。上述したように、導入溝13の両側を液状生体試料が先行的に流入してきた場合には、導入溝13の中央部分における液状生体試料の進行が遅れた状態となっている。これにより、試薬部12における反応が遅れた状況になっているにもかかわらず、電極B(検出電極)の分岐電極B1と、電極C(導入検出電極)が、後方部C2を介して導通状態になってしまうと、適切な測定が出来なくなってしまう。そこで、本実施の形態では、これを避けるべく、電極C(導入検出電極)の後方部C2を導入溝13外に配置した。
【0033】
また、この電極C(導入検出電極)の形状に合わせて、分岐電極B1の突出部C1に対向する部分を、奥側から手前側に向けて窪んだ形状とし、逆に、後方部C2に対向する部分を、手前側から奥側に向けて突出した形状としている(
図3Aを参照)。
【0034】
この構成により、液状生体試料の電極C(導入検出電極)への到達は、突出部C1と電極A(検出電極)との間の部分で検出する事が出来る。この部分で液状生体試料の到達を検出するときには、導入溝13の両側を先行的に流入してきた液状生体試料が分岐電極B1(検出電極)上の試薬部12に到達している。これにより、液状生体試料が試薬部12に流入したことを適切に検出できる。
【0035】
また、本実施の形態のバイオセンサ6においては、
図2Aに示したように、導入溝13の両側部分であって、電極A(検出電極)の奥側の板状体11に、一対の液状生体試料の流入抑制孔14を設けている。
【0036】
本実施の形態においては、液状生体試料の流入抑制孔14は、上述のごとく、電極A(検出電極)の奥側に設けている。また、
図3Cに示したように、一対の流入抑制孔14を、電極C(導入検出電極)の突出部C1の両側に位置するように設けている。
【0037】
また、流入抑制孔14は、試薬部12の上面に対向するように設けている。
【0038】
さらに、板状体11には、流入抑制孔14よりも奥側方向で、導入溝13の中央部分で、突出部C1よりも奥側方向の位置に、液状生体試料の流入促進孔15を設けている。
【0039】
なお、これらの一対の流入抑制孔14および流入促進孔15を、板状体11に設ける例を示したが、本発明はこの例に限定されず、板状体9,11の少なくとも一方に設ければよい。
【0040】
一対の流入抑制孔14は、板状体9,11のスペーサ10とは反対側からこのスペーサ10側に向けて打ち抜いて形成されている。この打ち抜きは、プレス成型による打ち抜きや、レーザによる穿孔を含む。また、このようにプレス成型による打ち抜きや、レーザによる穿孔によって形成した本実施の形態の流入抑制孔14は、円形形状である。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施の形態における測定装置1の回路ブロック図である。測定装置1は、電流−電圧変換部16および電圧印加部19で構成されるアナログ処理部50を有する。また、測定装置1は、判定部18および制御部20で構成されるディジタル処理部60を有する。さらに、測定装置1は、A/D変換部17、表示部5および電源部21を有する。また、測定装置1はアナログ処理部50、ディジタル処理部60およびA/D変換部17を有する測定部70を有する。
【0042】
バイオセンサ6の測定結果は、電流−電圧変換部16、A/D変換部17を介して、判定部18で処理される。その測定結果は制御部20を介して表示部5に表示される。
【0043】
また、その測定のため、電極A,B,Cおよび分岐電極B1には、電圧印加部19から電圧が印加されている。
【0044】
以上の構成の測定装置1を用いて、例えば血糖値を測定する場合について説明する。
図5Aは、本発明の第1の実施の形態における測定装置1の血糖値測定の処理を示すフローチャートであり、
図5Bは、本発明の第1の実施の形態における測定装置1の電圧印加部19が電極A,B,Cおよび分岐電極B1に印加する電圧を示す図である。また、
図6A〜
図6Eは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサの液状生体試料の浸入状態を示す図である。
【0045】
使用者は、
図4に示したように、測定装置1にバイオセンサ6を装着し、その状態で、点着部8に液状生体試料の一例である血液22を点着する(
図5AのS1および
図6Aを参照)。
【0046】
すると、毛細管作用によって、血液22は、
図6Bおよび
図6Cに示したように、導入溝13の奥側に向けて浸入する。
【0047】
なお、導入溝13における板状体9,11間の毛細管作用は、板状体9,11間の隙間が小さい事によって発現される。この毛細管作用によって、血液22を導入溝13の奥側に、よりスムーズに浸入させるために、本実施の形態では、板状体11の下面(導入溝13側)に界面活性剤を塗布している。
【0048】
