特許第5663791号(P5663791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663791
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】不斉水素化触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/28 20060101AFI20150115BHJP
   C07C 47/21 20060101ALI20150115BHJP
   C07C 45/62 20060101ALI20150115BHJP
   C07C 47/228 20060101ALI20150115BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20150115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150115BHJP
【FI】
   B01J31/28 Z
   C07C47/21
   C07C45/62
   C07C47/228
   !C07B53/00 B
   !C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2011-518481(P2011-518481)
(86)(22)【出願日】2010年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2010059387
(87)【国際公開番号】WO2010140636
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-134161(P2009-134161)
(32)【優先日】2009年6月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕徳
(72)【発明者】
【氏名】堀 容嗣
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−515843(JP,A)
【文献】 特開昭54−014911(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0161024(US,A1)
【文献】 Gabriella Fogassy et al.,"Enantioselective hydrogenation of exocyclic α,β-unsaturated ketones: Part II. Hydrogenation in the presence of (S)-proline",Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2002年,Vol.179,p.101-106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C07C 1/00−409/44
C07D 201/00−521/00
C07B 31/00−63/04
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期表における第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属の粉末又は第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属が担体に担持された金属担持物と、下記一般式(1)
【化1】

(式(1)中、環Aは3〜7員環で、置換基を有していてもよく、炭素、窒素、硫黄、酸素、及び燐からなる群より選ばれる少なくとも一種の原子を含む。環Aは縮環構造となっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよいシロキシ基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、又は置換基を有していてもよい脂肪族複素環基を表す。ただしRとRは同じ置換基になることはない。また、R又はRの一方が環Aと結合しさらに環を形成していてもよい。*は不斉炭素原子を表す。)
で表される光学活性環状含窒素化合物と、酸とを含むα,β−不飽和カルボニル化合物の不斉水素化用触媒。ただし、アミノ酸を含む不斉水素化用触媒を除く。
【請求項2】
一般式(1)のR及び/又はRで表されるカルボキシル基が、アセトキシ基、n−プロパノイロキシ基、イソプロパノイロキシ基、n−ブタノイロキシ基、2−ブタノイロキシ基、イソブタノイロキシ基、tert−ブタノイロキシ基、n−ペンタノイロキシ基、2−メチルブタノイロキシ基、3−メチルブタノイロキシ基、2,2−ジメチルプロパノイロキシ基、n−ヘキサノイロキシ基、2−メチルペンタノイロキシ基、3−メチルペンタノイロキシ基、4−メチルペンタノイロキシ基、5−メチルペンタノイロキシ基、シクロペンタノイロキシ基、シクロヘキサノイロキシ基、ジシクロペンチルアセトキシ基、ジシクロヘキシルアセトキシ基、トリシクロペンチルアセトキシ基、トリシクロヘキシルアセトキシ基、フェニルアセトキシ基、ジフェニルアセトキシ基、トリフェニルアセトキシ基、ベンゾイロキシ基及びナフトイロキシ基からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の不斉水素化用触媒。
【請求項3】
金属がニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の不斉水素化用触媒。
【請求項4】
下記一般式(2)
【化2】

(式(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとで環を形成してもよい。ただし、RとR、又はRとRとが環を形成していない場合、Rが水素原子でないときはR及びRは互いに同じでも異なってもよく、Rが水素原子のときはR及びRは水素原子以外であり互いに異なる。)
で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不斉水素化用触媒を用いて不斉水素化する工程を含むことを特徴とする、下記一般式(3)
【化3】

(式(3)中、R、R、R及びRは、式(2)の定義と同じである。2つの*は、少なくとも一方が不斉炭素原子を表す。)
で表される光学活性カルボニル化合物の製造方法。
【請求項5】
α,β−不飽和カルボニル化合物が、α,β−不飽和アルデヒドであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
α,β−不飽和カルボニル化合物が、ゲラニアール、ネラール又はシトラールであることを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
α,β−不飽和カルボニル化合物が、5〜16員環のケトン類であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉水素化用触媒を用い、α,β−不飽和カルボニル化合物の炭素−炭素二重結合を選択的に不斉水素化することにより、光学活性カルボニル化合物である光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンを製造する方法に関するものである。特に、ゲラニアール、ネラール又はシトラール(ゲラニアールとネラールとの混合物)のα,β−不飽和炭素−炭素二重結合を選択的に不斉水素化することにより、光学活性シトロネラールを得ることができる。光学活性シトロネラールはそれ自体が香料として有用であるばかりでなく、光学活性シトロネロール、光学活性イソプレゴール、光学活性メントールの重要な原料である。
【背景技術】
【0002】
従来から、α,β−不飽和アルデヒドの炭素−炭素二重結合を水素ガスで不斉水素化する試みは行なわれており、特に香料として重要な光学活性シトロネラールを得るためにネラール、ゲラニアールを不斉水素化する方法は知られている(特許文献1、2)。これらの方法は、少量の均一系触媒を用い水素ガスにより炭素−炭素二重結合を水素化する方法であることから、助剤を必要としないため大量の廃棄物がでない。
【0003】
Pdブラック、Pd/C又はPd/TiOと(−)−dihydroapovincamic酸エチルエステル、プロリン又はシンコニジンとを組み合わせて使用したα,β−不飽和ケトンの炭素炭素二重結合の不斉水素化が報告されている(非特許文献1〜5)。
また、有機不斉触媒とHantzschエステルを用いたα,β−不飽和化合物の水素移動型不斉水素化反応が報告されている(特許文献3、非特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開昭54−14911号公報
【特許文献2】日本国特表2008−515843号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0161024号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 1999,138,123−127
【非特許文献2】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 2001,170,101−107
【非特許文献3】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 2002,179,101−106
【非特許文献4】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 2002,179,107−112
【非特許文献5】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 2003,192,189−194
【非特許文献6】Acc.Chem.Res.2007,40,1327−1339
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の方法で使用する触媒は高価なロジウム金属等を用いた均一系触媒であり、反応溶液に溶解するため触媒の回収は難しい。
非特許文献1〜5の方法においては、実施例としてイソホロンと特殊なエキソサイクリックケトンしかなく、また、本発明の触媒系は使用されていない。
非特許文献6及び特許文献3の有機触媒を用いる方法では、原料の不飽和アルデヒド又は不飽和ケトンに対して20mol%程度の触媒量が必要であることと、水素化の基質であるHantzschエステルは原料の不飽和アルデヒド又はケトンに対して等量以上必要であることから、光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンの製造方法としては経済的に不利である。
そこで、反応溶液に溶解しない固体触媒等の不均一系触媒を用いることにより、容易に触媒の回収をする方法が求められていた。
また、固体触媒等の不均一系触媒使用したα,β−不飽和アルデヒドの不斉水素化反応は知られていなかった。
【0007】
本発明の目的は、反応溶液からの分離が容易な不均一系触媒を不斉水素化用触媒として用い、α,β−不飽和カルボニル化合物の炭素−炭素二重結合を不斉水素化し対応する光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンを得る方法に関する。特にシトラール、ゲラニアール、又はネラールを不斉水素化反応により水素化して、光学活性なシトロネラールを得る方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の金属粉末又は金属担持物、光学活性環状含窒素化合物、及び酸を用いることにより、α,β−不飽和カルボニル化合物を不斉水素化し、対応する光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンが得られることを見いだし、本発明を完成するに到った。また、反応終了後に光学活性含窒素化合物、及び金属粉末又は金属担持物を反応系内より容易に回収することにより、再び不斉水素化用触媒として再利用ができる。
【0009】
すなわち本発明は以下の各発明を包含する。
〔1〕周期表における第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属の粉末又は第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属が担体に担持された金属担持物と、下記一般式(1)
【0010】
【化1】
【0011】
