(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663812
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】薄膜ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
B65H35/07 D
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-6375(P2013-6375)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-147353(P2013-147353A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2013年2月13日
(31)【優先権主張番号】101102474
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504213102
【氏名又は名称】順▲徳▼工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 健瓏
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/140088(WO,A1)
【文献】
特開2009−286046(JP,A)
【文献】
特開2009−029054(JP,A)
【文献】
特開2003−237155(JP,A)
【文献】
特開2010−089357(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/070935(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/149936(WO,A1)
【文献】
特開2005−193999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜ディスペンサであって、
ハウジングを含み、
前記ハウジングは、
上部ケーシングを有し、当該上部ケーシングは、
第1の端部と、
一定の長さと、
内部表面とを備え、
前記ハウジングは、
前記上部ケーシングと結合することで、当該下部ケーシングと前記上部ケーシングとの間で室を規定する下部ケーシングを有し、当該下部ケーシングは、
前記上部ケーシングの前記第1の端部とピボットによって結合される端部と、
前記上部ケーシングの長さよりも長い一定の長さと、
前記上部ケーシングの内部表面に面しており、前記上部ケーシングの内部表面から間隔を置いて配置されている内部表面とを備え、
前記ハウジングは、
前記上部ケーシングおよび前記下部ケーシングの内部表面の上に設けられている噛合い装置を有し、
前記ハウジングの前記室の中に配置されるディスペンジングユニットを含み、
前記上部ケーシングは、当該上部ケーシングの前記第1の端部の反対側の第2の端部を備え、
前記下部ケーシングは、前記上部ケーシングに対面する内側の底を備え、
前記噛合い装置は、前記上部ケーシングの前記第2の端部および前記内側の底の上に設けられている
薄膜ディスペンサ。
【請求項2】
前記噛合い装置は、
前記上部ケーシングに形成された上部の噛合いタブと、
前記下部ケーシングに形成され、前記上部の噛合いタブと噛み合う下部の噛合いタブと
を含む
請求項1に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項3】
前記上部の噛合いタブは、前記上部ケーシングの前記第2の端部に形成され、前記下部ケーシングに向かって伸張しており、
前記下部の噛合いタブは、前記上部の噛合いタブに対応する位置にあって、前記下部ケーシングの前記内側の底の上に形成されている
請求項2に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項4】
前記下部の噛合いタブは、前記下部ケーシングの中心線の中間付近に形成される
請求項2または3に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項5】
前記上部の噛合いタブおよび前記下部の噛合いタブは、弾力性を備えている
請求項4に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項6】
前記ディスペンジングユニットは、ボディと、前記噛合い装置に対応し、前記ボディを貫通するものとして定義されるスルーホールとを備えている
請求項1から3および5のいずれかに記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項7】
前記上部ケーシングは、当該上部ケーシングの上に形成されたフィンガタブであって、前記噛合い装置が設けられた端部で当該上部ケーシングの上部より水平方向に拡張しているフィンガタブを有しており、
前記ディスペンジングユニットは、さらに、前記上部ケーシングの前記フィンガタブに対応する位置にあるものとして定義され、前記フィンガタブが当該フィンガ緩衝部の中にわずかに拡張することを許容するフィンガ緩衝部を備えている