このとき、血液22の点着の仕方によっては、
図6Cに示したように、導入溝13の両側部分が、その中央部分よりも先行して導入溝13の奥側へと浸入する場合がある。
【0049】
本実施の形態においては、このように導入溝13の中央部分よりも先行して、導入溝13の奥側へと浸入する血液22の導入溝13の両側部分の進行を、流入抑制孔14によって抑制することができる。
【0050】
その結果、導入溝13の中央部分の血液22の浸入が、
図6Dに示したように進み、やがては、中央部分が両側部分とほぼ横並び状態となって、最終的には、
図6Eに示したように、血液22は導入溝13の奥側へと浸入することになる(なお、点着部8への血液22の点着が適切に行われれば、
図6Eに示したように、血液22の中央部がその両側よりも先行する形で奥側に進む)。
【0051】
さて、このような
図6A〜
図6Eに示したような血液22の導入溝13への浸入状態において、
図3A〜
図3Cの図面からも理解されるように、血液22が電極A、B間に到達したことはこの血液22の浸入によって試薬部12の反応で電極A、B間に電流が流れることで検出する。
【0052】
そして、血液22がさらに導入溝13の奥側へと浸入することで、電極A、C(突出部C1)間に電流が流れる。これにより、血液22が導入溝13の奥側にまで到達した、つまり、試薬部12の全面に血液22が到達したことが検出される(
図5AのS2)。
【0053】
この検出時点を、
図5Bのt0とおき(
図5AのS3)、測定を開始する。それから、試薬部12の所定反応時間(t0〜t1)を待機する(
図5AのS4)。その後、電極Aを基準として、電極A−B(分岐電極B1も含む)間、電極A−C間それぞれに、電圧V1を印加する(
図5AのS5)。そのときに得られる電流値に基づいて、
図4の判定部18で、血糖値を測定し(
図5AのS6)、表示部5に表示させる(このような、血糖値の検出技術は、例えば、国際公開第2002/44705号に開示されている)。
【0054】
以上述べたように、本実施の形態においては、電極A(検出電極)の奥側で導入溝13の両側部分に対応する板状体9、11の少なくとも一方に、液状生体試料の流入抑制孔14を設けている。
【0055】
これにより、液状生体試料の点着の仕方によって、導入溝13の両側部分が中央部分よりも先行する状態で、液状生体試料が電極B,A(検出電極),分岐電極B1,電極C(導入検出電極)へと浸入する状態が発生しても、この導入溝13の両側部分における液状生体試料の先行浸入状態を抑制することが出来る。
【0056】
具体的には、この導入溝13の両側部分には流入抑制孔14を設けているので、導入溝13の両側部分が先行する液状生体試料は、この流入抑制孔14の部分で毛細管作用が大幅に抑制される。また、この流入抑制孔14が存在する事で、導入溝13の両側における流入抑制孔14部分では、板状体11の下面の界面活性剤も除去された状況となる。その結果、導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料は、
図6Eのように、導入溝13の内方部分をほぼ横並び状態で浸入することとなり、これにより測定結果のバラつきを抑制することが出来る。
【0057】
なお、このように導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料を、
図6Eに示すように、導入溝13の内方部分をほぼ横並び状態で浸入させるために、導入溝13の両側部分には流入抑制孔14が対向配置している。
【0058】
これに対して、導入溝13の両側部分に流入抑制孔14を設けなければ、導入溝13の両側部分を先行浸入する液状生体試料は、
図3Cに示す試薬部12の外周近傍部分だけを通って、電極C(導入検出電極)にまで到達し、この状態(試薬部12の中央部分に浸入した液状生体試料の量がバラついた状態)で、それ以降の検出のプロセスがスタートし、これが測定結果のバラつきを発生させることになる。
【0059】
本実施形態においては、上述のごとく、導入溝13の両側部分に流入抑制孔14を設けることにより、導入溝13の両側部分を先行する液状生体試料による毛細管作用がこの部分で大幅に抑制され、その結果として、導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料が、導入溝13の内方部分をほぼ横並び状態で浸入するようことになり、これにより測定結果のバラつきを抑制する。
【0060】
なお、本実施の形態におけるバイオセンサでは、流入抑制孔14を試薬部12に対向する状態で設けているので、この点からも流入抑制孔14による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0061】