(式(1)中、環Aは3〜7員環で、置換基を有していてもよく、炭素、窒素、硫黄、酸素、及び燐からなる群より選ばれる少なくとも一種の原子を含む。環Aは縮環構造となっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよいシロキシ基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、又は置換基を有していてもよい脂肪族複素環基を表す。ただしRとRは同じ置換基になることはない。また、R又はRの一方が環Aと結合しさらに環を形成していてもよい。*は不斉炭素原子を表す。)
で表される光学活性環状含窒素化合物と、酸とを含むα,β−不飽和カルボニル化合物の不斉水素化用触媒。ただし、アミノ酸を含む不斉水素化用触媒を除く。
〔2〕一般式(1)のR及び/又はRで表されるカルボキシル基が、アセトキシ基、n−プロパノイロキシ基、イソプロパノイロキシ基、n−ブタノイロキシ基、2−ブタノイロキシ基、イソブタノイロキシ基、tert−ブタノイロキシ基、n−ペンタノイロキシ基、2−メチルブタノイロキシ基、3−メチルブタノイロキシ基、2,2−ジメチルプロパノイロキシ基、n−ヘキサノイロキシ基、2−メチルペンタノイロキシ基、3−メチルペンタノイロキシ基、4−メチルペンタノイロキシ基、5−メチルペンタノイロキシ基、シクロペンタノイロキシ基、シクロヘキサノイロキシ基、ジシクロペンチルアセトキシ基、ジシクロヘキシルアセトキシ基、トリシクロペンチルアセトキシ基、トリシクロヘキシルアセトキシ基、フェニルアセトキシ基、ジフェニルアセトキシ基、トリフェニルアセトキシ基、ベンゾイロキシ基及びナフトイロキシ基からなる群から選ばれることを特徴とする上記〔1〕に記載の不斉水素化用触媒。
〔3〕金属がニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金からなる群から選ばれることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の不斉水素化用触媒。
〔4〕下記一般式(2)
【0012】
【化2】
【0013】
(式(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとで環を形成してもよい。ただし、RとR、又はRとRとが環を形成していない場合、Rが水素原子でないときはR及びRは互いに同じでも異なってもよく、Rが水素原子のときはR及びRは水素原子以外であり互いに異なる。)
で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物を、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の不斉水素化用触媒を用いて不斉水素化する工程を含むことを特徴とする、下記一般式(3)
【0014】
【化3】
【0015】
(式(3)中、R、R、R及びRは、式(2)の定義と同じである。2つの*は、少なくとも一方が不斉炭素原子を表す。)
で表される光学活性カルボニル化合物の製造方法。
〔5〕α,β−不飽和カルボニル化合物が、α,β−不飽和アルデヒドであることを特徴とする上記に記載の製造方法。
〕α,β−不飽和カルボニル化合物が、ゲラニアール、ネラール又はシトラールであることを特徴とする上記〔4〕又は〔5〕に記載の製造方法。
〕α,β−不飽和カルボニル化合物が、5〜16員環のケトン類であることを特徴とする上記〔4〕に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のように、不斉水素化反応における触媒として、金属粉末又は金属担持物と共に、エナンチオ選択性に寄与する添加物として光学活性環状含窒素化合物、及び酸を用いるものである。
本発明の不斉水素化触媒は、従来の不斉水素化触媒のように、触媒を調製するための反応工程を必要としない。単に、原料化合物、光学活性環状含窒素化合物、金属粉末又は金属担持物、及び酸を混合して不斉水素化するものである。このように操作も簡便であり、また、金属粉末又は金属担持物、及び光学活性環状含窒素化合物は回収して再使用でき、工業的にも有利である。
【0017】
また、本発明の触媒を使用する際に、α,β−不飽和カルボニル化合物のα位とβ位の二重結合においてZ配置及びE配置の化合物のいずれを基質として使用した場合においても、生成する光学活性カルボニル化合物の立体配置は、使用する光学活性環状含窒素化合物の立体配置に依存する。そのため、本発明では、Z配置化合物とE配置化合物との混合物を基質として使用した場合においても、同じ立体配置の光学活性カルボニル化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
<基質>
本発明においては、α,β−不飽和カルボニル化合物を基質として用い、これを本発明の触媒を使用して不斉水素化し、光学活性カルボニル化合物である光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンを製造する。
【0019】
基質として用いられるα,β−不飽和カルボニル化合物としては、特に限定されないが、例えば下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。なお、α,β−不飽和カルボニル化合物のα位とβ位の二重結合において、Z配置及びE配置があるものは、それらの何れも含むものである。
【0020】
下記一般式(2)
【0021】
【化4】
【0022】
(式(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとで環を形成してもよい。ただし、RとR、又はRとRとが環を形成していない場合、Rが水素原子でないときはR及びRは互いに同じでも異なってもよく、Rが水素原子のときはR及びRは水素原子以外であり互いに異なる。)
【0023】
前記式(2)で示される化合物すなわちα,β−不飽和アルデヒド又はα,β−不飽和ケトンを、本発明の触媒を使用して不斉水素化することにより、下記式(3)で示される光学活性カルボニル化合物である光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンが製造される。
【0024】
【化5】
【0025】
(式(3)中、R、R、R及びRは、式(2)の定義と同じである。2つの*は、少なくとも一方が不斉炭素原子を表す。)
【0026】
一般式(2)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物及び一般式(3)で表される光学活性カルボニル化合物において、R、R、R、及びRで表される基である、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基について説明する。これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。
【0027】
アルキル基としては、鎖状又は分岐状の例えば炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基及びドコシル基等が挙げられる。
【0028】
また、これらアルキル基は置換基を有していてもよく、該アルキル基の置換基としては、例えばアルケニル基、アルキニル基、アリール基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、置換アミノ基、ニトロ基、ニトリル基、ハロゲン原子、及びハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
【0029】
アルキル基の置換基としてのアルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。
【0030】
アルキル基に置換するアルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基及びヘキシニル基等が挙げられる。
【0031】
アルキル基の置換基としてのアリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基及びフルオロフェニル基等が挙げられる。
【0032】
アルキル基の置換基としての脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の脂肪族複素環基、及び多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソ−1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基及びテトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
【0033】
アルキル基の置換基としての芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の芳香族複素環基、及び多環又は縮合環の芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリル基、オキサゾリニル基、チアゾリニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基及びベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0034】
アルキル基の置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、2−メチルペンチロキシ基、3−メチルペンチロキシ基、4−メチルペンチロキシ基及び5−メチルペンチロキシ基等が挙げられる。
【0035】
アルキル基の置換基としてのアルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基及びイソプロピリデンジオキシ基等が挙げられる。
【0036】
アルキル基の置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、ナフチロキシ基及びアンスリロキシ基等が挙げられる。
【0037】
アルキル基の置換基としてのアラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的にはベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、2−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチロキシ基、2−フェニルペンチロキシ基、3−フェニルペンチロキシ基、4−フェニルペンチロキシ基、5−フェニルペンチロキシ基、1−フェニルヘキシロキシ基、2−フェニルヘキシロキシ基、3−フェニルヘキシロキシ基、4−フェニルヘキシロキシ基、5−フェニルヘキシロキシ基及び6−フェニルヘキシロキシ基等が挙げられる。
【0038】
アルキル基の置換基としてのヘテロアリールオキシ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基及び2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
アルキル基の置換基としての置換アミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基;N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基;N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基等が挙げられる。
【0040】
アルキル基に置換するハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0041】
アルキル基に置換するハロゲン化アルキル基としては、パーハロゲノアルキル基が好ましく、例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ウンデカフロロペンチル基、ヘプタデカフロロオクチル基、ウンデカフロロシクロヘキシル基、ジクロロメチル基等が挙げられる。
【0042】
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
これらシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記のアルキル基の置換基の説明で述べたような置換基が挙げられる。
【0043】