請求項1から3および6のいずれかに記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項8】
さらに、前記ディスペンジングユニットと前記ハウジングとの間に設けられた位置決め装置を備えた
請求項1から3および7のいずれかに記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項9】
前記位置決め装置は、
前記ディスペンジングユニットの2つの側部の上にそれぞれ形成された2つの位置決めタブと、
前記下部ケーシング内に定められ、前記位置決めタブに個別に噛み合う2つの位置決め用受けと
を備える
請求項8に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項10】
前記位置決め用受けは、前記下部ケーシングの2つの内側側面内に個別に定められる
請求項9に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項11】
各位置決め用受けは、2つの端部と、当該2つの端部上に個別に形成された2つの案内ブロックとを有しており、
前記各案内ブロックは、頭部と、当該頭部に形成された傾斜した表面とを有している
請求項10に記載の薄膜ディスペンサ。
【請求項12】
前記下部ケーシングは、さらに、当該下部ケーシングの2つのエッジ内にあるものとして個別に定められ、前記2つの位置決め用受けに個別に隣接している、2つの緩衝用受けを有している
請求項11に記載の薄膜ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜ディスペンサに関し、特に簡便に開くことができるハウジングを有する薄膜ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
訂正テープディスペンサあるいは接着テープディスペンサなどの従来の薄膜ディスペンサは、本質的にハウジングとハウジング内に設けられたディスペンジング(吐出、取り出し)ユニットからなる。
【0003】
環境に優しい目的のためと、ユーザのコスト負担を低減するために、薄膜ディスペンサのハウジングは、使用されたディスペンジングユニットを新しいものと取り替えることをユーザに許容するために、開くことが可能となっている。
【0004】
さらに、従来の薄膜ディスペンサのハウジングは、互いに結合された2つの半分のケーシングから構成されており、噛合い装置は、2つの半分のケーシングが閉じられた状態で確実に2つの半分のケーシングを結合するために、2つの半分のケーシングに間に設けられている。従来の噛合い装置は、プレス可能なタイプであり、2つの半分のケーシングのそれぞれに設けられた、2つの弾力のある噛合いアームと、2つの噛み合いのための凹所から構成されている。弾力のある噛合いアームと、噛み合いのための凹所の間の噛み合いによって、2つの半分のケーシングは互いに結合される。
【0005】
しかしながら、ハウジングを開いて、ハウジングの中のディスペンジングユニットを取り替えるために2つの半分のケーシングを互いに離すには、噛合いアームは、噛み合いのための凹所から離すために押される必要がある。さらに、2つの半分のケーシングは、従来の噛合い装置を配置するための広いスペースを必要とするように、噛合いアームと、噛み合いのための凹所とを、2つの半分のケーシングに配置することになる。この結果、従来の薄膜ディスペンサの容積は大きくなり、従来の薄膜ディスペンサを保管したり包装したり搬送するためのスペースは増大せざるを得なかった。
【0006】
ユーザの手で、大きな容積を持つ薄膜ディスペンサを保持することは心地悪く、従来の薄膜ディスペンサの使用は不自由であった。そのような欠点を克服するために、本発明は、上記の問題点を抑制するか除去するための、薄膜ディスペンサを提供することを課題とするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主要な目的は、ハウジングの容積が効果的に減らされることができて、また薄膜ディスペンサを保管したり包装したり搬送するためのスペースが減らされることができるように、ハウジングの上部ケーシングと下部ケーシングの内部表面に配置された噛合い装置を有している薄膜ディスペンサを提供することにある。そして、薄膜ディスペンサは、ユーザの手によって、容易に保持することができて、操作ができて、保管することができるようになる。薄膜ディスペンサの簡便さと有効性を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記する目的を達成するために、本発明の薄膜ディスペンサは、ハウジングと、ディスペンジングユニットを有している。ハウジングは、上部ケーシングと、下部ケーシングと、噛合い装置とを有している。上部ケーシングは、第1の端部と、一定の長さと、内部表面を備えている。下部ケーシングは、上部ケーシングと結合することで、下部ケーシングと上部ケーシングとの間で室(チャンバ)を規定する。下部ケーシングは、端部と、一定の長さと、内部表面を備えている。下部ケーシングの端部は、上部ケーシングの第1の端部とピボットによって結合される。下部ケーシングの長さは、上部ケーシングの長さよりも長い。下部ケーシングの内部表面は、上部ケーシングの内部表面に面しており、上部ケーシングの内部表面から間隔を置いて配置されている。噛合い装置は、上部ケーシングおよび下部ケーシングの内部表面の上に設けられている。ディスペンジングユニットは、ハウジングの室の中に配置される。