具体的には、導入溝13の両側部分が先行する液状生体試料は、この流入抑制孔14部分で、奥側への浸入が一旦は停止されるが、この流入抑制孔14の外周を経由して再び、電極C(導入検出電極)に向かう事もある。
【0062】
しかしながら、本実施の形態においては、この流入抑制孔14を試薬部12に対向する状態で設けているので、流入抑制孔14の外周を経由して再び、電極(導入検出電極)に向かおうとする血液22は、その部分に存在する試薬部12に滲み込む力がはたらく。この事が、この流入抑制孔14の外周回り込み分が、電極C(導入検出電極)に向かうのを大きく制止する作用となり、この点からも流入抑制孔14による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態における測定装置は、本発明の第1の実施の形態における測定装置と構造および機能が同じであるので、説明を省略する。
【0064】
本発明の第2の実施の形態におけるバイオセンサは、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサと異なるので、以下図面とともに説明する。但し、第1の実施の形態におけるバイオセンサと同じ構成については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0065】
図7A〜
図7Dに示すように、第2の実施の形態におけるバイオセンサ26は、細長い板状体9(第1の板状体9とも記す)上に、細長い板状のスペーサ10を介して細長い板状体11(第2の板状体11とも記す)を積層した構成である。
【0066】
本実施の形態において特徴的なのは、
図7A、
図7Cに示すように、導入溝13の両側部分であって、電極(検出電極)Aの奥側の板状体11に、三角形状の、液状生体試料の流入抑制孔24を一対に設けた事である。
【0067】
本実施の形態においては、液状生体試料の流入抑制孔24は、電極(検出電極)Aの奥側に設けるが、
図7A、
図7Dに示すように、電極C(導入検出電極)の突出部C1の両側に設けている。
【0068】
また、流入抑制孔24は、試薬部12の上面に対向して設けている。
【0069】
さらに、導入溝13の中央部分には、流入抑制孔24よりも奥側方向で、突出部C1よりも奥側方向の板状体11に、液状生体試料の流入促進孔15を設けている。
【0070】
なお、流入抑制孔24、流入促進孔15は、板状体11に設けたが、板状体9、11の少なくとも一方に設ければよい。
【0071】
なお、この流入抑制孔24は、板状体9、11のスペーサ10とは反対側からこのスペーサ10側に向けて打ち抜いて形成された構成となっている。この打ち抜きは、プレス成型による打ち抜きや、レーザによる穿孔を含むものとなっている。
【0072】
以上の構成において、例えば血糖値を測定する場合には、
図8Aに示すように、点着部8に血液(液状生体試料の一例)22を点着する。
【0073】
すると、
図8B、
図8Cに示すように、毛細管作用によってこの血液22は、導入溝13の奥側に向けて浸入することとなる。このとき、血液22の点着の仕方によっては、
図8Cに示すように、導入溝13の両側部分がその中央部分よりも先行して導入溝13の奥側へと浸入することになる。
【0074】
本実施の形態においては、このように導入溝13の中央部分よりも先行して、導入溝13の奥側へと浸入する血液22の導入溝13の両側部分の進行を、流入抑制孔24によって抑制することができる。
【0075】
その結果、
図8Dに示すように、血液22の浸入は、やがては、中央部分が両側部分とほぼ横並び状態となって、最終的には、
図8Eに示すように、導入溝13の奥側へと浸入することになる。なお、点着部8への血液22の点着が適切に行われれば、
図8Eに示すように、血液22の中央部がその両側よりも先行する形で奥側に進む。
【0076】
なお、このように導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料を、
図8Eに示すように、導入溝13の内方部分を略横並び状態で浸入させるために、流入抑制孔24は、導入溝13の両側部分に対向配置している。
【0077】
また、本実施の形態の流入抑制孔24は、その底辺が、上述のごとく、導入溝13の両側部分に直交する三角形状としている。そのため、導入溝13の両側部分を先行する状態で浸入する液状生体試料の進行方向に対して、三角形状の流入抑制孔24の底辺部分が直交状態となるので、液状生体試料の浸入を抑制する作用が高まる。その結果として、液状生体試料の点着の仕方による測定結果のバラつきをより効果的に抑制することが出来る。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、流入抑制孔24は、試薬部12に対向する状態で設けているので、この点からも流入抑制孔24による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0079】