アルケニル基としては、鎖状又分岐状あるいは環状の、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。具体的なアルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4,8−ジメチル−3,7−ノナジエニル基、1−シクロヘキセニル基及び3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
これらアルケニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記のアルキル基の置換基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0044】
アリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の置換基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0045】
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
これらアラルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0046】
一般式(2)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物及び一般式(3)で表される光学活性カルボニル化合物において、RとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとで形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、インダン環、テトラリン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、インデン環、ジヒドロナフタレン環、オクタヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環等が挙げられる。これらの環は、前述したようなアルキル基、以下で説明するアシル基等で置換されていてもよい。
【0047】
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルオイル基、キシロイル基、ナフトイル基、フェナンスロイル基、アントラノイル基等が挙げられる。
【0048】
本発明において基質として用いられるα,β−不飽和アルデヒドの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、α,β−不飽和アルデヒドのα位とβ位の二重結合において、Z配置及びE配置があるものは、それらの何れも含むものである。以下化合物中の波線は、Z配置及びE配置、又はそれらの混合物を表す。
【0049】
以下、化合物中、Meはメチル基を、Bnはベンジル基を表す。
【0050】
【化6】
【0051】
前記したようなα,β−不飽和アルデヒドの中でも、ゲラニアール(下記A)、ネラール(下記B)及びシトラールが特に好ましいものとして挙げられる。
【0052】
【化7】
【0053】
本発明において基質として用いられるα,β−不飽和ケトンは、5〜16員環のケトン類が好ましい。
α,β−不飽和ケトンの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、α,β−不飽和ケトンのα位とβ位の二重結合において、Z配置及びE配置があるものは、それらの何れも含むものである。以下、化合物中の波線は、Z配置及びE配置、又はそれらの混合物を表す。
以下化合物中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Etはエチル基、Buはブチル基、Prはプロピル基、Bnはベンジル基を表す。
【0054】
【化8】
【0055】
<触媒>
次に、本発明の触媒について説明する。
本発明の触媒は、周期表における第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属の粉末又は第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属が担体に担持された金属担持物と、光学活性環状含窒素化合物と、酸とを含むα,β−不飽和カルボニル化合物の不斉水素化用触媒である。
【0056】
周期表における第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属粉末又は第8〜10族金属より選ばれる少なくとも一種の金属が担体に担持された金属担持物について説明する。
周期表における第8〜10族の金属としては、Ni(ニッケル)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)及びPt(白金)が好ましく、特に好ましい金属はPdである。
【0057】
金属粉末としては、例えば、Pdブラック、Ptブラック等があげられる。
【0058】
金属担持物としては、上記の金属が担体に担持されたものが用いられ、これらの金属がカーボン、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物、金属スルホン酸塩、金属硝酸塩、金属炭酸塩、金属リン酸塩等の担体に担持されているものが好適に用いられる。これらの中でも、パラジウム又は白金が担体に担持されているものが好ましい。
【0059】
具体的な金属担持物としては、ラネーニッケル、Ru/C、Rh/C、Pd/C、Ir/C、Pt/C、
Pd/Al、Pd/SiO、Pd/TiO、Pd/ZrO、Pd/CeO、Pd/ZnO、Pd/CdO、Pd/TiO、Pd/SnO、Pd/PbO、Pd/As、Pd/Bi、Pd/Sb、Pd/V、Pd/Nb、Pd/Cr、Pd/MoO、Pd/WO
Pd/BeO、Pd/MgO、Pd/CaO、Pd/SrO、Pd/BaO、Pd/Y、Pd/La、Pd/NaO、Pd/KO、
Pd/CdS、Pd/ZnS、
Pd/MgSO、Pd/CaSO、Pd/SrSO、Pd/BaSO、Pd/CuSO、Pd/ZnSO、Pd/CdSO、Pd/Al(SO、Pd/FeSO、Pd/Fe(SO、Pd/CoSO、Pd/NiSO、Pd/Cr(SO、Pd/KHSO、Pd/KSO、Pd/(NHSO
Pd/Zn(NO、Pd/Ca(NO、Pd/Bi(NO、Pd/Fe(NO
Pd/NaCO、Pd/KCO、Pd/KHCO、Pd/KNaCO、Pd/CaCO、Pd/SrCO、Pd/BaCO、Pd/(NHCO、Pd/NaWO・2HO、Pd/KCN、
Pd/BPO、Pd/AlPO、Pd/CrPO、Pd/FePO、Pd/Cu(PO、Pd/Zn(PO、Pd/Mg(PO、Pd/Ti(PO、Pd/Zr(PO、Pd/Ni(PO
Pd/AgCl、Pd/CuCl、Pd/CaCl、Pd/AlCl、Pd/TiCl、Pd/SnCl、Pd/CaF、Pd/BaF、Pd/AgClO、Pd/Mg(ClO
Pd/Zeolite、Pd/SiO−Al、Pd/SiO−TiO、Pd/SiO−ZrO、Pd/SiO−BeO、Pd/SiO−MgO、Pd/SiO−CaO、Pd/SiO−SrO、Pd/SiO−BaO、Pd/SiO−ZnO、Pd/SiO−TiO、Pd/SiO−ZrO、Pd/SiO−Ga、Pd/SiO−Y、Pd/SiO−La、Pd/SiO−MoO、Pd/SiO−WO、Pd/SiO−V、Pd/SiO−ThO
Pd/Al−MgO、Pd/Al−ZnO、Pd/Al−CdO、Pd/Al−B、Pd/Al−ThO、Pd/Al−TiO、Pd/Al−ZrO、Pd/Al−V、Pd/Al−MoO、Pd/Al−WO、Pd/Al−Cr、Pd/Al−Mn、Pd/Al−Fe、Pd/Al−Co、Pd/Al−NiO、
Pd/TiO−CuO、Pd/TiO−MgO、Pd/TiO−ZnO、Pd/TiO−CdO、Pd/TiO−ZrO、Pd/TiO−SnO、Pd/TiO−Bi、Pd/TiO−Sb、Pd/TiO−V、Pd/TiO−Cr、Pd/TiO−MoO、Pd/TiO−WO、Pd/TiO−Mn、Pd/TiO−Fe、Pd/TiO−Co、Pd/TiO−NiO、
Pd/ZrO−CdO、
Pd/ZnO−MgO、Pd/ZnO−Fe
Pd/MoO−CoO−Al、Pd/MoO−NiO−Al、Pd/TiO−SiO−MgO、Pd/MoO−Al−MgO、Pd/heteropoly acids、
Pt/SiO、Pt/Al、Pt/Zeolite、
Rh/Al等が挙げられる。
【0060】
続いて、本発明における触媒成分として用いられる光学活性環状含窒素化合物について説明する。
光学活性環状含窒素化合物としては、例えば、一般式(1)で表される光学活性環状含窒素化合物があげられる。
【0061】
【化9】
【0062】
(式(1)中、環Aは3〜7員環で、置換基を有していてもよく、炭素、窒素、硫黄、酸素、及び燐からなる群より選ばれる少なくとも一種の原子を含み、該原子から構成されることが好ましい。環Aは縮環構造となっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよいシロキシ基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、又は置換基を有していてもよい脂肪族複素環基を表す。ただしRとRは同じ置換基になることはない。また、R又はRの一方が環Aと結合しさらに環を形成していてもよい。*は不斉炭素原子を表す。)
【0063】
環Aは、基本骨格としては、例えば、アジリジン骨格、アゼチジン骨格、ピロリジン骨格、ピロリン骨格、ピラゾリジン骨格、イミダゾリジン骨格、イミダゾリジノン骨格、ピラゾリン骨格、チアゾリジン骨格、ピペリジン骨格、ピペラジン骨格、モルホリン骨格、チオモルホリン骨格等が挙げられる。これらの基本骨格に置換基が存在していてもよい。
環Aが、ベンゼン環などにより縮環構造となる場合の基本骨格としては、例えば、インドリン骨格、ジヒドロキノキサリン骨格、テトラヒドロイソキノリン骨格、ジヒドロキノキサリノン骨格等が挙げられる。これらの基本骨格に置換基が存在していてもよい。
【0064】
置換基としては、水酸基、オキソ基、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基が挙げられる。アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、及び脂肪族複素環基としては、R及びRの説明で列挙する基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルオイル基、キシロイル基、ナフトイル基、フェナンスロイル基、アントラノイル基等が挙げられる。
【0065】
環A及び縮環した環Aとしては、これらの中でも、置換基を有してもよいピロリジン骨格、置換基を有してもよいイミダゾリジノン骨格、及び置換基を有してもよいジヒドロキノキサリノン骨格類が好ましい。
環A及び縮環した環Aの置換基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられる。
【0066】
次に、R及びRで表される基である、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、シロキシ基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基について説明する。これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。
【0067】
アルキル基としては、鎖状又は分岐状の例えば炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基及びドコシル基等が挙げられる。
【0068】
また、これらアルキル基は置換基を有していてもよく、該アルキル基の置換基としては、例えばアルケニル基、アルキニル基、アリール基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アルコキシ基、トリアルキルシロキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、水酸基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0069】
アルキル基の置換基としてのアルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。
【0070】
アルキル基に置換するアルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基及びヘキシニル基等が挙げられる。