【0009】
このような配置によって、噛合い装置が、ハウジングの上部ケーシングと下部ケーシングの互いに対面している内部表面に配置されるために、ハウジングを開くことは、利便なものとなり、省力化される。さらに、ハウジングの容積が効果的に減らされることができて、薄膜ディスペンサを保管したり包装したり搬送するためのスペースをまた減らすことができる。したがって薄膜ディスペンサを製造するためのコストを、それに応じて低減させることができる。さらに薄膜ディスペンサを保持して使用することが容易で簡便であり、薄膜ディスペンサのユーティリティと有効性が改善できるように、薄膜ディスペンサの形状は、ペンに似ている。
【0010】
さらに、ハウジングとディスペンジングユニットとの間の位置決め装置の配置によって、ディスペンジングユニットは、薄膜ディスペンサの構造上の安定性が強化されることができるように、ディスペンジングユニットが勝手にハウジングから外れることを防止するために複数の箇所でハウジングと結合されている。
【0011】
本発明の他の目的、利点および新規な特徴は、添付された図面と参照して説明される以下に示される詳細な説明によって、より明らかなものとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明にしたがったディスペンジングユニットを備える薄膜ディスペンサの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す薄膜ディスペンサを分解した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す薄膜ディスペンサの部分的な切断面を示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す薄膜ディスペンサの下部ケーシングを部分的に拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す薄膜ディスペンサの操作状態を部分的に切断面として示す側面図であり、ハウジングが開くことを説明する図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す薄膜ディスペンサの操作状態を部分的に切断面として分解して示す側面図であり、ディスペンジングユニットを取り替えるためにハウジングが開くことを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にしたがった薄膜ディスペンサは、所望する場所の上に、薄膜のコーティング材を適用(当接)することができる、訂正テープディスペンサ、接着テープディスペンサあるいは同様の全ての種類の装置を含むものである。
【0014】
図1から
図3を参照するに、本発明にしたがった薄膜ディスペンサは、ハウジング10とディスペンジングユニット20を備えている。ハウジング10は、内部でディスペンジングユニット20を保持するためにハウジング10で規定される室(チャンバ)を有している。ハウジング10は、上部ケーシング11と、下部ケーシング12とを含んで構成される。
【0015】
上部ケーシング11は、下部ケーシング12の端部に、ピボットのピンにより結合される第1の端部を有している。下部ケーシング12の長さは、上部ケーシング11の長さよりも長い。噛合い装置は、上部ケーシング11と下部ケーシング12の間にあって互いに対面する内部表面それぞれに、互いに間隔を置いて配置されている。
【0016】
上部ケーシング11と下部ケーシング12はそれぞれ、U字形状の断面を有しており、それらによりケーシング11、12それぞれの内部表面が内部の底と2つの内部の側面を形成する。
【0017】
上部ケーシング11および下部ケーシング12の内側の底はそれぞれ、対面しており、互いに間隔を置いて配置しており、上部ケーシング11および下部ケーシング12の内側の側面の表面はそれぞれ、互いに隣接している。
【0018】
噛合い装置は、互いに噛み合う上部の噛合いタブ112と下部の噛合いタブ122とから構成されており、それらは上部ケーシング11と下部ケーシング12にそれぞれ形成されており、弾力性を備えている。上部の噛合いタブ112は、上記した第1の端部とは反対側にあって、下部ケーシング12に向かって伸張している、上部ケーシング11の第2の端部にあり、上部ケーシング11の内側の底の上に形成されている。
【0019】
下部の噛合いタブ122は、上部の噛合いタブ112に対応する位置にあって、下部ケーシング12の内側の底の上に形成されている。好ましくは下部の噛合いタブ122は、下部ケーシング12の中心線の中間付近に形成される。
【0020】
ディスペンジングユニット20は、ハウジング10の室内に設けられており、正常状態でハウジング10から恒久的に外側に突出させることができる。ディスペンジングユニット20は、ボディ21、ディスペンジングヘッド、ホイールアセンブリ、薄膜、キャップからなる。ディスペンジングユニット20は従来のものとして構成することができ、その詳細な説明は省略する。さらにディスペンジングユニット20はボディ21を貫通するものとして定義されるスルーホール22を有しており、それは噛合い装置に対応している。上部の噛合いタブ112と下部の噛合いタブ122は、スルーホール22に挿通することが可能であり、それらは互いに噛み合う。