具体的には、導入溝13の両側部分が先行する液状生体試料は、この流入抑制孔24部分で、奥側への浸入が一旦は停止されるが、この流入抑制孔24の外周を経由して再び、電極C(導入検出電極)に向かう事もある。
【0080】
しかしながら、本実施の形態においては、流入抑制孔24を試薬部12に対向する状態で設けている。そのため、流入抑制孔24の外周を経由して再び、電極C(導入検出電極)に向かおうとする液状生体試料のひとつである血液22は、その部分に存在する試薬部12に滲み込む力がはたらく。この事が、この流入抑制孔24の外周回り込む血液22が、電極C(導入検出電極)に向かうのを大きく制止する作用となり、この点からも流入抑制孔24による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0081】
(第3の実施の形態)
また、本発明の第3の実施の形態としては、
図9のごとく、流入抑制孔25を四角形状としたものもある。流入抑制孔25の四角形状においても、導入溝13の両側部分を先行する状態で浸入する液状生体試料の進行方向に対して、この底辺部分は直交状態となっているので、上述した流入抑制孔24の形状を三角形状とした場合と同じような流入抑制効果を得る事が出来る。
【0082】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態における測定装置は、本発明の第1の実施の形態および本発明の第2の実施の形態における測定装置と構造および機能が同じであるので、説明を省略する。
【0083】
本発明の第4の実施の形態におけるバイオセンサは、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態におけるバイオセンサと異なるので、以下図面とともに説明する。但し、第1の実施の形態または第2の実施の形態におけるバイオセンサと同じ構成については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0084】
図10A〜
図10Dに示すように、第4の実施の形態におけるバイオセンサ36は、細長い板状体9(第1の板状体9とも記す)上に、細長い板状のスペーサ10を介して細長い板状体11(第2の板状体11とも記す)を積層された構成である。
【0085】
本実施の形態において特徴的なのは、
図10A、
図10Dに示すように、導入溝13の両側にわたって導入溝13の幅より広く、電極A(検出電極)の奥側の板状体11に、液状生体試料の流入抑制孔34を設けた事である。
【0086】
本実施の形態においては、液状生体試料の流入抑制孔34は、電極A(検出電極)の奥側に設けるが、
図10A、
図10Dに示すように電極C(導入検出電極)の突出部C1の両側に跨るように1つ設けている。
【0087】
また、流入抑制孔34は、試薬部12の上面に対向して設けている。
【0088】
さらに、導入溝13の中央部分には、流入抑制孔34よりも奥側方向で、突出部C1よりも奥側方向の板状体11に、液状生体試料の流入促進孔15を設けている。
【0089】
なお、流入抑制孔34、流入促進孔15は、板状体11に設けたが、板状体9、11の少なくとも一方に設ければよい。
【0090】
なお、この流入抑制孔34は、板状体9、11のスペーサ10とは反対側からこのスペーサ10側に向けて打ち抜いて形成された構成となっている。この打ち抜きは、プレス成型による打ち抜きや、レーザによる穿孔を含む。
【0091】
また、本実施の形態の流入抑制孔34は、導入溝13の両側の一方から他方にまで連続的に設けられた長方形状となっている。
【0092】
具体的には、
図10A、
図10Dに示すように、導入溝13の両側の一方から他方にまで連続的に存在する底辺が導入溝13の開口部側に対して、直交する溝形状の長方形状となっている。
【0093】
以上の構成において、例えば血糖値を測定する場合には、
図11Aに示すように、点着部8に液状生体試料の一例である血液22を点着する。
【0094】
すると、
図11B、
図11Cに示すように、毛細管作用によってこの血液22は、導入溝13の奥側に向けて浸入することとなる。
【0095】
このとき、血液22の点着の仕方によっては、
図11Cに示すように、導入溝13の両側部分がその中央部分よりも先行して導入溝13の奥側へと浸入する。
【0096】
本実施の形態においては、このように導入溝13の中央部分よりも先行して、導入溝13の奥側へと浸入する血液22の導入溝13の両側部分の進行を、流入抑制孔34によって抑制することができる。
【0097】
その結果、
図11Dに示すように、やがては、中央部分がほぼ横並び状態となって、最終的には、