【0071】
アルキル基の置換基としてのアリール基としては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、イソプロピルフェニル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、4−(2’−p−トリルプロピル)フェニル基、メシチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、4−(3’,4’,5’,6’,7’,8’,9’,10’−ヘプタデカフロロデシル)フェニル基及びフルオロフェニル基等が挙げられる。
【0072】
アルキル基の置換基としての脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の脂肪族複素環基、及び多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソ−1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基及びテトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
【0073】
アルキル基の置換基としての芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等の異種原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の芳香族複素環基、及び多環又は縮合環の芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、例えば、フリル基、メチルフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリル基、オキサゾリニル基、チアゾリニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基及びベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0074】
アルキル基の置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、2−メチルペンチロキシ基、3−メチルペンチロキシ基、4−メチルペンチロキシ基、5−メチルペンチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
【0075】
アルキル基の置換基としてのトリアルキルシロキシ基としては、例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルtert−ブチルシロキシ基等が挙げられる。
【0076】
アルキル基の置換基としてのアルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基及びイソプロピリデンジオキシ基等が挙げられる。
【0077】
アルキル基の置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜15のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、ナフチロキシ基、アンスリロキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、4−フェニルフェノキシ基、3,5−ジフェニルフェノキシ基、4−メシチルフェノキシ基及び3,5−ビス(トリフロロメチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0078】
アルキル基の置換基としてのアラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的にはベンジロキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、2−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチロキシ基、2−フェニルペンチロキシ基、3−フェニルペンチロキシ基、4−フェニルペンチロキシ基、5−フェニルペンチロキシ基、1−フェニルヘキシロキシ基、2−フェニルヘキシロキシ基、3−フェニルヘキシロキシ基、4−フェニルヘキシロキシ基、5−フェニルヘキシロキシ基及び6−フェニルヘキシロキシ基等が挙げられる。
【0079】
アルキル基の置換基としてのヘテロアリールオキシ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基及び2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
【0080】
アルキル基の置換基としての置換アミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基及びモルホリル基等のモノ又はジアルキルアミノ基;N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基;N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基等が挙げられる。
【0081】
アルキル基に置換するハロゲン化アルキル基としては、パーハロゲノアルキル基が好ましく、例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ウンデカフロロペンチル基、ヘプタデカフロロオクチル基、ウンデカフロロシクロヘキシル基、ジクロロメチル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0082】
アルキル基に置換するハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0083】
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
これらシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記のアルキル基の置換基の説明で述べたような置換基が挙げられる。
【0084】
アルケニル基としては、鎖状又分岐状あるいは環状の、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。具体的なアルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4,8−ジメチル−3,7−ノナジエニル基、1−シクロヘキセニル基及び3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
これらアルケニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記のアルキル基の置換基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0085】
アリール基としては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、イソプロピルフェニル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、4−(2’−p−トリルプロピル)フェニル基、メシチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、4−(3’,4’,5’,6’,7’,8’,9’,10’−ヘプタデカフロロデシル)フェニル基及びフルオロフェニル基等が挙げられる。
これらアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の置換基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0086】
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜45のアラルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、トリルメチル基、キシリルメチル基、メシチルメチル基、4−フェニルフェニルメチル基、3−フェニルフェニルメチル基、2−フェニルフェニルメチル基、4−メシチルフェニルメチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、9−アントラニルメチル基、9−フェナントリルメチル基、3,5−ジフェニルフェニルメチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基、ジフェニルメチル基、ジトリルメチル基、ジキシリルメチル基、ジメシチルメチル基、ジ(4−フェニルフェニル)メチル基、ジ(3−フェニルフェニル)メチル基、ジ(2−フェニルフェニル)メチル基、ジ(4−メシチルフェニル)メチル基、ジ1−ナフチルメチル基、ジ2−ナフチルメチル基、ジ9−アントラニルメチル基、ジ9−フェナントリルメチル基、ビス(3,5−ジフェニルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基、トリトリルメチル基、トリキシリルメチル基、トリメシチルメチル基、トリ(4−フェニルフェニル)メチル基、トリ(3−フェニルフェニル)メチル基、トリ(2−フェニルフェニル)メチル基、トリ(4−メシチルフェニル)メチル基、トリ1−ナフチルメチル基、トリ2−ナフチルメチル基、トリ9−アントラニルメチル基、トリ9−フェナントリルメチル基、トリス(3,5−ジフェニルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシフェニルメチル基、トリメチルシロキシジフェニルメチル基、トリメチルシロキシジトリルメチル基、トリメチルシロキシジ(4−t−ブチルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシジキシリルメチル基、トリメチルシロキシジ(2−フェニルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシジ(3−フェニルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシジ(4−フェニルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシビス(3,5−ジフェニルフェニル)メチル基、トリメチルシロキシジ(4−メシチルフェニル)メチル基及びトリメチルシロキシビス(3,5−ジトリフロロメチルフェニル)メチル基等が挙げられる。
これらアラルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0087】
アルコキシ基としては、たとえば炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、2−メチルペンチロキシ基、3−メチルペンチロキシ基、4−メチルペンチロキシ基、5−メチルペンチロキシ基、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、ジシクロペンチルメトキシ基、ジシクロヘキシルメトキシ基、トリシクロペンチルメトキシ基、トリシクロヘキシルメトキシ基、フェニルメトキシ基、ジフェニルメトキシ基及びトリフェニルメトキシ基等が挙げられる。
これらアルコキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0088】
カルボキシル基としては、例えば炭素数1〜30のカルボキシル基が好ましく、具体的にはアセトキシ基、n−プロパノイロキシ基、イソプロパノイロキシ基、n−ブタノイロキシ基、2−ブタノイロキシ基、イソブタノイロキシ基、tert−ブタノイロキシ基、n−ペンタノイロキシ基、2−メチルブタノイロキシ基、3−メチルブタノイロキシ基、2,2−ジメチルプロパノイロキシ基、n−ヘキサノイロキシ基、2−メチルペンタノイロキシ基、3−メチルペンタノイロキシ基、4−メチルペンタノイロキシ基、5−メチルペンタノイロキシ基、シクロペンタノイロキシ基、シクロヘキサノイロキシ基、ジシクロペンチルアセトキシ基、ジシクロヘキシルアセトキシ基、トリシクロペンチルアセトキシ基、トリシクロヘキシルアセトキシ基、フェニルアセトキシ基、ジフェニルアセトキシ基、トリフェニルアセトキシ基、ベンゾイロキシ基、ナフトイロキシ基等が挙げられる。
これらカルボキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0089】
アルコキシカルボニル基としては、たとえば炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチロキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、3−メチルブトキシカルボニル基、2,2−ジメチルプロポキシカルボニル基、n−ヘキシロキシカルボニル基、2−メチルペンチロキシカルボニル基、3−メチルペンチロキシカルボニル基、4−メチルペンチロキシカルボニル基、5−メチルペンチロキシカルボニル基、シクロペンチロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ジシクロペンチルメトキシカルボニル基、ジシクロヘキシルメトキシカルボニル基、トリシクロペンチルメトキシカルボニル基、トリシクロヘキシルメトキシカルボニル基、フェニルメトキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基及びトリフェニルメトキシカルボニル基等が挙げられる。
これらアルコキシカルボニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0090】
アミド基としては、例えば炭素数1〜30のアミド基が好ましく具体的にはアセトアミド基、n−プロピオンアミド基、イソプロピオンアミド基、n−ブタナミド基、2−ブタナミド基、イソブタナミド基、tert−ブタナミド基、n−ペンタナミド基、2−メチルブタナミド基、3−メチルブタナミド基、2,2−ジメチルプロピオンアミド基、n−ヘキサナミド基、2−メチルペンタナミド基、3−メチルペンタナミド基、4−メチルペンタナミド基、5−メチルペンタナミド基、シクロペンタナミド基、シクロヘキサナミド基、ジシクロペンチルアセトアミド基、ジシクロヘキシルアセトアミド基、トリシクロペンチルアセトアミド基、トリシクロヘキシルアセトアミド基、フェニルアセトアミド基、ジフェニルアセトアミド基、トリフェニルアセトアミド基、ベンズアミド基、ナフタレンアミド基等が挙げられる。
これらアミド基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0091】
シロキシ基としては、例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルtert−ブチルシロキシ基等があげられる。
これらシロキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0092】
芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等の異種原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の芳香族複素環基、及び多環又は縮合環の芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、例えば、フリル基、メチルフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリル基、オキサゾリニル基、チアゾリニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基及びベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
これら芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0093】
脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14であり、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる基があげられる。好ましくは、5又は6員の単環の脂肪族複素環基、及び多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソ−1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基及びテトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
これら脂肪族複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の説明で述べたような基が挙げられる。
【0094】
及びRで表される基の好ましい例としては、水素、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
なお、本発明の光学活性環状窒素化合物としては、アミノ酸は該当しない。
【0095】
具体的な光学活性環状含窒素化合物としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
以下化合物中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Buはブチル基、Bnはベンジル基、Etはエチル基、TMSはトリメチルシリル基、polymerはポリマー鎖を表す。
【0096】
【化10】
【0097】
【化11】
【0098】
【化12】
【0099】
【化13】
【0100】
【化14】
【0101】
【化15】
【0102】
【化16】
【0103】
【化17】
【0104】
【化18】
【0105】
【化19】
【0106】
【化20】
【0107】
【化21】
【0108】
【化22】
【0109】
【化23】
【0110】
【化24】
【0111】
【化25】
【0112】
【化26】
【0113】
【化27】
【0114】
【化28】
【0115】
【化29】
【0116】
【化30】
【0117】
【化31】
【0118】
【化32】
【0119】
【化33】
【0120】
【化34】
【0121】
【化35】
【0122】
【化36】
【0123】
本発明で使用する光学活性環状含窒素化合物は、市販品を使用することができ、また合成することもできる。光学活性環状含窒素化合物のうち、光学活性ジアリールメチルピロリジン化合物の製造方法について説明する。
光学活性ジアリールメチルピロリジン化合物は、例えば、Tetrahedron 1993,49,5127−5132、及びTetrahedron:Asymmetry 1997,8,149−153に記載されている方法に従って合成することができる。該方法は、以下のScheme1で表すことができる。
【0124】
【化37】
【0125】
Scheme1中、化合物5は、Tetrahedron 1993,49,5127−5132に記載されている方法に従って合成することができる。
化合物5の合成は、(R)−又は(S)−プロリン(化合物4)と一般式MCOで表されるアルカリ金属化合物とを一般式ROHで表されるアルコール化合物に溶解した溶液に、一般式ClCOで表されるクロロ炭酸エステル化合物を0〜30℃の範囲で滴下して行うことができる。溶媒の使用量は、基質である(R)−又は(S)−プロリンの重量(g)に対して例えば10〜30倍容量(ml)〔ml/g〕、好ましくは15〜25倍容量(ml)〔ml/g〕である。
上記のようにして得られた化合物5は、例えば抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常用いられる操作により、単離精製を行うことができる。
【0126】
一般式ClCOで表されるクロロ炭酸エステル化合物において、Rで表される基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数1〜8の環状アルキル基;ベンジル基、p−メチルベンジル基等の炭素数7〜10のアラルキル基等が挙げられる。
一般式MCOで表されるアルカリ金属化合物において、Mで表される金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
一般式ROHで表されるアルコール化合物において、Rで表される基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数1〜8の環状アルキル基;ベンジル基、p−メチルベンジル基等の炭素数7〜10のアラルキル基等が挙げられる。
【0127】
化合物6は、Tetrahedron:Asymmetry 1997,8,149−153に記載されている方法に従って合成することができる。
化合物6の合成は、化合物5のTHF等のエーテル溶液に、一般式ArMgXで表されるグリニヤ化合物のTHF等のエーテル溶液を不活性気体雰囲気下、−5〜20℃で滴下し、反応温度を最終的に70℃程度にまで上げ3〜6時間の範囲で保持して行われる。溶媒の使用量は、基質である化合物5の重量(g)に対して例えば1〜10倍容量(ml)〔ml/g〕、好ましくは2〜3倍容量(ml)〔ml/g〕である。
上記のようにして得られた化合物6は、例えば抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常用いられる操作により、単離精製を行うことができる。
【0128】
一般式ArMgXで表されるグリニヤ化合物において、Arで表されるアリール基としては、例えば炭素数6〜20の置換基を有していても良いアリール基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、光学活性環状含窒素化合物のR及びRの説明で列挙するアリール基が挙げられる。
アリール基に置換する置換基の具体例としては、光学活性環状含窒素化合物のR及びRの説明で列挙するアルキル基の置換基の説明で述べたような基が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、イソプロピルフェニル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、4−(2’−p−トリルプロピル)フェニル基等が挙げられる。
一般式ArMgXで表されるグリニヤ化合物において、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0129】
化合物7で表される光学活性ジアリールメチルピロリジン化合物は、Tetrahedron:Asymmetry 1997,8,149−153に記載されている方法に従って合成することができる。
化合物7の合成は、化合物6を、化合物6に対して0.1〜40重量%のパラジウム触媒存在下、ROHで表されるアルコール溶媒、THF、またはこれらの混合溶媒中、20〜80℃で0.1MPa〜1MPa程度の水素雰囲気下で1日〜10日、脱ベンジル化をすることによって行われる。溶媒の使用量は、基質である化合物6の重量(g)に対して、例えば5〜50倍容量(ml)〔ml/g〕、好ましくは20〜40倍容量(ml)〔ml/g〕である。
上記のようにして得られた化合物7の光学活性ジアリールメチルピロリジン化合物は、例えば抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常用いられる操作により、単離精製を行うことができる。
【0130】
一般式Pd cat.で表されるパラジウム触媒は、Pd/Cのような脱ベンジル触媒から選ばれる。
なおScheme1中、*は不斉炭素原子を表す。
【0131】
更に、本発明においてはもう一つの触媒成分として酸を含む。
酸としては有機酸又は無機酸を用いることができるが、有機酸が好ましい。
【0132】
具体的な有機酸の例としては、酢酸、クロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、L−マンデル酸、D−マンデル酸及びトリフロロメタンスルホン酸等が挙げられる。
具体的な無機酸の例としては、弗酸、塩酸、臭酸、ヨウ酸、硫酸、過塩素酸、燐酸及び硝酸等が挙げられる。
【0133】
<光学活性カルボニル化合物の製造方法>
本発明では、前記した触媒の存在下に、α,β−不飽和カルボニル化合物を不斉水素化反応させることにより、光学活性アルデヒド又は光学活性ケトンのような光学活性カルボニル化合物が得られる。
【0134】
本発明の触媒の成分として用いられる金属粉末及び金属担持物の使用量は、種々の反応条件により異なるが、基質であるα,β−不飽和カルボニル化合物の重量に対して、金属粉末の全重量及び金属担持物の全重量が、例えば0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%用いることができる。