【0021】
さらに位置決め装置がディスペンジングユニット20のボディ21とハウジング10との間に設けられている。位置決め装置は、2つの位置決めタブ24と2つの位置決め用受け124からなる。位置決めタブ24は、ディスペンジングユニット20のボディ21の2つの側部の上にそれぞれ形成されており、それぞれフックを有している。位置決め用受け124は、下部ケーシング12内に定められており、位置決めタブ24のフックに個別に噛み合う。好ましくは位置決め用受け124は、図に示すように下部ケーシング12の内側側面を貫通しない、隠された受けとして形成される。代わりに位置決め用受け124は、下部ケーシング12の内側側面を通して貫通する孔として形成されるものとして定められる。さらに位置決め用受け124を、ディスペンジングユニット20のボディ21の側部に形成し、位置決めタブ24を、下部ケーシング12の内側側面の上に形成してもよい。位置決めタブ24と位置決め用受け124との間の噛み合いにより、ディスペンジングユニット20とハウジング10との結合の強さを、より強化することができる。それによって、薄膜ディスペンサが偶然に高い場所から落下したとしても、ディスペンジングユニット20がハウジング10から外れることを防止することができる。ハウジング10内にディスペンジングユニット20を設ける構造上の安定性を改善することができる。
【0022】
図4を参照するに、位置決め用受け124は、2つの端部と、当該2つの端部上に個別に形成された2つの案内ブロック126とを有している。各案内ブロック126は、頭部と、当該頭部に形成された傾斜した表面とを有している。案内ブロック126と当該案内ブロック126上の傾斜した表面によって、位置決めタブ24に案内効果を提供することができ、位置決めタブ24が位置決め用受け124に円滑に挿入されて円滑に噛み合うことを可能足らしめる。
【0023】
さらに下部ケーシング12はまた下部ケーシング12の2つのエッジ内にあるものとして個別に定められ、2つの位置決め用受け124に個別に隣接している、2つの緩衝用受け127を有している。緩衝用受け127が設けられることによって、位置決めタブ24が位置決め用受け124内に挿入する際の位置決めの円滑さは、ハウジング10内へのディスペンジングユニット20の装着を円滑にすることに、寄与することなる。
【0024】
こうして上部ケーシング11が、下部ケーシング12に関連して閉じられるときに、上部の噛合いタブ112と下部の噛合いタブ122は、ディスペンジングユニット20のボディ21内のスルーホール22内に挿入され、互いに噛み合うことになる。この結果、上部ケーシング11と下部ケーシング12は、上部ケーシング11と下部ケーシング12との間でディスペンジングユニット20を保持するために互いに結合される。
【0025】
図5と
図6を参照するに、ディスペンジングユニット20の薄膜が使い果たされて、新しいものと取り替えられるべきときには、上部ケーシング11は、上方に引かれ、上部の噛合いタブ112が、噛合いタブ112、122それら自身の弾性によって、下部の噛合いタブ122から離され、上部ケーシング11は、素早く開かれる。この結果、上部ケーシング11は、ハウジング10を開くために、下部ケーシング12に関連してピボットにより旋回が可能となる。
【0026】
こうして使用済みのディスペンジングユニット20を新しいものと取り替えることが可能となる。新しいディスペンジングユニット20がハウジング10内に装着された後には、上部ケーシング11が、下部ケーシング12に関連して閉じられ、薄膜ディスペンサが正常に使用することが可能になるように、上部の噛合いタブ112が、下部の噛合いタブ122に再び噛み合せられる。
【0027】
噛合い装置を簡便に切り離し、上部ケーシング11が素早く開くことをユーザに許容するために、上部ケーシング11は、その上に形成されたフィンガタブ114を有しており、フィンガタブ114は、上部の噛合いタブ112が形成されている上記した第2の端部で当該上部ケーシング11の上部より水平方向に拡張したものとして設けられる。ディスペンジングユニット20のボディ21は、さらにボディ21の上部内に定められるフィンガ緩衝部26を有している。フィンガ緩衝部26は、上部ケーシング11のフィンガタブ114に対応する位置にあるとして定義され、フィンガタブ114が当該フィンガ緩衝部26の中にわずかに拡張することを許容する。
【0028】
したがって、ハウジング10を開くように、ユーザの指をフィンガタブ114の上にゆっくりと力を入れるだけで、容易に上部ケーシング11が素早く開くことなり、省力化が図られ、簡便なものとなる。
【0029】
本発明の種々の特徴と利点を、発明の構造と作用の詳細な説明とともに説明したが、本発明は詳細な説明に開示されたものにだけに限定されるわけでなく、特に形状、サイズ、部品の変形については、以下に表現される特許請求の範囲内で広く一般的に変形することができる。