図11Eに示すように、導入溝13の奥側へと浸入することになる。なお、点着部8への血液22の点着が適切に行われれば、
図11Fに示すように、血液22の中央部がその両側よりも先行する形で奥側に進む。
【0098】
なお、このように導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料を、
図11E、
図11Fに示すように、導入溝13の内方部分を横並び状態で浸入させるために、流入抑制孔34は導入溝13の対向する両側部分を繋ぐように配置している。
【0099】
また、本実施の形態の流入抑制孔34は、導入溝13の両側の一方から他方にまで連続的に設けた構成としている。そのため、導入溝13の両側部分を先行する状態で浸入する液状生体試料の進行方向に対して、この流入抑制孔34は直交状態となるので、液状生体試料の浸入を抑制する作用が高まり、その結果として、液状生体試料の点着の仕方による測定結果のバラつきをより効果的に抑制することが出来る。
【0100】
さらに、本実施の形態においては、流入抑制孔34は、試薬部12に対向する状態で設けているので、この点からも流入抑制孔34による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0101】
具体的には、導入溝13の両側部分が先行する液状生体試料は、この流入抑制孔34部分で、奥側への浸入が一旦は停止される。
【0102】
また、本実施の形態においては、この流入抑制孔34を試薬部12に対向する状態で設けているので、奥側への浸入が一旦停止されていた血液22は、その部分に存在する試薬部12に滲み込む力がはたらく。この事が、血液22が電極C(導入検出電極)に向かうのを大きく制止する作用となり、この点からも流入抑制孔34による流入抑制効果を高める事が出来る。
【0103】
(第5の実施の形態)
図12は、本発明の第5の実施の形態におけるバイオセンサ46を示す。本発明の第5の実施の形態におけるバイオセンサ46においては、液状生体試料の流入抑制部として、流入抑制凹部44を設けたものである。
【0104】
すなわち、流入抑制凹部44は、前記導入溝13の外方に向けて窪んだ形状となっている。
【0105】
具体的には、
図12に示すように、流入抑制凹部44は、導入溝13と同じくスペーサ10に形成され、導入溝13の外方に向けて窪んだ半円形状となっている。
【0106】
バイオセンサ46への液状生体試料の点着の仕方によって、導入溝13の両側部分が先行する状態で、液状生体試料が電極B、A(検出電極)、分岐電極B1、電極C(導入検出電極)へと浸入する状態が発生する場合がある。
図12に示すように、液状生体試料の流入抑制部として、流入抑制凹部44を設けていることにより、この両側部分の先行浸入状態を抑制することが出来る。
【0107】
具体的には、導入溝13の両側部分を先行する液状生体試料は、流入抑制凹部44に到達した時点で、導入溝13の外方へと浸入方法が変更され、しかも、この変更された部分において流入抑制凹部44内に溜められることとなる。
【0108】
つまり、導入溝13の両側部分を先行する液状生体試料は、流入抑制凹部44によって、その進行が抑制され、その結果、導入溝13内を奥側に浸入する液状生体試料は、導入溝13の内方部分を横並び状態で浸入することとなり、これにより測定結果のバラつきを抑制することが出来る。
【0109】
以上のように本発明は、第1の板状体と、この第1の板状体上にスペーサを介して積層した第2の板状体とを備え、スペーサには、第1または第2の板状体の外周面に開口部を有し、この開口部から第1または第2の板状体の内周方向に延ばした液状生体試料の導入溝を設け、この導入溝の開口部の奥側に検出電極と、導入検出電極を設け、これらの検出電極、導入検出電極を覆うように試薬部を設けるとともに、導入溝の両側部分で検出電極よりも奥側に対応する前記第1、第2の板状体の少なくとも一方に、液状生体試料の流入抑制孔を設けた構成としたものであるので、液状生体試料の点着の仕方による測定結果のバラつきを抑制することが出来るものである。
【0110】
すなわち、本発明においては、導入溝の両側部分で検出電極よりも奥側に対応する前記第1、第2の板状体の少なくとも一方に、液状生体試料の流入抑制孔を設けた構成とした。この構成により、液状生体試料の点着の仕方によって、導入溝の両側部分が先行する状態で、液状生体試料が検出電極、導入検出電極へと浸入する状態が発生しても、この先行浸入状態を抑制することが出来る。
【0111】
具体的には、この導入溝の両側部分には流入抑制孔を設けているので、導入溝の両側部分が先行する液状生体試料は、この部分で毛細管作用が大幅に抑制され、その結果、導入溝内を奥側に浸入する液状生体試料は、導入溝の内方部分を横並び状態で浸入することとなり、これにより測定結果のバラつきを抑制することが出来る。