【0135】
本発明の触媒の成分として用いられる光学活性環状含窒素化合物の使用量は、種々の反応条件により異なるが、基質であるα,β−不飽和カルボニル化合物に対して、例えば0.01〜20重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%用いることができる。
【0136】
本発明の触媒の成分として用いられる酸の使用量は、種々の反応条件により異なるが、光学活性環状含窒素化合物に対して、例えば、0.01〜10倍モルであり、好ましくは0.2〜4倍モル用いることができる。
【0137】
本発明の触媒を用いてα,β−不飽和カルボニル化合物を不斉水素化し光学活性カルボニル化合物を製造する際には、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができるが、溶媒存在下で行うことが好ましい。
【0138】
使用される具体的な溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系有機溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系有機溶媒;水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノール等のアルコール系有機溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモトルエン等のハロゲン化炭化水素系有機溶媒;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が好ましく、必要に応じこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。これら溶媒の中でも、ヘプタン、トルエン、テトラヒドロフラン、t−ブタノール、含水t−ブタノールが特に好ましい。
溶媒の使用量は、反応条件等により適宜選択することができるが、基質であるα,β−不飽和カルボニル化合物の重量(g)に対して例えば0〜20倍容量(ml)〔(ml/g)〕、好ましくは0〜5倍容量(ml)〔(ml/g)〕である。
【0139】
本発明の方法は、水素ガスを水素源として行うが、その水素圧は、0.01MPa〜10MPaであり、好ましくは0.1MPa〜1MPaである。反応温度は、−78〜100℃であり、好ましくは10〜70℃である。反応時間は、反応条件により異なるが、通常1〜30時間である。
【0140】
上記のようにして得られた光学活性カルボニル化合物は、例えば抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常用いられる操作により、単離精製を行うことができる。また、得られる光学活性カルボニル化合物の立体配置は、光学活性環状含窒素化合物の立体配置を適宜選択することによって、d体又はl体(R体又はS体)を製造することができる。
【実施例】
【0141】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0142】
生成物の測定は、ガスクロマトグラフィー法(GLC)により行った。条件は以下に述べる通りである。
使用分析機器:島津製作所製G2010ガスクロマトグラフ
カラム: 転化率測定 Agilent社製DB−WAX(0.25mm x 30m)、
光学純度 スペルコ社製β−DEX−225(0.25mm x 30m)、
検出器:FID
【0143】
光学活性環状含窒素化合物のうち、実施例48〜56及び58〜61で使用した化合物は下記方法により合成した。それ以外の実施例ではアルドリッチ社製の化合物を使用した。
【0144】
(合成例1)
(R)−Proline−N−ethyl carbamate methyl esterの合成
【0145】
【化38】
【0146】
Tetrahedron,Vol.49,No.23,5127−5132の合成法に従って行った。
2Lの四つ口フラスコに、(R)−プロリン35.54g(0.3mol)、無水メタノール600ml、炭酸カリウム41.46gを投入し攪拌した。氷冷下、クロロ炭酸エチル71.62g(0.66mmol)を25℃以下で滴下し、0℃で12時間攪拌した。その後、メタノールを留去し水300mlを投入し、クロロホルム450mlで抽出、さらに水層をクロロホルム450mlで2回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後溶媒を留去し、52.85g、87.5%の収率で目的物を得た。
【0147】
(合成例2)
(S)−Proline−N−ethyl carbamate methyl esterの合成
【0148】
【化39】
【0149】
Tetrahedron,Vol.49,No.23,5127−5132の合成法に従って行った。
1Lの四つ口フラスコに、(S)−プロリン23.03g(0.2mol)、無水メタノール400ml、炭酸カリウム27.64gを投入し攪拌した。氷冷下、クロロ炭酸エチル47.75g(0.44mmol)を25℃以下で滴下し、0℃で12時間攪拌した。その後、メタノールを留去し水200mlを投入し、クロロホルム300mlで抽出、さらに水層をクロロホルム300mlで2回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後溶媒を留去し、35.85g、89.1%の収率で目的物を得た。
【0150】
(合成例3)
(R)−2−(bis−(4’−t−butylphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例48〜53の光学活性環状含窒素化合物の合成)
【0151】
【化40】
【0152】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した1L反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム12.55g(469mmol)、無水THF50mlを投入し攪拌した。室温にて4−t−ブチルフェニルブロモベンゼン100g(469mmol)のTHF500ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例1で得られた、(R)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 47.2g(235mmol)のTHF200ml溶液を10℃以下にて滴下して反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液500mlに反応液を投入し、抽出用トルエンを500ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、水層をトルエン500mlで2回再抽出を行い、有機層を合わせて、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた結晶をトルエン1200mlにて加熱溶解した。冷却後、得られた結晶をろ過し、減圧下乾燥後、65.8gの(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−t−butylphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−t−butylphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール460ml、THF460ml、10%Pd−C 2.63gを投入し攪拌、水素置換した。そのまま10日間室温で反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を43.6g,74.3%の収率で得た。
H−NMR(CDOD):δ=1.10〜1.50、m、19H δ=1.60〜1.85、m、3H δ=2.65〜2.80、m、1H δ=2.80〜2.95、m、1H δ=3.65、d、1H δ=3.70〜3.85、m、1H δ=7.10〜7.35、m、8H
【0153】
(合成例4)
(S)−2−(bis−(4’−t−butylphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例54の光学活性環状含窒素化合物の合成)
【0154】
【化41】
【0155】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した300ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム2.55g(105mmol)、無水THF50mlを投入し攪拌した。室温にて4−t−ブチルフェニルブロモベンゼン21.31g(100mmol)のTHF30ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例2で得られた、(S)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 10.05g(50mmol)を10℃以下にて滴下して反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液100mlに反応液を投入し、抽出用トルエンを100ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、水層をトルエン100mlで2回再抽出を行い、有機層を合わせて、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた結晶を酢酸エチル140mlにて加熱溶解した。冷却後、得られた結晶をろ過し、減圧下乾燥後、9.13gの(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−t−butylphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−t−butylphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール100ml、THF100ml、10%Pd−C 365mgを投入し攪拌、水素置換した。そのまま4日間室温で反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を3.48g,19.93%の収率で得た。
H−NMR(CDOD):δ=1.10〜1.50、m、19H δ=1.60〜1.85、m、3H δ=2.65〜2.80、m、1H δ=2.80〜2.95、m、1H δ=3.65、d、1H δ=3.70〜3.85、m、1H δ=7.10〜7.35、m、8H
【0156】
(合成例5)
(S)−2−(bis−(4’−i−propylphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例55の光学活性環状含窒素化合物の合成)
【0157】
【化42】
【0158】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した300ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム2.55g(105mmol)、無水THF50mlを投入し攪拌した。室温にて4−i−プロピルフェニルブロモベンゼン19.91g(100mmol)のTHF30ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例2で得られた、(S)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 10.05g(50mmol)を10℃以下にて滴下して反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液100mlに反応液を投入し、抽出用トルエンを100ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、16.22gの(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−i−propylphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−i−propylphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール100ml、THF50ml、10%Pd−C 650mgを投入し攪拌、水素置換した。そのまま4日間室温で反応したのち、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を2.71g,16.86%の収率で得た。
H−NMR(CDOD):δ=1.05〜1.20、m、12H δ=1.20〜1.35、m、1H δ=1.60〜1.80、m、3H δ=2.65〜2.95、m、4H δ=3.60、d、1H δ=3.70〜3.85、m、1H δ=7.00〜7.30、m、8H
【0159】
(合成例6)
(R)−2−(bis−(4’−(1’’−Methylcyclohexyl)phenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例56の光学活性環状含窒素化合物の合成)
【0160】
【化43】
【0161】
(1)1−Methylcyclohexylbenzeneの合成
硫酸231g (2.36mol)のベンゼン溶液225.6ml(2.53mol)に、0℃にて1−メチル−1−シクロヘキセン75.0ml(632mmol)と ベンゼン56.4ml(632mmol)の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、0℃にて1.5時間撹拌した。反応液に水300mlを加えてクエンチし、水層を分離した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、水100mlおよび飽和食塩水100mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を濃縮して粗1−メチルシクロヘキシルベンゼンを得た。得られた粗1−メチルシクロヘキシルベンゼンを減圧蒸留(110−113℃/10mmHg)で精製し、40.2g の目的物を得た。収率36.5%。
H−NMR(CDCl):δ=1.20、s、3H δ=1.30〜1.70、m、8H δ=1.90〜2.10、m、2H δ=7.10〜7.40、m、5H
【0162】
(2)4−(1’−Methylcyclohexyl)bromobenzeneの合成
上記(1)で得られた1−メチルシクロヘキシルベンゼン20.0g(115mmol)に鉄279mg(5.00mmol)およびヨウ素198mg(0.78mmol)を加え0℃にて臭素17.8g(111mmol)を1.5時間かけてゆっくり滴下し、その温度で1.5時間、室温で20時間撹拌した。反応液を冷却後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液30mlでクエンチし、ヘキサン50mlにて3回抽出した。合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液30mlおよび水30mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、溶媒を減圧回収して粗ブロミド27.9g を得た。得られた粗ブロミドを減圧蒸留(117−120℃/2mmHg)で精製し、収率 80.3%で目的物を得た。
H−NMR(CDCl):δ=1.15、s、3H δ=1.30〜1.70、m、8H δ=1.90〜2.10、m、2H 2H δ=7.15〜7.50、m、4H
【0163】
(3)(R)−2−(bis−(4’−(1’’−Methylcyclohexyl)phenyl)methyl)pyrrolidineの合成
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した100ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム535mg(22.0mmol)、無水THF4mlを投入し攪拌した。室温にて、上記(2)で得られた4−(1’−メチルシクロヘキシル)ブロモベンゼン5.06g(20mmol)のTHF25ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例1で得られた(R)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester2.01g(10mmol)のTHF16ml溶液を10℃以下にて滴下して反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液25mlに反応液を投入し、抽出用クロロホルムを50ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、4.76gの濃縮物を得た。酢酸エチル中から再結晶し、2.37gの(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−(1’’−Methylcyclohexyl)phenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−(1’’−Methylcyclohexyl)phenyl)−bicyclooctaneに、メタノール35ml、THF35ml、10%Pd−C 1.10gを投入し攪拌、水素置換した。50℃で7.5時間反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を1.50g,35.0%の収率で得た。
H−NMR(CDCl):δ=1.10〜1.20、s、6H δ=1.25〜2.20、m、24H δ=2.70〜3.00、m、2H δ=3.70〜3.95、m、2H δ=7.10〜7.40、m、8H
【0164】
(合成例7)
(R)−2−(bis−(p−1’−adamantylphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例58の光学活性環状含窒素化合物の合成)
【0165】
【化44】
【0166】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した200ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム0.591g(24.3mmol)、無水THF10mlを投入し攪拌した。室温にてp−1−アダマンチルフェニルクロロベンゼン5.00g(20.3mmol)のTHF30ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例1で得られた(R)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 2.04g(10.1mmol)を10℃以下にて滴下して反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液100mlに反応液を投入し、抽出用THFを300ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、2.37gの(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(p−1’−adamantylphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(p−1’−adamantylphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール36ml、THF36ml、10%Pd−C 1.18gを投入し攪拌、水素置換した。50〜60℃で70時間反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、アルミナカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を1.45g,31.6%の収率で得た。
H−NMR(CDCl):δ=1.40〜2.20、m、30H δ=2.60〜2.80、br、1H δ=3.05〜3.90、m、2H δ=4.10〜4.90、m、2H δ=7.00〜7.50、m、8H
【0167】
(合成例8)
(R)−2−(bis−(4’−(2’’−p−tolylpropyl)phenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例59の光学活性環状窒素化合物の合成)
【0168】
【化45】
【0169】
(1)4−(2’−p−Tolylpropyl)chlorobenzeneの合成
硫酸44.1g(450mmol)のトルエン溶液59.9ml(470mmol)に、0℃にてp−クロロメチルスチレン21.5ml(150mmol)と トルエン20ml(280mmol)の混合溶液を1時間かけて滴下し、0℃にて2.0時間撹拌した。反応液に水100mlを加えてクエンチし、水層を分離した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlおよび水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を濃縮して粗クロリドを得た。得られた粗クロリドを減圧蒸留(120−130℃/1mmHg)で精製し、31.8g の目的物を得た。収率86.7%。
H−NMR(CDCl):δ=1.80、s、6H δ=2.45、s、3H δ=7.20〜7.45、m、8H
【0170】
(2)(R)−2−(bis−(4’−(2’’−p−tolylpropyl)phenyl)methyl)pyrrolidineの合成
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した100ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム535mg(22.0mmol)、無水THF4mlを投入し攪拌した。室温にて、上記(1)で得られた4−(2’−p−トリルプロピル)クロロベンゼン4.90g(20mmol)のTHF20ml溶液を還流条件下でゆっくり滴下し、還流条件下で6時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例1で得られた(R)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 2.01g(10mmol)のTHF16ml溶液を10℃以下にて滴下し反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液25mlに反応液を投入し、抽出用クロロホルムを50ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、目的物を含む濃縮物を得た。ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒中から再結晶し、2.90gの(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−(2’’−p−tolylpropyl)phenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5R)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−(2’’−p−tolylpropyl)phenyl)−bicyclooctaneに、メタノール29ml、THF29ml、10%Pd−C 1.45gを投入し攪拌、水素置換した。50℃で15時間反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を1.86g,24.7%の収率で得た。
H−NMR(CDCl):δ=1.30〜2.00、m、4H δ=1.60、s、12H δ=2.30、s、6H δ=2.70〜3.00、m、2H δ=3.75〜3.90、m、2H δ=7.00〜7.30、m、16H
【0171】
(合成例9)
(S)−2−(bis−(4’−trifloromethylphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例60の光学活性環状窒素化合物の合成)
【0172】
【化46】
【0173】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した300ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム2.55g(105mmol)、無水THF50mlを投入し攪拌した。室温にて4−トリフルオロメチルフェニルブロモベンゼン22.5g(100mmol)のTHF30ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例2で得られた(S)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 10.05g(50mmol)を10℃以下にて滴下し反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液100mlに反応液を投入し、抽出用トルエンを100ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、12.87gの(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−trifloromethylphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(4’−trifloromethylphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール130ml、10%Pd−C 514mgを投入し攪拌、水素置換した。そのまま4日間室温で反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、淡黄色オイル状の目的物を6.74g,36.11%の収率で得た。
H−NMR(CDOD):δ=1.25〜1.50、m、1H δ=1.70〜1.95、m、3H δ=2.80〜2.90、m、1H δ=2.90〜3.05、m、1H δ=3.90〜4.05、m、1H δ=7.45〜7.65、m、8H
【0174】
(合成例10)
(S)−2−(bis−(p−biphenyl)methyl)pyrrolidineの合成(実施例61の光学活性環状窒素化合物の合成)
【0175】
【化47】
【0176】
Tetrahedron: Asymmetry,Vol.8,No.1,149−153の(S)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidineの合成法に従って合成した。
窒素置換した300ml反応フラスコに、窒素気流下、マグネシウム2.13g(87.5mmol)、無水THF10mlを投入し攪拌した。室温にてp−ブロモビフェニル19.1g(81.9mmol)のTHF54ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した(グリニア化合物の合成)。
次に、上記溶液を5℃以下に冷却し、合成例2で得られた(S)−Proline−N−ethyl carbamate methyl ester 8.00g(39.8mmol)を10℃以下にて滴下し反応させた。その後、3時間加熱還流したのち冷却し、飽和アンモニウムクロライド水溶液100mlに反応液を投入し、抽出用トルエンを100ml投入、1時間攪拌した。分液ろうとに移し、有機層を分離、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、6.71gの(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(p−biphenyl)−bicyclooctaneを得た。
得られた(5S)−[3,3,0]−1−aza−2−oxo−3−oxa−4,4−bis−(p−biphenyl)−bicyclooctaneに、メタノール130ml、10%Pd−C 335mgを投入し攪拌、水素置換した。そのまま4日間室温で反応した後、Pd−Cをろ過にて除去、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色結晶の目的物を1.52g,25.1%の収率で得た。
H−NMR(CDCl):δ=1.43〜1.89、m、5H δ=2.86〜3.12、m、2H δ=3.85〜3.89、m、2H δ=7.25〜7.56、m、18H
【0177】
(実施例1)
10ml反応フラスコに、ゲラニアール1g(6.57mmol)、5重量%Pd−Cを25mg(ゲラニアールに対して2.5重量%)、(R)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidine 25mg(0.11mmol。ゲラニアールに対して2.5重量%)、トリフルオロ酢酸12mg(0.11mmol)、トルエン2mlをいれ攪拌し、水素雰囲気(0.1MPa(大気圧))とした。室温にて21時間攪拌した後、触媒をろ過後、ガスクロマトグラフィ−で分析したところ、ゲラニアールからシトロネラールへの転化率は91%で、得られたシトロネラールはd体であり、その光学純度は67.65%e.e.であった。
【0178】
(実施例2〜12)
光学活性環状含窒素化合物、酸を変更した以外は、全て実施例1と同様に反応を行なった。なお、光学活性環状含窒素化合物は25mg、酸は光学活性環状含窒素化合物に対して同モルを使用した。結果を表1及び表2に示す。
表中、TFAはトリフルオロ酢酸、TCAはトリクロロ酢酸を表す。以下同様である。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
(実施例13〜25)
反応基質にネラールを用い、光学活性環状含窒素化合物、酸を変更した以外は、全て実施例1と同様に反応を行なった。なお、光学活性環状含窒素化合物は25mg、酸は光学活性環状含窒素化合物に対して同モルを使用した。結果を表3及び表4に示す。
【0182】
【表3】
【0183】
【表4】
【0184】
(比較例1)
反応基質にネラールを用い、光学活性環状含窒素化合物を変更し、酸を添加しない以外は、全て実施例1と同様に反応を行なった。結果を表5に示す。
【0185】
【表5】
【0186】
(実施例26〜29)
反応基質にシトラールを用い、光学活性環状含窒素化合物、酸を変更した以外は、全て実施例1と同様に反応を行なった。なお、光学活性環状含窒素化合物は25mg、酸は光学活性環状含窒素化合物に対して同モルを使用した。結果を表6に示す。
【0187】
【表6】
【0188】
(実施例30)
10ml反応フラスコに、ゲラニアール1g(6.57mmol)、5重量%Pd−シリカ 12.5mg(ゲラニアールに対して1.25重量%)、(R)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidine 25mg(0.11mol。ゲラニアールに対して2.5重量%)、トリフルオロ酢酸12mg(0.11mol)、トルエン2mlをいれ攪拌し、水素雰囲気(0.1MPa(大気圧))とした。室温にて21時間攪拌した後、触媒をろ過後、ガスクロマトグラフィ−で分析したところ、ゲラニアールからシトロネラールへの転化率は42.28%で、得られたシトロネラールはd体であり、その光学純度は70.79%e.e.であった。
【0189】
(実施例31〜41)
金属粉末又は金属担持物を変更した以外は、全て実施例30と同様に反応を行なった。結果を表7に示す。
【0190】
【表7】
【0191】
(実施例42〜44)
基質にシトラールを用い、金属担持物を変更した以外は、全て実施例30と同様に反応を行なった。結果を表8に示す。
【0192】
【表8】
【0193】
(実施例45〜47)
基質にネラールを用い、金属担持物を変更した以外は、全て実施例30と同様に反応を行なった。結果を表9に示す。
【0194】
【表9】
【0195】
(実施例48)
10ml反応フラスコに、シトラール2g(13.14mmol)、5重量%Pd−硫酸バリウム 25mg(シトラールに対して1.25重量%)、(R)−2−(bis−(4’−t−butylphenyl)methyl)pyrrolidine 80mg(0.23mmol。シトラールに対して4.0重量%)、トリフルオロ酢酸26.1mg(0.23mmol)、10重量%含水t−BuOH4mlをいれ攪拌し、水素雰囲気(0.1MPa(大気圧))とした。40℃にて21時間攪拌した後、触媒をろ過後、ガスクロマトグラフィ−で分析したところ、シトラールからシトロネラールへの転化率は51%で、得られたシトロネラールはd体であり、その光学純度は84.91%e.e.であった。
【0196】
(実施例49〜64)
実施例49は25℃での反応、実施例50は50℃での反応、実施例51は60℃での反応、実施例61および62は25℃でトルエン中での反応とし、その他条件は、光学活性環状含窒素化合物、酸を変更した以外は、全て実施例48と同様に反応を行なった。なお、光学活性環状含窒素化合物は80mg、酸は光学活性環状含窒素化合物に対して同モルを使用した。結果を表10〜12に示す。
【0197】
【表10】
【0198】
【表11】
【0199】
【表12】
【0200】
(実施例65)
10ml反応フラスコに、β−メチルシンナムアルデヒド1g(6.84mmol)、5重量%Pd−C 50mg(β−メチルシンナムアルデヒドに対して5重量%)、(R)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidine 25mg(0.11mmol。β−メチルシンナムアルデヒドに対して2.5重量%)、トリフルオロ酢酸12mg(0.11mmol)、トルエン2mlをいれ攪拌し、水素雰囲気(0.1MPa(大気圧))とした。室温にて21時間攪拌した後、触媒をろ過後、ガスクロマトグラフィ−で分析したところ、転化率は89%で、得られた(S)−3−フェニルブチルアルデヒドの光学純度は34.88%e.e.であった。
【0201】
(実施例66)
光学活性環状含窒素化合物として(R)−2−(tert−butyl)−3−methyl−4−imidazolidinoneを用いた以外は実施例65と同様に反応を行った。転化率は82%で、得られた(S)−3−フェニルブチルアルデヒドの光学純度は26.81%e.e.であった。
【0202】
(実施例67)l−メントールの合成
3L反応フラスコに、シトラール500.0g(3.28mol)を、5重量%Pd−シリカアルミナ6.25g(シトラールに対して1.25重量%)、(R)−2−(diphenylmethyl)pyrrolidine 12.5g(52.7mmol。シトラールに対して2.5重量%)、トリフルオロ酢酸6g(52.7mmol)、トルエン1Lをいれ攪拌し、水素雰囲気(0.1MPa(大気圧))とした。室温にて21時間攪拌した後、触媒をろ過後、ガスクロマトグラフィ−で分析したところ、シトラールからシトロネラールへの転化率は80.4%で、その光学純度は70.66%e.e.であった。得られた粗d−シトロネラールを蒸留して純度98%のd−シトロネラールを320g(2.07mol、63.1%収率)得た。
【0203】
d−シトロネラール308.5g(2.0mol)に日本国特開2002−212121号公報に記載されているトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム触媒15.26g(20mmol)、トルエン300mlを加え、5℃で、5時間撹拌し、反応溶液を蒸留してl−イソプレゴール(99.5%n−体、70.85%e.e.)283.8g(1.84mol、92%収率)を得た。
【0204】
得られたl−イソプレゴール283.8gにラネーニッケル0.45gを添加し、水素圧2.5MPa、70℃で10時間水素化を行った。反応液をろ過し、蒸留をすることによってl−メントール273.5g(1.75mol、71.24%e.e.)を得た。
【0205】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2009年6月3日出願の日本特許出願(特願2009−134161)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明において用いられる不斉水素化用触媒は、金属粉末又は金属担持物、光学活性環状含窒素化合物、及び酸を単に混合するだけで、基質であるα,β−不飽和カルボニル化合物を簡便に不斉水素化し、光学活性α,β−カルボニル化合物を製造することができる。
つまり、シトラール(ゲラニアールとネラールとの混合物)、ゲラニアール、又はネラールのα、β−炭素−炭素二重結合を選択的に不斉水素化することにより、光学活性シトロネラールを得ることができる。光学活性シトロネラールはそれ自体が香料として有用であるばかりでなく、光学活性シトロネロール、光学活性イソプレゴール、光学活性メントールの重要な原料である。
そして、本発明の触媒は、反応溶液に可溶性ではないため、反応系内から金属又は金属担持物、及び光学活性環状含窒素化合物を容易に回収して再利用でき、工業的にも有利である。